JP3860709B2 - ガラスセラミック基板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体LSI、チップ部品等を搭載し、それらを相互配線するための多層ガラスセラミック基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体LSI、チップ部品等は小型化、軽量化が進んでおり、これらを実装する配線基板も小型化、軽量化が望まれている。このような要求に対して、基板内に内部電極等を配した多層セラミック基板は、要求される高密度配線が可能となり、かつ薄型化が可能なことから、今日のエレクトロニクス業界において重要視されている。
【0003】
多層セラミック基板としては、アルミナ質焼結体からなり、表面または内部にタングステン、モリブデン等の高融点金属からなる配線層が形成された絶縁基板が従来より広く用いられている。
【0004】
一方、近年の高度情報化時代を迎え、使用される周波数帯域はますます高周波帯に移行しつつある。このような高周波の信号の伝送を行なう高周波配線基板においては、高周波信号を高速で伝送する上で、配線層を形成する導体の抵抗が小さいことが要求され、絶縁基板にもより低い誘電率が要求される。
【0005】
しかし、従来のタングステン、モリブデン等の高融点金属は導体抵抗が大きく、信号の伝播速度が遅く、また30GHz以上の高周波領域の信号伝播も困難であることから、タングステン、モリブデン等の金属に代えて銅、銀、金等の低抵抗金属を使用することが必要である。ところが、上記のような低抵抗金属は融点が低いため、800〜1000℃程度の低温で焼成することが必要であることから、該低抵抗金属からなる配線層は、高温焼成が必要なアルミナと同時焼成することができなかった。また、アルミナ基板は誘電率が高いため、高周波回路基板には不適切である。
【0006】
このため、最近では、ガラスとセラミックス(無機質フィラー)との混合物を焼成して得られるガラスセラミックスを絶縁基板として用いることが注目されている。すなわち、ガラスセラミックスは誘電率が低いため高周波用絶縁基板として好適であり、またガラスセラミックスは800〜1000℃の低温で焼成することができることから、銅、銀、金等の低抵抗金属を配線層として使用できるという利点がある。
【0007】
多層ガラスセラミック基板は、ガラスとフィラーとの混合物に有機バインダー、可塑剤、溶剤等を加えてスラリーとし、ドクターブレード等によりガラスセラミック・グリーンシートを成形した後、銅、銀、金等の低抵抗金属の粉末を含有する導体ペーストを印刷するなどして前記グリーンシート上に導体パターンを形成し、ついで複数枚のグリーンシートを積層して800〜1000℃の温度で焼成して得られる。
【0008】
ところが、多層ガラスセラミック基板は、焼成過程において焼結に伴う収縮を生じるという問題がある。このような収縮の程度は一様ではなく、使用する基板用無機材料、グリーンシート組成、原料である粉体粒度のバラツキ、導体パターン、内部電極材料等により収縮率や収縮方向が異なってくる。このことは、多層ガラスセラミック基板の作製において、いくつかの問題をひき起こす。
【0009】
先ず、内部電極印刷用のスクリーン版を作製する際、基板の収縮率から逆算してスクリーン版の大きさを決定しなければならないが、上記のように基板の収縮率や収縮方向は一定でないため、スクリーン版は基板の製造ロット毎に作り直さなければならず不経済であり現実的ではない。さらに、上記のようなグリーンシート積層法によって作製される多層ガラスセラミック基板では、グリーンシートの造膜方向によって積層面内の縦方向と横方向の収縮率が異なるため、多層ガラスセラミック基板の作製がより一層困難なものになる。
【0010】
これに対して、収縮誤差を許容するように必要以上に大きい面積の電極を形成する場合には、高密度な配線ができなくなる。
【0011】
これらの収縮変化を小さくするためには、回路設計による基板の収縮率の傾向を調べたり、製造工程において基板材料およびグリーンシート組成の管理、粉体粒度のバラツキ、プレス圧や温度等の積層条件を充分管理する必要がある。しかし、それでも一般に収縮率の誤差として±0.5%程度はどうしても発生するといわれている。
【0012】
このことは多層ガラスセラミック基板にかかわらずセラミックスやガラスセラミックス等の焼結に伴うものに共通する課題である。このような課題を解決するために、特開平4−293978号公報、特開平5−28867号公報、特開平5−102666号公報では、以下の(1)〜(4)の工程を含む基板の製造方法が提案されている。
(1)ガラスセラミック成分とバインダー、可塑剤等の有機成分とを含むガラスセラミック・グリーンシートに導体パターンを形成したものを所望枚数積層し、
(2)得られたガラスセラミック・グリーンシートの積層体の両面または片面に、前記ガラスセラミック成分の焼成温度では焼結しない無機材料とバインダー、可塑剤等の有機成分とを含む拘束グリーンシートを積層し、
(3)これらガラスセラミック・グリーンシートの積層体と拘束グリーンシートとの積層体を加熱して、まず有機成分を除去し、ついで焼成して、それぞれガラスセラミック基板および拘束シートとなし、
