JP2005277862A - 無線通信システムとその基地局装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】QoSとリンクアダプテーションとの双方の処理を効果的に共存させることができるようにし、これにより複数の端末間における無線帯域の利用効率の更なる向上を図った無線通信システムとその基地局装置を提供すること。
【解決手段】複数の端末1〜nが共通の基地局100と無線伝送路を介して情報を通信する無線通信システムにおいて、基地局100にQoS管理部107を設ける。またリンクアダプテーション制御部105により、伝送速度の変更が検出された場合にはその旨をQoS管理部107に通知する。そして、QoS管理部107による各端末1〜nへの帯域割当のスケジューリング、および再スケジューリングを、リンクアダプテーションにより伝送速度が変更されたことをトリガとして実施する。
【選択図】 図3

Description

この発明は無線通信分野に関する。特に本発明は、タイムスロットシェアリング(TSS)により複数の無線端末が共通の基地局装置と通信するシステムにおいて、スロット長を可変することによりQoS制御を実施するシステムに関する。この種のシステムには無線LAN(Local Area Network)システムが有り、本発明はこのような無線通信システムに好適に利用し得る。
近年、IEEE 標準 802.11シリーズに準拠する無線LANシステムに関する技術開発が盛んである。この標準には、無線リンクの状況に応じて伝送速度や変調方式を変化させることにより、通信品質を変動させつつも回線の維持を図る技術が盛り込まれている。この種の技術はマルチレート制御、またはリンクアダプテーションと称される。近年ではこれらにQoS(Quality of Service)の概念を組み合わせることが検討されている(非特許文献1を参照)。
これとは別の文献に、端末に無線リソースを割り当てる際にリンクアダプテーションとQoSとを組み合わせる技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。しかしながらこの文献では回線の設定後にリンクアダプテーションにより通信品質が劣化してQoSが満たされなくなった場合が考慮されておらず、またQoSを測る指標として送信データの優先度だけが考慮されるに留まる。
非特許文献1には、無線LANにおいては送信データの優先度だけでなく最小伝送速度、最大遅延、通信停止時間などのパラメータに基づいて通信データ(トラヒック)のQoSを評価することが既定されている。よって上記標準に準拠する無線通信システムにおいてリンクアダプテーションとQoSとを組み合わせるには、通信品質の時間的変化とQoSの種々のパラメータとを考慮したうえで無線帯域を管理する必要がある。
特開2002-78012号公報 IEEE Std 802.11e/D4.3 ,May 2003 Draft Supplement to STANDARD FOR Telecommunications and Information Exchange Between System - LAN/MAN Specific Requirements-Part 11: Wireless Medium Access Control (MAC) and Physical Layer(PHY) specifications : Medium Access Control (MAC) Enhancements for Quality of Service (QoS)
以上述べたようにリンクアダプテーション技術によれば、通信の継続中に通信品質が変動する可能性が有る。既存の無線通信システムではこのことが考慮されないため、通信中にリンクアダプテーションにより通信品質が劣化してQoSが満たされなくなる虞が有る。またQoSを計測するにあたり複数のパラメータを総合的に評価する必要があるが、この点までも考慮したシステムは知られていない。
