JP2004214562A - 露光システムおよびマスク製造システム - Google Patents
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Abstract
【課題】露光装置だけでなく、マスクを検査および洗浄する複数の処理装置を含むシステム全体において、マスクが真空引きや大気開放に曝される回数を低減して、マスクへの汚染およびダメージを防止することができる露光システムおよびマスク製造システムを提供する。
【解決手段】露光装置、検査装置、洗浄装置を含む装置群には、マスクを真空ポッドに入れた状態でマスクをハンドリングして各処理室へ送ることが可能な真空ポッドロード室が設置されている。従って、露光システムにおけるマスクの使用フローでは、ステップST1〜ST6の全ての工程が、真空ポッドを使用する工程VPとなっており、マスクは装置外の環境とは真空ポッドにより常に遮断される。
【選択図】図5
【解決手段】露光装置、検査装置、洗浄装置を含む装置群には、マスクを真空ポッドに入れた状態でマスクをハンドリングして各処理室へ送ることが可能な真空ポッドロード室が設置されている。従って、露光システムにおけるマスクの使用フローでは、ステップST1〜ST6の全ての工程が、真空ポッドを使用する工程VPとなっており、マスクは装置外の環境とは真空ポッドにより常に遮断される。
【選択図】図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光システムおよびマスク製造システムに関し、特に荷電粒子線照射用のマスクを用いた露光システムおよび当該マスクのマスク製造システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、集積回路の高密度化に伴い、微細パターン形成技術の主流をなしてきたフォトリソグラフィはその限界が指摘され、この限界を打ち破るものとして電子ビームによるリソグラフィ(電子ビーム露光装置)が急速に進歩している。
【0003】
特に電子線投影露光装置や電子線近接露光装置では、300nm〜2μm厚のSiC、Si、あるいはダイアモンド等で形成した薄いメンブレンを有したマスクを用いるため強度が高くなく、その構造から破損の可能性が極めて高い。
【0004】
一方、マスク入射電子あるいは散乱電子と残留ガスとの反応、あるいはレジストからのアウトガスとの反応により、ステンシルマスク、あるいはメンブレンマスクに炭化水素系の汚染物が付着し、マスクの開口幅を狭くし、電子ビームの透過軌道幅を縮小させる原因となる。これをコンタミネーション付着という。
【0005】
また、電子線用のマスクは、光リソグラフィ用マスクで使用されているようなパーティクル付着防止のためのペリクルの装着は不可能でありパーティクルの付着を抑えなくてはならない。
【0006】
もし、コンタミネーション付着やパーティクルの付着が発生した場合は、直ちに物理的衝撃や化学反応を利用した洗浄を行う必要があり、マスクは露光装置と洗浄装置、検査装置の間の搬送が頻繁に発生する。
【0007】
しかし、それらの設備は、マスクをロード、アンロードするポートを有するが、そのインターフェースは各種各様であり、統一されていない。そのため、マスク自身は真空引きや大気開放に度々曝され、それによりダメージだけでなくパーティクルの付着の危険に多く曝される。
【0008】
上記した問題を解決する方法として、半導体ウエハの場合はミニエンバイロンメントという局所的クリーン技術があるが、それをマスクに適用した手法がある(特許文献1参照)。
特許文献1には、塵埃除去用のフィルタによって通気性の確保された試料搬送用容器を用い、電子線を描画する処置室にマスクを搬入するときには、正常に保たれた大気中においてマスクを試料搬送用容器内に収容し、この試料搬送用容器を予備室に搬入した後に予備室内を真空雰囲気まで排気し、その後に試料搬送容器からマスクを取り出して処置室に搬入する搬入搬出支援方法および搬入搬出支援装置に関する技術が開示されている。
【0009】
また、マスクだけの環境を分離してマスクのクリーン度を保つという手法がある(特許文献2参照)。特許文献2には、露光装置のチャンバ内に、チャンバ環境とは分離してマスクの環境を管理可能な基板保管部を備えた技術が開示されている。
【0010】
また、半導体ウエハの加工に関しては、真空のボックス(以下、真空ポッドと称する)を使った手法がある(特許文献3参照)。特許文献3には、移動自在な真空度1Torr以下の真空ポッドの移送口と真空チャンバの移送口相互を気密に結合した状態でウエハ等の被搬送物を移し変える技術が開示されている。
【0011】
【特許文献1】
特許第3320628号
【特許文献2】
特開2001−76998号公報
【特許文献3】
特許第2525284号
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の技術では、電子線露光装置単体で考えた場合には、マスクは非常にクリーンな状態を保てるが、その他の検査装置や洗浄装置に送った場合、それは達成できないこととなる。
【0013】
また、特許文献3に記載の手法では、その搬送方法のマスクへの適用、およびマスクを検査、洗浄する装置への適用はなされていない。また、この場合にも装置単体で考えた場合には、被搬送物は非常にクリーンな状態を保てるが、その他の検査装置や洗浄装置に送った場合、それは達成できないこととなる。
【0014】
以上のように、マスクが真空引きや大気開放に度々曝されることによるマスクへのダメージおよびパーティクルの付着の発生を防止するためには、マスクを用いて露光する電子線露光装置、マスクの検査装置および洗浄装置等、マスクが搬送される装置群においてマスクをクリーンに保つことができる露光システムを構築する必要がある。このことは、マスクを製造するマスク製造システムについても同様である。
【0015】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、露光装置だけでなく、マスクを検査および洗浄する複数の処理装置を含むシステム全体において、マスクが真空引きや大気開放に曝される回数を低減して、マスクへの汚染およびダメージを防止することができる露光システムおよびマスク製造システムを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の露光システムは、真空下において被露光対象にマスクのパターンを露光する露光装置と、前記マスクを検査および洗浄する複数の処理装置と、前記マスクを真空下において収容し、各装置間において前記マスクを収容した状態で搬送される真空容器とを有し、複数の前記処理装置のうち真空下で処理を行う前記処理装置と前記露光装置のそれぞれに、前記真空容器の搬出入口と前記各装置の搬出入口相互を気密に封止した状態で前記マスクを前記真空容器と前記装置との間で搬出入する搬出入手段が設けられている。
【0017】
上記の本発明の露光システムでは、複数の処理装置のうち真空下で処理を行う処理装置と露光装置のそれぞれに、真空容器の搬出入口と各装置の搬出入口相互を気密に封止した状態でマスクを真空容器と装置との間で搬出入する搬出入手段が設けられている。
従って、露光システム全体において、真空容器に収容した状態で、各装置間においてマスクの搬送が行われる。
【0018】
さらに、上記の目的を達成するため、本発明の露光システムは、真空下において被露光対象にマスクのパターンを露光する露光装置と、前記マスクを検査および洗浄する複数の処理装置と、各装置の搬出入口相互間において前記マスクを搬送する搬送手段とを有し、複数の前記処理装置のうち真空下で処理を行う前記処理装置および前記露光装置のそれぞれの搬出入口が、真空状態に保持された搬送経路により連結されており、前記搬送手段は、前記搬送経路内で前記各装置の搬出入口相互間において前記マスクを搬送する。
【0019】
上記の本発明の露光システムでは、複数の処理装置のうち真空下で処理を行う処理装置および露光装置のそれぞれの搬出入口が、真空状態に保持された搬送経路により連結されており、搬送手段は、搬送経路内で各装置の搬出入口相互間においてマスクを搬送する。
従って、露光システム全体において、真空下にある搬送経路を介してマスクの搬送が行われる。
【0020】
