JP2005285456A - 電源装置 - Google Patents

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崇 村田
Naoki Tsuzurano
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Abstract

【課題】電源装置に内蔵される各電池セルの効果的な放熱あるいは均熱を図り、信頼性、安全性を高めた電源装置を提供する。
【解決手段】電源装置は、一以上の単電池を直線状に接続した電池セルを略平行に複数本並べ、かつこれらの電池セルを直列または並列に接続した電源モジュールをホルダに内蔵する。ホルダ10Hは、その内面に電池セルを位置決めした状態で保持するための位置決嵌着部14と、位置決嵌着部と略平行に離間させて、位置決嵌着部に保持される電池セルの熱をホルダを介して熱伝導させるための放熱板80を備えている。また放熱板は、少なくとも一部をホルダの外部に表出させる表出部82を備えている。これにより、ホルダに保持される電池セルの発熱を放熱板で吸収して放熱できる。特に放熱板の一部を表出部として外部に表出することで、表出部で外部と熱交換して効果的にホルダに内蔵される電池セルを放熱できる。
【選択図】図15

Description

本発明は、主として大電流の放電に適している電源装置に関し、特にハイブリッドカーや電気自動車等の自動車のように、大電流で駆動されるモーターに電力を供給して車両等の電動機器を駆動する電源装置に関する。
電源装置は、電池又は素電池を直列又は並列に接続した電源モジュールの個数を多くして出力電流を大きくでき、また、直列に接続する直列の個数で出力電圧を高くできる。特に、大出力が要求される用途、例えば自動車等の車両、自転車、工具等に使用される電源装置においては、複数の電池を直列に接続して出力を大きくする構造がとることができる。例えば、自動車走行用のモーターを駆動する電源に使用される大電流、大出力用の電源装置は、複数の電池を直列に連結した電源モジュールをさらに直列に接続して出力電圧を高くしている。駆動モーターの出力を大きくするためである。この種の用途に使用される電源装置は、接続する電源モジュールの個数で出力を調整している。大出力が要求される電源装置は、多数の電源モジュールを接続している。現在、ハイブリッドカーに搭載される電源装置は、6個のニッケル−水素電池を直列に接続して電源モジュールを構成している。この電源モジュールをホルダーケースに内蔵して、電源モジュールを直列に接続している。ホルダーケースに24個の電源モジュールを内蔵する電源装置は、144個のニッケル−水素電池を直列に接続して、定格出力電圧が約170Vとなる。さらに、大出力が要求される電源装置は、直列に接続する電源モジュールの数を多くして出力電圧を高くしている。ハイブリッドカー等の車両に搭載される電源装置は、車両の大きさやモーターの出力により、出力電圧を最適設計する必要がある。このため、電源装置は、用途により内蔵する電源モジュールの個数が変化する。
電池セルを多く使用して出力電流や電圧を高めた電源装置においては、電池セルの発熱量が大きくなる。特に多数の電池セルを使用する電源装置においては、電池セルを効果的に冷却することが重要となる。このため従来は、電池セルを冷却する冷却空気を電池セルに流入させるための空気ダクトを電源モジュールに隣接させている。例えば特許文献1に示す電源装置においては、図32の分解斜視図に示すような電源モジュールを積層し、図33の垂直断面図に示すように電源モジュール間に空気ダクトを配置して、冷却空気を流すことによって電池セルを冷却している。空気ダクトは、冷却空気を電源モジュールに供給する流路として吸気ダクトと排気ダクトを備えており、電源モジュールは、吸気ダクトに面して、冷却空気を流入させる流入口と、排気ダクトに面して、流入した空気で熱交換により冷却した後これを排気するための排気口を開口している。
特開2004−031248号公報
しかしながら、近年の電源大容量化の要求に伴い、大電流を流すため多くの電池を使用するなど電池の発熱量が増加する傾向にあるため、空気ダクトで冷却空気を流す構造のみでは十分な冷却性能を維持できないことがある。一般に電池セルはホルダに保持された状態で冷却空気を送出し、空気との熱交換により冷却する構成を採用するが、ホルダは熱伝導の悪いプラスチックなどの部材で構成されており、放熱板などの放熱のための特別な部材を備えていない。したがってこのような冷却空気のみに依存した冷却構造では、使用条件によっては冷却性能が不十分になることがある。冷却が不十分な状態となると、電池セルの劣化を早めることとなり電源装置の信頼性が低下する。また空気ダクトを設けて冷却空気を流しても、必ずしもすべての電池セルが等しく冷却できるものでなく、冷却ダクトと電池セルの位置関係によっては冷却されやすい電池セル、冷却されにくい電池セルが存在し、冷却性能の不均一が生じることがあった。この結果、電池セル間の特性にばらつきが生じ、特定の電池セルに負荷がかかる等所期の制御が実現できなくなるおそれがあった。さらに電池セルに冷却空気を流すためには、電池セルの周囲に空気の流路を確保する必要があり、流路のスペースを確保する必要があるため装置の小型化の妨げになるといった問題もあった。
本発明は、このような問題点を解決することを目的に開発されたもので、本発明の主な目的は、電源装置に内蔵される各電池セルの効果的な放熱あるいは均熱を図り、信頼性、安全性を高めた電源装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の電源装置は、一以上の単電池を直線状に接続した電池セルを略平行に複数本並べ、かつこれらの電池セルを直列または並列に接続した電源モジュールをホルダに内蔵する。この電源装置では、ホルダは、その内面に電池セルを位置決めした状態で保持するための位置決嵌着部と、位置決嵌着部と略平行に離間させて、位置決嵌着部に保持される電池セルの熱をホルダを介して熱伝導させるための放熱板を備えている。また放熱板は、少なくとも一部をホルダの外部に表出させる表出部を備えている。この構成により、ホルダに保持される電池セルの発熱を放熱板で吸収して放熱できる。特に放熱板の一部を表出部として外部に表出することで、表出部で外部と熱交換して効果的にホルダに内蔵される電池セルを放熱できる。
さらにまた本発明の他の電源装置は、放熱板の表出部を、電池セルを冷却するための冷却空気を通過させる空気ダクトに向かって突出させる放熱フィンとしている。この構成により、空気ダクトに向かって突出させた放熱フィンで冷却空気との熱交換を行わせ、効果的に放熱板で電池セルの冷却を促進できる。
