JP2001302359A - ガラスセラミック基板の製造方法 - Google Patents

ガラスセラミック基板の製造方法

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JP2001302359A
JP2001302359A JP2000124677A JP2000124677A JP2001302359A JP 2001302359 A JP2001302359 A JP 2001302359A JP 2000124677 A JP2000124677 A JP 2000124677A JP 2000124677 A JP2000124677 A JP 2000124677A JP 2001302359 A JP2001302359 A JP 2001302359A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラスセラミック・グリーンシートの焼結収
縮を確実に拘束して、寸法精度が極めて高い、良好な表
面状態のガラスセラミック基板を得る方法を提供するこ
とである。 【解決手段】 (i)表面に導体パターンが形成された
ガラスセラミック・グリーンシートの複数枚を積層して
積層体を作製し、(ii)該積層体の両面に、難焼結性無
機材料とガラスとを含む拘束グリーンシートを積層し、
(iii)積層体から有機成分を除去し、ついで焼成し
て、拘束シートを保持したガラスセラミック基板を作製
し、(iv)液体と研磨材粒子と気体との混合物を投射し
て前記基板から拘束シートを除去する工程からなり、
(v)拘束グリーンシートのガラス含有量が、焼成時に
ガラスセラミック・グリーンシートと結合しかつ積層面
内で実質的に収縮させない量である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体LSI、チ
ップ部品等を搭載し、それらを相互配線するための多層
ガラスセラミック基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体LSI、チップ部品等は小
型化、軽量化が進んでおり、これらを実装する配線基板
も小型化、軽量化が望まれている。このような要求に対
して、基板内に内部電極等を配した多層セラミック基板
は、要求される高密度配線が可能となり、かつ薄型化が
可能なことから、今日のエレクトロニクス業界において
重要視されている。
【0003】多層セラミック基板としては、アルミナ質
焼結体からなり、表面または内部にタングステン、モリ
ブデン等の高融点金属からなる配線層が形成された絶縁
基板が従来より広く用いられている。
【0004】一方、近年の高度情報化時代を迎え、使用
される周波数帯域はますます高周波帯に移行しつつあ
る。このような高周波の信号の伝送を行なう高周波配線
基板においては、高周波信号を高速で伝送する上で、配
線層を形成する導体の抵抗が小さいことが要求され、絶
縁基板にもより低い誘電率が要求される。
【0005】しかし、従来のタングステン、モリブデン
等の高融点金属は導体抵抗が大きく、信号の伝播速度が
遅く、また30GHz以上の高周波領域の信号伝播も困難
であることから、タングステン、モリブデン等の金属に
代えて銅、銀、金等の低抵抗金属を使用することが必要
である。ところが、上記のような低抵抗金属は融点が低
いため、800〜1000℃程度の低温で焼成することが必要
であることから、該低抵抗金属からなる配線層は、高温
焼成が必要なアルミナと同時焼成することができなかっ
た。また、アルミナ基板は誘電率が高いため、高周波回
路基板には不適切である。
【0006】このため、最近では、ガラスとセラミック
ス(無機質フィラー)との混合物を焼成して得られるガ
ラスセラミックスを絶縁基板として用いることが注目さ
れている。すなわち、ガラスセラミックスは誘電率が低
いため高周波用絶縁基板として好適であり、またガラス
セラミックスは800〜1000℃の低温で焼成することがで
きることから、銅、銀、金等の低抵抗金属を配線層とし
て使用できるという利点がある。
【0007】多層ガラスセラミック基板は、ガラスとフ
ィラーとの混合物に有機バインダー、可塑剤、溶剤等を
加えてスラリーとし、ドクターブレード等によりガラス
セラミック・グリーンシートを成形した後、銅、銀、金
等の低抵抗金属の粉末を含有する導体ペーストを印刷す
るなどして前記グリーンシート上に導体パターンを形成
し、ついで複数枚のグリーンシートを積層して800〜100
0℃の温度で焼成して得られる。
【0008】ところが、多層ガラスセラミック基板は、
焼成過程において焼結に伴う収縮を生じるという問題が
ある。このような収縮の程度は一様ではなく、使用する
基板用無機材料、グリーンシート組成、原料である粉体
粒度のバラツキ、導体パターン、内部電極材料等により
収縮率や収縮方向が異なってくる。このことは、多層ガ
ラスセラミック基板の作製において、いくつかの問題を
ひき起こす。
【0009】先ず、内部電極印刷用のスクリーン版を作
製する際、基板の収縮率から逆算してスクリーン版の大
きさを決定しなければならないが、上記のように基板の
収縮率や収縮方向は一定でないため、スクリーン版は基
板の製造ロット毎に作り直さなければならず不経済であ
り現実的ではない。さらに、上記のようなグリーンシー
ト積層法によって作製される多層ガラスセラミック基板
では、グリーンシートの造膜方向によって積層面内の縦
方向と横方向の収縮率が異なるため、多層ガラスセラミ
ック基板の作製がより一層困難なものになる。
【0010】これに対して、収縮誤差を許容するように
必要以上に大きい面積の電極を形成する場合には、高密
度な配線ができなくなる。
【0011】これらの収縮変化を小さくするためには、
回路設計による基板の収縮率の傾向を調べたり、製造工
程において基板材料およびグリーンシート組成の管理、
粉体粒度のバラツキ、プレス圧や温度等の積層条件を充
