JP2005274770A - マスク保管容器およびマスク処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】マスクに与えるダメージや新たな異物の付着を防止しつつ、マスクに付着したコンタミネーション源となる有機物を簡易に除去できるマスク保管容器およびマスク処理方法を提供する。
【解決手段】マスク保管容器10内にマスク1を保管したままベーキングチャンバ31によりベーキングすることにより、コンタミネーションの原因である炭化水素分子等の有機物をマスクから除去する。ここで、熱処理によりマスク1から昇華あるいは蒸発した炭化水素分子を効率よく排出するために、ガス導入ポート33およびガス排気ポート35を用いて、微量の酸素や窒素などのガスでサイクルパージすることが好ましい。
【選択図】図6

Description

本発明は、マスク保管容器およびマスク処理方法に関し、特に、露光用のマスクの搬送および保管に使用するマスク保管容器、およびマスクに付着したコンタミネーション源となる有機物を除去するマスク処理方法に関する。
近年、集積回路の高密度化に伴い、微細パターン形成技術の主流をなしてきたフォトリソグラフィはその限界が指摘され、この限界を打ち破るものとして電子ビームやEUV(Extreme UV)光によるリソグラフィが急速に進歩している。
特に電子線投影露光装置や電子線近接露光装置では、300nm〜2μm厚のSiC、Si、あるいはダイアモンド等で形成した薄いメンブレン膜を備えたマスクを用いる。この露光技術では、露光中に、ステンシルマスクあるいはメンブレンマスクに炭化水素系の汚染物からなるコンタミネーションが付着してしまい、マスクのパターン線幅が変動し、被処理基板にパターンが正確に転写されなくなってしまうという問題がある。
ステンシルマスクとは、メンブレンに形成された貫通孔によりパターンが形成されているマスクである。メンブレンマスクとは、メンブレンに形成されたクロム等の散乱体膜によりパターンが形成されたマスクである。コンタミネーションとは、上記したように、露光によりマスクに付着堆積した有機物である。パーティクルとは、原因を問わず外部から付着した異物である。
コンタミネーション付着の原因として、従来、被処理基板であるウエハに付着した炭化水素系の分子、ウエハに塗布された有機レジスト、あるいは露光装置のチャンバ内のグリースやOリング等の有機系の部材や、チャンバの内壁に付着した有機物が考えられていた。これらの有機物がチャンバ内に浮遊しており、露光に使用される電子ビームが当たることにより、マスクにスパッタされてコンタミネーションとなってしまう。
例えば電子線露光用のマスクでは、光露光用マスクで使用されているような異物付着防止目的のためのペリクルの装着は不可能である。パーティクルやコンタミネーションの付着が発生した場合には、直ちに物理的衝撃や化学反応を利用した洗浄を行う必要があるため、マスクは露光機と洗浄装置、検査装置の間の搬送が頻繁に発生するが、この搬送時に新たにマスクにパーティクルが付着するのを防止する必要がある。
マスクをクリーンな環境に保ち、マスク搬送時にパーティクルが付着するのを防止する技術が開示されている(特許文献1〜3参照)。これらの技術は、いずれもマスクを保管容器に収容した状態で、マスクを搬送することにより、クリーンルーム内の清浄度よりも高い清浄度を保管容器内で局所的に保つことにより、マスクへのパーティクル(異物)の付着を防止するものである。
特開平10−261560号公報 特開2001−76998号公報 特許2525284号
ところで、マスク毎にコンタミネーションの成長レートが異なることが発見された。このことから、マスク自身にもコンタミネーション源となる炭化水素分子等の有機物が付着しており、この付着量の大小によってコンタミネーションの成長レートが異なることが考えられる。マスクの作製において、レジストを用いた加工工程を用いているため、マスク自身にもコンタミネーション源となる炭化水素系の有機物が存在することが十分に考えられる。
マスク毎にコンタミネーション付着のレートが異なると、一律に所定回数露光後にマスクの洗浄を行うといった管理ができず、マスク毎に洗浄の管理を行う必要があり、マスクの管理が煩雑になる。