さらにまた本発明の他の電源装置は、放熱板が、ホルダで保持される電池セル毎に個別に設けられると共に、各放熱板は非接触状態に離間されて配置される。この構成により、放熱板同士を分離して各電池セルを個別に冷却でき、他の電池セルの発熱による影響を低減できる。
さらにまた本発明の他の電源装置は、放熱板が、ホルダで保持される複数の電池セルに設けられると共に、各放熱板が熱伝導状態で接続されている。この構成により、放熱板の温度を電池セルによらずほぼ一定に維持し、電池セルの冷却能力の均熱化が図られ、冷却能力の差による電池セル間のばらつきが抑止される。
さらにまた本発明の他の電源装置は、単電池が円筒形であり、電池セルを保持する位置決嵌着部が単電池の円筒形に沿った中空円筒形であり、放熱板が位置決嵌着部の円筒状曲面に沿うような円筒状曲面に形成されている。この構成によって、電池セルの外形に沿うように放熱板を近接して配置できるので、放熱板が効率よく電池セルの発熱を吸収して放熱効果を高めることができる。
さらにまた本発明の他の電源装置は、一以上の単電池を直線状に接続した電池セルを略平行に複数本並べ、かつこれらの電池セルを直列または並列に接続した電源モジュールをホルダに内蔵する。この電源装置は、ホルダが、その内面に電池セルを位置決めした状態で保持するための位置決嵌着部と、位置決嵌着部と略平行に離間させて、位置決嵌着部に保持される電池セルの熱をホルダを介して熱伝導させるための放熱板を備えている。放熱板は、ホルダで保持される複数の電池セルに設けられると共に、各放熱板が熱伝導状態で接続されている。この構成により、放熱板の温度を電池セルによらずほぼ一定に維持し、電池セルの冷却能力の均熱化が図られ、冷却能力の差による電池セル間のばらつきが防止される。
さらにまた本発明の他の電源装置は、電源モジュールを内蔵したホルダを固定するベースフレームを備えており、ホルダの一面には、ベースフレームに固定するためのフレーム連結部材を設けている。またフレーム連結部材は放熱板と熱伝導状態で接続されており、かつベースフレームは熱伝導性部材で構成され、放熱板とベースフレームとがフレーム連結部材を介して熱的に接続されている。この構成によって、電池セルで発生された熱が放熱板からフレーム連結部材を介してベースフレームに伝達され、効果的に放熱できる。
さらにまた本発明の他の電源装置は、フレーム連結部材は放熱板と一体に成型されている。この構成によって、フレーム連結部材を安価かつ容易に構成でき、放熱性を改善できる。
さらにまた本発明の他の電源装置は、ホルダが、複数のカセットホルダを連結することで構成され、各カセットホルダは他のカセットホルダ同士と連結するためのモジュール連結部材を一面に備えており、モジュール連結部材でカセットホルダ同士を連結して複数の電源モジュールを連結した電源モジュールブロックを構成してなると共に、各カセットホルダがフレーム連結部材を備えている。この構成によって、カセットホルダ同士を連結することで様々な電池セル数のホルダを容易に構成でき、電源出力などに応じたケーシングを専用に設計することなく、同一タイプの電源モジュールを組み合わせて電池セル数を増減でき、要求される電源出力やサイズに対応できる。
さらにまた本発明の他の電源装置は、放熱板はカセットホルダにインサート成型により固定されている。この構成により、放熱板をカセットホルダに一体的に構成でき、カセットホルダ構築後に放熱板を固定する手間を省き生産工程の省力化が図られる。
さらにまた本発明の他の電源装置は、放熱板が位置決嵌着部に保持される電池セルと絶縁されている。この構成によって、金属板などの導電性部材で構成される放熱板が電池セルと導通する事態が回避され、電源装置の安全性が確保される。
さらにまた本発明の他の電源装置は、カセットホルダは絶縁性の樹脂により形成される。この構成によって、カセットホルダの絶縁性及び強度を維持し、かつ安価に成型できる利点が得られる。
以上のように、本発明の電源装置によれば、簡単な構成により電池セルの効果的な放熱及び/又は均熱化が実現できる。それは本発明が、電池セルに沿って離間する位置に放熱板を配置し、放熱板を外部に表出させて熱結合を行い、外部との熱交換を促進する構成を採用しているからである。これによってホルダ内で保持される電池セルを直接冷却空気などに晒さなくとも冷却が行える。このため、電池セルに冷却空気を供給する経路を設ける必要がないため、その分のスペースを節約でき装置全体の小型化にも寄与し得る。また放熱板同士を熱結合することで均熱化も図ることができ、電池セルの放熱性能の差に起因する特性のばらつきを抑制できる。このことは、電池の信頼性向上に大きく貢献し、部分的な劣化が進んで放熱が急速に進むような事態を回避して、長期にわたって安定した電源装置の使用が実現される。また電池セル数が多くなっても、各電池セル毎に配置された放熱板で均熱化、放熱が行えるため、大電流用の大型電源にも好適に対応できる。このように本発明は、比較的簡単な構成により電源装置に内蔵される電池セルの放熱、均熱を確実に行って、品質及び信頼性向上に寄与する。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電源装置を例示するものであって、本発明は電源装置を以下のものに特定しない。また特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
本発明の一実施の形態に係る電源装置を構成する電源モジュールの一例を、図1〜図4に示す。図1は電源モジュール100の斜視図、図2は平面図、図3は側面図、図4は正面図をそれぞれ示している。これらの図に示す電源モジュール100は、カセットホルダ10内に計8本の単電池1を保持している。単電池1は、一以上を長手方向に直線状に配置して電池セル2を構成する。単電池1同士の端面で正極、負極を電気接続状態に固定することで、これらの単電池1同士を直列に接続できる。また単電池1同士の接続部分にOリング3(後述)を設けて保護している。このようにして構成された電池セル2を平行に複数本並べ、互いに電気接続して電源モジュール100を構成する。図1の例では、単電池2本からなる電池セル2を4本横並びに配列しているが、単電池1や電池セル2の数は一個の電源モジュール100に要求される出力やサイズなどに応じて適宜設定される。例えば単電池や電池セルを一とすることも可能である。なお本実施の形態ではすべての単電池を直列に接続したが、並列接続や直列、並列接続の組み合わせも可能であることはいうまでもない。
(単電池1)
