(2)前記領域設定手段(253,206,IPU1)は、画像読み取り対象原稿の前記主走査方向の原稿サイズを検出する原稿サイズ検出手段(253)を含み、検出した前記主走査方向の原稿サイズに対応する値を前記汚れ処置領域(Sri)に設定する;上記(1)に記載の画像読み取り装置。これによれば、実際に読み取りに設定された原稿の幅対応に汚れ処置領域(Sri)に設定されるので、検出対象領域に過不足のない汚れ検出を効率よく行うことができる。
(3)前記領域設定手段(220,IPU1)は、前記検出した前記主走査方向の原稿サイズの前記主走査方向の両端のそれぞれから原稿に入った2位置(L1,L2)を指定する領域指定手段(220)を含み、指定があった2位置間の距離に対応する値を汚れ処置実効領域(Eri)に設定し;汚れ検出手段(IPU1)が前記汚れ処置実効領域(Eri)の画像信号に汚れ信号を検出すると前記制御手段は前記副走査手段(224/238)の走査駆動を停止する;上記(2)に記載の画像読み取り装置。これによれば、実際に読み取りに設定された原稿の幅より更に狭い、原稿両端の余白(左右マージン)よりも内側の画像領域に汚れを検出するとき、自動的に原稿読み取りが停止する。画像領域にノイズラインがあると画像の判読に悪影響を与える。この場合に原稿読み取りが自動停止するので、ユーザはそこで読み取りを中断するか、あるいは続行するかを選択して、無駄な読み取りを回避するとか、あるいは、ノイズラインがあってもそのまま読み取り情報を得るとかを合理的に決定することができる。
(4)前記報知手段(IPU1,31a,220)は、前記汚れ信号の検出に応答して前記制御手段が前記副走査手段(224/238)の走査駆動を停止するとき、処置方要求を報知する;上記(3)に記載の画像読み取り装置。これによれば、ユーザは処置方要求の内容から、対応方を認識できる。
(5)前記報知手段(IPU1,31a,220)は、ユーザ指示を入力する指示入力手段(220)を含み;前記制御手段は、該指示入力手段(220)の指示入力が「続行」又は「補正」の指示であると、前記副走査手段(224/238)の走査駆動を再開する;上記(4)に記載の画像読み取り装置。これによれば、ユーザは処置方要求に対応して、そこで読み取りを中断するか、あるいは続行するか等を選択して、指示することができる。
(6)装置は更に、汚れ検出時の処置方を指定する情報を記憶する処置方記憶手段(220,31a,HDD,CM)を備え;前記汚れ検出手段(IPU1)は、汚れ信号を検出したとき前記処置方記憶手段の情報が指定する処置方を実行する;上記(1)又は(2)に記載の画像読み取り装置。これによれば、読み取りを中断するか続行するか等を指定する情報を予め処置方記憶手段(220,31a,HDD,CM)に格納しておけば、汚れが検出されたとき、ユーザの指示を待つことなく自動的に読み取りの中断,続行等が行われる。ユーザの手間が省ける。
(7)透光板(240/231),該透光板を通して原稿を照明する照明灯(232),投影像を主走査方向(x)にライン読み取りして読み取った画像信号をライン出力する撮像素子(207),前記透光板を透過した前記原稿の画像を前記撮像素子に投影する光学手段(233〜236),前記原稿と光学手段の一方を前記主走査方向と直交する副走査方向(y)に走査駆動する副走査手段(224/238)、および、該副走査手段(224/238)の動作を制御する制御手段(206)、を備える画像読み取り装置において、
前記撮像素子の主走査方向の読み取り幅すなわちライン長(SrM)よりも狭い幅を汚れ処置領域(Sri/Eri)に設定する領域設定手段(253,206,IPU1/220,IPU1);前記撮像素子がライン出力する画像信号に汚れ信号があるかを検出する汚れ検出手段(IPU1);および、前記汚れ信号の検出に応答して汚れを報知する報知手段(IPU1,31a,220);を備え、前記汚れ検出手段(IPU1)が前記汚れ処置領域(Sri/Eri)の画像信号に汚れ信号を検出したときに前記制御手段が前記副走査手段(224/238)の走査駆動を停止する;ことを特徴とする、画像読み取り装置。
これによれば、撮像素子のライン長(SrM)の範囲で汚れが検出されたときに汚れ報知が発生し、ユーザはライン長(SrM)のいずれかの位置に汚れがあると認識できる。しかして、領域設定手段が設定した汚れ処置領域(Eri)に汚れがあると原稿読み取りが自動的に停止する。領域設定手段を利用して処置領域(Sri/Eri)を、読み取り対象原稿の幅(Sri)又はその内側の画像領域(Eri)に定めることにより、原稿画像に影響がある汚れ検出時には原稿読み取りが自動的に停止するので、ユーザは現在読み取り中の原稿に対して、読み取りの中断,続行などの処置を選択できる。
(8)透光板(240/231),該透光板を通して原稿を照明する照明灯(232),投影像を主走査方向(x)にライン読み取りして読み取った画像信号をライン出力する撮像素子(207),前記透光板を透過した前記原稿の画像を前記撮像素子に投影する光学手段(233〜236),前記原稿と光学手段の一方を前記主走査方向と直交する副走査方向(y)に走査駆動する副走査手段(224/238)、および、該副走査手段(224/238)の動作を制御する制御手段(206)、を備える画像読み取り装置において、
前記撮像素子の主走査方向の読み取り幅すなわちライン長(SrM)よりも狭い幅を汚れ処置領域(Eri)に設定する領域設定手段(253,206,IPU1/220,IPU1);前記撮像素子がライン出力する画像信号に汚れ信号があるかを検出する汚れ検出手段(IPU1);前記汚れ信号の検出に応答して汚れを報知する報知手段(IPU1,31a,220);および、汚れ検出時の処置方を指定する情報を記憶する処置方記憶手段(220,31a,HDD,CM)を備え;前記汚れ検出手段(IPU1)は、前記汚れ処置領域(Eri)の画像信号に汚れ信号を検出したときに前記処置方記憶手段の情報が指定する処置方を実行する;ことを特徴とする画像読み取り装置。
これによれば、撮像素子のライン長(SrM)の範囲で汚れが検出されたときに汚れ報知が発生し、ユーザはライン長(SrM)のいずれかの位置に汚れがあると認識できる。しかして、領域設定手段が設定した汚れ処置領域(Eri)に汚れがあると、処置方記憶手段の情報が指定する処置方が自動的に実行されるので、ユーザは現在読み取り中の原稿に対して、読み取りの中断,続行などの処置方を指示する手間が省ける。
(9)上記(1)乃至(8)のいずれか1つに記載の画像読み取り装置(210,230);
画像データを蓄積する記憶手段(MEM,HDD);および、
該画像読み取り装置が出力する画像データを前記記憶手段に蓄積し、前記記憶手段から読出す画像データ処理手段(ACP);
を備える画像処理装置。これによれば、画像読み取り装置で画像を読み込んで記憶手段に蓄積して、任意の時点に読み出しできる。
(10)上記(1)乃至(8)のいずれか1つに記載の画像読み取り装置(210,230);および、
前記画像読み取り装置が読み取った画像データが表わす画像を用紙上に印刷するプリンタ(PTR);を備える画像形成装置。これによれば、画像読み取り装置で原稿画像を読みとってプリントアウトできる。
(11)上記(1)乃至(8)のいずれか1つに記載の画像読み取り装置(210,230);
画像データを蓄積する記憶手段(MEM,HDD);
該画像読み取り装置が出力する画像データを前記記憶手段に蓄積し、前記記憶手段から読出す画像データ処理手段(ACP);および、
前記記憶手段から読出した画像データが表わす画像を用紙上に印刷するプリンタ(PTR)、を備える画像蓄積機能がある複写装置。これによれば、画像読み取り装置で原稿画像を読み取って記憶手段に蓄積し、そして読み出してプリントアウトできる。
(12)前記記憶手段から読出した画像データを通信網に送出する通信手段(38)を更に備える上記(9)又は(11)に記載の装置。これによれば、多くの画像の画像データを記憶手段(MEM,HDD)に蓄積し、そして読み出して通信網を介してクライアント或いはホストに配信できる。
本発明の他の目的および特徴は、図面を参照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
図1に、本発明の第1実施例の複合機能フルカラーデジタル複写機を示す。このフルカラー複写機は、大略で、自動原稿送り装置(ADF)230と、操作ボード220と、カラースキャナ210と、カラープリンタPTRおよびフィニッシャ100の各ユニットで構成されている。なお、操作ボード220,ADF230付きのカラースキャナ210およびフィニッシャ100は、プリンタPTRから分離可能なユニットであり、カラースキャナ210は、動力機器ドライバやセンサ入力およびコントローラを有する制御ボードを有して、画像データ処理装置ACP(図4)と通信を行いタイミング制御されて原稿画像の読み取りを行う。パソコンPCは、LAN(Local Area Network)を介して複写機の画像データ処理装置ACP(図4)に接続されている。ファクシミリコントロールユニットFCU(図4)には、電話回線PN(ファクシミリ通信回線)に接続された交換器PBXが接続されている。カラープリンタPTRのプリント済の用紙は、フィニッシャ100に排出される。