分管理する必要がある。しかし、それでも一般に収縮率
の誤差として±0.5%程度はどうしても発生するといわ
れている。
【0012】このことは多層ガラスセラミック基板にか
かわらずセラミックスやガラスセラミックス等の焼結に
伴うものに共通する課題である。このような課題を解決
するために、特開平4−293978号公報、特開平5−2886
7号公報、特開平5−102666号公報では、以下の(1)
〜(4)の工程を含む基板の製造方法が提案されてい
る。 (1)ガラスセラミック成分とバインダー、可塑剤等の
有機成分とを含むガラスセラミック・グリーンシートに
導体パターンを形成したものを所望枚数積層し、(2)
得られたガラスセラミック・グリーンシートの積層体の
両面または片面に、前記ガラスセラミック成分の焼成温
度では焼結しない無機材料とバインダー、可塑剤等の有
機成分とを含む拘束グリーンシートを積層し、(3)こ
れらガラスセラミック・グリーンシートの積層体と拘束
グリーンシートとの積層体を加熱して、まず有機成分を
除去し、ついで焼成して、それぞれガラスセラミック基
板および拘束シートとなし、(4)最後に、ガラスセラ
ミック基板から拘束シートを除去する。
【0013】この方法によれば、前記拘束グリーンシー
トがガラスセラミック・グリーンシートの焼成時の収縮
を拘束するため、積層体の厚さ方向のみに収縮が起こ
り、積層面の縦・横方向には収縮が起こらなくなり、ガ
ラスセラミック基板の寸法精度が向上すると考えられて
いる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上記の方法では、ガラ
スセラミック・グリーンシートと拘束グリーンシートと
の結合は、それらのグリーンシート内に含有されている
バインダー等の有機成分により行なわれる。しかし、
(3)の焼成工程において、バインダー、可塑剤等の有
機成分が分解し揮散した後は、拘束グリーンシート中の
粉体とガラスセラミック・グリーンシート中の粉体とが
単に密着して接触しているだけであり、それらのシート
間にはファンデルワールス力による弱い結合が働いてい
るだけである。
【0015】このような弱い結合は、(4)の工程にお
ける拘束シートの除去が簡単になるという利点があるも
のの、(3)の焼成工程でガラスセラミック・グリーン
シート積層体から拘束グリーンシートがそれらの熱膨張
差等により不用意に剥離するおそれがある。
【0016】焼成途中で拘束グリーンシートが剥離する
と、ガラスセラミック・グリーンシートの焼結収縮を防
止できなくなる。また、拘束グリーンシートの剥離がた
とえ一部であっても、当該部分において収縮が起こるた
めガラスセラミック基板の変形が発生することになる。
【0017】また、ガラスセラミック・グリーンシート
積層体と拘束グリーンシートとは結合力が小さいため、
焼成前のそれらの密着状態や、ガラスセラミック成分の
種類によるガラスセラミック・グリーンシート中のガラ
ス成分の拘束グリーンシート内への浸透性によってはそ
れらの結合力にムラが生じやすい。結合力にムラがある
と、ガラスセラミックの焼結収縮を拘束する力にムラが
でき、収縮ムラが起こり、ガラスセラミック基板の反
り、変形等が発生することになる。その結果、寸法精度
の高い基板が得られないという問題がある。
【0018】さらに、付着した拘束シートを除去する方
法として、ブラシによる擦り取り、超音波洗浄、研削、
ラップ研磨、乾式ブラスト(研磨材を高圧空気流によっ
て対象除去部に投射する方法)、湿式ブラスト(研磨材
を高圧水流によって対象除去部に投射する方法)等が挙
げられているが、これらの方法では除去性が充分ではな
いことがあるという問題がある。
【0019】例えば、ブラシによる擦り取りや超音波洗
浄では、拘束シートの大部分は除去されるが、磁器のご
く表面上には拘束シート中の粒子が残ってしまいやすい
という問題がある。特に、拘束シートが付着しやすいメ
タライズ層上の拘束シート等は充分に除去できないこと
があり、その場合には、メタライズ層の半田濡れ性やめ
っき性が低下することとなるという問題があった。
【0020】また、研削やラップ研磨では、拘束シート
を除去した後のガラスセラミック基板の表面に局部的な
キズが発生しやすい傾向があるという問題があった。
【0021】また、乾式ブラストでは、研磨材が高圧で
ガラスセラミック基板表面に直接当たるため除去能力は
高いが、ガラスセラミック基板表面に形成したメタライ
ズ層が剥がれてしまうことがあったり、研磨材がメタラ
イズ層に食い込んでしまったりすることがあるという問
題があった。
【0022】さらに、湿式ブラストでは、水溜りがクッ
ションとなるために除去能力が弱くなることがあり、ま
た、微小な研磨材の使用が難しいために粒径の大きな研
磨材を用いるので、拘束シートを除去した後のガラスセ
ラミック基板表面の表面粗さが大きくなりやすく、その
結果、メタライズ層のめっき性やワイヤボンディング性
が低下する場合があるという問題があった。
【0023】本発明の目的は、ガラスセラミック・グリ
ーンシートの積層面内での焼結収縮を確実に拘束して、
表面に拘束シートの付着物の残留がない、寸法精度の高
いガラスセラミック基板を得る方法を提供することであ
る。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、(I)拘束グリー
ンシート内にガラス成分を含有させておくと、該ガラス
成分が焼成過程でガラスセラミック・グリーンシートと
拘束グリーンシートとを結合する結合材として作用する
ため、それらの間の結合力が高まり、拘束グリーンシー
トが剥離するのを防止できること、(II)焼成時におけ
る拘束グリーンシート自体の焼結収縮はガラスの含有量
を所定範囲内に設定することにより実質的に回避できる
こと、その結果、(III)拘束グリーンシートによりガ
ラスセラミック・グリーンシート積層体の収縮が確実に
抑えられ、寸法精度の高いガラスセラミック基板を得る