単電池1は充電可能な二次電池、あるいは静電容量の大きなスーパーキャパシタを使用する。このような二次電池としては、ニッケル−水素電池やリチウムイオン電池、ニッケル−カドミウム電池等が使用できる。リチウムイオン電池は充電容量が大きいので、大電流を必要とする用途の場合でも容量不足を招かずに十分な使用時間を確保できる。またこれらの図においては、単電池1を円筒型電池としている。ただ、単電池には角型電池や薄型電池も使用できる。
(カセットホルダ10)
カセットホルダ10は、内部で保持する電池セル2を振動や外力などから保護できるよう、十分な強度とする。例えばプラスチックやセラミック、金属等の成形材で構成され、絶縁性を備えるプラスチックが好適に使用できる。プラスチックを使用する場合は、グラスファイバ入りなどガラス繊維を混入させて強度を増すタイプが好ましい。一方金属製のカセットホルダを使用する場合は、電池セル2のショートなどを防止するための絶縁構造を設ける。金属製のカセットホルダは熱伝導性に優れ、放熱特性を改善できる。
(カセットホルダの嵌合構造)
カセットホルダ10は、一対のカバー片12に分割されており、上下のカバー片12A、12Bを連結することで電池セル2を両面から保持する。このようなカセットホルダ10の嵌合構造を図5及び図6に示す。図5は上カバー片12Aを開放して電池セル2をセットした状態の斜視図、図6はその正面図をそれぞれ示している。上カバー片12Aおよび下カバー片12Bは、単電池1を複数直線状に接続した電池セル2を収納できるよう、それぞれ同じ形状に形成されている。具体的には、カセットホルダ10は内面に、電池セル2を位置決めした状態で保持する位置決嵌着部14を形成している。位置決嵌着部14は電池セル2の側面を挟着して保持する。位置決嵌着部14は、保持する単電池1の形状に応じて、これを確実に保持できる大きさ及び形状に設計される。図の例では円筒形の電池の周囲を保持するように、これとほぼ同じ大きさの円弧状の嵌着溝としている。上カバー片12Aおよび下カバー片12Bで電池セル2を上下から保持するよう、嵌着溝は半円状としている。
さらに、隣接する円筒形の電池セル2同士の間には嵌合突起16を突出させる。嵌合突起16によって隣接する電池セル2を区画し、これらを絶縁すると共に確実に保持し、外部の衝撃から電池セル2を保護する。
なお位置決嵌着部14は必ずしも電池セル2の側面と完全に一致させる必要はなく、若干の隙間を設けて電池セル2を冷却する冷却隙間を設けることが好ましい。本実施の形態では、位置決嵌着部14の一部を突出させて支持凸部18とし、支持凸部18で電池セル2の側面に部分的に押圧するように保持して、非接触の部分を冷却隙間とすることでカセットホルダ10内の電池セル2を効果的に冷却できる。支持凸部18は、好ましくは電池セル2の円周上を4箇所でほぼ均等に保持する。
さらに、上下のカバー片12A、12Bに分割されたカセットホルダ10は、カバー片12の開放及び閉塞を容易に行うための折曲連結部20及び連結フック22を設けている。折曲連結部20は、ほぼ同じ形状に形成された上下のカバー片12A、12Bの一端辺においてこれらを連結し、ピボット状に開閉させる。折曲連結部20は、上下のカバー片12A、12Bをヒンジ等の可動片で予め回動可動に固定する構成や、上下のカバー片12A、12Bを一体成型して、折曲部分の肉厚を薄く構成して折曲可能とした構成などが利用できる。特にカセットホルダ10をプラスチックで一体成型する構成では、一の金型で上下のカバー片12A、12Bおよび折曲連結部20を成型できるので好ましい。
一方、連結フック22は折曲連結部20と反対側の端辺に設けられ、上下のカバー片12A、12Bを閉塞した状態で固定する。連結フック22は、好ましくはネジなどの別部材を使用することなく上下のカバー片12A、12Bを連結できる嵌合構造とする。例えば図5及び図6に示すように、一方のカバー片12にカギ状に先端に引掛片を設け、他方のカバー片12にはこの引掛片と対応する位置に引掛片が係止されるよう段差部を設ける。このような引掛片、段差部といった嵌合構造は、カバー片12に一体成型で構成することが好ましい。
このように、片開き式に上下のカバー片12A、12Bを予め連結しておくと共に、連結フック22で容易に固定できる構造のカセットホルダ10は、組み立て作業を容易に行える利点がある。特にツメによる嵌め込み構造であれば、従来のように上ケースと下ケースに分離された別部材のカセットホルダをネジ止めなどにより固定する構造に比較して、ネジ等の固定部材やネジ止め作業、特別な工具などが不要で、極めて容易に電池セルをカセットホルダに内蔵して固定でき、コスト及び作業性の面で好ましい。ただ、カセットホルダの固定は嵌合構造に限られず、熱溶着や超音波溶着、接着材、ネジの螺合などによる固定方法も採用できる。ネジを使用する方法であっても、上下のカバー片12A、12Bの片側は既に固定されているため、螺合作業が半分で済む利点が得られる。
(Oリング3)
電池セル2の表面には、所定の間隔で複数のOリング3を装着している。Oリング3は、好ましくは電池セル2の中間部分の複数部分に設けられる。Oリング3は、弾性変形できるゴム状弾性体で、断面図形状を円形とし、あるいは図示しないが断面形状を楕円形又は多角形としている。Oリング3は、図5および図6に示すように、電池セル2とカセットホルダ10の位置決嵌着部14との間に挟着されて、電池セル2を位置決嵌着部14に装着する。Oリング3は、その内径を電池セル2の外径よりもわずかに小さく、あるいは等しくして、電池セル2の表面に隙間なく密着される。Oリング3は緩衝作用がある。このため、電池セル2とカセットホルダ10との間に挟着されるOリング3は、自動車等の車両に固定されるカセットホルダ10の振動を吸収して、電池セル2の振動を少なくできる。また、電池セル2をカセットホルダ10に隙間なくしっかりと固定する。
Oリング3のある電池セル2は、簡単な構造でカセットホルダ10にしっかりと保持できる状態で装着される。それは、図5および図6に示すように、カセットホルダ10に位置決嵌着部14として設けている嵌着溝に入れて、しっかりと固定できるからである。従来のホルダーケースは、電源モジュールを固定するために、複雑な取り付け構造としている。この取り付け構造は、ホルダーケースの内面に、電源モジュールと直交する方向にリブを設けている。リブは、電源モジュールを嵌着するアーチ状の凹部を設けている。さらに、このアーチ状の凹部に沿って、弾性ゴムを固定する複雑な固定構造としている。これに対して、Oリング3のある電池セル2は、位置決嵌着部14を簡単な構造の溝状に成形して、Oリング3を介して電池セル2をしっかりと振動しないように保持して固定できる。
(電源モジュール同士の連結)
