JP2005271701A - 樹脂製車両用部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 走行中の車両が歩行者に衝突した際に、該歩行者の受ける打撃衝撃が弱くなるようにする。
【解決手段】 フェンダ5とホイルエプロンレインフォースメント7とを連結する内板部材10を、ポリプロピレンホモポリマーをベースとしてタルクを10〜35重量%含有した樹脂材料によって形成する。前記内板部材10には、車体内方に向かって屈曲する屈曲部10eが形成されている。該屈曲部10eの内側角部に、曲率半径が2mm未満のR部10fを形成する。前記内板部材10の壁部10bに切り欠き部10hを設けて、その底部に上述のようなR部10fを形成してもよい。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両用の樹脂製部材に関し、特に、走行中の車両が歩行者と衝突した際に、その衝撃を緩衝するための緩衝構造の技術分野に属する。
従来より、走行中の車両が歩行者と衝突した際に、該歩行者へのダメージを軽減するように車両の衝撃を受ける部分に緩衝構造を設けることが知られている。例えば、特許文献1の図1に示すように、車両のフェンダーパネルとエプロンメンバとを連結する連結部材の構造に工夫を凝らして、該フェンダーパネルの上方から衝撃が加わった場合に該連結部材を変形あるいは破断させることにより衝撃を低減させるようにしたものがある。
具体的には、前記フェンダーパネルの下側に配設されるフェンダーインナーパネルを車両前後方向で見て略L字状に形成するとともに、該フェンダーインナーパネルの横壁部の車幅方向内側部を、車両前後方向で見て略矩形状に形成された前記エプロンメンバの上部に重ね合わせるように取り付ける。その際、前記フェンダーインナーパネルの縦壁部が前記エプロンメンバに対して車幅方向外側に所定距離、ずれるように取り付けることで、前記フェンダーパネルの上方から荷重が作用すると、前記フェンダーインナーパネルの縦壁部が下方に移動するとともに、該フェンダーインナーパネルの横壁部の車幅方向外側部が下方に変形し、上方から加わる衝撃を吸収することができる。
上述のようにフェンダーパネルとエプロンメンバとの連結部材の構造に工夫を凝らしたもののほかに、例えば前記特許文献1の図9及び図10に示すように、連結部材の材料を金属材料よりも強度の低い樹脂製材料に変更し、上方から衝撃が加わった際に、該連結部材をその途中で破断させることで、上方からの衝撃を吸収するようにしたものもある。
特開平11−180350号公報
しかしながら、一般的に、樹脂製部材は、図8に示すように、衝撃が加わった時の歪速度が大きくなると引張強さが大きくなる傾向にあり、或る程度車速の高い状態で車両が歩行者に衝突したときなどのように車両部材の歪速度が大きい場合には、樹脂製部材が変形や破断を生じにくく、歩行者へのダメージを十分に軽減することができないという問題があった。
一方、衝撃を吸収しやすくするために衝撃荷重を受ける部材に切り欠き等を形成することが考えられるが、その場合でも、樹脂製部材を用いると、図9に示すように、引張速度が大きくなればそれに応じて材料強度も増大するという傾向は変わらず、衝撃を十分に吸収することはできなかった。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、走行中の車両が歩行者と衝突した際に衝撃を受ける部分に配設される樹脂製部材の構造に工夫を凝らして、衝突時の衝撃を効果的に吸収し、歩行者へのダメージを軽減することにある。
前記目的を達成するために、本願の発明者らは、鋭意努力の結果、図10に示すように、ポリプロピレンホモポリマーにおいて、切り欠きのR部の曲率半径が2mm未満であれば、歪速度が大きくなった場合でも降伏応力の上昇が抑制されることを見出し、発明を完成した。
