JP2005273667A - 液圧装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
液圧歯車ポンプを用いた液圧装置の一層の軽量化及び省スペース化を図る。
【解決手段】
1対の歯車を用い歯車対の噛み合い部の歯間にバックラッシュを設けた液圧歯車ポンプと比較して液圧歯車ポンプの圧力脈動の周波数を高くして発生する音の周波数を従来の液圧歯車ポンプよりも高くした液圧歯車ポンプを用い、カバーにより遮音される割合を増すようにすることにより、カバーをより薄い材料を用いて構成し、液圧装置全体の軽量化及び省スペース化を図るようにした。
【選択図】 図5

Description

本発明は、例えば液圧システムの液圧源等に好適に使用される液圧装置に関する。
液圧システムの液圧源等に好適に使用される液圧装置として、歯車を噛み合わせて同期逆回転させ、歯車の回転に伴い作動液を吐出する液圧歯車ポンプが用いられることが多い。このような液圧装置においては、互いに噛み合う歯車の間に作動液を閉じ込め可能な空間が形成され、その空間からの作動液の放出周期に対応する周期で作動液の圧力が脈動し、この圧力脈動による振動により音が発生する。このような歯車ポンプに用いる歯数は12〜14枚程度のものが多く、歯車駆動用モータの回転数は1分間当たり2500回転程度であるので、音の周波数は500〜600Hz程度である。
この音を液圧装置の外部に漏らさないようにするために、従来はこの液圧装置全体ないし液圧歯車ポンプを厚い鋼製のカバーで覆うことや、カバーの平面部に凹凸を設けて剛性を上げることや、カバー内部に分厚い吸音材を貼ることにより対応している。
しかし、そのような厚い鋼製のカバーで覆うと重量が重くなり、特に自動車等に積載すると積載重量に影響する。また、分厚い吸音材を貼ると、全体の寸法が大きくなり、スペースを大きくとってしまう。さらに、平面部に凹凸を設けると加工の手間がかかる。
そこで、単層壁の遮音に関する質量則により、周波数の高い音は遮断しやすいので、歯車ポンプの歯車の歯数を増やして発生する音の周波数を高くする方法が考えられる。しかし、歯車の歯数を増やすと歯車ポンプが大きくなり、このような歯車ポンプをカバーに収納してなる液圧装置全体もまた大きくなってしまう。
また、歯車ポンプの歯車を駆動するモータの回転数を低くして音圧を低減することが考えられる。しかし、歯車ポンプの歯車の回転数が低くなると、圧力脈動の周波数も低下するため、油圧装置の周囲の油圧機器や配管の振動が大きくなってしまう。
本発明は上記問題を解決することのできる液圧装置を提供することを目的とする。
本発明の液圧装置は、車載され、少なくとも液圧歯車ポンプ、モータ、制御バルブからなる内部構成部品と、タンクと、タンクとともに内部構成部品を収納する遮音用カバーとを具備するものであって、前期歯車の単位時間あたりの回転数をR、歯数をz、Nを2以上の整数として、前記作動液の圧力脈動の周波数がNRz以上とされることで、1対の歯車を用い歯車対の噛み合い部の歯間にバックラッシュを設けた液圧歯車ポンプと比較して、同一回転数で使用した場合の圧力脈動の周波数を高くしているものであることを特徴とする。
本発明の別の特徴は、少なくとも1対の歯車により作動液を吐出する歯車ポンプと、前記歯車ポンプを収納する遮音用カバーとを備え、互いに噛み合う前記歯車の歯の間に作動液を閉じ込め可能な空間が形成され、前記作動液の圧力は、前記空間からの作動液の放出周期に対応する周期で脈動する液圧装置において、前記歯車の単位時間あたりの回転数をR、歯数をz、Nを2以上の整数として、前記圧力脈動の周波数がNRz以上とされる点にある。
本発明の液圧装置においては、互いに噛み合う前記歯車の間に前記空間が2箇所に分かれて形成され、前記圧力脈動の周波数が2Rzとされるのが好ましい。あるいは、前記歯車ポンプは、前記空間からの作動液の放出タイミングが互いに異なる2対以上の歯車を有する多連歯車ポンプとされているのが好ましい。
