JP2005282596A - 車両用変速機の変速制御装置 - Google Patents

車両用変速機の変速制御装置 Download PDF

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Takeshi Asano
剛 浅野
Takashi Kobayashi
隆志 小林
Makoto Uehara
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【課題】 本発明は、変速時のドライバーの要求に応じて変速時間を可変制御し、変速ショックの低減と変速応答性の改善を図れる車両用変速機の変速制御装置を提供する。
【解決手段】 エンジン1と変速機6との間に設けられるクラッチ5と、変速ギヤの同期手段に変速リンクを介し変速操作力F1を付与するギヤシフトユニット12と、アクセル開度θaを検出するアクセル開度検出手段と、車両の運転状態に応じて目標変速段Smoを設定し、目標変速段となるようギヤシフトユニット12を変速制御する変速制御手段A1と、変速操作力付加パターンm1、m2をアクセル開度が高開度(100%)側では急変速パターンとし低開度(0%)側では緩変速パターンと設定する変速パターン設定手段とを備え、変速制御手段A1は設定された変速パターンm1、m2に沿って変速操作ユニットを駆動する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両のエンジン駆動系に配備される変速機の変速制御装置、特に、同期装置を用いて変速操作を行うようにした車両用変速機の変速制御装置に関する。
自動車の変速機はエンジンとの間にクラッチを配備し、これにより変速タイミングに合わせてクラッチを断接操作しクラッチ断間にギヤ列の変速操作を行うようにしており、この操作をマニュアル車と同様に機械式に行う自動変速機が知られている。この種の機械式自動変速機では変速ギヤ機構及びクラッチ機構と、変速ギヤ機構を駆動するアクチュエータ(ギヤシフトユニット)及びクラッチ機構を駆動するアクチュエータ(クラッチ制御ユニット)と、これらの各アクチュエータを制御する電子制御ユニット(ECU)とを備え、トラックやバス等の大型車を中心に適用されており、その一例が特許第2956585号公報(特許文献1)に開示されている。
ところで、機械式自動変速機での変速操作は、例えば、図10に示すように行われている。ここで、不図示の制御手段である駆動系コントローラは現変速段を目標変速段に変速する判断を時点taで行うと、この場合、まず、クラッチを切りに入り、切断の検出時点tbで、ギアシフトユニットが目標変速段への変速操作に入る。
ここでは、まず、不図示のギアシフトユニットの働きでシフトレバーをセレクト、及びシフト作動し、目標変速段へギヤ列を切換え操作する。
このとき、ギアシフトユニットはセレクト作動を速やかに行い、次いでシフト作動において同期装置のシンクロ機構を同期作動方向に押圧する。ここでのシフト押圧力相当のシフト出力電圧は、図10に実線で示すように変動し、これに応じて同期装置のシフトストロークはニュートラルよりシフト完了位置に向け変位する。
この場合、時点tbでシフト押圧力が不図示のシンクロリングに加わり初め、時点tcでシンクロリング側が減速ギヤと一体のクラッチギヤに当接を開始し、同期作動に入り、時点tdで同期完了し、スリーブギヤがシンクロリング側ギヤを乗り越えクラッチギヤに係合し、時点teまでの間で係合完了し、目標変速段への変速操作が完了することとなる。
ここで、時点tbより時点teに至る実変速操作時間Ttの大部分は、時点tcより時点tdに至る同期時間Tsがしめている。ここで、実変速操作時間Ttが比較的長い場合、同期時間Tsにおけるシフト押圧力を比較的緩めることができ、ギヤ入れ時の変速ショックを抑制でき、暖シフト操作を可能とする。逆に、実変速操作時間Ttが比較的短い場合、同期時間Tsにおけるシフト押圧力を比較的強くすることとなり、変速時間の短縮により急シフト操作を可能とし、変速応答性を向上させることができるが、変速ショックは大きくなる。
このような変速操作時の変速ショックの低減と、変速応答性の改善とはトレードオフの関係にあり、通常は車両の特性に応じて、同期時間Tsにおける単位時間あたりのシフト押圧力、即ち、シフト用モータに加えるシフト出力電圧の経時パターン(図10に符合Kで示す)を適宜設定し、採用している。