すなわち、請求項1の発明では、走行中の車両が歩行者に衝突した際に、その衝突により衝撃荷重を受ける車体の部位に配設され、ポリプロピレンホモポリマーをベースとする樹脂材料からなる樹脂製車両用部材を前提とする。そして、前記衝撃荷重によって降伏または破断するように溝状の切り欠き部及び折曲部の少なくとも一方が形成されるとともに、該切り欠き部の底部及び折曲部の内側角部の少なくとも一方のR部の曲率半径が2mm未満とされているものとする。
この構成により、車両が歩行者に衝突して、所定以上の衝撃荷重を受けると、車両用部材に形成された切り欠き部や折曲部のR部において降伏(衝撃が大きい場合には破断)を生じ、これにより歩行者の受ける衝撃が軽減される。
ここで、前記衝撃荷重を受ける車両部材がポリプロピレンホモポリマーによって形成され、且つ前記切り欠き部や折曲部のR部の曲率半径が2mm未満であると、歪速度が大きくなっても一般的な樹脂材料のように降伏応力が高くなることがないので、衝突時の車速が或る程度高い状態でも、低速走行時と同様に前記R部の塑性変形若しくは破断によって衝撃を効果的に吸収することができる。
上述の構成において、R部の曲率半径は1mm以下であるのが好ましい(請求項2の発明)。こうすれば、特にR部が降伏しやすくなるため、衝撃をより効果的に吸収することができるようになる。
また、前記樹脂製部材を型によって成形する場合、上述のような曲率半径の小さいR部を形成するためには、その成形性を考慮して、樹脂材料のメルトフローレート(MFR)が30g/10分以上であるのが好ましい(請求項3の発明)。
上述のような樹脂製部材は熱膨張を生じやすく、例えばフェンダーパネルとエプロンメンバとの間の連結部材に適用する場合などのように、長い部材を樹脂で形成する場合には、熱膨張による伸びが問題になることがある。そのため、熱膨張を小さく抑えることのできるタルクを樹脂材料に含有するのが好ましい(請求項4の発明)。一方、タルクの含有量が多いと、樹脂材料の粘度が大きくなり、成形性が悪化するため、熱膨張の抑制と成形性とのバランスを考慮して、タルクの含有量を15〜35重量%とするのがより好ましい(請求項5の発明)。
請求項1及び2の発明によれば、歩行者と衝突した際に衝撃を受ける部分に、ポリプロピレンホモポリマーをベースとする樹脂製部材を配設するとともに、その部材に形成された切り欠き部の底部及び屈曲部の内側角部の少なくとも一方のR部の曲率半径を所定値よりも小さくしたため、車速の或る程度高い状態で衝突した際に生じる衝撃を前記R部で吸収することができ、歩行者へのダメージを軽減することができる。
請求項3の発明によれば、樹脂材料のメルトフローレート(MFR)を30g/10分以上にしたため、樹脂製部材の成形性を向上することができ、請求項1の発明の構成を容易に実現することができる。
請求項4及び5の発明によれば、樹脂材料内にタルクを含有するようにしたため、樹脂製部材の熱膨張を小さく抑えることができ、タルクの含有量を15〜35重量%にすれば、成形性も確保することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る車両Vの前部の概略構造を示す。この車両前部の構造は、フロントガラスGの前方に延びエンジンルームを覆うボンネット1を有している。ボンネット1前端直下の車幅方向両側にはヘッドランプ2,2が、また、ボンネット1前端直下で両ヘッドランプ2,2に挟まれた位置にはグリル3が、さらに、両ヘッドランプ2,2及びグリル3の直下には車幅方向に延びるフロントバンパ4が、そして、ボンネット1の車幅方向両側にはフェンダ5,5がそれぞれ設けられている。該フェンダ5で覆われたタイヤハウスにはフロントタイヤTが装着されており、また、フェンダ5の後方にはフロントドアDが配置されている。
図2及び図3は、車両前面視左側のフェンダ5の車体への取付構造を示す。
