JPWO2002052345A1 - マスク浄化方法及び装置、並びにデバイス製造システム - Google Patents
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Abstract
露光本体部に対して悪影響を与えることなくレチクルを効率的に洗浄し、洗浄後のレチクルを汚染させることなく露光本体部に搬送できるマスク浄化方法及び装置である。通常のケース(3)中のレチクル(R)がパージガス置換室(24)内に搬送されて、その周囲の雰囲気が露光ビームに対して高透過率のパージガスで置換されるとともに、紫外線光源(27)からの紫外線によって光洗浄が行われる。続いてレチクル(R)は装填室(35)に搬送されて、そこでパージガスの雰囲気のもとでクリーンケース(8)内に気密状態で装填される。クリーンケース(8)内に装填されたレチクル(R)が露光本体部に搬送される。
Description
技術分野
本発明は、例えば半導体素子、撮像素子(CCD等)、液晶表示素子、又は薄膜磁気ヘッド等の各種デバイスを製造するためのフォトリソグラフィ工程中で、原版パターンの形成されたマスクを洗浄するために使用されるマスク浄化方法及び装置に関する。更に本発明は、そのマスク浄化装置を備えたデバイス製造システムに関する。
背景技術
半導体集積回路、液晶ディスプレイ等の電子デバイスの微細パターンを形成するためのフォトリソグラフィ工程では、形成すべきパターンを4〜5倍程度に比例拡大して描画したマスクとしてのレチクル(又はフォトマスク等)のパターンを、一括露光方式又は走査露光方式の露光装置を用いて被露光基板としてのウエハ(又はガラスプレート等)上に縮小転写する方法が用いられている。
その微細パターンの転写のために使用される露光装置において、レチクル上のパターンに、塵や化学的汚染物等の異物が付着すると、その部分のパターンの透過率が低下し、ウエハへのパターン誤転写の原因となる。そこで、そのような異物の付着を防止するために、従来より一般にレチクルのパターン面は、ペリクルと呼ばれる厚さ1μm程度の防塵膜で覆われていた。ペリクルは、ペリクルフレームと呼ばれる金属製の枠を介して、レチクルのパターン面から5〜7mm程度離れた位置に張設されていた。
また、露光装置においては、半導体集積回路の微細化に対応するために、その露光波長がより短波長側にシフトして来ている。現在、その露光波長はKrFエキシマレーザの248nmが主流となっているが、より短波長の実質的に真空紫外域(VUV:Vacuum Ultraviolet)とみなすことができるArFエキシマレーザの193nmも実用化段階に入りつつある。そして、更に短い波長157nmのF2レーザや、波長126nmのAr2レーザ等の真空紫外域の露光光源を使用する投影露光装置の提案も行なわれている。
この真空紫外域の光は、露光波長が200〜400nm程度の従来の露光装置に対して、露光光の光路上に存在していた多くの気体、例えば酸素、水蒸気、二酸化炭素、及び炭化水素ガス(有機系ガス)等の気体(以下、「吸収性ガス」と称する。)による吸収が極めて大きい。そのため、真空紫外光を用いる投影露光装置では、露光光の光路から吸収性ガスを排除するために、その光路の気体を露光光に対して比較的吸収の少ない窒素や希ガス等の気体(以下、「低吸収性ガス」と称する。)で置換する必要がある。低吸収性ガスのうちで実際に光路上の気体を置換するために使用される気体は、「パージガス」と呼ばれている。吸収性ガスの許容残留濃度に関して、例えば有機系ガスについては、光路中の平均濃度を数ppm以下程度に抑える必要がある。これは、真空紫外域では最も長いArFエキシマレーザ(波長193nm)でも同様である。
上記の如く従来よりレチクルのパターン面を保護するためにペリクルが使用されている。この場合、レチクル、ペリクルフレーム、及びペリクルによって囲まれた空間(以下、「ペリクル空間」と称する。)は、気圧差によるペリクルの変形を防止するための小さい通気孔を除いて、外気とはほぼ隔離された高い気密性を持つ空間である。このペリクル空間内には、そのペリクルを張設する工程の雰囲気中の空気、例えば酸素、水蒸気、及び有機系ガス等の吸収性ガスが残留している。
しかしながら、露光光が真空紫外域中の例えばF2レーザ(波長157nm)の場合には、酸素による吸収が極めて大きいため、ペリクル空間中のわずか数mmの光路においても、残留している酸素による吸収(減光)が極めて大きい。更に、通常の保管状態で保管されたレチクルには有機物や水が或る程度は付着しており、それらの付着物の吸収により、真空紫外域の露光光に対するレチクルの透過率は大きく低下してしまう恐れがある。
これらの対策として、レチクルを使用した露光に先立って、露光装置内で、上記のペリクル空間内のガス置換やレチクルの光洗浄を行なうことも可能ではあるが、ガス置換動作に伴なって発生する振動や、光洗浄用の光源から発生する熱は、露光装置の各種性能を低下させるという不都合がある。また、露光装置がレチクルの洗浄処理を行うことによって露光処理能力が低下して、半導体デバイス等を生産する工程全体としてのスループットが低下する恐れもある。
本発明は斯かる点に鑑み、マスクのパターンをウエハ上に転写する露光本体部に対して悪影響を与えることなく、マスクを効率的に洗浄して、マスクの透過率を高く維持できるマスク浄化技術を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、ペリクルのような防塵部材の設けられたマスクを使用する場合に、露光光に対する透過率の低下を防止できるマスク浄化技術を提供することを第2の目的とする。
発明の開示
本発明によるマスク浄化方法は、パターン面を覆うように防塵部材(1)が取り付けられるとともに、露光時に所定の露光ビームが照射されるマスク(R)を洗浄するためのマスク浄化方法において、そのマスクを囲む所定範囲の空間内の気体をその露光ビームを透過する気体で置換する第1ステップと、そのマスクを紫外線で光洗浄する第2ステップと、その露光ビームを透過する気体が充填され、かつ気密性を有するケース(8)内にそのマスクを密閉状態で装填する第3ステップとを有するものである。
斯かる本発明によれば、マスクに対する紫外線照射によって、そのマスクやその防塵部材(ペリクル等)の表面に付着していた有機物や水が分解されて除去される。また、そのマスク周辺の雰囲気がその露光ビームを透過する気体(パージガス)で置換されるため、マスク表面に対する有機物や水等の付着が抑制され、露光ビームに対するマスクの透過率を向上させることができる。更に、浄化後のマスクは、そのケース内に収納して透過率を高く維持した状態で搬送できるため、その浄化動作を露光本体部とは別の場所で効率的に行うことができる。
この場合、その第1ステップにおいて、そのマスク、その防塵部材、及びこの防塵部材の支持枠で囲まれて実質的に密閉された空間の内部を、その露光ビームを透過する気体で置換することが望ましい。これによって、露光ビームに対する透過率が更に向上する。
また、マスクの周囲に酸素があると光洗浄の効率が向上する場合があるため、更にはマスクの浄化時間を短縮するために、その第1及び第2ステップを実質的に同時に(並行して)実行することが望ましい。又は、その第2ステップをその第1ステップの前に実行してもよい。
次に、本発明によるマスク浄化装置は、パターン面を覆うように防塵部材(1)が取り付けられるとともに、露光時に所定の露光ビームが照射されるマスク(R)を洗浄するためのマスク浄化装置において、そのマスクを囲む所定範囲の空間(24)内の気体をその露光ビームを透過する気体で置換する気体置換機構(42,43,45A,46A)と、そのマスクを光洗浄するための紫外線照射装置(27)と、その露光ビームを透過する気体が充填され、かつ気密性を有するケース(8)内にそのマスクを密閉状態で装填する装填機構(35,36,37A,37B,38A,38B)とを有するものである。
この発明によって、本発明のマスク浄化方法を実施することができる。
この場合、その紫外線照射装置と、その気体置換機構とを少なくとも部分的に一体化して、その気体置換機構とその装填機構との間に、そのマスクを搬送する搬送系(32,33)を設けることが望ましい。これによって、浄化装置を全体として小型化できるとともに、浄化に要する時間を短縮できる。
また、その気体置換機構は、一例としてそのマスクを収納する気密室(24)と、この気密室内を減圧する減圧機構(42,45A)とを有するものである。
また、その気体置換機構は、別の例としてそのマスクを収納する気密室(24)と、この気密室内の気体の排気、及びこの気密室に対するその露光ビームを透過する気体の供給をフロー制御で行う給排気機構(42,43,45A,46A)とを有するものである。前者のように減圧機構を用いる場合には、短時間に気体の置換を行うことができる。一方、後者のようにフロー制御を用いる場合には、例えば防塵部材の強度が低いような場合でも、防塵部材を変形させることなく気体の置換を行うことができる。
また、その防塵部材(1)がそのマスク(R)に対して支持枠(2)を介して固定されているときに、その気体置換機構は、そのマスク、その防塵部材、及びその支持枠で囲まれた密閉空間の内部をもその露光ビームを透過する気体で置換することが望ましい。この状態のマスクを露光装置にロードした場合には、その密閉空間の内部でも露光ビームの吸収がないため、露光対象の基板上での照度を高めることができる。
また、その気体置換機構は、さらにそのパターン面とその防塵部材との間の空間内の気体をその露光ビームを透過する気体で置換することが望ましい。これによって、露光ビームに対する透過率が向上する。
また、その防塵部材を保持すると共に、そのパターン面に取り付けられるフレーム(2)を有する場合、その気体置換機構は、そのフレームに形成された通気孔(2a,2b)を介して、そのパターン面とその防塵部材との間の空間をその露光ビームを透過する気体で置換するようにしてもよい。このように通気孔を活用することで、そのフレームに特別の加工を施す必要がない。
次に、本発明によるデバイス製造システムは、デバイスパターン(R1,R2)をワークピース(W1,W2)上に形成するデバイス製造システムにおいて、本発明の何れかのマスク浄化装置(64)と、そのデバイスパターンの像をそのワークピース上に転写する露光装置本体(68A〜68C)と、そのマスク浄化装置とその露光装置本体との間で、そのマスク浄化装置で洗浄が行われたマスクを搬送する搬送装置(65〜67)とを有するものである。
本発明のマスク浄化装置を用いることによって、露光装置本体では、露光ビームに対する透過率を高く維持して、各種のデバイスパターンを効率的にワークピース上に転写することができ、各種デバイスを高いスループットで量産することができる。
この場合、その露光装置本体は、そのマスク洗浄装置でケース(8A,8B)内に装填されたそのマスクを取り出すマスク取り出し機構(73)を有することが望ましい。これによって、マスクの受け渡しを円滑に行うことができる。
また、そのマスク浄化装置は、複数のその露光装置本体の間で共用されることが望ましい。これによって、マスク浄化装置の稼動率を高めることができる。
次に、本発明のデバイス製造方法は、デバイスパターンをワークピース(W)上に形成するデバイス製造方法において、本発明の何れかのマスク浄化方法を用いて、パターン面を覆うように防塵部材(1)が取り付けられたマスク(R)を洗浄して気密性を有するケース(8)内に装填する第1ステップと、その洗浄が行われたマスクをそのケースに収納して露光本体部(68A)まで搬送する第2ステップと、その露光本体部にて、そのケースから取り出されたそのマスクを介して露光ビームで基板(W)を露光する第3ステップとを有するものである。
斯かる本発明によれば、例えば露光本体部とは別体のマスク浄化部で浄化されたマスクが、十分にクリーンで、且つ気体置換された気密性の高いケースに収納されて、露光本体部に搬送される。従って、露光本体部内にマスク浄化部(気体置換部、及び光洗浄部)を設置すること無く、十分な透過率を有するマスクを使用して半導体素子等のデバイスの回路パターンの転写が可能になる。