(4)最後に、ガラスセラミック基板から拘束シートを除去する。
【0013】
この方法によれば、前記拘束グリーンシートがガラスセラミック・グリーンシートの焼成時の収縮を拘束するため、積層体の厚さ方向のみに収縮が起こり、積層面の縦・横方向には収縮が起こらなくなり、ガラスセラミック基板の寸法精度が向上すると考えられている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記の方法では、ガラスセラミック・グリーンシートと拘束グリーンシートとの結合は、それらのグリーンシート内に含有されているバインダー等の有機成分により行なわれる。しかし、(3)の焼成工程において、バインダー、可塑剤等の有機成分が分解し揮散した後は、拘束グリーンシート中の粉体とガラスセラミック・グリーンシート中の粉体とが単に密着して接触しているだけであり、それらのシート間にはファンデルワールス力による弱い結合が働いているだけである。
【0015】
このような弱い結合は、(4)の工程における拘束シートの除去が簡単になるという利点があるものの、(3)の焼成工程でガラスセラミック・グリーンシート積層体から拘束グリーンシートがそれらの熱膨張差等により不用意に剥離するおそれがある。
【0016】
焼成途中で拘束グリーンシートが剥離すると、ガラスセラミック・グリーンシートの焼結収縮を防止できなくなる。また、拘束グリーンシートの剥離がたとえ一部であっても、当該部分において収縮が起こるためガラスセラミック基板の変形が発生することになる。
【0017】
また、ガラスセラミック・グリーンシート積層体と拘束グリーンシートとは結合力が小さいため、焼成前のそれらの密着状態や、ガラスセラミック成分の種類によるガラスセラミック・グリーンシート中のガラス成分の拘束グリーンシート内への浸透性によってはそれらの結合力にムラが生じやすい。結合力にムラがあると、ガラスセラミックの焼結収縮を拘束する力にムラができ、収縮ムラが起こり、ガラスセラミック基板の反り、変形等が発生することになる。その結果、寸法精度の高い基板が得られないという問題がある。
【0018】
さらに、付着した拘束シートを除去する方法として、ブラシによる擦り取り、超音波洗浄、研削、ラップ研磨、乾式ブラスト(研磨材を高圧空気流によって対象除去部に投射する方法)、湿式ブラスト(研磨材を高圧水流によって対象除去部に投射する方法)等が挙げられているが、これらの方法では除去性が充分ではないことがあるという問題がある。
【0019】
例えば、ブラシによる擦り取りや超音波洗浄では、拘束シートの大部分は除去されるが、磁器のごく表面上には拘束シート中の粒子が残ってしまいやすいという問題がある。特に、拘束シートが付着しやすいメタライズ層上の拘束シート等は充分に除去できないことがあり、その場合には、メタライズ層の半田濡れ性やめっき性が低下することとなるという問題があった。
【0020】
また、研削やラップ研磨では、拘束シートを除去した後のガラスセラミック基板の表面に局部的なキズが発生しやすい傾向があるという問題があった。
【0021】
また、乾式ブラストでは、研磨材が高圧でガラスセラミック基板表面に直接当たるため除去能力は高いが、ガラスセラミック基板表面に形成したメタライズ層が剥がれてしまうことがあったり、研磨材がメタライズ層に食い込んでしまったりすることがあるという問題があった。
【0022】
さらに、湿式ブラストでは、水溜りがクッションとなるために除去能力が弱くなることがあり、また、微小な研磨材の使用が難しいために粒径の大きな研磨材を用いるので、拘束シートを除去した後のガラスセラミック基板表面の表面粗さが大きくなりやすく、その結果、メタライズ層のめっき性やワイヤボンディング性が低下する場合があるという問題があった。
【0023】
本発明の目的は、ガラスセラミック・グリーンシートの積層面内での焼結収縮を確実に拘束して、表面に拘束シートの付着物の残留がない、寸法精度の高いガラスセラミック基板を得る方法を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、(I)拘束グリーンシート内にガラス成分を含有させておくと、該ガラス成分が焼成過程でガラスセラミック・グリーンシートと拘束グリーンシートとを結合する結合材として作用するため、それらの間の結合力が高まり、拘束グリーンシートが剥離するのを防止できること、(II)焼成時における拘束グリーンシート自体の焼結収縮はガラスの含有量を所定範囲内に設定することにより実質的に回避できること、その結果、(III)拘束グリーンシートによりガラスセラミック・グリーンシート積層体の収縮が確実に抑えられ、寸法精度の高いガラスセラミック基板を得ることができること、さらに(IV)液体と研磨材粒子と気体との混合物を投射する方法により、ガラスセラミック基板の表面に付着した拘束シートを基板表面に形成された導体へのダメージを抑えて完全に除去することができ、寸法精度の高いガラスセラミック基板を得ることができるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに到った。
【0025】