各マスクのコンタミネーション付着のレートを一定にするため、マスクに付着したコンタミネーション源となる炭化水素系の有機物を除去すれば良いが、このために、マスクをマスク保管容器から取り出して処理するのでは、新たなパーティクルの付着や、ハンドリング時にマスクを破損する恐れがある。また、マスク保管容器から取り出して処理するには、手間がかかる。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、マスクに与えるダメージや新たな異物の付着を防止しつつ、マスクに付着したコンタミネーション源となる有機物を簡易に除去できるマスク保管容器およびマスク処理方法を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明のマスク保管容器は、露光用のマスクを収容し、外部からの熱を前記マスクへ伝達し得る容器と、前記容器に連結され、前記容器にパージガスを導入するためのガス導入ポートと、前記容器に連結され、前記容器内の前記パージガスを排気するガス排気ポートとを有する。
上記の本発明のマスク保管容器では、マスクを収容した状態のマスク保管容器を外部から加熱することにより、容器を介して熱がマスクに伝達されて、マスクが加熱される。
マスクの加熱により、マスクに付着したコンタミネーション源となる有機物が昇華あるいは蒸発する。そして、ガス導入ポートおよびガス排気ポートを用いて、パージガスの供給、パージガスの排気を行うことにより、パージガスとともに、昇華あるいは蒸発した有機物がマスク保管容器の外部へ排出される。
上記の目的を達成するため、本発明のマスク保管容器は、露光用のマスクを収容し、外部からの熱を前記マスクへ伝達し得る容器と、前記容器に取り付けられ、前記容器を介して前記マスクを加熱する加熱手段と、前記容器に連結され、前記容器にパージガスを導入するためのガス導入ポートと、前記容器に連結され、前記容器内の前記パージガスを排気するガス排気ポートとを有する。
上記の本発明のマスク保管容器では、マスクを収容した状態のマスク保管容器を加熱手段により加熱することにより、容器を介して熱がマスクに伝達されて、マスクが加熱される。
マスクの加熱により、マスクに付着したコンタミネーション源となる有機物が昇華あるいは蒸発する。そして、ガス導入ポートおよびガス排気ポートを用いて、パージガスの供給、パージガスの排気を行うことにより、パージガスとともに、昇華あるいは蒸発した有機物がマスク保管容器の外部へ排出される。
上記の目的を達成するため、本発明のマスク保管容器は、露光用のマスクを収容する容器と、前記容器に備えられ、外部から前記マスクへ照射される電磁波を透過させる透過窓と、前記容器に連結され、前記容器にパージガスを導入するためのガス導入ポートと、前記容器に連結され、前記容器内の前記パージガスを排気するガス排気ポートとを有する。
上記の本発明のマスク保管容器では、マスクを収容した状態のマスク保管容器の外部から、電磁波を照射する。電磁波は、透過窓を透過しマスクに照射される。電磁波がマスクに吸収されることにより、マスクが加熱される。
マスクの加熱により、マスクに付着したコンタミネーション源となる有機物が昇華あるいは蒸発する。そして、ガス導入ポートおよびガス排気ポートを用いて、パージガスの供給、パージガスの排気を行うことにより、パージガスとともに、昇華あるいは蒸発した有機物がマスク保管容器の外部へ排出される。
上記の目的を達成するため、本発明のマスク処理方法は、露光用のマスクに付着した、コンタミネーション源となる有機物を除去するマスク処理方法であって、マスク保管容器に収容された状態の前記マスクを加熱して、前記マスクに付着した有機物を除去する。
上記の本発明のマスク処理方法では、マスク保管容器に収容された状態のマスクを加熱する。マスクの加熱により、マスクに付着したコンタミネーション源となる有機物が昇華あるいは蒸発し、マスク上から除去される。マスクはマスク保管容器内に収容されていることから、新たなパーティクルが付着することなく、マスクが清浄な状態となる。
