JP2005268096A - 電子部品用セパレータ及びその製造方法 - Google Patents

電子部品用セパレータ及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005268096A
JP2005268096A JP2004080296A JP2004080296A JP2005268096A JP 2005268096 A JP2005268096 A JP 2005268096A JP 2004080296 A JP2004080296 A JP 2004080296A JP 2004080296 A JP2004080296 A JP 2004080296A JP 2005268096 A JP2005268096 A JP 2005268096A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
separator
porous structure
nonwoven fabric
thickness
pore diameter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004080296A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005268096A5 (ja
JP4705335B2 (ja
Inventor
Masanori Takahata
正則 高畑
Hiromi Totsuka
博己 戸塚
Hitohide Sugiyama
仁英 杉山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tomoegawa Co Ltd
Original Assignee
Tomoegawa Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tomoegawa Paper Co Ltd filed Critical Tomoegawa Paper Co Ltd
Priority to JP2004080296A priority Critical patent/JP4705335B2/ja
Publication of JP2005268096A publication Critical patent/JP2005268096A/ja
Publication of JP2005268096A5 publication Critical patent/JP2005268096A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4705335B2 publication Critical patent/JP4705335B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Cell Separators (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)

Abstract

【課題】 薄膜で高イオン伝導性および良好な機械的強度を有し、リチウムイオン二次電池等に使用したときに内部短絡を起こさず、シャットダウン効果も持ち合わせたセパレータを提供する。
【解決手段】 本発明の電子部品用セパレータは、繊維状シート基材および加熱により溶融する熱可塑性樹脂微粒子を含む多孔質構造体よりなるものであって、前記多孔質構造体における細孔の平均孔径が0.1〜15μmであり、前記微粒子が、セパレータに1〜50g/mの範囲で含まれ、且つ前記微粒子の一次平均粒子径が前記孔径の1%〜95%の範囲にあることを特徴とする。この電子部品用セパレータは、リチウムイオン二次電池、ポリマーリチウム二次電池に好適に用いられる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子部品、特にリチウムイオン二次電池又はポリマーリチウム二次電池に使用されるセパレータ及びその製造方法に関するものである。
国際公開WO01/67536号公報 特開2003−317802号公報 特許第2992598号公報 特開2002−42867号公報 特開2003−317693号公報。
近年、産業機器、民生機器に関わらず、電気・電子機器の需要増加、及びハイブリッド自動車の開発により、電子部品であるリチウムイオン二次電池及びポリマーリチウム二次電池の需要が著しく増加している。これらの電気・電子機器は小型化、高機能化が日進月歩で進行しており、リチウムイオン二次電池及びポリマーリチウム二次電池においても、小型化、高機能化が要求されている。
リチウムイオン二次電池及びポリマーリチウム二次電池は、活物質とリチウム含有酸化物とポリフッ化ビニリデン等のバインダーを1−メチル−2−ピロリドンと混合してアルミニウム製集電体上にシート化した正極と、リチウムイオンを吸蔵放出し得る炭素質材料とポリフッ化ビニリデン等のバインダーを1−メチル−2−ピロリドンと混合して銅製集電体上にシート化した負極と、多孔質電解質膜とを、正極、電解質膜、負極の順に捲回もしくは積層して形成された電極体に駆動用電解液を含浸させ、アルミニウムケースにより封止された構造のものである。従来、上記リチウムイオン二次電池及びポリマーリチウム二次電池のセパレータとしてはポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン等のポリオレフィン系の多孔質膜や不織布が使用されている。
ところで、上記リチウムイオン二次電池及びポリマーリチウム二次電池は、前述の通り小型化が進んでいるためにセパレータも薄膜化が要求されている。しかしながら、従来のセパレータを薄膜化すると、正極、負極間で内部短絡が発生したり、電池の安全性に寄与するシャットダウン効果が発現できなくなったり、或いは電子部品を駆動させるために必要である駆動用電解液を十分保持できなくなるという問題が発生するのみならず、機械的強度の低下により製造工程での作業性、生産性を損ない、製品の信頼性の低下などの問題が発生する。なお、ここでいうシャットダウンとは、電池内温度が何らかの異常によって上昇した際に、140℃乃至150℃付近でセパレータの微細孔が閉塞されて電流の流れを止めてしまう現象である。
これらの問題を解決する目的で、従来種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、ポリオレフィンを延伸して作製される比較的透気度の値が高い微多孔膜(延伸膜)に針やレーザーで貫通孔を設けたものをセパレータとして使用することが提案されている。しかしながら、このようなセパレータは、その周囲に、例えば電解液に膨潤するポリマー多孔質層を設けた場合、そのポリマー多孔質層を構成する多孔質体が数μm以上の大口径の孔を含んでいると、上記貫通孔とポリマー多孔質層の大口径の孔がセパレータの垂直方向に連通した部分において短絡を起こすという問題があり、また、上記微多孔膜そのものがシャットダウン機能を有していても、常温における通常使用環境において、セパレータ本来の機能である電気絶縁性が低下するという問題がある。
また、特許文献2には、比較的透気度の値が低いポリエチレンテレフタレート製不織布をベースとして、その不織布にフッ化ビニリデン樹脂等の電解液に膨潤する樹脂を複合したセパレータが提案され、また、具体的な製造方法として、電解液を含んだ状態で不織布と樹脂を複合化するウェット製膜法および電解液を含まない状態で複合化させるドライ製膜法が記載されている。しかしながら、特許文献2に記載のセパレータは電池の安全性に寄与するシャットダウン効果が十分に発現されるものではない。また、ウェット製膜法では、電池の組み立て前に、多孔質複合膜に既に電解液が含浸しているので、複合膜をハンドリングする際に大気中の水分を吸収し、電池性能を劣化させる要因となるほか、有機溶媒を乾燥する工程で電解液も揮発する可能性があり、最終的に電池に含まれる電解液量を一定量に維持することができないという問題がある。
一方ドライ製膜法としては、樹脂と有機溶媒及び可塑剤を塗料化して不織布上に塗布し、有機溶媒を乾燥した後、可塑剤と親和性のある有機溶媒で可塑剤を抽出する方法、樹脂と可塑剤とよりなる溶融物を不織布上に塗布し、冷却により成形した後に、有機溶媒で可塑剤を抽出して多孔質膜を形成する方法、および樹脂を有機溶媒に溶解して得たドープを不織布に含浸させ、有機溶剤に親和性を示すが樹脂を溶解しない他の有機溶媒と接触させて相分離し、多孔質膜を得る方法等が開示されている。しかしながら、これらの方法は、前記の電解液の定量性や電解液への水分混入の危険性は低くなるものの、溶媒により可塑剤を抽出する工程や有機溶媒と接触させる工程が加わるために、製造工程が増えて製造効率が低下するという問題がある。すなわち、可塑剤を有機溶剤で抽出除去する方法は、可塑剤と樹脂との親和性が比較的良好であるために、抽出に時間がかかり、製造効率が悪い。さらに可塑剤を抽出する方法では、形成される多孔質膜の細孔が比較的小さな孔径となりやすいために透気度の値が高くなり、電池性能の向上に寄与しない。また、有機溶媒と親和性がある他の有機溶媒で置換して相分離し多孔質化する方法では、孔構造が特異的となりやすい。つまり、表層にはスキン層が形成されて開口部が少なくなるほか、膜の内部に大きな空隙が生じるために、膜強度が低下し、短絡を起こすという問題を生じる場合がある。
また、例えば、特許文献3には、フッ化ビニリデン樹脂のドープを離型材上に流延した状態で、不織布を積層し又は埋め込み、非溶剤中で凝固させる湿式成膜法によりセパレータを製造することが開示されている。しかしながら、このような方法で得られるセパレータは、上記の課題である膜厚の均一性等の問題は改善されるが、セパレータの表裏で細孔の孔径が非対称になりやすく、多孔質構造の均一化の問題は改善されない。また、シャットダウン効果も十分発現できない。
リチウム系電池は、過充電された場合にデンドライトが発生するが、従来の延伸膜をセパレータとして用いたリチウム系電池の場合、過充電により発生したデンドライトが一気にセパレータを貫通することにより、正負極間の急激な短絡を生じ、電池内温度の上昇をきたして危険であり、電池性能を害するという問題がある。この問題を解決するものとして、例えば、特許文献4には、不織布にポリフッ化ビニリデンを内包させたセパレータを用いることが提案されている。この電池では、フッ化ビニリデンが電解液により膨潤し、更には不織布に由来する多くの空隙があるために、微細なデンドライトが成長して、両電極間を過充電の初期段階で微小短絡させ(微細なデンドライトによる短絡)、それによって電池の温度上昇を抑えるものである。しかしながら、エネルギー容量の増大化のニーズに対応して電極の容積を大きく取ってセパレータを薄膜化した場合には、内部短絡が極めて起こりやすくなるという問題がある。