この場合、そのマスクを浄化するマスク浄化部を、複数個のその露光本体部に対して共用することが望ましい。これによって、生産ライン全体の設備を少なくすることができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の好ましい実施の形態の一例につき図面を参照して説明する。本例は、パターン面を保護するために、薄膜状のペリクル(防塵部材)が張設されるとともに、露光ビームとして真空紫外光が照射されるレチクル(マスク)のクリーニングを行うレチクル浄化装置に、本発明を適用したものである。本例のレチクル浄化装置は、一例として半導体デバイス等を製造するためのフォトリソグラフィ工程を実行する製造ライン中に、露光装置とは別置きで設置されるものである。
図1は、本例のレチクル浄化装置を示し、この図1において、大気環境下でレチクルストッカー(不図示)内に保管されている通常のケース3(レチクルケース)に格納されているマスクとしてのレチクルRが、露光光を透過する気体による置換及び光洗浄を受けて、気密化されたクリーンケース8(クリーンレチクルケース)内に装填され、このクリーンケース8がレチクルRを密閉して内蔵した状態で不図示の露光装置に搬送される。また、レチクルRには、パターン面を保護するために防塵部材としてのペリクル1が装着されている。
図2(A)は、その通常のケース3を示し、この図2(A)において、ケース3は、底板部4に対して2箇所の支点部7を軸として開閉自在に上蓋部5を連結することによって構成されており、底板部4上に4本の台座6(図2(A)ではその内の2本が現れている。以下同様。)を介してレチクルRが載置されている。レチクルRのパターン面(下面)には、矩形の枠状の金属製のペリクルフレーム2を介して厚さ1μm程度の薄膜のペリクル1が張設されている。なお、ペリクル1としては、例えばフッ化物結晶の厚さ300〜800μm程度の平板を使用することも可能である。ケース3は、上蓋部5を閉じた状態でも気密度はかなり低く、ケース3内の気体はほぼその周囲の気体と同じ気体である。そのため、ケース3は、レチクルを通常の大気と同じ雰囲気中のレチクルストッカー内に保管する際に、レチクルを個別に収納するために使用される。
図2(B)は、そのクリーンケース8を示す断面図であり、この図2(B)において、クリーンケース8は、中央に開口が形成された平板状のマウント部9の上面に、底面が開いた箱状の収容部10を固定し、更にそのマウント部9の底面に平板状の底板部11をつる巻ばね方式の2箇所のクランプ14A,14Bで押さえつけることによって構成され、底板部11上に4本の台座12を介してレチクルRが載置されている。この場合、マウント部9と収容部10とは内部の気密性を保つために、溶接、又は一体成形等によって固定されており、マウント部9とこのマウント部9に対して着脱可能な底板部11との間には、マウント部9に底板部11を取り付けた際の気密性を高めるためにOリング13(シール部材)が配置されている。また、マウント部9、収容部10、及び底板部11は、ステンレススチール又はアルミニウム等の金属のように、脱ガスが少なく内部の気密性を高く維持できる材料より形成されており、クランプ14A,14Bでマウント部9に底板部11を固定した状態で、クリーンケース8の内部は気密室となり、その内部のレチクルRは外気からほぼ完全に隔離された局所的な環境内に設置されていることになる。
なお、クランプ14A,14Bの機構は、ばね方式には限られず、例えば複数箇所でボルトによってマウント部9とそれに対して着脱される部材とを連結してもよく、永久磁石を用いてそれらを着脱可能に連結してもよく、更には可撓性を有する配管を介してマウント部9と真空ポンプとを連結し、真空吸着によってマウント部9とその部材とを連結してもよく、静電吸着や電磁石による吸着等によってマウント部9とその部材とを連結してもよい。
最近のフォトリソグラフィ工程では、クリーンルームや露光装置の全体を覆うチャンバのような広い空間の環境をクリーンに保つ技術とともに、所定枚数のウエハを搬送するためのウエハケースの内部のような局所的な環境をクリーンに維持する局所クリーン化環境(ミニ・エンバイロンメント:mini−environment)技術の重要性が認識されるようになっている。本例のクリーンケース8は気密性が高いため、その内部のレチクルRを囲む空間は、異物の付着が防止されている局所クリーン化環境と言うことができる。
また、最近は、例えばフォトリソグラフィ工程中の種々の装置間でのレチクルやウエハの受け渡しを標準化するために、レチクルやウエハを収納するケースを標準化する機械的インターフェース技術であるSMIF(Standard mechanical interface)技術が提案されている。そこで、本例のクリーンケース8としては、そのSMIF技術に基づいて標準化されたケース、例えばSMIF pod(商品名)を使用してもよい。
また、本例のレチクルRは、波長200nm程度以下の真空紫外光が露光光として使用されるが、そのような露光光の光路からは酸素、水蒸気、炭酸ガス(CO2等)、及び炭化水素系(有機物)の気体等の露光光に対して強い吸収率を持つ気体である「吸収性ガス」を排除する必要がある。一方、露光ビームを透過する気体、即ち本例では真空紫外域の露光光に対する吸収の少ない「低吸収性ガス」には、窒素及び希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン)、並びにそれらの混合気体がある。そして、本例のレチクルRが使用される露光装置においては、それらの低吸収性ガスの内から例えば必要とされる結像特性の安定性や運転コスト等に基づいて選択した「パージガス」によって、露光光の光路の気体が置換される。パージガスとしては、運転コストを低く抑えたい用途では例えば窒素が使用され、結像特性の安定性を重視する用途では例えばヘリウムが使用される。
これに関して、クリーンケース8内の気体が低吸収性ガスを含む通常の空気であるとすると、クリーンケース8を露光装置に搬送して、クリーンケース8からレチクルRを取り出す際に、クリーンケース8内の空気が露光光の光路上のパージガスに混入して、露光光の強度が低下する恐れがある。そこで、本例では、クリーンケース8の内部の気体も、レチクルRが使用される露光装置で供給されているパージガスで置換しておく。
更に、図2(B)において、レチクルR、ペリクル1、及びペリクルフレーム2で囲まれる空間(ペリクル空間)内は、露光光の光路としては短いが、その内部もパージガスで置換しておくことが望ましい。これに関して、ペリクル空間の内外気圧差に伴うペリクル1の変形や破損を防止するために、ペリクルフレーム2には極めて小さい通気孔2a,2bが設けられているため、本例では必要に応じてその通気孔2a,2bを通して、ペリクル空間内の気体をパージガスで置換することとする(詳細後述)。
図1に戻り、本例のレチクル浄化装置は、ケース3内のレチクルRを受け渡すための搬入側ローダ21と、気密性を有するハウジング23で囲まれて複数の気密室に仕切られた本体部と、その本体部内の複数の気密室から気体を排気する減圧機構としてのドライ型等の真空ポンプ42と、それらの気密室に上記のパージガスを供給するガスボンベ等からなるパージガス供給源43と、装置全体の動作を制御するコンピュータよりなる制御系41とを有している。また、ハウジング23内は、複数の気密室としてのパージガス置換室24、ランプ室26、ローダ室30、及びクリーンケースへの装填室35に分かれている。装填室35は、クリーンケース・インターフェースとも言うことができる。この場合、パージガス置換室24と外気との間は開閉自在のシャッタ28で仕切られ、パージガス置換室24とランプ室26との間には、光洗浄用の紫外光を通す蛍石(CaF2)等のフッ化物結晶よりなる窓部材25が設けられ、パージガス置換室24とローダ室30との間、及びローダ室30と装填室35との間はそれぞれ開閉自在のシャッタ31及び34によって仕切られている。これらのシャッタ28,31,34はレチクルRが通過するときにのみ開かれ、それ以外のときには気密性を保つために閉じている。
先ず、搬入側ローダ21は、ケース3内から不図示のロボットアームによって取り出されたレチクルR(ペリクル1が張設されている)の底面を吸着保持してパージガス置換室24内に搬送する2本のアームを備え、搬入側ローダ21のスライド移動、回転、及び上下動を行うための駆動部22も付設されている。パージガス置換室24内には、搬入されたレチクルを吸着等で保持する4箇所の保持機構29が配置され、ランプ室26内にはエキシマランプ等の紫外線光源27が設置されている。本例のランプ室26には、排気管及びパージガスの給気管は接続されていないが、紫外線の強度を高く維持するためには、ランプ室26にもパージガスの置換機構を設けることが望ましい。但し、紫外線光源27として、ArFエキシマランプ(波長193nm)のように、酸素による吸収がそれほど大きくない波長の光源を使用する場合には、そのパージガスの置換機構は持たせなくとも良い。
また、ローダ室30内には、パージガス置換室24内のレチクルRをクリーンケースへの装填室35に搬送するために、レチクルRの底面を吸着保持する2本のアームを持つ搬出側ローダ32が配置され、搬出側ローダ32のスライド移動、回転、及び上下動を行うための駆動部33も付設されている。そして、クリーンケースへの装填室35内には、クリーンケース8の底板部11を保持して上下に移動する上下動装置36が設置されている。また、装填室35の上部のハウジング23には、その底板部11を通すための開口35aが設けられており、その開口35aを覆って気密性を保つように、クリーンケース8のマウント部9及び収容部10が、2つのクランプ機構38A及び38Bによってハウジング23の上面に固定されている。本例では、装填室35及びクリーンケース8の収容部10で囲まれた空間が一つの気密室となっている。更に、装填室35の内面の開口35aの近傍に、クリーンケース8のマウント部9の2箇所のクランプ14A,14Bを外すためのクランプ解除機構37A及び37Bが設置されている。上下動装置36、クランプ解除機構37A,37B、及びクランプ機構38A,38B等から、レチクルをクリーンケース8内に装填する装填機構が構成されている。
この場合、図2(B)の閉じたクリーンケース8のマウント部9を装填室35の開口35aを覆うようにハウジング23に載置して、クランプ機構38A及び38Bでマウント部9を固定する。この際に、マウント部9とハウジング23との間の気密性を高めるために、ハウジング23の上面のマウント部9との接触部に凹部を形成し、この凹部にOリング(シール部材)を配置してもよい。その後、底板部11にほぼ接するように上下動装置36の先端部を上昇させてから、クランプ解除機構37A及び37Bによってクランプ14A,14Bを外すことによって、台座12を備えた底板部11をマウント部9から離して上下動装置36に受け渡すことができる。この状態から上下動装置36を降下させたのが図1の状態である。なお、上記の搬入側ローダ21、紫外線光源27、搬出側ローダ32、クリーンケースへの装填機構、及びシャッタ28,31,34等の動作は制御系41によって制御されている。
また、パージガス置換室24、ローダ室30、及び装填室35と真空ポンプ42とは、それぞれ電磁的に開閉自在のバルブが設けられた排気管45A,45B,45Cを介して接続され、パージガス置換室24、ローダ室30、及び装填室35とパージガス供給源43とは、それぞれ電磁的に開閉自在のバルブが設けられた給気管46A,46B,46Cを介して接続されている。真空ポンプ42には、各気密室から排気した気体を工場の排気ガス処理施設(不図示)に送るための配管46も接続されている。真空ポンプ42、パージガス供給源43、排気管45A〜45C、及び給気管46A〜46C等から気体置換機構が構成されている。更に、パージガス置換室24、ローダ室30、及び装填室35内にはそれぞれ吸収性ガス等の不純物の残留濃度を計測する気体センサ44A,44B,44Cが配置され、これらの気体センサ44A〜44Cによって計測される不純物の濃度情報が制御系41に供給されている。その不純物として酸素濃度を計測する場合には、気体センサ44A〜44Cとして例えばガルバニ電池式(galvanic cell)の酸素濃度計を使用することができる。
