以下、本発明のセラミック多層配線基板の製造方法について詳細に説明する。
図1は本発明のセラミック多層配線基板の製造方法により製作されたセラミック多層配線基板の断面図であり、図2(1)〜(12)は本発明のセラミック多層配線基板の製造方法の一例を示す製造工程毎の断面図である。また、図3(a)は本発明のセラミック多層配線基板の製造方法の実施の形態の一例を示す平面図であり、本発明のセラミック多層配線基板の製造方法において使用するマイクロ波焼成炉の平面図である。また図3(b)は(a)のA−A’線における断面図、図3(c)は(a)のB−B’線における断面図である。
図1において、1はセラミック多層配線基板、2はセラミックスから成る絶縁基体、3は配線導体、4は貫通導体である。
絶縁基体2は、セラミックスから成る絶縁層2a〜2dを積層して成り、この絶縁層2a〜2dの層間および絶縁基体2の上面および下面には、配線導体3が形成されている。さらに、絶縁層2a〜2dには上下の配線導体3同士を電気的に接続する貫通導体4が形成され、セラミック多層配線基板1の上下主面および内部で回路網を形成している。
本発明のセラミック多層配線基板1の製造方法は、まず、図2(1)に示すように絶縁層2a〜2dと成るセラミックグリーンシート10を準備する。セラミックグリーンシート10は、セラミック原料粉末を所定量秤量し、混合してセラミック組成物を調製し、その組成物に有機バインダ等を加えた後、ドクターブレード法,圧延法,プレス法等によりシート状に成形することにより作製される。
セラミックグリーンシート10に用いられるセラミック原料としては、配線導体3や貫通導体4を形成する金属の融点以下で焼成可能なセラミック原料であれば特に限定されるものではなく、アルミナセラミックス,ムライトセラミックス,窒化珪素セラミックス,窒化アルミニウムセラミックス,ガラスセラミックス等の周知のセラミック基板に用いられるセラミック原料が用いられる。とりわけ、焼成温度が800〜1000℃の低温焼成セラミック原料、具体的には、ガラス粉末またはガラス粉末とフィラーとしてのセラミック粉末との混合物から成るガラスセラミック原料が、配線導体3や貫通導体4として低うぇ抵抗の金属を用いることができる点で好ましい。
セラミックグリーンシート10に好適に用いられるガラスセラミック原料のガラス粉末としては、シリカガラス,ソーダ石灰ガラス,鉛ガラス,鉛アルカリ珪酸ガラス,ほう珪酸ガラス,アルミノほう珪酸ガラス,ほう珪酸亜鉛ガラス,アルミノ珪酸ガラス,燐酸ガラス等が挙げられる。特に、添加するセラミック粉末との適合性に優れており、誘電体損失が小さいことから、ほう珪酸ガラスが好適である。また、ガラスセラミック原料のフィラーとしてのセラミック粉末としては、SiO2,Al2O3,ZrO2,TiO2,ZnO,MgAl2O4,ZnAl2O4,MgSiO3,MgSiO4,Zn2SiO4,Zn2TiO4,SrTiO3,CaTiO3,MgTiO3,BaTiO3,CaMgSi2O6,SrAl2Si2O8,BaAl2Si2O8,CaAl2Si2O8,Mg2Al4Si5O18,Zn2Al4Si5O18,AlN,SiC,3Al2O3・2SiO2(ムライト),ゼオライト等が挙げられ、用途に合わせて選択することができる。また、必ずしもこれら例示したガラス粉末およびセラミック粉末に限定されるものではない。
なお、セラミックグリーンシート10のセラミック原料がガラス粉末のみからなる場合、セラミック多層配線基板1の強度を向上させるという観点からは、セラミックグリーンシート10を積層して焼成する際に、アルミノほう珪酸結晶化ガラス,ほう珪酸亜鉛結晶化ガラス,アルミノ珪酸結晶化ガラス等の結晶化ガラスと成るような条件で焼成することが好ましい。
また、セラミックグリーンシート10の引張り伸度は10〜40%であるのがよい。これにより、セラミックグリーンシート10が積層圧力や温度による塑性変形を起こし難くなって一時的に伸びても元の位置に復元可能な弾性体として機能するため、積層の際のセラミックグリーンシート10の変形による寸法のばらつきを効果的に抑えることが可能となる。また、セラミックグリーンシート10が適度に軟らかいため、セラミックグリーンシート10に割れやクラックが発生するのを効果的に防ぐことが可能となる。
一方、引張り伸度が10%未満の場合、セラミックグリーンシート10の塑性変形をさらに小さくすることができ、積層工程における変形による寸法のばらつきをより抑えることが可能であるが、同時にセラミックグリーンシート10が硬くなりすぎる傾向にあるため、割れやクラックの発生を防ぐのが困難となる。また、セラミックグリーンシート10が硬くなるために積層ずれが生じ易くなり、その結果、積層信頼性が低下し易くなる。
他方、引張り伸度が40%を超える場合、積層圧力や温度によりセラミックグリーンシート10が塑性変形を生じ易いものとなり変形による寸法のばらつきを抑えることが困難となる。