また、特許文献5には、電池が異常発熱する環境下および過充電時での安全性を確保する目的で、複合膜中にポリエチレン(PE)粒子等のフィラーを混合してシャットダウン機能をもたせることが提案されている。そして具体的には、PE微粒子が付着した不織布にフッ化ビニリデン樹脂含有塗布液を含浸塗布した後、溶媒水溶液中に浸漬して凝固させ、溶媒を除去することによって製造することが記載されている。しかしながら、特許文献5には、形成されるセパレータにおける細孔の孔径、微粒子の含有量および微粒子と孔径との関係などについては何等考慮が払われていなく、十分なシャットダウン効果の発現は期待できない。さらに上記の特許文献5に記載の製造方法では、フィラー粒子が添加されているため多孔質構造体の孔径が小さくなると、連通孔が閉塞される確率が高くなり、したがって、透気度の値が上昇し、電池性能に支障をきたすという問題がある。また、溶剤が抽出される際に、しわ等の欠陥を生じる場合がある他、膜厚の均一性が阻害される等の問題がある。
フィラー粒子を含む複合膜よりなるセパレータを製造するために、前記した可塑剤を有機溶剤で抽出除去する方法を採用した場合は、形成される多孔質構造体の細孔は孔径が小さいものとなるために、フィラー粒子により連通孔が閉塞されるという問題がある。また、可塑材を用いず、有機溶媒を別の溶媒で置換する方法の場合は、複合体内部の空隙が大きくなりやすいために、ポリエチレン等のフィラー粒子が一定の温度域で溶融しても、その空隙を満遍なく埋めることができず、シャットダウン機能が十分に発現されない等の問題がある。したがって、フィラー粒子を含有させる場合には、フィラー粒子が常温では複合体の連通孔を閉塞せず、かつ溶融時には、素早く孔を埋める必要があり、多孔質構造体の孔径制御は非常に重要な課題となっている。
本発明は、上記のような実状に鑑みて提案されたものであり、その目的は、薄膜で、且つ高イオン伝導性であるにもかかわらず短絡を起こさず、作業性、生産性が極めて良好であり、高い機械的強度を有し、シャットダウン効果も持ち合わせた電子部品用セパレータ及びその製造方法を提供することにある。
本発明の電子部品用セパレータは、繊維状シート基材および加熱により溶融する熱可塑性樹脂微粒子を含む多孔質構造体よりなるものであって、そして多孔質構造体における細孔の平均孔径が0.1〜15μmであり、前記微粒子がセパレータに1〜50g/mの範囲で含まれ、且つ前記微粒子の一次平均粒子径が前記孔径の1%〜95%の範囲にあることを特徴とする。
本発明の電子部品用セパレータの製造方法は、上記の電子部品用セパレータを製造するためのものであって、その第1の態様は、樹脂フィルム上に、加熱により溶融する熱可塑性樹脂微粒子を含む繊維状シート基材を載置する工程、該繊維状シート基材の上に、フッ化ビニリデン樹脂とその良溶媒及び貧溶媒を含有する塗布液を塗工する工程、形成された塗工層を乾燥して溶媒を除去することによって繊維状シート基材の表面及び/又は内部に多孔質構造体を形成する工程、その後樹脂フィルムを除去することによって繊維状シート基材および加熱により溶融する熱可塑性樹脂微粒子を含む多孔質構造体よりなるセパレータを得る工程を含み、該塗布液中に含まれる水分量がカールフィッシャー法による測定で0.7重量%以下であることを特徴とする。また、第2の態様は、樹脂フィルム上に、フッ化ビニリデン樹脂とその良溶媒及び貧溶媒を含有する塗布液を塗工して塗工層を形成する工程、加熱により溶融する熱可塑性樹脂微粒子を含む繊維状シート基材を前記塗工層に重ね合わせる工程、その後、乾燥して溶媒を除去することによって繊維状シート基材の表面及び/又は内部に多孔質構造体を形成する工程、その後樹脂フィルムを除去することによって繊維状シート基材および加熱により溶融する熱可塑性樹脂微粒子を含む多孔質構造体よりなるセパレータを得る工程を含み、該塗布液中に含まれる水分量がカールフィッシャー法による測定で0.7重量%以下であることを特徴とする。
本発明において、前記繊維状シート基材は、織布、不織布又は網状物(メッシュ)であり、そして前記不織布が、繊維径0.15デニール以下の繊維を少なくとも1重量%以上含むことが好ましい。
また、加熱により溶融する熱可塑性樹脂微粒子は、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンからなるものであることが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の電子部品用セパレータにおいて、多孔質構造体は多数の細孔を有するものであって、その細孔のバブルポイント法による平均孔径が0.1〜15μmの範囲にあることが必要であり、より好ましくは0.5〜5μmの範囲にある。平均孔径が0.1μm未満の場合は、イオン伝導性を阻害する場合があり好ましくないほか、電解液の含浸性が低下する傾向や、先述の微小なデンドライトとの成長を阻害するので好ましくない。一方、15μmを超えると、特にセパレータを薄膜化した場合に短絡などの不具合を生ずるので好ましくない。なお、バブルポイント法による平均孔径の測定は、西華産業社製のポリメーターで行なった。
本発明の電子部品用セパレータを構成材料の一つである繊維状シート基材としては、セルロースパルプからなる紙の他、綿、大麻、黄麻等の靭皮繊維、マニラ麻等の葉脈繊維等からなる紙、あるいはレーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維及び再生タンパク繊維等の再生繊維、酢酸セルロース繊維及びプロミックス等の半合成繊維、ナイロンアラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、塩化ビニル系繊維、ポリウレタン繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンズビスチアゾール繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維、金属繊維等からなる不織布、織布及び網状物(メッシュ)を挙げることができる。
不織布は、公知の技術を用いて製造することができる。すなわち、湿式、乾式、乾式パルプ式、スパンボンド式、メルトブロー式、フラッシュ紡糸式、トウ開繊式等により製造することができる。不織布の目開きは、短絡防止の目的からできるだけ小さい方が好ましい。その目的から、不織布に使用する繊維の繊維径は、できるだけ細いものが望ましい。すなわち、本発明では0.15デニール以下の繊維を少なくとも1重量%以上、より好ましくは5重量%以上含むことが好ましい。0.15デニール以下の繊維が1重量%未満の場合は、目開きを小さくする効果が薄れるので好ましくないが、不織布の目開きが比較的大きい場合においても、不織布と複合する後述の多孔質構造体の細孔の孔径が小さい場合は、0.15デニール以下の繊維が必ずしも含まれていなくても、短絡の発生を抑えることが可能である。
繊維状シート基材の膜厚としては、特に規定はないが、電子部品のうち、特にリチウムイオン二次電池及びポリマーリチウム二次電池等に使用する場合は、小型化を可能にするために、セパレータの膜厚が50μm以下、特に5〜30μmの範囲になるように選択するのが好適である。但し、セパレータの膜厚が50μm以上であってもプレス処理を施すことによって薄膜化が十分可能である。一方、上記以外の電子部品によっては必ずしも薄膜である必要はなく、セパレータの膜厚は50μm以上であっても構わない。また、厚膜として用いる用途の場合は、50μm以下の薄膜のセパレータを2枚以上重ねて用いることも可能である。
本発明の電子部品用セパレータにおいて、表面及び/又は内部に1種類以上の粒子を含んだ繊維状シート基材の表面及び/又は内部にフッ化ビニリデン樹脂の多孔質構造体が含まれるものが好ましく、例えば繊維状シート基材が不織布又は織布の場合は、フッ化ビニリデン樹脂が不織布又は織布内部の繊維の間に保持されており、また、繊維状シート基材が網状物(メッシュ)の場合はフッ化ビニリデン樹脂がメッシュの間に保持されているものである。ここでいう網状物(メッシュ)には、フィルム面に対して垂直方向に多数の貫通孔を有するフィルムも含む。
この場合、不織布または織布内部の繊維の間に保持されたポリフッ化ビニリデン、又はメッシュ間に保持されたフッ化ビニリデン樹脂は、多孔質構造体の形態であることが、電池にした場合のイオン伝導性が優れているために必要であるが、内部短絡を防ぐために、多孔質構造体は、セパレータの一面から他面に多数の細孔の繋がりによって連通していることが必要であり、その細孔の孔径はセパレータの厚さより小さいことが必要である。そしてセパレータ面の実質的に垂直方向にピンホール状の貫通孔を有さないことが必要である。ここで、貫通孔とはセパレータのいずれか一方の面から、もう一方の面を実質的に垂直に見た時に、セパレータを構成する部材で全く覆われずに、貫通して見える部分を意味する。このような貫通孔を有するセパレータは、短絡を起こしやすく、したがって充放電性能を著しく阻害する場合がある。
本発明において、繊維状シート基材の表面及び/又は内部に含ませるフッ化ビニリデン樹脂としては、フッ化ビニリデンホモポリマー又はフッ化ビニリデンを含むコポリマーを挙げることができる。フッ化ビニリデンホモポリマーは、フッ化ビニリデンのモノマーの付加重合反応により得られ、その重合方法としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、光・放射線重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合等を挙げることができる。また、フッ化ビニリデンを含むコポリマーは、フッ化ビニリデンと他のモノマーを共重合させた樹脂であり、他のモノマーとしては、例えばエチレン、プロピレン等のオレフィン系単量体、フッ化ビニル、3フッ化エチレン、3フッ化塩化エチル、4フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、フルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素単量体、マレイン酸モノメチル、シトラコン酸モノメチル等のカルボキシル基含有単量体、及びアリルグリシジンエーテル、クロトン酸グリシジルエステル等のエポキシ基含有ビニル単量体、等を挙げることができる。これらの中でも特に、フッ化ビニリデンと4フッ化エチレン又は6フッ化プロピレンのいずれか1種類以上とからなるコポリマーが好ましい。
