JP2005277969A - 画像処理装置、画像投射装置、方法、プログラムおよび記録媒体 - Google Patents

画像処理装置、画像投射装置、方法、プログラムおよび記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】 適切な先鋭化処理を施すことが可能な画像処理装置等を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明による画像処理装置は、入力画像データに対して画像処理を施すことによって、投射レンズを有する画像投射装置に供給される画像データを生成する。当該画像処理装置は、投影領域における各画像部分の前記投射レンズ上での位置における、投射レンズの放射方向MTFデータおよび同心円方向MTFデータを取得するためのMTFデータ取得手段と、前記放射方向MTFデータおよび前記同心円方向MTFデータに基づき、前記各画像部分の投影レンズ上での位置毎に算出された強調度にしたがって先鋭化処理を施す先鋭化処理手段と、を備えて構成される。これによって、投射レンズの放射方向MTFデータと前記同心円方向MTFデータとの相違を考慮に入れた適切な先鋭化処理を施すことができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、画像投射装置(プロジェクタ)によって投射される画像の画像処理に関する。
従来より、プロジェクタ等では先鋭な画像を得るために入力画像データに対して所定の画像処理を施している。
例えば、特許文献1には、プロジェクタの表示領域内の各部分ごとに異なる強調度で先鋭化処理を施す画像処理装置が開示されている。当該画像処理装置は、基準点(合焦点位置)からの距離に応じて先鋭化処理の強度が決定される。
また、特許文献2には、カメラによって撮影された画像の先鋭度を高めるための画像処理装置が開示されている。当該画像処理装置は、取得されたレンズのMTF情報に基づき先鋭化処理を施すものであり、投影画像の周波数分布で重み付けしたレンズのMTF値の平均値を用いて先鋭化処理を行っている。
特開2003−32580号公報 特開2002−344798号公報
しかしながら、特許文献1に記載の画像処理装置では、投射レンズのMTF情報の異方性が考慮されていないため、投射レンズのMTF特性による出力画像の鮮鋭度の低下に対して、適切な先鋭化処理を施すことが困難である。さらに、特許文献1に記載の画像処理装置では、レンズシフトによるレンズ中心位置のずれも考慮されていないため、レンズシフトを行った際に適切な先鋭化処理を施すことも困難である。
また、特許文献2に記載の画像処理装置では、投射レンズのMTF情報の異方性が考慮されていないことのみならず、レンズの位置によるMTF情報の変化を考慮しておらず、適切な先鋭化処理を施すことは困難であった。
そこで、本発明は、適切な先鋭化処理を施すことが可能な画像処理装置等を提供することを課題とする。
本発明の一態様による画像処理装置は、入力画像データに対して画像処理を施すことによって、投射レンズを有する画像投射装置に供給される画像データを生成する画像処理装置であって、投影領域における各画像部分の前記投射レンズ上での位置における、投射レンズの放射方向MTFデータおよび同心円方向MTFデータを取得するためのMTFデータ取得手段と、前記放射方向MTFデータおよび前記同心円方向MTFデータに基づき、前記各画像部分の投影レンズ上での位置毎に算出された強調度にしたがって先鋭化処理を施す先鋭化処理手段と、を備えて構成される。
上記のように構成された画像処理装置によれば、まず、MTFデータ取得手段によって、投影領域における各画像部分の前記投射レンズ上での位置における、投射レンズの放射方向MTFデータおよび同心円方向MTFデータが取得され、そして、先鋭化処理手段によって、前記放射方向MTFデータおよび前記同心円方向MTFデータに基づき、前記各画像部分の投影レンズ上での位置毎に算出された強調度にしたがって先鋭化処理が施される。
