JP2005286212A - 薄膜トランジスタ基板、表示装置及びcadプログラム - Google Patents

薄膜トランジスタ基板、表示装置及びcadプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 液晶表示装置の駆動回路に電源を再入力する時に、駆動回路の外部からレジスタ設定データを入力しなくても、画像データのみを入力すれば画像表示可能とする。
【解決手段】 絶縁性基板上に半導体層パターン30ゲート絶縁膜を挟んでゲート電極配線31が配置された画面部を有する薄膜トランジスタ基板であって、薄膜トランジスタ基板を金属テーブル上に載置した際に、半導体層パターン30と金属テーブル間の容量をCaとし、半導体層パターン30とゲート電極配線31との間の容量をCbとし、ゲート電極配線31と金属テーブル間の容量をCeとし、ゲート電極配線31の長さをLとし、1本のゲート電極配線31が担う単位長さあたりの基板表面積をSとすると、K=(L/Ce)×{Ca/(Ca+Cb)}×Sによって求まるKの値が第1設定値より小さくなるように、半導体層パターン30とゲート電極配線31の形状を設定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、絶縁性基板上に薄膜トランジスタ(TFT)を作成した薄膜トランジスタ基板に関し、またこの薄膜トランジスタ基板と液晶材料やEL材料といった表示材料とを組み合わせて作成された表示装置に関し、さらにこれらを設計するCADに関する。
図7に液晶表示装置の構成とそれに用いる薄膜トランジスタ基板の模式回路図を示す。画面部1にはマトリクス状に画素(表示ドット)2が配置されている。それぞれの画素2には画素電極3と蓄積容量4と画素トランジスタ5が配置されている。画素電極3は対向電極6(実際には画面部1全体にわたる大きな電極)との間に液晶7を挟みこんでいる。
それぞれの画素トランジスタ(薄膜トランジスタ)5はゲート電極配線(走査配線)8と画像信号配線9に接続され、蓄積容量4は共通容量配線10に接続されている。ゲート電極配線8はゲート線駆動回路11に、画像信号配線9は信号線駆動回路12に、共通容量配線10は容量線駆動回路13にそれぞれ接続される(例えば、特許文献1参照。)。
図7の構成にさらにシステム回路や偏光板やバックライトなどさまざまな部材と組み合わせて液晶表示装置が完成する。この構成の内、画素電極3と蓄積容量4と画素トランジスタ5とゲート電極配線(走査配線)8と画像信号配線9と共通容量配線10が絶縁性基板上に形成され薄膜トランジスタ基板を構成している。
薄膜トランジスタにポリシリコン(Si)を用いた薄膜トランジスタ基板ではゲート線駆動回路11、信号線駆動回路12及び容量線駆動回路13も同じ絶縁性基板上に形成される場合もある。
特開2000−187248号公報
図8は、図7に示した液晶表示装置の製造工程途中の模式図面であり、薄膜トランジスタ基板の画面部に形成される4つの画素部分を示している。図8(A)は模式平面図であり、図8(B)は図8(A)のα−β部の模式断面図である。
図8(A)に示すように、ゲート電極配線8は複数の半導体薄膜パターン20と交差する。ゲート電極配線8と平行に、共通容量配線10が形成される。点線で描かれた四角は、画像信号配線9が形成される位置を示す。
図8(B)に示すように、絶縁性基板21上にアンダーコート膜22が形成され、その上に半導体薄膜パターン20及びゲート絶縁膜23が形成され、その上にゲート電極配線8が形成され、その上に層間絶縁膜24が被着される。
図7や図8で示した各表示画素に薄膜トランジスタを有する表示装置(液晶表示装置)では、大量のデータを表示するために非常に多くの画素を必要とする。パーソナルコンピューターで代表的な画面(例えば、1024*768ピクセル)の場合RGB3色をそれぞれ3つの画素(つまり、1色を1つの画素)で構成すれば実に数百万の数の画素を作り込むことになる。昨今では表示に対する要求は年々高度なものになり、この画素の不良による点欠陥をできるだけ無くしたもの(少ないもの)が要求されるようになってきた。しかしながら製造現場では点欠陥の全く無い表示装置を歩留まり良く作ることは非常に難しく、点欠陥の少ない構造やその製造方法を提供することが非常に重要である。