ことができること、さらに(IV)液体と研磨材粒子と気
体との混合物を投射する方法により、ガラスセラミック
基板の表面に付着した拘束シートを基板表面に形成され
た導体へのダメージを抑えて完全に除去することがで
き、寸法精度の高いガラスセラミック基板を得ることが
できるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに
到った。
【0025】すなわち、本発明のガラスセラミック基板
の製造方法は、(i)有機バインダーを含有し表面に導
体パターンが形成されたガラスセラミック・グリーンシ
ートの複数枚を積層してガラスセラミック・グリーンシ
ート積層体を作製する工程と、(ii)前記ガラスセラミ
ック・グリーンシート積層体の両面に、難焼結性無機材
料とガラスと有機バインダーとを含む拘束グリーンシー
トを積層する工程と、(iii)前記拘束グリーンシート
とガラスセラミック・グリーンシート積層体との積層体
から有機成分を除去し、ついで焼成して拘束シートを保
持したガラスセラミック基板を作製する工程と、(iv)
前記拘束シートに液体と研磨材粒子と気体との混合物を
投射して前記ガラスセラミック基板から拘束シートを除
去する工程とを含み、(v)前記拘束グリーンシートの
ガラス含有量が、前記焼成時に拘束グリーンシートを前
記ガラスセラミック・グリーンシートと結合させかつ拘
束グリーンシートをその積層面内で実質的に収縮させな
い量であることを特徴とする。
【0026】ここで、「実質的に収縮させない」とは、
拘束グリーンシートの収縮が1%以下、好ましくは0.8
%以下、より好ましくは0.5%以下に抑制されているこ
とを意味する。また、前記「積層面内」とは、三次元座
標において厚さ方向をZ方向としたときのX方向および
Y方向によって規定される面内をいい、具体的にはシー
トの縦方向および横方向を意味する。
【0027】本発明において、前記拘束グリーンシート
中に含有されるガラスの軟化点は、前記ガラスセラミッ
ク・グリーンシート積層体の焼成温度以下であるのがよ
い。これにより、焼成工程で拘束グリーンシート中のガ
ラスが軟化し、結合力が高まる。
【0028】また、前記拘束グリーンシート中に含有さ
れるガラスの軟化点は、前記有機成分の除去温度よりも
高いのがよい。前記ガラスの軟化点が有機成分の除去温
度よりも低い場合には、分解・揮散した有機成分が通過
するための除去経路が軟化したガラスによって閉塞され
てしまうおそれがある。
【0029】前記拘束グリーンシート中のガラス含有量
は、該拘束グリーンシート中の全無機成分の0.5〜15重
量%であるのがよい。通常は、この範囲が焼成時に前記
ガラスセラミック・グリーンシートと結合しかつ拘束グ
リーンシートをその積層面内で実質的に収縮させない量
となるが、必ずしもこの範囲に制限されるものではな
く、使用するガラスの種類等によってガラス含有量は変
化する。
【0030】そして、焼成後にガラスセラミック基板の
表面から拘束シートを除去するには、液体と研磨材粒子
と気体との混合物を投射する方法を用いるとよい。この
方法は液体と研磨材粒子と気体とが混合されているた
め、研磨材のみを直接投射するサンドブラスト等の乾式
ブラストと比較するとソフトな研磨となり、処理後のガ
ラスセラミック基板表面の表面粗さが大きくなってしま
うといったダメージを抑えることができる。また、液体
と研磨材粒子との混合物を投射するジェットスクラブ等
の湿式ブラストと比較すると研磨加工力に優れ、かつガ
ラスセラミック基板表面への同様のダメージを抑えるこ
とができる。そのため、基板表面に形成した導体が剥が
れたり、基板表面の表面粗さが大きくなったり、導体表
面の表面粗さが大きくなって導体上へのめっき性、ワイ
ヤボンディング性を低下させたりすることなく、拘束シ
ートを短時間で効率よく完全に除去することができ、良
好な表面状態のガラスセラミック基板を得ることができ
る。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明におけるガラスセラミック
・グリーンシートは、ガラス粉末、フィラー粉末(セラ
ミック粉末)、さらに有機バインダー、可塑剤、有機溶
剤等を混合したものが用いられる。
【0032】ガラス成分としては、例えばSiO2−B2
3系、SiO2−B23−Al23系、SiO2−B2
3−Al23−MO系(但し、MはCa、Sr、Mg、
BaまたはZnを示す)、SiO2−Al23−M1O−
2O系(但し、M1およびM 2は同一または異なってC
a、Sr、Mg、BaまたはZnを示す)、SiO2
23−Al23−M1O−M2O系(但し、M1および
2は前記と同じである)、SiO2−B23−M3 2O系
(但し、M3はLi、NaまたはKを示す)、SiO2
23−Al23−M3 2O系(但し、M3は前記と同じ
である)、Pb系ガラス、Bi系ガラス等が挙げられ
る。
【0033】また、前記フィラーとしては、例えばAl
23、SiO2、ZrO2とアルカリ土類金属酸化物との
複合酸化物、TiO2とアルカリ土類金属酸化物との複
合酸化物、Al23およびSiO2から選ばれる少なく
とも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル、ムライ
ト、コージェライト)等が挙げられる。
【0034】上記ガラスとフィラーの混合割合は重量比
で40:60〜99:1であるのが好ましい。
【0035】ガラスセラミック・グリーンシートに配合
される有機バインダーとしては、従来からセラミックグ
リーンシートに使用されているものが使用可能であり、
例えばアクリル系(アクリル酸、メタクリル酸またはそ
れらのエステルの単独重合体または共重合体、具体的に
はアクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル
共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル
共重合体等)、ポリビニルブチラ−ル系、ポリビニルア
ルコール系、アクリル−スチレン系、ポリプロピレンカ
ーボネート系、セルロース系等の単独重合体または共重
合体が挙げられる。
【0036】ガラスセラミック・グリーンシートは、上
記ガラス粉末、フィラー粉末、有機バインダーに必要に
応じて所定量の可塑剤、溶剤(有機溶剤、水等)を加え
てスラリーを得て、これをドクターブレード、圧延、カ
レンダーロール、金型ブレス等により厚さ約50〜500μ
mに成形することによって得られる。
【0037】ガラスセラミック・グリーンシート表面に
導体パターンを形成するには、例えば導体材料粉末をペ
ースト化したものをスクリーン印刷法やグラビア印刷法
等により印刷するか、あるいは所定パターン形状の金属
箔を転写する等の方法が挙げられる。導体材料として
は、例えばAu、Ag、Cu、Pd、Pt等の1種また
は2種以上が挙げられ、2種以上の場合は混合、合金、
コーティング等のいずれの形態であってもよい。
【0038】なお、表面の導体パターンには、上下の層
間の導体パターン同士を接続するためのビア導体やスル
ーホール導体等の貫通導体が表面に露出した部分も含ま
れる。これら貫通導体は、パンチング加工等によりガラ
スセラミック・グリーンシートに形成した貫通孔に、導
体材料粉末をペースト化したもの(導体ペースト)を印
刷により埋め込む等の手段によって形成される。
【0039】ガラスセラミック・グリーンシートの積層
には、積み重ねたグリーンシートに熱と圧力を加えて熱
圧着する方法、有機バインダー、可塑剤、溶剤等からな
る接着剤をシート間に塗布して熱圧着する方法等が採用
可能である。
【0040】本発明における拘束グリーンシートは、難
焼結性無機材料とガラスとからなる無機成分に有機バイ
ンダー、可塑剤、溶剤等を加えたスラリーを成形して得
られる。難焼結性無機材料としては、Al23およびS
iO2から選ばれる少なくとも1種が挙げられるが、こ
れらに制限されるものではない。
【0041】拘束グリーンシートに加えられるガラスに
ついても、特に制限されるものではなく、前記したガラ
スセラミック・グリーンシートに配合されるガラスと同
様のものが使用可能である。また、拘束グリーンシート
中のガラスは、ガラスセラミック・グリーンシート中の
ガラスと同一組成のものであってもよく、異なる組成の
ものであってもよい。
【0042】拘束グリーンシート中のガラスの軟化点
は、ガラスセラミック・グリーンシート積層体の焼成温
度以下で、かつ拘束グリーンシート中の有機成分の分解
・揮散温度よりも高いのが好ましい。具体的には、拘束
グリーンシート中のガラスの軟化点は450〜1100℃程度
であるのが好ましい。ガラスの軟化点が450℃未満の場
合には、ガラスセラミック・グリーンシートからの有機
成分の除去時に、軟化したガラスが分解・揮散した有機
成分の除去経路を塞ぐことになり有機成分を完全に除去
できないおそれがある。一方、ガラスの軟化点が1100℃
を超える場合には、通常のガラスセラミック・グリーン
シートの焼成条件では該グリーンシートへの結合材とし
て作用しなくなるおそれがある。
【0043】拘束グリーンシートは、ガラスセラミック
・グリーンシートの作製と同様にして、有機バインダ
ー、可塑剤、溶剤等を用いて成形することによって得ら
れる。有機バインダー、可塑剤および溶剤としては、ガ
ラスセラミック・グリーンシートで使用したのと同様な
材料が使用可能である。ここで、可塑剤を添加するの
は、拘束グリーンシートに可撓性を付与し、積層時にガ
ラスセラミック・グリーンシートとの密着性を高めるた
めである。
【0044】ガラスセラミック・グリーンシートの両面
に積層される拘束グリーンシートの厚さは、片面だけで
ガラスセラミック・グリーンシート積層体の厚さに対し
て10%以上であるのが好ましく、これよりも薄いと拘束
グリーンシートの拘束性が低下するおそれがある。ま
た、有機成分の揮散を容易にしかつガラスセラミック基
板からの拘束シートの除去を考慮すると、拘束グリーン
シートの厚さはガラスセラミック・グリーンシート積層
体の厚さの約200%以下であるのがよい。また、積層さ
れる拘束シートは1枚のものであってもよく、あるいは
所定の厚みになるように複数枚を積層したものであって
もよい。
【0045】成形された拘束グリーンシートをガラスセ
ラミック・グリーンシートの両面に積層するには、積み
重ねたグリーンシートに熱と圧力を加えて熱圧着する方
法、有機バインダー、可塑剤、溶剤等からなる接着剤を
シート間に塗布して熱圧着する方法等が採用可能であ
る。シート間に接着剤層を介在させる場合には、該接着
剤層に拘束グリーンシートと同じガラス成分を含有させ
てシート間の結合力を高めるようにしてもよい。
【0046】拘束グリーンシートを積層後、有機成分の
除去と焼成を行なう。有機成分の除去は100〜800℃の温
度範囲で積層体を加熱することによって行ない、有機成
分を分解・揮散させる。また、焼成温度はガラスセラミ
ック組成により異なるが、通常は約800〜1100℃の範囲
内である。焼成は通常、大気中で行なうが、導体材料に
Cuを使用する場合には100〜700℃の水蒸気を含む窒素
雰囲気中で有機成分の除去を行ない、ついで窒素雰囲気
中で焼成を行なう。
【0047】また、焼成時には、反りを防止するため
に、積層体上面に重しを載せる等して荷重をかけてもよ
い。このような重しによる荷重は50Pa〜1MPa程度
が適当である。荷重が50Pa未満である場合は、積層体
の反りを抑制する作用が充分でなくなるおそれがある。
また、荷重が1MPaを超える場合は、使用する重しが
大きくなることとなるため、焼成炉に入らなくなった
り、また焼成炉に入っても重しが大きいために熱容量が
不足することになり焼成できなくなったりするなどの問
題をひき起こすおそれがある。
【0048】この重しとしては、ガラスセラミック基板