制御系41は、3つの気密室(パージガス置換室24、ローダ室30、及び装填室35)内の気体をパージガスで置換する際には、真空ポンプ42を介して対応する気密室内の気体を排気するとともに、その気密室内にパージガス供給源43からパージガスを供給する。この動作は、気体センサ44A〜44Cによって計測される不純物濃度が予め定められた許容レベル以下になるまで行われる。なお、そのパージガスの置換動作は、真空ポンプ42(減圧機構)によって対応する気密室内を大気圧よりも大きく減圧させて排気してからパージガスを供給する減圧方式と、真空ポンプ42及びパージガス供給源43(給排気機構)によって大気圧程度の気圧でほぼ連続的に排気及びパージガスの供給を行う(排気量と給気量とをほぼ等しくする)フロー制御方式との何れの方式で行ってもよい。減圧方式は、例えば本例のレチクル浄化装置の稼働開始直後に、各気密室内の空気を短時間にパージガスで置換するために使用することができる。また、減圧方式では、レチクルRに張設されたペリクル1が変形する恐れがあるが、ペリクルフレーム2に設けられた通気孔2a,2b(図2(B)参照)を通過する気体の流量に応じて、予めペリクル1が殆ど変形しない排気速度を求めておき、この排気速度以下で減圧を行えばよい。
次に、本例のレチクル浄化装置の全体の動作の一例につき説明する。図1において、ケース3内のペリクル1が装着されたレチクルRは、搬入側ローダ21を介してパージガス置換室24内に搬入されて、保持機構29上の位置P1に保持される。この状態で、シャッタ28及び31が閉じられて、真空ポンプ42及びパージガス供給源43によって、パージガス置換室24内の気体がパージガスに置換される。更に、紫外線光源27の発光が開始されて、紫外線光源27からの紫外線LによってレチクルRの光洗浄が行われる。
通常の大気環境で保管されていたレチクルRには、有機物及び水等の異物が付着している。そこで、エキシマランプ等の紫外線光源27からの紫外線を照射して、それらの異物を気化させて除去している。なお、浄化すべきレチクルRの新規搬入時(交換時)には、パージガス置換室24は大気に開放されて汚染されるので、大気に開放されるエリアを最小限に抑えるために、紫外線光源27は、パージガス置換室24とは別のランプ室26に配置されている。
また、上記の紫外線照射による光洗浄は、或る程度酸素が存在する環境下で行なった方が効率が良い。これは、紫外線照射によって酸素からオゾンが発生し、そのオゾンによって有機物の分解が促進されるためである。従って、その光洗浄は、そのパージガス置換室24内のパージガスによる置換が完全に終了してから行なうのではなく、パージガスの置換動作中に、それと並行して(実質的に同時に)行なうことが望ましい。また、パージガス置換室24内にレチクルRが搬入されたのと同時に紫外線照射を開始してから、パージガスによる置換を行うようにしてもよい。
以上の工程により浄化された後にシャッタ31が開かれ、レチクルRは搬出側ローダ32によって、パージガス置換室24からローダ室30内に搬送される。続いてシャッタ31を閉じ、シャッタ34を開いてから、レチクルRは搬出側ローダ32によって、装填室35(クリーンケース・インターフェース)内の底板部11(クリーンケース8の一部)の台座12上の位置P2に載置される。その底板部11は、装填機構の一部である上下動装置36の上に保持されている。続いてシャッタ34が閉じられて、装填室35及びクリーンケース8の収容部10によって囲まれた空間、即ちレチクルRが収容されている空間は密閉された空間となり、その空間内の不純物濃度が許容レベル以下になるまで、真空ポンプ42及びパージガス供給源43によるパージガスの置換が行われる。
その後、上下動装置36を上昇させて、底板部11がマウント部9の底面に接触した状態で、クランプ解除機構37A,37Bがクランプ14A,14Bを元の状態に戻すことで、図2(B)に示すように、気密化されたクリーンケース8内のパージガスの雰囲気中にレチクルRが保持される。これで、本例のレチクル浄化装置によるレチクルRの浄化工程は終了する。
このように本例のレチクル浄化装置を用いた浄化動作によれば、ペリクル1が装着されたレチクルRの周囲の雰囲気のパージガスによる置換、レチクルRの光洗浄、及びレチクルRのクリーンケース8内へのパージガス雰囲気での装填を効率的に実行することができる。また、本例のレチクル浄化装置は、ペリクル1が装着されたレチクルRのみならず、ペリクルが装着されていないレチクルの浄化を行う場合にも適用できることは明らかである。
なお、図1のローダ室30においてもパージガスによる置換が行われているが、ローダ室30は、通常の使用条件下においては大気に開放されることが無いため、パージガスによる置換を行なう頻度は少なくて良い。それに対して、クリーンケース8の装填室35への着脱時には(正確にはクリーンケース8が装着されていない状態では)、装填室35は大気に開放されるため、クリーンケース8のマウント部9の装着後で底板部11のクランプ14A,14Bを外す前に、装填室35内をパージガスで置換する必要のあることは言うまでもない。そして、パージガスの置換後に、底板部11を下降させてシャッタ34を開いて、レチクルRを装填室35内に搬入することになる。
なお、上記の実施の形態では、通常のケース3に格納されているレチクルRをレチクル浄化装置に搬送する構成を説明したが、本発明はこの構成に限られるものではない。例えば、ケース3に格納されていないレチクルRをレチクル浄化装置に搬送して、このレチクルRを浄化してもよい。その他に、クリーンケースに格納されたレチクルRをレチクル浄化装置に搬送し、そこでレチクルRを浄化した後、浄化後のレチクルRを再びクリーンケースに戻す構成であってもよい。
次に、レチクルR、ペリクル1、及びペリクルフレーム2で囲まれたペリクル空間内をパージガスで置換する局所置換機構の一例につき図3を参照して説明する。その局所置換機構は、図1のパージガス置換室24内の保持機構29の周囲に設けられるものであり、本例ではレチクルRの周囲の雰囲気をパージガスで置換する動作と並行して、そのペリクル空間内の気体がパージガスで置換される。これに関して、ペリクルは本来、レチクルパターンへの異物の付着を防止する目的で設けられるものであるから、ペリクル空間と外部との通気性は低い方が好ましい。しかしながら、例えば台風等による気圧低下時に、ペリクル空間が膨張してペリクルが破損することを防止するために、図2(B)を参照して説明したように、ペリクル空間の側壁としてのペリクルフレーム2には、2箇所に微小な通気孔2a,2bが設けられ、ペリクル空間と外気との通気性がわずかながら確保されている。そこで、ペリクル空間のパージガス置換に際して、本例では通気孔2a,2bを積極的に利用する。
図3(A)は、ペリクル空間内をパージガスで置換する機構の一例を示す底面図、図3(B)は、その機構を示す一部を切り欠いた正面図であり、図3(A)のレチクルRを底面で支持する4個の保持機構29a〜29dは、図1のパージガス置換室24内の保持機構29に対応している。図3(A),(B)において、レチクルRには、通気孔2a,2bが設けられたペリクルフレーム2を介してペリクル1が張設されている。本例では、ペリクルフレーム2の一方の通気孔2aを排気管45Dを介して真空ポンプ42に連結し、他方の通気孔2bを給気管46Dを介してパージガス供給源43に連結し、フロー制御方式で、排気管45Dを介してペリクル空間内の気体を流出させるのと並行に、給気管46Dを介してそのペリクル空間内にパージガスを流入させる。これによって、通気孔2a,2bのわずかの通気性であっても、ペリクル空間のパージガスによる置換を効率的に行なうことが可能となる。更に、排気管45D及び給気管46Dとペリクルフレーム2との密着性を向上するために、排気管45D及び給気管46Dの先端部に、テフロン等のフッ素系樹脂や、他の軟性材料からなる中空の弾力部材47A及び47Bを設けている。なお、弾力部材47A,47Bとして、バイトン(商品名)、カルレッツ(商品名)、又はアーマクリスタル(商品名)等のフッ素系樹脂を用いることができる。
なお、そのペリクル空間内の不純物の残留濃度が許容レベル以下になったかどうかを確認するためには、一例として、排気管45Dの途中に不純物の濃度を計測するための気体センサを設ければよい。
また、ペリクル1は非常に薄い膜であるため、内外の気圧差が大きくなると、膨張して破損する恐れがある。そこで、図3(B)に示すように、ペリクル面変位計48を設置して、ペリクル1の中央でレチクルRに対する変位量をモニタしている。そのペリクル面変位計48において、光源49から射出された検出光DLは、スリット板50及び集光レンズ51を介してペリクル1の中央表面に斜めにスリット像を形成する。そして、ペリクル1の表面で反射される検出光DLが、集光レンズ52を介してスリット板53上にそのスリット像を再形成し、スリット板53を通過した検出光DLがフォトダイオード等の光電検出器54によって受光され、光電検出器54の検出信号が信号処理装置55に供給される。
この場合、受光側のスリット板53は、ペリクル1の上下動に対応する方向に振動しており、信号処理装置55では、一例としてそのスリット板53の駆動信号を用いて光電検出器54の検出信号を同期整流して面位置信号を得る。そして、ペリクル1の上下動に応じてその面位置信号は所定範囲内でほぼリニアに変化するため、信号処理装置55では、その面位置信号からペリクル1の上下方向への変位量を求め、この変位量の情報を制御系41に供給する。なお、スリット板53及び光電検出器54の代わりにラインセンサ(1次元の撮像素子)を設置しても、その面位置信号を得ることができる。制御系41では、そのペリクル1の変位量の計測値が許容範囲内に収まるように、真空ポンプ42による排気速度、及びパージガス供給源43による給気速度を調整する。これによって、ペリクル1を破損しない範囲で効率的に、ペリクル空間をパージガスで置換することができる。
次に、図1のレチクル浄化装置を備えた半導体デバイスの製造システムの構成例につき図4を参照して説明する。
図4は、本例のデバイス製造システムの要部を示し、この図4において、大気環境下のレチクルストッカー62内の通常のケース(図2(A)のケース3と同じケース)3A,3B,3C,…内にそれぞれペリクルが張設されたレチクルが格納されている。そして、レチクルストッカー62の近傍に搬入側ローダ21が駆動部22とともに設置され、その後に図1のレチクル浄化装置と同一のレチクル浄化装置64が設置されており、レチクル浄化装置64の端部上面に、気密性の高いクリーンケース8A(図2(B)のクリーンケース8と同じケース)が設置され、クリーンケース8A内にパージガスの雰囲気中でレチクルが装填される。
更に、レチクル浄化装置64の端部の近傍に、レチクルが装填されたクリーンケースを搬送するための搬送ライン66が設置され、搬送ライン66に沿って移動するスライダ67上に、レチクルが装填されたクリーンケース8Bが保持されている。また、搬送ライン66に沿って、一括露光方式、又はステップ・アンド・スキャン方式のような走査露光方式の複数(図4では3台)の投影露光装置68A,68B,68C、及び異物検査装置69が設置されている。投影露光装置68Aは、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2レーザ(波長157nm)、又はAr2レーザ(波長126nm)等の真空紫外域の露光光(露光ビーム)の照明光学系(不図示)と、レチクルを駆動するレチクルステージ70と、投影光学系PLAと、被露光基板としてのウエハを駆動するウエハステージ71と、ウエハベース72とを有し、レチクルR1のパターンを投影光学系PLAを介してウエハW1上の各ショット領域に転写する。同様に他の投影露光装置68B,68CもそれぞれレチクルR2,R3のパターンを投影光学系PLB,PLCを介してウエハW2,W3上の各ショット領域に転写する。
