JP2005281388A - ポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法 - Google Patents

ポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐熱性、電気特性、機械特性などに優れた純度の高いポリベンゾオキサゾール前駆体を容易に製造できる製造方法を提供する。
【解決手段】ポリベンゾオキサゾール前駆体を製造する方法であって、(a)縮合剤にジシクロヘキシルカルボジイミドを用いてジカルボン酸化合物と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとを反応させてジカルボン酸誘導体を合成する第一工程、(b)前記ジカルボン酸誘導体をビスアミノフェノール化合物と反応させてポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する第二工程、及び(c)前記ポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液より、脱離基として副生した1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを、擬似移動層式クロマト分離装置を用いて連続的に除去する第三工程を含むことを特徴とするポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法に関する。
従来、マイクロエレクトロニクス分野において半導体素子の表面保護膜や層間絶縁膜には耐熱性、電気特性、機械特性等に優れるポリイミド樹脂が用いられてきた。しかし、近年の半導体素子の高集積化、パッケージの薄型化、小型化、半田リフローによる表面実装への移行等から、更に高性能の樹脂開発が望まれている。また、ポリイミド樹脂自身に感光性を付与する技術が注目を集めてきており、様々な感光性ポリイミド樹脂が開発されている。これらは補助レジストを使用せずにパターン形成が可能であるため、工程短縮の効果はあるが、現像の際に有機溶剤を用いるので安全性や取扱いの面で問題がある。
そこで最近、アルカリ水溶液で現像ができるポリベンゾオキサゾール前駆体とジアゾキノン化合物より構成されるポジ型感光性樹脂が開発されている。(特許文献1参照)この樹脂は耐熱性、電気特性、微細加工性に優れ、ウェハーコート用のみならず層間絶縁用樹脂としての可能性も有している。このポジ型の感光性樹脂の現像メカニズムは、未露光部のジアゾキノン化合物はアルカリ水溶液に不溶であるが、露光することによりジアゾキノン化合物が化学変化を起こし、アルカリ水溶液に可溶となる。この露光部と未露光部との溶解性の差を利用し、露光部を溶解除去することにより未露光部のみの塗膜パターンの作成が可能となるものである。
このポジ型感光性樹脂のベースポリマーであるポリベンゾオキサゾール前駆体の合成法については、ジカルボン酸ジクロリドとビスアミノフェノール化合物とを反応させる酸クロリド法がある。ところがこの方法では、合成途中で発生する塩素イオンがポリマー中に残留し、腐食によりデバイスの機能を著しく損傷する恐れがある。
そこで、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとジカルボン酸化合物とを反応させてジカルボン酸誘導体を合成し、更にこのジカルボン酸誘導体とビスアミノフェノール化合物とを反応してポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する方法が提案されている。(特許文献2参照)この方法を用いると、前記酸クロライド法のような残留する塩素イオンの問題は起こらないが、ポリベンゾオキサゾール前駆体が生成する過程において、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールが脱離基として副生して反応液中に残留するために、ポリベンゾオキサゾール前駆体を単離精製する工程が必須となる。この精製処理には一般に再沈殿法が用いられ、大量の有機溶媒もしくは水等の貧溶媒中に反応液を投入してポリマー成分だけを単離する。更には得られたポリマーを乾燥した後、実際の製品として供するに際しては、再び有機溶媒に溶解して使用する必要があった。このようなプロセスを経由することは非常に煩雑であり、多大な工数を要するので経済的にコストアップにつながる。また大量の廃液が発生し環境汚染の点からも問題であり工業的な製法としては不利であった。
特公平1−46862号公報 特開平9−183846号公報
本発明は、従来のこれら問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、耐熱性、電気特性、機械特性などに優れた純度の高いポリベンゾオキサゾール前駆体を容易に製造できる製造方法を提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、特定の工程を有する方法によって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1)ポリベンゾオキサゾール前駆体を製造する方法であって、(a)縮合剤にジシクロヘキシルカルボジイミドを用いてジカルボン酸化合物と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとを反応させてジカルボン酸誘導体を合成する第一工程、(b)前記ジカルボン酸誘導体をビスアミノフェノール化合物と反応させてポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する第二工程、及び(c)前記ポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液より、脱離基として副生した1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを、擬似移動層式クロマト分離装置を用いて連続的に除去する第三工程を含むことを特徴とするポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。