すなわち、本発明のガラスセラミック基板の製造方法は、(i)有機バインダーを含有し表面に導体パターンが形成されたガラスセラミック・グリーンシートの複数枚を積層してガラスセラミック・グリーンシート積層体を作製する工程と、(ii)前記ガラスセラミック・グリーンシート積層体の両面に、Alとガラスと有機バインダーとを含む拘束グリーンシートを積層する工程と、(iii)前記拘束グリーンシートとガラスセラミック・グリーンシート積層体との積層体から有機成分を除去し、ついで焼成して拘束シートを保持したガラスセラミック基板を作製する工程と、(iv)前記拘束シートに液体と研磨材粒子と気体との混合物を投射して前記ガラスセラミック基板から拘束シートを除去する工程とを含み、(v)前記拘束グリーンシートのガラス含有量が、前記拘束グリーンシート中の全無機成分の 0.5 15 重量%であって、前記ガラスの軟化点が、前記ガラスセラミック・グリーンシート積層体の焼成温度以下であり、これにより前記拘束シートを、焼成後に前記ガラスセラミック基板から剥がれることなく付着させることを特徴とする。
【0026】
ここで、「実質的に収縮させない」とは、拘束グリーンシートの収縮が1%以下、好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.5%以下に抑制されていることを意味する。また、前記「積層面内」とは、三次元座標において厚さ方向をZ方向としたときのX方向およびY方向によって規定される面内をいい、具体的にはシートの縦方向および横方向を意味する。
【0027】
本発明において、前記拘束グリーンシート中に含有されるガラスの軟化点は、前記ガラスセラミック・グリーンシート積層体の焼成温度以下であるのがよい。これにより、焼成工程で拘束グリーンシート中のガラスが軟化し、結合力が高まる。
【0028】
また、前記拘束グリーンシート中に含有されるガラスの軟化点は、前記有機成分の除去温度よりも高いのがよい。前記ガラスの軟化点が有機成分の除去温度よりも低い場合には、分解・揮散した有機成分が通過するための除去経路が軟化したガラスによって閉塞されてしまうおそれがある。
【0029】
前記拘束グリーンシート中のガラス含有量は、該拘束グリーンシート中の全無機成分の0.5〜15重量%であるのがよい。通常は、この範囲が焼成時に前記ガラスセラミック・グリーンシートと結合しかつ拘束グリーンシートをその積層面内で実質的に収縮させない量となる。
【0030】
そして、焼成後にガラスセラミック基板の表面から拘束シートを除去するには、液体と研磨材粒子と気体との混合物を投射する方法を用いるとよい。この方法は液体と研磨材粒子と気体とが混合されているため、研磨材のみを直接投射するサンドブラスト等の乾式ブラストと比較するとソフトな研磨となり、処理後のガラスセラミック基板表面の表面粗さが大きくなってしまうといったダメージを抑えることができる。また、液体と研磨材粒子との混合物を投射するジェットスクラブ等の湿式ブラストと比較すると研磨加工力に優れ、かつガラスセラミック基板表面への同様のダメージを抑えることができる。そのため、基板表面に形成した導体が剥がれたり、基板表面の表面粗さが大きくなったり、導体表面の表面粗さが大きくなって導体上へのめっき性、ワイヤボンディング性を低下させたりすることなく、拘束シートを短時間で効率よく完全に除去することができ、良好な表面状態のガラスセラミック基板を得ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明におけるガラスセラミック・グリーンシートは、ガラス粉末、フィラー粉末(セラミック粉末)、さらに有機バインダー、可塑剤、有機溶剤等を混合したものが用いられる。
【0032】
ガラス成分としては、例えばSiO2−B23系、SiO2−B23−Al23系、SiO2−B23−Al23−MO系(但し、MはCa、Sr、Mg、BaまたはZnを示す)、SiO2−Al23−M1O−M2O系(但し、M1およびM2は同一または異なってCa、Sr、Mg、BaまたはZnを示す)、SiO2−B23−Al23−M1O−M2O系(但し、M1およびM2は前記と同じである)、SiO2−B23−M3 2O系(但し、M3はLi、NaまたはKを示す)、SiO2−B23−Al23−M3 2O系(但し、M3は前記と同じである)、Pb系ガラス、Bi系ガラス等が挙げられる。
【0033】
また、前記フィラーとしては、例えばAl23、SiO2、ZrO2とアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、TiO2とアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、Al23およびSiO2から選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル、ムライト、コージェライト)等が挙げられる。
【0034】
上記ガラスとフィラーの混合割合は重量比で40:60〜99:1であるのが好ましい。
【0035】