また、上記本発明による画像処理装置は、前記先鋭化処理手段が、前記各画像部分の投影レンズ上での位置の、投影レンズ中心からの距離に応じて算出された強調度にしたがって先鋭化処理を施すように構成される。
さらに、上記本発明による画像処理装置は、前記先鋭化処理手段が、前記各画像部分の投影レンズ上での位置の、投影レンズ中心からの方向に応じて算出された強調度にしたがって先鋭化処理を施すように構成される。
また、上記本発明による画像処理装置は、前記先鋭化処理手段が、前記放射方向MTFデータおよび前記同心円方向MTFデータに基づき、投影領域の水平方向の強調度と投影領域の垂直方向の強調度とを算出し、これら水平方向の強調度と垂直方向の強調度とを合成して算出された強調度にしたがって先鋭化処理を施すように構成される。
上記本発明による画像処理装置は、前記投射レンズ上での代表的な位置における、投影領域の水平方向の強調度と投影領域の垂直方向の強調度とを記憶する強調度記憶手段をさらに備え、前記先鋭化処理手段が、前記投射レンズ上での代表的な位置における投影領域の水平方向の強調度と投影領域の垂直方向の強調度とに基づき、投射レンズ上での他の位置における投影領域の水平方向の強調度と投影領域の垂直方向の強調度とを補間により求めるように構成される。
また、上記本発明による画像処理装置は、前記投射レンズ上の所定領域内の代表的な位置における、投影領域の水平方向の強調度と投影領域の垂直方向の強調度とを記憶する強調度記憶手段をさらに備え、前記先鋭化処理手段が、前記投射レンズ上の所定領域内の代表的な位置における投影領域の水平方向の強調度と投影領域の垂直方向の強調度とに基づき、投射レンズ上の前記所定領域以外の領域内の代表的な位置における投影領域の水平方向の強調度と投影領域の垂直方向の強調度とを、強調度の対称性により求めるように構成される。
本発明の他の態様による画像処理装置は、投射レンズを有する画像投射装置であって、投影領域における各画像部分の前記投射レンズ上での位置における、投射レンズの放射方向MTFデータおよび同心円方向MTFデータを取得するためのMTFデータ取得手段と、前記放射方向MTFデータおよび前記同心円方向MTFデータに基づき、前記各画像部分の投影レンズ上での位置毎に算出された強調度にしたがって先鋭化処理を施す先鋭化処理手段と、を備えるように構成される。
本発明のさらに他の態様による画像処理装置は、入力画像データに対して画像処理を施すことによって、投射レンズを有する画像投射装置に供給される画像データを生成する画像処理方法であって、投影領域における各画像部分の前記投射レンズ上での位置における、投射レンズの放射方向MTFデータおよび同心円方向MTFデータを取得するためのMTFデータ取得工程と、前記放射方向MTFデータおよび前記同心円方向MTFデータに基づき、前記各画像部分の投影レンズ上での位置毎に算出された強調度にしたがって先鋭化処理を施す先鋭化処理工程と、を備えるように構成される。
本発明のさらに他の態様による画像処理装置は、入力画像データに対して画像処理を施すことによって、投射レンズを有する画像投射装置に供給される画像データを生成する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、投影領域における各画像部分の前記投射レンズ上での位置における、投射レンズの放射方向MTFデータおよび同心円方向MTFデータを取得するためのMTFデータ取得処理と、前記放射方向MTFデータおよび前記同心円方向MTFデータに基づき、前記各画像部分の投影レンズ上での位置毎に算出された強調度にしたがって先鋭化処理を施す先鋭化処理と、をコンピュータに実行させるように構成される。
本発明のさらに他の態様による画像処理装置は、入力画像データに対して画像処理を施すことによって、投射レンズを有する画像投射装置に供給される画像データを生成する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読取可能な記録媒体であって、投影領域における各画像部分の前記投射レンズ上での位置における、投射レンズの放射方向MTFデータおよび同心円方向MTFデータを取得するためのMTFデータ取得処理と、前記放射方向MTFデータおよび前記同心円方向MTFデータに基づき、前記各画像部分の投影レンズ上での位置毎に算出された強調度にしたがって先鋭化処理を施す先鋭化処理と、をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録してコンピュータによって読取可能に構成される。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