の焼成中に変形・溶融等して荷重が不均一になったり、
分解した有機成分の揮散を妨げたりすることがないよう
な耐熱性の多孔質のものが適している。具体的にはセラ
ミックス等の耐火物、あるいは高融点の金属等が挙げら
れる。また、積層体の上面に多孔質の重しを置き、その
上に非多孔質の重しを置いてもよい。
【0049】焼成後、拘束シートを除去する。本発明に
おいては、拘束シートに液体と研磨材粒子と気体との混
合物を投射する方法により拘束シートを除去する。具体
的には、例えば、研磨材と水の混合物(スラリー)をポ
ンプで送り、これを空気圧により加速して投射するウェ
ットブラストが挙げられる。このとき、通常は研磨材粒
子の量が約10〜30体積%となるように研磨材粒子と水と
を混合したスラリーを用いる。
【0050】研磨材粒子にはAl23等のセラミック粉
末やガラス粉末等の無機粉末を用いるが、その他にも、
基板の材質や表面に形成されたメタライズ導体の材質、
拘束シートの材質、その付着具合等に応じて種々の材質
の研磨材粒子より適宜選択すればよい。
【0051】なお、ガラスセラミック基板表面に付着し
た拘束シートは難焼結性無機材料とガラスからなること
から、これらより極端に軟らかい物ではそれ自身が変形
したり破壊されたりするために除去できないので、研磨
材粒子には、基本的にはセラミック粉末等の無機粉体を
用いるのが好ましい。
【0052】また、その形状は角のない形状つまり球状
に近いものが好ましい。これは、角のある形状ではその
角部によりガラスセラミック基板およびメタライズ導体
の表面が傷つきやすく、さらに角部が鋭角であると研磨
材粒子がメタライズ導体に食い込んでしまうことがある
からである。メタライズ導体上に研磨材粒子等の無機物
が付着すると、半田濡れ性やめっき性、ワイヤボンディ
ング性が著しく低下してしまう。
【0053】また、研磨材粒子の粒径は、平均粒径5〜
50μmのものが好適である。平均粒径が50μmより大き
いと、粒子の質量が大きいために研磨力が大きくなりす
ぎてメタライズ導体の剥がれ等が生じやすくなる傾向が
あり、また、処理後の表面粗さが大きくなり、メタライ
ズ導体上へのめっき性やワイヤボンディング性が低下す
る傾向がある。他方、平均粒径が5μmより小さいと、
拘束シートを短時間で効率よく完全に除去するのが困難
となる傾向がある。
【0054】スラリーを送るポンプ圧や投射圧となるブ
ラストエアー圧は、投射する装置のノズルの形状や大き
さ等により異なり、これも基板の材質やメタライズ導体
の材質、拘束シートの材質、その付着具合等により調整
すればよい。通常、ブラストエアー圧は、基板および基
板表面のメタライズ導体上の付着物である拘束シートが
除去可能で、かつメタライズ導体が剥がれたり、その密
着強度が低下したりしない範囲に設定されるものであ
り、概ね0.05MPa〜0.5MPaがよい。この範囲の圧
力で、研磨材粒子の粒径、ブラストガンまたは基板の移
動速度、ブラスト回数つまりブラスト投射時間等の条件
を組み合わせることにより、最適な投射条件を選択すれ
ばよい。なお、このときのノズル形状は、小径のノズル
ではブラスト投射範囲が小さく基板面内を移動させなけ
ればならないため、処理に時間がかかるので効率が悪
く、さらにはムラも出やすくなる傾向があることから、
2mmφあるいは5×5mmというようなスポット的
(点状)のものではなく、幅広のもの、例えば2mm×
90mmや2mm×200mm(または300mm、600mm)
というような、これを相対的に移動させる(ノズルおよ
び/または基板を移動させる)ことにより広範囲を一度
に処理できるものとすることが好ましい。また、ノズル
形状により決まる処理できる幅が処理する基板の幅より
小さいと処理が重なる部分等がムラになりやすいことか
ら、処理できる幅が基板の幅より大きいような形状のノ
ズルを用いれば、一回の相対的な移動で基板全面を処理
できるのでより好ましいものといえる。
【0055】なお、上記の例では液体として水を例示し
ているが、これに限定されるものではない。液体として
各種の溶剤や化学薬品を用いて拘束シートに対する化学
的な研磨を併用したり、基板表面に付着した有機分を除
去したり、基板表面を活性化させたりすることも可能で
ある。また、気体も同様に空気に限定されるものではな
く、窒素、アルゴン等の気体を用いることもできる。
【0056】このように液体と研磨材粒子と気体との混
合物を投射する方法は、研磨材粒子のみを直接投射する
サンドブラスト等の乾式ブラストと比較するとソフトな
研磨となる。これは、乾式ブラストでは、微小な研磨材
粒子は粉塵となるだけで有効に投射できないために、研
磨材粒子には粒径の大きいものを使用することとなり、
その結果、ガラスセラミック基板やメタライズ導体への
ダメージが大きくなってこれらの表面粗さが大きくなる
傾向があるのに対し、本発明における方法の一例である
ウェットブラストでは、液体と研磨材粒子の混合物であ
るスラリーを空気圧で加速してこれらの混合物を投射す
るため、液体が霧状になって適度な緩衝作用を果たすか
らである。
【0057】他方、液体と研磨材粒子との混合物を投射
するジェットスクラブ等の湿式ブラストでは、水流が処
理表面に当たり、これが水溜りとなってクッションの役
目を果たすために加工力が弱くなり、これを補うために
研磨材粒子を大きくする必要があるが、それにより処理
表面の表面粗さが大きくなってしまう傾向がある。ま
た、研磨材粒子と水との混合物(スラリー)を高いポン
プ圧で直接投射する必要があるため、スラリー配管のダ
メージが大きくなり、装置のメンテナンスを頻繁に行な
う必要がある。これに対し、本発明における液体と研磨
材粒子と気体との混合物を投射する方法では、このよう
な問題が発生しにくく、良好な処理を行なうことができ
るという利点がある。
【0058】得られた多層ガラスセラミック基板は、焼
成時の収縮が拘束グリーンシートによって厚さ方向だけ
に抑えられているので、その積層面内の収縮をおよそ0.