点欠陥を発生する大きな原因の一つに薄膜トランジスタ基板を作成する際の静電気破壊がある。特にトップゲートタイプの薄膜トランジスタ基板に対してゲート電極配線8を形成してから画像信号配線を形成するまでの間が半導体層パターン20とゲート電極配線8との間に高電圧が発生し易く、静電気破壊が発生し易い。とりわけゲート電極配線8が形成された後の成膜や洗浄及びその工程での移載(基板の移動)が問題となる。
図9にゲート電極配線後の層間絶縁膜形成工程とその移載時の静電気破壊の模式説明図を示す。図9(A)は、プラズマCVD製膜室25において、基板21の上にアンダーコート膜やゲート絶縁膜と共に、半導体層パターン(ポリシリコン)20とゲート配線電極8が形成され、その上に層間絶縁膜24としてプラズマCVD法による絶縁膜(たとえば酸化珪素や窒化珪素)を被着した状態を示す。この状態で基板全体が帯電してしまう。基板材質や表面(層間絶縁膜)が絶縁体であり完全な除電は難しい。
図9(B)は、移載時の静電気破壊の模式説明図を示す。図9(A)の状態から、基板21を移載する際、しばしば、基板搬送用ロボットアームの基板支持部40の上方に半導体層パターン20が来ると、その半導体層パターン20について静電気破壊(シンボル的に記載)が起きてしまう。
本発明ではこのような静電気破壊による点欠陥発生を抑制しうる薄膜トランジスタ基板を提供し、製造歩留まりを向上することを目的としている。
本発明の第1の特徴は、絶縁性基板上に半導体層パターンとゲート絶縁膜を挟んでゲート電極配線が配置された画面部を有する薄膜トランジスタ基板であって、
薄膜トランジスタ基板を金属テーブル上に載置した際に、半導体層パターンと金属テーブル間の容量をCaとし、半導体層パターンとゲート電極配線間の容量をCbとし、ゲート電極配線と金属テーブル間の容量をCeとし、ゲート電極配線の長さをLとし、1本の前記ゲート電極配線が担う単位長さあたりの基板表面積をSとした場合に、
K=(L/Ce)×{Ca/(Ca+Cb)}×S
によって求まるKの値が第1設定値より小さくなるように、半導体層パターンとゲート電極配線の形状を設定したことにある。
本発明の第2の特徴は、k=L×Kによって求まるkが第2設定値より小さくなるように半導体層パターンとゲート電極配線の形状を設定したことにある。
本発明の第3の特徴は、絶縁性基板上に半導体層パターンとゲート絶縁膜を挟んでゲート電極配線が配置された画面部を有する薄膜トランジスタ基板であって、
薄膜トランジスタ基板を金属テーブル上に載置した際に、半導体層パターンと金属テーブル間の容量、半導体層パターンとゲート電極配線間の容量、ゲート電極配線と金属テーブル間の容量に関して、それぞれを構成する容量を重なり部の並行平板容量で近似計算する、すなわち前記半導体層パターンと前記金属テーブル面への前記半導体層パターンの投影パターンとで作る並行平板容量をCa’とし、前記半導体層パターンと前記ゲート電極配線間の重なり部だけの面積で作る並行平板容量をCb’とし、前記Ca’Cb’も用いて合成計算した前記ゲート電極配線と前記金属テーブル間の容量をCe’とし、ゲート電極配線の長さをLとし、1本の前記ゲート電極配線が担う単位長さあたりの基板表面積をSとした場合に、
k’=(L/Ce’)×{Ca’/(Ca’+Cb’)}×S
によって求まるk’の値が第3設定値より小さくなるように、前記半導体層パターンと前記ゲート電極配線の形状を設定したことにある。 本発明の第4の特徴は、k’’=L×k’によって求まるk’’が第4設定値より小さくなるように半導体層パターンとゲート電極配線の形状を設定したことにある。
本発明の第5の特徴は、絶縁性基板がガラス基板、半導体層がポリシリコン薄膜であり、ゲート絶縁膜が酸化珪素を含む薄膜で、さらにゲート電極配線上にプラズマCVD法による層間絶縁膜が形成されることにある。
本発明の第6の特徴は、ゲート絶縁膜が150nm膜厚の酸化珪素薄膜である時、k’の値を0.40(mm/pF)以下とすることにある。