本発明は上記事情によりなされたもので、その目的は、QoSとリンクアダプテーションとの双方の処理を効果的に共存させることができるようにし、これにより複数の端末間における無線帯域の利用効率の更なる向上を図った無線通信システムとその基地局装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の一態様によれば、複数の無線端末が共通の基地局装置との間に個別に無線回線を形成して前記基地局装置と通信する無線通信システムにおいて、予め定められたパラメータに基づいて前記無線回線の占有帯域を前記複数の無線端末ごとに割り当てることにより前記無線回線ごとの通信品質を管理する品質管理手段と、無線区間における伝送路状態の変化に応じて前記複数の無線端末ごとの無線回線の伝送速度を制御して少なくとも一つの無線端末に対する無線回線を継続的に確保する回線確保手段と、この回線確保手段による制御の結果少なくとも一つの無線回線の伝送速度が変化した場合にトリガ情報を前記品質管理手段に与える速度変化検出手段とを具備し、前記品質管理手段は、前記トリガ情報が与えられた場合に、前記複数の無線端末のそれぞれに対する占有帯域の割り当て状態を更新することを特徴とする無線通信システムが提供される。
このような手段を講じることにより、品質管理手段によりQoS管理が実施され、回線確保手段によりいわゆるリンクアダプテーション処理が実施される。いずれかの無線端末が基地局装置との通信を開始するにあたり、QoSパラメータに基づいてデータの送信の可否が決定される。上記手段によればこれに加え、通信の継続中にリンクアダプテーションが作用して伝送速度が変化した場合にも、QoS制御による占有帯域の割り当て状態が更新される。すなわち、新規データ通信の開始に加え、リンクアダプテーションにより伝送速度が変化したことをトリガとして、QoSによる通信帯域割当のスケジューリングが実施されるようになる。
従って無線回線の伝送速度が変化した場合にこれが放置されることが無くなり、伝送速度の変化に応じたQoS管理が的確に実施される。これによりQoSとリンクアダプテーションとの双方の処理を効果的に共存させることが可能となり、複数の無線端末間において無線帯域の利用効率を更に向上させることが可能になる。
本発明によれば、QoSとリンクアダプテーションとの双方の処理を効果的に共存させることができるようになり、これにより複数の端末間における無線帯域の利用効率の更なる向上を図った無線通信システムとその基地局装置を提供することができる。
図1は、本発明に係わる無線通信システムの一実施の形態を示すシステム図である。このシステムはサーバSV、基地局100、および無線端末(以下、端末と表記する)1〜nを備える。サーバSVおよび基地局100は有線ネットワーク(LAN:Local Area Network)に接続される。端末1〜nは基地局100に無線回線を介して接続される。各端末1〜nは、サーバSVから基地局100を介して動画やWWW(World Wide Web)データなどのデータを取得する。
各端末1〜nは基地局100を介して互いにデータを送受する。この通信モードをインフラストラクチャモードと称する。なお基地局100を介さず端末1〜n間でデータを直接的に授受する通信モードを、アドホックモードと称する。
図2は、図1のシステムにおける基地局100と端末1〜nとの間でのデータ送受信手順の一例を示す図である。図2では端末数を3(n=3)とする。図2において基地局100は、まず端末1宛てにポーリングメッセージを送出したのち端末1向けのデータをフレーム単位にバースト送信し、端末1から通信完了メッセージ(Ack)を受信する。次に基地局100は、端末2宛てにポーリングメッセージを送出したのち端末2向けのデータをフレーム単位にバースト送信し、端末2から通信完了メッセージ(Ack)を受信する。次に基地局100は、端末3宛てにポーリングメッセージを送出したのち端末3向けのデータをフレーム単位にバースト送信し、端末3から通信完了メッセージ(Ack)を受信する。
以上のシーケンスは周期的に実行される。すなわち端末3へのデータ送信が終了すると再び端末1へのデータ送信が開始される。各端末ごとのバースト送信期間は基地局100から各端末に送信されるデータのQoSパラメータにより、予め算出される。また、バースト送信の周期もQoSのパラメータにより算出される。一方、リンクアダプテーションにより、無線伝送路の状態に応じて基地局100と各端末1〜3との間の無線回線の伝送速度が可変制御される。
図3は、図1の基地局100の一実施の形態を示す機能ブロック図である。図3において、各端末から送出される無線周波数信号(RF信号)はアンテナ101により捕捉され、RF部102で増幅されたのち分離器103を介して復調部104に送られる。復調部104はRF信号を受信復調し、受信データをリンクアダプテーション制御部105に与える。なお受信データはMAC(Media Access Control)処理部(図示せず)などにも出力され、上位層レベルの処理に供される。