図2に、カラープリンタPTRの機構を示す。この実施例のカラープリンタPTRは、レーザプリンタである。1色のトナー像を形成する、感光体15および現像器27ならびに図示を省略したチャージャ,クリーニング装置および転写器の組体(作像ユニット)は、Bk(黒),C(シアン),M(マゼンタ)およびY(イエロー)のそれぞれの作像用に一組、合せて4組があり、搬送ベルト16に沿ってタンデムに配列されており、それらによって形成された各色トナー像が順次に一枚の転写紙上に重ねて転写される。
第1トレイ8,第2トレイ9および第3トレイ10に積載された転写紙は、各々第1給紙装置11,第2給紙装置12および第3給紙装置13によって給紙され、縦搬送ユニット14によって感光体15に当接する位置まで搬送される。スキャナ50にて読み込まれた画像データは、書込ユニット60からのレーザー露光によって、図示を省略したチャージャによって均一に荷電した感光体15に書込まれこれにより静電潜像を形成する。この静電潜像が現像ユニット27を通過することによって感光体15上にトナー像が現れる。転写紙が感光体15の回転と等速で搬送ベルト16によって搬送されながら、感光体15上のトナー像が転写される。その後、定着ユニット17にて画像を定着させ、排紙ユニット18によって後処理装置のフィニシャ100に排出される。
図2に示す、後処理装置のフィニシャ100は、本体の排紙ユニット18によって搬送された転写紙を、通常排紙ローラ103方向と、ステープル処理部方向へ導く事ができる。切り替え板101を上に切り替える事により、搬送ローラ103を経由して通常排紙トレイ104側に排紙する事ができる。また、切り替え板101を下方向に切り替える事で、搬送ローラ105,107を経由して、ステープル台108に搬送する事ができる。ステープル台108に積載された転写紙は、一枚排紙されるごとに紙揃え用のジョガー109によって、紙端面が揃えられ、一部のコピー完了と共にステープラ106によって綴じられる。ステープラ106で綴じられた転写紙群は自重によって、ステープル完了排紙トレイ110に収納される。
一方、通常の排紙トレイ104は前後(図2紙面と垂直な方向)に移動可能な排紙トレイである。前後に移動可能な排紙トレイ部104は、原稿毎、あるいは、画像メモリによってソーティングされたコピー部毎に、前後に移動し、簡易的に排出されてくるコピー紙を仕分けるものである。
転写紙の両面に画像を作像する場合は、各給紙トレイ8〜10から給紙され作像された転写紙を排紙トレイ104側に導かないで、経路切り替えの為の分岐爪19を下向きに廻す事で、一旦反転ユニット112に導き、そして両面給紙ユニット111にストックする。
その後、両面給紙ユニット111にストックされた転写紙は再び感光体15に作像されたトナー画像を転写するために、両面給紙ユニット111から再給紙され、経路切り替えの為の分岐爪112を図示水平に戻し、排紙トレイ104に導く。この様に転写紙の両面に画像を作成する場合に、反転ユニット112および両面給紙ユニット111が使用される。
感光体15,搬送ベルト16,定着ユニット17,排紙ユニット18および現像ユニット27は、図示を省略したメインモータによって駆動され、各給紙装置11〜13はメインモータの駆動を、やはり図示を省略した各給紙クラッチによって伝達することにより駆動される。縦搬送ユニット14は、メインモータの駆動を図示を省略した中間クラッチによって伝達することにより駆動される。
図3に、スキャナ210およびそれに装着されたADF230の、原稿画像読み取り機構を示す。このスキャナ210のコンタクトガラス231上に置かれた原稿は、照明ランプ232により照明され、原稿の反射光(画像光)が第1ミラー233で副走査方向yと平行に反射される。照明ランプ232および第1ミラー233は、図示しない、副走査方向yに定速駆動される第1キャリッジに搭載されている。第1キャリッジと同方向にその1/2の速度で駆動される、図示しない第2キャリッジには第2および第3ミラー234,235が搭載されており、第1ミラー233が反射した画像光は第2ミラー234で下方向(z)に反射され、そして第3ミラー235で副走査方向yに反射されて、レンズ236により集束され、CCD207に照射され、電気信号に変換される。第1および第2キャリッジは、走行体モーター238を駆動源として、y方向に往(原稿走査),復(リタ−ン)駆動される。
このようにスキャナ210は、コンタクトガラス231上の原稿をランプ232およびミラー233で走査して原稿画像をCCD207に投影するフラットベッド方式の原稿スキャナであるが、シートスルー読み取りも可能なように、第1キャリッジがホームポジション(待機位置)HPで停止しているときの第1ミラー233の読み取り視野位置に、シートスルー読み取り窓であるガラス240があり、このガラス240の上方に自動原稿供給装置(ADF)230が装着されており、ADF230の搬送ドラム(プラテン)244がガラス240に対向している。
ADF230の原稿トレイ241に積載された原稿は、ピックアップローラ242およびレジストローラ対243で搬送ドラム244と押さえローラ245の間に送り込まれて、搬送ドラム244に密着して読み取りガラス240の上を通過し、そして排紙ローラ246,247で、原稿トレイ241の下方の圧板兼用の排紙トレイ248上に排出される。
図11に、原稿トレイ241の原稿載置面を示す。図示は省略したが、原稿載置面に対して起立した固定サイドフェンスと、主走査方向xに位置調整できる可動サイドフェンスがあり、固定サイドフェンスの原稿端規制面は副走査方向yに延び、主走査方向xの原点0に、上向き原稿の左端位置を規制する。可動サイドフェンスはこの実施例では、主走査方向xに手でスライド駆動すると、B5原稿の横幅の位置(B5),A4原稿の横幅の位置(A4),B5原稿の縦長(B4原稿の横幅)の位置(B5/B4)およびA4原稿の縦長(A3原稿の横幅)の位置(A4/A3)のそれぞれでばね係止により止まり、そこでは比較的に強い力を加えなければ移動させることができないスライド位置決め構造になっている。これらのどの位置に可動サイドフェンスが停止しているかを検出する、複数個の電気スイッチでなる原稿サイズ検出スイッチ253(図3,図5)が原稿トレイ241に装着されており、主走査方向xの原稿サイズ(可動サイドフェンスの位置)を表わす電気信号を出力する。
図3を再度参照する。原稿の表面の画像は、原稿読取窓である読み取りガラス240を原稿が通過する際に、その直下に位置している照明ランプ232により照射され、原稿の表面の反射光は、第1ミラー233以下の光学系を介してCCD207に照射され光電変換される。すなわちRGB各色画像信号に変換される。搬送ドラム244の、読み取りガラス240に対向する表面は白色である。
読み取りガラス240と原稿始端の位置決め用のスケール251との間には、基準白板239、ならびに、第1キャリッジを検出する基点センサ249がある。基準白板239は、照明ランプ232の個々の発光強度のばらつき,また主走査方向のばらつきや、CCD207の画素毎の感度ムラ等が原因で、一様な濃度の原稿を読み取ったにもかかわらず、読み取りデータがばらつく現象を補正(シェーディング補正)するために用意されている。
ADF230の基体248は、奥側(図3紙面の裏側)でスキャナ210の基体にヒンジ結合(蝶番連結)しており、基体248の手前側(図3紙面の表側)の取っ手250mを持ってADF230の基体248引き上げることにより、ADF230が、コンタクトガラス231に略60度をなす起立姿勢まで起こすことができる。ADF230の基体248の奥側には、ADF230の基体248がコンタクトガラス231に対して略20度以上の広開度で「開」を表す高レベルH、該略20度より小さい開度で「閉」を表す低レベルLの信号を発生する圧板開度検出スイッチ252がある。ADF230の、コンタクトガラス231に対向する圧板250pがADF230の底面部に装着されており、ADF230の開度が0度のとき、圧板250pの下面が、図3に示すように、コンタクトガラス231の上面に密着する。
圧板開度検出スイッチ252の開度検出信号が「開」を表わすHでADF230が前記60度程度に開いているときに、仮にランプ232がコンタクトガラス231の下方の、ユーザから見える位置にあって点灯すると、その光がユーザの目に入る。しかし、圧板開度検出スイッチ252の開度検出信号が「閉」を表わすLでADF230の開きが前記20度程度以下のときには、仮にランプ232がコンタクトガラス231の下方の、ユーザから見える位置にあって点灯しても、その光が圧板250pで遮られて、ユーザの目にはほとんど入らない。
