JP2005273103A - 中芯原紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】
中芯原紙の段割れの発生を防止すると共に、ライナー適性を兼ね備えた中芯原紙、すなわち段割れの発生の防止と、ライナー適性の向上という相反する特性を両立させた中芯原紙を提供する。
【解決手段】
単層又は2層以上の複数層の紙層を有する中芯原紙において、中芯原紙の一方の面のJIS−P8147に基づく静摩擦係数を0.344以下とし、また他方の面の静摩擦係数を0.364以上とする。また中芯原紙は、中芯と貼合する面の紙の流れ方向(MD)と横方向(CD)との繊維の配向比(MD/CD)を2.00以上とし、他方の面の繊維の配向比を1.70以下とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、段割れの発生の防止と、ライナー適性の向上という相反する特性を両立させた中芯原紙に関する。
段ボール原紙は、外装用ライナー及び内装用ライナー(この外装用及び内装用を総称して「ライナー」と言う。)と、段をつける紙となる中芯原紙とに分類され、中芯原紙をコルゲータ等で処理して波形に成形し、段頂部に接着剤を塗布してライナーを貼り合わせて段ボールシート(以下、「段ボール」と言う。)が製造される。
近年、例えばコルゲータや製函機等の段ボール加工機械は、広幅・高速化が顕著となってきている。この結果、中芯原紙に段割れが発生したり、段頂部が切れる現象が発生し、段ボールの生産効率や品質を低下させていた。この段割れとは、波形に成形された中芯の段頂部から段腹部にかけて割れが発生する現象で、このような段割れが発生している中芯が使用された場合、段ボールとしての強度が著しく損なわれ段ボールの生産効率や品質を低下させる大きな原因となっている。この段割れは、コルゲータ等の段ロールにおいて中芯原紙を波形に成形する際、すなわち段成形の際、中芯原紙に働く摩擦による張力や、曲げ応力や、せん断応力等が大きくなり過ぎるために発生する。
従って、このような段割れの発生を防止するには、主として、中芯原紙の表面が平滑である、すなわち摩擦抵抗が低いこと、及び中芯原紙の強度、特に引張り強度が大きいことが要求されている。
そこで、例えば特許文献1に示されるように、中芯原紙の表面に滑剤を塗布又は噴霧することによって、中芯原紙の表面を平滑にし、段割れの発生を防止した段ボール用中芯原紙が提案されている。
しかし、この場合、表面に塗布又は噴霧された滑剤が抄紙時の紙の巻き取り時に裏面にもある程度転写する。従って、近年、中芯原紙が段ボールのライナーの代替として使用される場合があるが、上述したような表裏面が平滑な中芯原紙が段ボールのライナーの代替として使用された場合、この段ボールは非常に滑り易くなるため扱い難く、またパレット等に積載された場合には荷崩れを起こし易いという問題があり、ライナー適性に優れたものではなかったため、段割れの発生の防止と、ライナー適性の向上という相反する特性を両立させた中芯原紙の開発が待たれていた。
特開平11−300862号公報
本発明は、上述したような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、中芯原紙の段割れの発生を防止すると共に、ライナー適性を兼ね備えた中芯原紙、すなわち段割れの発生の防止と、ライナー適性の向上という相反する特性を両立させた中芯原紙を提供することである。
本発明の上記目的は、単層又は2層以上の複数層の紙層を有する中芯原紙において、該中芯原紙は、一方の面のJIS−P8147に基づく静摩擦係数が0.344以下であり、他方の面の静摩擦係数が0.364以上であることを特徴とする中芯原紙を提供することによって、達成される。
また、本発明の上記目的は、前記中芯原紙は、中芯と貼合する面の紙の流れ方向(MD)と横方向(CD)との繊維の配向比(MD/CD)が2.00以上、他方の面の前記繊維の配向比が1.70以下であることを特徴とする中芯原紙を提供することによって、効果的に達成される。
本発明に係る中芯原紙によれば、中芯と貼合する面の繊維の配向比(MD/CD)を2.00以上、他方の面の繊維の配向比を1.70以下とすることによって、中芯原紙の表裏面で静摩擦係数を異ならせることができるので、段割れの発生の防止と、ライナー適性の向上という相反する特性を両立させることができる。
以下、本発明に係る中芯原紙について、詳細に説明する。
