JP2005283061A - 熱交換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱交換器のフィン表面に担持された担持層の吸着性を向上させると共に、担持層とフィンとの接着性を向上させる。
【解決手段】上記担持層(58)のフィン(57)表面と隣接するフィン隣接部の吸着剤/バインダ重量比で表す吸着剤配合比が、該担持層(58)の厚さ方向の最も外側に位置する最外部の上記吸着剤配合比よりも小さくする。
【選択図】図8

Description

本発明は、熱交換器に関し、特に、吸着剤(60)と冷凍サイクルとを利用して空気の湿度調節を行う調湿装置等に用いられる熱交換器の技術分野に属する。
従来より、吸着剤と冷凍サイクルとを利用して空気の湿度調節を行う調湿装置が知られており、この調湿装置に用いられる熱交換器として特許文献1に開示されたものがある。この熱交換器は、伝熱管としての銅管の周囲に板状のフィンが設けられ、この銅管やフィン表面に吸着剤が担持されている。吸着剤の担持は、銅管の外周面及びフィンの表面にアクリル粘着性バインダを塗布した後に吸着剤を添着すること、または、銅管の外周面及びフィンの表面に吸着剤と水ガラスとを混練したものを塗布した後に水ガラスを乾燥焼成することによって行われている。
そして、この熱交換器は、特許文献1に開示されているように、例えば調湿装置に用いられる。この調湿装置は、2つの熱交換器を備えている。
上記調湿装置の運転中には、2つの熱交換器の一方がその銅管に温熱媒が供給されて蒸発器となり、他方がその銅管に冷媒が供給され凝縮器となっている。また、それぞれの銅管に供給する冷媒と温熱媒とを切り替えることによって、各熱交換器は交互に蒸発器として機能したり凝縮器として機能したりする。
特開平7−265649号公報
ところで、上記調湿装置の調湿能力を向上させるためには、熱交換器の吸着性能を高める必要がある。この吸着性能を高めるためには、フィンへの吸着剤の担持量を増加させることが考えられ、その方策として、フィンの表面積はそのままでフィンへの吸着剤の担持量を増加させるか、フィンの表面積を拡大させてフィンへの吸着剤の担持量を増加させることが考えられる。
しかしながら、フィンの表面積はそのままでフィンへの吸着剤の担持量を増加させると、担持層が厚くなる。担持層が厚くなると、担持層の厚さ方向への剛性が上がるため、担持層がフィンから剥離しやすくなり、担持層とフィンとの接着性が低下する。
一方で、フィンの表面積を拡大すると、担持層とフィンとの接着性は維持されるが、熱交換器が大きくなり、ひいては装置全体の大型化を招き、実用的ではない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上記担持層の吸着性を向上させると共に、担持層とフィンとの接着性を向上させることにある。
第1の発明は、多数のフィン(57)を有すると共に、空気中の水分の吸着と空気中への水分の脱離とを行う吸着剤(60)が表面に担持された熱交換器が対象である。
そして、上記フィン(57)表面は、上記吸着剤(60)と該吸着剤(60)を上記フィン(57)表面に担持するためのバインダ(62)とを配合してなる担持層(58)によって被覆され、上記担持層(58)の上記フィン(57)表面と隣接するフィン隣接部の吸着剤/バインダ重量比で表す吸着剤配合比が、該担持層(58)の厚さ方向の最も外側に位置する最外部の上記吸着剤配合比よりも小さいものとする。
上記の構成の場合、上記フィン(57)表面には吸着剤(60)が担持されており、被処理空気がこのフィン(57)近傍を通過すると空気中の水分が該吸着剤(60)に吸着されて、被処理空気は除湿されることになる。このとき水分が吸着されることにより発生する吸着熱を熱交換器の熱媒体によって回収している。一方、熱交換器の熱媒体によって熱を回収するのではなく、熱媒体によって熱を供給すると、吸着剤(60)は加熱され該吸着剤(60)に吸着されていた水分が脱離する。こうして、被処理空気は加湿されることになる。
ここで、上記吸着剤(60)のフィン(57)表面への担持は、吸着剤(60)とバインダ(62)とを配合してなる担持層(58)によってなされていて、フィン(57)表面は、この担持層(58)によって被覆されている。
そして、上記担持層(58)は厚みを有するものであるが、担持層(58)の厚み方向について、吸着剤/バインダ重量比で表す吸着剤配合比を均一にするのではなく、担持層(58)のフィン隣接部と最外部とで、上記吸着剤配合比を変えている。