フェンダ5は、車両前側部を覆うフェンダ本体5aと、そのフェンダ本体5a上部で車体内方に向かって折り返されていて、後述する内板部材10(樹脂製車両用部材)の上端部を係止する係止部5bとを有している。また、このフェンダ本体5a上部の折り返し部分がフェンダ上縁部5cを構成している。
前記フェンダ5の車体内方には、前後方向に延びるように形成された横断面視で略矩形状のホイルエプロンレインフォースメント7が配設されており、その車体内方側の側面7aには、車両前後方向に所定間隔を空けて複数のボルト孔が形成されていて、そのボルト孔に挿通される締結ボルト11によって前記ホイルエプロンレインフォースメント7は内板部材10の下部と締結固定されている。
すなわち、前記内板部材10は、フェンダ5とホイルエプロンレインフォースメント7とを連結するものであり、詳しくは後述するが、前記フェンダ5の上方から所定の衝撃が加わった場合には、該内板部材10によって衝撃荷重を受けることになる。
前記内板部材10は、図2〜図5に示すように、エンジンルームの側部を区画するように配設される前後方向に長い概略板状の部材であり、前記フェンダ5の係止部5eに係止される上端部10aと、該上端部10aから下方に延びる壁部10bとを有する。また、前記内板部材10は、ポリプロピレンホモポリマーをベースにタルクが15〜35重量%含有された樹脂材料を用いて、型によって成形されたもので、成形性の観点からベースとなる樹脂材料は、メルトフローレート(MFR)が30g/10分以上であるものが選択されている。
前記上端部10aは、その先端に横断面視で略半円状の突出部10cが形成されているとともに、該突出部10cの車体内方側には隣接して溝部10dが形成されている。この突出部10cは、図2及び図3に示すように、車体内方に向かって折り曲げられた前記フェンダ5の係止部5bにその内方から係合し、該係止部5bの端部が前記溝部10d内に挿入されている。これにより、前記内板部材10の上部が、前記フェンダ5に連結される。
また、前記上端部10aには、図4に示すように、車両前後方向の複数箇所(本実施形態では3箇所)に切り欠き10iが形成されている。上述のように、内板部材10を樹脂によって形成した場合、該内板部材10の車体への組付作業は、車体塗装時の高温状態を避けて車体塗装後の車両組立時に行われる。そのため、前記内板部材10を組み立てるまでの間、フェンダ5とホイルエプロンレインフォースメント7とを仮止めしておく必要があり、前記切り欠き10iは、内板部材10が仮止めのための部材と干渉しないように設けられたものである。
前記壁部10bは、図2〜図5に示すように、前記上端部10aから下方に向かって延びるように形成されているとともに、車両前後方向で見て車体内方に向かってクランク状に折れ曲がるように形成されていて、その下部には前記ホイルエプロンレインフォースメント7と締結するための締結ボルト11が挿通されるボルト穴10jが形成されている。そして、前記壁部10bの折れ曲がり部分である折曲部10e,10eには、その内側角部に曲率半径が2mm未満になるようにR部10f,10fが形成されている。詳しくは後述するが、このように、屈曲部10eの内側角部に曲率半径が2mm未満のR部10fを形成することにより、車速の或る程度高い状態で車両Vが歩行者に衝突してフェンダ5に衝撃が加わった場合でも、その衝撃によって前記R部が塑性変形若しくは破断を生じ、衝突時の衝撃を効果的に吸収できるようになっている。
なお、前記壁部10bは、図5(b)に示すように、エンジンルームのスペースを広くするために車体内方へあまり突出しないような形状にしてもよい。この場合、前記壁部10bの車体内方への突出度合い以外は図5(a)のものと同一であり、得られる作用効果も同じである。
