JP2005273878A - 膨張ホース及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】特別の部材をホースに設けることなく接続部でのホースの抜け力を高く保持し、またホース全体の膨張性を高く保持することのできる膨張ホースを提供する。
【解決手段】補強糸を編組して成る補強層14を有し、端部18において相手パイプを内部に挿入させた状態で相手パイプに接続される膨張ホース10において、補強層14の、相手パイプに接続される端部18の編組角θを大となし、中間部20の編組角θを端部18の編組角θ及び静止角よりも小とする。
【選択図】 図1

Description

この発明は補強層を有する膨張ホース、詳しくはホースの膨張によって急激な圧力上昇を吸収することのできる膨張ホース及びその製造方法に関する。
例えば自動車のパワーステアリング装置では、図4に示しているようにリザーバタンク200内の作動油をパワーステアリングポンプ202により、循環配管204における供給配管204Aを通じてギヤボックス206のバルブ208に高圧力(10MPa程度)で圧送し、そしてバルブ208からの作動油を、返送配管204Bを通じてリザーバタンク200へと返送する。
供給配管204Aでは高圧力が作用するため、通常、配管を構成するホース210Aが金属パイプ(相手パイプ)212Aに対しかしめ固定により接続される。
他方返送配管204Bでは常時高圧力が作用するわけではないので、通常、配管を構成するホース210Bが、金属パイプ(相手パイプ)212Bに対し図5に示すような接続構造で接続される。
具体的には、ホース210Bの内部に金属パイプ212Bを挿入させ、そしてホース210Bの外周面に嵌着されたクランプ214を縮径方向に締め付けることで、ホース210Bの端部が金属パイプ212Bに接続される。
このパワーステアリング装置にあっては、バルブ208の作動に伴って返送配管204B側でサージ圧が発生する。
このサージ圧がそのまま返送配管204Bを伝わって行くと、配管を構成する金属パイプ212Bで急激な圧力上昇に伴う打撃音(騒音)が発生する問題がある。
そのためかかるパワーステアリング装置においては、返送配管204B側のホース210Bを膨張量の大きいホース(膨張ホース)とし、そのホース210Bの膨張により急激な圧力上昇を吸収するようにしている。
詳しくは、ホース210Bにおいて補強糸を編組して構成される補強層の編組角を長手方向全長に亘って静止角(約55°)よりも小となし、これによりホース210Bに径方向の膨張性を持たせて、その膨張により急激な圧力上昇を吸収するようにしている。
そしてこれにより上記のようなサージ圧に起因する騒音の発生を防止している。
ところがホース210Bに対し径方向に高い膨張性能を持たせると、ホース210Bが全体的に膨張する際に金属パイプ212Bとの接続部である端部も同様に膨張しようとし、その結果ホース210Bの端部が金属パイプ212Bからより抜け易くなる問題、即ちホース210Bの抜け力が低下する問題を惹起する。
特に返送配管204B側のホース210Bには常時高圧力が作用するわけではないことから、金属パイプ212Bに対する接続構造として図5に示すようなクランプ214による接続構造が採用されているが、低温始動時には5MPa以上の圧力が発生することがあり、ホース210Bの抜け力の低下は大きな問題となる。
以上パワーステアリング装置に用いられるホースを例として説明したが、膨張により圧力吸収するようになしたホースについて、こうした問題は共通して生じ得る問題である。
尚、下記特許文献1にはパワーステアリング装置に用いられるホースについての開示がなされており、そこにおいてホースの途中にオリフィスを設けることによって、圧力低下に伴う作動油のキャビテーションに起因する騒音の問題を解決するようになした点が開示されている。
しかしながらこの特許文献1に開示のものでは、ホースの端部即ち接続部における抜け力の低下の問題を解決することはできず、この点で特許文献1に開示のものは本発明と異なっている。
実開昭56−143167号公報
本発明は以上のような事情を背景とし、オリフィスのような特別の部材をホースに設けることなく接続部におけるホースの抜け力を高く保持し、またホース全体の膨張性を高く保持することのできる膨張ホース及びその製造方法を安価に提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1は膨張ホースに関するもので、補強糸を編組して成る補強層を有し、端部において相手パイプを内部に挿入させた状態で該相手パイプに接続される膨張ホースであって、前記補強層の、前記相手パイプに接続される端部の編組角を大となし、他部の編組角を該端部の編組角及び静止角よりも小となしたことを特徴とする。
請求項2のものは、請求項1において、前記補強層の、前記他部の編組角が長手方向に均等であることを特徴とする。
請求項3は請求項1,2の何れかの膨張ホースの製造方法に関するもので、加硫前の前記膨張ホースの前記端部を長手方向に圧縮変形させるか又は拡径変形させ、その状態で加硫処理を行うことによって該端部における補強層の編組角を大となすことを特徴とする。
発明の作用・効果
以上のように請求項1の膨張ホースは、補強層の、相手パイプに接続される端部の編組角を大となし、他部の編組角をこれよりも小、尚且つ静止角よりも小となしたものである。
このように相手パイプと接続される端部の補強層の編組角を大となした場合、同端部の外径変化が小さくなり、従って端部以外の部分(他部)で膨張して圧力吸収する際、接続部としての端部の外径変化が大きくなり抜け力が低下するといった問題を解決することができる。
即ち本発明によれば、ホースの膨張による良好な圧力変化の吸収性能と、相手パイプとの接続部における強固な固定力とをともに確保することが可能となる。
本発明では、その端部の編組角を他部の編組角に対し2°以上大となしておくことが望ましい。
本発明ではまた、補強層の、上記端部以外の他部の編組角を長手方向に均等となしておくことができる(請求項2)。