本発明の第7の特徴は、ゲート絶縁膜が150nm膜厚の酸化珪素薄膜である時、k’’の値が125(mm/pF)以下である請求項5又は6記載の薄膜トランジスタ基板。
本発明の第8の特徴は、ガラス基板のサイズを730mm×920mmクラスより大きい基板とすることにある。
本発明の第9の特徴は、薄膜トランジスタ基板と、液晶材料やEL材料などの表示材料とを具備することにある。
本発明の第10の特徴は、半導体層パターンとゲート電極配線との形状を設計させるCADプログラムであって、コンピュータに、薄膜トランジスタ基板を金属テーブル上に載置した際の、半導体層パターンと金属テーブル間の容量Caと、半導体層パターンとゲート電極配線間の容量Cbと、ゲート電極配線と金属テーブル間の容量Ceとを計算させ、
容量Caと、容量Cbと、容量Ceと、ゲート電極配線の長さLと、1本のゲート電極配線が担う単位長さあたりの基板表面積Sと、下記式
K=(L/Ce)×{Ca/(Ca+Cb)}×S
とに基づいてKの値を計算させ、
Kの値と第1設定値とを比較させ、
Kの値が第1設定値より小さくない場合に、警告を表示させることにある。
本発明の第1の特徴によれば、半導体層パターンと金属テーブル間の容量Ca、半導体層パターンとゲート電極配線間の容量Cb、ゲート電極配線と金属テーブル間の容量Ce、ゲート電極配線の長さL、1本の前記ゲート電極配線が担う単位長さあたりの基板表面積Sと、
K=(L/Ce)×{Ca/(Ca+Cb)}×S
によって求まるKの値が第1設定値より小さくなるように、半導体層パターンとゲート電極配線の形状を設定することによって静電気破壊の発生率を低減させることが可能になる。
本発明の第2の特徴によれば、k=L×Kによって求まるkが第2設定値より小さくなるように、半導体層パターンとゲート電極配線の形状を設定することによって静電気破壊の発生率をさらに低減させることが可能になる。
本発明の第3の特徴によれば、それぞれを構成する容量を重なり部の並行平板容量で近似計算する、半導体層パターンと金属テーブル面への半導体層パターンの投影パターンとで作る並行平板容量Ca’、半導体層パターンとゲート電極配線間の重なり部だけの面積で作る並行平板容量Cb’、ゲート電極配線と金属テーブル間容量Ce’、ゲート電極配線の長さL、1本の前記ゲート電極配線が担う単位長さあたりの基板表面積Sと、
k’=(L/Ce’)×{Ca’/(Ca’+Cb’)}×S
によって求まるk’の値が第3設定値より小さくなるように、半導体層パターンとゲート電極配線の形状を設定することによって静電気破壊の発生率を低減させることが可能になる。また、容量Ca’、容量Cb’、容量Ce’は、前記の容量Ca、容量Cb、容量Ceよりも算出が容易であるから、容量Ca’、容量Cb’、容量Ce’を用いて算出されるk’は、容量Ca、容量Cb、容量Ceを用いて算出されるKよりも算出が容易になる。
本発明の第4の特徴によれば、k’’=L×k’によって求まるk’’が第4設定値より小さくなるように半導体層パターンとゲート電極配線の形状を設定することによって静電気破壊の発生率をさらに低減させることが可能になる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
図1に本願発明の実施例1の薄膜トランジスタ基板を説明するための模式図を示す。図8(A)と同じく薄膜トランジスタ基板の工程途中の平面模式図である。薄膜トランジスタ基板本体の基本構成は図8と殆ど同じである。
しかし、本実施例では
・半導体層パターン30の面積を従来の半導体層パターン20(図8)より小さくし、かつ
・ゲート電極配線パターン31の面積を従来のゲート電極配線パターン8(図8)より大きくし、かつ
・ゲート電極配線パターン31と半導体層パターン30との重なり面積を増やしている。
その他の構成は従来例と基本的には同様であるので同じ構成のものは説明を省略する。本実施例では薄膜トランジスタはエキシマレーザー溶融結晶化で作成したポリSi半導体層パターン30を用いたトップゲートタイプのものである。ゲート電極配線(走査配線)31はモリブデン(Mo)合金、画像信号配線9はアルミニウム(Al)と高融点金属の積層膜を用い、ゲート絶縁膜はプラズマCVD法による酸化ケイ素膜(膜厚150nm)、層間絶縁膜はやはりプラズマCVD法による窒化ケイ素と酸化ケイ素の積層膜(膜厚350nmと450nm)、ゲート線駆動回路11、信号線駆動回路12及び容量線駆動回路13も絶縁性の基板(コーニング社#1737ガラス基板:730mm×920mm,板厚0.7mm)上に形成した。