また、繊維状シート基材の表面及び/又は内部に保持させる加熱により溶融する熱可塑性樹脂微粒子は、1g/m〜50g/mの範囲で含有させることが必要であり、望ましくは3g/m以上30g/m以下の量で含有させる。含有量が1g/mより少ないと、電池の安全性に寄与するシャットダウン効果が得られず、50g/mより多いとセパレータの膜厚が厚くなり過ぎたり、イオン移動を阻害することにより、インピーダンスの増大を招く。また、保持させる微粒子は、軟化点の異なる2種類以上のものを用いるのが好ましい。
加熱により溶融する熱可塑性樹脂微粒子としては、ポリエチレンからなる粒子及びポリプロピレンからなる粒子が好ましい。また、その熱可塑性樹脂は、110〜180℃の範囲の軟化点を有することが好ましい。それら微粒子の一次平均粒子径は、多孔質構造体における細孔の平均孔径の1〜95%の範囲にあることが必要である。微粒子の一次平均粒子径が細孔の平均孔径の1%より小さい場合は、電池内部の温度が通常使用温度域よりも上昇して微粒子が溶融した場合に、多孔質構造体及び不織布に由来する目開きを塞ぐことが困難となるため、安全性を維持する上で不具合が生ずる。一方、95%よりも大きい場合は、多孔質構造体及び不織布に由来する目開きが狭くなり、イオン伝導性等の電池性能を左右する種々の特性を阻害するほか、微粒子が前述した微細なデンドライトの成長を阻害することがあり、耐過充電特性に対するアドバンテージが得られなくなる。すなわち、本発明においては、多孔質構造体の細孔の平均孔径に応じて、微粒子の一次粒子径を上記の範囲に設定して、多孔質構造体との間に適度の隙間を作るようにすることにより、過充電防止に効果のある微小なデンドライトの生成及びその電極間の微小短絡を阻害しないセパレータを得ることが可能になる。なお、本発明において、粒子の一次平均粒子径とは、SEM写真にて、粒子の長径及び短径の平均値を粒子径として、サンプリング粒子数n=100の平均値である。
以上のように、本発明においては、微粒子の一次平均粒子径を、多孔質構造体の細孔の平均孔径よりも小さい上記の範囲に設計することにより、通常使用の温度条件では多孔質構造体体や不織布の目開きを完全に埋めることはないために、従来のセパレータと同等かまたはそれ以上の電池性能を付与することができる。また、本発明においては、微粒子の存在によりセパレータの密度をあげることができるため、従来の微粒子が存在しない不織布と多孔質構造体のみより構成される複合膜セパレータの場合に比して、通常使用温度域での短絡を防ぐことができ、電池歩留まりを格段に向上できるという利点をも有する。例えば、従来の不織布と多孔質構造体のみより構成される複合膜セパレータを20μm程度以下に薄膜化した場合には、短絡が頻発していたが、本発明のセパレータでは短絡は発生しない。
次に、本発明の電子部品用セパレータの製造方法について述べる。本発明においては、前記多孔質構造体を塗工法のみによって形成し、塗工後の塗面に含まれる溶媒を除去する工程において、他の溶媒による溶媒置換や抽出などの手段を用いず、実質的に乾燥工程の1パスだけでセパレータを形成することができる。本発明においては、後述するように、塗布液中に、少なくとも樹脂を実質的には溶解しない溶媒(貧溶媒)及び樹脂を実質的に溶解する溶媒(良溶媒)とともに樹脂を添加するが、乾燥工程の条件を制御することによって、効率的に多孔質構造体を形成することが可能である。良溶媒及び貧溶媒は後述するような種々の溶剤があげられるが、共沸や、乾燥の温度差及び蒸気圧の差が大きい組み合わせは、ピンホールに代表される貫通孔の発生頻度を高める点で好ましくなく、また製造効率上も望ましくない。良溶媒と貧溶媒の沸点差は、50℃以内、特に30℃以内とすることが製造効率上好ましい。50℃を超す場合には、製造のプロセス速度があげられないほか、乾燥エネルギーが大きくなり好ましくない。また、50℃を超す場合は、乾燥条件を段階的に設定する場合に、プロセス方向への瞬時の条件切り替えが実質的に不可能となるために、大量生産には不向きであるという問題もある。
本発明において、微粒子としてポリエチレン粒子を含むセパレータを作製する場合、その粒子が溶融しない温度条件で処理することが好ましいが、フッ化ビニリデン樹脂を溶解可能な溶媒は、沸点が高いものが多いために、実質的には70〜180℃の加熱温度が必要となる。このため、乾燥風量を多くすることによって乾燥を早期に行いつつ、更にはプロセス速度を上げることによって、できるだけ短時間で乾燥を終了すればよい。加熱温度が70℃より低いと、乾燥効率が悪く製造効率があがらない。一方、180℃を超える範囲では、微粒子の多くが溶融してしまうためにシャットダウン機能の付与に悪影響がある。また、一般的には、乾燥条件は段階的に設定し、良溶媒を先に乾燥させた後に貧溶媒を乾燥させることが多孔質構造体を形成する上で好ましいが、セパレータの膜性能上は、共沸しなければ、両溶媒は必ずしもはっきりと分けて乾燥しなくてもよい。乾燥は、多孔質構造体の空隙率や、孔径の制御を適宜行いつつ乾燥条件を決定することによって行なうことが望ましい。本発明では、上記のように溶媒処方の組み合わせ、乾燥温度及び送風量の各条件を適宜選択することによって、セパレータのシャットダウン機能及びその他の電池性能の最適化と、製造効率向上の両立を実現することができる。また、本発明では、上記従来技術におけるような、溶媒などによる貧溶媒、残留溶媒の除去工程を設ける必要がなく、塗工後に乾燥工程を一度経由するだけで、セパレータとして最適な多孔質構造体を簡便に製造することができる。したがって、製造効率が非常に良好なことから、安価で良質なセパレータを大量に提供することが可能となる。
また、本発明では、前記多孔質構造体を形成するための塗布液に、樹脂を溶解する良溶媒を少なくとも2種以上含み、かつ、前記樹脂を溶解しない貧溶媒を少なくとも1種以上含んでもよい。塗布液のハンドリング性からは、塗布液粘度をある程度低くすることが重要であるため、比較的低粘度である補助的な良溶媒を、これとは異なる主たる良溶媒と併用して、塗布液粘度を低減することが望ましい。このような補助的良溶媒の選択は、上記の溶媒粘度のほか、前記の貧溶媒との乾燥バランスや、溶媒同士の共沸性を考慮して選択すればよい。本発明における補助的良溶媒は1種類に限らず複数種用いてもよく、また、実質的に樹脂を溶かさない貧溶媒でなければ如何なるものでも使用でき、上記の選択指針によって適宜選択すればよい。
本発明において、フッ化ビニリデン樹脂及び貧溶媒等を溶解した塗布液において、前記溶媒として吸湿性が高いものを用いる場合には、できる限り水分の混入を防ぐことが必要である。本発明では、塗布液は、カールフィッシャー法による測定で水分量が0.7重量%以下であることが必要であり、好ましくは、0.5重量%以下である。水分量が0.7重量%を超すと、ゲル化が早期に進み塗布液の保存期間が極端に短くなったり、形成される多孔質構造体の膜厚が著しく不均一なものとなり、膜厚が厚いところでは塗布液が水分混入によるゲル化によって孔径が極端に小さくなり、0.1μm未満の孔径の割合が多くなる。また、ゲル化が溶媒の乾燥によって固化する際に収縮するため、膜厚の薄い部分(非ゲル部分)を引っ張って、15μmを越える孔径の割合が多くなる。そしてゲルは部分的な発生であるため、全体として多孔質構造体は孔径が大きい部分が多くなり、結果として、バブルポイント法による平均孔径は15μmを越えた大きなものとなり、そしてフィラー粒子の一次平均粒子径が孔径の1%より低い値になる。また、ゲルの固化部分では、局所的にイオン移動が低下するため、電池性能が低下するほか、サイクル特性にも悪影響を及ぼす。
本発明の製造方法の第1の態様においては、樹脂フィルム上に、微粒子を含む繊維状シート基材を載置し、その上にフッ化ビニリデン樹脂とその良溶媒及び貧溶媒を含有する塗布液を塗工し、形成された塗工層を乾燥して溶媒を除去することによって繊維状シート基材の表面及び/又は内部に多孔質構造体を形成してそれらを一体化する。その後、樹脂フィルムを除去することによって、繊維状シート基材および微粒子を含む多孔質構造体よりなるセパレータを得ることができる。また、第2の態様においては、樹脂フィルム上に、フッ化ビニリデン樹脂とその良溶媒及び貧溶媒を含有する塗布液を塗工して塗工層を形成し、微粒子を含む繊維状シート基材を前記塗工層に重ね合わせ(ウェットラミネーション)、その後、乾燥して溶媒を除去することによって繊維状シート基材の表面及び/又は内部に多孔質構造体を形成する。その後樹脂フィルムを除去することによって繊維状シート基材および微粒子を含む多孔質構造体よりなるセパレータを得ることができる。
本発明においては、上記いずれの方法も好適に用いられるが、例えば不織布の空隙率が大きい場合は、後者の方法が好ましい。すなわち、前者の場合は、樹脂フィルム上に不織布を重ねた上に塗布液を塗工するために、不織布を構成する繊維間の空隙に空気が残存しやすく、塗工欠点となる場合があるためである。しかしながら、前者の方法は、予め不織布を樹脂フィルムと同軸に巻いておくことが可能であるため、後者の方法のように不織布を別に巻き出すための巻き出し機構が不要であるため、より効率の良い製造が可能である。したがって、空隙率が比較的低く成膜性に問題のない不織布の場合には、前者の方法が適している。不織布の空隙率は、電池設計を優先して決めるべきであり、その設計要求によって不織布の複合方法を適宜選択すればよい。後者の方法では、例えば不織布の空隙率の大小に関わらず、塗工欠点のない均質なセパレータを製造することが可能であるが、いずれの方法を用いる場合であっても、上記の空隙率に代表される不織布の諸物性を考慮してその製造方法を選択すれば、均質なセパレータを製造することが可能である。
本発明においては、上記の不織布との複合方法において、前記樹脂フィルムの使用が非常に重要である。樹脂フィルムの選択は、樹脂フィルム上に塗工される塗布液との親和性及び形成される多孔質構造体との剥離性に関連して形成されるセパレータの性状に影響を及ぼす。本発明では、多孔質構造体に対する剥離強度が0.1〜75g/20mmであり、より好ましくは0.1〜40g/20mmである樹脂フィルムを選択することが好ましい。すなわち、塗工、乾燥後の樹脂フィルム上に形成された多孔質構造体を20mmの幅で切り出したテープ状の試験片を準備し、その試験片に端部における多孔質構造体の一部を剥離し、その端部における多孔質構造体の端部と、もう一方の剥離していない端部とをテンシロンの上下のチャックにそれぞれ固定し、50mm/secの速度で引っ張り測定した場合に得られる剥離の引っ張り荷重を5点測定し、その平均値を、上記切り出し幅である20mmの幅で割った値を剥離強度として評価値とする。