以上のようにして構成された電源モジュールを複数連結して、電源モジュールブロックを構成する。図7〜図12に、電源モジュール100で構成された電源モジュールブロック1000を示す。図7はベースフレーム28上に載置された電源モジュールブロック1000を示す斜視図、図8はその平面図、図9は、締結バンド44で電源モジュールブロック1000を固定した状態を示す斜視図、図10はその正面図、図11はその側面図、図12は締結バンド44を固定する部分の断面図を、それぞれ示している。これらの図に示す電源モジュールブロック1000は、カセットホルダをカートリッジ式に複数連結していくことで、電源出力に必要な本数の単電池1や電池セル2を使用した電源装置を構築する。図7の例では、複数の電源モジュール100を連結した小ブロック1000aを複数並べて電源モジュールブロック1000を構成している。また、ベースフレーム28の端部及び中央部分を断面凸型の凸条42に突出させ、この凸条42同士の上に跨るようにカセットホルダ10を連結する。図9の例では、ベースフレーム28上に2列の電源モジュール100を配置するように、中央部分の凸条42Aを左右の電源モジュール100共通の台座とし、左右の凸条42Bよりも大きく構成している。電源モジュール100とベースフレーム28の固定は、カセットホルダ10毎に設けたカギ状の突起を、突起を係止するためベースフレーム28に形成されたスリットに挿入するなどの構成が利用できる。
(モジュール連結部材32)
カセットホルダは同じ構造に形成され、一方の面と他方の面とが連結できるモジュール連結部材32を備えている。これによって、同一種類のカセットホルダを使用して、同じ姿勢で隣接する面同士を連結して図7のように電源装置を構成できる。このようなカセットホルダ同士を連結するモジュール連結部材32の一例を図13及び図14に示す。図13はモジュール連結部材32によるカセットホルダ10C同士の連結状態を示す斜視図であり、図14はその側面図をそれぞれ示している。これらの図に示すカセットホルダ10Cは、面積の広い面にモジュール連結部材32を設け、電池セル2が直立姿勢のまま連結後も、異なる電源モジュールの電池セル2同士が互いに平行状態を維持している。すなわち、電源モジュール内で電池セル2が平行に並ぶ方向と垂直に、電源モジュールを継ぎ足す構成としている。
(嵌着凸部33、嵌着凹部34)
図13及び図14の例では、電源モジュール300のカセットホルダ10Cの一面にモジュール連結部材32として嵌着凸部33と嵌着凹部34を設け、これらの嵌着によってカセットホルダ10C同士を連結する。図の例ではカセットホルダ10Cの一方の面(図13において前面、図14において左面)に嵌着凹部34を上部、嵌着凸部33を下部に設け、さらに反対側の面(図13において背面、図14において右面)には、上部には嵌着凸部33、下部には嵌着凹部34を、前面の嵌着凸部33、嵌着凹部34とそれぞれ対応する位置に設けている。図に示す嵌着凸部33は円筒状に形成された突起であり、これに対応して嵌着凹部34は円形の穴に形成され、嵌着凸部33を挿入して保持できる大きさに形成される。これら嵌着凸部33および嵌着凹部34は、好適にはカセットホルダ10Cと一体成型により形成される。カセットホルダ10Cをプラスチックなどの弾性部材で構成することにより、弾性変形して嵌着凸部33が嵌着凹部34に挿入されて嵌着される。この例では嵌着凹部34と嵌着凸部33をそれぞれ上下に分けて配置しているが、左右に分けて配置することもできる。あるいは、カセットホルダの前面に嵌着凸部を、背面に嵌着凹部を形成してもよい。さらに嵌着凸部33の形状は円形に限られず、正方形や長方形、三角形などの多角形状や十字状などとしてもよく、また先端に鍔やカギ条、フック等を設けて、嵌着凹部に挿入された状態で外れないように構成することもできる。またこの例では、嵌着凸部33、嵌着凹部34の配置を上下に対称な位置として、前後を反転させた状態でも連結可能としている。ただ、これらを上下非対称に配置して反転した状態では連結できないように構成することもできる。例えば電源モジュールの電極端子が上下いずれかの面に位置している場合に、カセットホルダの前後を反転させても連結可能とすると、電源モジュールの連結後に電極端子面が片面に揃わなくなるおそれがある。このような場合に前後を反転させるとカセットホルダ同士が連結できないように構成することで、このような逆向きの連結を阻止できる。
(電源モジュールブロック1000)
以上のようにして、カセットホルダ同士をカードリッジ式に連結していくことで、複数の電源モジュールを連結した電源モジュールブロック1000が形成される。特に電源モジュールの連結数を加減することで、電源モジュールブロック1000に含まれる電池セル数(単電池数)を容易に変更できる利点が得られる。また電源モジュールブロック1000は、ベースフレーム28上に固定される。ベースフレーム28は電源モジュールブロック1000を載置する基台であり、十分な強度を備える金属又はプラスチック製とする。金属製のベースフレーム28は熱伝導性に優れ、放熱性がよい。一方プラスチック製のベースフレーム28は絶縁性が高く、電池のショートなどを阻止できる。
また電源モジュール同士の連結をさらに強固にするために、図9〜図12に示すように電源モジュールブロック1000に締結バンド44を締結する。図9は締結バンド44で電源モジュールブロック1000を締結した状態の斜視図を、図10はこの正面図、図11はこの側面図、さらに図12は締結バンド44のずれを防止するバンドガイド46を設けた部分を示す拡大断面図を、それぞれ示している。これらの図に示す締結バンド44は、金属製または樹脂製のバンドであり、好適にはチューブバンドが利用できる。また金属製のバンドはネジで締結力を調整可能なタイプが使用できる。この例では締結バンド44を2つ、上下に離間して電源モジュールブロック1000を締結している。もちろん、締結バンド44の位置及び数は適宜調整でき、1あるいは3以上とすることもできる。
さらに、締結バンド44で電源モジュールブロック1000を締結後に、ずれたり脱離したりしないよう、これを定位置に保持する保持機構を設ける。この例では、図12に示すように電源モジュールのカセットホルダ10に、締結バンド44を保持するバンドガイド46を設けている。バンドガイド46はカセットホルダ10の表面で締結バンド44を位置させる部分に形成された段差であり、締結バンド44の幅とほぼ同じか若干大きい大きさに形成される。バンドガイド46はカセットホルダ10の成型時に形成される。また、バンドガイド46の開口部分に締結バンド44を挿入し易いよう、開口部の端縁を面取りしたり斜面させてもよい。以上のようにして、電源モジュールブロック1000は締結バンド44によって確実に連結状態を維持される。