さらに、上記の目的を達成するため、本発明のマスク製造システムは、真空下においてマスクにパターンを露光する露光装置と、前記マスクを検査および洗浄する複数の処理装置と、前記マスクを真空下において収容し、各装置間において前記マスクを収容した状態で搬送される真空容器とを有し、複数の前記処理装置のうち真空下で処理を行う前記処理装置と前記露光装置のそれぞれに、前記真空容器の搬出入口と前記各装置の搬出入口相互を気密に封止した状態で前記マスクを前記真空容器と前記装置との間で搬出入する搬出入手段が設けられている。
【0021】
上記の本発明のマスク製造システムでは、複数の処理装置のうち真空下で処理を行う処理装置と露光装置のそれぞれに、真空容器の搬出入口と各装置の搬出入口相互を気密に封止した状態でマスクを真空容器と装置との間で搬出入する搬出入手段が設けられている。
従って、マスク製造システム全体において、真空容器に収容した状態で、各装置間においてマスクの搬送が行われる。
【0022】
さらに、上記の目的を達成するため、本発明のマスク製造システムは、真空下においてマスクにパターンを露光する露光装置と、前記マスクを検査および洗浄する複数の処理装置と、各装置の搬出入口相互間において前記マスクを搬送する搬送手段とを有し、複数の前記処理装置のうち真空下で処理を行う前記処理装置および前記露光装置のそれぞれの前記搬出入口が、真空状態に保持された搬送経路により連結されており、前記搬送手段は、前記搬送経路内で前記各装置の搬出入口相互間において前記マスクを搬送する。
【0023】
上記の本発明のマスク製造システムでは、複数の処理装置のうち真空下で処理を行う処理装置および露光装置のそれぞれの搬出入口が、真空状態に保持された搬送経路により連結されており、搬送手段は、搬送経路内で各装置の搬出入口相互間においてマスクを搬送する。
従って、マスク製造システム全体において、真空下にある搬送経路を介してマスクの搬送が行われる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の露光システムおよびマスク製造システムについて、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る露光システムの概略構成図である。
図1に示す露光システムは、ウエハにマスクのパターンを露光する電子線投影露光装置1と、測長SEM等からなるマスクのパターンの線幅を測定するマスク線幅測定装置2と、マスクに付着したコンタミネーションを除去するコンタミネーション除去装置3と、マスクに付着したパーティクルを除去するパーティクル除去装置4と、測長SEMによる線幅の測定や外観検査、あるいは電子線や光を用いてマスクのパターンの検査を行う欠陥検査装置5と、各装置1〜5間においてマスクを収容する真空ポッド10を搬送する搬送装置7とを有する。
【0026】
電子線投影露光装置1は、電子線をウエハに照射することによりウエハにマスクのパターンを露光する。例えば、電子線投影露光装置1は、近接転写リフソグラフィを実現する装置である。
【0027】
後述するように、本実施形態に係る露光システムでは、各装置1〜5には、マスクを真空ポッド10に入れた状態でマスクをハンドリングして各処理室へ送ることが可能な真空ポッドロード室が設置されている。
【0028】
図2は、真空ポッド10の構成の一例を示す図である。
図2に示す真空ポッド10は、ガラス等からなる観察用窓11を有し搬出入口を下方に向けた上部蓋12と、上部蓋12の搬出入口を蓋するように選択的に閉塞する下部蓋13とを有する。下部蓋13は2部構成を有しており、上部蓋12の搬出入口を蓋するように選択的に閉塞する第1下部蓋13aと、第1下部蓋13aの周囲に位置し、上部蓋12に固定された第2下部蓋13bとを有する。図2に示すように、第1下部蓋13aにより上部蓋12の搬出入口を閉塞した状態において、第1下部蓋13aと第2下部蓋13bの接合部分には、気密性を確保するために図示しないシールが設けられている。蓋12,13は、プラスチック製あるいはアルミニウム等の金属製のいずれでもよい。
【0029】
上部蓋12の内壁には、上部マスク抑えピン14が設けられており、第1下部蓋13aには下部マスク支持ピン15が設けられている。上部蓋12の搬出入口を閉塞した状態において、第1下部蓋13aの下部マスク支持ピン15に支持されたマスク100は、上部マスク抑えピン14と下部マスク支持ピン15とにより挟持される。
第1下部蓋13aの外側には、第2下部蓋13bに対して第1下部蓋13aをロック可能な下部蓋開閉用鍵爪16が設けられている。
【0030】
上部蓋12には、真空引きポート17およびバルブ18が連結されており、真空引きポート17を図示しない真空ポンプに接続することにより、真空ポッド10内が所定の圧力となるように真空排気される。例えば、真空ポッド10内は、1000Pa以下の圧力となるように真空排気される。
【0031】
上部蓋12には、ベントポート19およびバルブ20が連結されており、バルブ20の作用により、真空状態となった真空ポッド10内の圧力を外部雰囲気の圧力に戻す。
【0032】
図3は、真空ポッドに収容されるマスクの概略斜視図である。
図3に示すマスク100は、特に電子線投影露光や電子線近接露光に使用されるマスクであり、300nm〜2μm厚のSiC、Si、あるいはダイアモンド等で形成した薄いメンブレン101にパターンが形成され、当該メンブレン101の強度を補強する梁部102が格子状に配置されている。
【0033】
上記のメンブレン101に開口からなるパターンが形成されたマスクがステンシルであり、上記のメンブレン101にクロム膜等の散乱体膜が形成されたマスクがメンブレンマスクである。
【0034】
上述したように、本実施形態に係る露光システムでは、各装置1〜5には、マスク100を真空ポッド10に入れた状態で、各処理室に搬出入可能な真空ポッドロード室が設けられる。図4は、各装置1〜5の真空ポッドロード室の詳細な構成の一例を示す図である。
【0035】
図4に示すように、各装置1〜5は、各装置毎の処理を行う処理室31と、マスク100が収容された真空ポッド10からのマスクの搬出入を行う真空ポッドロード室32と、真空ポッドロード室32と処理室31との間でのマスクの搬送を行うマスク搬送室33とを有する。
【0036】
真空ポッドロード室32には、真空引きポート34、バルブ35を介して真空ポンプ36が接続されており、真空ポンプ36およびバルブ35の作用により、真空ポッドロード室32内を所定の圧力となるように真空排気する。例えば、真空ポッドロード室32内は、1000Pa以下の圧力となるように真空排気される。
【0037】
真空ポッドロード室32には、真空ポッド搭載部32aから真空ポッドロード室32内の間を移動可能なロードポート37が設けられている。ロードポート37は、真空ポッド10が搭載されていない状態では、真空ポッド搭載部32aの開口部を封止しており、真空ポッドロード室32内の気密を保っている。
【0038】
ロードポート37は、真空ポッド10の下部蓋開閉用鍵爪16と嵌め合わさって第1下部蓋13aのロックを解除する解除機構と、第1下部蓋13aとロードポート37を一体で保持するための例えばバキューム吸着等の保持機構を内蔵している。
【0039】
真空ポッドロード室32の下部には、真空ポッドロード室32内を気密に保った状態で、ロードポート37を上下方向に駆動する真空ポッド下蓋開閉機構駆動部38が設けられている。
【0040】
真空ポッドロード室32とマスク搬送室33は、ゲートバルブ39を介して連結されている。マスク搬送室33には、真空引きポート40、バルブ41を介して真空ポンプ42が接続されており、真空ポンプ42およびバルブ41の作用により、マスク搬送室33内を所定の圧力となるように真空排気する。例えば、マスク搬送室33内は、1000Pa以下の圧力となるように真空排気される。
【0041】
マスク搬送室33内には、ゲートバルブ39を介して真空ポッドロード室32内のロードポート37から処理室31へマスク100の搬送を行うマスク搬送ロボット43が設置されている。
【0042】
マスク搬送室33の下部には、マスク搬送室33内を気密に保った状態で、マスク搬送ロボット43を駆動する搬送ロボット駆動部44が設けられている。
【0043】
上記の真空ポッドロード室32内およびマスク搬送室33内の圧力は、処理室31内の圧力と実質的に同一となるように設定することが好ましい。これに伴い、上記の圧力と実質的に同一となるように真空ポッド10内の圧力を設定することが好ましい。これは、全ての圧力が同一であれば、マスクへの圧力変化が少なくなり、また、真空ポッドロード室32内において圧力変化のためのプロセスが不要となりその時間が短縮されるからである。
【0044】
