JP2005272676A - 透明ポリウレタン樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリイソシアネート化合物(A)に対し、数平均分子量1000〜6000のポリオキシアルキレンモノオール(B1)、数平均分子量4500〜25000でありかつ官能基数が2であるポリオキシアルキレンポリオール(C1)および数平均分子量が1000〜25000でありかつ官能基数が3であるポリオキシアルキレンポリオール(D)を所定の割合で含む水酸基含有化合物を反応させ、かつ可塑剤および溶剤を添加しないで透明ポリウレタン樹脂を製造する。さらに、前記透明ポリウレタン樹脂は、JIS K6301に準拠して硬さ試験機A型を使用して測定した硬度が5未満であり、かつJIS K6301に準拠して硬さ試験機C型を使用して測定した硬度が30以下であることが好ましい。
Description
従来、光学材料用緩衝材にポリウレタン樹脂を用いる場合は、一般にポリウレタン樹脂に可塑剤および/または溶剤(以下、可塑剤等とも記す)を含有させることによってポリウレタン樹脂を低硬度にして柔軟性および弾力性を付与していた。しかし、このようなポリウレタン樹脂を緩衝材として用いた光学用部材を耐熱試験した場合、試験条件下でポリウレタン樹脂から可塑剤等がブリードしてしまい、光学用部材を汚染する原因になっていた。また、ポリウレタン工業分野で汎用されているポリオール化合物をポリウレタン樹脂の原料として用いた場合、樹脂の弾力性をある程度維持したまま低硬度のポリウレタン樹脂を得ることは困難であり、得られるポリウレタン樹脂の緩衝性能は充分なものとはいえなかった(例えば、特許文献1、2および3参照)。上述したように光学部材用、特に光学材料用緩衝材として用いるためのポリウレタン樹脂として、透明で、しかも低硬度であり、かつ好適な柔軟性と弾力性を兼ね備え、可塑剤等がブリードしないポリウレタン樹脂が求められている。
ここで、前記(B1)、前記(C1)、および前記(D1)の質量を合計した総質量中において、前記(B1)の割合が20〜50質量%、前記(C1)の割合が10〜30質量%、かつ前記(D1)の質量の割合が20〜60質量%であり、
しかも可塑剤および溶剤を添加しないことを特徴とするものである。
前記イソシアネート基末端プレポリマー(E)に、さらに数平均分子量が1000〜6000のポリオキシアルキレンモノオール(B2)、数平均分子量が4500〜25000でありかつ官能基数が2であるポリオキシアルキレンポリオール(C2)、および数平均分子量が1000〜25000でありかつ官能基数が3であるポリオキシアルキレンポリオール(D2)を含む水酸基含有化合物を反応させ、
ここで、前記(B1)、前記(B2)、前記(C1)、前記(C2)、前記(D1)、および前記(D2)の質量を合計した総質量中において、前記(B1)および(B2)の合計量が20〜50質量%、前記(C1)および(C2)の合計量が10〜30質量%、かつ前記(D1)および(D2)の合計量が20〜60質量%であり、
しかも可塑剤および溶剤を添加しないことを特徴とするものである。
数平均分子量=(56100/OHv)×1分子当たりの平均官能基数
を用いて計算した値をいう。ここで、水酸基価とは、JIS K1557 6.4に準拠して測定した値である。
本発明の透明ポリウレタン樹脂の製造方法に用いる各種原料およびそれを用いた具体的製造方法を以下に説明する。
上記ポリイソシアネート化合物(A)としては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートおよびアラルキルポリイソシアネートからなる群から選ばれるポリイソシアネートならびにそれらの変性体が好ましい。