本発明のマスク保管容器およびマスク処理方法によれば、マスクに与えるダメージや新たな異物の付着を防止しつつ、マスクに付着したコンタミネーション源となる有機物を簡易に除去できる。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に用いられる処理の対象となるマスクの一例を示す平面図であり、図2は、図1に示すマスクの要部斜視図である。図1および図2では、一例として、低加速電子線近接露光(LEEPL:low energy electron beam proximity projection lithography)技術に使用されるマスクを示す。
マスク1は、基板2の中央部に4つのマスク領域M1,M2,M3,M4を備える。各マスク領域M1〜M4には、例えば基板2と同じ厚さの梁部3が格子状に形成されており、梁部3により区画された領域にメンブレン4が設けられている。メンブレン4は、300nm〜2μm厚のSiC、Siあるいはダイアモンドにより形成される。図2に示すように、梁部3により区画されたメンブレン4に、貫通孔からなるパターン5が形成されている。マスク1は、パターン5が貫通孔により形成されたいわゆるステンシルマスクである。
上記のマスク1には、被露光対象となるウエハに転写すべきパターンが相補分割された相補パターンが、マスク領域M1〜M4のいずれかのメンブレン4に形成される。そして、マスク領域M1〜M4をウエハに重ねて露光することにより、ウエハに転写すべきパターンが露光される。
図3は、マスク1を用いて電子線露光を行った場合における、露光回数と線幅変動との関係を示す図である。
図3に示すように、低加速電子線近接露光方式の場合は、露光回数、すなわちに電子線の総露光量に伴い、コンタミネーション付着量が増加し、マスクの開口線幅が細くなることがわかる。この結果、マスクを使用して露光転写されるウェハ上の線幅は露光の回数につれて細くなる。例えば、線幅変動を20nm以下に抑えたい場合には、電子線の露光回数が10000回より短い頻度で洗浄が必要となる。
コンタミネーション除去のための洗浄方法としては、紫外光の照射によってコンタミネーションの分子の結合を切断し、また酸化させて洗浄するというものが有望である。
図4は、2つのマスクについての、露光回数と線幅変動との関係を示す図である。図中、CV1が一方のマスクのデータであり、CV2が他方のマスクのデータを示す。
コンタミネーションの堆積量が露光回数に依存することの他に、図4に示すように、マスク毎にコンタミネーションの堆積レートが異なることが分かる。これは、マスク毎に、コンタミネーション源となる炭化水素系の有機物の付着量が異なるからであるといえる。コンタミネーション源となる炭化水素系の有機物が付着していると、この有機物に電子ビームが照射されることにより、有機物がマスク上にスパッタされることとなる。スパッタされたコンタミネーションの除去は従来の洗浄方法によるものとし、本実施形態では、スパッタされる前の、マスクに付着したコンタミネーション源となる有機物を除去するものである。
図5は、本実施形態に係るマスク保管容器10の構成を示す図である。本実施形態では、例えば1000Pa以下の真空状態に内部が保たれたマスク保管容器の例を示す。
マスク保管容器10は、ガラス等からなる観察用窓11を有し搬出入口を下方に向けた容器上蓋12と、容器上蓋12の搬出入口を蓋するように上下に開閉可能な容器下蓋13とを有する。容器下蓋13と容器上蓋12の接合部分には、気密性を確保するために図示しないシールが設けられている。
容器上蓋12および容器下蓋13は、例えば約1000Pa〜10000Pa以下の真空度を維持するため、アルミニウムのような軽量な材質の金属、あるいはポリカーボネイト(PC)のような硬質プラスチックなど軽量で硬い材料が要求される。
また、後述する高温ベーキングを行うため熱伝導性に優れた金属材料の方がベーキングの観点では好ましい。また、軽量化、コスト低減を重視するのならプラスチック材料でもよいが、その場合100℃〜200℃の耐熱性と良好な熱伝導性を有することが必要である。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの材料が好ましい。