上記の各装置1〜5では、マスク100が収容された真空ポッド10が真空ポッドロード室32のロードポート37に搭載されると、第1下部蓋13aとロードポート37とが気密に保持され、第1下部蓋13aのロックが解除される。これにより、第1下部蓋13aとロードポート37のそれぞれの外側に付着した異物等は、第1下部蓋13aとロードポート37の間に封止される。
【0045】
そして、真空ポッド下蓋開閉機構駆動部38によりロードポート37が下方へ駆動され、マスクを支持する第1下部蓋13aごと上部蓋12内から下方へ引き抜くことにより、マスク搬送ロボット43によるマスク100の搬送を可能な位置までマスクを移動させる。
【0046】
その後、ゲートバルブ39を介して搬送ロボット43により真空ポッドロード室32内のマスク100をハンドリングし、処理室31内へ搬送することにより、処理室31にセットされて、各装置1〜5毎の処理が行われる。各処理後の動作は、上記に説明したのと逆の動作が行われることにより、真空ポッド10内に再びマスク100が収容されて、搬送装置7により他の装置1〜5へマスク100を収容する真空ポッド10ごと搬送される。
【0047】
本実施形態に係るマスク露光システムにおけるマスクの使用フローを図5を参照して説明する。
【0048】
まず、真空ポッド10に収容されたマスク100は、真空引きや大気開放をすることなく、電子線投影露光装置1の処理室31に搬入されて、当該処理室31内で電子線を用いた露光がウエハに行われる(ステップST1)。マスク100は、電子線投影露光装置1が必要な度、何度でも処理室1内に搬入されてウエハへの露光に使用される。
【0049】
例えば数万ショットの露光を繰り返した場合、先に述べたコンタミネーションの付着のため、マスク100はコンタミネーションの除去のための洗浄が必要になる。あるいはマスク100が幾度となる搬送されると装置内に浮遊するパーティクルがマスク100に付着し、パーティクルの除去のための洗浄が必要になる。従って、露光した後には、マスク100の洗浄が必要か否かをモニタすべく、ウエハの転写パターンの線幅測定およびマスク100の線幅測定が行われる。
【0050】
すなわち、ウエハに転写パターンが形成されると、ウエハのパターンの測定が行われて、ウエハのパターンが良好と判定された場合には、マスク100は良好であるとして繰り返し露光に使用される(ステップST2)。ここで、ウエハのパターンが不良と判定された場合には、電子線投影露光装置1からマスク線幅測定装置2へとマスク100を真空ポッド10に入れた状態で搬送装置7により搬送される。
【0051】
マスク線幅装置2にも、上述したようにマスク100を真空ポッド10に入れた状態で処理室31に搬出入できる真空ポッドロード室32が設置されている。従って、真空ポッド10に収容されたマスク100が真空引きや大気開放サイクルに曝されることなく、マスク線幅測定装置2の処理室31に搬入されて、当該処理室31内で真空下においてマスクの線幅の測定が行われる(ステップST3)。
【0052】
測定されたマスクのパターン線幅が劣化している場合(ステップST3)には、マスク100は真空ポッド10に戻されて真空ポッド10ごとコンタミネーション除去装置3へ搬送装置7により搬送される。
【0053】
コンタミネーション除去装置3にも、上述したようにマスク100を真空ポッド10に入れた状態で処理室31に搬出入できる真空ポッドロード室32が設置されている。従って、コンタミネーション除去装置3の処理室31でのコンタミネーション除去を真空下において行う手法を採用することにより、真空ポッド10に収容されたマスク100が真空引きや大気開放サイクルに曝されることなく、コンタミネーションが除去される(ステップST4)。
【0054】
ステップ3において測定されたマスクのパターン線幅自体に問題ない場合、およびステップ4のコンタミネーション除去後に、マスク100は真空ポッド10に戻されて真空ポッド10ごとパーティクル除去装置4へ搬送装置7により搬送される。
【0055】
パーティクル除去装置4にも、上述したようにマスク100を真空ポッド10に入れた状態で処理室31に搬出入できる真空ポッドロード室32が設置されている。従って、パーティクル除去装置4の処理室31でのパーティクル除去を減圧下において行う手法を採用することにより、真空ポッド10に収容されたマスク100が真空引きや大気開放サイクルに曝されることなく、パーティクルが除去される(ステップST5)。
【0056】
マスクが洗浄された後は、マスクの所望の洗浄が行われたか、あるいは新たな欠陥の原因がマスク上に発生していないかを検査する必要がある。従って、パーティクル除去後、マスク100は真空ポッド10に戻されて真空ポッド10ごと欠陥検査装置5へ搬送装置7により搬送される。
【0057】
欠陥検査装置5にも、上述したようにマスク100を真空ポッド10に入れた状態で処理室31に搬出入できる真空ポッドロード室32が設置されている。従って、欠陥検査装置5の処理室31において、真空下でSEMによる線幅の測定や外観検査、あるいは電子線や光を利用した検査をすることにより、真空ポッド10に収容されたマスク100が真空引きや大気開放サイクルに曝されることなく、検査が行われる(ステップST6)。
【0058】
欠陥検査によりパーティクルの存在が確認された場合には、同様にしてマスク100は真空ポッド10に戻されて真空ポッド10ごとパーティクル除去装置4に搬送されて、再びパーティクルが除去される。
【0059】
欠陥検査によりマスクが良好と判定された場合には、マスク100は真空ポッドに戻されて真空ポッド10ごと電子線投影露光装置1に搬送されて、再び電子線投影露光に使用されることとなる。
【0060】
上述したように、本実施形態に係る露光システムにおけるマスクの使用フローでは、図5のステップST1〜ST6の全ての工程が、真空ポッドを使用する工程VPとなっており、マスクは装置外の環境とは真空ポッドにより常に遮断される。
【0061】
上記の本実施形態に係る露光システムの効果について、比較例を参照して説明する。図6は、ポッドを使用しないマスクの使用フロー図であり、図7は、常圧ポッドを使用したマスクの使用フロー図であり、図8は、電子線投影露光装置のみ真空ポッドを採用したマスクの使用フロー図である。
【0062】
図7に示す常圧ポッドを使用したマスクの使用フローでは、図6に示す常圧ポッドを使用しない場合に比べてマスクは装置外の環境とは常圧ポッドにより常に遮断されており、パーティクルの付着の可能性は低減する。しかし、通常真空下において処理が行われる電子線投影露光工程(ステップST1)、マスク線幅測定工程(ステップST3)、欠陥検査工程(ステップST6)において、マスクは、真空引き、大気開放のサイクルVAの下におかれる。そのサイクルVAでは、非常にパーティクルの巻き上げ、付着が発生しやすい。
【0063】
図8に示すマスクの使用フローでは、電子線投影露光工程(ステップST1)のみが真空ポッドを使用する工程VPとなるため、マスクは装置外の環境とは真空ポッドにより常に遮断されているためパーティクルの付着の可能性は減り、かつ、マスクは真空状態におかれているので、マスクが真空引き、大気開放のサイクルを通過することはない。従って、パーティクルの付着の可能性は低くなる。また、真空ポッド内は予め真空になっているためマスクの装置内への搬送の度に真空ポッドロード室内での真空引き、大気開放のプロセスが必要でなくその時間を短縮することができる。
【0064】
しかし、この場合には、電子線投影露光(ステップST1)後、マスク線幅測定(ST3)の前、および欠陥検査(ステップST6)後、電子線投影露光(ステップST1)の前に、マスクを真空ポッドから常圧ポッドへあるいはその逆へと入れ替える工程(STP)が生じる。真空ポッドから常圧ポッドに入れ換えた後、さらに真空下においてマスク線幅測定工程(ステップST3)および欠陥検査(ステップST6)を行うことから、当該工程(ステップST3,ST6)においては、マスクが真空引き、大気開放のサイクルVA下におかれる。従って、そのサイクルVAでは、非常にパーティクルの巻き上げ、付着が発生しやすい。
【0065】
これに対し、本実施形態では、全ての工程が、真空ポッドを使用する工程VPとなっており、マスクは装置外の環境とは真空ポッドにより常に遮断されることから、パーティクルの付着の可能性が低減し、かつマスクは真空状態におかれているので、マスクが真空引き、大気開放のサイクルを通過することはない。