具体的には、フィン隣接部の上記吸着剤配合比が最外部の上記吸着剤配合比よりも小さくなるように構成されている。すなわち、フィン隣接部においてはバインダ(62)が比較的多く、最外部においては吸着剤(60)が比較的多くなっている。
上記フィン(57)表面と隣接する部分であって、上記担持層(58)とフィン(57)表面との界面を含んでいるフィン隣接部では、接着剤の役割を果たすバインダ(62)が比較的多くなっているため、該フィン隣接部と隣接するフィン(57)表面との界面で接着性が向上する。尚、上記吸着剤配合比は吸着剤/バインダで表されることから、担持層(58)のフィン隣接部の上記吸着剤配合比が零の場合、すなわち、フィン隣接部がバインダ(62)のみで構成される場合も含まれ、かかる場合に接着性は最大となる。
一方、上記担持層(58)の厚さ方向の最も外側に位置し、被処理空気と最もよく接触する最外部では、吸着剤(60)が比較的多くなっているため、吸着性能が向上する。
第2の発明は、第1の発明において、上記担持層(58)は、厚さ方向に上記吸着剤配合比が異なる多層構造となっているものとする。
上記の構成の場合、上記担持層(58)は、層毎に上記吸着剤配合比が異なっている。すなわち、上記担持層(58)のフィン(57)表面と隣接する位置には、上記バインダ(62)が比較的多いフィン隣接層(58a)が形成される一方、担持層(58)の厚さ方向の最も外側には、上記吸着剤(60)が比較的多い最外層(58d)が形成されている。
また、上記担持層(58)は、多層構造となっているため、厚さ方向の亀裂に強い構造となっている。すなわち、例えば、担持層(58)に曲げ荷重が作用して担持層(58)に厚さ方向の亀裂が生じた場合に、該担持層(58)が単層構造であれば、この亀裂は成長しやすく、容易にフィン(57)表面まで達することになる。ところが、本発明においては、担持層(58)が多層構造となっているため、各層の境界面毎に亀裂の成長が止まり、亀裂がフィン(57)表面まで達しにくい構造となっている。
第3の発明は、第2の発明において、上記担持層(58)は、上記フィン(57)に近い層ほど、上記吸着剤配合比が小さいものとする。
上記の構成の場合、上記担持層(58)の上記吸着剤配合比を厚さ方向に見た場合に、上記フィン(57)表面と隣接するフィン隣接層(58a)の上記吸着剤配合比が最も小さく、最も外側の最外層(58d)の上記吸着剤配合比が最も大きい。そして、該フィン隣接層(58a)から最外層(58d)に向かって各層の上記吸着剤配合比は漸次小さくなっている。
このように吸着剤配合比を漸次変化させることによって、フィン隣接層(58a)とフィン(57)表面との剥離は起こりにくいが、フィン隣接層(58a)とこれに厚さ方向外側に隣接する層(58b)との間では剥離が起こったり、被処理空気と比較的接触しやすい、最外層(58d)の厚さ方向内側に隣接する層(58c)に吸着剤(60)の量が少ないため、この層(58c)がほとんど被処理空気中の水分を吸着しなかったりすることがない。すなわち、上記フィン隣接層(58a)や最外層(58d)の厚さ方向両端に位置する層だけでなく、担持層(58)のうちフィン側に位置する層(58a,58b)は接着性に優れる一方、外側に位置する層(58c,58d)は吸着性に優れる多層構造として、担持層(58)全体として接着性及び吸着性を向上させている。
第4の発明は、第1の発明において、上記吸着剤(60)は、ゼオライト、シリカゲル又はそれらの混合物であり、上記バインダ(62)は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂又はエチレン酢酸ビニル共重合体であるものとする。
上記の構成の場合、ウレタン樹脂、アクリル樹脂又はエチレン酢酸ビニル共重合体は、セメント類等の無機物系バインダと比較して耐衝撃性に優れている。
本発明によれば、上記担持層(58)のフィン隣接部の上記吸着剤配合比を最外部の上記吸着剤配合比よりも小さくすることによって、担持層(58)のフィン(57)表面への接着性と担持層(58)の空気中の水分の吸着性とを同時に向上させることができる。
上記第2の発明によれば、上記担持層(58)を厚さ方向に上記吸着剤配合比が異なる多層構造とすることによって、担持層(58)は厚さ方向の亀裂に対して強い構造となる。
上記第3の発明によれば、担持層(58)においてファンに近いほど上記吸着剤配合比を小さくすることによって、担持層(58)全体として、接着性及び吸着性を向上させることができる。