静電気破壊を懸念している半導体層パターンと金属テーブル面への半導体層パターンの投影パターンとで作る並行平板容量Ca’は2.44×10−5pF、半導体層パターンとゲート電極配線間の重なり部だけの面積で作る並行平板容量Cb’は1.82×10−2pF、ゲート電極配線と金属テーブル間で作る容量Ce’は4.79×10−1pF、ゲート電極配線長Lは343.4mm、単位面積あたり1本のゲート電極配線が担う基板表面積Sは0.272mmとした。
図10を用いてCe’について説明する。図10に示すように、Ce’は、Ce’を構成する容量の全てを並行平板容量とみなして、近似計算によって求めた。例えば、画面部のゲート電極配線は半導体層パターンとn箇所重なっているとする。なお、1つの半導体層パターンがゲート電極配線と2箇所以上で重なることもある。このため、n=(ゲート電極配線と重なる半導体層パターンの数)は必ずしも成立しない。ゲート電極配線のうち半導体層パターンと重なって「いない」部分を領域1とし、半導体層パターンと重なって「いる」部分を領域2とする。
領域1は、m個の部分からなり、それぞれを領域1(1),領域1(2),・・・,領域1(m)とし、
領域2は、n個の部分からなり、それぞれを領域2(1),領域2(2),・・・,領域2(n)とし、
各領域1が、金属テーブル面への自己の投影パターンとで作る並行平板容量をC1(1),C1(2),・・・,C1(m)とし、
各領域2が、半導体層パターンを介して、金属テーブル面への自己(各領域2)の投影パターンとで作る容量をC2(1),C2(2),・・・,C2(n)とすると、
Ce’=ΣC1(m)+ΣC2(n)
と記載できる。
なお、領域2(1)の容量C2(1)は、ゲート電極配線と半導体層パターンとの重なる部分の容量をC2b(1)とし、半導体層パターンとそのパターンの金属テーブル面への投影パターンとの容量をC2a(1)とすると、
C2(1)=C2a(1)*C2b(1)/(C2a(1)+C2b(1))
によって求めることができる。
同様に、領域2(n)の容量C2(n)は、ゲート電極配線と半導体層パターンとの重なる部分の容量をC2b(n)とし、半導体層パターンとそのパターンの金属テーブル面への投影パターンとの容量をC2a(n)とすると、
C2(n)=C2a(n)*C2b(n)/(C2a(n)+C2b(n))
によって求めることができる。
これらCa’、Cb’、Ce’、L及びSを
k’=(L/Ce’)×{Ca’/(Ca’+Cb’)}×S
に代入してk’を求めると、n=1の場合はk’=0.261であり、n=2の場合はk’=89.7となる。そして、層間絶縁膜工程での静電気破壊不良が激減した。
図6に静電気破壊に起因する不良率を示す。図6(A)及び(B)共に、横軸がk’の値、縦軸がその時の不良率である。図6(A)はn=1の場合、図6(B)はn=2の場合である。いずれも2乗のグラフで良く近似されており、回帰計算から不良率1%となる値を求めたところ、n=1の場合はk’=0.40(mm/pF)、n=2の場合はk’=125(mm/pF)である。
生産工程では単独原因による不良率が1%以下となると歩留が安定する。よってk’の前記数値を基準値(設定値)として用いるのが妥当と考える。勿論、k’の値が小さければ小さい程、不良率抑制効果は大きい。
図2及び図3を用いて、本発明の実施例2にかかるCADシステムについて説明する。図2は、実施例2にかかるCADシステムの構成を示す機能ブロック図である。図3は、実施例2における警告発生処理の流れを示すフローチャートである。
図2に示すように、実施例2のCADシステムは、表示手段71、中央処理装置(CPU)73、ランダムアクセスメモリ(RAM)75、入力手段77及び記憶手段79を備える。
入力手段77とは、例えばキーボードなどの文字、数値入力手段や、マウスなどのポインティングデバイスである。CADデータを入力するために使用される。