従って、パーティクルの付着の可能性は低くなる。また、真空ポッド10内は予め真空になっているためマスクの装置内への搬送の度に真空ポッドロード室32内での真空引き、大気開放のプロセスが必要でなくその時間を短縮することができる。さらにそうすることによって、マスク自体が曝される大気と真空の圧力変化の回数が大幅に削減され、その際に受ける物理的ダメージも低減でき、マスクが破損する確率も低くなる。
【0066】
次に、本実施形態に係る露光システムのマスクの使用フローおよび比較例におけるマスクの使用フローにおいて、マスクがおかれている環境の圧力変化について、図9〜図10を参照して説明する。
【0067】
図6および図7に示すマスク使用フローにおいては、図9(a)に示すように、マスクは、通常真空下において処理が行われる電子線投影露光工程(ST1)、マスク線幅測定工程(ST3)、欠陥検査工程(ST6)では真空の圧力下に曝され、通常大気圧下において処理が行われるコンタミネーション除去工程(ST4)、パーティクル除去工程(ST5)では大気圧下に曝されることから、圧力変化が多く発生し、上記したようにパーティクルの付着や物理的ダメージの可能性が高い。なお、電子線投影露光工程(ST1)では、使用および保管のたびにマスクが真空下および大気圧下に曝される様子を示している。
【0068】
図8に示すマスク使用フローにおいては、図9(b)に示すように、電子線投影露光工程(ST1)のときだけは圧力変化が無くなるため、上記の図9(a)に示した場合ほどパーティクルの付着や物理的ダメージの可能性が高くない。しかし、依然として、その他の工程において圧力変化が比較的多く発生することから、パーティクルの付着や物理的ダメージの防止について十分ではない。
【0069】
これに対して、本実施形態に係る露光システムのマスク使用フローにおいては、図10に示すように、電子線投影露光工程(ST1)、マスク線幅測定工程(ST3)、欠陥検査工程(ST6)においてマスクの環境の圧力変化が無くなる。また、コンタミネーション除去工程(ST4)において、真空下において処理する手法を採用することにより、コンタミネーション除去工程(ST4)におけるマスクの環境の圧力変化が無くなる。通常、パーティクル除去工程(ST5)は、大気圧で洗浄処理するため当該工程において圧力変化が発生するが、全体として圧力変化の頻度が大幅に削減され、上記に示したパーティクルの付着や物理的ダメージの発生の可能性が極めて低くなる。ここで、さらにパーティクル除去を減圧下で処理できる装置を用いることにより、パーティクルの付着や物理的ダメージのさらなる低減が達成される。
【0070】
本発明は、上記の実施形態の説明に限定されない。
本実施形態では、マスクを真空ポッドに収納してマスクを搬送する例について説明したが、マスクを真空ポッドに収納しなくても、図11に示すように、電子線投影露光装置1、マスク線幅測定装置2、コンタミネーション除去装置3、パーティクル除去装置4、欠陥検査装置5の搬出入口を真空状態に保持された真空トンネル(搬送経路)6により連結し、搬送装置7が真空トンネル6内で各装置1〜5の搬出入口相互間においてマスクを搬送するようにしてもよい。
【0071】
また、本実施形態においては、マスク露光システムの一例について説明したが、マスク製造システムについても同様に適用可能である。この場合には、電子線投影露光装置1を電子線直接描画装置とし、他の装置2〜5もマスク製造に必要な他の測定および検査装置、洗浄装置に置き換えればよい。なお、電子線近接等倍露光方式の場合には、親マスクを用いて電子線投影露光装置により子マスクを作製できるため、同様に適用可能である。
【0072】
また、電子線投影露光装置以外の装置2〜5については、特に限定はなく、マスク露光システムおよびマスク製造システムにおいて必要な他の装置を設置することもできる。この場合にも、当該装置に、マスクを真空ポッドに入れた状態で、処理室内に搬出入できる真空ポッドロード室を設ければよい。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、露光装置だけでなく、マスクを検査および洗浄する複数の処理装置を含むシステム全体において、マスクが真空引きや大気開放に曝される回数を低減して、マスクへの汚染およびダメージを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る露光システムおよびマスク製造システムの概略構成図である。
【図2】真空ポッドの構成の一例を示す図である。
【図3】真空ポッドに収容されるマスクの概略斜視図である。
【図4】各装置の真空ポッドロード室の詳細な構成の一例を示す図である。
【図5】本実施形態に係るマスク露光システムにおけるマスクの使用フロー図である。
【図6】比較例におけるポッドを使用しないマスクの使用フロー図である。
【図7】比較例における常圧ポッドを使用したマスクの使用フロー図である。
【図8】比較例における電子線投影露光装置のみ真空ポッドを採用したマスクの使用フロー図である。
【図9】(a)は、図6および図7に示すマスクの使用フローにおいて、マスクがおかれている環境の圧力変化を説明するための図であり、(b)は、図8に示すマスクの使用フローにおいて、マスクがおかれている環境の圧力変化を説明するための図である。
【図10】本実施形態に係る露光システムにおけるマスクの使用フローにおいて、マスクがおかれている環境の圧力変化を説明するための図である。
【図11】本実施形態に係る露光システムおよびマスク製造システムの他の例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1…電子線投影露光装置、2…マスク線幅測定装置、3…コンタミネーション除去装置、4…パーティクル除去装置、5…欠陥検査装置、6…真空トンネル、7…搬送装置、10…真空ポッド、11…観察用窓、12…上部蓋、13…下部蓋、13a…第1下部蓋、13b…第2下部蓋、14…上部マスク抑えピン、15…下部マスク支持ピン、16…下部蓋開用鍵爪、17…真空引きポート、18…バルブ、19…ベントポート、20…バルブ、31…処理室、32…真空ポッドロード室、33…マスク搬送室、34…真空引きポート、35…バルブ、36…真空ポンプ、37…ロードポート、38…真空ポッド下蓋開閉機構駆動部、39…ゲートバルブ、40…真空引きポート、41…バルブ、42…真空ポンプ、43…マスク搬送ロボット、44…搬送ロボット駆動部、100…マスク、101…メンブレン、102…梁部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光システムおよびマスク製造システムに関し、特に荷電粒子線照射用のマスクを用いた露光システムおよび当該マスクのマスク製造システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、集積回路の高密度化に伴い、微細パターン形成技術の主流をなしてきたフォトリソグラフィはその限界が指摘され、この限界を打ち破るものとして電子ビームによるリソグラフィ(電子ビーム露光装置)が急速に進歩している。
【0003】
特に電子線投影露光装置や電子線近接露光装置では、300nm〜2μm厚のSiC、Si、あるいはダイアモンド等で形成した薄いメンブレンを有したマスクを用いるため強度が高くなく、その構造から破損の可能性が極めて高い。
【0004】
一方、マスク入射電子あるいは散乱電子と残留ガスとの反応、あるいはレジストからのアウトガスとの反応により、ステンシルマスク、あるいはメンブレンマスクに炭化水素系の汚染物が付着し、マスクの開口幅を狭くし、電子ビームの透過軌道幅を縮小させる原因となる。これをコンタミネーション付着という。
【0005】
また、電子線用のマスクは、光リソグラフィ用マスクで使用されているようなパーティクル付着防止のためのペリクルの装着は不可能でありパーティクルの付着を抑えなくてはならない。
【0006】
もし、コンタミネーション付着やパーティクルの付着が発生した場合は、直ちに物理的衝撃や化学反応を利用した洗浄を行う必要があり、マスクは露光装置と洗浄装置、検査装置の間の搬送が頻繁に発生する。
【0007】
しかし、それらの設備は、マスクをロード、アンロードするポートを有するが、そのインターフェースは各種各様であり、統一されていない。そのため、マスク自身は真空引きや大気開放に度々曝され、それによりダメージだけでなくパーティクルの付着の危険に多く曝される。
【0008】
上記した問題を解決する方法として、半導体ウエハの場合はミニエンバイロンメントという局所的クリーン技術があるが、それをマスクに適用した手法がある(特許文献1参照)。