これらの投影露光装置68A〜68Cの露光光の光路の気体は、露光光を透過するパージガスで置換されている。また、投影露光装置68A〜68Cには、それぞれレチクルローダ系73が備えられており、レチクルローダ系73は、搬送ライン66に沿って移動するスライダ67からレチクルが装填されたクリーンケース8Bを受け取ると、パージガスの雰囲気中でそのクリーンケース8B中からペリクルが張設されたレチクルを取り出して、そのレチクルをレチクルステージ70上に設置する。更に、レチクルローダ系73は、使用済みのレチクルを通常のケース(ケース3と同じケース)内に収納し、この通常のケースを返却用の搬送ライン(不図示)を介してレチクルストッカー62に戻す。
また、異物検査装置69は、一例としてレーザ光源74と、これからのレーザビームを走査するスキャナ75と、検査対象のレチクルR4からの反射光をレンズ系76を介して受光する光電検出器77と、レチクルR4をレーザビームの走査方向に交差する方向に移動するステージ装置78とを備え、レチクルR4のパターン面に許容レベルを超える異物があるかどうかを検査する。また、異物検査装置69にも、搬送ライン66のスライダ67から受け取ったクリーンケース8B内からレチクルを取り出して、ステージ装置78に設置するレチクルローダ系79が備えられている。
なお、本実施の形態では、異物検査装置69で異物があるかどうか検査されたレチクルRをクリーンケースに戻してもよい。この場合には、そのレチクルRを再び搬送ライン66を介して投影露光装置に搬送すればよい。あるいは、検査されたレチクルRをクリーンケースに戻さずに、異物検査装置69から直接、投影露光装置のレチクルステージ70に設置してもよい。なお、異物検査装置69から直接、レチクルRをレチクルステージ70に設置する場合は、レチクルRの搬送経路は、外気から遮断すると共に、パージガス雰囲気とすればよい。
更に、レチクルストッカー62とレチクル浄化装置64との間、及びレチクル浄化装置64と搬送ライン66との間にはそれぞれレチクル及びクリーンケースの受け渡しを行うための、多関節型のロボットハンド63及び65が設置されている。また、これらのロボットハンド63,65、レチクル浄化装置64、スライダ67、投影露光装置68A〜68C、及び異物検査装置69の動作を統轄制御するホストコンピュータ61が設けられている。なお、不図示であるが、ウエハの搬送ライン及びウエハローダ系も設けられている。
本例のデバイス製造システムを用いて半導体デバイスを製造するフォトリソグラフィ工程では、大気環境下のレチクルストッカー62中の通常のケース(例えばケース3A)中のペリクル付きのレチクルが、ロボットハンド63及び搬入側ローダ21を介してレチクル浄化装置64に搬入され、ここでパージガスによる置換及び光洗浄が施されたレチクルは、気密性が高く、且つ有機物汚染の少ないクリーンケース8Aに装填された後、ロボットハンド65及びスライダ67を介して、投影露光装置68A〜68Cの何れかへと搬送される。そして、クリーンケース8A内のレチクルは、レチクルローダ系73によって、大気に曝されることなくレチクルステージ70上にロードされて露光が行われる。
そして、投影露光装置68A〜68Cでの使用が済んだレチクルは、一例として通常のケースに収納されてレチクルストッカー62に戻される。その他に、レチクル浄化装置64に、クリーンケース内のレチクルを通常のケース内に収納する機構を設け、投影露光装置68A〜68Cでの使用が済んだレチクルを再びクリーンケースに収納してレチクル浄化装置64に戻し、ここでクリーンケースから取り出して通常のケースに収納し、このケースをレチクルストッカー62に戻すようにしてもよい。
なお、特にメモリ等の微細パターンを有する大量生産品については、1種類のレチクルで露光できる半導体ウエハの枚数が多いため、レチクルの交換頻度が少なくて済む。従って、真空紫外光を露光光とする微細パターン用の投影露光装置68A〜68Cでは、レチクルの交換頻度、ひいてはレチクル浄化装置64を用いるレチクルの浄化頻度が少ないことになる。従って、1台のレチクル浄化装置64に対して複数台の投影露光装置68A〜68Cを対応させることで、レチクル浄化装置64の設置台数を低減し、生産ラインのコストを低減することが可能になる。
また、本実施の形態では、レチクル浄化装置64の近傍に搬送ライン66を配置し、この搬送ライン66を介してレチクルが装填されたクリーンケースを複数台の露光装置に搬送する構成について説明したが、レチクル浄化装置64を自走可能に構成してもよい。即ち、レチクル浄化装置64にレチクルケースを搬送するための無人搬送機(AGV:Automated Guided Vehicle)の機能を持たせても良い。この場合、レチクル浄化装置64から直接、複数台の露光装置にクリーンケースを搬送することができる。
なお、レチクル浄化装置64を、複数台の露光装置のそれぞれに対応させて複数台設けても良い。
なお、レチクル雰囲気のパージガス置換、特にペリクル空間内のパージガス置換に際しては、そのペリクル空間に高速の気体流が生じるため、それに伴って、他の部分に付着していた塵等の異物が、レチクルのパターン面に流れてくる恐れがある。そこで、図4のレチクル浄化装置64でのレチクル雰囲気のパージガス置換の後に、浄化されたレチクルを異物検査装置69に搬送し、ここでそのパターン面の異物の有無の検査を行うことが望ましい。或いは、異物検査機能をレチクル浄化装置64に組み込むようにしてもよい。そのためには、例えば図1のレチクル浄化装置のローダ室30内に、図4の異物検査装置69と同様の異物検査装置を設置すればよい。
なお、本例のデバイス製造システム中の露光装置として、投影光学系を用いることなくマスクと基板とを密接させてマスクのパターンを露光するプロキシミティ露光装置も使用する場合にも、本発明を適用することができる。
なお、上記の図1の実施の形態のレチクル浄化装置は、ハウジング23内を複数の気密室としてのパージガス置換室24、ランプ室26、ローダ室30、及びクリーンケースへの装填室35に分けて、各気密室内に機構部品を組み込むと共に、これら複数の気密室と真空ポンプ42及びパージガス供給源43とを配管で連結し、これらの機構部と制御系41とを配線で接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)を行うことにより製造することができる。なお、レチクル浄化装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
次に、上記の実施の形態のデバイス製造システムを用いてウエハ上に半導体デバイスを製造する際の製造工程の一例につき図5を参照して説明する。
図5は、半導体デバイスの製造工程の一例を示し、この図5において、まずシリコン半導体等からウエハWが製造される。その後、ウエハW上にフォトレジストを塗布し(ステップS10)、このウエハWを例えば図4の投影露光装置68A(走査露光方式とする)のウエハステージ上にロードする。次のステップS12において、図4のレチクルストッカー62から取り出したレチクルR1をレチクル浄化装置64を介して、投影露光装置68Aのレチクルステージ上にロードする。そして、このレチクルR1を照明領域の下方に移動して、レチクルR1のパターンをウエハW上の全部のショット領域SEに走査露光する。なお、ウエハWは例えば直径300mmのウエハ(12インチウエハ)であり、ショット領域SEの大きさは一例として非走査方向の幅が25mmで走査方向の幅が33mmの矩形領域である。次に、ステップS14において、現像及びエッチングやイオン注入等を行うことにより、ウエハWの各ショット領域SEに所定のパターンが形成される。次に、ステップS16において、ウエハW上にフォトレジストを塗布し、再びそのウエハWを図4の投影露光装置68Aのウエハステージ上にロードする。その後ステップS18において、レチクルストッカー62から取り出した別のレチクルR2をレチクル浄化装置64を介して投影露光装置68Aのレチクルステージ上にロードする。そして、このレチクルR2を照明領域の下方に移動して、レチクルR2のパターンをウエハW上の各ショット領域SEに走査露光する。そして、ステップS20において、ウエハWの現像及びエッチングやイオン注入等を行うことにより、ウエハWの各ショット領域に所定のパターンが形成される。以上の露光工程〜パターン形成工程(ステップS16〜ステップS20)は所望の半導体デバイスを製造するのに必要な回数だけ繰り返される。そして、ウエハW上の各チップCPを1つ1つ切り離すダイシング工程(ステップS22)や、ボンディング工程、及びパッケージング工程等(ステップS24)を経ることによって、製品としての半導体デバイスSPが製造される。
なお、本発明のデバイス製造システムの用途としては半導体デバイス製造用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造する工程にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。また、明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約を含む2000年12月22日付け提出の日本国特願2000−391688の全ての開示内容は、そっくりそのまま引用して本願に組み込まれている。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、光洗浄後のマスクを、露光ビームを透過する気体が充填された気密性を有するケース内に装填しているため、露光本体部(露光装置)とは別の場所でマスクを効率的に洗浄できるとともに、洗浄後のマスクを異物が付着しない状態で露光本体部まで搬送することができる。
また、マスクと防塵部材(ペリクル)とで囲まれた空間の気体をも露光ビームを透過する気体で置換する場合には、防塵部材の設けられたマスクを使用していても、露光ビームに対する透過率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施の形態の一例のレチクル浄化装置を示す一部を切り欠いた構成図である。図2において、(A)はレチクル用の通常のケースを示す側面図、(B)はレチクル用のクリーンケースを示す断面図である。図3において、(A)はペリクル空間をパージガスで置換する気体置換機構の一例を示す底面図、(B)はその気体置換機構を示す一部を切り欠いた正面図である。図4は、図1のレチクル浄化装置を備えたデバイス製造システムの一例の要部を示す斜視図である。図5は、本発明の実施の形態のデバイス製造システムを用いて半導体デバイスを製造する場合の製造工程の一例を示す図である。
本発明は、例えば半導体素子、撮像素子(CCD等)、液晶表示素子、又は薄膜磁気ヘッド等の各種デバイスを製造するためのフォトリソグラフィ工程中で、原版パターンの形成されたマスクを洗浄するために使用されるマスク浄化方法及び装置に関する。更に本発明は、そのマスク浄化装置を備えたデバイス製造システムに関する。
背景技術
半導体集積回路、液晶ディスプレイ等の電子デバイスの微細パターンを形成するためのフォトリソグラフィ工程では、形成すべきパターンを4〜5倍程度に比例拡大して描画したマスクとしてのレチクル(又はフォトマスク等)のパターンを、一括露光方式又は走査露光方式の露光装置を用いて被露光基板としてのウエハ(又はガラスプレート等)上に縮小転写する方法が用いられている。
その微細パターンの転写のために使用される露光装置において、レチクル上のパターンに、塵や化学的汚染物等の異物が付着すると、その部分のパターンの透過率が低下し、ウエハへのパターン誤転写の原因となる。そこで、そのような異物の付着を防止するために、従来より一般にレチクルのパターン面は、ペリクルと呼ばれる厚さ1μm程度の防塵膜で覆われていた。ペリクルは、ペリクルフレームと呼ばれる金属製の枠を介して、レチクルのパターン面から5〜7mm程度離れた位置に張設されていた。
また、露光装置においては、半導体集積回路の微細化に対応するために、その露光波長がより短波長側にシフトして来ている。現在、その露光波長はKrFエキシマレーザの248nmが主流となっているが、より短波長の実質的に真空紫外域(VUV:Vacuum Ultraviolet)とみなすことができるArFエキシマレーザの193nmも実用化段階に入りつつある。そして、更に短い波長157nmのF2レーザや、波長126nmのAr2レーザ等の真空紫外域の露光光源を使用する投影露光装置の提案も行なわれている。