上記第4の発明によれば、セメント類等の無機物系バインダと比較して、耐衝撃性に優れ、振動等による担持層(58)の剥離が起こりにくくなる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態》
図1はこの発明の実施形態に係る熱交換器を備える調湿装置の構成を概略的に示し、図1(a)は図1(b)のX−X線における断面図、図1(b)は内部を見せた状態の平面図であって図で下側が正面側である。図1(c)は図1(b)のY−Y線における断面図である。この調湿装置は矩形箱状のケーシング(1)を備え、ケーシング(1)内部は、前後に延びる第1仕切板(3)で収納容積の大きい左側の第1空間(5)と、収納容積の小さい右側の第2空間(7)とに区画されている。また、上記第1空間(5)は、左右に平行に延びる前後2枚の第2及び第3仕切板(9,11)で収納容積の大きい中央の第3空間(13)と、収納容積の小さい前後2つの第4及び第5空間(15,17)とに区画され、上記第3空間(13)は、前後に延びる第4仕切板(19)で左側空間(13a)と右側空間(13b)とに区画されている。さらに、後側の第5空間(17)は、左右に水平に延びる第5仕切板(21)で上下に区画され、上側空間を第1流入路(23)とし、下側の空間を第1流出路(25)としている。一方、前側の第4空間(15)も、左右に水平に延びる第6仕切板(27)で上下に区画され、上側空間を第2流入路(29)とし、下側の空間を第2流出路(31)としている。
上記第3仕切板(11)には、4つの第1〜4開口(11a〜11d)が第3空間(13)の左右の空間(13a,13b)、第1流入路(23)及び第1流出路(25)と連通するように上下左右に並んで形成されている(図1(a)参照)。また、上記第2仕切板(9)にも、4つの第5〜8開口(9a〜9d)が第3空間(13)の左右の空間(13a,13b)、第2流入路(29)及び第2流出路(31)と連通するように上下左右に並んで形成されている(図1(c)参照)。なお、これら第1〜4開口(11a〜11d)及び第5〜8開口(9a〜9d)には、図示しないが、ダンパがそれぞれ開閉自在に設けられている。
また、上記ケーシング(1)の左側面後側には、室外空気吸込口(33)が上記第1流入路(23)に連通するように形成され、ケーシング(1)の右側面後側には排気吹出口(35)が形成され、この排気吹出口(35)は上記第2空間(7)後側に配置された排気ファン(37)に接続されて第1流出路(25)と連通している。一方、上記ケーシング(1)の左側面前側には、室内空気吸込口(39)が上記第2流入路(29)に連通するように形成され、ケーシング(1)の右側面前側には給気吹出口(41)が形成され、この給気吹出口(41)は上記第2空間(7)前側に配置された給気ファン(43)に接続されて第2流出路(31)と連通している。
このように構成されたケーシング(1)内には、図2に示すような冷媒回路(45)が収納されている。この冷媒回路(45)は、第1熱交換器(47)、第2熱交換器(49)、圧縮機(51)、四方切換弁(53)及び電動膨張弁(55)が介設された閉回路であって冷媒が充填されていて、この冷媒を循環させることにより蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。具体的には、圧縮機(51)の吐出側が四方切換弁(53)の第1ポートに接続され、吸入側が四方切換弁(53)の第2ポートに接続されている。第1熱交換器(47)の一端は四方切換弁(53)の第3ポートに接続され、他端は電動膨張弁(55)を介して第2熱交換器(49)の一端に接続されている。第2熱交換器(49)の他端は四方切換弁(53)の第4ポートに接続されている。四方切換弁(53)は、第1ポートと第3ポートが連通して第2ポートと第4ポートが連通する状態(図2(a)に示す状態)と、第1ポートと第4ポートが連通して第2ポートと第3ポートが連通する状態(図2(b)に示す状態)とに切り換え自在に構成されている。そして、この冷媒回路(45)は、四方切換弁(53)を切り換えることにより、第1熱交換器(47)が凝縮器として機能して第2熱交換器(49)が蒸発器として機能する第1冷凍サイクル動作と、第1熱交換器(47)が蒸発器として機能して第2熱交換器(49)が凝縮器として機能する第2冷凍サイクル動作とを切り換えて行うように構成されている。また、冷媒回路(45)の各構成要素は、図1に示すように、第1熱交換器(47)が第3空間(13)の右側空間(13b)に、第2熱交換器(49)が第3空間(13)の左側空間(13a)に、圧縮機(51)が第2空間(7)の前後中程にそれぞれ配置されている。なお、図示しないが、四方切換弁(53)や電動膨張弁(55)も第2空間(7)に配置されている。