前述の第1キャリッジおよび第2キャリッジの副走査方向yの往復光路の下方の、キャリッジの副走査方向の移動に緩衝しない位置に、副走査方向yの原稿サイズ判定用の、反射型光センサSy1〜Sy6が配置されており、これらのセンサの、コンタクトガラス231に垂直な方向(z)の検出位置は、コンタクトガラス231の上面(ガラス231に載置された原稿のガラス接触面)に設定されている。本実施例では、反射型光センサSy1〜Sy6はそれぞれ、コンタクトガラス231上の、名刺,はがき,A4(横),B5(縦),B4(縦)およびA3(縦)の副走査y方向後端縁部に対応する位置に紙(原稿)があるかを検出する。反射型光センサSy1〜Sy6のそれぞれは、コンタクトガラス231上の検出点に紙がある(発射光の反射光を受光する)と原稿ありを示す高レベルH、紙がない(発射光の反射光を受光しない)と原稿無しを示す低レベルLの原稿検出信号を発生する。なお、ADF230の基体248が20度未満の開度でも、原稿がなく圧板250pがコンタクトガラス231の上面から数mm以上はなれていると、反射型光センサSy1〜Sy6が投射した光の圧板250pによる反射光はセンサに戻らず、センサの原稿検出信号は原稿無しを示す低レベルLである。コンタクトガラス231上に原稿がある位置のセンサの原稿検出信号は、基体248が開いていても閉じていても、原稿ありを示す高レベルHである。
図4に、図1に示す複写機の画像処理系統のシステム構成を示す。このシステムでは、読取ユニット211と画像データ出力I/F(Interface:インターフェイス)212でなるカラー原稿スキャナ210が、画像データ処理装置ACPの画像データインターフェース制御CDIC(以下単にCDICと表記)に接続されている。画像データ処理装置ACPにはまた、カラープリンタPTRが接続されている。カラープリンタPTRは、画像データ処理装置ACPの画像データ処理器IPU2(Image Processing Unit;以下では単にIPU2と記述)から、書込みI/F134にYMCK記録画像データを受けて、作像ユニット135でプリントアウトする。作像ユニット135は、図2に示すものである。
画像データ処理装置ACP(図4)はルータに接続されており、該ルータには、パソコンPCが接続したLANのハブ(図示略)およびインターネットに接続したモデム(図示略)が接続されており、画像データ処理装置ACPは、LANに接続した機器(例えば、パソコンPC,サーバDSR,プリンタ,スキャナ,複合機能複写機など)と通信して画像データの送,受信をすることができる。また、インターネットを介して、インターネット通信機能がある他の機器と通信して画像データの送,受信をすることができる。LANのハブに接続された配信サーバDSRは、それに送信された又は蓄積したファイル(メール,画像)を、指定された又は登録された宛て先(LAN接続機器又はインターネット接続機器)に配信するコンピュータである。
画像データ処理装置ACP(以下では単にACPと記述)は、パラレルバスPb,画像メモリアクセス制御IMAC(以下では単にIMACと記述),画像メモリMEM(メモリモジュール;以下では単にMEMと記述),ハードディスク装置HDD(以下では単にHDDと記述),システムコントローラ31a,RAM34,不揮発メモリ35,フォントROM36,CDIC,IPU2等、を備える。パラレルバスPbには、ファクシミリ制御ユニットFCU(以下単にFCUと記述)を接続している。操作ボード220はシステムコントローラ31aに接続している。
カラー原稿スキャナ210の、原稿を光学的に読み取る読取ユニット211のCCD207の撮像素子が発生するRGB画像信号は、センサボードユニットSBU上で信号処理しかつRGB画像データに変換しかつシェーディング補正して、出力I/F212を介してCDICに送出する。
CDICは、画像データに関し、出力I/F212,パラレルバスPb,IPU2間のデータ転送,プロセスコントローラ131とACPの全体制御を司るシステムコントローラ31aとの間の通信をおこなう。また、RAM132はプロセスコントローラ131のワークエリアとして使用され、不揮発メモリ133はプロセスコントローラ131の動作プログラム等を記憶している。
半導体メモリMEMの他に、多くの画像データを収納するためにHDDがある。HDDを用いる事により、外部電源が不要で永久的に画像を保持できる特徴もある。多くの原稿の画像をスキャナで読み込んでHDDに保持し、また、PCが与える多くのドキュメント画像を保持できる。
画像メモリアクセス制御IMAC(以下では単にIMACと記述)は、パソコンのハードウエアおよびソフトウエアと同等のものを備えており、MEMおよびHDDに対する画像データ,制御データの書き込み/読み出しを制御する他に、wwwサーバ(ソフト),FTPサーバ(ソフト),SMTPサーバ(ソフト),DHCPサーバ(ソフト)およびその他のファイル,メールの送受信に使用するサーバ(ソフト)がセットアップされている。なお、これらのソフト(プログラム)はHDDに格納されている。
システムコントローラ31aは、パラレルバスPbに接続される各構成部の動作を制御する。また、RAM34はシステムコントローラ31aのワークエリアとして使用され、不揮発メモリ35はシステムコントローラ31aの動作プログラム等を記憶している。
操作ボード220は、ACPがおこなうべき処理を入力する。たとえば、処理の種類(複写、ファクシミリ送信、画像読込、プリント等)および処理の枚数等を入力する。これにより、画像データ制御情報の入力をおこなうことができる。
スキャナ210およびADFのCCD207で読取ったRGB画像データは、IPU2で、スキャナガンマ補正,フィルタ処理などの、読取り歪を補正する画像処理を施してから、MEMに蓄積する。MEMの画像データをプリントアウトするときには、IPU2においてRGB信号をYMCK信号に色変換し、プリンタガンマ変換,階調変換,および、ディザ処理もしくは誤差拡散処理などの階調処理などの画質処理をおこなう。画質処理後の画像データはIPU2から書込みI/F134に転送される。書込みI/F134は、階調処理された信号に対し、パルス幅とパワー変調によりレーザー制御をおこなう。その後、画像データは作像ユニット135へ送られ、作像ユニット135が転写紙上に再生画像を形成する。
IMACは、システムコントローラ31aの制御に基づいて、画像データとMEM,HDDのアクセス制御,LAN上に接続したパソコンPC(以下では単にPCと表記)のプリント用データの展開,MEM,HDDの有効活用のための画像データの2次圧縮/伸張、ならびに、各種サーバ(ソフト)を使用する画像ファイルの生成およびLAN又はインターネットを介する送,受信を行う。
IMACへ送られた画像データは、データ圧縮後、MEM又はHDDに蓄積され、蓄積された画像データは必要に応じて読み出される。プリントのために読み出された画像データは、伸張され、1次圧縮データに戻しIMACからパラレルバスPbを経由してCDICへ戻され、CDICで1次伸張されて本来の画像データに戻される。CDICからIPU2への転送後は画質処理をして書込みI/F134に出力し、作像ユニット135において転写紙(用紙)上に再生画像を形成する。LAN又はインターネットを介して送信をする場合には、2次圧縮データのまま或いはPCとの共用性が高い別の圧縮方式で圧縮して、ネットワークI/F38およびルータを介して、LAN又はインターネットに送出する。
画像データの流れにおいて、パラレルバスPbおよびCDICでのバス制御により、デジタル複合機の機能を実現する。ファクシミリ送信は、スキャナ210,ADF230で読取られた画像データをIPU2にて画像処理を実施し、CDICおよびパラレルバスPbを経由してFCUへ転送することによりおこなわれる。FCUは、通信網へのデータ変換をおこない、それを公衆回線PNへファクシミリデータとして送信する。ファクシミリ受信は、公衆回線PNからの回線データをFCUにて画像データへ変換し、パラレルバスPbおよびCDICを経由してIPU2へ転送することによりおこなわれる。この場合、特別な画質処理はおこなわず、書込みI/F134から出力し、作像ユニット135において転写紙上に再生画像を形成する。
複数ジョブ、たとえば、画像読み取り機能,コピー機能,ファクシミリ送受信機能,プリンタ出力機能が並行に動作する状況において、読取ユニット211,作像ユニット135およびパラレルバスPbの使用権のジョブへの割り振りは、システムコントローラ31aおよびプロセスコントローラ131において制御する。プロセスコントローラ131は画像データの流れを制御し、システムコントローラ31aはシステム全体を制御し、各リソース(ジョブ)の起動を管理する。また、デジタル複合機の機能選択は、操作ボード220においておこなわれ、操作ボード220の選択入力によって、画像読取機能,画像データ登録機能,コピー機能,プリント機能,ファクシミリ機能,連結転送機能等の処理内容を設定する。