(2)第一工程で用いるジカルボン酸化合物が、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸である(1)記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。
(3)第二工程で用いるビスアミノフェノール化合物が、2,2−ビス(3−アミノ−4
−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、及び4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテルの少なくとも1種類を含む(1)又は(2)記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。
(4)第二工程で得られるポリベンゾオキサゾール前駆体の分子鎖末端を、ジカルボン酸無水物との反応で封止してなる(1)〜(3)に記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。
(5)前記ジカルボン酸無水物が、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物及び無水マレイン酸の少なくとも1種類を含む(4)に記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。
(6)第三工程で用いる擬似移動層式クロマト分離装置が、ポリベンゾオキサゾール前駆体、及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾールに対して選択的分離能力を有する吸着剤を充填した複数のカラム群を、各カラムの後端に配管を介してこれに続くカラムの先端を順次結合することで全体として流体の循環系なすように構成させた擬似移動層であり、前記カラム群が、循環系の液流れの上流側から下流側に向かって第1ゾーンから第4ゾーンの計4ゾーンに区分されていることを特徴とする(1)〜(5)に記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。
(7)前記吸着剤が、スチレン又はアクリルとジビニンルベンゼンの共重合体よりなる多孔質球状粒子である(6)に記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。
である。
本発明の方法に従うと、耐熱性、電気特性、機械特性などに優れたポリベンゾオキサゾール前駆体を、高純度に工業的に有利な方法で製造することができる。
本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法では、ジシクロヘキシルカルボジイミドを縮合剤に用いて、ジカルボン酸化合物と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとを反応させてジカルボン酸誘導体を合成し、次いでこのジカルボン酸誘導体とビスアミノフェノール化合物とを更に反応させて所望のポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する。しかし、このポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液には脱離基として副生した1−ヒドロキシベンゾトリアゾールが不純物として残留する。そこで、擬似移動層式クロマト分離装置を用いて連続的にこれを除去し、高純度のポリベンゾオキサゾール前駆体を効率的に回収する。以下、本発明の製造方法の詳細を工程ごとに説明する。
(a)第一工程
第一工程では、ジシクロヘキシルカルボジイミドを脱水縮合剤に用いてジカルボン酸化合物と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとを反応させて、本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体の中間原料となるジカルボン酸誘導体を合成する。このジカルボン酸誘導体は一般に活性エステルと呼ばれ、合成にあたっては、予めジカルボン酸と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを溶媒に溶かしておき、−5〜10℃の低温下でジシクロヘキシルカルボジイミドを加えた後、20〜80℃で、好ましくは20〜50℃で1〜20時間攪拌して反応を行う。その後、反応液を濾過して析出したジシクロヘキシルカルボジウレアを取り除き、再沈殿、乾燥等の公知の方法を用いて濾液よりジカルボン酸誘導体を回収する。