本発明においては、上記で定義される剥離強度は0.1〜75g/20mmが好ましく、より好ましくは0.1〜40g/20mmである。すなわち、特に第2の態様のウェットラミネーションを用いる方法の場合には、前記の如く不織布を複合する前に樹脂フィルム上に塗布液を塗工するが、樹脂フィルムの剥離強度が0.1g/20mm未満のような比較的離型性が良好な樹脂フィルムでは、塗布液粘度が低い場合には塗工直後の湿潤状態にある塗工面が安定せず、塗布液の単位面積あたりの塗布量が、塗工直後からウェットラミネーションを実施するまでの間で変動してしまい、セパレータの面方向で多孔質構造体の単位面積あたりの重量が変動してしまう。この現象は本質的には、樹脂フィルムの表面張力に由来するものである。また、これとは別に、樹脂フィルムの剥離強度が0.1g/20mm未満の場合には、乾燥工程においてセパレータが樹脂フィルムから剥離する場合があり好ましくない。一方、75g/20mmを超すような接着性が高いフィルムでは、上記のような変動は認められないが、樹脂フィルムからセパレータを効率的に剥離し取り出すことが困難となるため好ましくない。一方、樹脂フィルム上に不織布を載置して重ねた後、その上に塗工する本発明の第1の態様の製造方法においては、塗布液が直接的に不織布上に塗工されるために塗布液は塗工後において不織布に絡むため流動しにくく、樹脂フィルムの剥離強度が0.1g/20mm未満の場合であっても、上記のような塗布量のバラツキは発生しないが、乾燥工程においてセパレータが樹脂フィルムから剥離する場合があり好ましくない。一方、上記第1の態様の製造方法において、剥離強度が75g/20mmを超す樹脂フィルムを用いる場合には、樹脂フィルムからセパレータを効率的に剥離し取り出すことが困難となるため好ましくない。
また、剥離強度が上記範囲にある樹脂フィルムを用いる別の利点として、以下に述べる内容が多孔質構造体の細孔の孔径を制御する上で重要である。すなわち、上記のいずれの複合方法においても共通するが、剥離強度を0.1g/20mmに近い低い範囲に設計した場合は、樹脂フィルムの接するセパレータ面の細孔の孔径が、塗工表層にあたるセパレータ面のものに比べて大きくなり、逆に75g/20mmに近い高い範囲に設計した場合は、樹脂フィルムに接するセパレータ面の細孔の孔径が、塗工表層にあたるセパレータ面のものに比べて小さくなる。また、0.1g/20mm未満の場合は、樹脂フィルムに接する側のセパレータ面の細孔が閉塞する場合があり、75g/20mmを超す場合は、塗工表層にあたるセパレータ面の細孔が閉塞しやすくなる。これらの現象の原因は必ずしも明らかではないが、不織布の表面張力が異なる材質を用いた場合でも同様の孔径の表裏非対称性が生ずることから、表面張力の強さによって生ずるものと考えられる。したがって、本発明では、電池設計からの要求から不織布の材質を固定しても、その不織布に複合される多孔質構造体を含むセパレータの表裏両面における孔径の対称性を、樹脂フィルムの表面性で制御することが可能となる。つまり、本発明では、従来は不織布の材質によって必ずしも上記の表裏両面の細孔の孔径の対称性が制御できなかったことに比較して、樹脂フィルムの剥離強度の設定によって、孔径の対称性を制御が可能である。
上記の如く本発明の電子部品用セパレータは、薄膜で且つ高イオン伝導性であっても作業性、生産性を損なうことのない機械的強度を有しており、そして、それを用いたリチウムイオン二次電池およびポリマーリチウム二次電池は、内部短絡を起こさず、シャットダウン効果により過充電に対して高い安全性も持ち合わせている。
以下に本発明のセパレータについて、その製造方法の一例を挙げて説明するが、本発明のセパレータの製造方法はこれのみに限定されるものではなく、他の製造方法でも本発明のセパレータを製造することは可能である。
本発明の電子部品用セパレータにおいては、繊維状シート基材の内部にフッ化ビニリデン樹脂が含まれているものであり、このような電子部品用セパレータを得るためには、加熱により溶融する熱可塑性樹脂微粒子を繊維状シート基材に含ませ、そして樹脂フィルムに重ね合わせた繊維状シート基材にフッ化ビニリデン樹脂の良溶媒及び貧溶媒を含む溶液を塗布した後乾燥するか、繊維状シート基材にフッ化ビニリデン樹脂の良溶媒及び貧溶媒を含む溶液を塗布した後乾燥するか、又は繊維状シート基材に、フッ化ビニリデン樹脂の良溶媒及び貧溶媒を含む溶液を含浸した後乾燥することにより得ることができる。
なお、本発明の電子部品用セパレータは、繊維状シート基材の内部にフッ化ビニリデン樹脂の多孔質構造体が含まれていると共に、繊維状シート基材の片面又は両面にフッ化ビニリデン樹脂の多孔質構造体よりなる被膜が形成されていてもよい。
セパレータは次のようにして作製される。まず最初に、フッ化ビニリデン樹脂を溶媒に添加する。溶媒としてはフッ化ビニリデン樹脂が溶解するもの(以下、「良溶媒」という。)を選択しなければならない。良溶媒の例として、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルスルホキシド等が挙げられる。フッ化ビニリデン樹脂の分散、溶解は、市販の攪拌機を使用して行うことができる。フッ化ビニリデン樹脂は、上記例示した良溶媒に室温で容易に溶解するので、溶解のために特に加熱する必要はない。その後、フッ化ビニリデン樹脂が溶解しない溶媒(以下、「貧溶媒」という。)を更に添加混合する。貧溶媒としては、良溶媒より沸点の高い溶媒を選択する。貧溶媒の例として、フタル酸ジブチル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。塗布液におけるフッ化ビニリデン樹脂の濃度は、得られるセパレータの特性を考慮に入れて適宜設定することができる。
一方、繊維状シート基材には、加熱により溶融する熱可塑性樹脂微粒子を散布等の方法で予め含ませておく。次いで、その繊維状シート基材を樹脂フィルムに載置して重ね合わせ、前記で得たフッ化ビニリデン樹脂含有塗布液を繊維状シート基材上に塗布する。樹脂フィルムとしてはポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルムを挙げることができる。樹脂フィルムには離型処理、易接着処理等の表面処理を施してもよい。樹脂フィルムとして、柔軟性を有するものが電子部品用セパレータの表面保護膜の機能も有するため好ましい。又、柔軟性を有する樹脂フィルムを用いた場合は、下記の乾燥工程後、樹脂フィルムに電子部品用セパレータが保持されたままの積層物の状態で巻き取って保管・搬送することも可能となるため好ましい。
フッ化ビニリデン樹脂を繊維状シート基材上に塗布する方法としては、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等により塗布又はキャスティング法等を挙げることができる。これにより、繊維状シート基材の内部にフッ化ビニリデン樹脂が浸入する。次に、塗布された繊維状シート基材上のフッ化ビニリデン樹脂を含む塗布物から溶媒を乾燥により蒸発させて多孔質構造体を形成する。得られたセパレータを樹脂フィルムから剥離して、本発明の電子部品用セパレータを得ることができる。
以下に、本発明の電子部品用セパレータの実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、平均孔径は、セパレータと上記樹脂フィルムとが直接接しない面及び接する面の両方をバブルポイント法で測定し、両者を比較の上、孔径が小さい方を測定値とした。また、厚さ方向の孔径分布は電子顕微鏡により観察した。なお、本発明における多孔質構造体の平均孔径は、塗布液の調整、乾燥条件およびプレス条件を適宜選択することによって制御した。
重量平均分子量30万のフッ化ビニリデンホモポリマーを1−メチル−2−ピロリドン及びジメチルアセトアミド(良溶媒)に溶解し、フタル酸ジブチル(貧溶媒)を添加してフッ化ビニリデンホモポリマー成分が10重量%になるように調整した塗布液を得た。この溶液中に含まれる水分量をカールフィッシャー法で測定したところ、0.6重量%であった。次に、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム面に、予めポリエチレンテレフタレート繊維よりなる厚さ10μmの不織布に粒径5μmで軟化点が113℃のポリエチレン粒子を1g/m保持させておいたものを載置し、その不織布に上記塗布液をキャスティング法により塗布した。次に、不織布の内部に含まれる塗布液中の溶剤を熱により蒸発させ、樹脂フィルムを剥離することによって、不織布繊維間にフッ化ビニリデンホモポリマーの多孔質構造体を有する厚さが20μmの電子部品用セパレータを得た。なお、樹脂フィルムの多孔質構造体に対する剥離強度は15g/20mmであった。
この電子部品用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔は存在せず、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に多数の細孔の繋がりによって通じており、各細孔の平均孔径はセパレータの厚さより小さかった。また、セパレータの厚さ方向で孔径分布の傾斜は認められず、厚さ方向に均質な多孔質構造であることを確認した。バブルポイント法により多孔質構造体の細孔の平均孔径を測定したところ6.0μmであることから、ポリエチレン粒子の一次平均粒子径は細孔の孔径に対して83.3%であることを確認した。
重量平均分子量30万のフッ化ビニリデンホモポリマーを1−メチル−2−ピロリドン及びジメチルアセトアミド(良溶媒)に溶解し、フタル酸ジブチル(貧溶媒)を添加してフッ化ビニリデンホモポリマー成分が5重量%になるように調整した塗布液を得た。この塗布液中に含まれる水分量をカールフィッシャー法で測定したところ、0.65重量%であった。次に、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム面に、予めポリエチレンテレフタレート繊維よりなる厚さ10μmの不織布に粒径1μmで軟化点が113℃のポリエチレン粒子と粒径が1μmで軟化点が132℃のポリエチレン粒子を15g/m保持させておいたものを載置し、その不織布上に上記塗布液をキャスティング法により塗布した。次に、不織布の内部に含まれる塗布液中の溶剤を熱により蒸発させ、樹脂フィルムを剥離することによって、不織布繊維間にフッ化ビニリデンホモポリマーの多孔質構造体を有する複合膜を得た。これにプレス処理を施し、厚さが10μmの本発明の電子部品用セパレータを得た。なお、樹脂フィルムの多孔質構造体に対する剥離強度は0.5g/20mmであった。
この電子部品用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔は存在せず、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に多数の細孔の繋がりによって通じており、各細孔の孔径はセパレータの厚さより小さかった。また、セパレータの厚さ方向で孔径分布の傾斜は殆ど認められなかった。バブルポイント法により細孔の平均孔径を測定したところ2.1μmであることから、ポリエチレン粒子の一次平均粒子径は、細孔の孔径に対して47.6%であることを確認した。