プロジェクタの全体構成
図1は、本発明の一実施形態としてのプロジェクタ10の全体構成を示す説明図である。当該プロジェクタ10は、アナログ画像入力端子12と、ディジタル画像入力端子14と、3つのA/Dコンバータ20と、ビデオデコーダ(同期分離回路)22と、フレームメモリ24と、ビデオプロセッサ26と、レンズMTF(Modulation Transfer Function)情報保存部28と、液晶パネル制御部30と、レンズシフト制御部31と、液晶パネル32と、リモートコントローラ制御部34と、を備えている。なお、フレームメモリ24とビデオプロセッサ26とレンズMTF情報保存部28とは、1つの画像処理用集積回路60として集積化されているものとする。
当該プロジェクタ10は、さらに、液晶パネル32を照明するための照明装置50と、液晶パネル32を透過した透過光をスクリーンS上に投射する投写光学系52とを備えている。液晶パネル32は、透過型の液晶パネルであり、照明装置50から射出された照明光を変調するライトバルブ(光変調器)として使用されている。
なお、図示を省略しているが、当該プロジェクタ10は、RGBの3色分の3枚の液晶パネル32と、後述する各回路は3色分の画像信号を処理する機能とを有している。また、照明装置50は、白色光を3色の光に分離する色光分離光学系を有している。さらに、投写光学系52は、3色の画像光を合成してカラー画像を表す画像光を生成する合成光学系を有している。なお、このようなプロジェクタ(投写型表示装置)の光学系の構成については、例えば本願出願人による特願平8−352003号公報に開示されているので、ここではその説明は省略する。
入力画像信号としては、アナログ画像入力端子10に入力されるアナログ画像信号AVと、ディジタル画像入力端子12に入力されるディジタル画像信号DVとのうちのいずれか一方を選択的に利用できる。アナログ画像信号AVは、A/Dコンバータ20によって3色の画像信号成分を有するディジタル画像信号に変換される。
ビデオプロセッサ26に入力された画像信号は、フレームメモリ24に一時的に格納された後、フレームメモリ24から読出されて液晶パネル制御部30に供給される。ビデオプロセッサ26は、この書込みと読出しの間に、入力された画像信号に対して種々の画像処理を施す。液晶パネル制御部30は、与えられた画像信号に応じて、液晶パネル32を制御するための制御信号を生成する。液晶パネル32は、この制御信号に応じて照明光を変調する。
ユーザは、リモートコントローラ40を使用して、シャープネス(先鋭度)調整や、コントラスト調整、輝度調整等の、画像全体に対して施す各種の調整のための設定値を入力することができる。また、図示を省略しているが、プロジェクタ10本体にも、各種の設定値を入力するためのキーやボタンが設けられている。
ビデオプロセッサの内部構成
図2は、本発明の一実施形態としてのビデオプロセッサ26の内部構成を示すブロック図である。ビデオプロセッサ26は、フレームメモリ制御部62と、画質調整部68と、先鋭化処理部70と、フィルタ生成部72と、フィルタ強度記憶部74と、を備えている。
フレームメモリ制御部62は、図1に示したA/Dコンバータ20またはビデオデコーダ22から供給されるディジタル画像信号DV0をフレームメモリ24に書き込むとともに、フレームメモリ24からディジタル画像信号を読出すための制御を行う。
画質調整部68は、ユーザの設定に従って画像全体のコントラスト、輝度、シャープネス等を調整する。なお、画質調整部68での処理は周知であるので、詳細な説明は省略する。