特許第2956585号公報
このように、ギアシフトユニットを用いた変速機の変速操作では、変速時における変速ショックの低減を図ると、変速応答性が低下し、変速応答性の改善を図ると変速ショックが増加するというトレードオフの関係を考慮し、従来は、同期時間Tsにおけるシフト押圧力、即ち、シフト出力電圧の経時パターンKを所定の一定パターンに設定していた。
このため、同期時間Tsや実変速操作時間Ttがほぼ一定となり、運転状況により、変速ショックを考慮せずに低減変速応答性を改善したいような場合に、同期時間Tsの更なる短縮を図れず、変速応答性を考慮せずに変速ショックを確実に低減したいような場合に、同期時間Tsの更なる延長を図れず、改善が望まれていた。
本発明は以上のような課題に基づきなされたもので、目的とするところは、変速時のドライバーの要求に応じて変速時間を可変制御し、変速ショックの低減と変速応答性の改善を図れる車両用変速機の変速制御装置を提供することにある。
この発明の請求項1に係る車両用変速機の変速制御装置は、車両に搭載されるエンジンと変速機との間に設けられ、上記エンジンから上記変速機への動力伝達を断接するクラッチと、上記変速機内の変速ギヤの同期手段に変速リンクを介し変速操作力を付与する電動の変速操作ユニットと、上記エンジンのアクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、上記車両の運転状態に応じて目標変速段を設定し、上記目標変速段となるよう上記変速操作ユニットを変速制御する変速制御手段と、上記変速制御手段と連動し、変速が開始される前に上記クラッチを切断状態とするとともに上記変速が終了した後に上記クラッチを接続状態とするクラッチ制御手段と、上記変速操作力付加パターンを、上記アクセル開度が大開度側では急変速パターンとし低開度側では緩変速パターンと設定する変速パターン設定手段と、を具備し、上記変速制御手段は設定された変速パターンに沿って上記変速操作ユニットを駆動することを特徴とする。
この発明の請求項2は、請求項1記載の車両用変速機の変速制御装置において、上記変速機内の変速ギヤの変速が開始される前にクラッチを切断状態とするとともに変速が終了した後にクラッチを接続状態とするクラッチ制御手段を備えることを特徴とする。
この発明の請求項3は、請求項1記載の車両用変速機の変速制御装置において、上記変速パターン設定手段は、上記変速操作力付加パターンを、上記アクセル開度が高開度判定値を上回ると急変速パターンとし、高開度判定値未満では緩変速パターンと設定することを特徴とする。
この発明の請求項4は、請求項1記載の車両用変速機の変速制御装置において、上記変速パターン設定手段が上記変速操作力付加パターンに応じた経時的な変速操作電圧パターンを設定し、制御手段が設定された変速操作電圧パターンに沿って上記変速操作ユニットを駆動することを特徴とする。
本発明によれば、変速制御において、アクセル開度が大開度側では急変速パターンとし低開度側では緩変速パターンと設定し、設定された変速パターンに沿って変速操作ユニットを駆動し、変速操作時間を増減調整できるので、アクセル開度相当のドライバーの変速要求に対処できると共に変速ショックの低減と変速応答性の改善を図れる。
更に、本発明によれば、変速中にクラッチを切断状態とするクラッチ制御手段を備えるので変速操作に容易に連動させることができる。
更に、本発明によれば、変速制御において、アクセル開度が高開度判定値を上回ると急変速パターンとし高開度判定値未満では緩変速パターンと設定し、設定された設定された2つの変速パターンの何れかに沿って変速操作ユニットを駆動するので、制御の簡素化を図れる。
更に、本発明によれば、変速操作力付加パターンに応じた経時的な変速操作電圧パターンに沿って変速操作ユニットを駆動するので、変速操作ユニットの電動アクチュエータを容易に駆動制御できる。
図1、3には本発明の一実施形態にかかる車両用変速機の変速制御装置を示した。この車両用変速機の変速制御装置は不図示のトラックのエンジン1に連結されるエンジン駆動力伝達系2内に配備される。エンジン駆動力伝達系2はエンジン本体3に枢支されるクランクシャフト4に連結されるクラッチ5、機械式自動変速機(以後単に変速機と記す)6、推進軸7、車輪8とこの順に連結されたものである。