以上は、電源モジュールをブロック化して連結する構造について説明したが、本発明はこの構成に限られず、電源モジュールブロックを一のホルダで構成して電池セルを収納することもできる。
(放熱板80)
次に、電池セルの放熱を促進する放熱板をカセットホルダに設ける例について、図15〜図18に基づき説明する。図15は放熱板80をカセットホルダ10Hの片面に固定する状態を示す分解斜視図であり、図16は放熱板80を固定したカセットホルダ10Hの面を示す斜視図であり、図17は両面に放熱板80を固定したカセットホルダ10Hを上面から見た水平断面図であり、図18はこのカセットホルダ10Hを側面から見た垂直断面図である。これらの図に示すカセットホルダ10Hは、電池セル2を保持する位置決嵌着部14の裏面、すなわちカセットホルダ10Hの表面側に放熱板80を固定している。この例では円筒形の電池セル2を保持するために位置決嵌着部14を半円状の嵌着溝としているため、放熱板80もこれに応じた円弧状に形成している。これによって放熱板80は、電池セル2の表面に沿って位置決嵌着部14を介して離間して配置される。カセットホルダ10Hは好ましくは樹脂などの絶縁性部材で構成されているため、位置決嵌着部14で放熱板80と電池セル2が絶縁され短絡などから保護される。
放熱板80は、熱伝導性に優れた材質で形成され、好ましくはアルミニウムや銅、スズなどの金属板とする。放熱板80は図17及び図18に示すようにカセットホルダ10Hの両面に固定され、前後から電池セル2を囲むように配置される。これによって電池セル2の両面から放熱が促進され、電池セル2の横断面方向において均一に冷却を図ることができる。なお図15及び図16の例では、説明のためカセットホルダ10Hの片面のみに放熱板を固定した状態を示している。ただ、放熱板80は電池セルの周囲の全面に沿って設ける必要はなく、十分な放熱が得られる場合は図15及び図16に示すように片面のみに放熱板を設ける構成とすることもできる。
図15及び図16のカセットホルダ10Hは、2本の単電池を直線状に連結した電池セル2を保持する位置決嵌着部14の中間に、カセットホルダ10Hを補強するリブ15を設けている。リブ15の内面では、上述の通り単電池の連結界面で位置決嵌着部14を突出させた支持凸部18(図15及び図16に図示せず)を設けている。このリブ15を避けて電池セル2を放熱するため、図15の例では2枚の放熱板80を電池セル2の長手方向に配置し、各単電池毎に放熱板80が位置するように構成している。またこの例では各電池セル2毎に同様に放熱板80を単電池毎に配置しているため、図15では2本の単電池を連結した電池セル2を4本並行に並べている結果、2×4=8枚の放熱板80を使用している。ただ、放熱板を単電池毎に分割することなく電池セル全体を放熱できるよう、電池セルの長さに応じた放熱板80をリブ15の内部に、電池セルとの絶縁状態を保ったまま固定することもできる。これによって放熱板80の使用枚数を減らし、製造工程を簡素化できる。さらに、後述するように電池セル全体で均一に放熱を行える利点もある。
(放熱フィン82)
さらに放熱板80は、カセットホルダ10Hから放熱フィン82を突出させている。図の例では、カセットホルダ10Hの上下端面で、一の放熱板80から放熱フィン82を桶状に2箇所突出させている。放熱フィン82は、好ましくは放熱板80と一体に成型される。これによって放熱フィン82の形成を容易に行える。また放熱板80と同一平面から放熱フィン82が延長されることで、放熱フィン82が電池セル2と離間された位置を維持でき、放熱フィン82と電池セル2の導通を回避できる。ただ、放熱フィンを放熱板と別部材として、熱伝導状態に結合することもできる。
放熱フィン82は、カセットホルダ10Hの端面で空気ダクト50に向かって突出させることにより、空気ダクト50を流れる冷却空気Cが放熱フィン82に触れて熱交換が行われ、放熱板80の冷却が行える。図16に示すカセットホルダ10Hでは、図18の縦断面図に示すように上下に突出した放熱フィン82がカセットホルダ10Hの上下に設けられた空気ダクト50を流れる冷却空気Cに晒され、熱交換によって放熱板80の温度を下げ電池セル2を冷却する。またこの例では一枚の放熱板80に放熱フィン82を2枚突出させることにより、一方が何らかの理由で破損などが生じても冷却を維持できる。ただ、放熱フィンは1枚としてもよく、また3箇所以上表出させることもできることはいうまでもない。
この放熱フィン82を有する放熱板80は、カセットホルダ10Hとインサート成型、アウトサート成型、接着剤による接着、熱圧着などの手段により固定される。特にインサート成型によってカセットホルダ10Hの成型と同時に放熱板80を一体的に固定でき、放熱板80の固定作業を省力化して安価に構成できる。また上述の通り、カセットホルダは絶縁性に優れた樹脂製とする。絶縁性に優れた部材は一般に熱伝導性に劣り、放熱性が悪いという欠点があるが、本実施の形態においては別部材の放熱板80を付加することで、カセットホルダ10Hの放熱性を改善している。
(空気ダクト50)
放熱板80は、放熱フィン82を冷却空気Cの流路である空気ダクト50に向かって突出させている。空気ダクト50は、好ましくはカセットホルダ10Hの上下に配置する。図19に、図18のカセットホルダ10Hを連結した電源モジュールブロック1000に空気ダクト50を配置した状態の断面図を示す。この図に示すように、電源モジュールブロック1000内に直立姿勢で保持される各電池セル2の長手方向に沿って配置される2枚の放熱板80は、それぞれカセットホルダ10Hの端面で空気ダクト50と熱的に連結されている。これによって電池セル2の発熱は、図中破線の矢印で示すように両側に配置された各々の放熱板80に伝えられ、放熱板80から放熱フィン82に伝導されて空気ダクト50を流れる冷却空気Cと熱交換される。この構成によって、電池セル2の周囲を簡素化して装置を小型化できる。従来の電源装置では、電池セルに放熱板を配置せず、代わりに電池セルの周囲に直接冷却空気を流すことで空気との熱交換により電池セルを冷却していた。この構成では、電池セルの周囲に冷却空気を流すための空気流路を形成する必要があり、このため電池セル同士の間に空間を設けていた。この空間のため電池セル同士を近接して配置することができず、スペース効率を悪くしていた。特に円筒形の電池を使用する場合は、角形電池に比較してスペース効率が悪くなるため、より小型化に適した構成が求められていた。そこで本実施の形態では、空間を占有する隙間に代わって放熱板80をカセットホルダ10Hの表面に固定することにより、熱伝導を利用して放熱する構成を採用した。放熱板80は空気流路よりも薄く形成できるため、隣接する電池セル2間、すなわちカセットホルダ10H間の間隔をより狭くでき、電源モジュールブロックの小型化が図られる。特に多くの電池セルを使用する大電流用の電源装置ほど、スペース節約の効果は大きい。また電池セル2と放熱板80は、カセットホルダ10Hの位置決嵌着部14で絶縁されているため、放熱板80による短絡も防止される。