引張り伸度を10〜40%にすることが可能なセラミックグリーンシート10のバインダとしては、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ノルマルブチル等のメタクリル系バインダが用いられる。これらは脱バインダ性の観点からも優れている。
また、セラミックグリーンシート10の引張り伸度は、上記バインダ100質量部に、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル系可塑剤やアジピン酸エステル系可塑剤を1〜6質量部添加することにより調整することができる。
このような引張り伸度が10〜40%のセラミックグリーンシート10は、例えば、ガラス粉末として70質量%のほう珪酸ガラスおよび30質量%のSiO等のセラミック原料粉末100質量部に対して、イソブチルメタクリレート等のメタクリル系バインダを10〜15質量部、フタル酸ジブチル等の可塑剤を1〜6質量部を混練し、ドクターブレード法,圧延法,プレス法等によりシート状に成形することにより作製される。
なお、引張り伸度とは、引張り試験において、セラミックグリーンシートが破断するまでに伸びる長さを試験前のサンプル長さで除して%比率で表したものである。セラミックグリーンシートをプレス金型等によりダンベル形状に打ち抜き加工し、10Nの引張り荷重および毎分50mmの引張り速度のもと、セラミックグリーンシートが破断した時の伸びを測定することで求めることができる。
また、セラミックグリーンシート10の貯蔵弾性率、すなわち材料本来の弾性率は変形度の特性をあらわしており、0.04GPa以上であるのがよい。貯蔵弾性率は、変位に対する応力を測定することにより知ることが可能である。貯蔵弾性率の式はF=G’Xcos(ωt)で表すことができる。ここでいうG’が貯蔵弾性率でありXは変位、ωは角速度、Fは応力である。
貯蔵弾性率が0.04GPa以上であることにより、導電性基板13上の配線用導体層17をセラミックグリーンシート10に転写る際に導電性基板13をセラミックグリーンシート10から引き剥がすときの引張り応力によるセラミックグリーンシート10の塑性変形を抑えることができ、セラミックグリーンシート10が一時的に伸びても元の位置に復元可能な弾性体として機能するため、転写する際のセラミックグリーンシート10の変形によるばらつきを効果的に抑えることが可能となる。
一方、貯蔵弾性率が0.04GPa未満の場合、セラミックグリーンシート10の塑性変形を生じ易いものとなり、転写工程における変形によるばらつきが大きくなるという傾向がある。
セラミックグリーンシート10の貯蔵弾性率を0.04GPa以上とするためには、ブチラール系バインダやメタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ノルマルブチル等のメタクリル系バインダやアクリル系バインダの中でもTg点(ガラス転移点)の比較的高いバインダ系を用いることが好ましい。メタクリル系バインダやアクリル系バインダは脱バインダ性の観点からもより一層好ましい。そして、ガラス粉末として70質量%のほう珪酸ガラスおよび30質量%のSiO2等のセラミック原料粉末100質量部に対して、イソブチルメタクリレート等のメタクリル系バインダまたはアクリル系バインダを10〜15質量部、フタル酸ジブチル等の可塑剤を1〜6質量部を加えて混練し、ドクターブレード法,圧延法,プレス法等によりシート状に成形することにより貯蔵弾性率が0.04GPa以上のセラミックグリーンシート10とすることが可能であるが、アクリル系バインダの方が、可塑剤を入れなくてもセラミックグリーンシート10として成形できることから、脱バインダの観点よりアクリル系バインダがより好ましい。
次に、図2(2)に示すように、このセラミックグリーンシート10にレーザやマイクロドリル,パンチング等により貫通孔11を形成し、そして図2(3)に示すように、その貫通孔11の内部に導体ペーストを充填して貫通導体パターン12を形成する。
貫通導体パターン12を形成するための導体ペーストは、金属粉末に適当な有機バインダ、有機溶剤、および必要に応じてガラス等の無機成分を添加混合することにより得られる。そして、その金属としては、Cu,Ag,アルミニウム(Al),金(Au),ニッケル(Ni),プラチナ(Pt),パラジウム(Pd),タングステン(W),モリブデン(Mo)およびマンガン(Mn)から選ばれる1種、または2種以上の混合物や合金等が用いられる。とりわけ、絶縁基体2の焼結温度よりも高い融点を有する金属であることが絶縁基体2との同時焼成を行なう上で望ましく、特に絶縁基体2を焼成温度が800〜1000℃のガラスセラミックス等の低温焼成セラミックスによって形成する場合には、800〜1000℃で同時焼成可能な金属であるCu,Ag,Al,Au,Ni,Pt,Pdから選ばれる1種、または2種以上の混合物や合金等の低抵抗金属が用いられることが望ましい。中でも、特に貫通導体パターン12を低抵抗、低コストで形成するという観点からは、Cu,AgおよびPdの1種、または2種以上の混合物や合金等の低抵抗金属が望ましい。