システムコントローラ31aとプロセスコントローラ131は、パラレルバスPb,CDICおよびシリアルバスSbを介して相互に通信をおこなう。具体的には、CDIC内においてパラレルバスPbとシリアルバスSbとのデータ,インターフェースのためのデータフォーマット変換をおこなうことにより、システムコントローラ31aとプロセスコントローラ131間の通信を行う。
各種バスインターフェース、たとえばパラレルバスI/F 37、シリアルバスI/F 39、ローカルバスI/F 33AAおよびネットワークI/F 38は、IMACに接続されている。システムコントローラ31aは、ACP全体の中での独立性を保つために、複数種類のバス経由で関連ユニットと接続する。
システムコントローラ31aは、パラレルバスPbを介して他の機能ユニットの制御をおこなう。また、パラレルバスPbは画像データの転送に供される。システムコントローラ31aは、IMACに対して、画像データをMEM,HDDに蓄積させるための動作制御指令を発する。この動作制御指令は、IMAC,パラレルバスI/F 37、パラレルバスPbを経由して送られる。
この動作制御指令に応答して、画像データはCDICからパラレルバスPbおよびパラレルバスI/F 37を介してIMACに送られる。そして、画像データはIMACの制御によりMEM又はHDDに格納されることになる。
一方、ACPのシステムコントローラ31aは、PCからのプリンタ機能としての呼び出しの場合、プリンタコントローラとネットワーク制御およびシリアルバス制御として機能する。ネットワーク経由の場合、IMACはネットワークI/F 38を介してプリント出力要求データを受け取る。汎用的なシリアルバス接続の場合、IMACはシリアルバスI/F 39経由でプリント出力要求データを受け取る。汎用のシリアルバスI/F 39は複数種類の規格に対応している。PCからのプリント出力要求データはシステムコントローラ31aにより画像データに展開される。その展開先はMEM内のエリアである。展開に必要なフォントデータは、ローカルバスI/F 33aおよびローカルバスRb経由でフォントROM36aを参照することにより得られる。ローカルバスRbは、このコントローラ31aを不揮発メモリ35aおよびRAM34aと接続する。
シリアルバスSbに関しては、PCとの接続のための外部シリアルポート32a以外に、ACPの操作部である操作ボード220との転送のためのインターフェースもある。これはプリント展開データではなく、IMAC経由でシステムコントローラ31aと通信し、処理手順の受け付け、システム状態の表示等をおこなう。システムコントローラ31aとMEM,HDDおよび各種バスとのデータ送受信は、IMACを経由しておこなわれる。MEM,HDDを使用するジョブはACP全体の中で一元管理される。
CDICは、カラー原稿スキャナ210(SBU)が出力する画像データを受けて、IPU2に出力する。IPU2は、「スキャナ画像処理」190をして、CDICに送りだす。CDICは、パラレルバスPbでの転送効率を高めるために画像データの1次圧縮を行う。圧縮した画像デ−タは、パラレルバスPbへ送出される。パラレルデータバスPbから入力される画像データはバス転送のために1次圧縮されており、CDICで伸張される。伸張された画像データはIPU2へ転送される。IPU2では、「画質処理」によりRGB画像データをYMCK画像データに変換し、プリンタ100の画像出力用の画像データYp,Mp,Cp,Kpに変換してカラープリンタ100に出力する。
CDICは、パラレルバスPbで転送するパラレルデータとシリアルバスSbで転送するシリアルデータの変換機能を併せ持つ。システムコントローラ31aは、パラレルバスPbにデータを転送し、プロセスコントローラ131は、シリアルバスSbにデータを転送する。CDICは、2つのコントローラ1,131の通信のために、パラレル/シリアルデータ変換を行う。
図5に、スキャナ210およびADF230の画像読み取りの電気系統の構成を示す。イメージセンサ207から出力される電気信号すなわち、R,G,B各色アナログ画像信号はそれぞれ、センサ・ボード・ユニットSBU(以下ではSBUと表記)の信号処理208で増幅され、A/D変換209によってデジタル画像信号すなわち画像データに変換される。この画像データは、SBU上の画像処理ユニットIPU1(以下ではIPU1と表記)でシェーディング補正210a,画素密度変換210bおよび変倍212bの処理段を経て、CDICを介して画像データ処理器IPU2に出力される。A/D変換209では、アナログ画像信号を画像データにディジタル変換する。IPU1はまた、シートスルー方式の原稿読み取りのときには、シェーディング補正した画像データを監視して、シートスルー方式の読み取り窓240の汚れ検出211も行う。
スキャナ制御回路206は、ACPのシステムコントローラ31aおよびプロセスコントローラ131からの指示に従って、点灯タイミング制御回路205,信号処理タイミング制御回路213及びモータ制御ユニット260を制御する。点灯タイミング制御回路205は、スキャナ制御回路206からの指示に従って露光ランプ232(232a,232b)のオン/オフを制御するとともに、信号処理タイミング制御回路213を介してプロセスコントローラ131が指示する照度(光量)に露光ランプ232の明るさ(時系列平均値又は平滑値)を定める。なお、参照符号232a,232bを総括的に参照符号232で示すことがある。
モータ制御ユニット260は、スキャナ制御回路206からの指示に従って、副走査駆動モータ238及びADFモータ224を制御する。これらのモータは、いずれもステッピングモータであり、駆動系統の軸にはロータリエンコーダ(E)221及び225が連結されている。原稿の走査位置(y)および駆動量ならびにADF送り原稿の先,後端位置および送り量は、各ロータリエンコーダ221,225が発生する電気パルスを計数して把握される。図5に示す紙センサ223は、ADF30の原稿トレイ上に原稿があるかを検知するもの,ペーパジャム検知のものを含む。原稿サイズ検出スイッチ253は、原稿トレイ241に装備した可動サイドフェンスの原稿幅方向xの位置(主走査方向の原稿サイズ)を検出するものであり、複数個の電気スイッチ群である。基点センサ249は、第1キャリッジの基準位置通過を検出するものであり、図3に示すように、基準位置からリターン方向にa分もどった位置が、第1キャリッジのホームポジション(待機位置)HPであり、窓板240に対向するシートスルーの読み取り位置である。
信号処理タイミング制御回路213は、スキャナ制御回路206,ACPのシステムコントローラ31a及びプロセスコントローラ131からの指示あるいは制御信号に従って、各種信号を生成する。即ち、画像読み取りを開始すると、イメージセンサ207に対しては、シフトゲート信号SH,転送ロック,リセット信号RSおよびクランプゲート信号CLP等を含む制御信号を与え、IPU1およびシステムコントローラ31aに対しては、画素同期クロックパルスCLK(CLK1),ライン同期信号LSYNC及び主走査有効期間信号LGATEを出力する。この画素同期クロックパルスCLKは、イメージセンサ207に与えるシフトクロックと略同一の信号である。また、ライン同期信号LSYNCは、プリンタ14の作像ユニット16のビームセンサが出力するライン同期信号MSYNCと対応する信号であるが画像読み取りを行なっていない時は出力が禁止される。主走査有効期間信号LGATEは、イメージセンサ207が出力する画信号が有効と見なせるタイミング(原稿領域読み取り期間)で高レベルHになる。
スキャナ制御回路206は、ACPのシステムコントローラ31aから読み取り開始指示(スタート)を受けると、スイッチングレギュレータ203への制御信号Seを電源出力オンを指示するレベルに切換え、信号処理タイミング制御回路213(の制御信号発生)を制御してイメージセンサ207の読み取りを開始し、露光ランプ232を点灯し、副走査駆動モータ238(手差しモード)又はADFモータ(ADFモード)を駆動開始する。また、副走査有効期間信号FGATEを高レベルH(原稿領域外)にセットする。この信号FGATEは、手差しモード(フラットベッド方式の読み取り)では第1キャリッジが原稿始端位置に達したときに、原稿領域内を示すLに切り替えられ、ADFモード(シートスルー方式の読み取り)では、レジストローラからの原稿(先端)の送り出し搬送量が、ADF13を使用するシートスルー画像読取りモードでの原稿読み取り位置までの送り量に達したときに原稿領域内を示すLに切り替えられる。そして、手差しモードでは原稿尾端の走査が終わると、ADFモードでは原稿尾端がHPを通過すると、副走査有効期間信号FGATEは原稿領域外を示すHに戻される。