具体的なポリイソシアネート化合物(A)としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)およびジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)およびリジンジイソシアネート(LDI)等の脂肪族ポリイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)および水添MDI(H12MDI)等の脂環族ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)およびテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等のアラルキルポリイソシアネート、およびこれらの変性体が挙げられ、これらから選ばれる一種以上を用いることができる。前記変性体の具体例としては、前記各種ポリイソシアネート化合物と低分子ジオールおよび/または低分子トリオールとの反応物であるプレポリマー変性体、前記各種ポリイソシアネート化合物と水との反応物であるビュレット体、イソシアヌレート骨格を有する三量体などが挙げられる。本発明に用いるポリイソシアネート化合物(A)としては、無黄変性ポリイソシアネート、具体的には脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、アラルキルポリイソシアネート、およびそれらの変性体からなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましく、脂肪族ポリイソシアネートおよびその変性体からなる群から選ばれる少なくとも一種がより好ましく、HDIおよびHDIのプレポリマー変性体からなる群から選ばれる少なくとも一種が特に好ましい。
本発明に用いるポリオキシアルキレンモノオール(B1)および(B2)(以下、あわせて単に、ポリオキシアルキレンモノオール(B)とも記す)は、数平均分子量が1000〜6000のポリオキシアルキレンモノオールであり、数平均分子量が2000〜4000であることが特に好ましい。ポリオキシアルキレンモノオール(B)は、水酸化カリウムおよび水酸化セシウム等のアルカリ触媒、ジエチル亜鉛、塩化鉄、金属ポリフィリン、ならびに複合金属シアン化物錯体等からなる群から選ばれる少なくとも一種の触媒の存在下、分子内に1つの活性水素原子を有する開始剤にアルキレンオキシドを開環重合反応させて製造することができる。
本発明におけるポリオキシアルキレンポリオール(C1)および(C2)(以下、あわせて単にポリオキシアルキレンポリオール(C)とも記す)は、数平均分子量が4500〜25000であり、官能基数が2である。ポリオキシアルキレンポリオール(C)は、水酸化セシウムなどのアルカリ触媒、ジエチル亜鉛、塩化鉄、金属ポルフィリン、および複合金属シアン化物錯体等からなる群から選ばれる触媒の存在下で、一分子あたり2個の活性水素原子を有する開始剤または開始剤の混合物にアルキレンオキシドを開環重合させることにより製造できる。
本発明に用いるポリオキシアルキレンポリオール(D1)および(D2)(以下あわせてポリオキシアルキレンポリオール(D)とも記す)は、数平均分子量が1000〜25000、かつ官能基数が3のポリオキシアルキレンポリオールである。ポリオキシアルキレンポリオール(D)は、水酸化セシウムなどのアルカリ触媒、ジエチル亜鉛、塩化鉄、金属ポルフィリン、および複合金属シアン化物錯体等からなる群から選ばれる触媒の存在下で、活性水素原子を有する開始剤の存在下アルキレンオキシドを開環重合反応させることによって製造できる。
本発明において、透明ポリウレタン樹脂を製造する方法としては、いわゆるワンショット法またはプレポリマー法のいずれの方法を用いることもできる。しかし、本発明の透明ポリウレタン樹脂の製造方法においては、プレポリマー法を用いた場合にワンショット法を用いた場合よりも、得られるポリウレタン樹脂の機械物性が優れる場合が多く、また、ポリウレタン樹脂を製造する際のイソシアネート基と水酸基との反応のコントロールがワンショット法よりもプレポリマー法を用いた場合のほうが容易である。したがって、本発明においては、ポリイソシアネート化合物(A)、ポリオキシアルキレンモノオール(B1)、ポリオキシアルキレンポリオール(C1)、および所望によりポリオキシアルキレンポリオール(D1)を含む水酸基含有化合物と反応させて予めイソシアネート基末端プレポリマー(E)(以下、単にプレポリマー(E)とも記す)を製造し、次いでこのプレポリマー(E)を(i)ポリオキシアルキレンポリオール(D1)を含む水酸基含有化合物と反応させるか、または(ii)ポリオキシアルキレンモノオール(B2)、ポリオキシアルキレンポリオール(C2)、およびポリオキシアルキレンポリオール(D2)を含む水酸基含有化合物と反応させることによりポリウレタン樹脂を製造する、プレポリマー法を用いることが好ましい(上記プレポリマー(E)に反応させる(i)、または(ii)として示した水酸基含有化合物の組み合わせ物を、以下においてあわせて「硬化用ポリオール」とも記す)。本発明においては、特に、前記プレポリマー(E)にさらにポリオキシアルキレンモノオール(B2)、ポリオキシアルキレンポリオール(C2)、およびポリオキシアルキレンポリオール(D2)を含む水酸基含有化合物を反応させる方法が好ましい。