容器上蓋12の内壁には、上部マスク抑えピン14が設けられており、容器下蓋13には下部マスク支持ピン15が設けられている。容器上蓋12の搬出入口を閉じた状態において、容器下蓋13の下部マスク支持ピン15に支持されたマスク1は、上部マスク抑えピン14と下部マスク支持ピン15とにより挟持される。上部マスク抑えピン14および下部マスク支持ピン15には、上記した熱伝導性に優れた金属材料、あるいは良好な熱伝導性を有するプラスチック材料を採用することが好ましい。
容器下蓋13の外側には、容器上蓋12に対して容器下蓋13をロック可能な下蓋鍵爪16が設けられている。
容器上蓋12には、ガス導入ポート17およびバルブ18が連結されており、ガス導入ポート17を図示しないガス供給源に接続することにより、容器内部にパージガスを供給し得るように構成されている。
容器上蓋12には、ガス排気ポート19およびバルブ20が連結されており、バルブ20の作用により、マスク保管容器10内のパージガスを外部に排出する。また、ガス排気ポート19を図示しない真空ポンプに接続することにより、マスク保管容器10内が所定の圧力となるように真空排気される。
図6は、本実施形態に係るマスク処理方法を実施する装置の構成を示す図である。図6に示す装置は、例えば、露光装置においてマスク1を入れたマスク保管容器を収納するストッカに設置する。
図6に示すように、マスク処理方法を実施する装置は、マスク1を収容するマスク保管容器10を加熱するベーキングチャンバ31と、マスク保管容器10のガス導入ポート17とガス導入ポート継ぎ手32を介して連結されるガス導入ポート33と、マスク保管容器10のガス排気ポート19とガス排気ポート継ぎ手34を介して連結されるガス排気ポート35とを有する。ガス導入ポート33は、酸素や窒素等のパージガスを供給する不図示のガス供給源に接続されている。ガス排気ポート35は、マスク保管容器10内のパージガスを排気する不図示の真空ポンプに接続されている。
マスク保管容器10内は既に例えば約1000Pa〜10000Pa以下の真空状態にある。あるいは、ガス排気ポート35を用いて、マスク保管容器10内を例えば約1000Pa〜10000Pa以下の真空状態にする。この状態で、ベーキングチャンバ31により、チャンバ内が40〜100℃に加熱されると、マスク保管容器10の容器上蓋12、容器下蓋13により熱が伝達されて、マスク保管容器10内が40〜100℃程度に加熱される。
マスク保管容器10内の温度上昇に伴いマスク1も40℃から100℃に加熱される。マスク1の加熱により、マスク1に付着したコンタミネーション源となる炭化水素分子は昇華あるいは蒸発し、マスク1上から除去される。
そして、ガス導入ポート33およびガス排気ポート35を用いて、微量の酸素や窒素などのガスでサイクルパージすることにより、昇華あるいは蒸発した炭化水素分子をマスク保管容器10外へ効率よく排出することができる。つまりパージガスの供給、パージガスの供給停止、パージガスの排気、パージガスの供給、パージガスの供給停止、パージガスの排気を任意の回数くり返す。
上記のマスク処理方法では、マスク1は外部雰囲気とはマスク保管容器10により遮断されていることから、新たなパーティクルが付着することなく、マスクを清浄な状態にすることが可能となる。このように、マスク1に付着したコンタミネーション源となる炭化水素分子を除去する処理を行うことにより、露光中のマスク1のコンタミネーションの成長レートを低減することができる。また、各マスクのコンタミネーションの成長レートを略均一にすることができ、洗浄管理が容易となる。
次に、上記のマスク処理方法を適用したマスク1の運用フローについて、図7を参照して説明する。
まず、マスク作製後、検査装置等による検査を経た初期状態のマスク1をマスク保管容器10に収容する(ステップST1)。初期状態とは、未だ露光に用いられていない状態を称する。そして、ガス排気ポート19を用いて、マスク保管容器10内を例えば1000Pa以下の真空状態とする。
マスク保管容器10内に収容された状態で、上記した本実施形態に係るマスク処理方法を実施する(ステップST2)。これにより、マスク作製プロセスや検査工程等により付着した、コンタミネーション源となる炭化水素系の有機物をマスク上から除去する。その後、ガス排気ポート19を用いて、マスク保管容器10内を露光処理での真空状態、例えば1000Pa以下の真空状態とする。