ガラスセラミック・グリーンシートに配合される有機バインダーとしては、従来からセラミックグリーンシートに使用されているものが使用可能であり、例えばアクリル系(アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体、具体的にはアクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等)、ポリビニルブチラ−ル系、ポリビニルアルコール系、アクリル−スチレン系、ポリプロピレンカーボネート系、セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。
【0036】
ガラスセラミック・グリーンシートは、上記ガラス粉末、フィラー粉末、有機バインダーに必要に応じて所定量の可塑剤、溶剤(有機溶剤、水等)を加えてスラリーを得て、これをドクターブレード、圧延、カレンダーロール、金型ブレス等により厚さ約50〜500μmに成形することによって得られる。
【0037】
ガラスセラミック・グリーンシート表面に導体パターンを形成するには、例えば導体材料粉末をペースト化したものをスクリーン印刷法やグラビア印刷法等により印刷するか、あるいは所定パターン形状の金属箔を転写する等の方法が挙げられる。導体材料としては、例えばAu、Ag、Cu、Pd、Pt等の1種または2種以上が挙げられ、2種以上の場合は混合、合金、コーティング等のいずれの形態であってもよい。
【0038】
なお、表面の導体パターンには、上下の層間の導体パターン同士を接続するためのビア導体やスルーホール導体等の貫通導体が表面に露出した部分も含まれる。これら貫通導体は、パンチング加工等によりガラスセラミック・グリーンシートに形成した貫通孔に、導体材料粉末をペースト化したもの(導体ペースト)を印刷により埋め込む等の手段によって形成される。
【0039】
ガラスセラミック・グリーンシートの積層には、積み重ねたグリーンシートに熱と圧力を加えて熱圧着する方法、有機バインダー、可塑剤、溶剤等からなる接着剤をシート間に塗布して熱圧着する方法等が採用可能である。
【0040】
本発明における拘束グリーンシートは、Al とガラスとからなる無機成分に有機バインダー、可塑剤、溶剤等を加えたスラリーを成形して得られる
【0041】
拘束グリーンシートに加えられるガラスについても、特に制限されるものではなく、前記したガラスセラミック・グリーンシートに配合されるガラスと同様のものが使用可能である。また、拘束グリーンシート中のガラスは、ガラスセラミック・グリーンシート中のガラスと同一組成のものであってもよく、異なる組成のものであってもよい。
【0042】
拘束グリーンシート中のガラスの軟化点は、ガラスセラミック・グリーンシート積層体の焼成温度以下で、かつ拘束グリーンシート中の有機成分の分解・揮散温度よりも高いのが好ましい。具体的には、拘束グリーンシート中のガラスの軟化点は450〜1100℃程度であるのが好ましい。ガラスの軟化点が450℃未満の場合には、ガラスセラミック・グリーンシートからの有機成分の除去時に、軟化したガラスが分解・揮散した有機成分の除去経路を塞ぐことになり有機成分を完全に除去できないおそれがある。一方、ガラスの軟化点が1100℃を超える場合には、通常のガラスセラミック・グリーンシートの焼成条件では該グリーンシートへの結合材として作用しなくなるおそれがある。
【0043】
拘束グリーンシートは、ガラスセラミック・グリーンシートの作製と同様にして、有機バインダー、可塑剤、溶剤等を用いて成形することによって得られる。有機バインダー、可塑剤および溶剤としては、ガラスセラミック・グリーンシートで使用したのと同様な材料が使用可能である。ここで、可塑剤を添加するのは、拘束グリーンシートに可撓性を付与し、積層時にガラスセラミック・グリーンシートとの密着性を高めるためである。
【0044】
ガラスセラミック・グリーンシートの両面に積層される拘束グリーンシートの厚さは、片面だけでガラスセラミック・グリーンシート積層体の厚さに対して10%以上であるのが好ましく、これよりも薄いと拘束グリーンシートの拘束性が低下するおそれがある。また、有機成分の揮散を容易にしかつガラスセラミック基板からの拘束シートの除去を考慮すると、拘束グリーンシートの厚さはガラスセラミック・グリーンシート積層体の厚さの約200%以下であるのがよい。また、積層される拘束シートは1枚のものであってもよく、あるいは所定の厚みになるように複数枚を積層したものであってもよい。
【0045】
成形された拘束グリーンシートをガラスセラミック・グリーンシートの両面に積層するには、積み重ねたグリーンシートに熱と圧力を加えて熱圧着する方法、有機バインダー、可塑剤、溶剤等からなる接着剤をシート間に塗布して熱圧着する方法等が採用可能である。シート間に接着剤層を介在させる場合には、該接着剤層に拘束グリーンシートと同じガラス成分を含有させてシート間の結合力を高めるようにしてもよい。
【0046】
拘束グリーンシートを積層後、有機成分の除去と焼成を行なう。有機成分の除去は100〜800℃の温度範囲で積層体を加熱することによって行ない、有機成分を分解・揮散させる。また、焼成温度はガラスセラミック組成により異なるが、通常は約800〜1100℃の範囲内である。焼成は通常、大気中で行なうが、導体材料にCuを使用する場合には100〜700℃の水蒸気を含む窒素雰囲気中で有機成分の除去を行ない、ついで窒素雰囲気中で焼成を行なう。