特許文献1には、塵埃除去用のフィルタによって通気性の確保された試料搬送用容器を用い、電子線を描画する処置室にマスクを搬入するときには、正常に保たれた大気中においてマスクを試料搬送用容器内に収容し、この試料搬送用容器を予備室に搬入した後に予備室内を真空雰囲気まで排気し、その後に試料搬送容器からマスクを取り出して処置室に搬入する搬入搬出支援方法および搬入搬出支援装置に関する技術が開示されている。
【0009】
また、マスクだけの環境を分離してマスクのクリーン度を保つという手法がある(特許文献2参照)。特許文献2には、露光装置のチャンバ内に、チャンバ環境とは分離してマスクの環境を管理可能な基板保管部を備えた技術が開示されている。
【0010】
また、半導体ウエハの加工に関しては、真空のボックス(以下、真空ポッドと称する)を使った手法がある(特許文献3参照)。特許文献3には、移動自在な真空度1Torr以下の真空ポッドの移送口と真空チャンバの移送口相互を気密に結合した状態でウエハ等の被搬送物を移し変える技術が開示されている。
【0011】
【特許文献1】
特許第3320628号
【特許文献2】
特開2001−76998号公報
【特許文献3】
特許第2525284号
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の技術では、電子線露光装置単体で考えた場合には、マスクは非常にクリーンな状態を保てるが、その他の検査装置や洗浄装置に送った場合、それは達成できないこととなる。
【0013】
また、特許文献3に記載の手法では、その搬送方法のマスクへの適用、およびマスクを検査、洗浄する装置への適用はなされていない。また、この場合にも装置単体で考えた場合には、被搬送物は非常にクリーンな状態を保てるが、その他の検査装置や洗浄装置に送った場合、それは達成できないこととなる。
【0014】
以上のように、マスクが真空引きや大気開放に度々曝されることによるマスクへのダメージおよびパーティクルの付着の発生を防止するためには、マスクを用いて露光する電子線露光装置、マスクの検査装置および洗浄装置等、マスクが搬送される装置群においてマスクをクリーンに保つことができる露光システムを構築する必要がある。このことは、マスクを製造するマスク製造システムについても同様である。
【0015】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、露光装置だけでなく、マスクを検査および洗浄する複数の処理装置を含むシステム全体において、マスクが真空引きや大気開放に曝される回数を低減して、マスクへの汚染およびダメージを防止することができる露光システムおよびマスク製造システムを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の露光システムは、真空下において被露光対象にマスクのパターンを露光する露光装置と、前記マスクを検査および洗浄する複数の処理装置と、前記マスクを真空下において収容し、各装置間において前記マスクを収容した状態で搬送される真空容器とを有し、複数の前記処理装置のうち真空下で処理を行う前記処理装置と前記露光装置のそれぞれに、前記真空容器の搬出入口と前記各装置の搬出入口相互を気密に封止した状態で前記マスクを前記真空容器と前記装置との間で搬出入する搬出入手段が設けられている。
【0017】
上記の本発明の露光システムでは、複数の処理装置のうち真空下で処理を行う処理装置と露光装置のそれぞれに、真空容器の搬出入口と各装置の搬出入口相互を気密に封止した状態でマスクを真空容器と装置との間で搬出入する搬出入手段が設けられている。
従って、露光システム全体において、真空容器に収容した状態で、各装置間においてマスクの搬送が行われる。
【0018】
さらに、上記の目的を達成するため、本発明の露光システムは、真空下において被露光対象にマスクのパターンを露光する露光装置と、前記マスクを検査および洗浄する複数の処理装置と、各装置の搬出入口相互間において前記マスクを搬送する搬送手段とを有し、複数の前記処理装置のうち真空下で処理を行う前記処理装置および前記露光装置のそれぞれの搬出入口が、真空状態に保持された搬送経路により連結されており、前記搬送手段は、前記搬送経路内で前記各装置の搬出入口相互間において前記マスクを搬送する。
【0019】
上記の本発明の露光システムでは、複数の処理装置のうち真空下で処理を行う処理装置および露光装置のそれぞれの搬出入口が、真空状態に保持された搬送経路により連結されており、搬送手段は、搬送経路内で各装置の搬出入口相互間においてマスクを搬送する。
従って、露光システム全体において、真空下にある搬送経路を介してマスクの搬送が行われる。
【0020】
さらに、上記の目的を達成するため、本発明のマスク製造システムは、真空下においてマスクにパターンを露光する露光装置と、前記マスクを検査および洗浄する複数の処理装置と、前記マスクを真空下において収容し、各装置間において前記マスクを収容した状態で搬送される真空容器とを有し、複数の前記処理装置のうち真空下で処理を行う前記処理装置と前記露光装置のそれぞれに、前記真空容器の搬出入口と前記各装置の搬出入口相互を気密に封止した状態で前記マスクを前記真空容器と前記装置との間で搬出入する搬出入手段が設けられている。
【0021】
上記の本発明のマスク製造システムでは、複数の処理装置のうち真空下で処理を行う処理装置と露光装置のそれぞれに、真空容器の搬出入口と各装置の搬出入口相互を気密に封止した状態でマスクを真空容器と装置との間で搬出入する搬出入手段が設けられている。
従って、マスク製造システム全体において、真空容器に収容した状態で、各装置間においてマスクの搬送が行われる。
【0022】
さらに、上記の目的を達成するため、本発明のマスク製造システムは、真空下においてマスクにパターンを露光する露光装置と、前記マスクを検査および洗浄する複数の処理装置と、各装置の搬出入口相互間において前記マスクを搬送する搬送手段とを有し、複数の前記処理装置のうち真空下で処理を行う前記処理装置および前記露光装置のそれぞれの前記搬出入口が、真空状態に保持された搬送経路により連結されており、前記搬送手段は、前記搬送経路内で前記各装置の搬出入口相互間において前記マスクを搬送する。
【0023】
上記の本発明のマスク製造システムでは、複数の処理装置のうち真空下で処理を行う処理装置および露光装置のそれぞれの搬出入口が、真空状態に保持された搬送経路により連結されており、搬送手段は、搬送経路内で各装置の搬出入口相互間においてマスクを搬送する。
従って、マスク製造システム全体において、真空下にある搬送経路を介してマスクの搬送が行われる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の露光システムおよびマスク製造システムについて、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る露光システムの概略構成図である。
図1に示す露光システムは、ウエハにマスクのパターンを露光する電子線投影露光装置1と、測長SEM等からなるマスクのパターンの線幅を測定するマスク線幅測定装置2と、マスクに付着したコンタミネーションを除去するコンタミネーション除去装置3と、マスクに付着したパーティクルを除去するパーティクル除去装置4と、測長SEMによる線幅の測定や外観検査、あるいは電子線や光を用いてマスクのパターンの検査を行う欠陥検査装置5と、各装置1〜5間においてマスクを収容する真空ポッド10を搬送する搬送装置7とを有する。
【0026】
電子線投影露光装置1は、電子線をウエハに照射することによりウエハにマスクのパターンを露光する。例えば、電子線投影露光装置1は、近接転写リフソグラフィを実現する装置である。
【0027】
後述するように、本実施形態に係る露光システムでは、各装置1〜5には、マスクを真空ポッド10に入れた状態でマスクをハンドリングして各処理室へ送ることが可能な真空ポッドロード室が設置されている。
【0028】
図2は、真空ポッド10の構成の一例を示す図である。
図2に示す真空ポッド10は、ガラス等からなる観察用窓11を有し搬出入口を下方に向けた上部蓋12と、上部蓋12の搬出入口を蓋するように選択的に閉塞する下部蓋13とを有する。下部蓋13は2部構成を有しており、上部蓋12の搬出入口を蓋するように選択的に閉塞する第1下部蓋13aと、第1下部蓋13aの周囲に位置し、上部蓋12に固定された第2下部蓋13bとを有する。図2に示すように、第1下部蓋13aにより上部蓋12の搬出入口を閉塞した状態において、第1下部蓋13aと第2下部蓋13bの接合部分には、気密性を確保するために図示しないシールが設けられている。蓋12,13は、プラスチック製あるいはアルミニウム等の金属製のいずれでもよい。