(冷却媒体)
空気ダクト50には、冷却空気C等の冷媒を流す。冷却空気Cは、電源装置の外部に開口された吸気口(図示せず)から送風ファン84で吸入された外気が好適に使用できる。また熱交換された空気は、排気口から外部に放出される。このように送風ファン84で強制的に外気を空気ダクト50に流すことにより、空気ダクト50に面するよう配置された放熱板80の放熱フィン82を冷却して熱交換を促進する。送風ファン84は吸気口側、排気口側のいずれに設けてもよい。また空気ダクト50の距離や要求される空気の流量に応じて、送風ファン84の使用数や外径、回転数等を適宜調整する。また冷媒は冷却空気のみならず、冷媒ガスや炭素粉等の粉体、冷却水やオイル等の流体といった既知の冷媒が使用でき、また使用する冷媒に応じて空気ダクト50は配管などに適宜変更される。またヒートパイプやペルチェ素子等の熱電冷却加熱素子を利用することもできる。このような既知の熱交換機構が放熱フィン82の冷却に適宜利用できる。
(均熱化)
上記の例では、放熱板80は図17の横断面図に示すように、電池セル2毎に分離した個別としている。これによって他の電池セルの放熱に影響されることなく、独立して電池セルを個別に冷却できる。ただ、放熱板を熱伝導状態に連結することで、均熱効果を得ることもできる。図20〜図23に本発明の他の実施の形態として、放熱板80Bを相互に連結した例を示す。図20はこの放熱板80Bをカセットホルダ10Iの片面に固定する状態を示す分解斜視図、図21は図20の放熱板80Bを固定したカセットホルダ10Iの片面を示す斜視図、図22は両面に放熱板80Bを固定したカセットホルダ10Iを上面から見た水平断面図、図23はこのカセットホルダ10Iを側面から見た垂直断面図を、それぞれ示している。これらの図に示す放熱板80Bは、連続した一体の放熱板80Bであり、放熱よりも均熱を目的としている。なお本明細書において、放熱板とはその名称に限らず、放熱作用もしくは熱を均一にしようとする均熱作用の少なくともいずれかを果たす部材の意味で使用する。図20の放熱板(均熱板)80Bは、図15の例と同様の材質、形状に構成できる。ただ、個別の放熱板でなく、一枚の金属板を電池セル2の形状に近い形状、すなわち位置決嵌着部14の裏側に沿うように円弧状に形成し、かつこれらを相互に連結した波状に成型している。この均熱板80Bは、プレス加工などで安価に成型できる。ただ、電池セル毎、あるいは単電池毎に個別に構成された均熱板を熱伝導の良い部材で連結することでも同様の均熱効果が得られる。さらに図の例では一のカセットホルダ内での電池セル2の均熱を図っているが、隣接するカセットホルダ同士で均熱板を熱伝導可能に連結することで、異なるカセットホルダ間でも電池セルの均熱効果を得ることができる。例えば、カセットホルダ同士を連結するモジュール連結部材の連結面で、対向する均熱板を熱伝導状態に接触させることによって、カセットホルダ間を跨った均熱効果が得られる。
このような均熱効果によって電池セル間の温度差が低減される結果、冷却性能の差に起因する電池特性のばらつきが解消される。すなわち、放熱が不十分な電池セルが一部でも存在すると、この部分で過大な負荷がかかって劣化が進み、一部において発熱量が大きくなるといった事態が生じうる。このような事態を回避するためには、放熱性の向上はもちろんのこと、電池セル間での劣化の差が大きく開かないような構成が必要となる。そこで本実施の形態では電池セル間での冷却性能を一定に抑えることで、冷却力の差に起因する特性のばらつきを抑えている。このことは特に大電流を使用する電源装置では重要となる。すなわち、使用する電池セル数が多くなる程、電池セルの位置関係による冷却性能の差や単電池の個体差に起因する初期特性のばらつきといった要因のため、電池特性のばらつきが生じやすくなる。このような状況を考慮して、均熱化作用により電池セルの温度差を抑え、少なくとも温度に起因する性能劣化によって特性ばらつきが拡大する事態を回避することができ、全体として電源装置の信頼性向上に繋がる。
(放熱および均熱作用)
さらに、上記の放熱及び均熱作用を組み合わせることもできる。本発明の他の実施の形態として、図24〜図27に放熱性と均熱性を同時に実現する放熱板80Cの例を示す。図24は、放熱板80Cをカセットホルダ10Jの片面に固定する状態を示す分解斜視図を、図25は放熱板80Cを固定したカセットホルダ10Jの片面を示す斜視図を、図26は両面に放熱板80Cを固定したカセットホルダ10Jを上方から見た水平断面図を、図27はこのカセットホルダ10Jを側面から見た垂直断面図を、それぞれ示している。これらの図に示す放熱板80Cは、図15に示した放熱フィン82を備える複数の放熱板80Cを一体として、カセットホルダ10Jの側面に一枚の放熱板80Cを固定している。この放熱板80Cも、一枚の金属板をプレス成形や打ち抜き成型などにより容易に形成できる。また材質や形状は上述した放熱板80Cと同様の構成が採用できる。この放熱板80Cでは、上下に突出させた放熱フィン82が一枚の放熱板80Cと一体となっているので、カセットホルダ10Jの端面から上下の空気ダクト50に面させて、熱を上下に分散させて効率よく熱交換が行える。
(空気ダクト50)
放熱フィン82は、上記図15の例と同様に空気ダクト50に面して突出させ、空気ダクト50を流れる冷却空気Cで熱交換される。図28に、図27のカセットホルダ10Jを連結した電源モジュールブロック1000の上下に空気ダクト50を配置した断面図を示す。図28中破線の矢印で示すように、電池セル2の発熱は両側に隣接する放熱板80Cに伝えられると、上下に向かって熱伝導されて、放熱フィン82から空気ダクト50を流れる冷却空気Cと熱交換されて放出される。空気ダクト50は図19と同様に、送風ファン84によって冷却空気Cを強制的に流している。このように放熱板80Cによって電池セル2の均熱と放熱の効果を同時に得ることができる。