【0047】
また、焼成時には、反りを防止するために、積層体上面に重しを載せる等して荷重をかけてもよい。このような重しによる荷重は50Pa〜1MPa程度が適当である。荷重が50Pa未満である場合は、積層体の反りを抑制する作用が充分でなくなるおそれがある。また、荷重が1MPaを超える場合は、使用する重しが大きくなることとなるため、焼成炉に入らなくなったり、また焼成炉に入っても重しが大きいために熱容量が不足することになり焼成できなくなったりするなどの問題をひき起こすおそれがある。
【0048】
この重しとしては、ガラスセラミック基板の焼成中に変形・溶融等して荷重が不均一になったり、分解した有機成分の揮散を妨げたりすることがないような耐熱性の多孔質のものが適している。具体的にはセラミックス等の耐火物、あるいは高融点の金属等が挙げられる。また、積層体の上面に多孔質の重しを置き、その上に非多孔質の重しを置いてもよい。
【0049】
焼成後、拘束シートを除去する。本発明においては、拘束シートに液体と研磨材粒子と気体との混合物を投射する方法により拘束シートを除去する。具体的には、例えば、研磨材と水の混合物(スラリー)をポンプで送り、これを空気圧により加速して投射するウェットブラストが挙げられる。このとき、通常は研磨材粒子の量が約10〜30体積%となるように研磨材粒子と水とを混合したスラリーを用いる。
【0050】
研磨材粒子にはAl23等のセラミック粉末やガラス粉末等の無機粉末を用いるが、その他にも、基板の材質や表面に形成されたメタライズ導体の材質、拘束シートの材質、その付着具合等に応じて種々の材質の研磨材粒子より適宜選択すればよい。
【0051】
なお、ガラスセラミック基板表面に付着した拘束シートはAl とガラスからなることから、これらより極端に軟らかい物ではそれ自身が変形したり破壊されたりするために除去できないので、研磨材粒子には、基本的にはセラミック粉末等の無機粉体を用いるのが好ましい。
【0052】
また、その形状は角のない形状つまり球状に近いものが好ましい。これは、角のある形状ではその角部によりガラスセラミック基板およびメタライズ導体の表面が傷つきやすく、さらに角部が鋭角であると研磨材粒子がメタライズ導体に食い込んでしまうことがあるからである。メタライズ導体上に研磨材粒子等の無機物が付着すると、半田濡れ性やめっき性、ワイヤボンディング性が著しく低下してしまう。
【0053】
また、研磨材粒子の粒径は、平均粒径5〜50μmのものが好適である。平均粒径が50μmより大きいと、粒子の質量が大きいために研磨力が大きくなりすぎてメタライズ導体の剥がれ等が生じやすくなる傾向があり、また、処理後の表面粗さが大きくなり、メタライズ導体上へのめっき性やワイヤボンディング性が低下する傾向がある。他方、平均粒径が5μmより小さいと、拘束シートを短時間で効率よく完全に除去するのが困難となる傾向がある。
【0054】
スラリーを送るポンプ圧や投射圧となるブラストエアー圧は、投射する装置のノズルの形状や大きさ等により異なり、これも基板の材質やメタライズ導体の材質、拘束シートの材質、その付着具合等により調整すればよい。通常、ブラストエアー圧は、基板および基板表面のメタライズ導体上の付着物である拘束シートが除去可能で、かつメタライズ導体が剥がれたり、その密着強度が低下したりしない範囲に設定されるものであり、概ね0.05MPa〜0.5MPaがよい。この範囲の圧力で、研磨材粒子の粒径、ブラストガンまたは基板の移動速度、ブラスト回数つまりブラスト投射時間等の条件を組み合わせることにより、最適な投射条件を選択すればよい。なお、このときのノズル形状は、小径のノズルではブラスト投射範囲が小さく基板面内を移動させなければならないため、処理に時間がかかるので効率が悪く、さらにはムラも出やすくなる傾向があることから、2mmφあるいは5×5mmというようなスポット的(点状)のものではなく、幅広のもの、例えば2mm×90mmや2mm×200mm(または300mm、600mm)というような、これを相対的に移動させる(ノズルおよび/または基板を移動させる)ことにより広範囲を一度に処理できるものとすることが好ましい。また、ノズル形状により決まる処理できる幅が処理する基板の幅より小さいと処理が重なる部分等がムラになりやすいことから、処理できる幅が基板の幅より大きいような形状のノズルを用いれば、一回の相対的な移動で基板全面を処理できるのでより好ましいものといえる。
【0055】
なお、上記の例では液体として水を例示しているが、これに限定されるものではない。液体として各種の溶剤や化学薬品を用いて拘束シートに対する化学的な研磨を併用したり、基板表面に付着した有機分を除去したり、基板表面を活性化させたりすることも可能である。また、気体も同様に空気に限定されるものではなく、窒素、アルゴン等の気体を用いることもできる。
【0056】