重量平均分子量50万のフッ化ビニリデンホモポリマーを1−メチル−2−ピロリドン及びジメチルアセトアミド(良溶媒)に溶解し、フタル酸ジブチル(貧溶媒)を添加してフッ化ビニリデンホモポリマー成分が5重量%になるように調整した塗布液を得た。この塗布液中に含まれる水分量をカールフィッシャー法で測定したところ、0.5重量%であった。次にポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム面に、予めポリエチレンテレフタレート繊維よりなる厚さ10μmの不織布に粒径3μmで軟化点が113℃のポリエチレン粒子と粒径が3μmで軟化点が148℃のポリプロピレン粒子を30g/m保持させておいたものを載置し、その不織布上に上記塗布液をキャスティング法により塗布した。次に、不織布の内部に含まれる塗布液中の溶剤を熱により蒸発させ、樹脂フィルムを剥離することによって、不織布繊維間にフッ化ビニリデンホモポリマーの多孔質構造体を有する複合膜を得た。これにプレス処理を施し、厚さが25μmの電子部品用セパレータを得た。なお、樹脂フィルムの多孔質構造体に対する剥離強度は65g/20mmであった。
この電子部品用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔は存在せず、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に多数の細孔の繋がりによって通じており、各細孔の孔径はセパレータの厚さより小さかった。セパレータの厚さ方向で孔径分布の傾斜は認められず、厚さ方向に均質な多孔質構造であることを確認した。バブルポイント法により細孔の平均孔径を測定したところ4.2μmであることから、ポリエチレン粒子の一次平均粒子径は、細孔の孔径に対して71.4%であることを確認した。
重量平均分子量20万のフッ化ビニリデンホモポリマーを1−メチル−2−ピロリドン及びジメチルアセトアミド(良溶媒)に溶解し、フタル酸ジブチル(貧溶媒)を添加してフッ化ビニリデンホモポリマー成分が8重量%になるように調整した塗布液を得た。この塗布液中に含まれる水分量をカールフィッシャー法で測定したところ、0.5重量%であった。次に、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム面に、予めポリエチレンテレフタレート繊維よりなる厚さ10μmの不織布に粒径3μmで軟化点が132℃のポリエチレン粒子と粒径が3μmで軟化点が148℃のポリプロピレン粒子を5g/m保持させておいたものを載置し、その不織布上に上記塗布液をキャスティング法により塗布した。次に、不織布の内部に含まれる塗布液中の溶剤を熱により蒸発させ、樹脂フィルムを剥離することによって、不織布繊維間にフッ化ビニリデンホモポリマーの多孔質構造体を有する複合膜を得た。これにプレス処理を施し、厚さが27μmの電子部品用セパレータを得た。なお、樹脂フィルムの多孔質構造体に対する剥離強度は17g/20mmであった。
この電子部品用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔は存在せず、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に多数の細孔の繋がりによって通じており、各細孔の孔径はセパレータの厚さより小さかった。また、セパレータの厚さ方向で孔径分布の傾斜は認められず、厚さ方向に均質な多孔質構造であることを確認した。バブルポイント法により細孔の平均孔径を測定したところ4.8μmであることから、ポリエチレン粒子及びポリプロピレン粒子の一次平均粒子径は、細孔の孔径に対して62.5%であることを確認した。
重量平均分子量30万のフッ化ビニリデンホモポリマーを1−メチル−2−ピロリドン及びジメチルアセトアミド(良溶媒)に溶解し、フタル酸ジブチル(貧溶媒)を添加してフッ化ビニリデンホモポリマー成分が10重量%になるように調整した塗布液を得た。この塗布液中に含まれる水分量をカールフィッシャー法で測定したところ、0.51重量%であった。次に、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム面に、予めポリエチレンテレフタレート繊維よりなる厚さ15μmの不織布に粒径0.5μmで軟化点が132℃のポリエチレン粒子を10g/m保持させておいたものを載置し、その不織布上に上記溶液をキャスティング法により塗布した。次に、不織布の内部に含まれる塗布液中の溶剤を熱により蒸発させ、樹脂フィルムを剥離することによって、不織布繊維間にフッ化ビニリデンホモポリマーの多孔質構造体を有する複合膜を得た。これにプレス処理を施し、厚さが15μmの電子部品用セパレータを得た。なお、樹脂フィルムの多孔質構造体に対する剥離強度は16g/20mmであった。
この電子部品用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔は存在せず、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に多数の細孔の繋がりによって通じており、各細孔の孔径はセパレータの厚さより小さかった。また、セパレータの厚さ方向で孔径分布の傾斜は認められず、厚さ方向に均質な多孔質構造であることを確認した。バブルポイント法により細孔の平均孔径を測定したところ1.5μmであることから、ポリエチレン粒子の一次平均粒子径は細孔の孔径に対して33.3%であることを確認した。
重量平均分子量50万のフッ化ビニリデンホモポリマーを1−メチル−2−ピロリドン及びジメチルアセトアミド(良溶媒)に溶解し、フタル酸ジブチル(貧溶媒)を添加してフッ化ビニリデンホモポリマー成分が8重量%になるように調整した塗布液を得た。この塗布液中に含まれる水分量をカールフィッシャー法で測定したところ、0.41重量%であった。次に、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム面に、予めポリエチレンテレフタレート繊維よりなる厚さ15μmの不織布に粒径5μmで軟化点が113℃のポリエチレン粒子と粒径が9μmで軟化点が148℃のポリプロピレン粒子を8g/m保持させておいたものを載置し、この不織布上に上記塗布液をキャスティング法により塗布した。次に、不織布の内部に含まれる塗布液中の溶剤を熱により蒸発させ、樹脂フィルムを剥離することによって、不織布繊維間にフッ化ビニリデンホモポリマーの多孔質構造体を有する複合膜を得た。これにプレス処理を施し、厚さが20μmの電子部品用セパレータを得た。なお、樹脂フィルムの多孔質構造体に対する剥離強度は13g/20mmであった。
この電子部品用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔は存在せず、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に多数の細孔の繋がりによって通じており、各細孔の孔径はセパレータの厚さより小さかった。また、セパレータの厚さ方向で孔径分布の傾斜は認められず、厚さ方向に均質な多孔質構造であることを確認した。バブルポイント法により細孔の平均孔径を測定したところ10.5μmであることから、ポリエチレン粒子およびポリプロピレン粒子の一次平均粒子径は、細孔の孔径に対してそれぞれ47.6%および85.7%であることを確認した。
重量平均分子量20万のフッ化ビニリデンホモポリマーを1−メチル−2−ピロリドン及びジメチルアセトアミド(良溶媒)に溶解し、フタル酸ジブチル(貧溶媒)を添加してフッ化ビニリデンホモポリマー成分が8重量%になるように調整した塗布液を得た。この塗布液中に含まれる水分量をカールフィッシャー法で測定したところ、0.45重量%であった。次に、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム面に、予めポリエチレンテレフタレート繊維よりなる厚さ15μmの不織布に粒径12μmで軟化点が132℃のポリエチレン粒子と粒径が1μmで軟化点が148℃のポリプロピレン粒子を3g/m保持させておいたものを載置し、その不織布上に上記溶液をキャスティング法により塗布した。次に、不織布の内部に含まれる溶液中の溶剤を熱により蒸発させ、樹脂フィルムを剥離することによって、不織布繊維間にフッ化ビニリデンホモポリマーの多孔質構造体を有する複合膜を得た。これにプレス処理を施し、厚さが18μmの電子部品用セパレータを得た。なお、樹脂フィルムの多孔質構造体に対する剥離強度は18g/20mmであった。
この電子部品用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔は存在せず、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に多数の細孔の繋がりによって通じており、各細孔の孔径はセパレータの厚さより小さかった。また、セパレータの厚さ方向で孔径分布の傾斜は認められず、厚さ方向に均質な多孔質構造であることを確認した。バブルポイント法により該セパレータの平均孔径を測定したところ14.1μmであることから、ポリエチレン粒子及びポリプロピレン粒子の一次平均粒子径は、細孔の孔径に対して、それぞれ85.1%および7.1%であることを確認した。
重量平均分子量50万のフッ化ビニリデンホモポリマーを1−メチル−2−ピロリドン及びジメチルアセトアミド(良溶媒)に溶解し、フタル酸ジブチル(貧溶媒)を添加してフッ化ビニリデンホモポリマー成分が5重量%になるように調整した塗布液を得た。この塗布液中に含まれる水分量をカールフィッシャー法で測定したところ、0.48重量%であった。次に、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム面に、予めポリエチレンテレフタレート繊維よりなる厚さ20μmの不織布に粒径0.5μmで軟化点が113℃のポリエチレン粒子と粒径が5μmで軟化点が148℃のポリプロピレン粒子を50g/m保持させておいたものを載置し、その不織布上に上記塗布液をキャスティング法により塗布した。次に、不織布の内部に含まれる塗布液中の溶剤を熱により蒸発させ、樹脂フィルムを剥離することによって、不織布繊維間にフッ化ビニリデンホモポリマーの多孔質構造体を有する複合膜を得た。これにプレス処理を施し、厚さが25μmの電子部品用セパレータを得た。なお、樹脂フィルムの多孔質構造体に対する剥離強度は21g/20mmであった。