なお上記の例では、空気ダクト50を電源モジュールブロック1000の上下に設けているが、いずれか一方にのみ設ける構成とすることもできる。例えば電源モジュールブロック1000の下面にのみ空気ダクト50を設け、各カセットホルダ10Jは下方の空気ダクト50に放熱フィン82を突出させる。これによって空気ダクト50の数を減らして構成の簡素化および配置スペースの節約による更なる小型化が図られる。また下方に空気ダクト50を配置して熱を上方から下方に伝導させる構成では、熱の対流による温度勾配を低減できるという副次的な効果も得られる。すなわち、垂直姿勢の電池セル2および放熱板80は、熱の対流によって上方に向かう程熱くなる傾向にあり、このため上下方向に熱の不均一が生じるおそれがあるが、電源モジュールブロックの下方に空気ダクトを配置して熱を下方に案内する構成とすることで、このような熱の対流による不均一さを相殺でき、上下方向での電池セル温度の差を解消して冷却性能のばらつきを阻止できる。
(放熱板とベースフレームとの熱結合)
また放熱板は、ベースフレームと熱結合して放熱させる構成とすることもできる。図29〜図31に、さらに本発明の他の実施の形態としてカセットホルダ10Kの熱をベースフレーム28に熱伝導させる構成を示す。図29はフレーム連結部材38を備えるカセットホルダ10Kの構成を示す分解斜視図であり、図30は図29の放熱板80Dを固定したカセットホルダ10Kの斜視図、図31は図30のカセットホルダ10Kをベースフレーム28に固定する状態の正面図を、それぞれ示している。これらの図に示す放熱板80Dは、カセットホルダ10Kの位置決嵌着部14の裏側すなわちカセットホルダ10Kの表面で、前面から嵌着溝を覆う放熱片80aと、背面から嵌着溝を覆う放熱片80bと、これらを連結する連結板80cとで構成される。また連結板80cの下端には、ベースフレーム28と固定するためのフレーム連結部材38が形成される。フレーム連結部材38は、連結板80cの下端に突出させたカギ状に形成されている。この放熱板80Dは、これら2枚の放熱片80a、bと連結板80cを一体に成型している。上記の放熱板80Dと同様、この放熱板80Dも好ましくは熱伝導性の良い金属板などで構成される。また上述のように放熱板80Dをインサート成型やアウトサート成型などによりカセットホルダ10Kと固定すると、図30のようにカセットホルダ10Kの下端で片側にフレーム連結部材38が突出される。この構成により、電池セル2の発熱は放熱板80Dに伝えられた後、フレーム連結部材38を介してベースフレーム28に伝導され、ベースフレーム28で放熱される。ベースフレーム28は周囲に放熱部材(図示せず)を設けたり、冷却用ファン(図示せず)で強制冷却するなどの方法により放熱する。またこのように下方に向かって熱を逃がす構成は、上述の通り熱の対流による温度勾配を相殺して上下方向での熱分布の不均一を解消できる副次的効果も得られる。
なお、この例ではフレーム連結部材38をカセットホルダ10Kの片側にのみ突出させる構成としているが、片方のみならずカセットホルダの両側にフレーム連結部材を設けることもできることはいうまでもない。両側にフレーム連結部材を設けることにより、カセットホルダとベースフレームとの固定がより安定する。また、両側のフレーム連結部材を共に放熱板と熱結合することで、一のカセットホルダが2箇所でベースフレームと熱伝導し、放熱性も向上する。また図29に示すように、放熱板80Dもカセットホルダ10Kの片面のみならず、両面を覆うように2枚の放熱板80Dを垂直板で連結した構成としている。これによって電池セル2は片面のみならず両面から放熱板80Dで挟まれ、電池セル2の前後面から放熱されることにより電池セル2の断面方向においても均一な放熱が図られる。
(フレーム連結部材38)
カセットホルダ10Kとベースフレーム28との連結は、カセットホルダ10Kのフレーム連結部材38とベースフレーム28のホルダ連結部材40とによって行われる。図30に示すカセットホルダ10Kは、下面にフレーム連結部材38として断面三角形状に突出するカギ状の突起を突出させている。突起は上述の通り放熱板80Dと一体成型で形成することが望ましく、例えば弾性変形する金属板で放熱板80Dを構成し、カセットホルダ10Kに固定する。またベースフレーム28に設けられたホルダ連結部材40は、フレーム連結部材38と連結するためにカセットホルダ10Kの装着位置に形成され、これによってカセットホルダ10Kを位置決めしてベースフレーム28上に固定できる。この例では、ホルダ連結部材40として突起を挿入して係止するためのスリットを設けている。スリットはカギ状の突起よりも若干小さい幅に設計される。
特に図31の例では、ベースフレーム28の端部及び中央部分を断面凸型の凸条42に突出させ、この凸条42同士の上に跨るようにカセットホルダ10Kを連結する。これによって、カセットホルダ10Kの底面とベースフレーム28の底面との間に空間が形成され、この空間をカセットホルダ10K内の電池セル2を冷却する冷却空気を流すための空気ダクト50とすることができる。図31の正面図では、ベースフレーム28上に2列のカセットホルダ10Kを配置できるように、中央部分の凸条42Aを左右に配置されるカセットホルダ10Kの共通の台座とし、左右の凸条42Bよりも大きく構成している。そして中央部分の凸条42Aに、突起を係止するためのスリットを形成している。これによって、カセットホルダ10Kをベースフレーム28上に直立状態で載置するよう、下面の突起をベースフレーム28のスリットに当接し、カギ状の突起が弾性変形してスリットに挿入されると共に、挿入後はカギ状突起の戻り止め作用によってスリットから抜けないように係止される。
フレーム連結部材38およびホルダ連結部材40はこの構成に限られず、凹凸形状やレール等他の嵌合構造やネジ止め、接着材等が適宜採用できる。またこの例ではフレーム連結部材38をカセットホルダ10Kの一方の側面にのみ設けているが、カセットホルダの両側、あるいは任意の位置に複数設けることもでき、この場合はベースフレームにも対応する位置にそれぞれホルダ連結部材を設ける。カセットホルダの両側を固定することで、ベースフレームとの強固な連結が維持できる。また、ベースフレームにカセットホルダをそれぞれ固定することで、カセットホルダ同士の連結も補強される。
本発明の電源装置は、ハイブリッドカーや電気自動車等の車両用電源装置など、高出力、大電流の電源装置として好適に適用できる。