この真空紫外域の光は、露光波長が200〜400nm程度の従来の露光装置に対して、露光光の光路上に存在していた多くの気体、例えば酸素、水蒸気、二酸化炭素、及び炭化水素ガス(有機系ガス)等の気体(以下、「吸収性ガス」と称する。)による吸収が極めて大きい。そのため、真空紫外光を用いる投影露光装置では、露光光の光路から吸収性ガスを排除するために、その光路の気体を露光光に対して比較的吸収の少ない窒素や希ガス等の気体(以下、「低吸収性ガス」と称する。)で置換する必要がある。低吸収性ガスのうちで実際に光路上の気体を置換するために使用される気体は、「パージガス」と呼ばれている。吸収性ガスの許容残留濃度に関して、例えば有機系ガスについては、光路中の平均濃度を数ppm以下程度に抑える必要がある。これは、真空紫外域では最も長いArFエキシマレーザ(波長193nm)でも同様である。
上記の如く従来よりレチクルのパターン面を保護するためにペリクルが使用されている。この場合、レチクル、ペリクルフレーム、及びペリクルによって囲まれた空間(以下、「ペリクル空間」と称する。)は、気圧差によるペリクルの変形を防止するための小さい通気孔を除いて、外気とはほぼ隔離された高い気密性を持つ空間である。このペリクル空間内には、そのペリクルを張設する工程の雰囲気中の空気、例えば酸素、水蒸気、及び有機系ガス等の吸収性ガスが残留している。
しかしながら、露光光が真空紫外域中の例えばF2レーザ(波長157nm)の場合には、酸素による吸収が極めて大きいため、ペリクル空間中のわずか数mmの光路においても、残留している酸素による吸収(減光)が極めて大きい。更に、通常の保管状態で保管されたレチクルには有機物や水が或る程度は付着しており、それらの付着物の吸収により、真空紫外域の露光光に対するレチクルの透過率は大きく低下してしまう恐れがある。
これらの対策として、レチクルを使用した露光に先立って、露光装置内で、上記のペリクル空間内のガス置換やレチクルの光洗浄を行なうことも可能ではあるが、ガス置換動作に伴なって発生する振動や、光洗浄用の光源から発生する熱は、露光装置の各種性能を低下させるという不都合がある。また、露光装置がレチクルの洗浄処理を行うことによって露光処理能力が低下して、半導体デバイス等を生産する工程全体としてのスループットが低下する恐れもある。
本発明は斯かる点に鑑み、マスクのパターンをウエハ上に転写する露光本体部に対して悪影響を与えることなく、マスクを効率的に洗浄して、マスクの透過率を高く維持できるマスク浄化技術を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、ペリクルのような防塵部材の設けられたマスクを使用する場合に、露光光に対する透過率の低下を防止できるマスク浄化技術を提供することを第2の目的とする。
発明の開示
本発明によるマスク浄化方法は、パターン面を覆うように防塵部材(1)が取り付けられるとともに、露光時に所定の露光ビームが照射されるマスク(R)を洗浄するためのマスク浄化方法において、そのマスクを囲む所定範囲の空間内の気体をその露光ビームを透過する気体で置換する第1ステップと、そのマスクを紫外線で光洗浄する第2ステップと、その露光ビームを透過する気体が充填され、かつ気密性を有するケース(8)内にそのマスクを密閉状態で装填する第3ステップとを有するものである。
斯かる本発明によれば、マスクに対する紫外線照射によって、そのマスクやその防塵部材(ペリクル等)の表面に付着していた有機物や水が分解されて除去される。また、そのマスク周辺の雰囲気がその露光ビームを透過する気体(パージガス)で置換されるため、マスク表面に対する有機物や水等の付着が抑制され、露光ビームに対するマスクの透過率を向上させることができる。更に、浄化後のマスクは、そのケース内に収納して透過率を高く維持した状態で搬送できるため、その浄化動作を露光本体部とは別の場所で効率的に行うことができる。
この場合、その第1ステップにおいて、そのマスク、その防塵部材、及びこの防塵部材の支持枠で囲まれて実質的に密閉された空間の内部を、その露光ビームを透過する気体で置換することが望ましい。これによって、露光ビームに対する透過率が更に向上する。
また、マスクの周囲に酸素があると光洗浄の効率が向上する場合があるため、更にはマスクの浄化時間を短縮するために、その第1及び第2ステップを実質的に同時に(並行して)実行することが望ましい。又は、その第2ステップをその第1ステップの前に実行してもよい。
次に、本発明によるマスク浄化装置は、パターン面を覆うように防塵部材(1)が取り付けられるとともに、露光時に所定の露光ビームが照射されるマスク(R)を洗浄するためのマスク浄化装置において、そのマスクを囲む所定範囲の空間(24)内の気体をその露光ビームを透過する気体で置換する気体置換機構(42,43,45A,46A)と、そのマスクを光洗浄するための紫外線照射装置(27)と、その露光ビームを透過する気体が充填され、かつ気密性を有するケース(8)内にそのマスクを密閉状態で装填する装填機構(35,36,37A,37B,38A,38B)とを有するものである。
この発明によって、本発明のマスク浄化方法を実施することができる。
この場合、その紫外線照射装置と、その気体置換機構とを少なくとも部分的に一体化して、その気体置換機構とその装填機構との間に、そのマスクを搬送する搬送系(32,33)を設けることが望ましい。これによって、浄化装置を全体として小型化できるとともに、浄化に要する時間を短縮できる。
また、その気体置換機構は、一例としてそのマスクを収納する気密室(24)と、この気密室内を減圧する減圧機構(42,45A)とを有するものである。
また、その気体置換機構は、別の例としてそのマスクを収納する気密室(24)と、この気密室内の気体の排気、及びこの気密室に対するその露光ビームを透過する気体の供給をフロー制御で行う給排気機構(42,43,45A,46A)とを有するものである。前者のように減圧機構を用いる場合には、短時間に気体の置換を行うことができる。一方、後者のようにフロー制御を用いる場合には、例えば防塵部材の強度が低いような場合でも、防塵部材を変形させることなく気体の置換を行うことができる。
また、その防塵部材(1)がそのマスク(R)に対して支持枠(2)を介して固定されているときに、その気体置換機構は、そのマスク、その防塵部材、及びその支持枠で囲まれた密閉空間の内部をもその露光ビームを透過する気体で置換することが望ましい。この状態のマスクを露光装置にロードした場合には、その密閉空間の内部でも露光ビームの吸収がないため、露光対象の基板上での照度を高めることができる。
また、その気体置換機構は、さらにそのパターン面とその防塵部材との間の空間内の気体をその露光ビームを透過する気体で置換することが望ましい。これによって、露光ビームに対する透過率が向上する。
また、その防塵部材を保持すると共に、そのパターン面に取り付けられるフレーム(2)を有する場合、その気体置換機構は、そのフレームに形成された通気孔(2a,2b)を介して、そのパターン面とその防塵部材との間の空間をその露光ビームを透過する気体で置換するようにしてもよい。このように通気孔を活用することで、そのフレームに特別の加工を施す必要がない。
次に、本発明によるデバイス製造システムは、デバイスパターン(R1,R2)をワークピース(W1,W2)上に形成するデバイス製造システムにおいて、本発明の何れかのマスク浄化装置(64)と、そのデバイスパターンの像をそのワークピース上に転写する露光装置本体(68A〜68C)と、そのマスク浄化装置とその露光装置本体との間で、そのマスク浄化装置で洗浄が行われたマスクを搬送する搬送装置(65〜67)とを有するものである。
本発明のマスク浄化装置を用いることによって、露光装置本体では、露光ビームに対する透過率を高く維持して、各種のデバイスパターンを効率的にワークピース上に転写することができ、各種デバイスを高いスループットで量産することができる。
この場合、その露光装置本体は、そのマスク洗浄装置でケース(8A,8B)内に装填されたそのマスクを取り出すマスク取り出し機構(73)を有することが望ましい。これによって、マスクの受け渡しを円滑に行うことができる。
また、そのマスク浄化装置は、複数のその露光装置本体の間で共用されることが望ましい。これによって、マスク浄化装置の稼動率を高めることができる。
次に、本発明のデバイス製造方法は、デバイスパターンをワークピース(W)上に形成するデバイス製造方法において、本発明の何れかのマスク浄化方法を用いて、パターン面を覆うように防塵部材(1)が取り付けられたマスク(R)を洗浄して気密性を有するケース(8)内に装填する第1ステップと、その洗浄が行われたマスクをそのケースに収納して露光本体部(68A)まで搬送する第2ステップと、その露光本体部にて、そのケースから取り出されたそのマスクを介して露光ビームで基板(W)を露光する第3ステップとを有するものである。
斯かる本発明によれば、例えば露光本体部とは別体のマスク浄化部で浄化されたマスクが、十分にクリーンで、且つ気体置換された気密性の高いケースに収納されて、露光本体部に搬送される。従って、露光本体部内にマスク浄化部(気体置換部、及び光洗浄部)を設置すること無く、十分な透過率を有するマスクを使用して半導体素子等のデバイスの回路パターンの転写が可能になる。
この場合、そのマスクを浄化するマスク浄化部を、複数個のその露光本体部に対して共用することが望ましい。これによって、生産ライン全体の設備を少なくすることができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の好ましい実施の形態の一例につき図面を参照して説明する。本例は、パターン面を保護するために、薄膜状のペリクル(防塵部材)が張設されるとともに、露光ビームとして真空紫外光が照射されるレチクル(マスク)のクリーニングを行うレチクル浄化装置に、本発明を適用したものである。本例のレチクル浄化装置は、一例として半導体デバイス等を製造するためのフォトリソグラフィ工程を実行する製造ライン中に、露光装置とは別置きで設置されるものである。
図1は、本例のレチクル浄化装置を示し、この図1において、大気環境下でレチクルストッカー(不図示)内に保管されている通常のケース3(レチクルケース)に格納されているマスクとしてのレチクルRが、露光光を透過する気体による置換及び光洗浄を受けて、気密化されたクリーンケース8(クリーンレチクルケース)内に装填され、このクリーンケース8がレチクルRを密閉して内蔵した状態で不図示の露光装置に搬送される。また、レチクルRには、パターン面を保護するために防塵部材としてのペリクル1が装着されている。
図2(A)は、その通常のケース3を示し、この図2(A)において、ケース3は、底板部4に対して2箇所の支点部7を軸として開閉自在に上蓋部5を連結することによって構成されており、底板部4上に4本の台座6(図2(A)ではその内の2本が現れている。以下同様。)を介してレチクルRが載置されている。レチクルRのパターン面(下面)には、矩形の枠状の金属製のペリクルフレーム2を介して厚さ1μm程度の薄膜のペリクル1が張設されている。なお、ペリクル1としては、例えばフッ化物結晶の厚さ300〜800μm程度の平板を使用することも可能である。ケース3は、上蓋部5を閉じた状態でも気密度はかなり低く、ケース3内の気体はほぼその周囲の気体と同じ気体である。そのため、ケース3は、レチクルを通常の大気と同じ雰囲気中のレチクルストッカー内に保管する際に、レチクルを個別に収納するために使用される。