さらに、導体ペーストに用いる溶剤はセラミックグリーンシート10で用いたバインダが、例えばアクリル系バインダであるときには、溶剤にαテルピネオールやDBP等の、バインダとSP値(溶解度パラメータともいう)が近い溶剤を用いることが好ましい。導体ペーストの溶剤のSP値とセラミックグリーンシート10に含まれているバインダのSP値との差が2を超えると、導体ペーストとセラミックグリーンシート10の溶解性が異なることから親和性が悪くなるため導体ペーストとガラス粉末とバインダと溶剤とを混合して得られるガラスセラミック・スラリーとの濡れ性が悪くなり、両者の界面での剥離が発生しやすくなる。
ここで、SP値とは溶解度パラメータ(Solubility Parameter)とも呼ばれ、物質が溶剤にどれだけ溶けやすいかということを数値化した値である。SP値は物質の溶解力を示す指標として用いられる。本発明においてはTemple T. C. Patton著、植木憲二 監訳、栃原重三 今岡保郎 訳「塗料の流動と顔料分散」共立出版発行に掲載のSP値のデータを使用した。
また、導体ペーストを塗工可能な粘度に調整する溶剤は、蒸気圧が6.7×103Pa以上であることが望ましい。これは、溶剤の蒸気圧が6.7×103Pa未満の場合、溶剤が揮発しにくくなるため、溶剤がセラミックグリーンシート10の方に浸透することとなって、セラミックグリーンシート10を変形させやすくするものと考えられるからである。溶剤の蒸気圧が6.7×103Pa以上である溶剤を使用することにより、この導体ペーストで穴埋めした後、短時間に溶剤を乾燥させることが可能となるため、セラミックグリーンシート10の変形を抑制することができ、セラミック多層配線基板1の各層に形成した回路パターンの位置精度を高精度に保つことが可能となる。
次に、図2(4)に示すように、主面13aの表面粗さが算術平均粗さRaで0.02〜0.1μmの導電性基板13を準備する。この構成により導電性基板13とレジストマスク16との密着性が向上し、配線用導体層17が微細な部分におけるレジストマスク16の剥離を効果的に抑制することができる。また、フォトリソグラフィ法により配線パターン形状の開口部13b(図2(7))を有するレジストマスク16を形成する際の露光時において、導電性基板13の表面粗さによる光の乱反射を少なくできるのでレジストマスク16の解像度を効果的に向上させることができる。
導電性基板13の主面13aの表面粗さは、0.02μm未満であると、導電性基板13とレジストマスク16との密着力が不十分となり、レジストマスク16の剥離が生じ易くなる。また、0.1μmを超えると、フォトリソグラフィ法により配線パターン形状の開口13bを有するレジストマスク16を形成する際の露光時において、導電性基板13の表面粗さによる光の乱反射が大きくなってレジストマスク16の解像度が低下し易くなる。
このような導電性基板13の主面13aの表面粗さは、ブラスト研磨,バフ研磨,ブラシ研磨,プラズマ処理,コロナ処理,紫外線処理,薬品処理等の方法により所望のものとすることができる。特に、量産性の観点からはブラスト研磨が好ましい。
また、導電性基板13は、配線用導体層17をめっき法により配線パターン形状に形成するためおよびセラミックグリーンシート10の主面18(図2(10))に配線用導体層17を転写するための支持部材としての機能を有し、例えば、ステンレス鋼,チタン(Ti),チタン合金(例えば、Ti−6Al−4VやTi−0.15Pd等),Al,Cu,Ni等の金属やこれらの合金等が用いられる。特に、めっき法により形成した配線用導体層17を導電性基板13から剥がし易くするという観点からは、ステンレス鋼、チタンまたはチタン合金が用いられることが好ましい。即ち、ステンレス鋼、チタンまたはチタン合金は酸化されやすいため表面に適度に薄い酸化膜が均一にかつ恒常的に形成されているため、めっき法でステンレス鋼、チタンまたはチタン合金の表面に配線用導体層17を形成してもステンレス鋼、チタンまたはチタン合金の酸化膜により配線用導体層17の密着性が弱くなり、容易に配線用導体層17を剥がすことができる。その結果、配線用導体層17の転写性が向上しセラミック多層配線基板1を高い歩留まりで作製することが可能となる。