エンジン1はエンジンコントロールユニット(以後単にエンジンコントローラ9と記す)によって制御され、クラッチ5のクラッチ制御ユニット11及び変速機6の変速制御ユニットであるギヤシフトユニット12は変速機コントロールユニット(以後単に変速機コントローラ13と記す)によって制御される。
エンジン1にはこれに燃料供給する燃料噴射ポンプ(以後単に噴射ポンプと記す)14が設けられる。噴射ポンプ14はエンジン回転力によりポンプ駆動し、燃料噴射量を調整する電子ガバナ19を備える。エンジンコントローラ9はアクセル開度θa信号等の運転情報に応じて演算された燃料供給量Qn信号を電子ガバナ19に出力し、エンジン1の駆動制御を行うものである。
変速機6はドライバの手動操作によるシフト指令Hmを電気信号として変速機コントローラ13で受け、これに応じてクラッチドライバー回路34を介しクラッチ制御ユニット11を、変速機ドライバー回路40を介しギヤシフトユニット12をそれぞれ遠隔操作する手動シフトモードMmと、車両の走行状態(例えば車速Vcやアクセル開度θa)に応じた最適な変速段(目標変速段)Smoを図1、7に示すような変速段マップmapを用いて演算し、同目標変速段Smoへの切換えが必要な時にクラッチ制御ユニット11及びギヤシフトユニット12の作動を制御する自動シフトモードMoを選択して変速駆動できるようになっている。
変速機コントローラ13は手動シフトモードMmで手動変速制御を行なう手動変速操作制御部13mと、自動シフトモードで自動変速制御を行なう自動変速操作制御部13oとを備えている。この変速機コントローラ13には、シフトレバー21を備え、変速操作手段及び手動・自動選択手段として機能するチェンジレバーユニット22、車両の車速Vcを検出する車速センサ23(車速検出手段)、クラッチ5の断接方向のクラッチストロークCstを出力するクラッチストロークセンサ24、変速機6の変速段Smnを検出するギヤ位置センサー25、キーオンSk信号を入力するキースイッチ26、アクセル開度θaを出力するアクセル開度センサー27等が接続されており、各検出信号が入力されるようになっている。
なお、エンジンコントローラ9と変速機コントローラ13とは相互に通信回線Lsを通じて信号の授受を行えるようになっている。
図3に示すように、クラッチ5は変速機ケーシング37の内壁より延出しクラッチシャフト36を内嵌する筒状体35を備え、ここにレリーズベアリング31をクラッチ断接方向(回転中心線L0方向)に作動可能に嵌着する。レリーズベアリング31はクラッチシャフト36と一体回転するクラッチディスク29をフライホイール28側に断接操作するもので、クラッチ制御ユニット11により断接方向に操作される。図4(a)に示すように、クラッチ制御ユニット11はウオームギヤ列からなる減速機構32を介し電動モータ33に接続される。電動モータ33は変速機コントローラ13にクラッチドライバー回路34(図1参照)を介し接続されている。
変速機6は変速ケーシング37内に複数の各変速段相当の変速ギヤ列G1、G2、G3、G4(後退段)及び入力ギヤ列G5を備え、これら変速ギヤ列が変速操作ユニットであるギヤシフトユニット12の操作により選択的に同期装置38を用い噛み合い作動されることで目標とする変速段への切換えがなされている。ここで、ギヤシフトユニット12は複数の各変速段相当の変速ギヤ列G1〜G3、G5に対設される各同期装置38をシフトフォーク39、シフトリンク41を介しシフトモータ42でシフト方向x1(図4(b)参照)に切換え駆動する。更に、複数の各変速段相当の変速ギヤ列G1〜G4に対向するシフトフォーク39をセレクトレバー43を介しセレクトモータ44でセレクト方向y1に切換え駆動する。変速機6のギヤ位置近傍には各変速段を検出するギヤ位置センサー25(図1参照)が付設され、ギヤ位置センサー25からは現在のギヤ位置信号Smnが変速機コントローラ13に出力されている。不図示のアクセルペダルにはアクセル開度センサー27が備えられている。また、変速機6の出力軸45には車速Vcを検出する車速センサー23が付設されている。
変速機コントローラ13はチェンジレバーユニット22を通じて手動シフトモードMmが選択されると、手動変速操作制御部13mによりチェンジレバーユニット22からの指令に基づいて、ギヤシフトユニット12及びクラッチ制御ユニット11を変速操作して、クラッチ断、ギヤチェンジ、クラッチ接の動作を制御するようになっている。