リンクアダプテーション制御部105は受信データの無線品質を判定するとともに、受信データの伝送速度を、記憶部112に記憶されるリンクアダプテーション管理テーブル112aの内容に基づいて決定する。リンクアダプテーションにより通信中に伝送速度が変更された場合には、その旨がQoS管理部107と送信レート制御部110とに通知される。
伝送速度の変化を通知されると、QoS管理部107はそのことをトリガとして、伝送速度の変化したデータのQoSを調べる。その際、記憶部113に記憶されるQoS管理テーブル113aの内容が参照される。そしてQoS管理部107は、データに設定されるQoSを維持するために必要な帯域を再計算し、その結果を帯域管理部108に通知する。
帯域管理部108は、現時点で通信中の全てのデータの帯域とそのQoSパラメータとを参照し、全てのデータにつき帯域の再割当を行う。これにより少なくとも一部、あるいは全ての伝送データの帯域が更新される。また、新たな送信データ要求が上位層から与えられた場合にも、帯域管理部108は要求された送信データのQoSを加味して全データの無線帯域を再計算して、データごとに無線帯域を割り当てる。再割り当てされた無線帯域の情報はキューイング処理部109に通知され、無線帯域の管理に供される。
図4はリンクアダプテーション管理テーブル112aの一例を示す図である。このテーブルはIEEE 標準 802.11シリーズにおいて開示されている。このテーブルは、伝送速度(Data rate)に変調方式(Modulation)と符号化率(Coding rate)とを対応付けてテーブル化したものであり、リンクアダプテーションにより伝送速度を切り替えるために用いられる。基地局100および端末1〜3はこのテーブルを参照し、現時点での無線伝送路の状態に最も適した伝送速度を選択する。無線伝送路の状態が良くなればなるほど伝送速度の数値を大きくすることができる。逆の場合には変調方式を多重度の少ないものに変更したり、符号化率を下げたりして伝送速度を減少させるようにする。
図5はQoS管理テーブル113aの一例を示す図である。このテーブルは、データ種別を各端末ごとに対応付けたテーブルであり、各データ種別には例えばユーザプライオリティ〜遅延時間なる5つの項目が設定される。各項目にはQoSパラメータが数値により設定される。例えばデータ1として音声データ、データ2として電子メールデータを挙げるとすれば、データ1のユーザプライオリティはデータ2のそれよりも高く設定される。遅延時間の許容値は、データ2に比べデータ1のほうが短く設定されることとなる。このテーブルを参照することにより、QoS管理部107によるQoS管理が実施される。次に、上記構成における動作を説明する。
図6は、図3の基地局100と各端末1〜3との間でのメッセージの流れを示すシーケンス図である。図6においては端末2,3および基地局100を主体として説明する。図6において、端末2と基地局100との間で無線通信が既に実施されているとする。この状態から端末3において基地局100との通信要求が生じると、端末3は基地局100に無線帯域の割り当てを要求する(ステップS1)。その際、端末3は送信すべきデータのQoSに応じたQoSパラメータを基地局100に送信する。
基地局100は、この無線帯域要求に応じて帯域を割り当てることが可能か否かを計算する(ステップS2)。すなわち基地局100は、現時点で通信中の端末により占有されている無線帯域と、端末3により要求された帯域とに基づき、端末3のポーリングスケジュールを計算する。その結果、端末3に帯域を割り当てることが可能であれば、基地局100は帯域割当メッセージにより計算の結果を端末3に通知する(ステップS3)。
次に、基地局100は通信中の端末2にポーリングを行う(ステップS4)。これに応じて端末2は基地局100に向けデータを送信する(ステップS5)。その後基地局100は、新たに帯域を割り当てた端末3に対してポーリングする(ステップS6)。これに応じて端末3は基地局100に向けデータを送信する(ステップS7)。
このような手順で端末2,3と基地局100との通信が継続されているとき、無線伝送路の状態が変化するとリンクアダプテーション処理が実施され、端末ごとの送信伝送速度が変更される(ステップS8)。基地局100は、例えば端末3から送出された送信データからその伝送速度が変更されたことを検出(ステップS9)すると、そのことをトリガとして各端末に割り当てるべき無線帯域を再計算する(ステップS10)。すなわち基地局100は、伝送速度の変更の通知を受信したことを契機として各端末に対するポーリングスケジュールを再計算し、その後は再計算されたスケジュールに従ってポーリングを行う(ステップS11)。次に、図7を参照して伝送速度の検出の手法につき詳しく説明する。