本発明によれば、歯車ポンプの歯車を駆動するモータの回転数を従来と同様とした場合には、単層壁の遮音に関する質量則により、カバーの面積あたりの質量を減らしても外部に放出する音の強さを従来の液圧歯車ポンプを用いた液圧装置と同一にできる。従って、従来の液圧歯車ポンプを用いた液圧装置に比べて外部に放出する音の強さを同程度に保ちつつ遮音用のカバーを薄くでき、液圧装置全体としての軽量化及び省スペース化を図ることができるようになる。そしてさらに、貨物用自動車に使用する際に貨物の積載重量ならびに積載スペースを増大させることができる。
また、歯車を駆動するモータの回転数を低くすることで騒音を低減させる場合でも、歯車ポンプの作動液の圧力脈動の周波数が低下することはなく、油圧装置の周囲の油圧機器や配管の振動が大きくなるのを防止できる。これにより、モータの回転数を例えば毎分2000回転以下にすることも可能になる。なお、モータの回転数低下による歯車ポンプの作動液吐出容量の低下が問題になる場合は、歯車一回転当たりの吐出容量を多くすることで対応すればよい。
本発明では、液圧装置に用いる歯車ポンプの圧力脈動の周波数を、歯車対の噛み合い部の歯間に従来同様にバックラッシュを設けた1連液圧歯車ポンプと比較して同一回転数で使用した場合において高くするようにしたので、歯車ポンプから発生する音の周波数もこれにつれて高くなる。従って、単層壁の遮音に関する質量則により、この歯車ポンプを収納するカバーを外部に放出する音の強さを同程度に保ちつつより薄い材料で構成することができ、油圧ユニット全体としての軽量化及び省スペース化を図ることができる。そしてさらに、本来の貨物の積載重量ならびに積載スペースを増大させることができる。また、従来の液圧装置と同一のカバーを用いれば、外部に放出する騒音を低減できる。
以下に本発明の第1実施形態について述べる。
本実施形態の液圧装置Uは、正面図を図1、側面図を図2に示すように、液圧歯車ポンプ1、DCモータ2、制御バルブ3からなる内部構成部品と、タンク4と、カバー5とを具備し、カバー5に液圧歯車ポンプ1、モータ2、制御バルブ3からなる内部構成部品及びタンク4を収納している。さらに、前記タンク4と前記液圧歯車ポンプ1の吸入ポート1aとは作動液導入管6により接続されている。また、前記液圧歯車ポンプ1の吐出ポート1bと前記制御バルブ3とは作動液吐出管7により接続されている。そして、液圧式テールゲート付き自動車のテールゲートの上下、格納等に用いる図示しない液圧シリンダ等のアクチュエータを制御バルブ3の接続ポート3aに接続して、その液圧源として用いられる。
前記液圧歯車ポンプ1は、一般的な液圧歯車ポンプとして周知のものと同様に構成されており、縦断面図を図3に示すように、ケーシング11内に噛合状態で収容した一対の歯車14、15により作動液を吐出するものである。詳述すると、ケーシング11は、ポンプボディ12の端面にフロントカバー13を添接、接合してそれらを図示しないボルトにより連結して構成されるものである。
前記ポンプボディ12には、図3におけるa−a断面図を図4に示すように、眼鏡状のめがね穴12xを設け、駆動歯車14及び従動歯車15を噛合状態で収容し、これらの歯車14、15の側面に可動側板16a、16bを添設して容積空間を閉止している。さらに、図3に示すように、ポンプボディ12には、軸受穴12a、12bが設けられ、これらの軸受穴12a、12bに、前記歯車14、15を取り付けた回転軸141、151をブッシュ17を介して回転可能に軸承させている。一方、同図に示すように、フロントカバー13には、軸受穴13a、13bが設けられ、これらの軸受穴13a、13bに、前記歯車14、15を取り付けた回転軸141、151をブッシュ18を介して回転可能に軸承させている。さらに、前記可動側板16a、16bは、圧力がバランスするように構成している。そして、前記回転軸141と前記フロントカバー13との間には、止め輪191及びオイルシール192を介在させて作動液の液漏れを防いでいる。
そして、一端を外部に延出させてなる駆動歯車14の回転軸141に、前記モータ2に接続された図示しない出力軸から駆動力を付与することによって、両歯車14、15を同期逆回転させ、吸入ポート1aから吸入した作動流体を歯車14、15の歯間、可動側板15及びめがね穴12xによって閉成される容積空間に閉じ込めて吐出ポート1bにまで導き吐出するというポンプ作用を営むようにしている。