5%以下にも抑えることが可能となり、しかもガラスセ
ラミック・グリーンシートは重しにより荷重をかけた状
態で拘束グリーンシートによって全面にわたって均一に
かつ確実に結合されているので、拘束グリーンシートの
一部剥離等によって反りや変形が起こるのを防止するこ
とができるとともに、基板のコーナー部分において反り
が発生するのも有効に防止することができる。
【0059】
【実施例】以下、実施例、比較例および試験例を挙げて
本発明の方法を詳細に説明するが、本発明は以下の実施
例のみに限定されるものではない。 <実施例1>ガラスセラミック成分として、SiO2
Al23−MgO−B23−ZnO系ガラス粉末60重量
%、CaZrO3粉末20重量%、SrTiO3粉末17重量
%およびAl23粉末3重量%を使用した。このガラス
セラミック成分100重量部に有機バインダーとしてアク
リル樹脂12重量部、フタル酸系可塑剤6重量部および溶
剤としてトルエン30重量部を加え、ボールミル法により
混合しスラリーとした。このスラリーを用いてドクター
ブレード法により厚さ300μmのガラスセラミック・グ
リーンシートを成形した。
【0060】ついで、このグリーンシート上に銀−パラ
ジウムペーストを用いて導体パターンをスクリーン印刷
にて形成した。導体ペーストとしては、Ag:Pdが重
量比で85:15である合金粉末(平均粒径1.0μm)100重
量部に対してAl23粉末2重量部および前記ガラスと
同組成のガラス粉末2重量部、さらにビヒクル成分とし
て所定量のエチルセルロース系樹脂、テルピネオールを
加え、3本ロールにより適度な粘度になるように混合し
たものを用いた。
【0061】一方、無機成分としてAl23粉末95重量
%と軟化点720℃のSiO2−Al23−MgO−B23
−ZnO系ガラス粉末5重量%とを用いて、前記ガラス
セラミック・グリーンシートと同様にしてスラリーを作
製し、ついで成形して厚さ250μmの拘束グリーンシー
トを得た。
【0062】表面に導体パターンを形成した前記ガラス
セラミック・グリーンシートの所定枚数を積み重ねてガ
ラスセラミック・グリーンシート積層体を得て、さらに
その両面に前記拘束グリーンシートを重ね合わせ、温度
55℃、圧力20MPaで圧着して積層体を得た。
【0063】得られた積層体をアルミナセッターに載置
し、大気中500℃で2時間加熱して有機成分を除去した
後、900℃で1時間焼成した。焼成後は、ガラスセラミ
ック基板の両面に拘束シートが付着していた。この状態
では、軽く叩いても拘束シートが剥がれることはなかっ
た。
【0064】ガラスセラミック基板の表面に付着した拘
束シートは、平均粒径25μmの球状Al23粉末を研磨
材粒子として用いてウェットブラスト法により除去し
た。この時のスラリーは水と研磨材粒子との混合物で、
スラリー中の研磨材粒子の濃度は20体積%、ブラストエ
アー圧力は0.15MPa、基板の移動速度は5mm/sで
1回ブラスト処理した後、水洗した。
【0065】拘束シートを除去した後のガラスセラミッ
ク基板の表面は、表面粗さRzが5μm未満の平滑な面
であった。メタライズ表面も表面粗さRmaxが5μm
未満と平滑で、直径200μmのアルミニウム線のワイヤ
ボンディング性や半田濡れ性でメタライズ状態を評価し
たところ、まったく問題なかった。
【0066】また、得られたガラスセラミック基板の積
層面内での収縮は0.5%以下であり、基板に反りや変形
も認められなかった。 <実施例2および3>軟化点が600℃および700℃のガラ
スをそれぞれ用いて拘束グリーンシートを作製した以外
は実施例1と同様にしてガラスセラミック基板を得た。 <比較例1>ガラスを含有しない拘束グリーンシートを
作製した以外は実施例1と同様にしてガラスセラミック
基板を得た。 <比較例2>軟化点が920℃のガラスを用いて拘束グリ
ーンシートを作製した以外は実施例1と同様にしてガラ
スセラミック基板を得た。 <比較例3>軟化点が400℃のガラスを用いて拘束グリ
ーンシートを作製した以外は実施例1と同様にしてガラ
スセラミック基板を得た。
【0067】その結果、実施例2および3で得たガラス
セラミック基板は、実施例1と同様に積層面内での収縮
が0.5%以下(すなわち、収縮率99.5%以上)であり、
基板に反りや変形は認められなかった。
【0068】これに対して、比較例1および2で得たガ
ラスセラミック基板は、使用した拘束グリーンシートが
ガラスを含まないか、あるいは焼成温度よりも高い軟化
点を有するガラスを含んでいるために、いずれも焼成後
のガラスセラミック基板から拘束グリーンシートが簡単
に剥がれてしまった。また、ガラスセラミック・グリー
ンシートと拘束グリーンシートとの間の結合力が弱いた
め、ガラスセラミック基板の積層面内での収縮率は85%
程度になるか、基板の一部のみが拘束シートに結合され
ているためにガラスセラミック基板は大きく変形した。
【0069】一方、比較例3では、拘束グリーンシート
に含まれるガラスの軟化点が低いため、有機成分が完全
に除去されず、このためガラスセラミック基板の積層面
内での収縮は0.5%以下と良好であったが、ガラスセラ
ミック基板の色調が灰色になった。 <実施例4〜7>ガラスセラミック成分として、SiO
2−MgO−CaO−Al23系ガラス粉末70重量%、