一方、チェンジレバー21を通じて自動シフトモードMoが選択される時には、変速機コントローラ13に設けられた自動変速操作制御部13oを介して各種の情報に基づきギヤシフトユニット12及びクラッチ制御ユニット11が遠隔操作されるとともに、エンジンコントローラ9によって各種の情報に基づきエンジン1が制御される。
ここで車両用変速機の変速制御装置の変速機コントローラ13とエンジンコントローラ9の自動変速制御処理に着目すると、図1に示すように、変速機コントローラ13は変速制御手段A1と変速パターン設定手段A2とクラッチ制御手段A3としての機能を備える。
変速機コントローラ13の機能部である変速制御手段A1は車両の運転状態であるアクセル開度θaと車速Vcとに応じて目標変速段Smoを設定し、目標変速段Smoとなるよう変速機6内のギヤ列を変速制御する。
変速パターン設定手段A2はアクセル開度θa(%)が高開度(100%)側では同期時間Tsにおける変速押圧力付加パターン、即ち、シフト出力電圧の経時パターン(電圧パターン)を急変速パターン(図2の2点鎖線参照)m1とし、低開度(0%)側では緩変速パターン(図2の実線参照)m2と設定する。特に、ここでは変速操作力付加パターンを、アクセル開度θaが高開度判定値(=50%)を上回ると急変速パターンm1とし、高開度判定値未満では緩変速パターンm2と設定する。なお、ここでの高開度判定値は50%以外の値、例えば、40%や70%でもよく、適宜設定される。
更に、ここでは2つの変速操作力付加パターンm1、m2を採用しているが、これに代えて、図2に破線で示すように、更なる第3の中変速パターンm3を追加して併用してもよく、この場合、より木目細かな制御が可能となる。
ここでの変速操作力付加パターンは変速操作力付加パターンに応じた経時的な変速操作電圧パターンを設定し、この変速操作電圧パターンに沿ってギヤシフトユニット12(変速操作ユニット)を駆動する。これにより、変速操作力付加パターンに応じた経時的な変速操作電圧パターンm1、m2に沿ってギヤシフトユニット12を駆動するので、ギヤシフトユニット12の電動アクチュエータであるセレクトモータ、シフトモータを容易に駆動制御できる。
クラッチ制御手段A3は変速制御手段A1と連動し、変速が開始される前にクラッチ5を切断状態とするとともに変速が終了した後にクラッチ5を接続状態とするように制御する。
このような車両用変速機の変速制御装置の作動を、変速機コントローラ13が行う図9の自動変速制御ルーチンに沿って説明する。
車両の走行時に、チェンジレバー21を通じて自動シフトモードが選択されるとする。
この場合、変速機コントローラ13の自動変速操作制御部13oは自動変速制御ルーチンのステップs1でエンジン回転数Ne、アクセル開度θa、車速Vc、クラッチストロークCs、現変速段Smn、等の各情報を取り込み、記憶処理する。ステップs2では変速段マップ(図1、図7参照)を選択する。ここでの変速段マップmapはパワーモードDp用とエコノミーモードDe用(不図示)が備えられ、いずれかが不図示の運転モード選択スイッチの入力により予め選択されることとなる。
変速段マップmapにより最新の現車速Vcとアクセル開度θaとより目標変速段Smoを求める。ステップs3では目標変速段Smoが現変速段Smnと一致すればこの制御を終了する。逆に、相違すると、即ち、図7に符号p1、p2で示す点を通過するような場合は変速時と判断する。なお、この時のアクセル開度θaが高開度判定値(=50%)を上回るか否かが記憶処理される。相違するとステップs4で今回のアクセル開度θaが高開度(50%以上)では急変速パターンm1と設定し、低開度(50%未満)では緩変速パターンm2と設定し、ステップs5に進む。
ステップs5では時点tsより所定の待ち時間Tr1の経過をカウントし、カウントした時点t0ではステップs6に進み、ここで、変速ギヤ(ここでは一例として図5にトップギア51側とメインシャフト36側の直結用同期装置を示した)の変速が開始される前にクラッチ切断処理を行う。ここではクラッチ制御ユニット11のクラッチモータ33(図4(a)参照)をクラッチ切断方向に回転駆動し、ステップs7、s8でクラッチ断位置をクラッチストロークセンサー24により検出した時点t1でモータ33を停止させる。