フィルタ生成部72は、レンズシフト制御部からのレンズの位置情報およびレンズMTF情報保存部からのMTF情報に基づき、フィルタ強度(先鋭化処理の程度を示す係数:本発明の「強調度」に対応する)を算出して、当該フィルタ強度をフィルタ強度記憶部74に記憶させると共に、先鋭化処理部70に供給する。当該フィルタ生成部72が、本発明の「MTFデータ取得手段」に対応する。また、フィルタ強度記憶部74が、本発明の「強調度記憶手段」に対応する。
先鋭化処理部70は、フィルタ生成部70によって生成されたフィルタ強度(強調度)に応じて、各画素毎に異なる強度で先鋭化処理を行う。当該先鋭化処理部70が本発明の「先鋭化処理手段」に対応する。
先鋭化処理部70およびフィルタ生成部72の処理については、以下で詳細に説明する。
先鋭化処理部70およびフィルタ生成部72の処理
図3は、先鋭化処理部70およびフィルタ生成部72の処理を説明するためのフローチャートである。ビデオプロセッサ26のCPUが行う処理である。
まず、フィルタ生成部72は、レンズシフト制御部31からレンズが標準位置(センタ)からどの位変位しているかを示す情報(レンズシフト情報)を取得して(S10)、レンズの中心の位置を特定する(S12)。
次に、フィルタ生成部72は、投影領域における各画像部分の投射レンズの中心からの距離および方向を算出する(S14)。当該実施形態では、投影領域における各画素毎に投射レンズの中心からの距離および方向を算出する。
図4に、投影領域における各画像部分の、投射レンズ上での距離および方向を説明するための図を示す。図4(a)は、図4(b)に示す投射レンズ上の投影領域部分を拡大して示したものである。図4(a)に示すように、投射レンズの中心と各画像部分との距離をrと定義する。また、投射レンズの中心と各画像部分とを結ぶ直線の方向を放射方向と定義し、当該画像部分を通り放射方向と直交する直線の方向を同心円方向と定義する。
さらに、フィルタ生成部72は、レンズMTF情報保存部28から、投影領域における各画像部分の前記投射レンズ上での位置における、投射レンズの放射方向および同心円方向のMTFデータを取得する(S16)。
図5に、投射レンズの放射方向および同心円方向におけるMTFデータの一例を示す。図5に示すように、放射方向および同心円方向におけるMTFデータをそれぞれ、s(ω,r)、m(ω,r)とすると、放射方向と同心円方向とでは、投射レンズの中心から所定の距離におけるコントラスト応答(MTFデータ:投影レンズ上での液晶パネルの解像度に相当する周波数における値)が異なることがわかる。そこで、このような放射方向と同心円方向とにおけるMTFデータの相違(MTFの異方性)を以下のように考慮して、最適な先鋭化処理(シャープネス処理)を行う。
そして、フィルタ生成部72は、投影領域における各画像部分の前記投射レンズ上での位置における、放射方向および同心円方向のフィルタ強度を算出する(S18)。当該実施形態では一例として、放射方向のフィルタ強度Sおよび同心円方向のフィルタ強度Mをそれぞれ以下のように定義する。
S=(1−s(ω,r))/(4s(ω,r))
M=(1−m(ω,r))/(4m(ω,r))
ここで、s(ω,r)は投射レンズの放射方向のコントラスト応答であり、m(ω,r)は投射レンズの同心円方向のコントラスト応答である。また、ωはレンズ上での液晶パネルの解像度に相当する周波数であり、rは投射レンズの中心からの距離(像高)である。したがって、放射方向のフィルタ強度Sおよび同心円方向のフィルタ強度Mは、投影領域における各画像部分の投影レンズ上での位置の、投影レンズ中心からの距離に応じて算出される。
次に、フィルタ生成部72は、投影領域における各画像部分の前記投射レンズ上での位置における、投影領域の水平方向のフィルタ強度Xおよび投影領域の垂直方向のフィルタ強度Yを求める(S20)。
図6に、投射レンズの放射方向および同心円方向のフィルタ強度(S,M)と、投影画像(投影領域)の水平方向および垂直方向のフィルタ強度(X,Y)との関係を説明するための図を示す。投射レンズの中心と各画像部分とを結ぶ直線の方向(放射方向)と、投影画像(投影領域)の水平方向となす角をθとすると、S成分およびM成分の水平成分を抽出してX成分が求められ、S成分およびM成分の垂直成分を抽出してY成分が求められる。式で示すと以下のとおりである。