このように液体と研磨材粒子と気体との混合物を投射する方法は、研磨材粒子のみを直接投射するサンドブラスト等の乾式ブラストと比較するとソフトな研磨となる。これは、乾式ブラストでは、微小な研磨材粒子は粉塵となるだけで有効に投射できないために、研磨材粒子には粒径の大きいものを使用することとなり、その結果、ガラスセラミック基板やメタライズ導体へのダメージが大きくなってこれらの表面粗さが大きくなる傾向があるのに対し、本発明における方法の一例であるウェットブラストでは、液体と研磨材粒子の混合物であるスラリーを空気圧で加速してこれらの混合物を投射するため、液体が霧状になって適度な緩衝作用を果たすからである。
【0057】
他方、液体と研磨材粒子との混合物を投射するジェットスクラブ等の湿式ブラストでは、水流が処理表面に当たり、これが水溜りとなってクッションの役目を果たすために加工力が弱くなり、これを補うために研磨材粒子を大きくする必要があるが、それにより処理表面の表面粗さが大きくなってしまう傾向がある。また、研磨材粒子と水との混合物(スラリー)を高いポンプ圧で直接投射する必要があるため、スラリー配管のダメージが大きくなり、装置のメンテナンスを頻繁に行なう必要がある。これに対し、本発明における液体と研磨材粒子と気体との混合物を投射する方法では、このような問題が発生しにくく、良好な処理を行なうことができるという利点がある。
【0058】
得られた多層ガラスセラミック基板は、焼成時の収縮が拘束グリーンシートによって厚さ方向だけに抑えられているので、その積層面内の収縮をおよそ0.5%以下にも抑えることが可能となり、しかもガラスセラミック・グリーンシートは拘束グリーンシートによって全面にわたって均一にかつ確実に結合されているので、拘束グリーンシートの一部剥離等によって反りや変形が起こるのを防止することができるとともに、基板のコーナー部分において反りが発生するのも有効に防止することができる。
【0059】
【実施例】
以下、実施例、比較例および試験例を挙げて本発明の方法を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1>
ガラスセラミック成分として、SiO2−Al23−MgO−B23−ZnO系ガラス粉末60重量%、CaZrO3粉末20重量%、SrTiO3粉末17重量%およびAl23粉末3重量%を使用した。このガラスセラミック成分100重量部に有機バインダーとしてアクリル樹脂12重量部、フタル酸系可塑剤6重量部および溶剤としてトルエン30重量部を加え、ボールミル法により混合しスラリーとした。このスラリーを用いてドクターブレード法により厚さ300μmのガラスセラミック・グリーンシートを成形した。
【0060】
ついで、このグリーンシート上に銀−パラジウムペーストを用いて導体パターンをスクリーン印刷にて形成した。導体ペーストとしては、Ag:Pdが重量比で85:15である合金粉末(平均粒径1.0μm)100重量部に対してAl23粉末2重量部および前記ガラスと同組成のガラス粉末2重量部、さらにビヒクル成分として所定量のエチルセルロース系樹脂、テルピネオールを加え、3本ロールにより適度な粘度になるように混合したものを用いた。
【0061】
一方、無機成分としてAl23粉末95重量%と軟化点720℃のSiO2−Al23−MgO−B23−ZnO系ガラス粉末5重量%とを用いて、前記ガラスセラミック・グリーンシートと同様にしてスラリーを作製し、ついで成形して厚さ250μmの拘束グリーンシートを得た。
【0062】
表面に導体パターンを形成した前記ガラスセラミック・グリーンシートの所定枚数を積み重ねてガラスセラミック・グリーンシート積層体を得て、さらにその両面に前記拘束グリーンシートを重ね合わせ、温度55℃、圧力20MPaで圧着して積層体を得た。
【0063】
得られた積層体をアルミナセッターに載置し、大気中500℃で2時間加熱して有機成分を除去した後、900℃で1時間焼成した。焼成後は、ガラスセラミック基板の両面に拘束シートが付着していた。この状態では、軽く叩いても拘束シートが剥がれることはなかった。
【0064】
ガラスセラミック基板の表面に付着した拘束シートは、平均粒径25μmの球状Al23粉末を研磨材粒子として用いてウェットブラスト法により除去した。この時のスラリーは水と研磨材粒子との混合物で、スラリー中の研磨材粒子の濃度は20体積%、ブラストエアー圧力は0.15MPa、基板の移動速度は5mm/sで1回ブラスト処理した後、水洗した。
【0065】
拘束シートを除去した後のガラスセラミック基板の表面は、表面粗さRzが5μm未満の平滑な面であった。メタライズ表面も表面粗さRmaxが5μm未満と平滑で、直径200μmのアルミニウム線のワイヤボンディング性や半田濡れ性でメタライズ状態を評価したところ、まったく問題なかった。
【0066】
また、得られたガラスセラミック基板の積層面内での収縮は0.5%以下であり、基板に反りや変形も認められなかった。
<実施例2および3>
軟化点が600℃および700℃のガラスをそれぞれ用いて拘束グリーンシートを作製した以外は実施例1と同様にしてガラスセラミック基板を得た。
<比較例1>
ガラスを含有しない拘束グリーンシートを作製した以外は実施例1と同様にしてガラスセラミック基板を得た。
<比較例2>
軟化点が920℃のガラスを用いて拘束グリーンシートを作製した以外は実施例1と同様にしてガラスセラミック基板を得た。
<比較例3>
軟化点が400℃のガラスを用いて拘束グリーンシートを作製した以外は実施例1と同様にしてガラスセラミック基板を得た。