本実施形態に係るマスク処理を経たマスクを露光装置にセットし、露光に使用する(ステップST3)。ここで、露光装置はマスク1をマスク保管容器10に入れた状態でマスク1をハンドリングできるポートを有する。この場合、マスク1はすでに露光チャンバ内と同じ1000Pa以下の真空中にあるため露光装置にはマスク搬送用のロードロック室は必要ない。ここでのマスク1は露光装置が必要な度、何度でも搬出入を行いウェハの転写に使用される。
例えば数万回の露光回数を経たマスクには、先に述べたコンタミネーションが付着しているため、コンタミネーションの除去のための洗浄が必要になる(ステップST4)。このため、マスク保管容器10に収容された状態のマスク1は、露光装置外の洗浄装置や検査装置等の外部装置へ搬送され、外部装置による処理が施される。ここでの洗浄処理としては、紫外光の照射によってコンタミネーションの分子の結合を切断し、また酸化させて洗浄するものが有望である。
外部装置による処理手順として、例えば、マスク洗浄装置により洗浄を行った後に、検査装置により欠陥検査を行う。あるいは、マスク洗浄装置により洗浄を行った後に、線幅測定装置によりマスクのパターン線幅を測定し、さらに検査装置により欠陥検査を行う。あるいは、線幅測定装置によりマスクのパターン線幅を測定した後に、マスク洗浄装置により洗浄を行い、線幅測定装置によりマスクのパターン線幅を再度測定した後に、検査装置により欠陥検査を行う。
洗浄装置、線幅測定装置、欠陥検査装置を含む外部装置による処理の後、マスク保管容器10内に収容された状態のマスクについて、上記した本実施形態に係るマスク処理方法を実施する(ステップST2)。これにより、外部装置による処理により付着した、コンタミネーション源となる炭化水素系の有機物をマスク上から除去する。その後、ガス排気ポート19を用いて、マスク保管容器10内を露光処理での真空状態、例えば1000Pa以下の真空状態とする。
本実施形態に係るマスク処理を経たマスクは、露光装置にセットされ、再び露光に使用される(ステップST3)。上記のステップST3〜ステップST5までの処理が繰り返し行われる。
以上説明したように、本実施形態に係るマスク処理方法によれば、マスク保管容器10内にマスク1を保管したまま外部から高温ベーキングして、コンタミネーションの原因である炭化水素分子等の有機物をマスクから除去することにより、マスク保管容器10外からのパーティクルの付着を防止しつつ、マスクを清浄な状態にすることができる。
そして、ガス導入ポート17およびガス排気ポート19を用いて、微量の酸素や窒素などのガスでサイクルパージすることにより、効率よくマスク上から昇華あるいは蒸発した炭化水素分子をマスク保管容器10外へ排出することができる。
また、マスク保管容器10からマスク1を取り出すことはないことから、マスク保管容器10へマスク1を搬出入する手間が省け、さらに、ハンドリングに伴うパーティクルの付着やマスクの破損といった問題がない。また、上記のマスク処理を低コストかつ簡便な装置で実現することができる。
このように、マスク1に付着したコンタミネーション源となる炭化水素分子を除去する処理を行うことにより、露光中のマスク1のコンタミネーションの成長レートを低減することができる。また、各マスクのコンタミネーションの成長レートを略均一にすることができ、洗浄管理が容易となる。
本実施形態に係るマスク保管容器10によれば、外部からの熱をマスク1へ伝達し得る容器上蓋12と容器下蓋13によりマスク1を収容し、かつ、当該容器上蓋12には、サイクルパージを可能にするガス導入ポート17とガス排気ポート19が連結されていることから、マスクに与えるダメージや新たな異物の付着を防止しつつ、マスクに付着したコンタミネーション源となる有機物を簡易に除去するのに適している。また、露光装置および外部装置間での搬出入の際に、マスク1にパーティクルが付着することを防止することができる。
(第2実施形態)
図8は、マスク処理方法を実施する他の装置形態を示す図である。図8に示す装置は、例えば、露光装置においてマスク1を入れたマスク保管容器を収納するストッカに設置する。本実施形態では、マスク1への加熱の仕方が異なる点以外は、第1実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