図7は、基地局100と各端末1〜3との間で授受されるデータフレームの一例を示す図である。このデータフレーム構造を用いて、基地局100は、リンクアダプテーションによる伝送速度の変化を検出する。図7のフレームには、プリアンブル(PLCP Preamble)フィールドと、PLCPヘッダ(PLCP Header)フィールドと、データ(DATA)フィールドとが設けられている。このうちプリアンブルおよびPLCPヘッダは、リンクアダプテーションとは無関係に常に一定の伝送速度で送信される。よってリンクアダプテーションにより伝送速度、変調方式および符号化率が可変されるフィールドは、PLCPヘッダに後続するデータフィールドのみとなる。
基地局100はまずPLCPヘッダを一定の伝送速度で受信し、ヘッダ中のRATEフィールドの情報を解読することにより、続くデータ部分の伝送速度、変調方式、および符号化率を識別する。そして識別の結果、伝送速度が変更されていれば、ポーリング再計算のトリガを生成するとともに復調方式を変更する。なお復調方式の変更のタイミングは、データフィールド直前のSERVICEフィールドに同期させるのが好ましい。また、各端末1〜3においても図7のデータフレーム構造を用いて伝送速度の変化を検出することができる。
このように本実施形態では、複数の端末1〜nが共通の基地局100と無線伝送路を介して情報を通信する無線通信システムにおいて、基地局100にQoS管理部107を設ける。またリンクアダプテーション制御部105により、伝送速度の変更が検出された場合にはその旨をQoS管理部107に通知する。そして、QoS管理部107による各端末1〜nへの帯域割当のスケジューリング、および再スケジューリングを、リンクアダプテーションにより伝送速度が変更されたことをトリガとして実施するようにしている。
このようにしたので、各端末に対する帯域割当を、無線状況の変化に応じて正確かつ動的に実施することが可能となる。このことからQoSとリンクアダプテーションとの双方の処理を効果的に共存させることが可能になり、従って複数の端末間における無線帯域の利用効率を向上させることができるようになる。
[第2の実施の形態]
図8は、基地局100と端末1〜nとの間でのデータ送受信手順の初期状態の一例を示す図である。図8に示すように端末1〜3は基地局100から等間隔でポーリングされ、各端末における送受信データの品質はQoSパラメータ(図5)を満足しているとする。この状態から端末2と基地局100間との無線チャネルの品質が劣化すると、リンクアダプテーションにより端末2と基地局100間との伝送速度が例えば半減される。そうすると、通常ではQoSパラメータの最小データレートを満たすための処理が作用し、端末2への送信割り当て期間を2倍とすべくポーリング間隔が拡大される(図9)。
図9は、図8の状態から端末2の送信割り当て期間が拡大された状態を示す図である。このような状態では端末1と端末3のそれぞれの送信割り当て期間が縮小されるため、端末1および端末3のQoSパラメータである最小サービス期間を満足することができなくなり、端末1,3のポーリングが停止される場合がある。そこで第2の実施形態では、端末1,3のポーリングを停止せず、端末2のポーリングを停止し、端末1,3のデータ送信を継続させるようにする。
図10は、図9の状態から端末2のポーリングを停止した状態を示す図である。このように、伝送路状況の変化によりQoSパラメータを満足できなくなった端末の通信を盲目的に切断するのではなく、減少した通信帯域を適応的に管理することにより、切断される端末の数を減らし、QoSを保障可能な端末の数をより多くすることができるようになる。すなわちリンクアダプテーションにより利用可能な無線帯域が少なくなった場合、QoSを保障できる端末数が多くなるように帯域管理を行うことにより、切断される端末の数を最小限に抑えてユーザに対するサービス品質の向上を促すことが可能になる。
[第3の実施の形態]
図8の状態から端末2と基地局100間との無線チャネルの品質が劣化し、図9に示すように端末2への送信割り当て期間が2倍に拡大されたとする。ところが送信期間を2倍にしてもQoSの最小データレートを満たすことができない場合には、第3の実施形態では、端末2のポーリングを強制的に停止するようにする。
既存の技術ではデータ送信を開始する無線端末が新規に生じた場合にのみ、QoSパラメータに基づきデータの送信の可否を決定するようにしていた。本実施形態ではこれに加えてリンクアダプテーションの情報を参照し、QoSを保障できなくなった無線回線を通信中においても切断するようにする。このようにすることによっても、QoSを保障可能な端末数を多くすることができ、回線切断率を減少させてユーザに対するサービス品質を向上させることができる。