読み取りユニット11の交流入力回路201には商用交流が印加され、直流電源回路202が商用交流を直流に変換する。スイッチングレギュレータ203が、直流電圧を昇圧直流に変換して定電圧に制御し、インバータを含む駆動回路204a,204bに放電灯電源として印加する。駆動回路204a,204bの各インバータが、点灯タイミング制御回路205が与える各点灯制御信号TG1,TG2に応答して、それが点灯指示である低レベルLの間高電圧直流を高電圧交流に変換して各露光ランプ232a,232bに印加する。露光ランプ232a,232bは放電灯であり、該高電圧交流によって駆動されて発光し、原稿を照明する。各点灯制御信号TG1,TG2の高レベルHは消灯指示であり、各点灯制御信号TG1,TG2が高レベルHに切換わると駆動回路204a,204bの各インバータが、高電圧直流の高電圧交流への変換を停止し、すなわち露光ランプへの高電圧交流出力を停止し、これにより露光ランプ232a,232bが消灯する。
図6に、IPU1の構成を示す。入出力I/F31には、画像データの入,出力をする画像ポート0〜4、および、制御データ,制御信号あるいは同期信号のやり取りをするモード設定器(モード指定デコーダ),SCI(System Control Interface),割込みコントローラ,JTAG(回路自動テスト),ホストI/Fおよびクロックジェネレータ、ならびにタイマがある。画像ポート0および1は画像データの入力専用,画像ポート2は画像データの入出力用、ならびに、画像ポート3および4は出力専用である。各画像ポート0〜4には、第1ポートと第2ポートがあり、第1及び第2各ポートで1バイトのデータを同時に入力および又は出力できる。これにより各画像ポート0〜4は、2バイトのデータを同時に並行して入力および又は出力できる。RGBカラー画像データ(多値階調)は8ビット、モノクロ読取り(モノクロ処理モード)が指定された場合の読取り出力データ(多値階調)も8ビットである。したがってモノクロ処理モードのときには、2つの画像データ即ち2画素の画像データを同時に並行して入力/出力できる。カラー処理モードの時には、1画素のRGB各画像データの2つを同時に並行して入力/出力できる。
バッファメモリ装置32の、各メモリであるRAM0〜15のそれぞれは、8Kバイトの記憶容量がある。8Kバイトは、A3版短辺に平行な1ラインの600dpiの多値の画像データ(8ビット:R,G,B画像データの1種)を格納しうる容量であり、ラインバッフアとして画像データの入力および又は出力に用いられる、あるいは、LUTとして用いられる。この種のRAMが16個あり、それぞれ2バイト一括の読み書きと、1バイトづつの読み書きとを選択できるものである。2個のRAM16,17は、それぞれ2Kバイトの容量であり、これらは、画像データ転送元又は転送先との間のシリアルデータ転送の速度差吸収のために、画像データを循環シフトする循環シフトレジスタとして使用するものである。
これらのRAM0〜17はメモリスイッチSW1〜SW3の何れかに接続されている。画像ポート0〜4,メモリスイッチSW1〜SW3およびSIMD型プロセッサ33の3者の間にはメモリコントローラ「メモコン」0〜17が介挿されている。画像ポート0〜4のそれぞれに接続したメモコン0〜5,11および12は、SIMD型プロセッサ33が与える入出力モード指定に応じて、画像ポートに対するデータ入出力機能を有する。これらのメモコンに対して、画像ポート,SIMD型プロセッサ33又はRAM(0〜17)が、データ転送の発送側となり、また、データ転送の受取側となる。
その他のメモコン6〜10および13〜19も、SIMD型プロセッサ33が与える入出力モード指定に応じて、データの転送方向(From/To)を定めるデータセレクト機能を有するが、これらのメモコンに対しては、SIMD型プロセッサ33又はRAM(0〜17)がデータ転送の発送側となり、また、データ転送の受取側となる。しかし、画像ポートに対する接続機能は無い。メモコン0〜19の何れも、SIMD型プロセッサ33が与えるRAM指定に応じて、メモリスイッチ(SW1〜SW3)を、指定されたRAM(0〜17)に自己メモコンを接続するように設定する。
メモコン0〜19のそれぞれには、SIMD(Single Instruction Stream Multiple Data Stream)型プロセッサ33が与えるメモコン設定情報を格納する設定情報レジスタおよびSIMD型プロセッサ33が指定する接続先RAM(0〜17)の管理情報を格納する管理情報レジスタならびにDMA(ダイレクトメモリアクセス)コントローラ(DMAC)がある。また、DMACには、接続先RAM(0〜17)の読み書きアドレスを定めるアドレスカウンタ,開始アドレスレジスタ(ラッチ),終了アドレスレジスタ,使用モードレジスタ、および、メモリ入出力制御回路がある。これら開始アドレスレジスタ,終了アドレスレジスタおよび使用モードレジスタはそれぞれ、RAMの複数の領域区分での各領域宛ての開始アドレス,終了アドレスおよび使用モード(バッフアメモリ/LUT)を保持しえるように、複数の情報を格納できる。前記メモリ入出力制御回路は、前記設定情報レジスタおよび管理情報レジスタのデータ群をデコードし、データ転送の発送側のタイミング信号に同期して、受取側への制御信号およびタイミング信号を生成するデコーダを含み、更に、8KバイトのRAM0〜15は、1ラインデータの、奇数番画素データと偶数番画素データへの分離、またその逆の、奇数番画素データと偶数番画素データの1ラインへの集成、の各データ処理に用いる偶数番(又は奇数番)画素同期信号を生成するための、画素同期パルスを1/2に分周する1/2分周器を含む。
バッファメモリRAM(0〜17)に対してデータを読み書きするときには、前記メモリ入出力制御回路のデコーダは、前記アドレスカウンタの画素同期パルスのカウント値(画素アドレス)を、前記開始アドレスレジスタおよび終了アドレスレジスタのデータと比較して、現在のRAMアクセス領域を検知し、検知した領域の使用モードデータを使用モードレジスタから読み出して、それを動作モード制御信号にデコードしてRAM(0〜17)に対する読み書きを制御する。
メモコン設定情報により、あるメモコンA(0〜19の1つ)に、接続すべきあるRAMa(0〜17の1つ)が指定され、その使用モードに「バッフアメモリ」(書込/読出し)が指定された場合には、該メモコンAは、メモリスイッチ(SW1〜SW3)の内部のデータセレクタを該メモコンAが該RAMaにアクセスする接続に定める。この場合に、メモコン設定情報がたとえば入力カラー画像データの読込みを指定するときには、プロセッサ33が指定したRAMa(0〜17)に、同じく指定した画像ポートに入ってくるカラー画像データを書込む。
図7に、図6に示すSIMD型プロセッサ33の構成の概要を示す。データ処理装置であるSIMD型プロセッサ33は、内部にプロセッサエレメントPE区分のローカルメモリRAM群を持ち、使用するメモリ領域,データパスの経路をグローバルプロセッサ38にあるデータバスコントロールに於いて制御する。入力されたデータおよび出力のためのデータはローカルメモリRAM群をバッファメモリとして割り当て、それぞれに格納し、外部I/F39にて外部に出力する。ローカルメモリRAMを含みそれぞれが8ビット以上の多値画像データに対して並行して同じ画像処理を行う多数のプロセッサエレメントPE群すなわちデータ処理器PEGに、グローバルプロセッサ38が同時に同一の演算命令を与える。プロセッサエレメントPEの演算結果は再度ローカルメモリRAMに格納する。そして外部I/F39を通してメモコンに出力する。
プロセッサエレメントPEの処理手順,処理のためのパラメータ等はプログラムRAM36及びデータRAM37との間でやり取りを行う。プログラムRAM36,データRAM37には、システムコントローラ31aの命令によって、ハードディスクHDDのプログラムおよびデータが、IMAC/パラレルバスPb/CDIC/シリアルバスSb経由で、ダウンロードされる。このデータ転送は、外部I/F39にあるDMAC(ダイレクトメモリアクセスコントローラ)が、プロセスコントローラ131が与えるロードコマンドに応答して実行する。このデータの流れは、該DMACの要求に応じてプロセスコントローラ131が設定する。
RAM0〜17群がバッファメモリBMであり、それに対してデータを読み書きするバッファコントローラBCに、メモリスイッチSW1〜SW3群,メモコン0〜19群,外部I/F39およびグローバルプロセッサ38が含まれる。このバッファコントローラBCが、画像ポート0〜4群,バッファメモリBMおよびプロセッサエレメントPE群を含むデータ処理器PEGの三者間のデータ転送を制御する。グローバルプロセッサ38は、プログラムRAM36のデータプログラムに基づいて前記三者間のデータ転送モードを定め、かつデータ処理器PEGのデータ処理の内容を定める。
プログラムRAM36のデータプログラムの中に、データ転送モードを定める転送モードデータならびにデータ処理器PEG宛の処理モードデータがある。グローバルプロセッサ38は転送モードデータを認識した(読取った)制御ステージ(タイミング)では、転送モードデータをデコード(解読)してデータRAM37から、該転送モードデータ対応の、外部IF39(のデータセレクタDs20,Ds21)を制御する下位制御データ(メモコン指定データ)およびそれによって特定されるメモコンに与える下位階層の制御情報データ(設定情報&管理情報)を読み出して、外部IF39に、またそれを介してメモコンに与える。