記憶手段79とは、例えばハードディスクドライブ(HDD)である。記憶手段79には、計算プログラム、比較プログラム、警告プログラム、描画プログラム、CADデータ、オペレーティングシステム(OS)、設定値(閾値)などが記憶される。
CADデータとは、具体的にはゲート電極配線の長さ、基板の表面積、ゲート電極の材質・形状・各部の長さ、半導体層パターンの材質・形状・各部の長さ、ゲート電極配線と基板底面との距離、ゲート電極配線と半導体層パターンとの距離(ゲート絶縁膜の厚み)、半導体層パターンと基板表面との距離(アンダーコート膜の厚み)、ゲート絶縁膜とアンダーコート膜の誘電率、基板の厚みと誘電率などである。描画プログラムは、CADデータに基づいて、半導体層パターン、ゲート電極配線、共通容量配線などを表示手段に描画する。
計算プログラムは、あらかじめ、ゲート絶縁膜とアンダーコート膜と基板のそれぞれの厚みと誘電率から単位面積あたりの半導体層パターンと金属テーブル間の単位容量、単位面積あたりの半導体層パターンとゲート電極配線間の単位容量、あるいは単位面積あたりのゲート電極配線と金属テーブル間の単位容量を計算しておく。
そしてゲート電極配線とそれと重なる半導体層パターン(複数個ある)に着目する、着目した個々の半導体層パターンに対して、半導体層パターン形状から抽出計算した面積に基づいて半導体層パターンと金属テーブル面への半導体層パターンの投影パターンとで作る並行平板容量Ca’を計算し、
さらに、着目した個々の半導体層パターンに対して、半導体層パターンとゲート電極配線の重なり形状から抽出した重なり面積に基づいて半導体層パターンとゲート電極配線間の重なり部だけの面積で作る並行平板容量Cb’を計算する。Ca’とCb’はn組みあることになる。
また着目した電極配線パターンについて、抽出したゲート電極配線パターンは着目したn個の半導体層パターンと重なっている、ゲート電極配線のうち半導体層パターンと重なっていない部分を領域1とし、半導体層パターンと重なっている部分を領域2とする。領域1の面積を抽出計算しこれに基づき、領域1が金属テーブルと作る並行平板容量C1を計算し、個々の領域2nに関して順番に半導体層パターンを介して金属テーブル間で作る容量(容量の合成となる)C2nを計算する。領域2nの半導体層パターンが金属テーブルと作る並行平板容量C2a(n)、領域2nの半導体層パターンと着目しているゲート電極配線の重なり並行平板容量をC2b(n)とすると、これは先に計算したn番目の半導体層パターンに関するCa’とCb’にほかならないのでその値を用いる。C2(n)=(C2a(n)×C2b(n))/(C2a(n)+C2b(n))となる。
これらに基づいてゲート電極配線と金属テーブル面との容量Ce’=ΣC1(m)+ΣC2(n)を計算する。C2(n)が共通で同じ値であれば、つまりC2(1)=C2(2)=・・・=C2(n)が成立する場合、Ce‘=C1+n×C2nと簡素化できる。
次に、例えば表面を微小領域にメッシュ分割して、着目したゲート配線が最近接にある微小領域の面積を総和した「ゲート配線が担う」表面面積を計算することにより、着目したゲート電極配線が担う単位長さあたりの基板表面積Sを計算し、
k’=(L/Ce’)×{Ca’/(Ca’+Cb’)}×S
に基づいてk’の値を計算する。
「ゲート配線が担う」及び「S」の定義に関しては、図4(A)を用いて追って詳細に説明する。Sは画面部の単純な繰り返しであれば上記のようなソフトを使わなくても割り出し計算で抽出してもよい。例えば、ゲート電極配線と並行な辺を有し、かつ単位面積を有する長正方形内にm本の並行配線が存在する場合、ゲート電極配線1本当りが担う面積は1/mで近似できる。
比較プログラムは、算出されたk’の値と設定値(閾値)とを比較し、k’の値が設定値より小さいか/小さくないかを判断する。
警告プログラムは、k’の値が設定値より小さくない場合は、k’の値が設定値より小さくない箇所が存在することを示すデータ、かかる箇所を特定するためのX座標値、Y座標値を描画プログラムに渡す。