第一工程におけるジカルボン酸化合物と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとの反応は、ジカルボン酸化合物1モルに対して、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1.9〜2.1モルの範囲で行うことが好ましい。1−ヒドロキシベンゾトリアゾールが1.9モル未満ではジカルボン酸誘導体の収率が低下し、2.1モルを超えると未反応の1−ヒドロキシベンゾトリアゾールが多くなり不純物として残留する恐れがある。また、脱水縮合剤として用いるジシクロヘキシルカルボジイミドの添加量については、ジカルボン酸化合物1モルに対して1.9〜2.3モルの範囲にすることが好ましい。ジシクロヘキシルカルボジイミドが1.9モル未満ではジカルボン酸誘導体の収率が低下し、2.3モルを超えると未反応のジシクロヘキシルカルボジイミドまたはこれがジシクロヘキシルカルボジウレアとなったものが不純物として残留する恐れがあり好ましくない。
第一工程で用いる溶媒は、実質的にジカルボン酸化合物、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、及びジシクロヘキシルカルボジイミドを溶解するものであれば特に制限されない。例えば、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
第一工程で用いるジカルボン酸化合物は、特に制限されず、従来のポリベンゾオキサゾール前駆体合成で用いられているものと同様のものが使用できる。例えば、ジフェニルエーテル−3,3′−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4′−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ベンゾフェノン−3,3′−カルボン酸、ベンゾフェノン−3,4′−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,4′−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−ジカルボン酸等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明では、得られるジカルボン酸誘導体の化合物としての安定性から、特にジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸が好ましい。
(b)第二工程
第二工程では、第一工程で得られたジカルボン酸誘導体とビスアミノフェノール化合物とを反応させてポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する。合成にあたっては、ジカルボン酸誘導体とビスアミノフェノール化合物を溶媒に溶かし、20〜150℃で1〜20時
間攪拌して反応を行う。反応モル比は、ジカルボン酸誘導体1モルに対して、ビスアミノフェノール化合物0.9〜1.2の範囲で行うことが好ましい。モル比がこの範囲外では、得られるポリベンゾオキサゾール前駆体の分子量が小さくなり、耐熱性を著しく低下させる恐れがある。
更には、前記ポリベンゾオキサゾール前駆体の反応が終了した後に、ジカルボン酸無水物を系内に添加し、前駆体の末端アミノ基を封止することが好ましい。この反応は、20〜120℃で1〜20時間攪拌して行われ、得られるポリベンゾオキサゾール前駆体の化合物としての安定性を高める上で非常に有効である。末端アミノ基を封止するためのジカ
ルボン酸無水物としては、芳香族ジカルボン酸無水物、脂肪族ジカルボン酸無水物、脂環族ジカルボン酸無水物、複素環族ジカルボン酸無水物等、いずれのタイプのジカルボン酸無水物を用いても良い。また、これらは2種以上を組み合わせて使用することもできる。本発明では、特に無水マレイン酸、及び5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物の少なくとも1種であることが好ましい。
第二工程で用いるビスアミノフェノール化合物は、特に制限されず、従来のポリベンゾオキサゾール前駆体合成と同様のものが使用できる。例えば、2,4−ジアミノレゾルシ
ノール、4,6−ジアミノレゾルシノール、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル
)プロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’
−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒド
ロキシビフェニル、9,9−ビス(4−((4−アミノ−3−ヒドロキシ)フェノキシ)
フェニル)フルオレン、9,9−ビス((4−アミノ−3−ヒドロキシ)フェニル)フル
オレン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジ
アミノ−3,3’−ジヒドロキシフェニルエーテル、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−
ヒドロキシ−6−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル等が挙げられる。こ
れらは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明では、特に2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等が好ましい。
第二工程で用いる溶媒は、実質的にジカルボン酸誘導体、ビスアミノフェノール化合物、及び生成するポリベンゾオキサゾール前駆体を溶解するものであれば特に制限されない。例えば、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