図8に示す装置は、ヒータ41を備えたヒータプレート42と、マスク保管容器10のガス導入ポート17とガス導入ポート継ぎ手43を介して連結されるガス導入ポート44と、マスク保管容器10のガス排気ポート19とガス排気ポート継ぎ手45を介して連結されるガス排気ポート46とを有する。ガス導入ポート44は、酸素や窒素等のパージガスを供給する不図示のガス供給源に接続されている。ガス排気ポート46は、マスク保管容器10内のパージガスを排気する不図示の真空ポンプに接続されている。
マスク保管容器10内は既に例えば約1000Pa〜10000Pa以下の真空状態にある。あるいは、ガス排気ポート46を用いて、マスク保管容器10内を例えば約1000Pa〜10000Pa以下の真空状態にする。そして、マスク1を収容したマスク保管容器10をヒータプレート42に載置した状態で、ヒータプレート42によりマスク保管容器10の容器下蓋13を40〜100℃に加熱する。これにより、容器下蓋13、下部マスク支持ピン15により熱が伝達されて、マスク1が40〜100℃程度に加熱される。
マスク1の加熱により、マスク1に付着したコンタミネーション源となる炭化水素分子は昇華あるいは蒸発し、マスク1上から除去される。そして、ガス導入ポート17およびガス排気ポート19を用いて、微量の酸素や窒素などのガスでサイクルパージすることにより、昇華あるいは蒸発した炭化水素分子をマスク保管容器10外へ効率よく排出することができる。
以上の装置形態によっても、本実施形態に係るマスク処理方法を実現することができ、第1実施形態と同様の効果を奏する。
(第3実施形態)
図9は、本実施形態に係るマスク保管容器10の構成を示す図である。本実施形態では、マスク1への加熱の仕方が異なる点以外は、第1実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
本実施形態では、マスク保管容器10自体に、加熱手段としてヒータ21が、容器上蓋12および容器下蓋13に複数取り付けられている。図9に示す例では、容器上蓋12および容器下蓋13にそれぞれ2つのヒータ21が取り付けられている。
さらに詳細には、上部マスク抑えピン14が取り付けられた位置における容器上蓋12の外側に2つのヒータ21が取り付けられている。また、下部マスク支持ピン15が取り付けられた位置における容器下蓋13の外側に2つのヒータ21が取り付けられている。これにより、上部マスク抑えピン14および下部マスク支持ピン15を介して効率良くマスク1に熱を伝達できる。
図9に示すマスク保管容器10を用いて本実施形態に係るマスク処理を実施する際には、ガス導入ポート17を不図示のガス供給源に接続し、ガス排気ポート19を不図示の真空ポンプに接続する。
マスク保管容器10内は既に例えば約1000Pa〜10000Pa以下の真空状態にある。あるいは、ガス排気ポート19を用いて、マスク保管容器10内を例えば約1000Pa〜10000Pa以下の真空状態にする。そして、ヒータ21を40℃〜100℃に制御することにより、マスク1を40〜100℃程度に加熱することができる。マスク1の加熱により、マスク1に付着したコンタミネーション源となる炭化水素分子は昇華あるいは蒸発する。
そして、ガス導入ポート17およびガス排気ポート19を用いて、微量の酸素や窒素などのガスでサイクルパージすることにより、昇華あるいは蒸発した炭化水素分子をマスク保管容器10外へ排出することができる。
以上の装置形態によっても、本実施形態に係るマスク処理方法を実現することができ、第1実施形態と同様の効果を奏する。
(第4実施形態)
図10は、本実施形態に係るマスク保管容器10の構成を示す図である。本実施形態では、マスク1への加熱の仕方が異なる点以外は、第1実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
本実施形態では、容器上蓋12には、外部からマスクへ照射される赤外線等の電磁波を透過させる透過窓11aが設けられている。透過窓11aは、照射する赤外線等の電磁波の吸収が少ない材料、例えば、石英ガラスにより構成される。透過窓11aは、マスク1の略全面へ赤外線を照射し得る寸法となっている。