また、グローバルプロセッサ38は上記処理モードデータを認識した制御ステージでは、データ処理モードをデコードしてデータRAM37から、該データ処理モード宛てのデータ処理器PEGのデータ処理プログラムおよび参照データ,設定データを読出してデータ処理器PEGの各プロセッサエレメントPEの内部RAMに書き込む。プログラムRAM36およびデータRAM37で構成される制御情報メモリCMが、バッファメモリBM(RAM0〜17)の制御情報データ、ならびに、変換テーブル又は演算データを含む変換用データ、を記憶する制御情報メモリである。
バッファメモリBMは、逐次的に入力されるデータを蓄え、蓄えたデータの所定数を同時にデータ処理器PEGに出力し、また、データ処理器PEGで処理された所定数の処理済データを一旦蓄えて出力可能なバッファメモリである。プロセッサエレメントPE群であるデータ処理器PEGが、該バッファメモリBMの所定数のデータを同時に並行して入力して処理しあるいは処理した所定数のデータを同時に並行して出力するデータ処理器である。そして、バッファコントローラBCが、前記バッファメモリBMが該データ処理器(PEG)の並行入出力に適した形になるように、両者の接続を適応的に変化させ、また、前記制御情報メモリ(CM)の変換用データに基づいて、同一の複数の変換テーブルを前記バッファメモリ(BM)に形成することができるバッファコントローラである。
これらによって、バッファメモリBMを、そのメモリ(RAM0〜17のいずれか)の一部又は全部を、データ処理器(PEG)の並行入出力に適した状態に設定した後に、バッファメモリ(BM)からデータ処理器(PEG)に所定数のデータを同時に並行して入力しあるいはデータ処理器(PEG)が処理した所定数のデータを同時に並行してバッファメモリBMに出力するか、あるいは、詳細は後述するが、バッファメモリBMに形成された複数の変換テーブルのそれぞれに複数連の被変換データの各連を対応付けて、各変換テーブルから各連の被変換データに対応する変換済データを同時に並行して読出すか、または両者の処理を行う。
画像処理の内容を変えたり、システムで要求される処理形態(画像処理の組合せ)が変更になる場合、HDDからプログラムRAM36及びデータRAM37に転送するデータセットの、システムコントローラ106による選択を、操作ボードOPB又はパソコンPCからの指示により変更して対応する。また、HDDの、プログラムRAM36及びデータRAM37に転送するデータセットを、書換えて対応する場合もある。
外部I/F39内の入出力バスには、データ処理器であるプロセッサエレメントPE群(PEG:図7)の各エレメントPE内のRAMが接続されており、グローバルプロセッサ38が、個々のエレメントPE内のRAMの読み/書きDMA転送をメモコンに設定することにより、SIMD型プロセッサ33の外から個々のエレメントPE内のRAMにデータを書き込み、あるいは、個々のエレメントPE内のRAMから、SIMD型プロセッサ33の外にデータを読み出すことができる。すなわち、図6に示す画像ポート0〜4およびRAM0〜RAM17と、SIMD型プロセッサ33のプロセッサエレメントPE群(PEG)との間のデータ転送ができる。RAM0〜17と、SIMD型プロセッサ33との間のデータラインの1本線は、8ビットデータをビットパラレルで転送しうる1組のバスを意味している。
RAMの使用モードがLUT(変換テーブル)の生成であり、メモコン設定情報がシェーディングLUTを生成する(RAMにLUTデータを書込む)もののときには、メモコンB(0〜19の1つ)は、SIMD型プロセッサ33が与えるシェーディング補正データを、該プロセッサ33が指定したRAMb(0〜15の1つ)の、プロセッサ33が指定したアドレス(開始アドレス〜終了アドレス)に書込む。
メモコン設定情報による指定モードがカラー画像データの送出であると、プロセッサ33が出力する、またはそれが指定したRAMe(0〜15の1つ)の、カラー画像データを画像ポートに送出する。指定モードには、シェーディング補正210a,画素密度変換210b,汚れ検出211,変倍212およびその他があり、パラレル/シリアル変換又はその逆の変換を行う、RAM(0〜17)へのカラー画像データの書込みならびにRAM(0〜17)のカラー画像データの読み出しもある。これら各種処理のプログラムおよびデータは全てHDDにあり、IPU1(のグローバルプロセッサ38)は、スキャナ210に電源が投入されてグローバルプロセッサ38に動作電圧が加わったときに実行する初期化において、システムコントローラ31aおよびIMACを介してHDDから読み出して制御情報メモリCMに格納する。
スキャナ制御回路206には、CPU,ROMおよびRAMを含むマイクロコンピュータがあり、主要な制御は該マイクロコンピュータが行う。スキャナ210に電源が投入されて動作電圧がスキャナ制御回路206に加わると、スキャナ制御回路206(のCPU)は、スキャナ210およびADF230の初期化を行う。これを終え、しかもIPU1が前述の初期化を終えると、スキャナ制御回路206はシェーデイング補正LUTを、IPU1のバッファメモリ装置32(のRAM0〜17の一部)に形成する。すなわち、ランプ232を点灯して所定の明るさに調整し、ランプ232の明るさが所定レベルに安定すると、第1キャリッジ(ランプ232,第1ミラー233)を基準白板239の位置に駆動して信号処理タイミング制御回路213を介してIPU1(のグローバルプロセッサ38)にシェーディング補正LUTの生成を指示する。IPU1はこれに応答して、CCD207のライン読み取りの画像信号をA/D変換209がデジタルデータに変換した画像データを、数ライン分読み込んで同一主走査x位置の画像データの平均値を算出し、主走査1ライン上の各画素位置(x位置)の画像データ(平均値)を設定レベルとするに必要な各ゲインを算出して、各ゲインを、IPU1のバッファメモリ装置32(のRAM0〜17の一部)に定めたシェーデイング補正LUTに、各画素位置(x位置)宛てに書込む。基準白板239の読み取りが終わるとスキャナ制御回路206はランプ232を消灯して第1キャリッジをホームポジションHPに戻す。
図8に、スキャナ制御回路206による原稿読み取り制御(RCP)の概要を示す。操作ボード220又はパソコンPCからのユーザ入力による画像読み取りのスタート指示に応答して、システムコントローラ31aがスキャナ制御回路206にスタート指示を与えると、スキャナ制御回路206は、紙センサ223の検出信号を参照して(ステップ1,2)、原稿トレイ241上に原稿がない時には、第1キャリッジ(232,233),第2キャリッジ(234,235)を走査駆動するフラットベッド方式の原稿画像読み取り(ステップ11)を行う。なお、以下では、カッコ内にはステップという語を省略してステップ符号のみを記す。
スキャナ制御回路206は、読み取り制御(RCP)に進む前に、圧板開度検出スイッチ252の検出信号の変化を監視しており、圧板開から閉に切り換わってまだ圧板25pが閉じていないときにランプ232を点灯してコンタクトガラス231の下方に第1キャリッジをおいてCCD207による画像読み取りを行い、IPU1が読み取った画像データに基づいて主走査x方向の原稿サイズを検出する。第1キャリッジはホームポジションHPに戻す。上記フラットベッド方式の原稿画像読み取り(11)ではスキャナ制御回路206は、ランプ232を点灯して第1キャリッジ(232,233)および第2キャリッジ(234,235)をフォワード駆動(図3上の矢印y方向)する。このフォワード駆動の間、IPU1が、後述の「汚れ検出」(GPP:図9,図10)を実行し、スキャナ制御回路206は後述のステップ5〜10と同様な、汚れ検出対応の読み取り制御を行う。ただし、フラットベッド方式の原稿画像読み取り(11)では、IPU1がすでに主走査方向の原稿サイズを検出して保持している。スキャナ制御回路206は、一回のフォワード走査を終えるとランプを消灯してキャリッジをホームポジションHPにリターン駆動すると、次にスタート指示が到来するのを待つ。
スタート指示があったときに原稿トレイ241上に原稿があった場合には、原稿サイズ検出スイッチ253の検出信号を読み込んで主走査方向原稿サイズデータを生成してIPU1に出力する(3)。IPU1は該原稿サイズデータを、図9に示すステップ21で受信する。なお、IPU1が実行する図9に示す「汚れ検出」(GPP)の内容は後述する。次に、スキャナ制御回路206はランプ232を点灯し、原稿トレイ241上の原稿束の最上部の一枚の原稿をプラテン244に繰り出し、プラテン244の回転駆動によってシートスルー方式の読み取り窓であるガラス240上を通過して原稿押さえの上面に送り出す原稿走査を開始する(4)。この開始にともなって信号処理タイミング制御回路213が制御信号およびタイミング信号を発生する。すなわち、イメージセンサ207に対しては、シフトゲート信号SH,転送ロック,リセット信号RSおよびクランプゲート信号CLP等を含む制御信号を与え、IPU1およびシステムコントローラ31aに対しては、画素同期クロックパルスCLK,ライン同期信号LSYNC,主走査有効期間信号LGATEおよびフレーム有効期間信号FGATEを出力する。主走査有効期間信号LGATEは、イメージセンサ207が出力する画信号が有効と見なせるタイミング(主走査最大幅)を示す。原稿の先端が第1ミラー233の読み取り視野に入るとき、フレーム有効期間信号FGATEが原稿領域内を表わすレベルに反転する。