本発明の一実施の形態に係る電源モジュールを示す斜視図である。 図1の電源モジュールを示す平面図である。 図1の電源モジュールを示す側面図である。 図1の電源モジュールを示す正面図である。 カセットホルダに電池セルを収納する状態を示す斜視図である。 図5のカセットホルダの側面図である。 ベースフレーム上に載置された電源モジュールブロックを示す斜視図である。 図7の電源モジュールブロックの平面図である。 図7の電源モジュールブロックを締結バンドで固定した状態を示す斜視図である。 図9の電源モジュールブロックの正面図である。 図9の電源モジュールブロックの側面図である。 カセットホルダの表面で締結バンドを保持する部分を示す拡大断面図である。 カセットホルダ同士の連結状態の一例を示す斜視図である。 図13のカセットホルダの連結状態を示す側面図である。 放熱板をカセットホルダの片面に固定する状態を示す分解斜視図である。 図15の放熱板を固定したカセットホルダを示す斜視図である。 図15の放熱板を両面に固定したカセットホルダを上面から見た水平断面図である。 図17のカセットホルダを側面から見た垂直断面図である。 図18のカセットホルダを連結した電源モジュールブロックに空気ダクトを配置した状態を示す断面図である。 均熱板をカセットホルダの片面に固定する状態を示す分解斜視図である。 図20の均熱板を固定したカセットホルダを示す斜視図である。 図20の放熱板を両面に固定したカセットホルダを上面から見た水平断面図である。 図22のカセットホルダを側面から見た垂直断面図である。 均熱機能を備える放熱板をカセットホルダの片面に固定する状態を示す分解斜視図である。 図24の放熱板を固定したカセットホルダを示す斜視図である。 図24の放熱板を両面に固定したカセットホルダを上面から見た水平断面図である。 図26のカセットホルダを側面から見た垂直断面図である。 図27のカセットホルダで構成された電源モジュールブロックに空気ダクトを配置した状態を示す断面図である。 フレーム連結部材を備えるカセットホルダの構成を示す分解斜視図である。 図29の放熱板を固定したカセットホルダを示す斜視図である。 図30のカセットホルダをベースフレームに固定する状態を示す正面図である。 出願人が先に開発した電源モジュールを示す分解斜視図である。 図32の電源モジュールを複数積層した状態を示す垂直断面図である。
符号の説明
100、300…電源モジュール
1000…電源モジュールブロック;1000a…小ブロック
1…単電池
2…電池セル
3…Oリング
10、10C、10H〜K…カセットホルダ
12…カバー片;12A…上カバー片;12B…下カバー片
14…位置決嵌着部
15…リブ
16…嵌合突起
18…支持凸部
20…折曲連結部
22…連結フック
28…ベースフレーム
32…モジュール連結部材
33…嵌着凸部
34…嵌着凹部
38…フレーム連結部材
40…ホルダ連結部材
42、42A〜B…凸条
44…締結バンド
46…バンドガイド
50…空気ダクト
80、80B〜D…放熱板
80a、b…放熱片、80c…連結板
82…放熱フィン
84…送風ファン
C…冷却空気

Claims (12)

  1. 一以上の単電池を直線状に接続した電池セルを略平行に複数本並べ、かつこれらの電池セルを直列または並列に接続した電源モジュールをホルダに内蔵する電源装置であって、
    前記ホルダは、その内面に前記電池セルを位置決めした状態で保持するための位置決嵌着部と、前記位置決嵌着部と略平行に離間させて、前記位置決嵌着部に保持される電池セルの熱をホルダを介して熱伝導させるための放熱板を備えてなり、
    前記放熱板は少なくとも一部を前記ホルダの外部に表出させる表出部を備えてなることを特徴とする電源装置。
  2. 請求項1に記載の電源装置であって、前記放熱板の表出部を、電池セルを冷却するための冷却空気を通過させる空気ダクトに向かって突出させる放熱フィンとすることを特徴とする電源装置。
  3. 請求項1または2に記載の電源装置であって、前記放熱板が、前記ホルダで保持される電池セル毎に個別に設けられると共に、各放熱板は非接触状態に離間されて配置されてなることを特徴とする電源装置。
  4. 請求項1または2に記載の電源装置であって、前記放熱板が、前記ホルダで保持される複数の電池セルに設けられると共に、各放熱板が熱伝導状態で接続されてなることを特徴とする電源装置。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の電源装置であって、前記単電池が円筒形であり、前記電池セルを保持する前記位置決嵌着部が単電池の円筒形に沿った中空円筒形であり、前記放熱板が前記位置決嵌着部の円筒状曲面に沿うような円筒状曲面に形成されてなることを特徴とする電源装置。
  6. 一以上の単電池を直線状に接続した電池セルを略平行に複数本並べ、かつこれらの電池セルを直列または並列に接続した電源モジュールをホルダに内蔵する電源装置であって、
    前記ホルダは、その内面に前記電池セルを位置決めした状態で保持するための位置決嵌着部と、前記位置決嵌着部と略平行に離間させて、前記位置決嵌着部に保持される電池セルの熱をホルダを介して熱伝導させるための放熱板を備えてなり、
    前記放熱板は、前記ホルダで保持される複数の電池セルに設けられると共に、各放熱板が熱伝導状態で接続されてなることを特徴とする電源装置。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の電源装置であって、さらに
    前記電源モジュールを内蔵したホルダを固定するベースフレームを備えており、
    前記ホルダの一面には、ベースフレームに固定するためのフレーム連結部材を設けてなり、
    前記フレーム連結部材は前記放熱板と熱伝導状態で接続されており、かつ前記ベースフレームは熱伝導性部材で構成され、前記放熱板とベースフレームとがフレーム連結部材を介して熱的に接続されてなることを特徴とする電源装置。
  8. 請求項7に記載の電源装置であって、前記フレーム連結部材は前記放熱板と一体に成型されてなることを特徴とする電源装置。
  9. 請求項7または8に記載の電源装置であって、前記ホルダは、複数のカセットホルダを連結することで構成され、各カセットホルダは他のカセットホルダ同士と連結するためのモジュール連結部材を一面に備えており、モジュール連結部材でカセットホルダ同士を連結して複数の電源モジュールを連結した電源モジュールブロックを構成してなると共に、各カセットホルダが前記フレーム連結部材を備えてなることを特徴とする電源装置。
  10. 請求項9に記載の電源装置であって、前記放熱板は前記カセットホルダにインサート成型により固定されてなることを特徴とする電源装置。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の電源装置であって、前記放熱板が前記位置決嵌着部に保持される電池セルと絶縁されてなることを特徴とする電源装置。
  12. 請求項1から11のいずれかに記載の電源装置であって、前記カセットホルダは絶縁性の樹脂により形成されてなることを特徴とする電源装置。
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