X={(Scosθ)2+(Msinθ)2}1/2
Y={(Ssinθ)2+(Mcosθ)2}1/2
ここで、SおよびMはrの関数であるので、XおよびYはrおよびθの関数である。したがって、投影画像(投影領域)の水平方向および垂直方向のフィルタ強度(X,Y)は、投影領域における各画像部分の投影レンズ上での位置の、投影レンズ中心からの距離rおよび方向θに応じて算出される。
そして、フィルタ作成部72は、投影領域内の全ての画像部分(当該実施形態では、投影領域内の全ての画素)について、S14からS20の処理を繰り返し(S22)、先鋭化処理のためのフィルタ強度(X,Y)を作成して、フィルタ強度記憶部74に記憶する(S24)。
そして、先鋭化処理部70は、フィルタ作成部72がフィルタ強度(X,Y)から作成したフィルタ係数に基づき、入力画像データに対して先鋭化処理を行う(S26)。そして、全画素に対して先鋭化処理が施されると当該処理は終了し、先鋭化処理が施された画像データが液晶パネル制御部30に供給される。
図7および図8は先鋭化処理部70における先鋭化処理を説明するための図である。図7は、S24において作成されたフィルタ係数の一例である。図中の各長方形領域は各画素を示している。図8は、図7に示す長方形領域(各画素)に対応する入力画像信号および出力画像信号の画素値を示している。先鋭化処理部70には、画質調整部68(図2)で生成された画像データが画像の左上から順次入力され、図8の右下に示す画素iまで画像データが入力されたものとする。このときの画像処理(先鋭化処理)の対象画素は図8の中央に位置する画素eである。先鋭化処理部70では、図示した9画素分の画像データを用いて先鋭化処理を施す。先鋭化処理された画素値e’は以下のようになる。
e'=aXY+b{−Y(1+2X)}+cXY
+d{−X(1+2Y)}+e{(1+2X)(1+2Y)}+f{−X(1+2Y)}
+gXY+h{−Y(1+2X)}+iXY
フィルタ強度(X,Y)の記憶方法の他の例
図9および図10に、フィルタ強度(X,Y)の記憶方法の他の例を説明するための図を示す。この例では、図9において●で示す位置(投射レンズ上での代表的な位置)におけるフィルタ強度(X,Y)をテーブルとしてフィルタ強度記憶部74に記憶するものとする。ここで、図9の●で示す位置は、レンズ中心を通り投影画像(投影領域)の水平方向となす角が45度である半径と、投影画像(投影領域)の水平方向の半径と、レンズの円弧とによって囲まれる領域(図10(a)の領域(1))内に存在するものとする。
そして、図9において○で示す位置におけるフィルタ強度(X,Y)はフィルタ強度記憶部74に記憶せず、図10に示すように、フィルタ強度(X,Y)の対称性から前記テーブル内の値をそのまま用いて先鋭化処理時に作成する。このように構成することで、メモリの記憶容量を節約することができる。
具体的には、図10(a)に示すように、フィルタ強度(X,Y)の対称性から、領域(1)内のフィルタ強度の値をそのまま用いて、領域(2)(レンズ中心を通り投影画像(投影領域)の水平方向となす角が45度である半径と、レンズ中心を通り投影画像(投影領域)の水平方向となす角が90度である半径と、レンズの円弧とによって囲まれる領域)内のフィルタ強度を作成する。同様に、図10(b)に示すように、フィルタ強度(X,Y)の対称性から、領域(3)(領域(1)と領域(2)とで構成される領域)内のフィルタ強度の値をそのまま用いて、領域(4)(レンズ中心を通り投影画像(投影領域)の水平方向となす角が90度である半径と、レンズ中心を通り投影画像(投影領域)の水平方向となす角が180度である半径と、レンズの円弧とによって囲まれる領域)内のフィルタ強度を作成する。さらに、図10(c)に示すように、フィルタ強度(X,Y)の対称性から、領域(5)(領域(3)と領域(4)とで構成される領域)内のフィルタ強度の値をそのまま用いて、領域(6)(レンズ中心を通り投影画像(投影領域)の水平方向となす角が180度である半径と、レンズ中心を通り投影画像(投影領域)の水平方向となす角が360度である半径と、レンズの円弧とによって囲まれる領域)内のフィルタ強度を作成する。