本発明の透明ポリウレタン樹脂には、ポリウレタン技術分野で公知の各種添加剤を用いることができる。添加剤としては、上述したウレタン化反応触媒のほかに、老化防止剤、消泡剤、および難燃剤等が挙げられる。
以下の実施例および比較例で用いたモノオールおよびポリオールは以下のとおりである。また「DMC」は複合金属シアン化物錯体である亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体を表す。
モノオール(b1):n−ブタノールにDMCを用いてプロピレンオキシド(PO)を付加して得られた、水酸基価18.1mgKOH/gのポリオキシプロピレンモノオール。
ポリオール(c1):プロピレングリコール(PG)のPO付加体(水酸基価112mgKOH/g)にDMCを用いてさらにPOを付加して得られた、水酸基価18.1mgKOH/g、不飽和度0.005meq/gのポリオキシプロピレンジオール。
ポリオール(d1):グリセリンのPO付加体(水酸基価168mgKOH/g)を開始剤として、DMCを用いてさらにPOを付加後、KOH触媒にてエチレンオキシド(EO)を付加して得られた、オキシエチレン基含有量12質量%、水酸基価16.8mgKOH/g、不飽和度0.005meq/gのポリオキシプロピレントリオール。
ポリオール(d2):グリセリンのPO付加体(水酸基価168mgKOH/g)を開始剤として、DMCを用いてさらにPOを付加して得られた、水酸基価14.0mgKOH/gのポリオキシプロピレントリオール。
ポリオール(d3):グリセリンを開始剤として、水酸化カリウムを用いてPOを付加して得られた、水酸基価33.0mgKOH/g、不飽和度0.06meq/gのポリオキシプロピレントリオール。
ポリオール(d4):グリセリンを開始剤として、水酸化カリウムを用いてPOを付加して得られた、水酸基価160mgKOH/g、不飽和度0.04meq/gのポリオキシプロピレントリオール。
ポリオール(d5):グリセリンを開始剤として、水酸化カリウムを用いてPOを付加して得られた、水酸基価112mgKOH/g、不飽和度0.04meq/gのポリオキシプロピレントリオール。
ポリオール(d6):グリセリンを開始剤として、水酸化カリウムを用いてPOを付加して得られた、水酸基価56.0mgKOH/g、不飽和度0.05meq/gのポリオキシプロピレントリオール。
撹拌機、滴下ロート、窒素導入管および温度計を取り付けた4ツ口フラスコに、プレポリマー変性ヘキサメチレンジイソシアネート300g(商品名:デュラネートD−101、イソシアネート基含有量:19.7質量%、旭化成株式会社製)、モノオール(b1)268g、およびポリオール(c1)132gを入れて混合し、温度100℃で4時間反応させ、イソシアネート基含有量7.61質量%のプレポリマー(X1)を得た。
例1で用いた原料に代えて、例1で用いたプレポリマー変性ヘキサメチレンジイソシアネート300g、モノオール(b1)268g、ポリオール(c1)132g、およびポリオール(d1)400gを用いた以外は例1と同様にして、イソシアネート基含有量4.33質量%のプレポリマー(X2)を得た。
例1で用いた原料に代えて、プレポリマー変性ヘキサメチレンジイソシアネート(商品名:デュラネートD−201、イソシアネート基含有量:16.1質量%、旭化成株式会社製)370g、モノオール(b1)268g、ポリオール(c1)132g、およびポリオール(d1)1200gを用いた以外は例1と同様にして、イソシアネート基含有量4.33質量%のプレポリマー(X3)を得た。
例1で用いた原料に代えて、ヘキサメチレンジイソシアネート(イソシアネート基含有量:50.0質量%)8.40g、およびポリオール(d6)50.0gを用いた以外は例1と同様にして、イソシアネート基含有量3.6質量%のプレポリマー(X4)を得た。