また、前記壁部10bの上部には、車両前後方向で見て略コの字状になるように車体内方側に向かって突出する内方突出部10gが形成されている。
以上のような構成を有する車両Vが歩行者に衝突した際に、車両前部に衝撃が伝わる様子について説明する。
まず、走行中の車両Vの前部が歩行者に衝突した際、フロントバンパ4が歩行者の下半身に当たり、該歩行者が車両側に傾倒してボンネット1上に載せ上げられる。
次いで、ボンネット1上に載せ上げられた歩行者の頭部が上方から車両Vの表面に衝突することになるが、その衝突位置がフェンダ5とボンネット1との間に位置している場合には、最初に、フェンダ5よりも上方に膨出しているボンネット1に当たり、次に、該フェンダ5の上縁部5dに当たることになる。すなわち、走行中の車両Vと衝突した歩行者は、図11に実線で示すように、ボンネット1による衝撃及びフェンダ5による衝撃の2度の衝撃を受けることになる。
この図11に示すように、フェンダ5による衝撃は、該フェンダ5とホイルエプロンレインフォースメント7とを連結する部材(本実施形態では内板部材10)の剛性の影響によってボンネット1による衝撃よりも大きいものになっている。そのため、車両Vと衝突した歩行者の頭部がフェンダ5とボンネット1との間の位置に衝突した場合、該フェンダ5による衝撃を低減することで、歩行者へのダメージを効率良く軽減することができるようになる。以下で、該フェンダ5に衝撃が加わった場合について詳しく説明する。なお、ボンネット1に衝撃が加わった場合については、詳しくは説明しないが、該ボンネット1が下方に変形することで衝撃を低減するようになっている。
上述のように、歩行者との衝突により前記フェンダ5の上縁部5dに衝撃が加わると、該フェンダ5に連結された内板部材10にその衝撃荷重が伝わる。該内板部材10はその下部でホイルエプロンレインフォースメント7に連結固定されているため、該内板部材10に伝達された衝撃荷重によって屈曲部10eのR部10fに応力集中が生じ、該R部10fが塑性変形若しくは破断を生じることになる。本実施形態では、前記内板部材10をポリプロピレンホモポリマーからなる樹脂材料によって形成し、前記R部10fの曲率半径を2mm未満にすることで、後述するように、該R部10fでの塑性変形若しくは破断が生じ易くなり、衝撃が効果的に吸収されるようになっている。
なお、本実施形態では、曲率半径が2mm未満のR部10fを内板部材10の屈曲部10eに形成するようにしたが、図6に示すように、前記内板部材10の壁部10bに車両前後方向に延びる溝状の切り欠き部10hを形成して、その底部に曲率半径が2mm未満のR部10fを形成するようにしてもよい。この場合、切り欠き部10hは、上方から衝撃が加わって前記内板部材10が塑性変形若しくは破断する際に、周囲の部材や該内板部材10自身によって変形若しくは破断が阻害されないような位置に形成するのが好ましい。
以下で、上述のように、衝突の際に衝撃を受ける部位にポリプロピレンホモポリマーからなる樹脂材料を用いるとともに、その部材に形成される切り欠き部の底部または屈曲部の内側角部のR部の曲率半径を2mm未満にした場合の効果について、図10に示す試験結果に基づいて説明する。なお、図10に示す試験結果は、図7に示すような切り欠きを備えた引張り試験片を用いて引張り試験を行った場合の試験結果であり、その引張り試験片は、いずれもポリプロピレンホモポリマーにタルクを23重量%含有した樹脂材料で形成されたものである。
図10は、切り欠きの曲率半径を変えた場合の引張試験速度に対する降伏応力の変化を示す試験結果であり、この結果から、ポリプロピレンホモポリマーを用いて切り欠きのR部の曲率半径を2mm未満にすると、試験速度(歪速度)が増大しても降伏応力はほぼ一定であることが分かる。この傾向は、特に、前記R部の曲率半径が1mm以下の場合に顕著である。しかも、このような傾向が見られるのは、ポリプロピレンホモポリマーを樹脂材料としてR部の曲率半径を2mm未満にした場合だけであり、図8及び図9に示すように、他の樹脂材料の場合では、たとえ曲率半径が2mm未満であっても、歪速度が増大すれば材料強度も増大してしまう。