さらに、フィルタ生成部72は、このようにして作成されたフィルタ強度(X,Y)(●および○におけるフィルタ強度)から、投影領域内の全ての画像部分(当該実施形態では、投影領域内の全ての画素)についてのフィルタ強度(X,Y)を補間によって求め、フィルタ係数を作成する。
そして、先鋭化処理部70は、作成されたフィルタ係数に基づき、入力画像データに対して先鋭化処理を行う。全画素に対して先鋭化処理が施されると当該処理は終了し、先鋭化処理が施された画像データが液晶パネル制御部30に供給される。
当該実施形態のプロジェクタによれば、図3のS20において説明したように、先鋭化処理のためのフィルタ強度(X,Y)が、投影領域における各画像部分の投影レンズ上での位置の、投影レンズ中心からの距離rおよび方向θに応じて算出される。したがって、投影レンズ中心からの距離および方向に応じて異方性のあるフィルタを作成することが可能となり、投射レンズの放射方向および同心円方向のMTFの違いを考慮した適切な先鋭化処理を行うことができる。
以上で説明した本発明の一実施形態によるプロジェクタは、コンピュータによる処理を有しているので、当該処理を実現するためのプログラムを記録した記録媒体としての実施の態様をとることもできる。このような記録媒体としては、CD−ROM,光磁気ディスク,フレキシブルディスク,ICカード,ROMカートリッジ,コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ),外部記憶装置,パンチカード,バーコードなどの符号が印刷された印刷物等の、コンピュータが読取可能な種々の媒体を利用できる。
変形例
図11は、先鋭化処理部70およびフィルタ生成部72による処理の変形例を説明するためのフローチャートである。図3に示す先鋭化処理部70およびフィルタ生成部72による処理では、使用時にフィルタ強度(X,Y)のデータを作成しながら先鋭化処理を行っている。一方、図11に示す例では、予めプロジェクタ出荷前にフィルタ強度(X,Y)のデータを作成してメモリに記憶させておき、プロジェクタの使用時にフィルタ強度(X,Y)のデータをメモリから読み出してフィルタ係数を作成して先鋭化処理を行う。図11(a)は、プロジェクタ出荷前の処理を説明するためのフローチャートであり、図11(b)は、プロジェクタ使用時における処理を説明するためのフローチャートである。図11における処理は、基本的に図3における処理と同様なので詳細な説明は省略する。
プロジェクタ出荷前の処理
図11(a)に示すように、まず、フィルタ生成部72は、図3のS14と同様に、投射レンズ上の各点において投射レンズの中心からの距離および方向を算出して(S32)、図3のS16およびS18と同様に、投射レンズ上の各点における放射方向のフィルタ強度Sおよび同心円方向のフィルタ強度Mを算出する(S34)。そして、フィルタ生成部72は、図3のS20と同様に、投射レンズ上の各点における投影領域の水平方向のフィルタ強度Xおよび投影領域の垂直方向のフィルタ強度Yを求め(S36)、これらをフィルタ強度記憶部74に記憶して(S38)、プロジェクタ出荷前の処理を終了する。
プロジェクタ使用時の処理
図11(b)に示すように、まず、フィルタ生成部72は、図3のS10、S12およびS14と同様に、レンズシフト制御部31からレンズシフト情報を取得して(S40)、投影領域における各画像部分の投射レンズの中心からの距離および方向を算出して、レンズ上での投影領域位置を特定する(S42)。
さらに、フィルタ生成部72は、フィルタ強度記憶部74に記憶されているフィルタ強度(X,Y)から、投影領域内の全ての画像部分(当該実施形態では、投影領域内の全ての画素)についてのフィルタ強度(X,Y)を補間によって求め(S44)、フィルタ係数を作成する(S46)。