このような導電性基板13の厚さは30〜500μmであるのがよい。これにより、導電性基板13が適度の柔軟性を有することで配線用導体層17の転写時に配線用導体層17をセラミックグリーンシート10上に残して容易に導電性基板13を剥がすことができる。その結果、配線用導体層17の転写性が向上しセラミック多層配線基板1を高い歩留まりで作製することが可能となる。また、導電性基板13が適度の厚さを有することで導電性基板13の変形や歪を有効に抑制することができ、導電性基板13の主面に形成した配線用導体層17を精度良くセラミックグリーンシート10上に転写することができる。その結果、寸法精度および位置精度に優れた配線導体3を有するセラミック多層配線基板1を作製することができる。
導電性基板13の厚さが30μm未満であると、導電性基板13に変形や歪が生じたり破れ易くなったり、配線用導体層17を精度良くセラミックグリーンシート10上に転写することが困難となる傾向がある。また、500μmを超えると、導電性基板13の柔軟性が小さくなり配線用導体層17の転写時に配線用導体層17をセラミックグリーンシート10上に残して導電性基板13を剥がすのが困難となる傾向がある。
次に、図2(5)に示すように、この導電性基板13の主面13a上にフォトレジスト14を形成する。フォトレジスト14は、ネガ型あるいはポジ型のいずれでも良いが、ポジ型の方が配線用導体層17の幅が7.5〜50μmの微細な配線パターン形状の形成に対しては解像度が優れているためより好ましい。
そして、図2(6)に示すように、導電性基板13の主面13a上に形成されたフォトレジスト14上にフォトマスクパターン15を載置し、フォトマスクパターン15側から光を照射してフォトレジスト14を露光する。露光量としてはポジ型の場合、例えば約500mJ/cm2の強度の紫外線を照射し、露光された領域のフォトレジスト14が現像液に対し可溶となる。一方、露光されなかった部分のフォトレジスト14は現像液に不溶のままである。照射されるビームは例えば、紫外線、電子線等が挙げられ、特に装置が簡易で低価格であり、また大面積露光が可能で量産性に適するという観点から、紫外線が好ましい。また、この光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯等が使用可能であり、特に照射強度を高く設定できることから照射時間を短時間とすることができる超高圧水銀灯が量産性、解像度の観点から好適である。
次に、図2(7)に示すように、露光によって現像液に可溶となった部分のフォトレジスト14を現像除去することにより、配線用導体層17の幅が7.5〜50μmの配線パターン形状の開口部13bを有するレジストマスク16が形成される。
現像方法としては、浸漬法でもスプレー方式でも良く、また両手法を併用しても良い。現像液としては、アルカリ水溶液や有機アルカリ溶液等が使用できる。また有機アルカリ溶液はその溶解力が失われない範囲の水で希釈しても差し支え無い。アルカリ水溶液の具体例としては、水酸化ナトリウム(NaOH)や水酸化カルシウム(Ca(OH)2)水溶液等の金属アルカリ水溶液が挙げられる。また、有機アルカリ溶液の具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。特に、廃液処理の容易性およびコストの観点からアルカリ水溶液が好ましい。
開口部13bの配線パターン形状は、配線用導体層17の幅が7.5μm未満であると、フォトリソグラフィ法によりフォトレジスト14を配線パターンに形成する際の露光工程において、導電性基板13の表面粗さによる光の乱反射によって解像度が低下し、安定した幅の配線パターン形状を形成することが困難となる傾向がある。
次に、図2(8)に示すように、配線パターン形状の開口部13bにめっき法により配線パターン形状の配線用導体層17を被着させる。配線用導体層17は、例えば、Cu,Ag,Al,Au,Ni,Pt,Pd等の金属やこれらの合金等が用いられ、特に、抵抗を小さくするという観点からは電解めっきで形成したCuが好ましい。また、電解めっきで形成したCuは、他の金属めっき膜に比べ内部応力が小さいことから配線用導体層17のめっき法による形成の際の剥がれ、膨れの発生しない膜を形成できるので好ましい。
電解Cuめっきは、例えば硫酸銅(CuSO4)等のCuの供給源となるCu化合物と硫酸(H2SO4)、塩酸(HCl)とを主成分とする電解Cuめっき液中に所定時間浸漬し、電流密度0.5〜5A/dm2で通電することにより、導電性基板13上の配線パターン形状の開口部13bに所定厚みで被着形成される。電流密度が0.5A/dm2未満であると、Cuめっき層の析出速度が遅く生産性が低下する。また、電流密度が5A/dm2を超えると、電流密度が大きすぎてCuめっき層に焼けが発生し易くなる。