【0067】
その結果、実施例2および3で得たガラスセラミック基板は、実施例1と同様に積層面内での収縮が0.5%以下(すなわち、収縮率99.5%以上)であり、基板に反りや変形は認められなかった。
【0068】
これに対して、比較例1および2で得たガラスセラミック基板は、使用した拘束グリーンシートがガラスを含まないか、あるいは焼成温度よりも高い軟化点を有するガラスを含んでいるために、いずれも焼成後のガラスセラミック基板から拘束グリーンシートが簡単に剥がれてしまった。また、ガラスセラミック・グリーンシートと拘束グリーンシートとの間の結合力が弱いため、ガラスセラミック基板の積層面内での収縮率は85%程度になるか、基板の一部のみが拘束シートに結合されているためにガラスセラミック基板は大きく変形した。
【0069】
一方、比較例3では、拘束グリーンシートに含まれるガラスの軟化点が低いため、有機成分が完全に除去されず、このためガラスセラミック基板の積層面内での収縮は0.5%以下と良好であったが、ガラスセラミック基板の色調が灰色になった。
<実施例4〜7>
ガラスセラミック成分として、SiO2−MgO−CaO−Al23系ガラス粉末70重量%、Al23粉末30重量%を使用した。このガラスセラミック成分100重量部に有機バインダーとしてアクリル樹脂9.0重量部、フタル酸系可塑剤4.5重量部および溶剤としてトルエン30重量部を加え、ボールミル法により混合しスラリーとした。このスラリーを用いてドクターブレード法により厚さ300μmのガラスセラミック・グリーンシートを成形した。
【0070】
ついで、このグリーンシート上に実施例1と同じ銀−パラジウムペーストを用いて導体パターンをスクリーン印刷にて形成した。
【0071】
一方、無機成分としてAl23粉末と軟化点720℃のSiO2−MgO−CaO−Al23系ガラス粉末とをそれぞれ表1に示す割合で用いて、前記ガラスセラミック・グリーンシートと同様にしてスラリーを作製し、ついで成形して厚さ250μmの拘束グリーンシートを得た。
【0072】
表面に導体パターンを形成した前記ガラスセラミック・グリーンシートの所定枚数を積み重ねてガラスセラミック・グリーンシート積層体を得て、さらにその両面に前記拘束グリーンシートを重ね合わせ、温度55℃、圧力20MPaで圧着して積層体を得た。
【0073】
得られた積層体をアルミナセッターに載置し、大気中500℃で2時間加熱して有機成分を除去した後、850℃で1時間焼成した。ついで、実施例1と同様の方法でガラスセラミック基板の表面に付着した拘束シートを除去した。なお、実施例4および5は、ブラストエアー圧力0.1MPa、処理回数3回の条件で行なった。得られたガラスセラミック基板の表面は、表面粗さRzが5μm以下の平滑な面となり、導体の半田濡れ性も問題なかった。
【0074】
また、得られたガラスセラミック基板の積層面内での収縮率を表1に併せて示す。なお、ガラスセラミック基板に反りや変形は認められなかった。
【0075】
【表1】
Figure 0003860709
【0076】
表1から、実施例4〜7の各拘束グリーンシートを使用して得られたガラスセラミック基板は焼成時の収縮が抑制され、高い寸法精度を有していることがわかる。なお、表1に示す結果中、反りはレーザ光学式非接触3次元形状測定装置を用いて反り高さを測定したものである。
<実施例8>
研磨材粒子を平均粒径30μmのガラスビーズ(球状ガラス粉末)に変更した以外は実施例7と同様にしてガラスセラミック基板を得た。その結果、実施例7と同様の良好な基板が得られた。
<実施例9>
研磨材粒子を平均粒径50μmに、ブラストエアー圧力を0.1MPaに変更した以外は実施例5と同様にしてガラスセラミック基板を得た。実施例5と同様の良好な基板が得られた。
<比較例4>
研磨材粒子を平均粒径100μmのユリア樹脂に変更した以外は実施例5と同様にしてガラスセラミック基板を得た。ブラストエアー圧力を上げることにより、拘束シートの除去ができた。
<実施例10〜12>
研磨材の平均粒径を100μm、75μmおよび3μmに変更した以外は実施例7と同様にしてガラスセラミック基板を得た。
【0077】
平均粒径が100μmの場合はメタライズ導体が一部剥がれる場合があった。これは、研磨材粒子の粒径が大きくなり質量も大きくなったために研磨力が大きくなったからである。なお、ブラストエアー圧力を下げることにより、拘束シートの除去とメタライズ導体の剥がれとの実用的なバランスを取ることは可能であった。
【0078】
平均粒径が75μmの場合はブラストエアー圧力を0.1MPaにした時にほぼ完全に拘束シートを除去できた。この場合、メタライズ導体表面の表面粗さRmaxが5μm程度となり、メタライズ表面を観察するとやや大きな窪みの発生が認められた。これはメタライズ表面に粒径の比較的大きな研磨材粒子が当たった痕跡であると考えられる。
【0079】
平均粒径が3μmの場合は短時間では十分な除去がやや困難であった。ブラストエアー圧力をあげると除去性は上がるが、圧力が高いためにメタライズ導体へのダメージも大きくなる傾向があり、メタライズ導体が一部膨れる場合も見られた。なお、処理時間を長くすることにより、良好な表面状態での拘束シートの除去は可能であった。