(c)第三工程
第三工程では、第二工程で得られたポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液より、脱離基として副生した1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを、擬似移動層式クロマト分離装置を用いて連続的に除去し、高純度のポリベンゾオキサゾール前駆体を回収する。
本発明の擬似移動層式クロマト分離装置による分離操作を図1の装置概略図により説明する。本発明では、ポリベンゾオキサゾール前駆体、及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾールに対して選択的分離能力を有する吸着剤を充填した複数のカラム群を、各カラムの後端を配管(流体通路)を介してこれに続くカラムの先端に順次結合することで全体として流体の循環系を構成させた擬似移動層を用いる。前記カラム群を、循環系の液流れの上流側から下流側に向かって第1ゾーン(1)、第2ゾーン(2)、第3ゾーン(3)、及び第4ゾーン(4)の計4ゾーンに区分し、第1ゾーンの最前列に位置するカラムの先端と、第4ゾーンの最後列に位置するカラムの後端との連結位置から溶離液(5)を供給し、第3ゾーンの最前列に位置するカラムの先端と、第2ゾーンの最後列に位置するカラムの後端との連結位置からポリベンゾオキサゾール前駆体、及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを含む第2工程からの原液(6)を供給する。弱吸着性成分であるポリベンゾオキサゾール前駆体の含有量が多い精製液(7)は、第3ゾーンの最後列に位置するカラムの後端と、第4ゾーンの最前列に位置するカラムの先端との連結位置から抜出すことができる。一方、強吸着性成分である1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの含有量が多い不純物
液(8)は、第1ゾーンの最後列に位置するカラムの後端と、第2ゾーンの最前列に位置するカラムの先端との連結位置から抜き出す。そして、これらの原液及び溶離液の供給位置と、精製液及び不純物液の抜出し位置を、相互の位置関係を維持しながら原液中の各成分の吸着剤に対する吸着帯域の移行に伴って間欠的に循環系の下流側に切換える操作を行うことで、原液中のポリベンゾオキサゾール前駆体、及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの吸着剤に対する分配係数を、流体の循環系内において常に均一な状態に維持させ、連続的に1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを除去し、高純度のポリベンゾオキサゾール前駆体を回収することができる。
本発明の擬似移動層式クロマト分離装置に用いるカラムに充填する吸着剤は、スチレン又はアクリルとジビニンルベンゼンの共重合体よりなる巨大網目構造の多孔質球状粒子が好ましい。多孔質球状粒子を充填したカラム内に原液を通じることにより、細孔と分子との相互作用を利用し、分子サイズでポリベンゾオキサゾール前駆体と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの分別を可能にする。多孔質球状粒子の物性については、ポリベンゾオキサゾール前駆体、及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾールに対して選択的分離能力を有するものであれば制限はないが、本発明では特に平均粒子径0.1〜2.0mm、平均細孔径10〜800Åの多孔質球状粒子が好ましく、更に好ましくは平均粒子径0.3〜1.0mm、平均細孔径30〜600Åである。平均粒子径が0.1mm未満では、カラム内の吸着剤の充填密度が高くなりすぎ、通液時に高圧となり装置への負荷が大きいばかりか、流速を上げることができずに処理能力が低下する原因となる。また平均粒子径が2.0mmを超えるような場合や平均細孔径が前期範囲外の場合は、両成分を十分に分離することができず、高純度のポリベンゾオキサゾール前駆体を回収できない恐れがあり、いずれの場合も好ましくない。多孔質球状粒子の市販品としては、ロームアンドハース社製のアンバーライト、三菱化学社製のダイヤイオン、セパビーズ等を挙げることができる。カラムの容量については特に制限はなく、選択した吸着剤の分離能力及び処理する原液量に応じて適宜設定すればよい。
本発明の擬似移動層式クロマト分離装置を運転する際に用いる溶離液は、ポリベンゾオキサゾール前駆体、及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾールが溶解する溶媒であれば特に制限されず、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。しかし、目的物質であるポリベンゾオキサゾール前駆体の精製液に、不必要な溶媒が混入するのを避けたい場合は、ポリベンゾオキサゾール前駆体合成時の反応溶媒を溶離液として用いればよい。
擬似移動層式クロマト分離装置の運転条件については、特に制限はなく、カラム内のポリベンゾオキサゾール前駆体、及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの分離状態に応じて、原液及び溶離液の供給量、精製液及び不純物液の抜出し量、カラム流路の切り替え時間、カラムの制御温度等を任意に設定することができる。
<実施例1>
(イ)ジカルボン酸誘導体の合成
ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸258.2g(1モル)と1−ヒドロキシベンゾトリアゾール270.3g(2モル)とをN−メチル−2−ピロリドン1500gに溶解した後、 N−メチル−2−ピロリドン500gに溶解したジシクロヘキシルカ
ルボジイミド412.7g(2モル)を反応系の温度を0〜5℃に冷却しながら滴下する。滴下終了後、反応系の温度を室温に戻し、そのまま12時間攪拌した。反応終了後、析出したジシクロヘキシルカルボジウレアを濾過によって取り除き、次に濾液から再沈殿によりジカルボン酸誘導体を回収した。得られたジカルボン酸誘導体を減圧乾燥し、赤外吸
収スペクトルで分析したところ、1780cm-1にエステル結合由来の吸収が見られることにより、これが目的物のジカルボン酸誘導体であり、かつ分解していないことが確認できた。
(ロ)ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成
前記ジカルボン酸誘導体 147.7g(0.3モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビ
ス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン120.9g(0.33モル)を
N−メチル−2−ピロリドン1000gに溶解した。その後反応系を75℃にして12時間反応した。次にN−メチル−2−ピロリドン50gに溶解した5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物11.5g(0.07モル)を加えて、更に12時間反応し、ポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液を得た。
(ハ)擬似移動層式クロマト分離装置による精製処理
加熱ジャケットを有した内径2cm、長さ30cmの8本のステンレス鋼製カラムを無端直列に連結したカラム群からなり、全カラムには吸着剤としてアンバーライトXAD16HP(ロームアンドハース社製)を充填した擬似移動層式クロマト分離装置を用いた。各ゾーンのカラム数は溶離液供給口から下流方向に2本、2本、3本、1本として4ゾーンに分けた。原液には前記ポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液を、溶離液にはN−メチル−2−ピロリドンを用い、原料供給量4.8ml/min、溶離液供給量12.5ml/min、精製液抜出し量7.2ml/min、不純物液抜出し量10.1ml/min、カラム温度60℃、カラム流路切り替え時間を19minとして装置を運転した。得られた精製液をH−NMRで分析したところ、精製液中のポリベンゾオキサゾール前駆体の純度は99.6wt%であった。また擬似移動層式クロマト分離装置によりポリベンゾオキサゾール前駆体の精製処理に要した時間は、合計210分であった。
<実施例2>
実施例1と同様にして得られたジカルボン酸誘導体 147.7g(0.3モル)とヘ
キサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン120.9g(0.33モル)をγ−ブチロラクトン1000gに溶解した。その後反応系を75℃にして12時間反応した。次にγ−ブチロラクトン50gに溶解した5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物11.5g(0.07モル)を加えて、更に12時間反応し、ポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液を得た。
カラム内に充填する吸着剤をアンバーライトXAD2000(ロームアンドハース社製)に変更する以外は、実施例1と同仕様の擬似移動層式クロマト分離装置を用いた。原液には前記ポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液を、溶離液にはγ−ブチロラクトンを用い、原料供給量5.4ml/min、溶離液供給量13.6ml/min、精製液抜出し量8.1ml/min、不純物液抜出し量10.9ml/min、カラム温度50℃、カラム流路切り替え時間を16minとして装置を運転した。得られた精製液を1H−NM
Rで分析したところ、精製液中のポリベンゾオキサゾール前駆体の純度は99.7wt%であった。また擬似移動層式クロマト分離装置によりポリベンゾオキサゾール前駆体の精製処理に要した時間は、合計200分であった。
<比較例1>
実施例1と同様にしてポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液を得た。攪拌機を備えた容器に、イオン交換水7.0Lと2−プロパノール3.0Lの混合溶媒を投入し、攪拌翼を300rpmの速度で回転させる中に、前記反応液を10ml/minの速度で滴下し、ポリベンゾオキサゾール前駆体を液温25℃で沈殿させた。滴下終了後、沈殿物が固着しなくなるまで攪拌を続けると、60分間を要した。その後、沈殿物を回収して60℃で240分間減圧乾燥することにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体の精製品を得た。ポ
リベンゾオキサゾール前駆体の精製処理に要した時間は、合計400分であった。得られた精製品を1H−NMRで分析したところ、ポリベンゾオキサゾール前駆体の純度は91
.3wt%であり、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールが十分に除去されていなかった。