[第4の実施の形態]
図11は、図1のシステムにおける基地局100と端末1〜nとの間でのデータ送受信手順の初期状態の他の例を示す図である。図11においては、基地局100は周期的なbeaconの送信により必要な情報を全ての端末に同報的に送信しているとする。BeaconとBeaconと間はポーリング期間と競合期間とに分割され、基地局100はポーリング期間において端末を周期的にポーリングし、各端末1〜3に順に送信権を与える。競合期間においては各端末1〜3は基地局100ランダムアクセスし、送信権を自ら取得する。
このような状態から端末2と基地局100間との無線チャネルの品質が劣化すると、リンクアダプテーションにより端末2と基地局100間との伝送速度が例えば半減される。そうすると、通常ではQoSパラメータの最小データレートを満たすための処理が作用し、端末2への送信割り当て期間を2倍とすべくポーリング間隔が拡大されることになる。
このような状態では端末1と端末3のそれぞれの送信割り当て期間が縮小され、端末1,3のポーリングが停止される場合がある。そこで第4の実施形態においても、端末2のポーリングを停止することにより端末1,3のデータ送信が継続されるようにする。このようにbeacon送信を伴う通信手順に対しても本発明を適用することができ、QoSを保障可能な端末数を多くして回線切断率を減少させ、ユーザに対するサービス品質を向上させることができる。
[第5の実施の形態]
第4の実施形態において、端末2への送信割り当て期間を2倍とすべくポーリング間隔が拡大される事態が生じたとする。そうすると、全ての無線端末1〜3へのポーリングをポーリング期間内に完了することができなくなる場合がある。
そこで第5の実施形態では、図5に示す各端末の送信データのQoSパラメータのユーザプライオリティを参照し、優先度の高い順に各端末1〜3への帯域の割り当て状態を更新するようにする。ユーザプライオリティは端末1、端末2、端末3の順とし、端末3のユーザプライオリティが最も低いとすると、例えば図12に示すような帯域割り当て状態が実現される。
図12は、図11の状態から基地局100と端末1〜nとの間での帯域割り当て状態が更新された状態の一例を示す図である。図12においては、無線端末1および2に無線帯域が割り当てられ、端末3は排除される。このように第5の実施形態では、利用可能な無線帯域がリンクアダプテーションにより減少した場合、ユーザプライオリティに基づいて無線帯域の割り当て状態を更新するようにしている。これによりQoSを保障できる端末の数をより多く確保することができ、切断率を減少させてユーザに対するサービス品質を向上させることができる。
[第6の実施の形態]
図8の状態から端末2と基地局100間との無線チャネルの品質が劣化し、図9に示すように端末2への送信割り当て期間が2倍に拡大されたとする。これにより端末2のQoSの最小データレートを満たすことができたとしても、端末1〜3のポーリング間隔が長くなる結果、このポーリング間隔がQoSパラメータで指定される遅延時間よも長くなる場合が生じる。このような場合、第6の実施形態では端末2のポーリングを強制的に停止するようにする。
このようにリンクアダプテーションの情報を参照し、QoSを保障できなくなった無線回線を通信中においても切断することで、無駄な無線帯域を消費することなく、無線帯域の利用効率を向上させることができる。従ってQoSを保障可能な端末数をより多く確保することができ、回線切断率を減少させてユーザに対するサービス品質を向上させることができる。
[第7の実施の形態]
図3の基地局100の機能ブロック図において、いずれかの端末からの新規の帯域割当要求が受信されると、その旨が装置内パス106を介して上位層に通知される。上位層は端末からのメッセージを解釈して帯域要求であると判定すると、帯域管理部108に新規帯域を割り当てられるか問い合わせる。
帯域管理部108はQoS管理部107から必要な情報を取得し、各端末1〜3の現時点における無線帯域を総計する。さらに帯域管理部108は、総計の結果と新規帯域要求とを加味して、新規に帯域を割り当てた状態においても全ての端末1〜3のQoSを満たすことが可能な否かを計算する。その際、リンクアダプテーションによる最適な伝送速度は不明であることになる。