本実施形態では、1対の歯車を用い歯車対の噛み合い部の歯間に従来同様にバックラッシュを設けた液圧歯車ポンプと比較して、同一回転数で使用した場合の圧力脈動の周波数を倍増するように設定している。より具体的には、図5(a)に示すように、駆動歯車14と従動歯車15との噛み合いのバックラッシュBLを略無くしている。さらに詳述すると、図6に示すように、駆動歯車14と従動歯車15とを噛み合わせてこれら駆動歯車14の回転軸141と従動歯車15の回転軸151との間の空間が最も狭くなる部分の距離である軸間最短距離Aを測定し、ポンプボディ12の軸受穴12a、12b間の厚みが最小となる部分のブッシュ17内周間距離である軸受間最短距離Bが前記軸間最短距離Aと略等しくなるように加工、組立を行う。なお、各歯車14、15の回転軸141、151の外周とブッシュ17の内周との間に隙間を設け、両歯車14、15を浮動支持し、ポンプ駆動時における高圧側と低圧側の圧力差により両歯車14、15を低圧側に押すことで、噛み合い時における両歯車14、15間のバックラッシュを零にしてもよい。
これにより、互いに噛み合う駆動歯車14の歯と従動歯車15の歯との間に作動液を閉じ込め可能な空間Lが2箇所に分かれて形成される。この空間Lに閉じ込められた作動液の空間Lからの放出周期に対応する周期で作動液の圧力は脈動する。すなわち、図5(b)に示すように、単位時間あたりの歯車の回転数をR、歯数をzとすると、時間1/2Rzごとに空間Lに閉じ込められた作動液が押し出され、圧力脈動の周波数は2Rzになる。これにより、圧力脈動により引き起こされる音の基本周波数は2Rzとなる。一方、図7(a)に示すような、駆動歯車a14と従動歯車a15との間に従来同様にバックラッシュBLを設けた液圧歯車ポンプでは、歯間に作動液が閉じ込められる空間Lは1つながりである。すなわち、図5(b)の破線及び図7(b)に示すように、単位時間あたりの歯車の回転数をR、歯数をzとすると、時間1/Rzごとに空間Lに閉じ込められた作動液が押し出され、圧力脈動により引き起こされる音の基本周波数はRzとなる。
従って、バックラッシュBLを略零にすると、圧力脈動により引き起こされる音の基本周波数は、同一回転数Rで使用した場合、従来の液圧歯車ポンプと比較して2倍になる。このとき、単層壁の遮音に関する質量則により、同一のカバー5を用いると外部に漏れる音の強さは減少する。例えば、図8(a)に本実施形態に係る液圧装置Uから漏れる音、図8(b)に本実施形態に係る液圧装置Uと同一のカバーを用いた従来の歯車ポンプを用いた液圧装置から漏れる音の周波数と音の強さを示すグラフを示す。この場合、図8(b)から、従来の液圧装置から漏れる音のピークの周波数は600Hzであるのに対し、図8(a)から、本実施形態に係る液圧装置Uから漏れる音のピークの周波数は1150Hzである。そして、従来の液圧装置から漏れる音の強さは54.92dBであるのに対し、本実施形態に係る液圧装置Uから漏れる音の強さは48.12dBであり、明らかに外部に漏れる音が小さくなっている。すなわち、従来の液圧装置と同一のカバーを用いると、外部に漏れる音を小さくできる。
また、歯車14、15の回転数を従来の1/2にした場合でも圧力脈動により引き起こされる音の基本周波数は従来と同様になる。よって、モータ2の回転数を1/2にすることで騒音を低減させる場合でも、歯車ポンプ1の作動液の圧力脈動の周波数が低下することはなく、液圧装置Uの周囲の油圧機器や配管の振動が大きくなるのを防止できる。これにより、モータ2の回転数を例えば毎分2000回転以下にできる。なお、モータ2の回転数低下による歯車ポンプ1の作動液吐出容量の低下が問題になる場合は、歯車14、15の一回転当たりの吐出容量を多くすればよい。