<比較例2>
実施例2と同様にしてポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液を得た。攪拌機を備えた容器に、イオン交換水7.0Lと2−プロパノール3.0Lの混合溶媒を投入し、攪拌翼を300rpmの速度で回転させる中に、前記反応液を10ml/minの速度で滴下し、ポリベンゾオキサゾール前駆体を液温25℃で沈殿させた。滴下終了後、沈殿物が固着しなくなるまで攪拌を続けると、60分間を要した。次に回収した沈殿物を、イオン交換水2.1Lと2−プロパノール0.9Lの混合溶媒中に投入して更に60分間攪拌を行った。その後、再び沈殿物を回収して60℃で240分間減圧乾燥することにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体の精製品を得た。ポリベンゾオキサゾール前駆体の精製処理には、合計460分間も要した。得られた精製品を1H−NMRで分析したところ、ポリベン
ゾオキサゾール前駆体の純度は98.8wt%であった。
本発明の製造方法は、マイクロエレクトロニクス分野で使用されるポリマーの単離精製の方法として幅広く応用が可能であり、また本発明により得られるポリベンゾオキサゾール前駆体は、優れた耐熱性、電気特性、機械的特性を有するので半導体の表面保護膜や多層配線用層間絶縁膜、その他電気・電子材料の分野において幅広い用途が期待される。
本発明の擬似移動層式クロマト分離装置の概略図
符号の説明
1 第1ゾーン
2 第2ゾーン
3 第3ゾーン
4 第4ゾーン
5 溶離液の供給口
6 原液の供給口
7 精製液の抜出し口
8 不純物液の抜出し口

Claims (7)

  1. ポリベンゾオキサゾール前駆体を製造する方法であって、(a)縮合剤にジシクロヘキシルカルボジイミドを用いてジカルボン酸化合物と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとを反応させてジカルボン酸誘導体を合成する第一工程、(b)前記ジカルボン酸誘導体をビスアミノフェノール化合物と反応させてポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する第二工程、及び(c)前記ポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液より、脱離基として副生した1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを、擬似移動層式クロマト分離装置を用いて連続的に除去する第三工程を含むことを特徴とするポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。
  2. 第一工程で用いるジカルボン酸化合物が、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸である請求項1記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。
  3. 第二工程で用いるビスアミノフェノール化合物が、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒド
    ロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ
    フェニル)プロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、及び4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテルの少なくとも1種類を含む請求項1又は2記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。
  4. 第二工程で得られるポリベンゾオキサゾール前駆体の分子鎖末端を、ジカルボン酸無水物との反応で封止してなる請求項1〜3のいずれかに記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。
  5. 前記ジカルボン酸無水物が、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物及び無水マレイン酸の少なくとも1種類を含む請求項4に記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。
  6. 第三工程で用いる擬似移動層式クロマト分離装置が、ポリベンゾオキサゾール前駆体、及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾールに対して選択的分離能力を有する吸着剤を充填した複数のカラム群を、各カラムの後端に配管を介してこれに続くカラムの先端を順次結合することで全体として流体の循環系なすように構成させた擬似移動層であり、前記カラム群が、循環系の液流れの上流側から下流側に向かって第1ゾーンから第4ゾーンの計4ゾーンに区分されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。
  7. 前記吸着剤が、スチレン又はアクリルとジビニンルベンゼンの共重合体よりなる多孔質球状粒子である請求項6に記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。
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