【0029】
上部蓋12の内壁には、上部マスク抑えピン14が設けられており、第1下部蓋13aには下部マスク支持ピン15が設けられている。上部蓋12の搬出入口を閉塞した状態において、第1下部蓋13aの下部マスク支持ピン15に支持されたマスク100は、上部マスク抑えピン14と下部マスク支持ピン15とにより挟持される。
第1下部蓋13aの外側には、第2下部蓋13bに対して第1下部蓋13aをロック可能な下部蓋開閉用鍵爪16が設けられている。
【0030】
上部蓋12には、真空引きポート17およびバルブ18が連結されており、真空引きポート17を図示しない真空ポンプに接続することにより、真空ポッド10内が所定の圧力となるように真空排気される。例えば、真空ポッド10内は、1000Pa以下の圧力となるように真空排気される。
【0031】
上部蓋12には、ベントポート19およびバルブ20が連結されており、バルブ20の作用により、真空状態となった真空ポッド10内の圧力を外部雰囲気の圧力に戻す。
【0032】
図3は、真空ポッドに収容されるマスクの概略斜視図である。
図3に示すマスク100は、特に電子線投影露光や電子線近接露光に使用されるマスクであり、300nm〜2μm厚のSiC、Si、あるいはダイアモンド等で形成した薄いメンブレン101にパターンが形成され、当該メンブレン101の強度を補強する梁部102が格子状に配置されている。
【0033】
上記のメンブレン101に開口からなるパターンが形成されたマスクがステンシルであり、上記のメンブレン101にクロム膜等の散乱体膜が形成されたマスクがメンブレンマスクである。
【0034】
上述したように、本実施形態に係る露光システムでは、各装置1〜5には、マスク100を真空ポッド10に入れた状態で、各処理室に搬出入可能な真空ポッドロード室が設けられる。図4は、各装置1〜5の真空ポッドロード室の詳細な構成の一例を示す図である。
【0035】
図4に示すように、各装置1〜5は、各装置毎の処理を行う処理室31と、マスク100が収容された真空ポッド10からのマスクの搬出入を行う真空ポッドロード室32と、真空ポッドロード室32と処理室31との間でのマスクの搬送を行うマスク搬送室33とを有する。
【0036】
真空ポッドロード室32には、真空引きポート34、バルブ35を介して真空ポンプ36が接続されており、真空ポンプ36およびバルブ35の作用により、真空ポッドロード室32内を所定の圧力となるように真空排気する。例えば、真空ポッドロード室32内は、1000Pa以下の圧力となるように真空排気される。
【0037】
真空ポッドロード室32には、真空ポッド搭載部32aから真空ポッドロード室32内の間を移動可能なロードポート37が設けられている。ロードポート37は、真空ポッド10が搭載されていない状態では、真空ポッド搭載部32aの開口部を封止しており、真空ポッドロード室32内の気密を保っている。
【0038】
ロードポート37は、真空ポッド10の下部蓋開閉用鍵爪16と嵌め合わさって第1下部蓋13aのロックを解除する解除機構と、第1下部蓋13aとロードポート37を一体で保持するための例えばバキューム吸着等の保持機構を内蔵している。
【0039】
真空ポッドロード室32の下部には、真空ポッドロード室32内を気密に保った状態で、ロードポート37を上下方向に駆動する真空ポッド下蓋開閉機構駆動部38が設けられている。
【0040】
真空ポッドロード室32とマスク搬送室33は、ゲートバルブ39を介して連結されている。マスク搬送室33には、真空引きポート40、バルブ41を介して真空ポンプ42が接続されており、真空ポンプ42およびバルブ41の作用により、マスク搬送室33内を所定の圧力となるように真空排気する。例えば、マスク搬送室33内は、1000Pa以下の圧力となるように真空排気される。
【0041】
マスク搬送室33内には、ゲートバルブ39を介して真空ポッドロード室32内のロードポート37から処理室31へマスク100の搬送を行うマスク搬送ロボット43が設置されている。
【0042】
マスク搬送室33の下部には、マスク搬送室33内を気密に保った状態で、マスク搬送ロボット43を駆動する搬送ロボット駆動部44が設けられている。
【0043】
上記の真空ポッドロード室32内およびマスク搬送室33内の圧力は、処理室31内の圧力と実質的に同一となるように設定することが好ましい。これに伴い、上記の圧力と実質的に同一となるように真空ポッド10内の圧力を設定することが好ましい。これは、全ての圧力が同一であれば、マスクへの圧力変化が少なくなり、また、真空ポッドロード室32内において圧力変化のためのプロセスが不要となりその時間が短縮されるからである。
【0044】
上記の各装置1〜5では、マスク100が収容された真空ポッド10が真空ポッドロード室32のロードポート37に搭載されると、第1下部蓋13aとロードポート37とが気密に保持され、第1下部蓋13aのロックが解除される。これにより、第1下部蓋13aとロードポート37のそれぞれの外側に付着した異物等は、第1下部蓋13aとロードポート37の間に封止される。
【0045】
そして、真空ポッド下蓋開閉機構駆動部38によりロードポート37が下方へ駆動され、マスクを支持する第1下部蓋13aごと上部蓋12内から下方へ引き抜くことにより、マスク搬送ロボット43によるマスク100の搬送を可能な位置までマスクを移動させる。
【0046】
その後、ゲートバルブ39を介して搬送ロボット43により真空ポッドロード室32内のマスク100をハンドリングし、処理室31内へ搬送することにより、処理室31にセットされて、各装置1〜5毎の処理が行われる。各処理後の動作は、上記に説明したのと逆の動作が行われることにより、真空ポッド10内に再びマスク100が収容されて、搬送装置7により他の装置1〜5へマスク100を収容する真空ポッド10ごと搬送される。
【0047】
本実施形態に係るマスク露光システムにおけるマスクの使用フローを図5を参照して説明する。
【0048】
まず、真空ポッド10に収容されたマスク100は、真空引きや大気開放をすることなく、電子線投影露光装置1の処理室31に搬入されて、当該処理室31内で電子線を用いた露光がウエハに行われる(ステップST1)。マスク100は、電子線投影露光装置1が必要な度、何度でも処理室1内に搬入されてウエハへの露光に使用される。
【0049】
例えば数万ショットの露光を繰り返した場合、先に述べたコンタミネーションの付着のため、マスク100はコンタミネーションの除去のための洗浄が必要になる。あるいはマスク100が幾度となる搬送されると装置内に浮遊するパーティクルがマスク100に付着し、パーティクルの除去のための洗浄が必要になる。従って、露光した後には、マスク100の洗浄が必要か否かをモニタすべく、ウエハの転写パターンの線幅測定およびマスク100の線幅測定が行われる。
【0050】
すなわち、ウエハに転写パターンが形成されると、ウエハのパターンの測定が行われて、ウエハのパターンが良好と判定された場合には、マスク100は良好であるとして繰り返し露光に使用される(ステップST2)。ここで、ウエハのパターンが不良と判定された場合には、電子線投影露光装置1からマスク線幅測定装置2へとマスク100を真空ポッド10に入れた状態で搬送装置7により搬送される。
【0051】
マスク線幅装置2にも、上述したようにマスク100を真空ポッド10に入れた状態で処理室31に搬出入できる真空ポッドロード室32が設置されている。従って、真空ポッド10に収容されたマスク100が真空引きや大気開放サイクルに曝されることなく、マスク線幅測定装置2の処理室31に搬入されて、当該処理室31内で真空下においてマスクの線幅の測定が行われる(ステップST3)。
【0052】
測定されたマスクのパターン線幅が劣化している場合(ステップST3)には、マスク100は真空ポッド10に戻されて真空ポッド10ごとコンタミネーション除去装置3へ搬送装置7により搬送される。
【0053】
コンタミネーション除去装置3にも、上述したようにマスク100を真空ポッド10に入れた状態で処理室31に搬出入できる真空ポッドロード室32が設置されている。従って、コンタミネーション除去装置3の処理室31でのコンタミネーション除去を真空下において行う手法を採用することにより、真空ポッド10に収容されたマスク100が真空引きや大気開放サイクルに曝されることなく、コンタミネーションが除去される(ステップST4)。