容器上蓋12および容器下蓋13は、例えば約1000Pa〜10000Pa以下の真空度を維持するため、アルミニウムのような軽量な材質の金属、あるいはポリカーボネイト(PC)のような硬質プラスチックなど軽量で硬い材料が要求される。本実施形態では、第1実施形態と異なり、熱伝導性に優れた材料を採用する必要はない。
また、上部マスク抑えピン14および下部マスク支持ピン15も、第1実施形態と異なり、熱伝導性に優れた材料を採用しなくてもよい。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
図11は、本実施形態に係るマスク処理方法を実施する装置の構成を示す図である。
図11に示すように、マスク処理方法を実施する装置は、マスク保管容器10を収容するチャンバ51と、チャンバ51内に設置されたプレート52と、チャンバ51において透過窓11aに対向する位置に設けられたランプヒータ53と、ランプヒータ53の動作を制御するランプ電源54とを有する。また、チャンバ51には、チャンバ51内の熱を逃がす熱排気口55が設けられており、さらに、マスク保管容器10のガス導入ポート17とガス導入ポート継ぎ手56を介して連結されるガス導入ポート57と、マスク保管容器10のガス排気ポート19とガス排気ポート継ぎ手58を介して連結されるガス排気ポート59が連結されている。ガス導入ポート57は、酸素や窒素等のパージガスを供給する不図示のガス供給源に接続されている。ガス排気ポート59は、マスク保管容器10内のパージガスを排気する不図示の真空ポンプに接続されている。
マスク保管容器10内は既に例えば約1000Pa〜10000Pa以下の真空状態にある。あるいは、ガス排気ポート59を用いて、マスク保管容器10内を例えば約1000Pa〜10000Pa以下の真空状態にする。この状態で、ランプヒータ53により赤外線が照射されると、当該赤外線は透過窓11aを通過して、マスク1に照射される。照射された赤外線がマスク1に吸収されることにより、マスク1が加熱される。これにより、例えば、マスク1が40〜100℃程度に加熱される。
マスク1の加熱により、マスク1に付着したコンタミネーション源となる炭化水素分子は昇華あるいは蒸発し、マスク1上から除去される。そして、ガス導入ポート17およびガス排気ポート19を用いて、微量の酸素や窒素などのガスでサイクルパージすることにより、昇華あるいは蒸発した炭化水素分子をマスク保管容器10外へ排出することができる。
スク上からの炭化水素分子の除去処理を行うことが可能となる。
以上の装置形態によっても、本実施形態に係るマスク処理方法を実現することができ、第1実施形態と同様の効果を奏する。
本発明は、上記の実施形態の説明に限定されない。
例えば、本実施形態では、一例として使用するマスクの構成例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ステンシルマスク以外にもメンブレンマスクに適用することができる。
また、本実施形態では、真空下で使用するマスクを収容するため、真空状態にマスクを保管するマスク保管容器10の例について説明したが、大気圧で使用するマスク用のマスク保管容器であってもよい。大気圧で使用するマスクに対しても、上記実施形態のように減圧下でマスク処理を実施する。あるいは、大気圧で使用するマスクに対して大気圧でマスク処理を施してもよく、この場合には、有機物を昇華あるいは蒸発させるため処理温度を上記実施形態よりも高温にすればよい。また、大気圧で使用するマスクに対しては、サイクルパージを行わなくても良い。さらに、サイクルパージでなく、パージガスを供給しつつパージガスを排出するようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、低加速電子線を用いた近接露光方式に使用するマスク用のマスク保管容器およびマスク処理方法について説明したが、その他の電子線露光方式や、F2 光源露光方式、軟X線(EUV)露光方式、あるいはX線近接露光方式などに使用するマスクに、本実施形態に係るマスク保管容器およびマスク処理方法を適用することもできる。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