上記第1及び第2熱交換器(47,49)は共に、図3に示すようなクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器であり、多数枚のアルミニウム合金製フィン(57)が間隔をあけて並列配置されたフィン群(59)を備えている。このフィン群(59)のフィン配列方向両端面とフィン長手方向両端側の端面とは矩形の金属製枠板(61)で取り囲まれ、第1及び第2熱交換器(47,49)は上記枠板(61)を介して第3空間(13)の左右の空間(13a,13b)にそれぞれ配置されている。上記フィン群(59)には伝熱管(63)が配置されている。この伝熱管(63)は直管部(63a)とU字管部(63b)とで蛇行状に形成され、上記直管部(63a)が上記フィン群(59)をフィン配列方向に貫挿するとともに、上記U字管部(63b)が上記枠板(61)から突出している。また、上記伝熱管(63)の一端には接続管(65)の一端が接続され、この接続管(65)により伝熱管(63)を図示しない冷媒配管に接続するようになっている。
この発明の特徴として、上記第1及び第2熱交換器(47,49)のフィン(57)表面には、図8に示すように、吸着剤(60)とバインダ(62)とからなる担持層(58)が被覆されている。この吸着剤(60)としては、ゼオライト、シリカゲル又はそれらの混合物が採用され、バインダ(62)としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂又はエチレン酢酸ビニル共重合体が採用される。
上記担持層(58)は、フィン(57)表面から厚さ方向外側に向かって順に、フィン隣接層(58a)、第2層(58b)、第3層(58c)及び最外層(58d)が積層された多層構造になっている。図8においては○印が吸着剤(60)を表しており、○印の密度が濃いほど吸着剤配合比が大きいことを示す。尚、図8は、各層の吸着剤配合比の差異を明確にするため、○印(吸着剤(60))の疎密を誇張して表している。そして、フィン隣接層(58a)から最外層(58d)へ向かって順に吸着剤配合比が漸次大きくなっていて、担持層(58)のうちフィン隣接層(58a)が最も吸着剤(60)が少なく、最外層(58d)が最も吸着剤(60)が多くなっている。逆に、担持層(58)のうちフィン隣接層(58a)が最もバインダ(62)が多く、最外層(58d)が最もバインダ(62)が少なくなっている。
上記担持層(58)は、フィン(57)表面を表面処理した後、吸着剤(60)とバインダ溶液とを混合したスラリーをフィン(57)表面に塗布し、スラリーが乾燥固化することで、吸着剤(60)並びにフィン(57)及び吸着剤(60)同士がバインダ(62)によって固着されて形成される。このとき、吸着剤配合比の異なるスラリーを重ね塗ることによって、上記担持層(58)は多層構造となる。また、吸着剤配合比が小さいスラリーから重ね塗ることによって、フィン(57)に近い層ほど吸着剤配合比が小さく、担持層(58)の最外層(58d)に向かって吸着剤配合比が漸次大きくなる。尚、上記表面処理としては、スラリーがフィン(57)表面ではじかないようにするための脱脂処理等が行われる。
このように構成された調湿装置の調湿動作について図4〜7を参照しながら説明する。
−調湿装置の調湿動作−
この調湿装置では、除湿運転と加湿運転とが切り換え可能となっている。また、除湿運転中や加湿運転中には、第1動作と第2動作とが交互に繰り返される。
《除湿運転》
除湿運転時において、調湿装置では、給気ファン(43)及び排気ファン(37)が運転される。そして、調湿装置は、室外空気(OA)を第1空気として取り込んで室内に供給する一方、室内空気(RA)を第2空気として取り込んで室外に排出する。
まず、除湿運転時の第1動作について、図2及び図4を参照しながら説明する。この第1動作では、第1熱交換器(47)において吸着剤(60)の再生が行われ、第2熱交換器(49)において第1空気である室外空気(OA)の除湿が行われる。