Al23粉末30重量%を使用した。このガラスセラミッ
ク成分100重量部に有機バインダーとしてアクリル樹脂
9.0重量部、フタル酸系可塑剤4.5重量部および溶剤とし
てトルエン30重量部を加え、ボールミル法により混合し
スラリーとした。このスラリーを用いてドクターブレー
ド法により厚さ300μmのガラスセラミック・グリーン
シートを成形した。
【0070】ついで、このグリーンシート上に実施例1
と同じ銀−パラジウムペーストを用いて導体パターンを
スクリーン印刷にて形成した。
【0071】一方、無機成分としてAl23粉末と軟化
点720℃のSiO2−MgO−CaO−Al23系ガラス
粉末とをそれぞれ表1に示す割合で用いて、前記ガラス
セラミック・グリーンシートと同様にしてスラリーを作
製し、ついで成形して厚さ250μmの拘束グリーンシー
トを得た。
【0072】表面に導体パターンを形成した前記ガラス
セラミック・グリーンシートの所定枚数を積み重ねてガ
ラスセラミック・グリーンシート積層体を得て、さらに
その両面に前記拘束グリーンシートを重ね合わせ、温度
55℃、圧力20MPaで圧着して積層体を得た。
【0073】得られた積層体をアルミナセッターに載置
し、大気中500℃で2時間加熱して有機成分を除去した
後、850℃で1時間焼成した。ついで、実施例1と同様
の方法でガラスセラミック基板の表面に付着した拘束シ
ートを除去した。なお、実施例4および5は、ブラスト
エアー圧力0.1MPa、処理回数3回の条件で行なった。
得られたガラスセラミック基板の表面は、表面粗さRz
が5μm以下の平滑な面となり、導体の半田濡れ性も問
題なかった。
【0074】また、得られたガラスセラミック基板の積
層面内での収縮率を表1に併せて示す。なお、ガラスセ
ラミック基板に反りや変形は認められなかった。
【0075】
【表1】
【0076】表1から、実施例4〜7の各拘束グリーン
シートを使用して得られたガラスセラミック基板は焼成
時の収縮が抑制され、高い寸法精度を有していることが
わかる。なお、表1に示す結果中、反りはレーザ光学式
非接触3次元形状測定装置を用いて反り高さを測定した
ものである。 <実施例8>研磨材粒子を平均粒径30μmのガラスビー
ズ(球状ガラス粉末)に変更した以外は実施例7と同様
にしてガラスセラミック基板を得た。その結果、実施例
7と同様の良好な基板が得られた。 <実施例9>研磨材粒子を平均粒径50μmに、ブラスト
エアー圧力を0.1MPaに変更した以外は実施例5と同
様にしてガラスセラミック基板を得た。実施例5と同様
の良好な基板が得られた。 <比較例4>研磨材粒子を平均粒径100μmのユリア樹
脂に変更した以外は実施例5と同様にしてガラスセラミ
ック基板を得た。ブラストエアー圧力を上げることによ
り、拘束シートの除去ができた。 <実施例10〜12>研磨材の平均粒径を100μm、75μm
および3μmに変更した以外は実施例7と同様にしてガ
ラスセラミック基板を得た。
【0077】平均粒径が100μmの場合はメタライズ導
体が一部剥がれる場合があった。これは、研磨材粒子の
粒径が大きくなり質量も大きくなったために研磨力が大
きくなったからである。なお、ブラストエアー圧力を下
げることにより、拘束シートの除去とメタライズ導体の
剥がれとの実用的なバランスを取ることは可能であっ
た。
【0078】平均粒径が75μmの場合はブラストエアー
圧力を0.1MPaにした時にほぼ完全に拘束シートを除
去できた。この場合、メタライズ導体表面の表面粗さR
maxが5μm程度となり、メタライズ表面を観察する
とやや大きな窪みの発生が認められた。これはメタライ
ズ表面に粒径の比較的大きな研磨材粒子が当たった痕跡
であると考えられる。
【0079】平均粒径が3μmの場合は短時間では十分
な除去がやや困難であった。ブラストエアー圧力をあげ
ると除去性は上がるが、圧力が高いためにメタライズ導
体へのダメージも大きくなる傾向があり、メタライズ導
体が一部膨れる場合も見られた。なお、処理時間を長く
することにより、良好な表面状態での拘束シートの除去
は可能であった。 <比較例13>研磨材粒子を球状でない多角形の研磨材粒
子に変更した以外は実施例5と同様にしてガラスセラミ
ック基板を得た。この場合、メタライズ導体表面を観察
すると、付着した拘束シートは除去されたが、メタライ
ズ導体上に研磨材粒子が突き刺さった状態で残っている
場合があった。なお、処理条件を適切に調整することに
より、良好な表面状態での拘束シートの除去は可能であ
った。 <試験例1> (拘束グリーンシートの収縮試験)無機成分としてAl
23粉末と軟化点720℃のSiO2−MgO−CaO−A
23系ガラス粉末とをそれぞれ所定の割合で使用し、
さらに有機バインダーとしてアクリル樹脂9.0重量部、
フタル酸系可塑剤4.5重量部および溶剤としてトルエン3
0重量部を加え、これらをボールミルにて混合しスラリ
ーとした。このスラリーをドクターブレード法により厚
さ250μmの拘束グリーンシートを成形した。
【0080】この拘束グリーンシートを単独でアルミナ
セッターに載置し、大気中500℃で2時間加熱して有機
成分を除去した後、850℃で1時間焼成した。
【0081】得られた拘束シートの平面内での収縮率と
ガラス添加量との関係を図1に示す。なお、収縮率は拘
束シートの厚さ方向を除く幅方向および流れ方向の各収