描画プログラムは、k’の値が設定値より小さくない箇所が存在することを示すデータを受け取ったら、静電気破壊のおそれが高い箇所が存在することを伝えるメッセージを表示手段に表示させたり、警告プログラムから受け取ったX座標値、Y座標値によって特定される箇所が半導体基板設計図上のどの位置に該当するかを表示手段に表示させたりするなどの方法によって警告を発生する。例えば、k’の値が設定値より小さくない箇所を点滅させたり、k’の値が設定値より小さくない箇所の色を赤などの注意を喚起しやすい色に変更したりする。
表示手段71は、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、プラズマディスプレイなどである。
CPU73は、描画プログラム計算プログラムなどの各プログラムに従って計算などの処理を実行する。
RAM75は、例えばダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)である。RAM75は、計算プログラムなどの各プログラムのワークエリアとして使用される。
図3に示すように、実施例2のCADシステムは、ステップS11で、データが読み取られる。読み取られるデータは、半導体層パターンと金属テーブル面への半導体層パターンの投影パターンとで作る並行平板容量Ca’を計算するためのデータ、半導体層パターンとゲート電極配線間の重なり部だけの面積で作る並行平板容量Cb’を計算するためのデータ、ゲート電極配線と金属テーブル面へのゲート電極配線の投影パターンとで作る並行平板容量Ce’を計算するためのデータ、ゲート電極配線長Lのデータ、1本のゲート電極配線が担う単位長さあたりの基板表面積Sを計算するためのデータなどである。
ステップS13では、容量Ca’、容量Cb’、容量Ce’を計算する。ステップS15では、1本のゲート電極配線が担う単位長さあたりの基板表面積Sを計算し、かつ
k’=(L/Ce’)×{Ca’/(Ca’+Cb’)}×S
を用いて評価値(k’の値)を計算する。
ステップS17では、評価値(k’の値)と設定値(閾値)とを比較する。評価値が設定値未満であるなら(ステップS19でYES)、処理を終了する。評価値が設定値未満でないなら(ステップS19でNO)、警告を表示する(ステップS21)。警告内容は、前記の如く、評価値が設定値未満でない箇所、つまり静電気破壊のおそれが高い箇所を点滅させたり、当該箇所の色を目立つ色に変更したりする。
以上説明したように本願発明でK、k、k’又はk’’を用いて設計管理することによって、静電気起因の点欠陥が減少し、この薄膜トランジスタ基板を用いた液晶表示装置の製造歩留が大幅に向上する。静電気破壊抑制の理由は以下のように解釈される。
図4(A)に、CVD製膜室中で基板が帯電しているイメージを示す。従来、半導体層パターン20の上方にゲート電極配線8が形成され、ゲート電極配線8とゲート電極配線8との間に共通容量配線10が形成される。そして、帯電によるチャージ50が基板表面積に比例して流入すると仮定する。このとき着目した1本のゲート電極配線8にはその配線が担う表面積51に比例して電荷が流入する。
図4(B)は、図4(A)で示した薄膜トランジスタ基板の平面図である。図4(B)を用いて1本のゲート電極配線が単位長さ当たりに担う基板表面積Sを説明する。
まず単位長LLのゲート電極配線8に着目する。次にゲート電極配線8と同じ金属薄膜で作られた単位長LLの共通容量配線10にも着目する。基板表面の任意の点についてその点を最近接の配線で分類する(配線に属するという表現をする)。そして網掛けで示した領域の面積が、1本のゲート電極配線8の単位長さ当たりの表面積Sとなる。
(1)係数が掛かることにはなるが、1本のゲート電極配線8の単位長さ当たりの表面積をSとし、1本のゲート電極配線の長さをLとすると、1本のゲート電極配線には「S×L」に比例する量の帯電があると考えることができる。また、配線8と配線10がほぼ均等に配置され、かつその長さがほぼ等しい場合、基板表面積/(配線8と配線10の総数)/配線長をSの替わりとして代用しても良い。つまり、ゲート電極配線の平面形状を、単純な長方形とみなしても良い。