第1動作時において、冷媒回路(45)では、四方切換弁(53)が図2(a)に示す状態に切り換えられる。この状態で圧縮機(51)を運転すると、冷媒回路(45)で冷媒が循環し、第1熱交換器(47)が凝縮器となって第2熱交換器(49)が蒸発器となる第1冷凍サイクル動作が行われる。具体的には、圧縮機(51)から吐出された冷媒は、第1熱交換器(47)で放熱して凝縮し、その後に電動膨張弁(55)へ送られて減圧される。減圧された冷媒は、第2熱交換器(49)で吸熱して蒸発し、その後に圧縮機(51)へ吸入されて圧縮される。そして、圧縮された冷媒は、再び圧縮機(51)から吐出される。
また、第1動作時には、第2開口(11b)、第3開口(11c)、第5開口(9a)及び第8開口(9d)が開口状態となり、第1開口(11a)、第4開口(11d)、第6開口(9b)及び第7開口(9c)が閉鎖状態になる。そして、図4に示すように、第1熱交換器(47)へ第2空気としての室内空気(RA)が供給され、第2熱交換器(49)へ第1空気としての室外空気(OA)が供給される。
具体的には、室内空気吸込口(39)より流入した第2空気は、第2流入路(29)から第5開口(9a)を通って第3空間(13)の右側空間(13b)へ送り込まれる。右側空間(13b)では、第2空気が第1熱交換器(47)を上から下へ向かって通過して行く。第1熱交換器(47)では、外表面に担持された吸着剤(60)が冷媒により加熱され、この吸着剤(60)から水分が脱離する。吸着剤(60)から脱離した水分は、第1熱交換器(47)を通過する第2空気に付与される。第1熱交換器(47)で水分を付与された第2空気は、第3空間(13)の右側空間(13b)から第3開口(11c)を通って第1流出路(25)へ流出する。その後、第2空気は、排気ファン(37)へ吸い込まれ、排気吹出口(35)から排出空気(EA)として室外へ排出される。
一方、室外空気吸込口(33)より流入した第1空気は、第1流入路(23)から第2開口(11b)を通って第3空間(13)の左側空間(13a)へ送り込まれる。左側空間(13a)では、第1空気が第2熱交換器(49)を上から下へ向かって通過して行く。第2熱交換器(49)では、その表面に担持された吸着剤(60)に第1空気中の水分が吸着される。その際に生じる吸着熱は、冷媒が吸熱する。第2熱交換器(49)で除湿された第1空気は、第3空間(13)の左側空間(13a)から第8開口(9d)を通って第2流出路(31)へ流出する。その後、第1空気は、給気ファン(43)へ吸い込まれ、給気吹出口(41)から供給空気(SA)として室内へ供給される。
次に、除湿運転時の第2動作について、図2及び図5を参照しながら説明する。この第2動作では、第2熱交換器(49)において吸着剤(60)の再生が行われ、第1熱交換器(47)において第1空気である室外空気(OA)の除湿が行われる。
第2動作時において、冷媒回路(45)では、四方切換弁(53)が図2(b)に示す状態に切り換えられる。この状態で圧縮機(51)を運転すると、冷媒回路(45)で冷媒が循環し、第1熱交換器(47)が蒸発器となって第2熱交換器(49)が凝縮器となる第2冷凍サイクル動作が行われる。具体的には、圧縮機(51)から吐出された冷媒は、第2熱交換器(49)で放熱して凝縮し、その後に電動膨張弁(55)へ送られて減圧される。減圧された冷媒は、第1熱交換器(47)で吸熱して蒸発し、その後に圧縮機(51)へ吸入されて圧縮される。そして、圧縮された冷媒は、再び圧縮機(51)から吐出される。
また、第2動作時には、第1開口(11a)、第4開口(11d)、第6開口(9b)及び第7開口(9c)が開口状態となり、第2開口(11b)、第3開口(11c)、第5開口(9a)及び第8開口(9d)が閉鎖状態となる。そして、図5に示すように、第1熱交換器(47)へ第1空気としての室外空気(OA)が供給され、第2熱交換器(49)へ第2空気としての室内空気(RA)が供給される。
具体的には、室内空気吸込口(39)より流入した第2空気は、第2流入路(29)から第6開口(9b)を通って第3空間(13)の左側空間(13a)へ送り込まれる。左側空間(13a)では、第2空気が第2熱交換器(49)を上から下へ向かって通過して行く。第2熱交換器(49)では、外表面に担持された吸着剤(60)が冷媒により加熱され、この吸着剤(60)から水分が脱離する。吸着剤(60)から脱離した水分は、第2熱交換器(49)を通過する第2空気に付与される。第2熱交換器(49)で水分を付与された第2空気は、第3空間(13)の左側空間(13a)から第4開口(11d)を通って第1流出路(25)へ流出する。その後、第2空気は、排気ファン(37)へ吸い込まれ、排気吹出口(35)から排出空気(EA)として室外へ排出される。