図2(B)は、そのクリーンケース8を示す断面図であり、この図2(B)において、クリーンケース8は、中央に開口が形成された平板状のマウント部9の上面に、底面が開いた箱状の収容部10を固定し、更にそのマウント部9の底面に平板状の底板部11をつる巻ばね方式の2箇所のクランプ14A,14Bで押さえつけることによって構成され、底板部11上に4本の台座12を介してレチクルRが載置されている。この場合、マウント部9と収容部10とは内部の気密性を保つために、溶接、又は一体成形等によって固定されており、マウント部9とこのマウント部9に対して着脱可能な底板部11との間には、マウント部9に底板部11を取り付けた際の気密性を高めるためにOリング13(シール部材)が配置されている。また、マウント部9、収容部10、及び底板部11は、ステンレススチール又はアルミニウム等の金属のように、脱ガスが少なく内部の気密性を高く維持できる材料より形成されており、クランプ14A,14Bでマウント部9に底板部11を固定した状態で、クリーンケース8の内部は気密室となり、その内部のレチクルRは外気からほぼ完全に隔離された局所的な環境内に設置されていることになる。
なお、クランプ14A,14Bの機構は、ばね方式には限られず、例えば複数箇所でボルトによってマウント部9とそれに対して着脱される部材とを連結してもよく、永久磁石を用いてそれらを着脱可能に連結してもよく、更には可撓性を有する配管を介してマウント部9と真空ポンプとを連結し、真空吸着によってマウント部9とその部材とを連結してもよく、静電吸着や電磁石による吸着等によってマウント部9とその部材とを連結してもよい。
最近のフォトリソグラフィ工程では、クリーンルームや露光装置の全体を覆うチャンバのような広い空間の環境をクリーンに保つ技術とともに、所定枚数のウエハを搬送するためのウエハケースの内部のような局所的な環境をクリーンに維持する局所クリーン化環境(ミニ・エンバイロンメント:mini−environment)技術の重要性が認識されるようになっている。本例のクリーンケース8は気密性が高いため、その内部のレチクルRを囲む空間は、異物の付着が防止されている局所クリーン化環境と言うことができる。
また、最近は、例えばフォトリソグラフィ工程中の種々の装置間でのレチクルやウエハの受け渡しを標準化するために、レチクルやウエハを収納するケースを標準化する機械的インターフェース技術であるSMIF(Standard mechanical interface)技術が提案されている。そこで、本例のクリーンケース8としては、そのSMIF技術に基づいて標準化されたケース、例えばSMIF pod(商品名)を使用してもよい。
また、本例のレチクルRは、波長200nm程度以下の真空紫外光が露光光として使用されるが、そのような露光光の光路からは酸素、水蒸気、炭酸ガス(CO2等)、及び炭化水素系(有機物)の気体等の露光光に対して強い吸収率を持つ気体である「吸収性ガス」を排除する必要がある。一方、露光ビームを透過する気体、即ち本例では真空紫外域の露光光に対する吸収の少ない「低吸収性ガス」には、窒素及び希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン)、並びにそれらの混合気体がある。そして、本例のレチクルRが使用される露光装置においては、それらの低吸収性ガスの内から例えば必要とされる結像特性の安定性や運転コスト等に基づいて選択した「パージガス」によって、露光光の光路の気体が置換される。パージガスとしては、運転コストを低く抑えたい用途では例えば窒素が使用され、結像特性の安定性を重視する用途では例えばヘリウムが使用される。
これに関して、クリーンケース8内の気体が低吸収性ガスを含む通常の空気であるとすると、クリーンケース8を露光装置に搬送して、クリーンケース8からレチクルRを取り出す際に、クリーンケース8内の空気が露光光の光路上のパージガスに混入して、露光光の強度が低下する恐れがある。そこで、本例では、クリーンケース8の内部の気体も、レチクルRが使用される露光装置で供給されているパージガスで置換しておく。
更に、図2(B)において、レチクルR、ペリクル1、及びペリクルフレーム2で囲まれる空間(ペリクル空間)内は、露光光の光路としては短いが、その内部もパージガスで置換しておくことが望ましい。これに関して、ペリクル空間の内外気圧差に伴うペリクル1の変形や破損を防止するために、ペリクルフレーム2には極めて小さい通気孔2a,2bが設けられているため、本例では必要に応じてその通気孔2a,2bを通して、ペリクル空間内の気体をパージガスで置換することとする(詳細後述)。
図1に戻り、本例のレチクル浄化装置は、ケース3内のレチクルRを受け渡すための搬入側ローダ21と、気密性を有するハウジング23で囲まれて複数の気密室に仕切られた本体部と、その本体部内の複数の気密室から気体を排気する減圧機構としてのドライ型等の真空ポンプ42と、それらの気密室に上記のパージガスを供給するガスボンベ等からなるパージガス供給源43と、装置全体の動作を制御するコンピュータよりなる制御系41とを有している。また、ハウジング23内は、複数の気密室としてのパージガス置換室24、ランプ室26、ローダ室30、及びクリーンケースへの装填室35に分かれている。装填室35は、クリーンケース・インターフェースとも言うことができる。この場合、パージガス置換室24と外気との間は開閉自在のシャッタ28で仕切られ、パージガス置換室24とランプ室26との間には、光洗浄用の紫外光を通す蛍石(CaF2)等のフッ化物結晶よりなる窓部材25が設けられ、パージガス置換室24とローダ室30との間、及びローダ室30と装填室35との間はそれぞれ開閉自在のシャッタ31及び34によって仕切られている。これらのシャッタ28,31,34はレチクルRが通過するときにのみ開かれ、それ以外のときには気密性を保つために閉じている。
先ず、搬入側ローダ21は、ケース3内から不図示のロボットアームによって取り出されたレチクルR(ペリクル1が張設されている)の底面を吸着保持してパージガス置換室24内に搬送する2本のアームを備え、搬入側ローダ21のスライド移動、回転、及び上下動を行うための駆動部22も付設されている。パージガス置換室24内には、搬入されたレチクルを吸着等で保持する4箇所の保持機構29が配置され、ランプ室26内にはエキシマランプ等の紫外線光源27が設置されている。本例のランプ室26には、排気管及びパージガスの給気管は接続されていないが、紫外線の強度を高く維持するためには、ランプ室26にもパージガスの置換機構を設けることが望ましい。但し、紫外線光源27として、ArFエキシマランプ(波長193nm)のように、酸素による吸収がそれほど大きくない波長の光源を使用する場合には、そのパージガスの置換機構は持たせなくとも良い。
また、ローダ室30内には、パージガス置換室24内のレチクルRをクリーンケースへの装填室35に搬送するために、レチクルRの底面を吸着保持する2本のアームを持つ搬出側ローダ32が配置され、搬出側ローダ32のスライド移動、回転、及び上下動を行うための駆動部33も付設されている。そして、クリーンケースへの装填室35内には、クリーンケース8の底板部11を保持して上下に移動する上下動装置36が設置されている。また、装填室35の上部のハウジング23には、その底板部11を通すための開口35aが設けられており、その開口35aを覆って気密性を保つように、クリーンケース8のマウント部9及び収容部10が、2つのクランプ機構38A及び38Bによってハウジング23の上面に固定されている。本例では、装填室35及びクリーンケース8の収容部10で囲まれた空間が一つの気密室となっている。更に、装填室35の内面の開口35aの近傍に、クリーンケース8のマウント部9の2箇所のクランプ14A,14Bを外すためのクランプ解除機構37A及び37Bが設置されている。上下動装置36、クランプ解除機構37A,37B、及びクランプ機構38A,38B等から、レチクルをクリーンケース8内に装填する装填機構が構成されている。
この場合、図2(B)の閉じたクリーンケース8のマウント部9を装填室35の開口35aを覆うようにハウジング23に載置して、クランプ機構38A及び38Bでマウント部9を固定する。この際に、マウント部9とハウジング23との間の気密性を高めるために、ハウジング23の上面のマウント部9との接触部に凹部を形成し、この凹部にOリング(シール部材)を配置してもよい。その後、底板部11にほぼ接するように上下動装置36の先端部を上昇させてから、クランプ解除機構37A及び37Bによってクランプ14A,14Bを外すことによって、台座12を備えた底板部11をマウント部9から離して上下動装置36に受け渡すことができる。この状態から上下動装置36を降下させたのが図1の状態である。なお、上記の搬入側ローダ21、紫外線光源27、搬出側ローダ32、クリーンケースへの装填機構、及びシャッタ28,31,34等の動作は制御系41によって制御されている。
また、パージガス置換室24、ローダ室30、及び装填室35と真空ポンプ42とは、それぞれ電磁的に開閉自在のバルブが設けられた排気管45A,45B,45Cを介して接続され、パージガス置換室24、ローダ室30、及び装填室35とパージガス供給源43とは、それぞれ電磁的に開閉自在のバルブが設けられた給気管46A,46B,46Cを介して接続されている。真空ポンプ42には、各気密室から排気した気体を工場の排気ガス処理施設(不図示)に送るための配管46も接続されている。真空ポンプ42、パージガス供給源43、排気管45A〜45C、及び給気管46A〜46C等から気体置換機構が構成されている。更に、パージガス置換室24、ローダ室30、及び装填室35内にはそれぞれ吸収性ガス等の不純物の残留濃度を計測する気体センサ44A,44B,44Cが配置され、これらの気体センサ44A〜44Cによって計測される不純物の濃度情報が制御系41に供給されている。その不純物として酸素濃度を計測する場合には、気体センサ44A〜44Cとして例えばガルバニ電池式(galvanic cell)の酸素濃度計を使用することができる。
制御系41は、3つの気密室(パージガス置換室24、ローダ室30、及び装填室35)内の気体をパージガスで置換する際には、真空ポンプ42を介して対応する気密室内の気体を排気するとともに、その気密室内にパージガス供給源43からパージガスを供給する。この動作は、気体センサ44A〜44Cによって計測される不純物濃度が予め定められた許容レベル以下になるまで行われる。なお、そのパージガスの置換動作は、真空ポンプ42(減圧機構)によって対応する気密室内を大気圧よりも大きく減圧させて排気してからパージガスを供給する減圧方式と、真空ポンプ42及びパージガス供給源43(給排気機構)によって大気圧程度の気圧でほぼ連続的に排気及びパージガスの供給を行う(排気量と給気量とをほぼ等しくする)フロー制御方式との何れの方式で行ってもよい。減圧方式は、例えば本例のレチクル浄化装置の稼働開始直後に、各気密室内の空気を短時間にパージガスで置換するために使用することができる。また、減圧方式では、レチクルRに張設されたペリクル1が変形する恐れがあるが、ペリクルフレーム2に設けられた通気孔2a,2b(図2(B)参照)を通過する気体の流量に応じて、予めペリクル1が殆ど変形しない排気速度を求めておき、この排気速度以下で減圧を行えばよい。
次に、本例のレチクル浄化装置の全体の動作の一例につき説明する。図1において、ケース3内のペリクル1が装着されたレチクルRは、搬入側ローダ21を介してパージガス置換室24内に搬入されて、保持機構29上の位置P1に保持される。この状態で、シャッタ28及び31が閉じられて、真空ポンプ42及びパージガス供給源43によって、パージガス置換室24内の気体がパージガスに置換される。更に、紫外線光源27の発光が開始されて、紫外線光源27からの紫外線LによってレチクルRの光洗浄が行われる。
通常の大気環境で保管されていたレチクルRには、有機物及び水等の異物が付着している。そこで、エキシマランプ等の紫外線光源27からの紫外線を照射して、それらの異物を気化させて除去している。なお、浄化すべきレチクルRの新規搬入時(交換時)には、パージガス置換室24は大気に開放されて汚染されるので、大気に開放されるエリアを最小限に抑えるために、紫外線光源27は、パージガス置換室24とは別のランプ室26に配置されている。
また、上記の紫外線照射による光洗浄は、或る程度酸素が存在する環境下で行なった方が効率が良い。これは、紫外線照射によって酸素からオゾンが発生し、そのオゾンによって有機物の分解が促進されるためである。従って、その光洗浄は、そのパージガス置換室24内のパージガスによる置換が完全に終了してから行なうのではなく、パージガスの置換動作中に、それと並行して(実質的に同時に)行なうことが望ましい。また、パージガス置換室24内にレチクルRが搬入されたのと同時に紫外線照射を開始してから、パージガスによる置換を行うようにしてもよい。