また、形成された配線用導体層17の内部応力の絶対値が49MPa以下であることが好ましい。49MPa以下であれば、導電性基板13の主面の表面粗さが算術平均粗さRaの範囲である0.02〜0.1μmでは、導電性基板13の主面と配線用導体層17との間に十分なアンカー接合による密着力が得られる。導電性基板13の表面粗さが算術平均粗さRaで0.1μmを超えるときは、配線用導体層17の内部応力が絶対値で49MPaを超えても導電性基板13との十分なアンカー接合による密着力が得られるが、フォトリソグラフィ法により配線パターン形状の開口13bを有するレジストマスク16を形成する際の露光工程において、導電性基板13の表面粗さによる光の乱反射が大きくなってレジストマスク16の解像度が低下し易くなる。また、導電性基板13の表面粗さが0.1μm以下のときに配線用導体層17の内部応力が絶対値で49MPaを超えて大きくなると、アンカー接合による密着の限界を超えてしまうのでアンカー接合による充分な密着が得られない。その結果、めっき膜からなる配線用導体層17の内部応力が外に広がろうとする引張り応力が働いた場合、49MPaを超えるとめっき工程において配線用導体層17が浮いて剥がれる虞がある。また配線用導体層17の内部応力が内側に縮もうとする圧縮応力が働いた場合、49MPaを超えるとめっき工程において配線用導体層17が膨れる虞がある。
配線用導体層17の内部応力を目的の範囲とするためには、目的とするめっき厚みでのめっき膜の応力を(株)山本鍍金試験機製のスパイラル鍍金応力計などのめっき膜の応力を測定する装置であらかじめ調べ、めっき液の組成、添加剤の種類を決定したのち、その条件でめっきすることが望ましい。
次に、図2(9)に示すように、不要となったレジストマスク16を、例えばアセトンや酢酸ブチル等の有機溶剤を用いて溶解除去することにより、導電性基板13上に所定厚みの配線用導体層17が形成される。
続いて、図2(10)に示すように、上記の配線用導体層17が形成された導電性基板13を図2(3)の貫通導体パターン12が形成されたセラミックグリーンシート10の主面18に位置合わせして積層し、0.1〜5MPa程度の圧力を印加して、配線用導体層17をセラミックグリーンシート10の主面18に圧接する。そして、配線用導体層17をセラミックグリーンシート10の主面18に残したままで導電性基板13のみを除去することにより、配線用導体層17をセラミックグリーンシート10の主面18に転写することができる。これにより、図2(11)に示す、配線用導体層17が転写されたセラミックグリーンシート10から成る配線シート19を作製することができる。
なお、導電性基板13の除去方法としては、剥離による方法やエッチング除去する方法が用いられ、特に、セラミックグリーンシート10のエッチング液等による劣化を防止するという観点からは、エッチング液などの薬液処理の無い剥離による方法が好ましい。
その後、図2(11)に示すように、配線シート19と、同様にして作製した複数枚の配線シート20〜22とを積層し圧着して積層体本体23を作製する。このとき、積層体本体23の最表層となるセラミックグリーンシート19,22の主面と配線用導体層17の主面の高さが同じである。
次に、図2(12)に示すように、積層体本体23の上下主面を被覆するように被覆用のセラミックグリーンシート24を積層し圧着して積層体25を作製する。
被覆用のセラミックグリーンシート24は、難焼結性無機材料とガラスとからなる無機成分に有機バインダ,可塑剤,溶剤等を加えたスラリーを成形して得てもよい。
また、難焼結性無機材料としては、Al2O3およびSiO2から選ばれる少なくとも1種が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
被覆用のセラミックグリーンシート24に加えられるガラスについても、特に制限されるものではなく、上述したセラミックグリーンシート10に配合されるガラスと同様のものが使用可能である。また、被覆用のセラミックグリーンシート24中のガラスは、セラミックグリーンシート10中のガラスと同一組成のものであってもよく、異なる組成のものであってもよい。
次に、図3において25は積層体、26はマイクロ波吸収性の筺体、27はマイクロ波焼成炉、28は炉壁、29は断熱壁、30はマイクロ波吸収壁、31はマイクロ波吸収性の棚板、32は台座、33は焼成雰囲気ガス供給用ノズル、34は焼成雰囲気ガス、35はマイクロ波吸収性の筺体26の開口部であり、炉壁28は断熱材29とマイクロ波吸収壁30とから成る。
本発明のセラミック多層配線基板1の製造方法によれば、積層体25をマイクロ波吸収性の筺体26で囲うとともにこのマイクロ波吸収性の筺体26を通して積層体25にマイクロ波を照射することが重要である。これにより、被覆用のセラミックグリーンシート24と積層体本体23との内部と表面との温度差を効果的に抑えて焼成することが可能となることから積層体25の脱脂効率が向上し、配線用導体層17に膨れや亀裂が生じることがなくなる。その結果、寸法精度の高いセラミック多層配線基板1を得ることができる。