従って、従来の液圧歯車ポンプを用いた場合と比較して、この液圧歯車ポンプ1を用いた場合は、より薄い材料を用いてカバー5を構成しても外部に漏れる音の強さを従来のものと同程度に保ちつつ、液圧装置U全体の重量及び占有スペースを小さくできる。また、モータ2の回転数低下により周囲の油圧機器や配管の振動による騒音も防止できる。特に、液圧装置Uを貨物用自動車に取り付けて用いる場合、液圧装置Uを軽量化できるので、その分だけ本来の貨物を多く積むことができ、また、液圧装置Uの省スペース化により、本来の貨物の積載スペースを広くとることができる。
次に、図9、図10を参照して本発明の第2実施形態について述べる。なお、第1実施形態に対応する部材及び部分には、同一の符号を付している。
本実施形態では、液圧装置Uを、第1実施形態において用いた液圧歯車ポンプ1に替えて2連液圧歯車ポンプを用いて構成している。その他の部分は第1実施形態と同様に構成しているので詳細な説明は省略する。なお、この2連液圧歯車ポンプの構成及び作用は、本願発明に係る部分を除いては一般的な2連液圧歯車ポンプとして周知のものと同様である。
すなわち、縦断面図を図9に示すように、この2連液圧歯車ポンプは、フロントカバーP2、第1ポンプボディP3、アダプタP4、第2ポンプボディP5、及びリヤカバーP6を具備するケーシングに2つの歯車対P7、P8を内蔵してなるものである。
詳述すると、ケーシングは、4本の締結用ボルトB1によって、フロントカバーP2と、第1の歯車対P7を内蔵する第1ポンプボディP3と、第1の歯車対P7及び第2の歯車対P8の軸受P4a〜P4dを有するアダプタP4と、第2の歯車対P8を内蔵する第2ポンプボディP5と、リヤカバーP6とをこの順で結合してなるものである。
より具体的には、第1の歯車対P7は、駆動歯車P71と従動歯車P72とからなるものである。駆動歯車P71と従動歯車P72は、第1ポンプボディP3の略中心部で噛み合わされており、噛合部のそれぞれ反対側の端部は、第1ポンプボディP3の内壁と略隙間なく接している。
一方、第2の歯車対P8は、駆動歯車P81と従動歯車P82とからなるものである。駆動歯車P81と従動歯車P82は、第2ポンプボディP5の略中心部で噛み合わされており、噛合部のそれぞれ反対側の端部は、第2ポンプボディP5の内壁と略隙間なく接している。
さらに、前記フロントカバーP2には軸受穴P2a、P2bが設けられ、これらの軸受穴P2a、P2bに前記第1の歯車対P7の駆動歯車P71を取り付けた回転軸P71aの一端部及び前記第1の歯車対P7の従動歯車P72を取り付けた回転軸P72aの一端部を回転可能に軸承させている。また、前記アダプタP4の前記第1ポンプボディに接する面には、軸受穴P4a、P4bが設けられ、これらの軸受穴P4a、P4bに前記第1の歯車対P7の駆動歯車P71を取り付けた回転軸P71aの他端部及び前記第1の歯車対P7の従動歯車P72を取り付けた回転軸P72aの他端部を介して回転可能に軸承させている。加えて、前記アダプタP4の前記第2ポンプボディに接する面には、軸受穴P4c、P4dが設けられ、これらの軸受穴P4c、P4dに前記第2の歯車対P8の駆動歯車P81を取り付けた回転軸P81aの一端部及び前記第2の歯車対P8の従動歯車P82を取り付けた回転軸P82aの一端部を回転可能に軸承させている。そして、前記リヤカバーP6には、軸受穴P6a、P6bが設けられ、これらの軸受穴P6a、P6bに前記第2の歯車対P8の駆動歯車P81を取り付けた回転軸P81aの他端部及び前記第2の歯車対P8の従動歯車P82を取り付けた回転軸P82aの他端部を回転可能に軸承させている。以上に示す軸受穴P2a、P2b、P4a、P4b、P4c、P4d、P6a、及びP6bにはその内面にブッシュを設けている。また、これら歯車対P7、P8を構成する歯車P71、P72、P81、P82の側面には可動側板を添設して圧力がバランスするようにしている。
そして、第1ポンプボディP3、アダプタP4、第2ポンプボディP5、及びリヤカバーP6には、図示しないボルト挿通孔が四隅にそれぞれ設けてある。これら挿通孔にリヤカバーP6側から前記締結用ボルトB1を挿入し、フロントカバーP2の四隅に設けた図示しないねじ孔に螺着することにより、これらフロントカバーP2、第1ポンプボディP3、アダプタP4、第2ポンプボディP5、及びリヤカバーP6を一挙に締め付けて結合できるようにしてある。