以上の工程により浄化された後にシャッタ31が開かれ、レチクルRは搬出側ローダ32によって、パージガス置換室24からローダ室30内に搬送される。続いてシャッタ31を閉じ、シャッタ34を開いてから、レチクルRは搬出側ローダ32によって、装填室35(クリーンケース・インターフェース)内の底板部11(クリーンケース8の一部)の台座12上の位置P2に載置される。その底板部11は、装填機構の一部である上下動装置36の上に保持されている。続いてシャッタ34が閉じられて、装填室35及びクリーンケース8の収容部10によって囲まれた空間、即ちレチクルRが収容されている空間は密閉された空間となり、その空間内の不純物濃度が許容レベル以下になるまで、真空ポンプ42及びパージガス供給源43によるパージガスの置換が行われる。
その後、上下動装置36を上昇させて、底板部11がマウント部9の底面に接触した状態で、クランプ解除機構37A,37Bがクランプ14A,14Bを元の状態に戻すことで、図2(B)に示すように、気密化されたクリーンケース8内のパージガスの雰囲気中にレチクルRが保持される。これで、本例のレチクル浄化装置によるレチクルRの浄化工程は終了する。
このように本例のレチクル浄化装置を用いた浄化動作によれば、ペリクル1が装着されたレチクルRの周囲の雰囲気のパージガスによる置換、レチクルRの光洗浄、及びレチクルRのクリーンケース8内へのパージガス雰囲気での装填を効率的に実行することができる。また、本例のレチクル浄化装置は、ペリクル1が装着されたレチクルRのみならず、ペリクルが装着されていないレチクルの浄化を行う場合にも適用できることは明らかである。
なお、図1のローダ室30においてもパージガスによる置換が行われているが、ローダ室30は、通常の使用条件下においては大気に開放されることが無いため、パージガスによる置換を行なう頻度は少なくて良い。それに対して、クリーンケース8の装填室35への着脱時には(正確にはクリーンケース8が装着されていない状態では)、装填室35は大気に開放されるため、クリーンケース8のマウント部9の装着後で底板部11のクランプ14A,14Bを外す前に、装填室35内をパージガスで置換する必要のあることは言うまでもない。そして、パージガスの置換後に、底板部11を下降させてシャッタ34を開いて、レチクルRを装填室35内に搬入することになる。
なお、上記の実施の形態では、通常のケース3に格納されているレチクルRをレチクル浄化装置に搬送する構成を説明したが、本発明はこの構成に限られるものではない。例えば、ケース3に格納されていないレチクルRをレチクル浄化装置に搬送して、このレチクルRを浄化してもよい。その他に、クリーンケースに格納されたレチクルRをレチクル浄化装置に搬送し、そこでレチクルRを浄化した後、浄化後のレチクルRを再びクリーンケースに戻す構成であってもよい。
次に、レチクルR、ペリクル1、及びペリクルフレーム2で囲まれたペリクル空間内をパージガスで置換する局所置換機構の一例につき図3を参照して説明する。その局所置換機構は、図1のパージガス置換室24内の保持機構29の周囲に設けられるものであり、本例ではレチクルRの周囲の雰囲気をパージガスで置換する動作と並行して、そのペリクル空間内の気体がパージガスで置換される。これに関して、ペリクルは本来、レチクルパターンへの異物の付着を防止する目的で設けられるものであるから、ペリクル空間と外部との通気性は低い方が好ましい。しかしながら、例えば台風等による気圧低下時に、ペリクル空間が膨張してペリクルが破損することを防止するために、図2(B)を参照して説明したように、ペリクル空間の側壁としてのペリクルフレーム2には、2箇所に微小な通気孔2a,2bが設けられ、ペリクル空間と外気との通気性がわずかながら確保されている。そこで、ペリクル空間のパージガス置換に際して、本例では通気孔2a,2bを積極的に利用する。
図3(A)は、ペリクル空間内をパージガスで置換する機構の一例を示す底面図、図3(B)は、その機構を示す一部を切り欠いた正面図であり、図3(A)のレチクルRを底面で支持する4個の保持機構29a〜29dは、図1のパージガス置換室24内の保持機構29に対応している。図3(A),(B)において、レチクルRには、通気孔2a,2bが設けられたペリクルフレーム2を介してペリクル1が張設されている。本例では、ペリクルフレーム2の一方の通気孔2aを排気管45Dを介して真空ポンプ42に連結し、他方の通気孔2bを給気管46Dを介してパージガス供給源43に連結し、フロー制御方式で、排気管45Dを介してペリクル空間内の気体を流出させるのと並行に、給気管46Dを介してそのペリクル空間内にパージガスを流入させる。これによって、通気孔2a,2bのわずかの通気性であっても、ペリクル空間のパージガスによる置換を効率的に行なうことが可能となる。更に、排気管45D及び給気管46Dとペリクルフレーム2との密着性を向上するために、排気管45D及び給気管46Dの先端部に、テフロン等のフッ素系樹脂や、他の軟性材料からなる中空の弾力部材47A及び47Bを設けている。なお、弾力部材47A,47Bとして、バイトン(商品名)、カルレッツ(商品名)、又はアーマクリスタル(商品名)等のフッ素系樹脂を用いることができる。
なお、そのペリクル空間内の不純物の残留濃度が許容レベル以下になったかどうかを確認するためには、一例として、排気管45Dの途中に不純物の濃度を計測するための気体センサを設ければよい。
また、ペリクル1は非常に薄い膜であるため、内外の気圧差が大きくなると、膨張して破損する恐れがある。そこで、図3(B)に示すように、ペリクル面変位計48を設置して、ペリクル1の中央でレチクルRに対する変位量をモニタしている。そのペリクル面変位計48において、光源49から射出された検出光DLは、スリット板50及び集光レンズ51を介してペリクル1の中央表面に斜めにスリット像を形成する。そして、ペリクル1の表面で反射される検出光DLが、集光レンズ52を介してスリット板53上にそのスリット像を再形成し、スリット板53を通過した検出光DLがフォトダイオード等の光電検出器54によって受光され、光電検出器54の検出信号が信号処理装置55に供給される。
この場合、受光側のスリット板53は、ペリクル1の上下動に対応する方向に振動しており、信号処理装置55では、一例としてそのスリット板53の駆動信号を用いて光電検出器54の検出信号を同期整流して面位置信号を得る。そして、ペリクル1の上下動に応じてその面位置信号は所定範囲内でほぼリニアに変化するため、信号処理装置55では、その面位置信号からペリクル1の上下方向への変位量を求め、この変位量の情報を制御系41に供給する。なお、スリット板53及び光電検出器54の代わりにラインセンサ(1次元の撮像素子)を設置しても、その面位置信号を得ることができる。制御系41では、そのペリクル1の変位量の計測値が許容範囲内に収まるように、真空ポンプ42による排気速度、及びパージガス供給源43による給気速度を調整する。これによって、ペリクル1を破損しない範囲で効率的に、ペリクル空間をパージガスで置換することができる。
次に、図1のレチクル浄化装置を備えた半導体デバイスの製造システムの構成例につき図4を参照して説明する。
図4は、本例のデバイス製造システムの要部を示し、この図4において、大気環境下のレチクルストッカー62内の通常のケース(図2(A)のケース3と同じケース)3A,3B,3C,…内にそれぞれペリクルが張設されたレチクルが格納されている。そして、レチクルストッカー62の近傍に搬入側ローダ21が駆動部22とともに設置され、その後に図1のレチクル浄化装置と同一のレチクル浄化装置64が設置されており、レチクル浄化装置64の端部上面に、気密性の高いクリーンケース8A(図2(B)のクリーンケース8と同じケース)が設置され、クリーンケース8A内にパージガスの雰囲気中でレチクルが装填される。
更に、レチクル浄化装置64の端部の近傍に、レチクルが装填されたクリーンケースを搬送するための搬送ライン66が設置され、搬送ライン66に沿って移動するスライダ67上に、レチクルが装填されたクリーンケース8Bが保持されている。また、搬送ライン66に沿って、一括露光方式、又はステップ・アンド・スキャン方式のような走査露光方式の複数(図4では3台)の投影露光装置68A,68B,68C、及び異物検査装置69が設置されている。投影露光装置68Aは、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2レーザ(波長157nm)、又はAr2レーザ(波長126nm)等の真空紫外域の露光光(露光ビーム)の照明光学系(不図示)と、レチクルを駆動するレチクルステージ70と、投影光学系PLAと、被露光基板としてのウエハを駆動するウエハステージ71と、ウエハベース72とを有し、レチクルR1のパターンを投影光学系PLAを介してウエハW1上の各ショット領域に転写する。同様に他の投影露光装置68B,68CもそれぞれレチクルR2,R3のパターンを投影光学系PLB,PLCを介してウエハW2,W3上の各ショット領域に転写する。
これらの投影露光装置68A〜68Cの露光光の光路の気体は、露光光を透過するパージガスで置換されている。また、投影露光装置68A〜68Cには、それぞれレチクルローダ系73が備えられており、レチクルローダ系73は、搬送ライン66に沿って移動するスライダ67からレチクルが装填されたクリーンケース8Bを受け取ると、パージガスの雰囲気中でそのクリーンケース8B中からペリクルが張設されたレチクルを取り出して、そのレチクルをレチクルステージ70上に設置する。更に、レチクルローダ系73は、使用済みのレチクルを通常のケース(ケース3と同じケース)内に収納し、この通常のケースを返却用の搬送ライン(不図示)を介してレチクルストッカー62に戻す。
また、異物検査装置69は、一例としてレーザ光源74と、これからのレーザビームを走査するスキャナ75と、検査対象のレチクルR4からの反射光をレンズ系76を介して受光する光電検出器77と、レチクルR4をレーザビームの走査方向に交差する方向に移動するステージ装置78とを備え、レチクルR4のパターン面に許容レベルを超える異物があるかどうかを検査する。また、異物検査装置69にも、搬送ライン66のスライダ67から受け取ったクリーンケース8B内からレチクルを取り出して、ステージ装置78に設置するレチクルローダ系79が備えられている。
なお、本実施の形態では、異物検査装置69で異物があるかどうか検査されたレチクルRをクリーンケースに戻してもよい。この場合には、そのレチクルRを再び搬送ライン66を介して投影露光装置に搬送すればよい。あるいは、検査されたレチクルRをクリーンケースに戻さずに、異物検査装置69から直接、投影露光装置のレチクルステージ70に設置してもよい。なお、異物検査装置69から直接、レチクルRをレチクルステージ70に設置する場合は、レチクルRの搬送経路は、外気から遮断すると共に、パージガス雰囲気とすればよい。
更に、レチクルストッカー62とレチクル浄化装置64との間、及びレチクル浄化装置64と搬送ライン66との間にはそれぞれレチクル及びクリーンケースの受け渡しを行うための、多関節型のロボットハンド63及び65が設置されている。また、これらのロボットハンド63,65、レチクル浄化装置64、スライダ67、投影露光装置68A〜68C、及び異物検査装置69の動作を統轄制御するホストコンピュータ61が設けられている。なお、不図示であるが、ウエハの搬送ライン及びウエハローダ系も設けられている。
本例のデバイス製造システムを用いて半導体デバイスを製造するフォトリソグラフィ工程では、大気環境下のレチクルストッカー62中の通常のケース(例えばケース3A)中のペリクル付きのレチクルが、ロボットハンド63及び搬入側ローダ21を介してレチクル浄化装置64に搬入され、ここでパージガスによる置換及び光洗浄が施されたレチクルは、気密性が高く、且つ有機物汚染の少ないクリーンケース8Aに装填された後、ロボットハンド65及びスライダ67を介して、投影露光装置68A〜68Cの何れかへと搬送される。そして、クリーンケース8A内のレチクルは、レチクルローダ系73によって、大気に曝されることなくレチクルステージ70上にロードされて露光が行われる。