これは、通常の電気炉では積層体25は表面からの伝熱により焼成されて内部の焼結が表面に比べ遅れ気味になるのに対し、マイクロ波による焼成の場合は、マイクロ波焼成炉27内に導入されたマイクロ波がマイクロ波焼成炉27の断熱壁29の内壁に設けられたマイクロ波吸収壁30、マイクロ波吸収性の筺体26、マイクロ波吸収性の棚板31を加熱すると同時に、積層体25を内部から効率よく加熱することとなり、積層体25の表面と積層体25の内部との温度勾配を効果的に極めて小さなものに抑制することができるからである。
配線用導体層17の主面の高さが、積層体本体23の最表層となるセラミックグリーンシート19,22の主面より高くなると、焼成の際にマイクロ波を照射したときに、配線用導体層17の角部にマイクロ波が集中し、放電を生じてしまう。その結果、配線用導体層17の近傍のセラミックグリーンシート10が焼結過剰になったり、膨れやクラックが発生したりするといった不具合が発生する。
配線用導体層17の主面の高さがセラミックグリーンシート19,22の主面の高さが同じであると、配線用導体層17の角部がセラミックグリーンシート19,22中に埋没しているので、マイクロ波の集中が緩和され、配線用導体層17の角部に放電が生じることがなくなり、膨れやクラックのないセラミック多層配線基板1を得ることができる。
さらに、積層体本体23の上下主面を被覆するように、被覆用のセラミックグリーンシート24を積層すると、配線用導体層17の角部がセラミックグリーンシート10中に埋没するうえ、被覆用のセラミックグリーンシート24に包まれるので、配線用導体層17の角部からのマイクロ波の放電がより一層緩和され、安定して寸法精度の高いセラミック多層配線基板1を得ることができる。
また、マイクロ波吸収性の筐体26の材質としては、誘電損失(tanδ)が大きくマイクロ波の吸収性が大きいセラミック材料が好適である。そのようなマイクロ波吸収性の筐体26を構成するセラミック材料としては、例えば炭化ケイ素系材料、アルミナ系材料等が挙げられる。
また、焼成時の際の被覆用のセラミックグリーンシート24自体の焼結収縮はガラスの含有量を所定範囲内に設定することにより実質的に回避できることから、被覆用のセラミックグリーンシート24により積層体本体23の収縮を効果的に抑えることが可能となることから、寸法精度の高いセラミック多層配線基板1を得ることができる。また、焼成雰囲気ガス34が直方体状のマイクロ波吸収性の筐体26の開口部35からこのマイクロ波吸収性の筐体26内に供給されることにより、マイクロ波照射により積層体25を構成する有機バインダが熱分解して発生した分解ガスが、マイクロ波吸収性の筐体26内において滞留することなく連続的に対向する側面の開口部(図示せず)から排気されることとなり、焼成雰囲気ガス供給用ノズル33から供給された均一な焼成雰囲気ガス34の下で積層体25を焼成することが可能となることから、寸法精度の高いセラミック多層配線基板1を得ることができる。
また、焼成雰囲気ガス34としては、不活性ガスである窒素ガスもしくはアルゴンガスを用いることが好ましい。また、積層体本体23の酸化防止の観点からは、還元性ガスである水素ガスをこれら不活性ガスに適量混合して使用すること、および、露点が40℃以上の不活性ガスを使用することも好適である。
積層体25にマイクロ波吸収性の筐体26を通してマイクロ波を照射することにより、有機成分の除去および焼成を行なうが、この際、有機成分の除去は100〜800℃の温度範囲で積層体25を加熱することによって行ない、有機成分を分解・揮散させる。また、焼成温度は組成により異なるが、通常は約800〜1100℃の範囲内である。
また、本発明の製造方法において用いるマイクロ波の周波数は、1〜20GHzが好ましく、特に2.45GHzが好ましい。マイクロ波の周波数を2.45GHzとした場合には、マイクロ波エネルギーを制御しやすいため昇温の温度制御がしやすくなる。また、ISMバンドとして許可されていることから、マイクロ波発振器に比較的小型でかつ安価なものを用いることができる。
マイクロ波の周波数が1GHz未満では、波長が長くなりすぎるとともに積層体25およびマイクロ波吸収性の筐体26によるマイクロ波の吸収率が低下するため好ましくない。逆に、20GHzを超える場合には、マイクロ波の吸収率が高くなり過ぎてしまい、特に、昇温の温度制御が困難となってしまうため好ましくない。
また、マイクロ波焼成炉27としては、マイクロ波発振器を備えたバッチ炉であっても、あるいは大型の連続炉であっても何ら差し支えない。
マイクロ波焼成炉27の炉壁28は、断熱性を有するとともにマイクロ波の透過性のあるアルミナファイバーや発泡アルミナ材料等から構成される断熱壁29と、その内側に設けられた、マイクロ波によって自己発熱する内殻となるマイクロ波吸収壁30との2重構造からなる。この内殻となるマイクロ波吸収壁30を構成する材料としては、窒化ケイ素系材料,アルミナ系材料等が挙げられる。また、マイクロ波吸収性の筐体26およびマイクロ波吸収性の棚板31は、焼成する積層体25に応じてそれらの材料の中から適宜選択されるが、積層体25のマイクロ波吸収率と同じか、それ以上のマイクロ波吸収率を有するものを用いることが望ましい。これにより、マイクロ波照射の際に、加熱むらが起こらず積層体25を均一に焼成して焼結させることができる。