処理の対象となるマスクの一例を示す平面図である。 図1に示すマスクの要部斜視図である。 マスクを用いて電子線露光を行った場合における、露光回数と線幅変動との関係を示す図である。 2つのマスクについての、露光回数と線幅変動との関係を示す図である。 第1実施形態に係るマスク保管容器の構成を示す図である。 第1実施形態に係るマスク処理方法を実施する装置の構成図である。 マスク処理方法を適用したマスクの運用フローを示す図である。 第2実施形態に係るマスク処理方法を実施する装置の構成図である。 第3実施形態に係るマスク保管容器の構成を示す図である。 第4実施形態に係るマスク保管容器の構成を示す図である。 第4実施形態に係るマスク処理方法を実施する装置の構成図である。
符号の説明
1…マスク、2…基板、3…梁部、4…メンブレン、5…パターン、10…マスク保管容器、11…観察用窓、11a…透過窓、12…容器上蓋、13…容器下蓋、14…上部マスク抑えピン、15…下部マスク支持ピン、16…下蓋鍵爪、17…ガス導入ポート、18…バルブ、19…ガス排気ポート、20…バルブ、21…ヒータ、31…ベーキングチャンバ、32…ガス導入ポート継ぎ手、33…ガス導入ポート、34…ガス排気ポート継ぎ手、35…ガス排気ポート、41…ヒータ、42…ヒータプレート、43…ガス導入ポート継ぎ手、44…ガス導入ポート、45…ガス排気ポート継ぎ手、46…ガス排気ポート、51…チャンバ、52…プレート、53…ランプヒータ、54…ランプ電源、55…熱排気口、56…ガス導入ポート継ぎ手、57…ガス導入ポート、58…ガス排気ポート継ぎ手、59…ガス排気ポート

Claims (8)

  1. 露光用のマスクを収容し、外部からの熱を前記マスクへ伝達し得る容器と、
    前記容器に連結され、前記容器にパージガスを導入するためのガス導入ポートと、
    前記容器に連結され、前記容器内の前記パージガスを排気するガス排気ポートと
    を有するマスク保管容器。
  2. 露光用のマスクを収容し、外部からの熱を前記マスクへ伝達し得る容器と、
    前記容器に取り付けられ、前記容器を介して前記マスクを加熱する加熱手段と、
    前記容器に連結され、前記容器にパージガスを導入するためのガス導入ポートと、
    前記容器に連結され、前記容器内の前記パージガスを排気するガス排気ポートと
    を有するマスク保管容器。
  3. 露光用のマスクを収容する容器と、
    前記容器に備えられ、外部から前記マスクへ照射される電磁波を透過させる透過窓と、
    前記容器に連結され、前記容器にパージガスを導入するためのガス導入ポートと、
    前記容器に連結され、前記容器内の前記パージガスを排気するガス排気ポートと
    を有するマスク保管容器。
  4. 露光用のマスクに付着した、コンタミネーション源となる有機物を除去するマスク処理方法であって、
    マスク保管容器に収容された状態の前記マスクを加熱して、前記マスクに付着した前記有機物を除去する
    マスク処理方法。
  5. 前記マスクを加熱した状態で、さらに前記マスク保管容器内へのパージガスの供給、前記パージガスの供給停止、前記パージガスの排出を複数回繰り返すことにより、前記マスクに付着した有機物を前記パージガスとともに前記マスク保管容器の外部へ排出する
    請求項4記載のマスク処理方法。
  6. 前記マスク保管容器を加熱して、前記マスク保管容器に収容された前記マスクに熱を伝達することにより、前記マスクを加熱する
    請求項4記載のマスク処理方法。
  7. 前記マスク保管容器の外部から、前記マスクに電磁波を照射することにより、前記マスクを加熱する
    請求項4記載のマスク処理方法。
  8. 前記マスクを作製した後、前記マスクを露光に使用するまでの初期状態、あるいは露光後に露光装置の外部による処理が実施された後に、前記マスクを加熱して前記マスクに付着した有機物を除去する処理を行う
    請求項4記載のマスク処理方法。
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