この電子部品用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔は存在せず、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に多数の細孔の繋がりによって通じており、各細孔の孔径はセパレータの厚さより小さかった。また、セパレータの厚さ方向で孔径分布の傾斜は認められず、厚さ方向に均質な多孔質構造であることを確認した。バブルポイント法により細孔の平均孔径を測定したところ5.9μmであることから、ポリエチレン粒子及びポリプロピレン粒子の一次平均粒子径は、細孔の孔径に対して、それぞれ8.5%および84.7%であることを確認した。
重量平均分子量30万のフッ化ビニリデンホモポリマーを1−メチル−2−ピロリドン及びジメチルアセトアミド(良溶媒)に溶解し、フタル酸ジブチル(貧溶媒)を添加してフッ化ビニリデンホモポリマー成分が5重量%になるように調整した塗布液を得た。この塗布液中に含まれる水分量をカールフィッシャー法で測定したところ、0.39重量%であった。次に、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム面に、予めポリエチレンテレフタレート繊維よりなる厚さ20μmの不織布に粒径3μmで軟化点が113℃のポリエチレン粒子と粒径が3μmで軟化点が148℃のポリプロピレン粒子を3g/m保持させておいたものを載置し、その不織布上に上記塗布液をキャスティング法により塗布した。次に、不織布の内部に含まれる塗布液中の溶剤を熱により蒸発させ、樹脂フィルムを剥離することによって、不織布繊維間にフッ化ビニリデンホモポリマーの多孔質構造体を有する複合膜よりなる厚さが28μmの電子部品用セパレータを得た。なお、樹脂フィルムの多孔質構造体に対する剥離強度は16g/20mmであった。
この電子部品用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔は存在せず、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に多数の細孔の繋がりによって通じており、各細孔の孔径はセパレータの厚さより小さかった。また、セパレータの厚さ方向で孔径分布の傾斜は認められず、厚さ方向に均質な多孔質構造であることを確認した。バブルポイント法により細孔の平均孔径を測定したところ4.6μmであることから、ポリエチレン粒子及びポリプロピレン粒子の一次平均粒子径は、細孔の孔径に対してそれぞれ65.2%であることを確認した。
重量平均分子量20万のフッ化ビニリデンホモポリマーを1−メチル−2−ピロリドン及びジメチルアセトアミド(良溶媒)に溶解し、フタル酸ジブチル(貧溶媒)を添加してフッ化ビニリデンホモポリマー成分が5重量%になるように調整した塗布液を得た。この塗布液中に含まれる水分量をカールフィッシャー法で測定したところ、0.54重量%であった。次に、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム面に、予めポリエチレンテレフタレート繊維よりなる厚さ20μmの不織布に粒径5μmで軟化点が113℃のポリエチレン粒子と粒径が5μmで軟化点が132℃のポリエチレン粒子を10g/m保持させておいたものを載置し、その不織布上に上記塗布液をキャスティング法により塗布した。次に、不織布の内部に含まれる塗布液中の溶剤を熱により蒸発させ、樹脂フィルムを剥離することによって、不織布繊維間にフッ化ビニリデンホモポリマーの多孔質構造体を有する複合膜を得た。これにプレス処理を施し、厚さが30μmの電子部品用セパレータを得た。なお、樹脂フィルムの多孔質構造体に対する剥離強度は17g/20mmであった。
この電子部品用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔は存在せず、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に多数の細孔の繋がりによって通じており、各細孔の孔径はセパレータの厚さより小さかった。また、セパレータの厚さ方向で孔径分布の傾斜は認められず、厚さ方向に均質な多孔質構造であることを確認した。バブルポイント法により細孔の平均孔径を測定したところ6.3μmであることから、ポリエチレン粒子及びポリプロピレン粒子の一次平均粒子径は細孔の孔径に対して79.4%であることを確認した。
実施例1において、不織布を構成する繊維の一部を繊維径が0.1デニールのものが10重量%になるように置き換えた以外は、実施例1と同様にして、電子部品用セパレータを得た。この際の不織布の厚さは9μmであった。また得られた電子部品用セパレータの厚さは18μmであった。この電子部品用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔は存在せず、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に多数の細孔の繋がりによって通じており、各細孔の孔径はセパレータの厚さより小さかった。また、セパレータの厚さ方向で孔径分布の傾斜は認められず、厚さ方向に均質な多孔質構造であることを確認した。バブルポイント法により細孔の平均孔径を測定したところ5.7μmであることから、ポリエチレン粒子の一次平均粒子径は細孔の孔径に対して87.7%であることを確認した。
実施例1において、不織布を構成する繊維の一部を繊維径が0.1デニールのものが50重量%になるように置き換えた以外は、実施例1と同様にして電子部品用セパレータを得た。この際の不織布の厚さは8μmであった。また得られた電子部品用セパレータの厚さは16μmであった。この電子部品用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔は存在せず、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に多数の細孔の繋がりによって通じており、各細孔の孔径はセパレータの厚さより小さかった。また、セパレータの厚さ方向で孔径分布の傾斜は認められず、厚さ方向に均質な多孔質構造であることを確認した。バブルポイント法により細孔の平均孔径を測定したところ5.5μmであることから、ポリエチレン粒子の一次平均粒子径は細孔の孔径に対して90.9%であることを確認した。
実施例1において、ポリエチレンテレフタレートよりなる樹脂フィルムに直接キャスティング法により、実施例1と同様の塗布液を塗工し、塗布直後に湿潤状態にある塗工面上に、実施例1のポリエチレン粒子を保持した不織布をウェットラミネーションにより重ねた。それ以外は実施例1と同様にして、電子部品用セパレータを得た。得られた電子部品用セパレータの厚さは19μmであった。この電子部品用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔は存在せず、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に多数の細孔の繋がりによって通じており、各細孔の孔径はセパレータの厚さより小さかった。また、セパレータの厚さ方向で孔径分布の傾斜は認められず、厚さ方向に均質な多孔質構造であることを確認した。バブルポイント法により細孔の平均孔径を測定したところ5.9μmであることから、ポリエチレン粒子の一次平均粒子径は細孔の孔径に対して84.7%であることを確認した。
実施例12の不織布を用いた他は、実施例13と同様にして電子部品用セパレータを得た。得られた電子部品用セパレータの厚さは18μmであった。この電子部品用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔は存在せず、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に多数の細孔の繋がりによって通じており、各細孔の径はセパレータの厚さより小さかった。また、セパレータの厚さ方向で孔径分布の傾斜は認められず、厚さ方向に均質な多孔質構造であることを確認した。バブルポイント法により細孔の平均孔径を測定したところ5.7μmであることから、ポリエチレン粒子の一次平均粒子径は細孔の孔径に対して87.7%であることを確認した。
[比較例1]
厚さ20μmのポリエチレンテレフタレート繊維よりなる不織布を比較用の電子部品用セパレータとした。
[比較例2]
重量平均分子量30万のフッ化ビニリデンホモポリマーを1−メチル−2−ピロリドン及びジメチルアセトアミド(良溶媒)に溶解し、フタル酸ジブチル(貧溶媒)を添加してフッ化ビニリデンホモポリマー成分が10重量%になるように調整した塗布液を得た。この塗布液中に含まれる水分量をカールフィッシャー法で測定したところ、0.54重量%であった。次に、ポリエチレンテレフタレートからなる保持材面に、ポリエチレンテレフタレート繊維よりなる厚さ15μmの不織布を載置し、その不織布上に上記塗布液をキャスティング法により塗布した。次に、不織布の内部に含まれる塗布液中の溶剤を熱により蒸発させ、不織布繊維間にフッ化ビニリデンホモポリマーの多孔質構造体を有する厚さが30μmの比較用のセパレータを得た。
この電子部品用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔は存在せず、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に多数の細孔の繋がりによって通じており、各細孔の孔径はセパレータの厚さより小さかった。また、セパレータ膜の厚さ方向で孔径分布の傾斜は認められず、厚さ方向に均質な多孔質構造であることを確認した。バブルポイント法により細孔の平均孔径を測定したところ3.7μmであった。
[比較例3]
重量平均分子量50万のフッ化ビニリデンホモポリマーを1−メチル−2−ピロリドン及びジメチルアセトアミド(良溶媒)に溶解し、フタル酸ジブチル(貧溶媒)を添加してフッ化ビニリデンホモポリマー成分が10重量%になるように調整した塗布液を得た。この塗布液中に含まれる水分量をカールフィッシャー法で測定したところ、0.59重量%であった。次に、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム面に、予めポリエチレンテレフタレート繊維よりなる厚さ10μmの不織布に粒径3μmで軟化点が113℃のポリエチレン粒子と粒径が1μmで軟化点が132℃のポリエチレン粒子を0.5g/m保持させておいたものを載置し、その不織布上に上記塗布液をキャスティング法により塗布した。次に、不織布の内部に含まれる塗布液中の溶剤を熱により蒸発させ、不織布繊維間にフッ化ビニリデンホモポリマーの多孔質構造体を有する厚さが15μmの比較用のセパレータを得た。