そして、先鋭化処理部70は、作成されたフィルタ係数に基づき、入力画像データに対して先鋭化処理を行う(S48)。全画素に対して先鋭化処理が施されると当該処理は終了し、先鋭化処理が施された画像データが液晶パネル制御部30に供給される。
当該変形例においても、先鋭化処理のためのフィルタ強度(X,Y)が、投影領域における各画像部分の投影レンズ上での位置の、投影レンズ中心からの距離rおよび方向θに応じて算出される。したがって、投影レンズ中心からの距離および方向に応じて異方性のあるフィルタを作成することが可能となり、投射レンズの放射方向および同心円方向のMTFの違いを考慮した適切な先鋭化処理を行うことができる。
本発明の一実施形態としてのプロジェクタ10の全体構成を示す説明図である。 本発明の一実施形態としてのビデオプロセッサ26の内部構成を示すブロック図である。 先鋭化処理部70およびフィルタ生成部72の処理を説明するためのフローチャートである。 投影領域における各画像部分の、投射レンズ上での距離および方向を説明するための図である。 投射レンズの放射方向および同心円方向におけるMTFデータの一例を示す図である。 投射レンズの放射方向および同心円方向のフィルタ強度と、投影画像(投影領域)の水平方向および垂直方向のフィルタ強度との関係を説明するための図である。 先鋭化処理部70における先鋭化処理を説明するための図であり、S24において作成されたフィルタ係数の一例を示している。 先鋭化処理部70における先鋭化処理を説明するための図であり、図7に示す長方形領域(各画素)に対応する入力画像信号および出力画像信号の画素値を示している。 フィルタ強度(X,Y)の記憶方法の他の例を説明するための図(1)である。 フィルタ強度(X,Y)の記憶方法の他の例を説明するための図(2)である。 先鋭化処理部70およびフィルタ生成部72による処理の変形例を説明するためのフローチャートであり、(a)は、プロジェクタ出荷前の処理を説明するためのフローチャートであり、(b)は、プロジェクタ使用時における処理を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
10 プロジェクタ、12 アナログ画像入力端子、14 ディジタル画像入力端子
20 A/Dコンバータ、22 ビデオデコーダ 24 フレームメモリ
26 ビデオプロセッサ、28 レンズMTF情報保存部、30 液晶パネル制御部
31 レンズシフト制御部、32 液晶パネル、34 リモートコントローラ制御部
40 リモートコントローラ、50 照明装置、52 投写光学系、
60 画像処理用集積回路、62 フレームメモリ制御部、68 画質調整部
70 先鋭化処理部、72 フィルタ生成部、74 フィルタ強度記憶部

Claims (10)

  1. 入力画像データに対して画像処理を施すことによって、投射レンズを有する画像投射装置に供給される画像データを生成する画像処理装置であって、
    投影領域における各画像部分の前記投射レンズ上での位置における、投射レンズの放射方向MTFデータおよび同心円方向MTFデータを取得するためのMTFデータ取得手段と、
    前記放射方向MTFデータおよび前記同心円方向MTFデータに基づき、前記各画像部分の投影レンズ上での位置毎に算出された強調度にしたがって先鋭化処理を施す先鋭化処理手段と、
    を備える画像処理装置。
  2. 請求項1に記載の画像処理装置であって、
    前記先鋭化処理手段が、前記各画像部分の投影レンズ上での位置の、投影レンズ中心からの距離に応じて算出された強調度にしたがって先鋭化処理を施す、
    画像処理装置。
  3. 請求項1または2に記載の画像処理装置であって、
    前記先鋭化処理手段が、前記各画像部分の投影レンズ上での位置の、投影レンズ中心からの方向に応じて算出された強調度にしたがって先鋭化処理を施す、
    画像処理装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
    前記先鋭化処理手段が、前記放射方向MTFデータおよび前記同心円方向MTFデータに基づき、投影領域の水平方向の強調度と投影領域の垂直方向の強調度とを算出し、これら水平方向の強調度と垂直方向の強調度とを合成して算出された強調度にしたがって先鋭化処理を施す、
