JP2005282391A - エンジンの潤滑構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 エンジンブロック1端部のクランク軸受部において、軸受部に装着されるオイルシール52の内側に、エンジンブロック1側からオイルシール52側へ供給される潤滑油を遮蔽する部材を設け、前記潤滑油を遮蔽する部材は、フライホイールハウジング3のオイルシール装着孔13に形成される鍔13aである。
【選択図】 図1
Description
例えば、特許文献1に示されるエンジンでは、クランク軸のジャーナル部をボールベアリングにより支持し、ボールベアリングの外側にオイルシールを設けている。ボールベアリングとオイルシールとの間には隙間が設けられており、クランクケース側壁のボス部に形成された油孔を通じてボールベアリングとオイルシールとの隙間に潤滑油を供給して、軸受部の潤滑を行っている。
エンジンブロック101の外側にはフライホイールハウジング103が取り付けられており、フライホイールハウジング103に形成されたオイルシール取付孔113をクランク軸102の端部122が貫通している。
オイルシール取付孔113にはオイルシール152が取り付けられており、該オイルシール152により、オイルシール取付孔113の内周面とクランク軸102の端部122との間をシールしている。
このように構成される軸受部では、図13に矢印で示すように、メタルベアリング151の部分からオイルシール152のメインリップ152aの部分へ潤滑油が供給されるように構成している。
特に、過酷な条件で使用される産業機械に用いられるエンジンの場合、潤滑油が劣化するのも速く、摩耗の促進度合いが高くなる。
そこで、本発明においては、オイルシール152のメインリップ152a部へ供給される潤滑油量を調整し、適正な量の潤滑油を供給して、メインリップ152a部やクランク軸102の摩耗を低減することができるエンジンの潤滑構造を提供するものである。
即ち、請求項1記載の如く、エンジンブロック端部のクランク軸受部において、軸受部に装着されるオイルシールの内側に、エンジンブロック側からオイルシール側へ供給される潤滑油を遮蔽する部材を設けた。
これにより、オイルシールに供給される潤滑油量を減少させることができ、劣化した油によりクランク軸やオイルシールのメインリップの摩耗を低減することができる。
これにより、オイルシールの寿命を延ばすことができる。
これにより、部品点数が増えることもなく、潤滑油の遮蔽部材を設けることによるコストアップを抑えることができる。
これにより、部品点数が増えることもなく、潤滑油の遮蔽部材を設けることによるコストアップを抑えることができる。
これにより、オイルシールに供給された余分な潤滑油が、切り欠き部からエンジンブロック側に戻ることができるので、オイルシールの下部に供給された潤滑油が過剰に溜まることがなく、適正な潤滑油量を保持することができる。
これにより、鍔に当たった潤滑油が、鍔の傾斜に沿ってエンジンブロック側へ戻されることとなり、効率良く潤滑油を遮蔽することができる。
そして、オイルシールに供給される潤滑油量を減少させることができ、劣化した油によりクランク軸やオイルシールのメインリップの摩耗を低減することができ、オイルシールの寿命を延ばすことができる。
エンジンブロック端部の、クランク軸が貫通する孔の周縁部には、他部よりも凹んだ凹部が形成され、該凹部と他部との段差部を傾斜面に形成した。
これにより、オイルシールに供給される潤滑油量を減少させることができ、劣化した油によりクランク軸やオイルシールのメインリップの摩耗を低減することができ、オイルシールの寿命を延ばすことができる。
これにより、オイルシールへ供給される潤滑油の圧力変動幅を小さくすることができ、オイルシールに対するポンピング効果も減少することができる。そして、オイルシール52部からの油漏れを防ぐことが可能となる。
また、きり孔によりオイルシールにかかる圧力の脈動を減少することが可能であり、オイルシールの油密寿命を向上させることができる。
オイルシールへ供給される潤滑油の圧力変動幅を小さくして、圧力脈動を減少させることで、オイルシールに対するポンピング効果を減少して、オイルシール部からの油漏れを防ぐとともに、オイルシールの油密寿命を向上させることができる。
図1には、本発明の潤滑構造を備えたエンジンにおけるクランク軸2の軸受部を示している。
この軸受部では、クランク軸2のジャーナル部21が、メタルベアリング51を介してエンジンブロック1に支持されており、クランク軸2の端部22はエンジンブロック1の外部に突出している。
オイルシール取付孔13にはオイルシール52が取り付けられており、該オイルシール52により、オイルシール取付孔13の内周面とクランク軸2の端部22との間をシールしている。
また、鍔13aの、オイルシール取付孔13の下端部に位置している部分には、その一部を切り欠かいた切り欠き部13bが形成されている。
エンジンブロック1側から供給される潤滑油は、エンジンブロック1の端部に形成される凹部1aからオイルシール52側へ向うが、その多くはオイルシール取付孔13に形成される鍔13aに当たって、オイルシール52へ到達することができない。
また、鍔13aの下端と、クランク軸2のフランジ部23との間には隙間dが形成されており、エンジンブロック1側から供給される潤滑油の一部がこの隙間dからオイルシール52側へ供給される。