その後スキャナ制御回路206は、原稿の尾端が第1ミラー233の読み取り視野を抜けると、次の原稿が原稿トレイ241上にあるかを参照して(7,8)、次原稿があるとその読み取り(4)に進むが、次の原稿がなくなると、ランプ232を消灯して、最後の原稿を原稿押さえの上に排出してから(9)、原稿移送駆動系の運転を停止する(10)。
一枚の原稿の先端から後端までが第1ミラー233の読み取り視野を横切っている原稿画像読み取りの間に、IPU1は、シェーディング補正21aししかも画素密度変換210bで「汚れ検出」用に設定されたdpiに解像度変換した、原稿読み取りにより発生する画像データを参照して、ガラス240の「汚れ検出」(GPP:図9)を行い、汚れを検出し所定の条件が成立するときに、停止指示又は中断指示をスキャナ制御回路206に与える。
IPU1から停止指示を受けるとスキャナ制御回路206は、原稿の走査駆動(移送)を停止しランプ232を消灯して(5−12)、システムコントローラ31aから中断指示(終了指示)又は再開指示がくるのを待つ(13,14)。中断指示がくるとスキャナ制御回路206は、走査途中の原稿を原稿押さえ上に排出して(17)、次のスタート指示がくるのを待つ(1)。再開指示がきたときには、スキャナ制御回路206は、ランプ232を点灯して走査途中の原稿走査(移送)を開始する(15−7)。
IPU1から中断指示を受けるとスキャナ制御回路206は、原稿の走査駆動(移送)を停止しランプ232を消灯して(6−16)、走査途中の原稿を原稿押さえ上に排出して(17)、次のスタート指示がくるのを待つ(1)。
図9および図10に、スキャナ制御回路206によって一枚の原稿が移送されてガラス240を副走査方向yに横切っている間の、IPU1による、CCD207の画像読み取り信号に基づいた「汚れ検出」(GPP)の内容を示す。この「汚れ検出」(GPP)は、CCD207の画像読み取り信号をデジタル変換した画像データにシェーデイング補正を加え、さらに画素密度変換210bで「汚れ検出」用に設定されたdpiに解像度変換した画像データを用いて行われる。なお、画素密度変換210bは、「汚れ検出」用に設定されたdpiへの解像度変換と並行して、操作ボード220又はPCが指定した、すなわちホストが要求したdpiへの解像度変換も行いこの変換データをホストへの出力ルートにある変倍212に出力する。
図9をまず参照する。原稿トレイ241上の一束の原稿の画像読み取りの開始の直前に、スキャナ制御回路206が主走査方向xの原稿サイズデータをIPU1(のグローバルプロセッサ38)に与え、IPU1がこれを読み込む(21)。IPU1は、該サイズデータと、データRAM37(図7)の設定データ(原稿サイズ宛ての画素数)に基づいて、1ライン上画像データ摘出領域Sri(図11)を決定する(22)。
ここで汚れ検出に用いられる設定データの主要なものを説明する。この実施例では、主走査方向xの原稿サイズ宛てに、図11に示す画像データ摘出領域Sr1〜Sr4(値は、「汚れ検出」用に設定されたdpiでの画素数)が定められている。汚れありと検出したときに原稿読み取り停止又は中断とする実効領域Er1〜Er4を、オペレータ入力により摘出領域Sr1〜Sr4の内側に設定できる。実効領域Er1〜Er4は、図11に示すように、原稿の左端からL1の位置から原稿の右端よりもL2前の位置までであり、L1,L2は原稿上の左端マージン幅,右端マージン幅と想定しており、オペレータ入力により調整できる。図12の(a)には、操作ボード220上の液晶ディスプレイまたホスト(PC)のディスプレイに表示される「窓汚れ設定」の入力画面を示す。初期設定キーを操作することにより、ディスプレイには初期値設定メニューが表示されるが、その中の「窓汚れ設定」をオペレータがクリックすると、図12の(a)に示す入力画面が表示され、オペレータは、この入力画面の表示ボタンをクリックして、L1,L2の値を変更することができる。
図12の(a)に示す表示画面上の「汚れ対応」の欄は、汚れ検出時のIPU1の動作を指示するものであり、「続行」は汚れを無視して原稿読み取りを続行することを指示し、「補正」は汚れ箇所をその外側の画像データに置換して汚れ画像を消去する画像補正を指示し、「中断」は画像読み取りをそこで取りやめて読み取り途中の原稿を排出することを指示する。「手動選択」は、汚れを検出したときに上記「続行」,「補正」および「中断」の1つをユーザが選択指定するモードを指定するものであり、「自動実行」は、汚れを検出したときにユーザ選択を待たずに上記「続行」,「補正」および「中断」の中の、選択されているもの(中黒丸印)を自動的に実行するモードを指定するものである。この入力画面の設定は操作ボード220,PCに保存され、操作ボード220に保存された設定値(L1,L2,続行/補正/中断,手動選択/自動実行)は、HDDの「汚れ検出」ソフトにリンクした設定データテーブルに書き込まれ、スキャナ電源オン直後の、IPU1の制御情報メモリCMへの画像処理制御情報のダウンロードのときにデータRAM37に書き込まれる。また、操作ボード220を用いる初期値設定によって変更があったときにも、変更後のものがHDDおよびデータRAM37に書き込まれる。なお、図9および図10に示す「汚れ検出」(GPP)を実行するソフト(プログラム:画像処理制御情報)は、スキャナ電源オン直後の初期化のときに、HDDから読み出されてプログラムRAM36に書き込まれる。
図9を再度参照する。原稿画像読み取りの第1ラインの多値画像データがバッファメモリ装置32からSIMD型プロセッサ33のデータ処理器PEGに与えられる前に、プロセッサ38はデータ処理器PEG内の全PEの、局所顕像画素の副走査方向の連続数を計数するための各レジスタR6をクリアする(22)。プロセッサ38はまた、その内部の、副走査量カウント用のレジスタLNrおよび参照値L分の副走査が完了したか否を表わす情報を保持するためのフラグレジスタFLoをクリアし(23)、データ処理器PEG内の全PEの、局所顕像画素の副走査方向の連続数を計数するためのレジスタR6をクリアする(24)。
次にプロセッサ38は、バッファメモリ装置32が与える1ラインの多値画像データの各画素あてのものを、データ処理器PEGの各PEの入力レジスタR0に書き込む(25)。本実施例では、多値画像データは、黒(各色成分では最高顕像レベル)を0とし、色が明るくなるにつれ値が増し、白(各色成分では最低顕像レベル)を最大値(8ビット構成の画像データで255)とするものである。すなわち本実施例では、多値画像データは、顕像レベルが高い(画像濃度が高い)画素宛てには小さい値を、顕像レベルが低い(画像濃度が低い)画素宛てには大きい値を示すものである。なお、図13の(a)には、主走査方向xで局所的に顕像レベルが高い局所顕像画素があるときの、多値画像データが表す値の主走査方向xの分布を示す。この図上の、TH2以下TH3以上の値の画素(谷ピーク)をIPP1〜5が、以下に説明するデータ処理によって、局所顕像画素と検出する。仮に、多値画像データが、黒(各色成分では最高顕像レベル)を最高値(255)とし、色が明るくなるにつれ値が下がり、白(各色成分では最低顕像レベル)を最低値0とするものであるときは、例えば、図13の(a)に示すグラフ上の画素値曲線を、上下反転した曲線の山ピーク位置の画素が、局所顕像画素である。
内容は後述するが、IPU1のデータ処理器PEGは、各画素(図13の(b)に示す注目画素)が局所顕像画素であるかを、該注目画素の多値画像データが与えられたPE(プロセッシングエレメント)で、主走査方向前後5画素合わせて11画素の多値画像データ、すなわち図13の(b)に示す主走査方向xで、No.−5〜No.+5の11画素の並びの狭領域内の多値画像データ、の分布がノイズライン横断パターンであるかを検索して、ノイズライン横断パターンと検出したパターンの注目画素No.0には局所顕像画素を意味する「1」を、非検出の場合には「0」の局所顕像画素検出データ(R5)を発生する。そして副走査の進行にともなって、局所顕像画素との検出の継続数(R6)を計測して、継続数が参照値L以上になると、そこの画素はノイズライン上の画素と判定して、これを表わすノイズライン検出データ(R8=「1」)をバッファメモリ装置32に出力する。