【0054】
ステップ3において測定されたマスクのパターン線幅自体に問題ない場合、およびステップ4のコンタミネーション除去後に、マスク100は真空ポッド10に戻されて真空ポッド10ごとパーティクル除去装置4へ搬送装置7により搬送される。
【0055】
パーティクル除去装置4にも、上述したようにマスク100を真空ポッド10に入れた状態で処理室31に搬出入できる真空ポッドロード室32が設置されている。従って、パーティクル除去装置4の処理室31でのパーティクル除去を減圧下において行う手法を採用することにより、真空ポッド10に収容されたマスク100が真空引きや大気開放サイクルに曝されることなく、パーティクルが除去される(ステップST5)。
【0056】
マスクが洗浄された後は、マスクの所望の洗浄が行われたか、あるいは新たな欠陥の原因がマスク上に発生していないかを検査する必要がある。従って、パーティクル除去後、マスク100は真空ポッド10に戻されて真空ポッド10ごと欠陥検査装置5へ搬送装置7により搬送される。
【0057】
欠陥検査装置5にも、上述したようにマスク100を真空ポッド10に入れた状態で処理室31に搬出入できる真空ポッドロード室32が設置されている。従って、欠陥検査装置5の処理室31において、真空下でSEMによる線幅の測定や外観検査、あるいは電子線や光を利用した検査をすることにより、真空ポッド10に収容されたマスク100が真空引きや大気開放サイクルに曝されることなく、検査が行われる(ステップST6)。
【0058】
欠陥検査によりパーティクルの存在が確認された場合には、同様にしてマスク100は真空ポッド10に戻されて真空ポッド10ごとパーティクル除去装置4に搬送されて、再びパーティクルが除去される。
【0059】
欠陥検査によりマスクが良好と判定された場合には、マスク100は真空ポッドに戻されて真空ポッド10ごと電子線投影露光装置1に搬送されて、再び電子線投影露光に使用されることとなる。
【0060】
上述したように、本実施形態に係る露光システムにおけるマスクの使用フローでは、図5のステップST1〜ST6の全ての工程が、真空ポッドを使用する工程VPとなっており、マスクは装置外の環境とは真空ポッドにより常に遮断される。
【0061】
上記の本実施形態に係る露光システムの効果について、比較例を参照して説明する。図6は、ポッドを使用しないマスクの使用フロー図であり、図7は、常圧ポッドを使用したマスクの使用フロー図であり、図8は、電子線投影露光装置のみ真空ポッドを採用したマスクの使用フロー図である。
【0062】
図7に示す常圧ポッドを使用したマスクの使用フローでは、図6に示す常圧ポッドを使用しない場合に比べてマスクは装置外の環境とは常圧ポッドにより常に遮断されており、パーティクルの付着の可能性は低減する。しかし、通常真空下において処理が行われる電子線投影露光工程(ステップST1)、マスク線幅測定工程(ステップST3)、欠陥検査工程(ステップST6)において、マスクは、真空引き、大気開放のサイクルVAの下におかれる。そのサイクルVAでは、非常にパーティクルの巻き上げ、付着が発生しやすい。
【0063】
図8に示すマスクの使用フローでは、電子線投影露光工程(ステップST1)のみが真空ポッドを使用する工程VPとなるため、マスクは装置外の環境とは真空ポッドにより常に遮断されているためパーティクルの付着の可能性は減り、かつ、マスクは真空状態におかれているので、マスクが真空引き、大気開放のサイクルを通過することはない。従って、パーティクルの付着の可能性は低くなる。また、真空ポッド内は予め真空になっているためマスクの装置内への搬送の度に真空ポッドロード室内での真空引き、大気開放のプロセスが必要でなくその時間を短縮することができる。
【0064】
しかし、この場合には、電子線投影露光(ステップST1)後、マスク線幅測定(ST3)の前、および欠陥検査(ステップST6)後、電子線投影露光(ステップST1)の前に、マスクを真空ポッドから常圧ポッドへあるいはその逆へと入れ替える工程(STP)が生じる。真空ポッドから常圧ポッドに入れ換えた後、さらに真空下においてマスク線幅測定工程(ステップST3)および欠陥検査(ステップST6)を行うことから、当該工程(ステップST3,ST6)においては、マスクが真空引き、大気開放のサイクルVA下におかれる。従って、そのサイクルVAでは、非常にパーティクルの巻き上げ、付着が発生しやすい。
【0065】
これに対し、本実施形態では、全ての工程が、真空ポッドを使用する工程VPとなっており、マスクは装置外の環境とは真空ポッドにより常に遮断されることから、パーティクルの付着の可能性が低減し、かつマスクは真空状態におかれているので、マスクが真空引き、大気開放のサイクルを通過することはない。
従って、パーティクルの付着の可能性は低くなる。また、真空ポッド10内は予め真空になっているためマスクの装置内への搬送の度に真空ポッドロード室32内での真空引き、大気開放のプロセスが必要でなくその時間を短縮することができる。さらにそうすることによって、マスク自体が曝される大気と真空の圧力変化の回数が大幅に削減され、その際に受ける物理的ダメージも低減でき、マスクが破損する確率も低くなる。
【0066】
次に、本実施形態に係る露光システムのマスクの使用フローおよび比較例におけるマスクの使用フローにおいて、マスクがおかれている環境の圧力変化について、図9〜図10を参照して説明する。
【0067】
図6および図7に示すマスク使用フローにおいては、図9(a)に示すように、マスクは、通常真空下において処理が行われる電子線投影露光工程(ST1)、マスク線幅測定工程(ST3)、欠陥検査工程(ST6)では真空の圧力下に曝され、通常大気圧下において処理が行われるコンタミネーション除去工程(ST4)、パーティクル除去工程(ST5)では大気圧下に曝されることから、圧力変化が多く発生し、上記したようにパーティクルの付着や物理的ダメージの可能性が高い。なお、電子線投影露光工程(ST1)では、使用および保管のたびにマスクが真空下および大気圧下に曝される様子を示している。
【0068】
図8に示すマスク使用フローにおいては、図9(b)に示すように、電子線投影露光工程(ST1)のときだけは圧力変化が無くなるため、上記の図9(a)に示した場合ほどパーティクルの付着や物理的ダメージの可能性が高くない。しかし、依然として、その他の工程において圧力変化が比較的多く発生することから、パーティクルの付着や物理的ダメージの防止について十分ではない。
【0069】
これに対して、本実施形態に係る露光システムのマスク使用フローにおいては、図10に示すように、電子線投影露光工程(ST1)、マスク線幅測定工程(ST3)、欠陥検査工程(ST6)においてマスクの環境の圧力変化が無くなる。また、コンタミネーション除去工程(ST4)において、真空下において処理する手法を採用することにより、コンタミネーション除去工程(ST4)におけるマスクの環境の圧力変化が無くなる。通常、パーティクル除去工程(ST5)は、大気圧で洗浄処理するため当該工程において圧力変化が発生するが、全体として圧力変化の頻度が大幅に削減され、上記に示したパーティクルの付着や物理的ダメージの発生の可能性が極めて低くなる。ここで、さらにパーティクル除去を減圧下で処理できる装置を用いることにより、パーティクルの付着や物理的ダメージのさらなる低減が達成される。
【0070】
本発明は、上記の実施形態の説明に限定されない。
本実施形態では、マスクを真空ポッドに収納してマスクを搬送する例について説明したが、マスクを真空ポッドに収納しなくても、図11に示すように、電子線投影露光装置1、マスク線幅測定装置2、コンタミネーション除去装置3、パーティクル除去装置4、欠陥検査装置5の搬出入口を真空状態に保持された真空トンネル(搬送経路)6により連結し、搬送装置7が真空トンネル6内で各装置1〜5の搬出入口相互間においてマスクを搬送するようにしてもよい。
【0071】
また、本実施形態においては、マスク露光システムの一例について説明したが、マスク製造システムについても同様に適用可能である。この場合には、電子線投影露光装置1を電子線直接描画装置とし、他の装置2〜5もマスク製造に必要な他の測定および検査装置、洗浄装置に置き換えればよい。なお、電子線近接等倍露光方式の場合には、親マスクを用いて電子線投影露光装置により子マスクを作製できるため、同様に適用可能である。
【0072】