上記プレポリマー(X1)70.0gに対して、モノオール(b1)186.5g、ポリオール(c1)93.2g、ポリオール(d1)300.0g、触媒としてジブチル錫ジラウレート500ppm、消泡剤(商品名:ディスパロンOX−710、楠本化成株式会社製)500ppm、および酸化防止剤(商品名:イルガノックス245、チバスペシャリティケミカルズ株式会社製)3000ppmを添加し、混合撹拌した後、さらに減圧脱泡して反応混合物とした。この反応混合物を、離型剤を塗った金型に注液し、100℃で20分間加熱後、脱型して透明ポリウレタン樹脂の成形シートを得た。得られた成形シートは以下に述べる評価試験に用いた。
上記例5と同様の方法を用い、表1に示した原料組成を用いて、例6〜8(実施例)および例9〜10(比較例)のポリウレタン樹脂成形シートを得た。
1.硬度試験
JIS K6301に準拠して硬さ試験機A型およびC型(商品名:Durometer A型およびC型、高分子計器株式会社製)を使用し、例5〜10で得られたポリウレタン樹脂の硬度を測定して「JIS A硬度」および「JIS C硬度」を測定した。
例5〜10で得られたポリウレタン樹脂の成形シートを120℃のオーブンに10日間放置し、10日経過後の成形シートの表面からのブリードアウトの有無を目視で観察した。ブリードアウトが見られなかったものを○、ブリードアウトが見られたものを×とした。
例5〜10で得られたポリウレタン樹脂の成型シートの耐衝撃性を、IEC規格(Publication 65、1985に記載)で規定されるスプリングインパクトハンマーを用いて測定した。耐衝撃性が0.5J以上のものを○、耐衝撃性が0.5J未満のものを×とした。
例5〜10で得られたポリウレタン樹脂の成形シートを重ねて1mm厚さの積層シートにし、JIS K7105に準拠してこの積層シートのヘーズを測定した。ヘーズが1%未満のものを○、ヘーズが1%以上のヘーズのものを×とした。
以上の1〜5の評価試験結果を表1に示した。
Claims (3)
- ポリイソシアネート化合物(A)に対し、数平均分子量が1000〜6000であるポリオキシアルキレンモノオール(B1)、数平均分子量が4500〜25000でありかつ官能基数が2であるポリオキシアルキレンポリオール(C1)、および数平均分子量が1000〜25000でありかつ官能基数が3であるポリオキシアルキレンポリオール(D1)を含む水酸基含有化合物を反応させ、
ここで、前記(B1)、前記(C1)、および前記(D1)の質量を合計した総質量中において、前記(B1)の割合が20〜50質量%、前記(C1)の割合が10〜30質量%、かつ前記(D1)の質量の割合が20〜60質量%であり、
しかも可塑剤および溶剤を添加しないことを特徴とする透明ポリウレタン樹脂の製造方法。 - ポリイソシアネート化合物(A)に対し、数平均分子量が1000〜6000であるポリオキシアルキレンモノオール(B1)、および数平均分子量4500〜25000でありかつ官能基数が2であるポリオキシアルキレンポリオール(C1)および所望により数平均分子量が1000〜25000でありかつ官能基数が3であるポリオキシアルキレンポリオール(D1)を含む水酸基含有化合物を反応させてイソシアネート基末端プレポリマー(E)を得、
前記イソシアネート基末端プレポリマー(E)に、さらに数平均分子量が1000〜6000のポリオキシアルキレンモノオール(B2)、数平均分子量が4500〜25000でありかつ官能基数が2であるポリオキシアルキレンポリオール(C2)、および数平均分子量が1000〜25000でありかつ官能基数が3であるポリオキシアルキレンポリオール(D2)を含む水酸基含有化合物を反応させ、
ここで、前記(B1)、前記(B2)、前記(C1)、前記(C2)、前記(D1)、および前記(D2)の質量を合計した総質量中において、前記(B1)および(B2)の合計量が20〜50質量%、前記(C1)および(C2)の合計量が10〜30質量%、かつ前記(D1)および(D2)の合計量が20〜60質量%であり、
しかも可塑剤および溶剤を添加しないことを特徴とする透明ポリウレタン樹脂の製造方法。 - 請求項1または2に記載の製造方法を用いて製造され、しかも、JIS K6301に準拠して硬さ試験機A型を使用して測定した硬度が5未満であり、かつJIS K6301に準拠して硬さ試験機C型を使用して測定した硬度が30以下であることを特徴とする透明ポリウレタン樹脂。
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