ステップs9では今回の目標変速段Smo(図5に示すトップギア51とメインシャフト側の直結段)への変速処理を図2、5、6に示すように行う。即ち、ステップs9に達すると、時点t1より目標変速段Smoへの変速制御が実施される。ここでは、ドライバー回路40よりギヤシフトユニット12のセレクトモータ44とシフトモータ42(図4(b)参照)に目標変速段Smo(一例としての5速段)相当の各出力が発せられ、これらの回転駆動により目標変速段Smoへの変速制御が実施される。
この間の変速処理を図2、5、6を用いて更に説明する。
まず、時点t1よりt2にかけてシフト操作電圧を図2のシンクロ押付けパターンで加える。この場合、図6(a)に示すスリーブ52側のギヤgsをp0よりp1に移動させる。次いで、同スリーブ側ギヤgsを図6(b)に示すp2位置に時点t2に移動させ、スリーブ側ギヤgsをシンクロリング53側のギヤgrに当て、同時にスリーブ側の押圧力F1によりシンクロリング53とクラッチギヤ54の両コーン面f部分を相対回転しつつ当接させる。
次に、時点t2よりt3にかけて同期処理に入る。ここでは今回ステップs4で取り込んだ急変速パターンm1あるいは緩変速パターンm2、即ち、図2のシンクロ押付けパターンに沿ってスリーブ側の押圧力F1によりシンクロリング53とクラッチギヤ54の両コーン面f部分を相対回転しつつ、更に、圧接させる。この同期作動により両コーン面f部分の相対回転が無くなった時点t3において、図6(c)に2点鎖線で示すようにスリーブ側の押圧力F1を受けたスリーブ側ギヤgsがp3’、p3、p3”とずれ作動し、この際、シンクロリング側ギヤgrによるブロック状態より脱し(符号e)、p3”位置に達する。更に、スリーブ側ギヤgsはシンクロリング側ギヤgrおよびクラッチギヤ側ギヤgcに完全係合するp4位置に達し、時点t4において停止する。
ここで、時点t2よりt3にかけての同期処理において、急変速パターンm1を選んだ場合の同期時間Tsは緩変速パターンm2を選んだ場合の同期時間Tsより実質短くなる。即ち、急変速パターンm1を選んだ場合の実変速操作時間Ttは緩変速パターンm2を選んだ場合の実変速操作時間Ttより実質短くなる。
このためアクセル開度θaが高開度(50%以上)では急変速パターンm1とし、実変速操作時間Ttを短くでき、変速応答性を向上させることができる。一方、アクセル開度θaが低開度(50%未満)では緩変速パターンm2とし、実変速操作時間Ttが長いが、変速ショックの発生を抑制できる。
なお、図5中の同期装置のスリーブ52、シンクロリング53、クラッチギヤ54の同期作動に伴う摩擦エネルギ(同期力積E)の発生量の一例を経時的に図8に示した。ここで、同期時間Ts中の摩擦エネルギ(同期力積E)の発生量が最も大きくなっており、この同期時間Ts(時点t2〜t3)の短縮を図るには十分なシフト操作力F1をシンクロリング53とクラッチギヤ54の両コーン面fに加える必要があることがより明らかである。
ステップs9の後、ステップs10に達すると、ここではギヤ位置センサー25により目標変速段Smoへの変速が確認されるのを待ち、実変速操作時間Tt(図2参照)の後の時点t4で変速完了が確認されるとステップs11に進み、クラッチの接合処理に入る。ここではクラッチ制御ユニット11のクラッチモータ33をクラッチ接合方向に回転駆動し、ステップs12でクラッチ接合位置をクラッチストロークセンサー24により検出した時点t5でステップs13に進み、クラッチモータ33を停止させ、この回の制御を終了させ不図示の変速制御メインルーチンにリターンする。
これによりクラッチ切断中に目標変速段への変速操作が達成される。
なお、この間エンジンコントローラ9はアクセル開度θa相当の燃料供給量Qnを一定に保持してもよく、その燃料供給量Qnを実変速操作時間Ttの間、所定減少量だけ低減させ、変速機側に加わるトルクを低減させ、変速ショックを抑制しておいても良い。
このように、図1の車両用変速機の変速制御装置は、その変速制御においてアクセル開度θaが大開度側(50%以上)では急変速パターンm1とし、低開度側(50%未満)では緩変速パターンm2と設定し、設定された変速パターンに沿ってギヤシフトユニット12(変速操作ユニット)を駆動し、実変速操作時間Tt(変速操作時間)を増減調整できるので、アクセル開度θa相当のドライバーの変速要求に対処できると共に変速ショックの低減と変速応答性の改善を図れる。
更に、図1の車両用変速機の変速制御装置は変速中にクラッチ5を切断状態とするクラッチ制御手段A3を備えるので変速制御手段A1側の変速操作に容易に連動させることができ、制御性が良好となる。