<比較例13>
研磨材粒子を球状でない多角形の研磨材粒子に変更した以外は実施例5と同様にしてガラスセラミック基板を得た。この場合、メタライズ導体表面を観察すると、付着した拘束シートは除去されたが、メタライズ導体上に研磨材粒子が突き刺さった状態で残っている場合があった。なお、処理条件を適切に調整することにより、良好な表面状態での拘束シートの除去は可能であった。
<試験例1>
(拘束グリーンシートの収縮試験)
無機成分としてAl23粉末と軟化点720℃のSiO2−MgO−CaO−Al23系ガラス粉末とをそれぞれ所定の割合で使用し、さらに有機バインダーとしてアクリル樹脂9.0重量部、フタル酸系可塑剤4.5重量部および溶剤としてトルエン30重量部を加え、これらをボールミルにて混合しスラリーとした。このスラリーをドクターブレード法により厚さ250μmの拘束グリーンシートを成形した。
【0080】
この拘束グリーンシートを単独でアルミナセッターに載置し、大気中500℃で2時間加熱して有機成分を除去した後、850℃で1時間焼成した。
【0081】
得られた拘束シートの平面内での収縮率とガラス添加量との関係を図1に示す。なお、収縮率は拘束シートの厚さ方向を除く幅方向および流れ方向の各収縮率の平均値(n=5)とバラツキを示しており、式:(焼成後寸法)×100/(焼成前寸法)にて求めたものである。また、流れ方向はグリーンシートの造膜方向を、幅方向は造膜方向に直交する方向をそれぞれ意味する。
【0082】
図1に示すように、収縮率を99.5%以上とする、すなわち拘束シートの収縮を0.5%以下に抑えるには、拘束グリーンシート内へのガラス添加量は約15重量%以下とするのが望ましいことがわかる。また、ガラス添加量が15重量%を超えると、収縮率のバラツキも大きくなる傾向にある。ただし、ガラス添加量が少なくなると、拘束グリーンシートによるガラスセラミック・グリーンシートの拘束性が低下するので(前記の比較例1を参照)、拘束性が低下しないガラス添加量を決定する必要があり、本発明では0.5〜15重量%を好適範囲としている。
<試験例2>
ガラスとしてSiO2−Al23−MgO−B23−ZnO系ガラス粉を用いた以外は試験例1と同様にして、ガラス添加量と収縮率との関係を調べたところ、ガラス添加量が15重量%以下では拘束グリーンシートの収縮率は99.5%以上であり、ガラス添加量が10重量%以下では約99.8%程度を維持していた。
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、ガラスセラミック・グリーンシート積層体の両面に、該積層体と結合しかつ焼成時に実質的に収縮しない拘束グリーンシートを積層して焼成するので、ガラスセラミック・グリーンシート基板の積層面内の収縮を確実に抑えることができ、焼成後の拘束シートを液体と研磨材粒子と気体との混合物を投射して除去するので、反りや変形がなく、かつ拘束シートの付着残留物や基板表面へのダメージがない、寸法精度の高い良好な表面状態のガラスセラミック基板が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】拘束グリーンシートへのガラス添加量と収縮率との関係を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 有機バインダーを含有し表面に導体パターンが形成されたガラスセラミック・グリーンシートの複数枚を積層してガラスセラミック・グリーンシート積層体を作製する工程と、
    前記ガラスセラミック・グリーンシート積層体の両面に、Alとガラスと有機バインダーとを含む拘束グリーンシートを積層する工程と、
    前記拘束グリーンシートとガラスセラミック・グリーンシート積層体との積層体から有機成分を除去し、ついで焼成して拘束シートを保持したガラスセラミック基板を作製する工程と、
    前記拘束シートに液体と研磨材粒子と気体との混合物を投射して前記ガラスセラミック基板から前記拘束シートを除去する工程とを含み、
    前記拘束グリーンシートのガラス含有量が、前記拘束グリーンシート中の全無機成分の0.5〜15重量%であって、前記ガラスの軟化点が、前記ガラスセラミック・グリーンシート積層体の焼成温度以下であり、これにより前記拘束シートを、焼成後に前記ガラスセラミック基板に剥がれることなく付着させることを特徴とするガラスセラミック基板の製造方法。
  2. 前記拘束グリーンシート中に含有されるガラスの軟化点が、前記有機成分の揮発温度よりも高い請求項1記載のガラスセラミック基板の製造方法。
  3. 前記拘束グリーンシートの厚さが片面で前記ガラスセラミック・グリーンシート積層体の厚さに対して10%以上である請求項1記載のガラスセラミック基板の製造方法。
  4. 前記液体と研磨材粒子と気体との混合物を投射する方法がウエットブラストである請求項1記載のガラスセラミック基板の製造方法。
  5. 前記研磨材粒子が平均粒径5〜50μmの球状無機粉体である請求項1または請求項記載のガラスセラミック基板の製造方法。
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