すなわち、例えば、車速の或る程高い状態で車両Vが歩行者に衝突した場合、その衝撃荷重を受ける部分の歪速度は大きくなるが、その衝撃を受ける部位にポリプロピレンホモポリマーからなる部材を配設するとともに、該部材に切り欠き部若しくは屈曲部を設けて、そのR部の曲率半径が2mm未満になるようにすれば(R部の曲率半径が1mm以下であれば、歪速度が大きい場合でも、確実に降伏応力を一定にすることができるため、より好ましい)、降伏応力の上昇が抑えられて、比較的、容易に前記R部で塑性変形若しくは破断を生じることになる。
一方、歪速度が小さい場合には、前記図10より、切り欠きの曲率半径が変化しても、強度上の変化はほとんどなく、R部の曲率半径が2mm未満であっても通常使用時には十分な強度を有していることが分かる。
したがって、ポリプロピレンホモポリマーからなる部材に切り欠き部や折曲部を形成し、その底部や内側角部に形成されるR部の曲率半径を2mm未満にすれば、通常使用時には十分な強度を有しつつ、車速の或る程高い状態で車両Vが歩行者と衝突して所定の衝撃が加わった場合には、前記R部で衝撃を効率よく低減することができ、図11に点線で示すように、歩行者に対するフェンダー5による衝撃を軽減することができる。
次に、ポリプロピレンホモポリマーにタルクを含有させた場合の効果について図12の試験結果に基づいて説明する。図12より、タルクの含有量の増加に応じて樹脂材料の線膨張係数は低下する傾向にあることが分かる。しかしながら、タルクの含有量が増加すれば、樹脂材料の粘度が大きくなり、成形性が悪化してしまう。そのため、樹脂製部材の線膨張係数を十分小さくするとともに、成形性も確保できるように、タルクの含有量は15〜35重量%程度にするのが好ましい。特に、タルクの含有量が20〜25重量%であれば、最もバランス良く両者を両立させることができる。
以上より、内板部材10をポリプロピレンホモポリマーによって形成するとともに、該部材に曲率半径が2mm未満のR部を有する切り欠き部若しくは屈曲部を形成することで、車速が或る程度高い状態で車両Vが歩行者に衝突して該歩行者がフェンダ上縁部5dに当たった場合でも、フェンダ5が受ける上方からの衝撃荷重によって前記内板部材10の屈曲部10eのR部10fが塑性変形若しくは破断するので、衝撃が吸収されてそのとき歩行者が受ける打撃衝撃は弱く、損傷も小さいものとなって安全性の向上が図られることとなる。
また、前記内板部材10は、樹脂材料のメルトフローレート(MFR)が30g/10分以上のものが選択されているため、成形性を向上することで、上述のような、比較的、鋭角で小さなR部も型によって一体成形することができる。
さらに、樹脂内に所定量のタルクを含有させることにより、線膨張係数を小さくして、熱による変形を抑えるとともに、成形性も確保することができる。
(その他の実施形態)
本発明の構成は、前記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、前記実施形態では、フェンダ5とホイルエプロンレインフォースメント7とを連結する内板部材10に本願発明の特徴構成を適用するようにしているが、これに限らず、歩行者に衝突した際に衝撃荷重を受け得る部分に配設される他の部材(ボンネット1の外周付近に配設されていて、衝撃によるボンネット1の変形を阻害する部分に位置しているもの)に適用してもよい。