次に、積層体25の焼成後に被覆用のセラミックグリーンシート24を除去する方法としては、セラミック多層配線基板1の表面に結合した被覆用のセラミックグリーンシート24を除去できる方法であれば特に制限はなく、例えば超音波洗浄,研磨,ウォータージェット,サンドブラスト,ウェットブラスト(砥粒と水とを空気圧により噴射させる方法)等が挙げられる。
得られたセラミック多層配線基板1は、焼成の際の収縮が被覆用のセラミックグリーンシート24によって厚さ方向だけに抑えられているので、その積層面内の収縮をおよそ0.5%以下にも抑えることが可能となる。
なお、本発明は上述の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。例えば、上述の例では本発明の半導体LSI,チップ部品等を搭載し、それらを相互配線するためのガラスセラミック基板の製造方法に関するもの等の他の用途に適用しても良い。
(実施例1)
以下、本発明を具体例によって詳細に説明するが、本発明は以下の具体例に限定されるものではない。
まず、ガラス粉末として70質量%のほう珪酸ガラスおよび30質量%のSiO2を秤量し、それにバインダとしてアクリル樹脂、可塑剤としてDBP(ジブチルフタレート)、溶媒としてトルエンおよびイソプロピルアルコールを加えて調製したスラリーを用いて、ドクターブレード法により厚みが300μmのセラミックグリーンシート10を作製した。
次に、金属粉末として平均粒径が5μmのCu粉末に、有機バインダとしてアクリル系樹脂、溶媒としてDBPを添加混練し、貫通導体パターン12に用いるCu導体ペーストを作製した。
そして、セラミックグリーンシート10の所定箇所にパンチング加工を行なって貫通孔11を形成し、その貫通孔11内に貫通導体パターン12に用いるCu導体ペーストを充填した。
一方、ステンレス鋼(SUS304)から成る導電性基板13を用意し、この表面にブラスト処理を行なって導電性基板13の表面粗さを算術平均粗さRaの範囲である0.02〜0.1μmに調節した。なお、表面粗さの測定は、導電性基板13を十分に水洗し乾燥した後、触針式表面粗さ計にて測定を行なった。そして、この導電性基板13の表面に感光性のフォトレジスト(東京応化工業(株)製「PMER−AR900」)をスピナーを用いて1500rpmで30秒間スピンコートし約10μmのフォトレジスト14を形成した。次に、85℃のオーブンで30分間乾燥した後、フォトマスクパターン15を通して500mJ/cm2の紫外線を照射して露光した後、アルカリ溶液(東京応化工業(株)製PMER−AR900用現像液「P−6G」)で2分間現像し、配線パターン形状の開口13bを有するレジストマスク16を形成した。
次に、この導電性基板13を、60g/L(グラム/リットル)のCuSO4・5H2Oと200g/LのH2SO4と0.16mL/LのHCLと20mL/Lの添加剤(アトテックジャパン社製「カパラシドHL」)と0.1mL/Lの添加剤(アトテックジャパン社製補正剤「カパラシドGS」)と残分として水とから成る硫酸銅めっき液に浸漬し、電流密度として1A/dm2の条件下で45分間通電し、Cuから成る配線用導体層17を形成した後、アセトンに浸漬しレジストマスク16を溶解除去した。
また、この導電性基板13を、水1Lに対して200g/LのCuSO4・5H2Oと50g/LのH2SO4と0.16mL/LのHCLと20mL/Lの添加剤(アトテックジャパン社製「カパラシドHL」)と0.1mL/Lの添加剤(アトテックジャパン社製補正剤「カパラシドGS」)とを溶解して成る硫酸銅めっき液に浸漬し、電流密度として0.5〜5A/dm2の条件下で10〜90分間通電し、Cuから成る配線用導体層17を形成した後、アセトンに浸漬しレジストマスク16を溶解除去し配線用導体17を形成した。
次に、貫通導体パターン12に用いるCu導体ペーストを貫通孔11に充填したセラミックグリーンシート10の主面18に、位置合わせを行ないながら配線用導体層17を形成した導電性基板13を積層し、60℃の温度および2MPaの圧力で熱圧着した。その後、導電性基板13を剥がすことにより配線用導体層17をセラミックグリーンシート10の主面18に転写し、貫通導体パターン12と接続された配線用導体層17を具備する1枚の配線シート19を形成した。
さらに、この1枚の配線シート19と同様にして作製した複数枚の配線シート20〜22した合計4層の配線シートを積層し、60℃の温度および2MPaの圧力にて熱圧着して積層体本体23を形成した。このとき、配線用導体層17の主面とセラミックグリーンシート19,22の主面との高さは同じであった。