一方、室外空気吸込口(33)より流入した第1空気は、第1流入路(23)から第1開口(11a)を通って第3空間(13)の右側空間(13b)へ送り込まれる。右側空間(13b)では、第1空気が第1熱交換器(47)を上から下へ向かって通過して行く。第1熱交換器(47)では、その表面に担持された吸着剤(60)に第1空気中の水分が吸着される。その際に生じる吸着熱は、冷媒が吸熱する。第1熱交換器(47)で除湿された第1空気は、第3空間(13)の右側空間(13b)から第7開口(9c)を通って第2流出路(31)へ流出する。その後、第1空気は、給気ファン(43)へ吸い込まれ、給気吹出口(41)から供給空気(SA)として室内へ供給される。
《加湿運転》
加湿運転時において、調湿装置では、給気ファン(43)及び排気ファン(37)が運転される。そして、調湿装置は、室内空気(RA)を第1空気として取り込んで室外に排出する一方、室外空気(OA)を第2空気として取り込んで室内に供給する。
まず、加湿運転時の第1動作について、図2及び図6を参照しながら説明する。この第1動作では、第1熱交換器(47)において第2空気である室外空気(OA)の加湿が行われ、第2熱交換器(49)において第1空気である室内空気(RA)から水分の回収が行われる。
第1動作時において、冷媒回路(45)では、四方切換弁(53)が図2(a)に示す状態に切り換えられる。この状態で圧縮機(51)を運転すると、冷媒回路(45)で冷媒が循環し、第1熱交換器(47)が凝縮器となって第2熱交換器(49)が蒸発器となる第1冷凍サイクル動作が行われる。
また、第1動作時には、第1開口(11a)、第4開口(11d)、第6開口(9b)及び第7開口(9c)が開口状態になり、第2開口(11b)、第3開口(11c)、第5開口(9a)及び第8開口(9d)が閉鎖状態になる。そして、図6に示すように、第1熱交換器(47)には第2空気としての室外空気(OA)が供給され、第2熱交換器(49)には第1空気としての室内空気(RA)が供給される。
具体的には、室内空気吸込口(39)より流入した第1空気は、第2流入路(29)から第6開口(9b)を通って第3空間(13)の左側空間(13a)へ送り込まれる。第2熱交換室(42)では、第1空気が第2熱交換器(49)を上から下へ向かって通過して行く。左側空間(13a)では、その表面に担持された吸着剤(60)に第1空気中の水分が吸着される。その際に生じる吸着熱は、冷媒が吸熱する。その後、水分を奪われた第1空気は、第4開口(11d)、第1流出路(25)、排気ファン(37)を順に通過し、排出空気(EA)として排気吹出口(35)から室外へ排出される。
一方、室外空気吸込口(33)より流入した第2空気は、第1流入路(23)から第1開口(11a)を通って第3空間(13)の右側空間(13b)へ送り込まれる。右側空間(13b)では、第2空気が第1熱交換器(47)を上から下へ向かって通過して行く。第1熱交換器(47)では、外表面に担持された吸着剤(60)が冷媒により加熱され、この吸着剤(60)から水分が脱離する。吸着剤(60)から脱離した水分は、第1熱交換器(47)を通過する第2空気に付与される。その後、加湿された第2空気は、第7開口(9c)、第2流出路(31)、給気ファン(43)を順に通過し、供給空気(SA)として給気吹出口(41)から室内へ供給される。
次に、加湿運転時の第2動作について、図2及び図7を参照しながら説明する。この第2動作では、第2熱交換器(49)において第2空気である室外空気(OA)の加湿が行われ、第1熱交換器(47)において第1空気である室内空気(RA)から水分の回収が行われる。
第2動作時において、冷媒回路(45)では、四方切換弁(53)が図2(b)に示す状態に切り換えられる。この状態で圧縮機(51)を運転すると、冷媒回路(45)で冷媒が循環し、第1熱交換器(47)が蒸発器となって第2熱交換器(49)が凝縮器となる第2冷凍サイクル動作が行われる。
また、第2動作時には、第2開口(11b)、第3開口(11c)、第5開口(9a)及び第8開口(9d)が開口状態になり、第1開口(11a)、第4開口(11d)、第6開口(9b)及び第7開口(9c)が閉鎖状態になる。そして、図7に示すように、第1熱交換器(47)には第1空気としての室内空気(RA)が供給され、第2熱交換器(49)には第2空気としての室外空気(OA)が供給される。