具体的には、例えば、図13(a)〜(d)に示すように、ヘッドランプハウジング12、ワイパーピボット13、ボンネットヒンジ14、ボンネットストップラバー15の一部をポリプロピレンホモポリマーで構成し、各部材の各屈曲部12a〜15aの内側角部に曲率半径2mm未満のR部12b〜15bをそれぞれ形成するようにしてもよいし、切り欠き部を別途設けて(図示省略)、その底部に曲率半径2mm未満のR部を形成するようにしてもよい。こうすることで、前記実施形態と同様に、車両Vと衝突した歩行者の頭部が、各部品に衝撃荷重を与えた場合には、該各部品はその衝撃によって前記R部で塑性変形若しくは破断して、衝撃を吸収することができ、歩行者へのダメージを軽減することができる。
また、前記実施形態では、内板部材10の折曲部10eを2箇所設けて、それぞれの内側角部に曲率半径が2mm未満のR部10fを形成するようにしたが、これに限らず、どちらか一方だけでもよいし、前記折曲部10eが1箇所もしくは3箇所以上ある場合に、それらの全て若しくは一部に前記R部10fを形成するようにしてもよい。さらに、前記折曲部10e以外に切り欠き部10hも設けて、それらの内側角部及び底部に前記R部10fを形成するようにしてもよい。
以上説明したように、本発明における樹脂製車両用部材は、歪速度が大きい領域でも、材料強度の上昇を抑制することができるから、例えば、歩行者と衝突した際にその衝撃荷重を受ける部材に特に有用である。
本発明の実施形態に係る車両前部の概略構造を示す斜視図である。 フェンダの取付構造を示す斜視図である。 フェンダの取付構造を示す断面図である。 内板部材の全体構成を示す斜視図である。 それぞれ(a)本実施形態に係る内板部材(b)壁部の構造が異なる内板部材の横断面を示す断面図である。 切り欠き部が形成された内板部材の横断面を示す断面図である。 引張り試験片の上面図である。 各種樹脂材料の歪速度と引張強さとの関係を示すグラフである。 ポリプロピレンブロックコポリマーにおいて切り欠きの曲率半径を変えた場合の引張速度と最大応力との関係を示すグラフである。 ポリプロピレンホモポリマーにおいて切り欠きの曲率半径を変えた場合の試験速度と降伏応力との関係を示すグラフである。 歩行者が車両に衝突した際の衝撃を示すグラフである。 タルクの含有量を増大させた場合の樹脂製部材の線膨張係数の変化を示すグラフである。 他の実施形態に係る(a)ヘッドランプハウジング(b)ワイパーピボット(c)ボンネットヒンジ(d)ボンネットストップラバーの概略構成を示す斜視図である。
符号の説明
V 車両
1 ボンネット
2 ヘッドランプ
3 グリル
4 フロントバンパ
5 フェンダ
7 ホイルエプロンレインフォースメント
10 内板部材(樹脂製車両用部材)
10a 上端部
10b 壁部
10c 突出部
10d 溝部
10e 折曲部
10f R部
10g 内方突出部
10h 切り欠き部

Claims (5)

  1. 走行中の車両が歩行者に衝突した際に、その衝突により衝撃荷重を受ける車体の部位に配設され、ポリプロピレンホモポリマーをベースとする樹脂材料からなる樹脂製車両用部材であって、
    前記衝撃荷重によって降伏または破断するように溝状の切り欠き部及び折曲部の少なくとも一方が形成されるとともに、該切り欠き部の底部及び折曲部の内側角部の少なくとも一方のR部の曲率半径が2mm未満とされていることを特徴とする樹脂製車両用部材。
  2. 請求項1において、
    R部の曲率半径は1mm以下であることを特徴とする樹脂製車両用部材。
  3. 請求項1または2のいずれか一つにおいて、
    樹脂材料のメルトフローレートが30g/10分以上であることを特徴とする樹脂製車両用部材。
  4. 請求項1から3までのいずれか一つにおいて、
    樹脂材料はタルクを含有することを特徴とする樹脂製車両用部材。
  5. 請求項4において、
    樹脂材料内のタルクの含有量は15〜35重量%であることを特徴とする樹脂製車両用部材。
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