さらに、第1歯車対P7の駆動歯車P71を支持する回転軸P71aと第2歯車対P8の駆動歯車P81を支持する回転軸P81aとはスプライン結合している。前記回転軸P71aとモータ2に接続した図示しない出力軸とを接続してモータ2を回転させると、第1歯車対P7の駆動歯車P71と第2歯車対P8の駆動歯車P81は同期して回転し、各歯車対P7、P8によりそれぞれ同容量のポンプ作用が営まれ、各歯車対P7、P8からの作動液が合流するように構成してある。
ここで、第1の歯車対P7及び第2の歯車対P8のギア諸元及び厚さは同一にしてある。従って、第1の歯車対P7により吐出される液量と第2の歯車対P8により吐出される液量とは同一であり、また第1の歯車対P7及び第2の歯車対P8による圧力脈動の周波数も同一である。
本実施形態では、この2連液圧歯車ポンプを位相差ポンプとし、図10(a)に示すように、実線で示す第1の歯車対P7の間に作動液を閉じ込め可能な空間を形成するための噛み合いと、破線で示す第2の歯車対P8の間に作動液を閉じ込め可能な空間を形成するための噛み合いが、交互かつ等間隔に起こるようにしている。これにより、第1の歯車対P7の間の空間からの作動液の放出タイミングと第2の歯車対P8の間の空間からの作動液の放出タイミングとが互いに異なるものとされている。すなわち、第1の歯車対P7及び第2の歯車対P8のすべてに同一歯数zの歯車を用い、位相差がπ/zになるようにしている。なお、本実施形態では、第1の歯車対P7と第2の歯車対P8それぞれにおいて、歯車間のバックラッシュは従来同様に設けられている。このようにすると、図10(b)に示すように、単位時間あたりの歯車の回転数をR、歯数をzとおくと時間1/2Rzごとに作動液が押し出されて圧力脈動が発生し、基本周波数2Rzの音が発生する。一方、図7に示すような従来の一連の歯車ポンプからは、前述したように圧力脈動により基本周波数Rzの音が発生する。すなわち、図7に示すような一連の歯車ポンプにおける一対の歯車対の間に従来同様にバックラッシュBLを設けた液圧歯車ポンプと比較して、同一回転数Rで使用した場合の圧力脈動により発生する音の基本周波数も2倍になり、また、回転数Rを1/2にした場合でも圧力脈動により引き起こされる音の基本周波数は同様になる。従って、第1実施形態と同様に、より薄い材料を使用してカバー5を構成でき、液圧装置Uの軽量化及び省スペース化を図ることができ、また、モータ2の回転数を低下させて周囲の油圧機器や配管の振動が大きくなるのを防止して騒音を防止でき、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、従来の液圧装置と同一のカバーを使用して外部に放出する騒音の低減を図ることもできる。
なお、本発明は以上に述べた各実施形態に限られない。
例えば、上述した以外の方法でバックラッシュBLを略零にするか、又は実質的に零にするようにしてもよい。
また、ケーシングは上述した以外にも種々の態様が考えられる。例えば、1対の歯車対を用いる液圧歯車ポンプの場合、ボディにリヤカバーを取り付けるようにしたものや、ボディにフロントカバーとリヤカバーの両方を取り付けるようにしたもの等が挙げられる。また、上述した2連液圧歯車ポンプを用いる第2実施形態についても、例えば第2ポンプボディP5とリヤカバーP6とを一体に構成するものや、フロントカバーP2と第1ポンプボディP3とを一体に構成するもの等、さまざまな変形を行うことができる。
さらに、3連以上の液圧歯車ポンプを用い、この3連以上の液圧歯車ポンプのそれぞれの歯車対の噛み合いが順次等間隔で起こる位相差ポンプとして構成すれば、発生する音の基本周波数を、1対の歯車を用い歯車対の噛み合い部の歯間にバックラッシュを設けた従来の液圧歯車ポンプと比較して、同一回転数で使用した場合3倍以上にできる。すなわち、歯車の単位時間あたりの回転数をR、歯数をz、Nを2以上の整数として、液圧歯車ポンプからの作動液の圧力脈動の周波数を3Rz以上にできる。
その他、内部構成部品に液圧歯車ポンプ、モータ、制御バルブ以外の要素を追加する等、本発明の趣旨を損ねない範囲でさまざまに改変してよい。