また、電子線投影露光装置以外の装置2〜5については、特に限定はなく、マスク露光システムおよびマスク製造システムにおいて必要な他の装置を設置することもできる。この場合にも、当該装置に、マスクを真空ポッドに入れた状態で、処理室内に搬出入できる真空ポッドロード室を設ければよい。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、露光装置だけでなく、マスクを検査および洗浄する複数の処理装置を含むシステム全体において、マスクが真空引きや大気開放に曝される回数を低減して、マスクへの汚染およびダメージを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る露光システムおよびマスク製造システムの概略構成図である。
【図2】真空ポッドの構成の一例を示す図である。
【図3】真空ポッドに収容されるマスクの概略斜視図である。
【図4】各装置の真空ポッドロード室の詳細な構成の一例を示す図である。
【図5】本実施形態に係るマスク露光システムにおけるマスクの使用フロー図である。
【図6】比較例におけるポッドを使用しないマスクの使用フロー図である。
【図7】比較例における常圧ポッドを使用したマスクの使用フロー図である。
【図8】比較例における電子線投影露光装置のみ真空ポッドを採用したマスクの使用フロー図である。
【図9】(a)は、図6および図7に示すマスクの使用フローにおいて、マスクがおかれている環境の圧力変化を説明するための図であり、(b)は、図8に示すマスクの使用フローにおいて、マスクがおかれている環境の圧力変化を説明するための図である。
【図10】本実施形態に係る露光システムにおけるマスクの使用フローにおいて、マスクがおかれている環境の圧力変化を説明するための図である。
【図11】本実施形態に係る露光システムおよびマスク製造システムの他の例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1…電子線投影露光装置、2…マスク線幅測定装置、3…コンタミネーション除去装置、4…パーティクル除去装置、5…欠陥検査装置、6…真空トンネル、7…搬送装置、10…真空ポッド、11…観察用窓、12…上部蓋、13…下部蓋、13a…第1下部蓋、13b…第2下部蓋、14…上部マスク抑えピン、15…下部マスク支持ピン、16…下部蓋開用鍵爪、17…真空引きポート、18…バルブ、19…ベントポート、20…バルブ、31…処理室、32…真空ポッドロード室、33…マスク搬送室、34…真空引きポート、35…バルブ、36…真空ポンプ、37…ロードポート、38…真空ポッド下蓋開閉機構駆動部、39…ゲートバルブ、40…真空引きポート、41…バルブ、42…真空ポンプ、43…マスク搬送ロボット、44…搬送ロボット駆動部、100…マスク、101…メンブレン、102…梁部。
Claims (10)
- 真空下において被露光対象にマスクのパターンを露光する露光装置と、
前記マスクを検査および洗浄する複数の処理装置と、
前記マスクを真空下において収容し、各装置間において前記マスクを収容した状態で搬送される真空容器とを有し、
複数の前記処理装置のうち真空下で処理を行う前記処理装置と前記露光装置のそれぞれに、前記真空容器の搬出入口と前記各装置の搬出入口相互を気密に封止した状態で前記マスクを前記真空容器と前記装置との間で搬出入する搬出入手段が設けられている
露光システム。 - 複数の前記処理装置のうち真空下で処理を行う前記処理装置の処理圧力、前記露光装置の処理圧力、および前記真空容器内の圧力が実質的に同一に規定されている
請求項1記載の露光システム。 - 前記露光装置は、真空下において荷電粒子線を照射することにより前記被露光対象に前記マスクのパターンを露光し、
前記マスクは、前記荷電粒子線を用いた露光用のマスクである
請求項1記載の露光システム。 - 真空下において被露光対象にマスクのパターンを露光する露光装置と、
前記マスクを検査および洗浄する複数の処理装置と、
各装置の搬出入口相互間において前記マスクを搬送する搬送手段とを有し、
複数の前記処理装置のうち真空下で処理を行う前記処理装置および前記露光装置のそれぞれの搬出入口が、真空状態に保持された搬送経路により連結されており、
前記搬送手段は、前記搬送経路内で前記各装置の搬出入口相互間において前記マスクを搬送する
露光システム。 - 前記露光装置は、真空下において荷電粒子線を照射することにより前記被露光対象に前記マスクのパターンを露光し、
前記マスクは、前記荷電粒子線を用いた露光用のマスクである
請求項4記載の露光システム。 - 真空下においてマスクにパターンを露光する露光装置と、
前記マスクを検査および洗浄する複数の処理装置と、
前記マスクを真空下において収容し、各装置間において前記マスクを収容した状態で搬送される真空容器とを有し、
複数の前記処理装置のうち真空下で処理を行う前記処理装置と前記露光装置のそれぞれに、前記真空容器の搬出入口と前記各装置の搬出入口相互を気密に封止した状態で前記マスクを前記真空容器と前記装置との間で搬出入する搬出入手段が設けられている
マスク製造システム。 - 複数の前記処理装置のうち真空下で処理を行う前記処理装置の処理圧力、前記露光装置の処理圧力、および前記真空容器内の圧力が実質的に同一に規定されている
請求項6記載のマスク製造システム。 - 前記露光装置は、真空下において荷電粒子線を照射することにより前記マスクにパターンを露光し、
前記マスクは、荷電粒子線を用いた露光用のマスクである
請求項6記載のマスク製造システム。 - 真空下においてマスクにパターンを露光する露光装置と、
前記マスクを検査および洗浄する複数の処理装置と、
各装置の搬出入口相互間において前記マスクを搬送する搬送手段とを有し、
複数の前記処理装置のうち真空下で処理を行う前記処理装置および前記露光装置のそれぞれの前記搬出入口が、真空状態に保持された搬送経路により連結されており、
前記搬送手段は、前記搬送経路内で前記各装置の搬出入口相互間において前記マスクを搬送する
マスク製造システム。 - 前記露光装置は、真空下において荷電粒子線を照射することにより前記マスクにパターンを露光し、
前記マスクは、荷電粒子線を用いた露光用のマスクである
請求項9記載のマスク製造システム。
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JP2003002485A JP2004214562A (ja) | 2003-01-08 | 2003-01-08 | 露光システムおよびマスク製造システム |
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JP2003002485A JP2004214562A (ja) | 2003-01-08 | 2003-01-08 | 露光システムおよびマスク製造システム |
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JP (1) | JP2004214562A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011075683A (ja) * | 2009-09-29 | 2011-04-14 | Toppan Printing Co Ltd | フォトマスク製造装置及び製造方法並びにフォトマスク |
CN116525508A (zh) * | 2023-05-23 | 2023-08-01 | 乐孜芯创半导体设备(上海)有限公司 | 一种密闭式晶圆盒装载口及其气体置换方法 |
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2003
- 2003-01-08 JP JP2003002485A patent/JP2004214562A/ja active Pending
Cited By (3)
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JP2011075683A (ja) * | 2009-09-29 | 2011-04-14 | Toppan Printing Co Ltd | フォトマスク製造装置及び製造方法並びにフォトマスク |
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CN116525508B (zh) * | 2023-05-23 | 2024-03-26 | 乐孜芯创半导体设备(上海)有限公司 | 一种密闭式晶圆盒装载口及其气体置换方法 |
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