具体的には、室内空気吸込口(39)より流入した第1空気は、第2流入路(29)から第5開口(9a)を通って第3空間(13)の右側空間(13b)に送り込まれる。右側空間(13b)では、第1空気が第1熱交換器(47)を上から下に向かって通過して行く。第1熱交換器(47)では、その表面に担持された吸着剤(60)に第1空気中の水分が吸着される。その際に生じる吸着熱は、冷媒が吸熱する。その後、水分を奪われた第1空気は、第3開口(11c)、第1流出路(25)、排気ファン(37)を順に通過し、排出空気(EA)として排気吹出口(35)から室外へ排出される。
一方、室外空気吸込口(33)より流入した第2空気は、第1流入路(23)から第2開口(11b)を通って第3空間(13)の左側空間(13a)に送り込まれる。左側空間(13a)では、第2空気が第2熱交換器(49)を上から下へ向かって通過して行く。第2熱交換器(49)では、外表面に担持された吸着剤(60)が冷媒により加熱され、この吸着剤(60)から水分が脱離する。吸着剤(60)から脱離した水分は、第2熱交換器(49)を通過する第2空気に付与される。その後、加湿された第2空気は、第8開口(9d)、第2流出路(31)、給気ファン(43)を順に通過し、供給空気(SA)として給気吹出口(41)から室内へ供給される。
以上、全換気モードの除湿運転及び加湿運転について説明したが、この調湿装置は、室内空気(RA)を第1空気として取り込み室内に供給する一方、室外空気(OA)を第2空気として取り込み室外に排出する循環モードの除湿運転や、室外空気(OA)を第1空気として取り込み室外に排出する一方、室内空気(RA)を第2空気として取り込み室内に供給する循環モードの加湿運転や、室外空気(OA)を第1空気として取り込み室内に供給する一方、室外空気(OA)を第2空気として取り込み室外に排出する給気モードの除湿運転や、室外空気(OA)を第1空気として取り込み室外に排出する一方、室外空気(OA)を第2空気として取り込み室内に供給する給気モードの加湿運転や、室内空気(RA)を第1空気として取り込み室内に供給する一方、室内空気(RA)を第2空気として取り込み室外に排出する排気モードの除湿運転や、室内空気(RA)を第1空気として取り込み室外に排出する一方、室内空気(RA)を第2空気として取り込み室内に供給する排気モードの加湿運転をも行うものである。
−本実施形態の効果−
上記の調湿動作において、上記第1空気又は第2空気が蒸発器として機能する第1又は第2熱交換器(47,49)を通過する際に、第1及び第2熱交換器(47,49)の外表面に形成された担持層(58)の最も外側に位置する、すなわち、第1空気又は第2空気と最もよく接触する最外層(58d)には吸着剤(60)が比較的多く配合されているため、第1又は第2空気中の水分は吸着剤(60)に効率良く吸着される。
それと共に、上記担持層(58)とフィン(57)との界面を形成するフィン隣接層(58a)にはバインダ(62)が比較的多く配合されているため、担持層(58)は、しっかりとフィン(57)に接着している。
したがって、第1及び第2熱交換器(47,49)の外表面に形成された担持層(58)をフィン隣接層(58a)にはバインダ(62)が比較的多く、最外層(58d)には吸着剤(60)が比較的多くなるように構成することによって、担持層(58)のフィン(57)表面への接着性と担持層(58)の空気中の水分の吸着性とを同時に向上させることができる。
そして、上記担持層(58)は多層構造となっているため、担持層(58)に曲げ荷重等が作用し、厚さ方向に亀裂が生じた場合には、図9に示すように、各層の境界面毎に各亀裂の成長が止まる。したがって、上記担持層(58)は厚さ方向の亀裂に強い構造となっている。
また、上記担持層(58)の多層構造は、フィン隣接層(58a)から最外層(58d)に向かって吸着剤配合比が漸次増大しているため、フィン隣接層(58a)だけでなくフィン(57)表面に近い第2層(58b)も接着性に優れており一方、最外層(58d)だけでなく担持層(58)の外表面に近い第3層(58c)も吸着性に優れており、担持層(58)全体として接着性及び吸着性を向上させることができる。