この比較用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔は存在せず、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に多数の細孔の繋がりによって通じており、各細孔の孔径はセパレータの厚さより小さかった。また、セパレータの厚さ方向で孔径分布の傾斜は認められず、厚さ方向に均質な多孔質構造であることを確認した。バブルポイント法により細孔の平均孔径を測定したところ3.5μmであった。
[比較例4]
重量平均分子量20万のフッ化ビニリデンホモポリマーを1−メチル−2−ピロリドン及びジメチルアセトアミド(良溶媒)に溶解し、フタル酸ジブチル(貧溶媒)を添加してフッ化ビニリデンホモポリマー成分が8重量%になるように調整した塗布液を得た。この塗布液中に含まれる水分量をカールフィッシャー法で測定したところ、0.50重量%であった。次にポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム面に、予めポリエチレンテレフタレート繊維よりなる厚さ20μmの不織布に粒径1μmで軟化点が113℃のポリエチレン粒子と粒径が5μmで軟化点が148℃のポリプロピレン粒子を60g/m保持させておいたものを載置し、その不織布上に上記塗布液をキャスティング法により塗布した。次に、不織布の内部に含まれる塗布液中の溶剤を熱により蒸発させ、不織布繊維間にフッ化ビニリデンホモポリマーの多孔質構造体を有する複合膜を得た。これにプレス処理を施し、厚さが40μmの比較用のセパレータを得た。
この比較用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔は存在せず、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に多数の細孔の繋がりによって通じており、各細孔の孔径はセパレータの厚さより小さかった。また、セパレータの厚さ方向で孔径分布の傾斜は認められず、厚さ方向に均質な多孔質構造であることを確認した。バブルポイント法により細孔の平均孔径を測定したところ5.8μmであった。
[比較例5]
厚さ20μmのポリエチレン製延伸多孔質膜を比較用の電子部品用セパレータとした。[比較例6]
厚さ10μmのポリエチレン製延伸多孔質膜を比較用の電子部品用セパレータとした。
[比較例7]
実施例1におけると同様にして塗布液をキャスティング法により塗布して得た塗工物を、乾燥せずに水に浸漬して溶媒置換し、その後に乾燥した以外は、実施例1と同様にして比較例用セパレータを得た。この比較用セパレータの膜厚は24μmであった。
この比較用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔は存在せず、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に細孔の繋がりによって通じていることが認められるものの、セパレータ内の孔が、多数のポリエチレン粒子で閉塞している状態が確認された。また、各細孔の孔径はセパレータの厚さより小さかった。また、樹脂フィルムとの接触面側のセパレータ表面は細孔の開き方がまばらであり、極薄いスキン層が形成されていることが認められた。バブルポイント法により細孔の平均孔径を測定したところ、孔径は3.2μmであり、ポリエチレン粒子の粒径よりも小さいことが分かった。
[比較例8]
実施例1の貧溶媒をトリプロピレングリコールに換えた以外は、実施例1と同様に処理して塗工物を得た。その塗工物を貧溶媒を残した状態まで半乾燥した。次に、塗工面内に残っている貧溶媒をアルコールで抽出した後、再度乾燥して比較用セパレータを得た。得られた比較用セパレータの膜厚は25μmであった。
この比較用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔は存在せず、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に細孔の繋がりが認められ、各細孔の孔径はセパレータの厚さより小さかった。しかし、このセパレータを電子顕微鏡で観察したところ、多孔質構造化しているものの、表面近傍の孔径が非常に大きいことがわかった。また、多孔質構造体の内部において、ポリエチレン粒子で孔が塞がれている状態が多数観察された。バブルポイント法により細孔の平均孔径を測定したところ、孔径は3.4μmであり、ポリエチレン粒子の粒径よりも小さいことが確認された。
[比較例9]
実施例1において、ポリエチレン粒子の代わりに、平均粒子径が25μの燐酸カルシウム粒子を塗布液に対して10重量%混合し分散した後に、実施例1と同様に処理して塗工物を得た。それを乾燥した後、更に希硝酸にて燐酸カルシウムを分解し、水洗後、再度乾燥して比較用セパレータを得た。得られた比較用セパレータの膜厚は28μmであった。
この比較用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔が認められ、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に孔の繋がりが認められた。孔各々の径は繊維状シート基材の厚さとほぼ同等であり、また、バブルポイント法により細孔の平均孔径を測定したところ26μmであった。
[比較例10]
実施例1において貧溶媒を用いない以外は、実施例1と同様にして膜厚22μmの比較用セパレータを得た。得られた比較用セパレータを電子顕微鏡により観察したところ、膜厚方向への連通孔は少なくポリエチレン粒子による閉塞個所が多数確認された。バブルポイント法により細孔の平均孔径を測定したところ0.06μmであった。
[比較例11]
実施例1において、ジメチルアセトアミドを用いない以外は、実施例1と同様にして比膜厚21μmの比較用セパレータを得た。その場合、実施例1に比べて約1.5倍の乾燥時間を要した。
この比較用セパレータを電子顕微鏡で観察したところ、ピンホールなどの貫通孔は存在せず、前記多孔質構造体は、セパレータの片面からもう一方の面に多数の細孔の繋がりによって通じており、各細孔の孔径はセパレータの厚さより小さかった。また、セパレータの厚さ方向で孔径分布の傾斜は認められず、厚さ方向に均質な多孔質構造であることは確認できた。しかしながら、セパレータは全体的に細孔の孔径が小さく、ポリエチレン粒子で閉塞している個所を多々観察された。バブルポイント法により細孔の平均孔径を測定したところ、孔径は0.05μmであり、ポリエチレン粒子の一次平均粒子径以下の孔径であることが分かった。
[比較例12]
実施例1において、35℃85%RHの雰囲気下、開放系で作製した塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして比較用セパレータを作製した。得られた比較用セパレータの多孔質膜は、目視上、細孔密度の濃淡がはっきりわかる非常に不均一な膜であった。その膜厚は約24μmであった。なお、使用した塗布液の水分量は、カールフィッシャー法で測定した結果、1.7重量%であった。
上記実施例及び比較例で得られた電子部品用セパレータをリチウムイオン二次電池に使用した場合の特性を下記のように評価した。
〔イオン伝導度〕
上記26種のセパレータに関してイオン伝導度を評価した。測定には、前記26種のセパレータを使用しコイン型セルを作製した。その結果を表1に示す。なお、測定環境、測定装置は次の通りである。
測定環境:20℃50%RH
測定装置:Solartron社製 SI 1287 1255B
Figure 2005268096
表1より明らかなように、本発明の実施例1から14のセパレータは、比較例のものに比して、全般的にイオン伝導性が格段に優れていることが明らかである。これは、低透気度であるということと、電極とセパレータとがセパレータ表面の樹脂層により隙間なく接触していることがイオン伝導性を良くした要因であると考えられる。一方、比較例の中にもイオン伝導性が良好なものが散見されるが、以下に述べる他の特性において、必ずしも良好な結果が得られなかった。
〔引張最大点荷重〕
機械的強度の尺度として、上記実施例及び比較例の26種についてJIS K 7161に準拠し引張最大点荷重により引張強度を測定した。その結果を表2に示す。測定環境、測定装置、測定条件は次の通りである。
測定環境:25℃65%RH
測定装置:ORIENTEC社製 UCT−500
初期試料長:10mm
引張速度:50mm/min
引張方向:長尺方向(MD)
Figure 2005268096
表2より明らかなように、実施例のセパレータは、厚みあたりの最大点荷重が比較例のものと同等以上の強度を有している。したがって、電池製造時に作業性、生産性を損なうことのないセパレータであるといえる。比較例の中でも強度の高いものもあるが、これらについては、多孔質構造体の孔が閉塞状態に近いものもあり、先に示したようにイオン伝導性に劣るか、あるいは後述のシャットダウン性能に劣るものであった。
〔シャットダウン性〕
上記26種のセパレータに関してシャットダウン性を評価した。測定には、前記26種のセパレータを使用しコイン型セルを作製した。その結果を表3に示す。試験方法としては、満充電したコイン型セルに更に充電を行い、その際の電池内部の温度変化を測定し、温度が下がり始めた点をシャットダウン温度とした。
Figure 2005268096
表3より明らかなように、実施例のセパレータは、シャットダウン性を有するセパレータであり、電池の安全性に寄与することが分かる。比較例7〜12に関しては、ポリエチレン粒子かまたはポリプロピレン粒子が多孔質構造体の孔を閉塞しており、これらの粒子と多孔質構造体及び繊維とが密着状態にあるために、これら粒子の軟化点以上に温度上昇し、シャットダウン機能が発現しても、上記の粒子とその他の材質との間隙が極めて少ないために、微小デンドライトの成長が抑制されて、過充電における電池反応を抑制しきれなかったものと推察される。一方、実施例のセパレータは、微粒子と他部材との間隙が十分あるために、その間隙を通って微小デンドライトが成長し、過充電による電池反応の暴走を抑制したことと、これとほぼ同時にシャットダウン機能が発現して、二重の安全性機能が働いたものと推察される。
比較例4及び5に関しては、電池反応の暴走が抑制されたものの、イオン伝導性に劣り、本発明の評価項目全てを満足するものは、比較例の中には見出せなかった。

Claims (19)

  1. 繊維状シート基材および加熱により溶融する熱可塑性樹脂微粒子を含む多孔質構造体よりなる電子部品用セパレータであって、前記多孔質構造体の細孔の平均孔径が0.1〜15μmであり、前記微粒子が、セパレータに1〜50g/mの範囲で含まれ、且つ前記微粒子の一次平均粒子径が前記孔径の1%〜95%の範囲にあることを特徴とする電子部品用セパレータ。