本発明に係る中芯原紙(以下、「本中芯原紙」と言う。)は、単層又は2層以上の複数層で構成されており、繊維の配向比を調整することによって、中芯原紙の表裏面で静摩擦係数を異ならせている。すなわち、中芯原紙の一方の面(好ましくは中芯との貼合面(以下、この貼合面を「表面」と言う。))のJIS−P8147に基づく静摩擦係数(以下、単に「静摩擦係数」と言う。)が0.344以下、もう一方の面(好ましくは中芯との貼合面と反対の面(以下、この貼合面と反対の面を「裏面」と言う。))の静摩擦係数が0.364以上、好ましくは0.404以上となるように調整する。従って、本中芯原紙は、段割れを防止することができると共に、優れたライナー適性を有する。
なお、後述する実施例で示すように、中芯原紙の裏面の静摩擦係数が0.344以下であると、中芯原紙がライナーとして使用され、コルゲータ等で処理された中芯に貼り合わされて段ボールが形成された場合、この段ボールは非常に滑り易いため扱い難く、またパレット等に積載された場合には荷崩れを起こし易くなる、すなわちライナー適性が低下する。従って、段割れの発生の防止と、ライナー適性の向上という相反する特性を両立させることができない。
また、中芯原紙の裏面の静摩擦係数が0.364未満であると、ライナー適性を十分に向上させることができない。
また、中芯原紙の表面の静摩擦係数が0.364より高いと、中芯原紙の摩擦抵抗が大きくなるので、中芯原紙に段割れが発生し、段ボールの生産効率や品質が低下する。従って、段割れの発生の防止と、ライナー適性の向上という相反する特性を両立させることができない。
また、本中芯原紙は静摩擦係数を0.344以下とする面に、滑剤が塗布又は噴霧されていても良い。
この滑剤としては、ポリエチレンワックス、ステアリン酸亜鉛、ポリエチレンワックス乳化物、酸化ポリエチレン系ワックス等のワックス類、又はステアリン酸とその誘導体、オレイン酸とその誘導体等の公知の種々の滑剤を塗布することができる。なお、これらの滑剤は単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
さらにまた、本中芯原紙は静摩擦係数を0.364以上、好ましくは0.404以上とする面に、防滑剤が塗布又は噴霧されていても良い。
この防滑剤としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ゴム、塩化ビニル樹脂等の公知の種々のものを使用することができる。なお、これらの防滑剤は単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。また、耐熱性、ブロッキング性を向上させるために、シリカ等の無機物質材料の微粒子を添加するようにしても良い。
本中芯原紙の紙料中には必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、一般抄紙用の内添添加剤、例えば紙力剤、バインダー、分散剤、苛性ソーダ、アンモニア水等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、蛍光染料、離型剤、染料、耐水化剤、流動変性剤、歩留り向上剤等を適宜添加することができる。なお、これらの内添添加剤は単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
本中芯原紙は、表面の紙の流れ方向(MD)と横方向(CD)との繊維の配向比(以下、「MD/CD」と言う。)が2.00以上、裏面のMD/CDが1.70以下であると、上述したように中芯原紙の表裏面の静摩擦係数を異ならせることができるので、中芯原紙の段割れの発生の防止と、ライナー適性の向上という相反する特性を両立させることができる。
なお、後述する実施例で示すように、中芯原紙の表面のMD/CDが2.00未満であると、抄紙された中芯原紙の繊維の配向がランダムとなるので中芯原紙の表面の静摩擦係数が高くなり、中芯原紙の段割れを防止することができない。また、本中芯原紙の裏面のMD/CDが1.70を超えると、抄紙された中芯原紙の繊維の方向はMD方向に並ぶ傾向が強くなるので、中芯原紙の裏面の静摩擦係数を0.364以上とすることができず、中芯原紙のライナー適性を低下させる。
本発明に係る中芯原紙の原料パルプは、特に限定されず、例えば針葉樹や広葉樹を主原料としたクラフトパルプ(KP)、PGW,SGP,RGP,BCTMP,CTMP等の機械パルプ、脱墨パルプ、古紙パルプ、あるいはケナフ、竹、麻、藁等の非木材パルプ等を単独であるいは2種以上を混合して使用することができる。しかし、森林資源保護のため、また近年社会問題化している古紙過剰問題を解消するために古紙パルプを用いることが好ましい。