縮率の平均値(n=5)とバラツキを示しており、式:
(焼成後寸法)×100/(焼成前寸法)にて求めたもの
である。また、流れ方向はグリーンシートの造膜方向
を、幅方向は造膜方向に直交する方向をそれぞれ意味す
る。
【0082】図1に示すように、収縮率を99.5%以上と
する、すなわち拘束シートの収縮を0.5%以下に抑える
には、拘束グリーンシート内へのガラス添加量は約15重
量%以下とするのが望ましいことがわかる。また、ガラ
ス添加量が15重量%を超えると、収縮率のバラツキも大
きくなる傾向にある。ただし、ガラス添加量が少なくな
ると、拘束グリーンシートによるガラスセラミック・グ
リーンシートの拘束性が低下するので(前記の比較例1
を参照)、拘束性が低下しないガラス添加量を決定する
必要があり、本発明では0.5〜15重量%を好適範囲とし
ている。 <試験例2>ガラスとしてSiO2−Al23−MgO
−B23−ZnO系ガラス粉を用いた以外は試験例1と
同様にして、ガラス添加量と収縮率との関係を調べたと
ころ、ガラス添加量が15重量%以下では拘束グリーンシ
ートの収縮率は99.5%以上であり、ガラス添加量が10重
量%以下では約99.8%程度を維持していた。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、ガラスセラミック・グ
リーンシート積層体の両面に、該積層体と結合しかつ焼
成時に実質的に収縮しない拘束グリーンシートを積層し
て焼成するので、ガラスセラミック・グリーンシート基
板の積層面内の収縮を確実に抑えることができ、焼成後
の拘束シートを液体と研磨材粒子と気体との混合物を投
射して除去するので、反りや変形がなく、かつ拘束シー
トの付着残留物や基板表面へのダメージがない、寸法精
度の高い良好な表面状態のガラスセラミック基板が得ら
れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】拘束グリーンシートへのガラス添加量と収縮率
との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 3/46 H01L 23/14 C Fターム(参考) 4G030 AA07 AA08 AA09 AA16 AA17 AA32 AA35 AA36 AA37 BA12 CA08 GA14 GA15 GA17 GA20 4G055 AA08 AC01 AC09 BA22 BA68 BA87 5E346 AA12 AA15 AA24 AA38 BB01 CC18 CC60 DD02 DD34 EE24 EE25 EE29 GG03 GG08 GG09 HH11

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機バインダーを含有し表面に導体パター
    ンが形成されたガラスセラミック・グリーンシートの複
    数枚を積層してガラスセラミック・グリーンシート積層
    体を作製する工程と、 前記ガラスセラミック・グリーンシート積層体の両面
    に、難焼結性無機材料とガラスと有機バインダーとを含
    む拘束グリーンシートを積層する工程と、 前記拘束グリーンシートとガラスセラミック・グリーン
    シート積層体との積層体から有機成分を除去し、ついで
    焼成して拘束シートを保持したガラスセラミック基板を
    作製する工程と、 前記拘束シートに液体と研磨材粒子と気体との混合物を
    投射して前記ガラスセラミック基板から前記拘束シート
    を除去する工程とを含み、 前記拘束グリーンシートのガラス含有量が、前記焼成時
    に拘束グリーンシートを前記ガラスセラミック・グリー
    ンシートと結合させかつ拘束グリーンシートをその積層
    面内で実質的に収縮させない量であることを特徴とする
    ガラスセラミック基板の製造方法。
  2. 【請求項2】前記拘束グリーンシート中に含有されるガ
    ラスの軟化点が、前記ガラスセラミック・グリーンシー
    ト積層体の焼成温度以下である請求項1記載のガラスセ
    ラミック基板の製造方法。
  3. 【請求項3】前記拘束グリーンシート中に含有されるガ
    ラスの軟化点が、前記有機成分の揮発温度よりも高い請
    求項1または請求項2記載のガラスセラミック基板の製
    造方法。
  4. 【請求項4】前記拘束グリーンシート中のガラス含有量
    が、該拘束グリーンシート中の全無機成分の0.5〜1
    5重量%である請求項1記載のガラスセラミック基板の
    製造方法。
  5. 【請求項5】前記拘束グリーンシートの厚さが片面で前
    記ガラスセラミック・グリーンシート積層体の厚さに対
    して10%以上である請求項1記載のガラスセラミック
    基板の製造方法。
  6. 【請求項6】前記液体と研磨材粒子と気体との混合物を
    投射する方法がウエットブラストである請求項1記載の
    ガラスセラミック基板の製造方法。
  7. 【請求項7】前記研磨材粒子が平均粒径5〜50μmの
    球状無機粉体である請求項1または請求項6記載のガラ
    スセラミック基板の製造方法。
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