(2)図5(A)はCVD製膜室内における基板の帯電状態を示す。ステージ(金属テーブル)41の上にガラス基板21が載置され、ガラス基板21の上にポリシリコンからなる半導体層パターン20、ゲート電極配線8及び層間絶縁膜24が形成される。図5(A)に示すように、帯電電荷は実際にはゲート配線電極容量Ceに蓄積されるのでこの時の電圧は「1/Ce」に比例する。これがCVD製膜室での状態である。
なお、ゲート電極配線全体の帯電電荷をQ0とし、ゲート電極配線8全体とステージ41全体との間の容量をCとし、ゲート電極配線8とステージ41との間の電圧をVとすると、Q=C・Vという関係、又はV=Q/Cという関係が成立する。
(3)図5(B)は基板移載動作時における基板の帯電状態を示す。図5(B)に示すように、基板移載動作を行うと、1本のゲート電極配線8に浸入している全てのチャージが支持部40の上方に集中するため、支持部40の上方におけるゲート電極配線電圧Vが配線長Lに比例して上昇する。支持部40が均等に基板21に接触するならば、ゲート電極配線電圧Vは支持部40の幅Aに反比例する。しかし、実際には基板21のたわみや振動などに起因して、支持部40と基板21はポイントコンタクトとなるので極値として配線長Lに比例すると考えてよい。
つまり、支持部40の上方における容量は、C・A/Lとなり、ゲート電極配線8と支持部40との間にかかる電圧をVとすると、
=Q0/(C0・A/L)=V0・(L/A)が成立する。
(4)このときシリコン半導体層パターン20とゲート電極配線8との間にかかる電圧をVSiOとし、半導体層パターン20と支持部の容量をCaとし、半導体層パターンとゲート電極配線間の容量をCbとすると、
SiO=V・{Ca/(Ca+Cb)}が成立する。
前記(1)〜(4)の記載より
SiO=(L/Ce)×{Ca/(Ca+Cb)}×Sが成立する。
図6に示した実験結果からは(L/Ce)×{Ca/(Ca+Cb)}×Sでも良い近似が得られている。よって、
(L/Ce)×{Ca/(Ca+Cb)}×Sが第1設定値未満であるか、そして
(L/Ce)×{Ca/(Ca+Cb)}×Sが第2設定値未満であるか
の2つのチェックを入れることが好ましい。
本願発明の構成は実施の形態で説明したトップゲート型ポリシリコン薄膜トランジスタで特に有効である。また、基板サイズや画面サイズが大きい(ゲート電極配線が長い)もので特に有効である。また、本願発明は画面部のTFTについて述べたが、ゲート線駆動回路11、信号線駆動回路12及び容量線駆動回路13といった回路部をTFTで作製する場合にも同様な取り扱いが可能である。
本願発明の実施例1の薄膜トランジスタ基板を説明するための模式図。 本発明の実施例2におけるCADシステムの構成を示す機能ブロック図。 本発明の実施例2における警告発生処理の流れを示すフローチャートである。 (A)はCVD製膜室内で基板が帯電しているイメージを示す図、(B)は(A)で示した薄膜トランジスタ基板の平面図。 (A)はCVD製膜室内における基板の帯電状態を示す図、(B)は基板移載動作時における基板の帯電状態を示す図。 (A)及び(B)共に横軸がk’の値、縦軸が静電気破壊に起因する不良率を示し、(A)はn=1の場合、(B)はn=2の場合を示す。 液晶表示装置の構成とそれに用いる薄膜トランジスタ基板の模式回路図。 図7に示した液晶表示装置の製造工程途中の模式図であり、(A)は模式平面図、(B)は(A)のα−β部の模式断面図。 (A)はゲート電極配線後の層間絶縁膜形成工程の説明図、(B)は移載時の静電気破壊の模式説明図。 ゲート電極配線と金属テーブル間で作る容量の近似値Ce’を説明するための図である。
符号の説明
1…ソースドライバーIC、 2…電源IC、
3…ゲートドライバー回路(走査線駆動回路)、4…レジスタ保存回路、
5…CPU−IF、6…電源端子又は接地端子、
7…信号線選択回路、15…液晶パネル表示領域(画素アレイ部)、
20…液晶パネル

Claims (10)

  1. 絶縁性基板上に半導体層パターンとゲート絶縁膜を挟んでゲート電極配線が配置された画面部を有する薄膜トランジスタ基板であって、