なお、本発明に係る中芯原紙の米坪については、特に限定されず、一般の中芯原紙の米坪、具体的には115〜200g/mとすることができる。
また、中芯原紙の抄紙方法についても、特に限定されるものではないので、酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ性抄紙のいずれであっても良い。さらにまた、抄紙機についても、特に限定されるものではないので、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、ヤンキー抄紙機等の公知の種々の抄紙機を適宜使用することができる。
本発明に係る中芯原紙の効果を確認するため、以下のような各種の試料を作製し、これらの各試料に対する品質を評価する試験を行った。なお、本発明はこの実施例によって制限を受けるものではない。
本発明に係る中芯原紙(これを「試料」とする)と、これらの試料と比較検討するための5種類の中芯原紙(これを「比較試料1」ないし「比較試料5」とする)を作製した。
また、全試料及び比較試料の米坪は200g/mであり、また試料及び比較試料1ないし比較試料4の中芯原紙の表面には滑剤が0.01〜0.02g/m塗布されている。
なお、表1中の「静摩擦係数」とはJIS−P8147に基づく傾斜方法により測定したもので、紙の流れ方向と流れ方向とを合わせて測定した値である。
また、「MD/CD」とは、紙の流れ方向と横方向との繊維の配向比であり、音速測定による方法、すなわち試験機として野村商事株式会社製のSST3000を用い、超音波発信器と受信器とを固定して(両者間の距離を一定にして)、紙の流れ方向に対する角度を変化させた場合の音速を測定する方法により、繊維の配向性を求めた。なお、表層及び裏層のMD/CDの測定に際しては、紙に水を含浸させ、自然乾燥させた後、又はシートドライヤーにてシワが入らないように水分率7.5〜9.5%程度に乾燥させた後、測定した。
これらの試料及び各比較試料について、段割れ及び滑りについて評価した結果は表1に示すとおりであった。
なお、表1中の「段割れ」とは、コルゲータでA段に貼合したシートを剥がし、中芯の段割れ状態を目視評価したもので、その評価基準は◎印の「段割れが全く発生しない」、△印の「ひび割れが発生する(紙自体は切れていないが、紙を透かして見るとひびが入っている状態を言う)」、×印の「段割れが発生する」の3段階とした。
また、「滑り」とは、コルゲータでA段に貼合した巾80cm、流れ150cmのシートをパレットに2列に各々800シートを積載し、フォークリフトにて時速10km/hで直進及び蛇行運搬した際のシートのズレ易さを評価したもので、その評価基準は◎印の「荷崩れが全く発生しない」、○印の「荷崩れが殆ど発生しない」、△印の「荷崩れが発生するが、実用上問題ない」、×印の「荷崩れが著しく発生する」の4段階とした。
Figure 2005273103
表1から本実施例によれば、試料すなわち本発明に係る中芯原紙は、段割れの発生の防止と、ライナー適性の向上という相反する特性を両立させることができることが分かる。
すなわち、比較試料1及び比較試料2は、中芯原紙の裏面の静摩擦係数が0.344以下であり、滑り評価が悪くなるので、ライナー適性を向上させることができない。
また、比較試料3は、中芯原紙の裏面の静摩擦係数が0.364未満であり、滑り評価が悪くなるので、本願発明の所望とするライナー適性を得ることができない。
さらにまた、比較試料4及び比較試料5は、中芯原紙の表面の静摩擦係数が0.364より高く、段割れが発生し易くなる。

Claims (2)

  1. 単層又は2層以上の複数層の紙層を有する中芯原紙において、該中芯原紙は、一方の面のJIS−P8147に基づく静摩擦係数が0.344以下であり、他方の面の静摩擦係数が0.364以上であることを特徴とする中芯原紙。
  2. 前記中芯原紙は、中芯と貼合する面の紙の流れ方向(MD)と横方向(CD)との繊維の配向比(MD/CD)が2.00以上、他方の面の前記繊維の配向比が1.70以下であることを特徴とする請求項1に記載の中芯原紙。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012161725A (ja) * 2011-02-04 2012-08-30 Daio Paper Corp 半透膜支持体、水処理用半透膜、および半透膜支持体の製造方法

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