そこで本実施形態では、新規の端末への割り当て帯域の計算時において、予め決められた伝送速度をデフォルト値として用いるようにする。このように第7の実施形態では、リンクアダプテーションの情報を参照して利用可能な無線帯域を計算し、新規データに帯域を割り当てるか否かを判断する、いわゆるアドミッションコントロールを行うようにする。これにより、無線帯域の管理をより正確に実施することが可能となり、無線帯域の利用効率を向上させることができる。
[第8の実施の形態]
第7の実施形態においては、新規の端末への割り当て帯域の計算時に、伝送速度のデフォルト値を用いた。第8の実施形態ではこれに代えて、既に通信中の端末の伝送速度の平均値を用いるようにしても良い。このような手法によっても無線帯域の管理をより正確に実施することが可能となり、無線帯域の利用効率を向上させることができる。
[第9の実施の形態]
図8の状態から端末2と基地局100間との無線チャネルの品質が劣化し、図9に示すように端末2への送信割り当て期間が2倍に拡大されたとする。ここで、端末2のデータ1のQoSパラメータ(図5)には、通信停止時間と最小データレートとが指定されているとする。この状態から帯域割り当て状態が図9のように更新されると、各端末のQoSが満たされなくなるとする。
この場合、端末2のQoSパラメータには通信停止時間が指定されているので、その時間が経過するまでの期間データ送信を停止できる。このことに着目して本実施形態では、通信停止時間が経過するまでは端末2のデータの送信を停止する。そして、端末2と基地局100間の伝送速度が速くなったり、他の端末の伝送速度が速くなるなどして、QoSを満たした状態で端末2の送信が可能となれば、データ送信を再開する。また、端末2のデータ停止期間がQoSパラメータで指定されている通信停止時間より長くなった場合には、端末2の無線帯域の割当を開放するようにする。
このようにすることで、通信停止時間といったリンクアダプテーション情報を有効に活用し、無線回線でQoSを保障できなくなった通信を切断することで無線帯域を無駄に消費することを防止でき、従って無線帯域の利用効率を向上させることができる。
[第10の実施の形態]
図9のように端末1〜3が基地局100からポーリングされデータを送信しているとき、端末2の伝送速度を速くすることが可能な無線状況になったとする。このとき、リンクアダプテーションにより端末2の伝送速度を速くし、端末2に割り当てる時間を短くすることで空きの無線帯域を生成することが可能である。
しかしながら第10の実施形態では、現時点で全ての端末のQoSが満たされている場合には、端末2の伝送速度を現状のままとするようにする。これにより、未来において端末2と基地局100と間の無線状況が劣化した場合の対応が迅速に可能になる。すなわち本実施形態では、QoSを満たす最低限の伝送速度で通信を継続するようにしているため、無線通信の品質の変化に左右され難い、ロバストな通信環境を実現することができる。
なお本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明に係わる無線通信システムの一実施の形態を示すシステム図。 図1のシステムにおける基地局100と端末1〜nとの間でのデータ送受信手順の一例を示す図。 図1の基地局100の一実施の形態を示す機能ブロック図。 図3のリンクアダプテーション管理テーブル112aの一例を示す図。 図3のQoS管理テーブル113aの一例を示す図。 図3の基地局100と各端末1〜3との間でのメッセージの流れを示すシーケンス図。 基地局100と各端末1〜3との間で授受されるデータフレームの一例を示す図。 図1のシステムにおける基地局100と端末1〜nとの間でのデータ送受信手順の初期状態の一例を示す図。 図8の状態から端末2の送信割り当て期間が拡大された状態を示す図。 図9の状態から端末2のポーリングを停止した状態を示す図。 図1のシステムにおける基地局100と端末1〜nとの間でのデータ送受信手順の初期状態の他の例を示す図。 図11の状態から基地局100と端末1〜nとの間での帯域割り当て状態が更新された状態の一例を示す図。
符号の説明
SV…サーバ、1〜n…無線端末、100…基地局、101…アンテナ、102…RF部、103…分離器、104…復調部、105…リンクアダプテーション制御部、106…装置内パス、107…QoS管理部、108…帯域管理部、109…キューイング処理部、110…送信レート制御部、112…記憶部、112a…リンクアダプテーション管理テーブル、113…記憶部、113a…QoS管理テーブル

Claims (9)

  1. 複数の無線端末が共通の基地局装置との間に個別に無線回線を形成して前記基地局装置と通信する無線通信システムにおいて、