    前記薄膜トランジスタ基板を金属テーブル上に載置した際に、前記半導体層パターンと前記金属テーブル間の容量をCaとし、前記半導体層パターンと前記ゲート電極配線間の容量をCbとし、前記ゲート電極配線と前記金属テーブル間の容量をCeとし、前記ゲート電極配線の長さをLとし、1本の前記ゲート電極配線が担う単位長さあたりの基板表面積をSとした場合に、
    K=(L/Ce)×{Ca/(Ca+Cb)}×S
    によって求まるKの値が第1設定値より小さくなるように、前記半導体層パターンと前記ゲート電極配線の形状を設定したことを特徴とする薄膜トランジスタ基板。
  2. k=L×K
    によって求まるkが第2設定値より小さくなるように前記半導体層パターンと前記ゲート電極配線の形状を設定した請求項1記載の薄膜トランジスタ基板。
  3. 絶縁性基板上に半導体層パターンとゲート絶縁膜を挟んでゲート電極配線が配置された画面部を有する薄膜トランジスタ基板であって、
    前記薄膜トランジスタ基板を金属テーブル上に載置した際に、前記半導体層パターンと前記金属テーブル間の容量、前記半導体層パターンと前記ゲート電極配線間の容量、前記ゲート電極配線と前記金属テーブル間の容量に関して、それぞれを構成する容量を重なり部の並行平板容量で近似計算する、すなわち前記半導体層パターンと前記金属テーブル面への前記半導体層パターンの投影パターンとで作る並行平板容量をCa’とし、前記半導体層パターンと前記ゲート電極配線間の重なり部だけの面積で作る並行平板容量をCb’とし、前記Ca’Cb’も用いて合成計算した前記ゲート電極配線と前記金属テーブル間の容量をCe’とし、前記ゲート電極配線の長さをLとし、1本の前記ゲート電極配線が担う単位長さあたりの基板表面積をSとした場合に、
    k’=(L/Ce’)×{Ca’/(Ca’+Cb’)}×S
    によって求まるk’の値が第3設定値より小さくなるように、前記半導体層パターンと前記ゲート電極配線の形状を設定したことを特徴とする薄膜トランジスタ基板。
  4. k’’=L×k’
    によって求まるk’’が第4設定値より小さくなるように前記半導体層パターンと前記ゲート電極配線の形状を設定した請求項3記載の薄膜トランジスタ基板。
  5. 前記絶縁性基板がガラス基板、前記半導体層がポリシリコン薄膜であり、前記ゲート絶縁膜が酸化珪素を含む薄膜で、さらに前記ゲート電極配線上にプラズマCVD法による層間絶縁膜がある請求項1乃至4のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタ基板。
  6. 前記ゲート絶縁膜が150nm膜厚の酸化珪素薄膜である時、前記k’の値が0.40(mm/pF)以下である請求項5記載の薄膜トランジスタ基板。
  7. 前記ゲート絶縁膜が150nm膜厚の酸化珪素薄膜である時、前記k’’の値が125(mm/pF)以下である請求項5又は6記載の薄膜トランジスタ基板。
  8. 前記ガラス基板のサイズが730mm×920mmクラスより大きい基板であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタ基板。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタ基板と、表示材料とを具備する表示装置。
  10. 半導体層パターンとゲート電極配線との形状を設計させるCADプログラムであって、コンピュータに、
    薄膜トランジスタ基板を金属テーブル上に載置した際の、前記半導体層パターンと前記金属テーブル間の容量Caと、前記半導体層パターンと前記ゲート電極配線間の容量Cbと、前記ゲート電極配線と前記金属テーブル間の容量Ceとを計算させ、
    前記容量Caと、前記容量Cbと、前記容量Ceと、前記ゲート電極配線の長さLと、1本の前記ゲート電極配線が担う単位長さあたりの基板表面積Sと、下記式
    K=(L/Ce)×{Ca/(Ca+Cb)}×S
    とに基づいてKの値を計算させ、
    前記Kの値と第1設定値とを比較させ、
    前記Kの値が前記第1設定値より小さくない場合に、警告を表示させることを特徴とするCADプログラム。

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