バッファメモリ装置32は、「補正」が指定されている(Com=「1」:図10の58)ときには、1ラインの始端から、データ処理器PEGが出力したノイズライン検出データが「1」の画素宛ての、バッファメモリ上1ラインの多値画像データ群の中の多値画像データを、同一ライン上先行画素の多値画像データに書き換える(図9の38,41)。ライン上先頭画素の場合は、先行画素がないので、ダミー画像データ(顕像無しレベル)に書き換える。ノイズライン検出データが「0」の画素宛ての多値画像データは、メモリにあるままとし、変更しない。
図9を再度参照する。画像データをデータ処理器PEGに書き込む(25)と、その後グローバルプロセッサ38は、ノイズライン検出(30〜37)を行うが、該ノイズライン検出(30〜37)は、副走査量Lの範囲ごとに実行する。
すなわち、副走査量L内では、1ライン(IPP1宛ての1ブロック)の画像データを各PEの各レジスタR0に書込む度に、レジスタLNrを1インクレメントして(26,27)、レジスタLNrのデータが、参照値L相当の副走査量(ライン数)以上になったかをチェックする(28)。そして参照値L相当の副走査量になったときに、これを表わす「1」をフラグレジスタFLoに書き込む(29)。この書込みステップ29に続くノイズライン検出(30〜37)で、参照値L相当の副走査量になる間の、局所顕像画素との判定が継続した画素宛てのPEのレジスタR7には、ノイズラインを意味する「1」が書込まれ、ついでノイズライン画素の前後3画素(No.−3〜No.+3)宛てのPEのレジスタR8に、ノイズライン(の幅内)を意味する「1」が書込まれ、このノイズライン情報がバッファメモリ装置32に出力される(42)。
ノイズライン検出(30〜37)ではプロセッサ38は、各多値画像データを与えたPEの全てに、顕像なし(地肌)レベルかを検出する第1閾値TH1を与えて、入力レジスタR0の多値画像データの2値化を指示する(30)。各PEはこれに応答して多値画像データがTH1以上であると「1」、そうでないと「0」の2値データを生成してレジスタR1に書きこむ。次にプロセッサ38は、PEの全てに、顕像ありレベルかを検出する第2閾値TH2を与えて、入力レジスタR0の多値画像データの2値化を指示する(31)。各PEはこれに応答して多値画像データがTH2以上であると「1」、そうでないと「0」の2値データを生成してレジスタR2に書きこむ。次にプロセッサ38は、PEの全てに、強い顕像ありレベルかを検出する第3閾値TH3を与えて、入力レジスタR0の多値画像データの2値化を指示する(32)。各PEはこれに応答して多値画像データがTH3以上であると「1」、そうでないと「0」の2値データを生成してレジスタR3に書きこむ。
次にプロセッサ38は、全PEに、レジスタR2とR3の2値データのEX.OR(排他論理和)演算を指示する(33)。各PEはこれに応答してレジスタR2とR3の2値データのEX.ORを算出してレジスタR4に書き込む。レジスタR4に書きこんだ2値データが「1」のPEが宛てられた画素は、図13の(a)に示す、多値画像データが、TH2未満かつTH3以上の画素すなわち局所顕像画素候補である。
次にプロセッサ38は、全PEに、自PE(注目画素)より5画素前のNo.−5位置の画素に割り当てられたPE、および、5画素後のNo.+5位置の画素に割り当てられたPEの、各レジスタR1の2値データ(顕像なしレベル近くの多値画像データであると「1」)と、自PEのレジスタR4の2値データ(局所顕像画素候補であると「1」)の論理積演算すなわちパターンマッチングを指示する(34)。各PEはこれに応答して該論理積演算を行い、結果を表わす2値データ(「1」:局所顕像画素)をレジスタR5に書き込む。
次にプロセッサ38は、レジスタR5の2値データが「1」(局所顕像画素)であればレジスタR6のデータ(初期値は、ステップ24により0)を1インクレメントし「0」であればクリアする計数処理を指示する(35)。次にプロセッサ38は、全PEに、参照値Lを与えてレジスタR6の計数データの2値化を指示する(36)。全PEはこの2値化を実行して、得た2値データ(参照値L以上で「1」:ノイズライン上画素)をレジスタR7に書き込む。この2値データが、各PEに与えられた多値画像データが、ノイズラインのものか否を示すノイズライン画素検出データ(「1」:ノイズライン)である。
次にプロセッサ38は、No.−3〜No.+3画素の画像データが与えられたPEの、各レジスタR7の論理和演算を全PEに指示する(37)。全PEはこの論理和演算を実行して、得た2値データ(「1」:ノイズライン幅内画素)をレジスタR8に書き込む。これにより、例えば図13の(b)に示すNo.1〜No.+1の3画素がノイズラインと判定されていた場合には、No.−4〜No.+3の画素の多値画像データが与えられたPEの各レジスタR8に、ノイズライン幅内画素を意味する「1」が書き込まれ、ノイズライン幅が主走査方向xに拡張される。
グローバルプロセッサ38は、ステップ37から38,39そして25を経て、ステップ26で参照値L分の副走査ラインに対するノイズライン検出が終わっていると、データ処理器PEGの全PEの各レジスタR8のノイズライン検出データをバッファメモリ装置32に出力する(42)。このときR8=「1」(汚れあり)のデータがあると、そのライン上位置をセーブし、システムコントローラ31aに汚れ警告報知を指示する(図10の46)。これに応答してシステムコントローラ31aは操作ボード220(又は原稿読み取りを指示したPC)に汚れ警告の出力を指示し、操作ボード220(PC)がそのディスプレイに、図12の(b)に示す汚れ警告画面を表示すると共に、操作ボード220(PC)のブザーを、ピーと間断して3回鳴らす。汚れ警告画面は、汚れ検出の設定画面(図12の(a))に汚れがあったことを報知する警報文「原稿読み取り窓が汚れています。清掃が必要です。次の設定を変更できます。」(自動実行が設定されているとき)又は、「原稿読み取り窓が汚れています。清掃が必要です。続行/補正/中断を指定しOKをクリックして下さい。」(手動選択が設定されているとき)を加えたものである。
図10を参照する。グローバルプロセッサ38はここで、データRAM37の汚れ検出の設定データ(L1,L2,続行/補正/中断,手動選択/自動実行)を参照して、汚れ位置が実行領域Eriの外である場合には、原稿走査を続行する(47−23)。すなわち汚れが左右マージンL1,L2の範囲内であると、警報表示はするが、原稿走査読み取りは停止しない。
汚れ位置が実行領域Eri内の場合には、「手動選択」であるとプロセッサ38は、スキャナ制御回路206およびシステムコントローラ31aに原稿読み取りの停止を指示する(47,48−52)。そしてシステムコントローラ31aおよびスキャナ制御回路206経由で、操作ボード220(PC)へのユーザの選択入力が与えられるのを待つ(53,54,56)。ユーザの選択入力「続行」がくるとプロセッサ38は新たな汚れ検出を開始し(53−23)、ユーザの選択入力「補正」がくるとレジスタComに補正指示を表わす「1」を書き込んで(54,55)、新たな汚れ検出を開始する(23)。ユーザの選択入力「中断」がくるとプロセッサ38は、「汚れ検出」(GPP)を終了する。なお、これらの選択入力はシステムコントローラ31aからスキャナ制御回路206に与えられそしてIPU1に与えられるので、スキャナ制御回路206は、ユーザの選択入力「続行」又は「補正」が受けたときにはステップ14から15(図8)に進む。ユーザの選択入力「中断」を受けたときにはステップ13から17(図8)に進む。
汚れ位置が実行領域Eri内の場合でも、「自動実行」が設定されていたときにはプロセッサ38は、「続行」の設定であるときには原稿読み取りを停止することなく、新たな汚れ検出を開始する(49−23)。「補正」の設定であるときには原稿読み取りを停止することなく、レジスタComに補正指示を表わす「1」を書き込んで(50,55)、新たな汚れ検出を開始する(23)。「中断」の設定であるときには、スキャナ制御回路206およびシステムコントローラ31aに、原稿読み取りの中断を指示する。
汚れを検出しても「続行」又は「補正」の指定がある場合には、プロセッサ38は、上述の汚れ検出を、バッファメモリ装置32と協働して、1ページの原稿の副走査方向の後端まで実行する。この間に、補正要(Com=「1」)になるとバッファメモリ装置32は、ステップ42で与えられラインバッファメモリに保持する1ラインの汚れ検出データを参照して、原稿読み取りの画像データの出力ライン上の変倍212に出力する1ライン画像データの汚れ検出位置の画像データを、汚れ位置の直前の汚れのない画像データと置換する(図9の38,41)。FGATEが原稿なしを表わすレベルに反転すると(ページエンドになると)プロセッサ38はFGATEが原稿ありを表わすレベルに反転するのを待ってステップ23の汚れ検出開始に進む(39,40−23)。FGATEが原稿ありを表わすレベルに反転せず、スキャナ制御回路206が次原稿なしを報知してくると、「汚れ検出」(GPP)を終了する。