本発明の第1実施形態に係る液圧歯車ポンプを用いた液圧装置を示す正面図 同実施形態に係る液圧歯車ポンプを用いた液圧装置を示す側面図 同実施形態に係る液圧歯車ポンプを示す縦断面図 図3におけるa−a断面図 同実施形態に係る液圧歯車ポンプの歯車対の噛み合わせ及び圧力波の波形を示す図 同実施形態に係る液圧歯車ポンプの歯車対の側面及びポンプボディの縦断面を示す図 従来の液圧歯車ポンプの歯車対の噛み合わせ及び圧力波の波形を示す図 本発明の第1実施形態に係る液圧装置及び従来の液圧装置から発生する音の周波数及び強さを示す図 本発明の第2実施形態に係る液圧歯車ポンプを示す縦断面図 同実施形態に係る液圧歯車ポンプの歯車対の噛み合わせ及び圧力波の波形を示す図
符号の説明
U...液圧装置昇降装置
1...液圧歯車ポンプ
11...ケーシング
12...ポンプボディ
13...フロントカバー
14...駆動歯車
141...駆動歯車の回転軸
15...従動歯車
151...従動歯車の回転軸
16a、16b...可動側板
17、18...ブッシュ
191...止め輪
192...オイルシール
1a...吸入ポート
1b...吐出ポート
P...2連液圧歯車ポンプ
P1...ケーシング
P2...フロントカバー
P3...第1ポンプボディ
P4...アダプタ
P5...第2ポンプボディ
P6...リヤカバー
P7...第1の歯車対
P71...第1の歯車対の駆動歯車
P71a...第1の歯車対の駆動歯車の回転軸
P72...第1の歯車対の従動歯車
P72a...第1の歯車対の従動歯車の回転軸
P8...第2の歯車対
P81...第2の歯車対の駆動歯車
P81a...第2の歯車対の駆動歯車の回転軸
P82...第2の歯車対の従動歯車
P82a...第2の歯車対の従動歯車の回転軸
P2a、P2b、P4a〜P4d、P6a、P6b...軸受穴
2...モータ
3...制御バルブ
3a...接続ポート
4...タンク
5...カバー
6...作動液吸入管
7...作動液吐出管
a14...従来の液圧歯車ポンプの駆動歯車
a15...従来の液圧歯車ポンプの従動歯車

Claims (5)

  1. 車載され、少なくとも液圧歯車ポンプ、モータ、制御バルブからなる内部構成部品と、タンクと、タンクとともに内部構成部品を収納する遮音用カバーとを具備するものであって、前記液圧歯車ポンプが、少なくとも1対の歯車により作動液を吐出するものとされ、前期歯車の単位時間あたりの回転数をR、歯数をz、Nを2以上の整数として、前記作動液の圧力脈動の周波数がNRz以上とされることで、1対の歯車を用い歯車対の噛み合い部の歯間にバックラッシュを設けた液圧歯車ポンプと比較して、同一回転数で使用した場合の圧力脈動の周波数を高くしているものであることを特徴とする液圧装置。
  2. 少なくとも1対の歯車により作動液を吐出する歯車ポンプと、前記歯車ポンプを収納する遮音用カバーとを備え、互いに噛み合う前記歯車の歯の間に作動液を閉じ込め可能な空間が形成され、前記作動液の圧力は、前記空間からの作動液の放出周期に対応する周期で脈動する液圧装置において、前記歯車の単位時間あたりの回転数をR、歯数をz、Nを2以上の整数として、前記圧力脈動の周波数がNRz以上とされることを特徴とする液圧装置。
  3. 互いに噛み合う前記歯車の間に前記空間が2箇所に分かれて形成され、前記圧力脈動の周波数が2Rzとされる請求項2に記載の液圧装置。
  4. 前記歯車ポンプは、前記空間からの作動液の放出タイミングが互いに異なる2対以上の歯車を有する多連歯車ポンプとされている請求項2または3に記載の液圧装置。
  5. 請求項1〜4の中の何れかの液圧装置を液圧源として用いるために搭載する貨物用自動車。
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JP2013204444A (ja) * 2012-03-27 2013-10-07 Toyota Motor Corp 内燃機関の制御装置
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