更に、図1の車両用変速機の変速制御装置は、変速制御において、アクセル開度θaが高開度判定値(=50%)を上回ると急変速パターンm1とし高開度判定値未満では緩変速パターンm2と設定し、設定された2つの変速パターンの何れかに沿って変速操作ユニットを駆動するので、制御の簡素化を図れる。
更に、図1の車両用変速機の変速制御装置は、変速操作力付加パターンm1、m2等に応じた電圧パターンに沿って変速操作ユニットを駆動するので、ギヤシフトユニット12(変速操作ユニット)のセレクトモータ44とシフトモータ42(電動アクチュエータ)を容易に制御性よく駆動できる。
更に、図1の車両用変速機の変速制御装置は、ギヤシフトユニット12(変速操作ユニット)がモータを有する電動アクチュエータを用いるので、容易に変速機のギヤ列を目標変速段となるよう変速駆動できる。
上述のところにおいて、車両用変速機の変速制御装置はトラックの駆動力伝達系に搭載されるとして説明したがその他のバス等の各種車両にも同様に適用できる。
本発明の一実施形態にかかる車両用変速機の変速制御装置の概略構成図である。 図1の車両用変速機の変速制御装置の作動説明波形図である。 図1の中のクラッチ、変速機部分の拡大断面図である。 図1の車両用変速機の変速制御装置で用いる操作系のアクチュエータの概略構成図であり、(a)はクラッチアクチュエータ、(b)はギアシフトユニットの概略図である。 図1中の変速機の要部拡大断面図である。 図5中のスリーブ、シンクロリング、クラッチギヤの作動説明図で、(a)は初期状態、(b)は同期開始状態、(c)は係合完了状態を示す。 図1の車両用変速機の変速制御装置で用いる変速段設定マップの要部切欠拡大図である。 図5中のスリーブ、シンクロリング、クラッチギヤのシフト作動時の同期装置が発生する摩擦エネルギ(同期力積)の経時的説明図である。 図1の車両用変速機の変速制御装置で用いる自動変速制御ルーチンのフローチャートである。 従来の車両用変速機の変速制御装置の作動説明波形図である。
符号の説明
1 エンジン
5 クラッチ
6 変速機
9 エンジンコントローラ
11 クラッチ制御ユニット(クラッチ制御手段)
12 ギヤシフトユニット(変速操作ユニット)
27 アクセル開度センサー
A1 変速制御手段
A2 変速パターン設定手段
A3 クラッチ制御手段
Smo 目標変速段
θa アクセル開度
Tr1 待ち時間
Tt 実変速操作時間
Ss 変速指令

Claims (4)

  1. 車両に搭載されるエンジンと変速機との間に設けられ、上記エンジンから上記変速機への動力伝達を断接するクラッチと、
    上記変速機内の変速ギヤの同期手段に変速リンクを介し変速操作力を付与する変速操作ユニットと、
    上記エンジンのアクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、
    上記車両の運転状態に応じて目標変速段を設定し、上記目標変速段となるよう上記変速操作ユニットを変速制御する変速制御手段と、
    上記変速操作力付加パターンを、上記アクセル開度が高開度側では急変速パターンとし低開度側では緩変速パターンと設定する変速パターン設定手段と、
    を具備し、
    上記変速制御手段は設定された変速パターンに沿って上記変速操作ユニットを駆動することを特徴とする車両用変速機の変速制御装置。
  2. 請求項1記載の車両用変速機の変速制御装置において、
    上記変速機内の変速ギヤの変速が開始される前にクラッチを切断状態とするとともに変速が終了した後にクラッチを接続状態とするクラッチ制御手段を備えることを特徴とする車両用変速機の変速制御装置。
  3. 請求項1記載の車両用変速機の変速制御装置において、
    上記変速パターン設定手段は、上記変速操作力付加パターンを、上記アクセル開度が高開度判定値を上回ると急変速パターンとし、高開度判定値未満では緩変速パターンと設定することを特徴とする車両用変速機の変速制御装置。
  4. 請求項1記載の車両用変速機の変速制御装置において、
    上記変速パターン設定手段が上記変速操作力付加パターンに応じた経時的な変速操作電圧パターンを設定し、
    制御手段が設定された変速操作電圧パターンに沿って電動の変速操作ユニットを駆動することを特徴とする車両用変速機の変速制御装置。
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