    画像処理装置。
  5. 請求項4に記載の画像処理装置であって、
    前記投射レンズ上での代表的な位置における、投影領域の水平方向の強調度と投影領域の垂直方向の強調度とを記憶する強調度記憶手段をさらに備え、
    前記先鋭化処理手段が、前記投射レンズ上での代表的な位置における投影領域の水平方向の強調度と投影領域の垂直方向の強調度とに基づき、投射レンズ上での他の位置における投影領域の水平方向の強調度と投影領域の垂直方向の強調度とを補間により求める、
    画像処理装置。
  6. 請求項4または5に記載の画像処理装置であって、
    前記投射レンズ上の所定領域内の代表的な位置における、投影領域の水平方向の強調度と投影領域の垂直方向の強調度とを記憶する強調度記憶手段をさらに備え、
    前記先鋭化処理手段が、前記投射レンズ上の所定領域内の代表的な位置における投影領域の水平方向の強調度と投影領域の垂直方向の強調度とに基づき、投射レンズ上の前記所定領域以外の領域内の代表的な位置における投影領域の水平方向の強調度と投影領域の垂直方向の強調度とを、強調度の対称性により求める、
    画像処理装置。
  7. 投射レンズを有する画像投射装置であって、
    投影領域における各画像部分の前記投射レンズ上での位置における、投射レンズの放射方向MTFデータおよび同心円方向MTFデータを取得するためのMTFデータ取得手段と、
    前記放射方向MTFデータおよび前記同心円方向MTFデータに基づき、前記各画像部分の投影レンズ上での位置毎に算出された強調度にしたがって先鋭化処理を施す先鋭化処理手段と、
    を備える画像投射装置。
  8. 入力画像データに対して画像処理を施すことによって、投射レンズを有する画像投射装置に供給される画像データを生成する画像処理方法であって、
    投影領域における各画像部分の前記投射レンズ上での位置における、投射レンズの放射方向MTFデータおよび同心円方向MTFデータを取得するためのMTFデータ取得工程と、
    前記放射方向MTFデータおよび前記同心円方向MTFデータに基づき、前記各画像部分の投影レンズ上での位置毎に算出された強調度にしたがって先鋭化処理を施す先鋭化処理工程と、
    を備える画像処理方法。
  9. 入力画像データに対して画像処理を施すことによって、投射レンズを有する画像投射装置に供給される画像データを生成する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
    投影領域における各画像部分の前記投射レンズ上での位置における、投射レンズの放射方向MTFデータおよび同心円方向MTFデータを取得するためのMTFデータ取得処理と、
    前記放射方向MTFデータおよび前記同心円方向MTFデータに基づき、前記各画像部分の投影レンズ上での位置毎に算出された強調度にしたがって先鋭化処理を施す先鋭化処理と、
    をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  10. 入力画像データに対して画像処理を施すことによって、投射レンズを有する画像投射装置に供給される画像データを生成する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読取可能な記録媒体であって、
    投影領域における各画像部分の前記投射レンズ上での位置における、投射レンズの放射方向MTFデータおよび同心円方向MTFデータを取得するためのMTFデータ取得処理と、
    前記放射方向MTFデータおよび前記同心円方向MTFデータに基づき、前記各画像部分の投影レンズ上での位置毎に算出された強調度にしたがって先鋭化処理を施す先鋭化処理と、
    をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読取可能な記録媒体。
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