また、無機成分としてAl2O3粉末95質量%とSiO2−Al2O3−MgO−B2O3−ZnO系ガラス粉末5質量%とを用いて、セラミックグリーンシートと同様にしてスラリーを作製し、次いで成形して厚さ250μmの被覆用のセラミックグリーンシート24を得た。この被覆用のセラミックグリーンシート24のマイクロ波に対する誘電正接は積層体本体23とほぼ同等であった。
次に、積層体本体23の上下主面に、被覆用のセラミックグリーンシート24を積層し60℃の温度および2MPaの圧力で熱圧着した。
そして、得られた積層体25をマイクロ波によって自己発熱するアルミナ系材料の内殻に載置し、2.45GHzのマイクロ波を照射し露点50℃の窒素雰囲気中700℃で1時間加熱して有機成分を除去した後、900℃で1時間焼成した。焼成雰囲気ガス34の供給量は、1分間あたりマイクロ波吸収性の筐体26の容積の0.5倍の体積の量とした。また、マイクロ波吸収性の筐体26は炭化珪素系材料で作製したものを使用した。
焼成後は、セラミック多層配線基板1の上下主面に被覆用のセラミックグリーンシート24が付着していた。この状態では、軽く叩いても被覆用のセラミックグリーンシート24が剥がれることはなかった。
セラミック多層配線基板1の表面に付着した被覆用のセラミックグリーンシート24を、球状Al2O3微粉末と水との混合物を高圧の空気圧で投射するウェットブラスト法により除去した。被覆用のセラミックグリーンシート24を除去した後のセラミック多層配線基板1の表面は、表面粗さRaが1μm以下の平滑な面となり、配線用導体層17の半田濡れ性も問題なかった。また、配線用導体層17に膨れやクラックは発生していなかった。
また、得られたセラミック多層配線基板1の積層面内での収縮は0.5%以下であり、基板に反りや変形も認められなかった。
(比較例1)
窒化アルミニウム系材料で作製したマイクロ波吸収性筐体26を使用し、焼成雰囲気ガス34としては露点50℃の窒素ガスを用いて焼成を行なった以外は、実施例1と同様にしてセラミック多層配線基板1を得た。
(比較例2)
実施例1と同様にして作製した積層体25を電気炉を使用して、露点50℃の窒素雰囲気中700℃で1時間加熱して有機成分を除去した後、900℃で1時間焼成してセラミック多層配線基板1を得た。焼成雰囲気ガス34の供給量は、実施例1と同様に1分間あたりマイクロ波吸収性筐体26の容積の0.5倍の体積の量とした。
(比較例3)
ガラスを含有しない被覆用のセラミックグリーンシート24を作製した以外は実施例1と同様にしてセラミック多層配線基板1を得た。
その結果、窒化アルミニウム系材料で作製したマイクロ波吸収性の筐体26を使用した比較例1で得たセラミック多層配線基板1は、被覆用のセラミックグリーンシート24と積層体本体23との内部と表面との温度差を効果的に抑えて焼成することが困難となり、収縮が0.7%となり寸法精度が劣った。また、150mm×120mmの基板サイズに対し200μmの基板の反りが発生した。なお、基板の反りの測定は、触針式表面粗さ計で行なった。
また、比較例2で得たセラミック多層配線基板1は、配線用導体層17部分の脱脂性が悪く、セラミック多層配線基板1と配線用導体層17との界面に膨れが生じていた。
また、比較例3で得たセラミック多層配線基板1は、使用した被覆用のセラミックグリーンシート24がガラスを含まないために、焼成後のセラミック多層配線基板1から被覆用のセラミックグリーンシート24が簡単に剥がれてしまった。また、積層体本体23と被覆用のセラミックグリーンシート24との間の結合力が弱いため、セラミック多層配線基板1の積層面内での収縮率は85%程度と大きく収縮するか、セラミック多層配線基板1の一部のみが被覆用のセラミックグリーンシート24に結合されているためにセラミック多層配線基板1は大きく変形した。
(比較例4)
積層圧力を30℃の温度および1MPaの圧力にした以外は、実施例1と同様の方法で積層体25を得た。このとき配線用導体層17の高さはセラミックグリーンシート10の高さよりも高かった。この積層体25を実施例1と同様の方法で焼成しセラミック多層配線基板1を得た。
焼成後は、セラミック多層配線基板1の上下主面に被覆用のセラミックグリーンシート24が付着していたが、部分的にクラックが発生していた。
セラミック多層配線基板1の表面に付着した被覆用セラミックグリーンシート24を、実施例1と同様の方法により除去した。被覆用セラミックグリーンシート24を除去した後のセラミック多層配線基板1の表面は、配線用導体層の近傍が過剰焼結になり、膨れやクラックが発生していた。
なお、本発明は上記の実施の形態および実施例の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。