    予め定められたパラメータに基づいて前記無線回線の占有帯域を前記複数の無線端末ごとに割り当てることにより前記無線回線ごとの通信品質を管理する品質管理手段と、
    無線区間における伝送路状態の変化に応じて前記複数の無線端末ごとの無線回線の伝送速度を制御して少なくとも一つの無線端末に対する無線回線を継続的に確保する回線確保手段と、
    この回線確保手段による制御の結果少なくとも一つの無線回線の伝送速度が変化した場合にトリガ情報を前記品質管理手段に与える速度変化検出手段とを具備し、
    前記品質管理手段は、前記トリガ情報が与えられた場合に、前記複数の無線端末のそれぞれに対する占有帯域の割り当て状態を更新することを特徴とする無線通信システム。
  2. 前記品質管理手段は、前記無線回線ごとの通信品質を最小伝送速度に基づいて管理し、前記トリガ情報が与えられた場合に前記最小伝送速度より低い伝送速度の無線回線が生じる場合にはこの無線回線を切断することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  3. 前記品質管理手段は、前記無線回線の切断後に前記トリガ情報が与えられた場合に前記切断された無線回線の伝送速度を前記最小伝送速度以上に回復させることが可能であれば、この無線回線を再接続することを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
  4. 前記品質管理手段は、前記無線回線ごとの通信品質を最小伝送速度および通信断時間に基づいて管理し、前記無線回線の切断期間が前記通信断時間を超えない場合に前記無線回線を再接続することを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。
  5. 前記回線確保手段は、前記伝送路状態の変化により前記通信品質が前記パラメータに基づく許容値よりも低下する無線回線が生じる場合に、前記複数の無線端末ごとの無線回線の伝送速度を制御することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  6. 前記品質管理手段は、通信タイムスロットの長さを前記複数の無線端末ごとに割り当てることにより前記無線回線ごとの通信品質を管理し、前記トリガ情報が与えられた場合に前記複数の無線端末のそれぞれに対する通信タイムスロット長の割り当て状態を更新し、
    前記回線確保手段は、前記品質管理手段により通信タイムスロット長を延長すべき無線回線が生じる場合に他の無線回線の通信品質が逼迫する場合には、当該通信タイムスロット長を延長すべき無線回線を切断することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  7. 前記回線確保手段は、前記通信品質の逼迫する無線回線の数が規定数を超える場合に前記通信タイムスロット長を延長すべき無線回線を切断することを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
  8. 前記品質管理手段は、前記複数の無線端末ごとに予め割り当てられる優先度に応じて前記通信タイムスロットの長さを当該複数の無線端末ごとに割り当て、
    前記回線確保手段は、前記品質管理手段により通信タイムスロット長を延長すべき無線回線が生じる場合に他の無線回線の通信品質が逼迫する場合には、前記優先度が最低の無線端末から順に前記無線回線を切断することを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
  9. 複数の無線端末を備える無線通信システムに用いられ、前記複数の無線端末との間に個別に無線回線を形成して通信する基地局装置において、
    予め定められたパラメータに基づいて前記無線回線の占有帯域を前記複数の無線端末ごとに割り当てることにより前記無線回線ごとの通信品質を管理する品質管理手段と、
    無線区間における伝送路状態の変化に応じて前記複数の無線端末ごとの無線回線の伝送速度を制御して少なくとも一つの無線端末に対する無線回線を継続的に確保する回線確保手段と、
    この回線確保手段による制御の結果少なくとも一つの無線回線の伝送速度が変化した場合にトリガ情報を前記品質管理手段に与える速度変化検出手段とを具備し、
    前記品質管理手段は、前記トリガ情報が与えられた場合に、前記複数の無線端末のそれぞれに対する占有帯域の割り当て状態を更新することを特徴とする基地局装置。
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