そして、投影露光装置68A〜68Cでの使用が済んだレチクルは、一例として通常のケースに収納されてレチクルストッカー62に戻される。その他に、レチクル浄化装置64に、クリーンケース内のレチクルを通常のケース内に収納する機構を設け、投影露光装置68A〜68Cでの使用が済んだレチクルを再びクリーンケースに収納してレチクル浄化装置64に戻し、ここでクリーンケースから取り出して通常のケースに収納し、このケースをレチクルストッカー62に戻すようにしてもよい。
なお、特にメモリ等の微細パターンを有する大量生産品については、1種類のレチクルで露光できる半導体ウエハの枚数が多いため、レチクルの交換頻度が少なくて済む。従って、真空紫外光を露光光とする微細パターン用の投影露光装置68A〜68Cでは、レチクルの交換頻度、ひいてはレチクル浄化装置64を用いるレチクルの浄化頻度が少ないことになる。従って、1台のレチクル浄化装置64に対して複数台の投影露光装置68A〜68Cを対応させることで、レチクル浄化装置64の設置台数を低減し、生産ラインのコストを低減することが可能になる。
また、本実施の形態では、レチクル浄化装置64の近傍に搬送ライン66を配置し、この搬送ライン66を介してレチクルが装填されたクリーンケースを複数台の露光装置に搬送する構成について説明したが、レチクル浄化装置64を自走可能に構成してもよい。即ち、レチクル浄化装置64にレチクルケースを搬送するための無人搬送機(AGV:Automated Guided Vehicle)の機能を持たせても良い。この場合、レチクル浄化装置64から直接、複数台の露光装置にクリーンケースを搬送することができる。
なお、レチクル浄化装置64を、複数台の露光装置のそれぞれに対応させて複数台設けても良い。
なお、レチクル雰囲気のパージガス置換、特にペリクル空間内のパージガス置換に際しては、そのペリクル空間に高速の気体流が生じるため、それに伴って、他の部分に付着していた塵等の異物が、レチクルのパターン面に流れてくる恐れがある。そこで、図4のレチクル浄化装置64でのレチクル雰囲気のパージガス置換の後に、浄化されたレチクルを異物検査装置69に搬送し、ここでそのパターン面の異物の有無の検査を行うことが望ましい。或いは、異物検査機能をレチクル浄化装置64に組み込むようにしてもよい。そのためには、例えば図1のレチクル浄化装置のローダ室30内に、図4の異物検査装置69と同様の異物検査装置を設置すればよい。
なお、本例のデバイス製造システム中の露光装置として、投影光学系を用いることなくマスクと基板とを密接させてマスクのパターンを露光するプロキシミティ露光装置も使用する場合にも、本発明を適用することができる。
なお、上記の図1の実施の形態のレチクル浄化装置は、ハウジング23内を複数の気密室としてのパージガス置換室24、ランプ室26、ローダ室30、及びクリーンケースへの装填室35に分けて、各気密室内に機構部品を組み込むと共に、これら複数の気密室と真空ポンプ42及びパージガス供給源43とを配管で連結し、これらの機構部と制御系41とを配線で接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)を行うことにより製造することができる。なお、レチクル浄化装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
次に、上記の実施の形態のデバイス製造システムを用いてウエハ上に半導体デバイスを製造する際の製造工程の一例につき図5を参照して説明する。
図5は、半導体デバイスの製造工程の一例を示し、この図5において、まずシリコン半導体等からウエハWが製造される。その後、ウエハW上にフォトレジストを塗布し(ステップS10)、このウエハWを例えば図4の投影露光装置68A(走査露光方式とする)のウエハステージ上にロードする。次のステップS12において、図4のレチクルストッカー62から取り出したレチクルR1をレチクル浄化装置64を介して、投影露光装置68Aのレチクルステージ上にロードする。そして、このレチクルR1を照明領域の下方に移動して、レチクルR1のパターンをウエハW上の全部のショット領域SEに走査露光する。なお、ウエハWは例えば直径300mmのウエハ(12インチウエハ)であり、ショット領域SEの大きさは一例として非走査方向の幅が25mmで走査方向の幅が33mmの矩形領域である。次に、ステップS14において、現像及びエッチングやイオン注入等を行うことにより、ウエハWの各ショット領域SEに所定のパターンが形成される。次に、ステップS16において、ウエハW上にフォトレジストを塗布し、再びそのウエハWを図4の投影露光装置68Aのウエハステージ上にロードする。その後ステップS18において、レチクルストッカー62から取り出した別のレチクルR2をレチクル浄化装置64を介して投影露光装置68Aのレチクルステージ上にロードする。そして、このレチクルR2を照明領域の下方に移動して、レチクルR2のパターンをウエハW上の各ショット領域SEに走査露光する。そして、ステップS20において、ウエハWの現像及びエッチングやイオン注入等を行うことにより、ウエハWの各ショット領域に所定のパターンが形成される。以上の露光工程〜パターン形成工程(ステップS16〜ステップS20)は所望の半導体デバイスを製造するのに必要な回数だけ繰り返される。そして、ウエハW上の各チップCPを1つ1つ切り離すダイシング工程(ステップS22)や、ボンディング工程、及びパッケージング工程等(ステップS24)を経ることによって、製品としての半導体デバイスSPが製造される。
なお、本発明のデバイス製造システムの用途としては半導体デバイス製造用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造する工程にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。また、明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約を含む2000年12月22日付け提出の日本国特願2000−391688の全ての開示内容は、そっくりそのまま引用して本願に組み込まれている。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、光洗浄後のマスクを、露光ビームを透過する気体が充填された気密性を有するケース内に装填しているため、露光本体部(露光装置)とは別の場所でマスクを効率的に洗浄できるとともに、洗浄後のマスクを異物が付着しない状態で露光本体部まで搬送することができる。
また、マスクと防塵部材(ペリクル)とで囲まれた空間の気体をも露光ビームを透過する気体で置換する場合には、防塵部材の設けられたマスクを使用していても、露光ビームに対する透過率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施の形態の一例のレチクル浄化装置を示す一部を切り欠いた構成図である。図2において、(A)はレチクル用の通常のケースを示す側面図、(B)はレチクル用のクリーンケースを示す断面図である。図3において、(A)はペリクル空間をパージガスで置換する気体置換機構の一例を示す底面図、(B)はその気体置換機構を示す一部を切り欠いた正面図である。図4は、図1のレチクル浄化装置を備えたデバイス製造システムの一例の要部を示す斜視図である。図5は、本発明の実施の形態のデバイス製造システムを用いて半導体デバイスを製造する場合の製造工程の一例を示す図である。
Claims (15)
- パターン面を覆うように防塵部材が取り付けられるとともに、露光時に所定の露光ビームが照射されるマスクを洗浄するためのマスク浄化方法において、
前記マスクを囲む所定範囲の空間内の気体を前記露光ビームを透過する気体で置換する第1ステップと、
前記マスクを紫外線で光洗浄する第2ステップと、
前記露光ビームを透過する気体が充填され、かつ気密性を有するケース内に前記マスクを密閉状態で装填する第3ステップとを有することを特徴とするマスク浄化方法。 - 前記第1及び第2ステップを同時に実行することを特徴とする請求の範囲1に記載のマスク浄化方法。
- 前記第1ステップは、さらに前記パターン面と前記防塵部材との間の空間内の気体を前記露光ビームを透過する気体で置換することを特徴とする請求の範囲1に記載のマスク浄化方法。
- パターン面を覆うように防塵部材が取り付けられるとともに、露光時に所定の露光ビームが照射されるマスクを洗浄するためのマスク浄化装置において、
前記マスクを囲む所定範囲の空間内の気体を前記露光ビームを透過する気体で置換する気体置換機構と、
前記マスクを光洗浄するための紫外線照射装置と、
前記露光ビームを透過する気体が充填され、かつ気密性を有するケース内に前記マスクを密閉状態で装填する装填機構とを有することを特徴とするマスク浄化装置。 - 前記紫外線照射装置と、前記気体置換機構とは少なくとも部分的に一体化されており、
前記気体置換機構と前記装填機構との間に、前記マスクを搬送する搬送系が設けられたことを特徴とする請求の範囲4に気体のマスク浄化装置。 - 前記気体置換機構は、前記マスクを収納する気密室と、該気密室内を減圧する減圧機構とを有することを特徴とする請求の範囲4又は5に記載のマスク浄化装置。
- 前記気体置換機構は、前記マスクを収納する気密室と、該気密室内の気体の排気、及び該気密室に対する前記露光ビームを透過する気体の供給をフロー制御で行う給排気機構とを有することを特徴とする請求の範囲4又は5に記載のマスク浄化装置。
- 前記防塵部材は前記マスクに対して支持枠を介して固定されており、
前記気体置換機構は、前記マスク、前記防塵部材、及び前記支持枠で囲まれた密閉空間の内部をも前記露光ビームを透過する気体で置換することを特徴とする請求の範囲4又は5に記載のマスク浄化装置。 - 前記気体置換機構は、さらに前記パターン面と前記防塵部材との間の空間内の気体を前記露光ビームを透過する気体で置換することを特徴とする請求の範囲4に記載のマスク浄化装置。
- 前記防塵部材を保持すると共に、前記パターン面に取り付けられるフレームを有し、
前記気体置換機構は、前記フレームに形成された通気孔を介して、前記パターン面と前記防塵部材との間の空間を前記露光ビームを透過する気体で置換することを特徴とする請求の範囲9に記載のマスク浄化装置。 - デバイスパターンをワークピース上に形成するデバイス製造システムにおいて、
請求の範囲4〜10の何れか一項に記載のマスク浄化装置と、
前記デバイスパターンの像を前記ワークピース上に転写する露光装置本体と、
前記マスク浄化装置と前記露光装置本体との間で、前記マスク浄化装置で洗浄が行われたマスクを搬送する搬送装置とを有することを特徴とするデバイス製造システム。 - 前記露光装置本体は、前記マスク洗浄装置でケース内に装填された前記マスクを取り出すマスク取り出し機構を有することを特徴とする請求の範囲11に記載のデバイス製造システム。
- 前記マスク浄化装置は、複数の前記露光装置本体の間で共用されることを特徴とする請求の範囲11又は12に記載のデバイス製造システム。
- デバイスパターンをワークピース上に形成するデバイス製造方法において、
請求の範囲1又は2に記載のマスク浄化方法を用いて、パターン面を覆うように防塵部材が取り付けられたマスクを洗浄して気密性を有するケース内に装填する第1ステップと、
前記洗浄が行われたマスクを前記ケースに収納して露光本体部まで搬送する第2ステップと、
前記露光本体部にて、前記ケースから取り出された前記マスクを介して露光ビームで基板を露光する第3ステップとを有することを特徴とするデバイス製造方法。 - 前記マスクを浄化するマスク浄化部は、複数個の前記露光本体部に対して共用されることを特徴とする請求の範囲14に記載のデバイス製造方法。
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