つまり、エンジンブロック1側からの潤滑油は鍔13aにより遮蔽されて、一部の潤滑油のみが隙間dからオイルシール52へ供給されることとなる。
このように、鍔13aの長さを調節することにより、オイルシール52へ供給される潤滑油の油量を制御することができ、適正な量の潤滑油をオイルシール52へ供給することが可能となる。
また、鍔13aを形成した場合は、3種類の隙間d1・d2・d3(d1<d2<d3)の場合の注油量を示しており、隙間dが大きくなる程、注油量が増加することがわかる。
さらに、全てのエンジン速度において、オイルシール52の温度は、オイルシール52に品質保証温度の上限温度である温度T1よりも低くなっており、鍔13aを形成して注油量を減少させても、オイルシール52によるシール状態の信頼性に影響を与えることはない。
該鍔16aは、オイルシール取付孔16に装着されたオイルシール52よりも前記エンジンブロック1側に位置するように配置されている。
また、鍔16aの、オイルシール取付孔16の下端部に位置している部分には、その一部を切り欠いた切り欠き部16bが形成されている。
この場合も、鍔16aは、オイルシール取付孔16の内周面を突出させて、オイルシールケース6と一体的に形成されているので、部品点数を増やすこともなく、潤滑油の遮蔽部材を設けることによるコストアップを抑えることができる。
このように、鍔13aをエンジンブロック1側へ傾斜させることで、鍔13aに当たった潤滑油が、鍔13aの傾斜に沿ってエンジンブロック1側へ戻されることとなり、効率良く潤滑油を遮蔽することができる。
この場合も、鍔13aとクランク軸2のフランジ部23との間に形成される隙間dの大きさを調節することで、オイルシール52への注油量を制御することができる。
つまり、図9に示すように、エンジンブロック1の端部に形成される凹部1aとその周囲の他部1cとの段差部1bを外側に傾斜する傾斜面に形成している。
このように、段差部1Bを傾斜させることで、エンジンブロック1側から供給される潤滑油が段差部1bに沿って流れ易くなり、エンジンブロック1とフライホイールハウジング3との間に流れる潤滑油量が多くなって、オイルシール52への注油量を減少することができる。
これにより、クランク軸2とオイルシール52のメインリップ52aとの摩耗を低減することができ、オイルシール52の寿命を延ばすことができる。
このようにオイルシール52にかかる圧力が脈動すると、オイルシール52に負荷がかかり、油漏れの原因となる可能性がある。
すなわち、図11に示すエンジンでは、エンジンブロック1とフライホイールハウジング3との隙間c2が、図13に示す従来のエンジンにおける隙間c1よりも大きく構成されている。
このように、エンジンブロック1とフライホイールハウジング3との隙間c2を大きく構成することで、オイルシール52へ供給される潤滑油の圧力変動幅を小さくすることができ、オイルシール52に対するポンピング効果も減少することができる。
これにより、オイルシール52部からの油漏れを防ぐことが可能となる。
また、エンジンブロック1には、隙間c2とオイルパン(図示せず)とを連通するきり孔1dが形成されており、このきり孔1dによりオイルシール52にかかる圧力の脈動を減少することが可能となっている。そして、オイルシール52の油密寿命を向上させることができる。
2 クランク軸
3 フライホイールハウジング
13 オイルシール取付孔
13a 鍔
52 オイルシール
Claims (7)
- エンジンブロック端部のクランク軸受部において、
軸受部に装着されるオイルシールの内側に、エンジンブロック側からオイルシール側へ供給される潤滑油を遮蔽する部材を設けたことを特徴とするエンジンの潤滑構造。 - 前記潤滑油を遮蔽する部材は、フライホイールハウジングのオイルシール装着孔に形成される鍔であることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの潤滑構造。
- 前記潤滑油を遮蔽する部材は、オイルシールケースのオイルシール装着孔に形成される鍔であることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの潤滑構造。
- 前記潤滑油を遮蔽する部材に、潤滑油逃がし用の切り欠き部を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエンジンの潤滑構造。
- 前記鍔を内側へ傾斜させたことを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載のエンジンの潤滑構造。
- エンジンブロック端部のクランク軸受部において、
エンジンブロック端部の、クランク軸が貫通する孔の周縁部には、他部よりも凹んだ凹部が形成され、該凹部と他部との段差部を傾斜面に形成したことを特徴とするエンジンの潤滑構造。 - エンジンブロック端部のクランク軸受部において、
エンジンブロックと、エンジンブロック端部の外側に配置されるオイルシールの支持部材との間に所定の間隙を設け、エンジンブロックには、該間隙とオイルパンとを連通する孔を形成することを特徴とするエンジンの潤滑構造。
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