請求項3は上記の膨張ホースの製造方法に関するもので、加硫前の膨張ホースの端部を長手方向に圧縮変形させるか又は拡径変形させ、その状態で加硫処理を行うことで、端部における補強層の編組角を大となすもので、この製造方法によれば、簡単に相手パイプとの接続部即ち端部における補強層の編組角を他部に比べて大となすことができ、ひいては膨張ホースを安価に製造することができる。
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10はパワーステアリング装置における返送配管用として好適なホース(膨張ホース)で、内側ゴム層12と、補強層14と、外側ゴム層16との積層構造をなしている。
このホース10は、両側の端部18の内部に相手パイプ(図示省略)を挿入させ、その状態で端部18の外周面に嵌着された図5に示すクランプ214を縮径方向に締め付けることで相手パイプに接続される。
補強層14は有機繊維から成る補強糸をブレード編組(又はスパイラル編組)して構成したもので、本実施形態では、その編組角が端部18と、それらの間の中間部(他部)20とで異なった編組角とされている。
具体的には、中間部20における編組角が小角度の編組角θ(ここでは例えばθ=48°。尚静止角は約55°である)とされており、これに対して端部18における編組角はこれよりも大角度である編組角θ(ここでは例えばθ=53°)とされている。
このように端部18における編組角θもまた静止角よりも小角度となすことができる。
端部18における編組角θを静止角と同等角度まで大きくしてしまうと、端部18において内部に相手パイプを挿入する際に端部18の拡径抵抗が大となって、挿入の際の作業性、即ち接続作業性が悪化してしまう。そこで上記例では端部18における編組角θもまた静止角よりも小となしてある。
この図1に示すホース10は、図2に示す方法で容易に製造することができる。
この製造方法では、内側ゴム層12,補強層14,外側ゴム層16を積層して成る未加硫のゴムホース10Aを先ず製造する。
このとき補強層14を構成する補強糸は全長に亘って同じ編組角で編組しておく。
そしてその未加硫のゴムホース10Aの内部にマンドレル22を挿入するとともに、端部18にキャップ型24を装着し、そしてキャップ型24を互いに接近する方向に押圧して、未加硫のゴムホース10Aの各端部18を軸方向(長手方向)に圧縮する。
この端部18の軸方向の圧縮によって端部18が圧縮変形させられるとともに、中間部20における補強糸と同じ編組角で編組されていた各端部18における補強糸即ち補強層14の編組角が大となる。
そして(II)に示しているようにその状態で全体を加熱加硫して未加硫のゴムホース10Aを加硫処理する。
ここにおいて中間部20の編組角がθで、両端部18の編組角がこれよりも大角度のθをなすホース10が得られる。
本実施形態のホース10にあっては、相手パイプと接続される端部18における補強層14の編組角を大となしていることから、同端部18の外径変化が小さくなり、従って端部18以外の中間部20で膨張して圧力吸収する際、接続部としての端部18の外径変化が大きくなって抜け力が低下してしまう問題を解決することができる。
即ち本実施形態のホース10によれば、膨張による良好な圧力変化の吸収性能と、相手パイプとの接続部(端部18)における強固な固定力とをともに確保することができる。
またホース10を上記方法で製造すれば、簡単に相手パイプとの接続部、即ち端部18における補強層14の編組角を他部に比べて大とすることができ、ひいてはホース10を安価に製造することができる。
図3は他の製造方法を示したものである。
ここでは未加硫のゴムホース10Aの端部18の成形用として、これを拡径変形させる端部型26を用い、それら端部型26を端部18の内部に嵌入させた状態で、未加硫のゴムホース10Aを加硫処理することによって、ホース10における端部18の編組角θを中間部20の編組角θよりも大となすようにしている。
以上本発明の実施形態を詳述したが、これらはあくまで一例示であり、本発明は様々な固定装置を用いて相手パイプとホースの端部とを接続する場合において適用可能であり、またパワーステアリング装置用のホース以外の様々な用途のホースに適用することも可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態,態様で構成,実施可能である。
本発明の一実施形態のホースを示す図である。 図1のホースの製造方法を示す図である。 図2とは異なる製造方法を示す図である。 自動車のパワーステアリング装置における循環配管周辺を示す図である。 図4の返送配管側のホースの金属パイプとの接続構造を示す図である。
符号の説明
10 ホース(膨張ホース)
10A 未加硫のゴムホース
14 補強層
18 端部
20 中間部(他部)
θ,θ 編組角

Claims (3)

  1. 補強糸を編組して成る補強層を有し、端部において相手パイプを内部に挿入させた状態で該相手パイプに接続される膨張ホースであって、
    前記補強層の、前記相手パイプに接続される端部の編組角を大となし、他部の編組角を該端部の編組角及び静止角よりも小となしたことを特徴とする膨張ホース。
  2. 請求項1において、前記補強層の、前記他部の編組角が長手方向に均等であることを特徴とする膨張ホース。
  3. 請求項1,2の何れかの膨張ホースの製造方法であって、
    加硫前の前記膨張ホースの前記端部を長手方向に圧縮変形させるか又は拡径変形させ、その状態で加硫処理を行うことによって該端部における補強層の編組角を大となすことを特徴とする膨張ホースの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007120515A (ja) * 2005-10-25 2007-05-17 Bosch Corp 燃料循環用ホース及び内燃機関の燃料循環システム
JP2008202784A (ja) * 2007-01-22 2008-09-04 Bridgestone Corp 差し込み容易でかつ抜け出しにくいホ−ス及びその接続構造

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