さらに、上記バインダ(62)は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂又はエチレン酢酸ビニル共重合体を採用することによって、セメント類等の無機物系バインダと比較して耐衝撃性に優れた担持層(58)を形成することができる。
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。すなわち、上記担持層(58)はフィン隣接層(58a)、第2層(58b)、第3層(58c)、最外層(58d)からなる4層構造となっているが、これに限られず、2層構造や5層構造であってもよい。さらには、単層構造であってもフィン(57)近傍部の吸着剤配合比が比較的小さく、担持層(58)の最外部の吸着剤配合比が比較的大きければ、担持層(58)のフィン(57)表面への接着性と担持層(58)の空気中の水分の吸着性とを同時に向上させるという上記実施形態の効果を奏することができる。
また、上記担持層(58)はフィン隣接層(58a)から最外層(58d)に向かって吸着剤配合比が漸次増加する構成であったが、フィン隣接層(58a)の方が最外層(58d)よりも吸着剤配合比が小さければ構わない。
さらに、上記実施形態では、吸着剤(60)として、ゼオライト、シリカゲル又はそれらの混合物を採用しているが、それら以外であっても、活性炭、親水性若しくは吸水性を有する有機高分子ポリマ系材料、カルボキシル基若しくはスルホン酸基を有するイオン交換樹脂系材料、感温性高分子等の機能性高分子材料、又はセピオライト、イモゴライト、アロフェン若しくはカオリナイト等の粘土鉱物系材料等、水分の吸着に優れているものであれば特にこだわらない。
また、吸着剤(60)は、フィン(57)表面へのみ担持させるだけではなく、フィン(57)以外の上記金属製枠板(61)や伝熱管(63)へ担持させてもよい。こうすることによって、吸着剤(60)の担持量が増え、熱交換器の吸着性能をさらに向上させることができる。かかる場合においても担持層の厚さ方向で吸着剤配合比を変えることによって接着性と吸着性とを同時に向上させることができる。
この発明は、吸着剤(60)と冷凍サイクルとを利用して空気の湿度調節を行う調湿装置に有用である。
実施形態に係る調湿装置の概略構成図である。 実施形態に係る調湿装置の冷媒回路を示す配管系統図である。 実施形態に係る熱交換器の概略構成図である。 除湿運転の第1動作における空気の流れを示す調湿装置の概略構成図である。 除湿運転の第2動作における空気の流れを示す調湿装置の概略構成図である。 加湿運転の第1動作における空気の流れを示す調湿装置の概略構成図である。 加湿運転の第2動作における空気の流れを示す調湿装置の概略構成図である。 熱交換器のフィン表面に担持された担持層の模式断面図である。 亀裂が発生した担持層の模式断面図である。
符号の説明
47 第1熱交換器(熱交換器)
49 第2熱交換器(熱交換器)
57 フィン
58 担持層
60 吸着剤

Claims (4)

  1. 多数のフィン(57)を有すると共に、空気中の水分の吸着と空気中への水分の脱離とを行う吸着剤(60)が表面に担持された熱交換器であって、
    上記フィン(57)表面は、上記吸着剤(60)と該吸着剤(60)を上記フィン(57)表面に担持するためのバインダ(62)とを配合してなる担持層(58)によって被覆され、
    上記担持層(58)の上記フィン(57)表面と隣接するフィン隣接部の吸着剤/バインダ重量比で表す吸着剤配合比が、該担持層(58)の厚さ方向の最も外側に位置する最外部の上記吸着剤配合比よりも小さいことを特徴とする熱交換器。
  2. 請求項1に記載の熱交換器において、
    上記担持層(58)は、厚さ方向に上記吸着剤配合比が異なる多層構造となっていることを特徴とする熱交換器。
  3. 請求項2に記載の熱交換器において、
    上記担持層(58)は、上記フィン(57)に近い層ほど、上記吸着剤配合比が小さいことを特徴とする熱交換器。
  4. 請求項1に記載の熱交換器において、
    上記吸着剤(60)は、ゼオライト、シリカゲル又はそれらの混合物であり、
    上記バインダ(62)は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂又はエチレン酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする熱交換器。
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