  2. 前記繊維状シート基材が、織布、不織布又は網状物であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品用セパレータ。
  3. 前記不織布が、繊維径0.15デニール以下の繊維を少なくとも1重量%以上含むことを特徴とする請求項2に記載の電子部品セパレータ。
  4. 前記微粒子が、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンからなることを特徴とする請求項1に記載の電子部品用セパレータ。
  5. 前記多孔質構造体が、繊維状シート基材の表面及び/又は内部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品用セパレータ。
  6. 前記多孔質構造体が、フッ化ビニリデン樹脂よりなることを特徴とする請求項5に記載の電子部品用セパレータ。
  7. 前記多孔質構造体の多数の細孔が繋がってセパレータの一面から他面に連通しており、セパレータ面の垂直方向にピンホール状の垂直な貫通孔を有さず、各細孔の孔径はセパレータの厚さより小さいことを特徴とする請求項1に記載の電子部品用セパレータ。
  8. セパレータの厚さが5〜30μmであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子部品用セパレータ。
  9. 電子部品が、リチウムイオン二次電池又はポリマーリチウム二次電池であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の電子部品用セパレータ。
  10. 樹脂フィルム上に、加熱により溶融する熱可塑性樹脂微粒子を含む繊維状シート基材を載置する工程、該繊維状シート基材の上に、フッ化ビニリデン樹脂とその良溶媒及び貧溶媒を含有する塗布液を塗工する工程、形成された塗工層を乾燥して溶媒を除去することによって繊維状シート基材の表面及び/又は内部に多孔質構造体を形成する工程、その後樹脂フィルムを除去することによって繊維状シート基材および加熱により溶融する熱可塑性樹脂微粒子を含む多孔質構造体よりなるセパレータを得る工程を含み、該塗布液中に含まれる水分量がカールフィッシャー法による測定で0.7重量%以下であることを特徴とする電子部品用セパレータの製造方法。
  11. 樹脂フィルム上に、フッ化ビニリデン樹脂とその良溶媒及び貧溶媒を含有する塗布液を塗工して塗工層を形成する工程、加熱により溶融する熱可塑性樹脂微粒子を含む繊維状シート基材を前記塗工層に重ね合わせる工程、その後、乾燥して溶媒を除去することによって繊維状シート基材の表面及び/又は内部に多孔質構造体を形成する工程、その後樹脂フィルムを除去することによって繊維状シート基材および加熱により溶融する熱可塑性樹脂微粒子を含む多孔質構造体よりなるセパレータを得る工程を含み、該塗布液中に含まれる水分量がカールフィッシャー法による測定で0.7重量%以下であることを特徴とする電子部品用セパレータの製造方法。
  12. 前記塗布液における貧溶媒の沸点が、良溶媒の沸点よりも高いことを特徴とする請求項10又は11に記載の電子部品用セパレータの製造方法。
  13. 前記繊維状シート基材が、織布、不織布又は網状物であることを特徴とする請求項10又は11に記載の電子部品用セパレータの製造方法。
  14. 前記不織布が、繊維径0.15デニール以下の繊維を少なくとも1重量%以上含むことを特徴とする請求項13に記載の電子部品セパレータの製造方法。
  15. 前記微粒子がポリエチレン及び/又はポリプロピレンからなることを特徴とする請求項10又は11に記載の電子部品用セパレータの製造方法。
  16. 前記多孔質構造体の多数の細孔が繋がってセパレータの一面から他面に連通しており、セパレータ面の垂直方向にピンホール状の垂直な貫通孔を有さず、各細孔の孔径はセパレータの厚さより小さいことを特徴とする請求項10又は11に記載の電子部品用セパレータの製造方法。
  17. セパレータの厚さが5〜30μmであることを特徴とする請求項10又は11に記載の電子部品用セパレータの製造方法。
  18. 前記樹脂フィルムの多孔質構造体に対する剥離強度が0.1〜75g/20mmであることを特徴とする請求項10又は11に記載の電子部品用セパレータの製造方法。
  19. 電子部品が、リチウムイオン二次電池又はポリマーリチウム二次電池であることを特徴とする請求項10乃至18のいずれかに記載の電子部品用セパレータの製造方法。

JP2004080296A 2004-03-19 2004-03-19 電子部品用セパレータ及びその製造方法 Expired - Lifetime JP4705335B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004080296A JP4705335B2 (ja) 2004-03-19 2004-03-19 電子部品用セパレータ及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004080296A JP4705335B2 (ja) 2004-03-19 2004-03-19 電子部品用セパレータ及びその製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005268096A true JP2005268096A (ja) 2005-09-29
JP2005268096A5 JP2005268096A5 (ja) 2006-09-14
JP4705335B2 JP4705335B2 (ja) 2011-06-22

Family

ID=35092409

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004080296A Expired - Lifetime JP4705335B2 (ja) 2004-03-19 2004-03-19 電子部品用セパレータ及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4705335B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2034540A1 (de) 2007-09-07 2009-03-11 Carl Freudenberg KG Vliesstoff mit Partikelfüllung
JP2009518809A (ja) * 2005-12-06 2009-05-07 エルジー・ケム・リミテッド モルフォロジーグラジエントを有する有機/無機複合分離膜、その製造方法及びこれを備えた電気化学素子
JP2012209234A (ja) * 2011-03-28 2012-10-25 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd 二次電池繊維状分離膜およびその製造方法
JP2013186958A (ja) * 2012-03-06 2013-09-19 Mitsubishi Paper Mills Ltd 金属イオン二次電池用セパレータの製造方法及び金属イオン二次電池用セパレータ
EP2668328A1 (de) * 2011-01-26 2013-12-04 Evonik Degussa GmbH Dünne, makroporöse polymerfolien
US9159979B2 (en) 2008-02-20 2015-10-13 Carl Freudenberg Kg Nonwoven fabric having cross-linking material
JP2018506161A (ja) * 2015-03-30 2018-03-01 エルジー・ケム・リミテッド セルロース系多層分離膜
WO2019163635A1 (ja) 2018-02-20 2019-08-29 三菱製紙株式会社 不織布塗工機
US11424510B2 (en) 2018-01-17 2022-08-23 Lg Energy Solution, Ltd. Separator having through-holes sealed by thermoplastic polymer and electrochemical device including the same

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06215749A (ja) * 1993-01-13 1994-08-05 Sumitomo Electric Ind Ltd 隔膜およびそれを用いた電池
JP2003317693A (ja) * 2002-04-24 2003-11-07 Teijin Ltd リチウムイオン二次電池用セパレータ

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06215749A (ja) * 1993-01-13 1994-08-05 Sumitomo Electric Ind Ltd 隔膜およびそれを用いた電池
JP2003317693A (ja) * 2002-04-24 2003-11-07 Teijin Ltd リチウムイオン二次電池用セパレータ

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009518809A (ja) * 2005-12-06 2009-05-07 エルジー・ケム・リミテッド モルフォロジーグラジエントを有する有機/無機複合分離膜、その製造方法及びこれを備えた電気化学素子
EP2034540A1 (de) 2007-09-07 2009-03-11 Carl Freudenberg KG Vliesstoff mit Partikelfüllung
DE102007042554A1 (de) 2007-09-07 2009-03-12 Carl Freudenberg Kg Vliesstoff mit Partikelfüllung
US9172074B2 (en) 2007-09-07 2015-10-27 Carl Freudenberg Kg Nonwoven material with particle filler
DE102007042554B4 (de) * 2007-09-07 2017-05-11 Carl Freudenberg Kg Vliesstoff mit Partikelfüllung
US9159979B2 (en) 2008-02-20 2015-10-13 Carl Freudenberg Kg Nonwoven fabric having cross-linking material
EP2668328A1 (de) * 2011-01-26 2013-12-04 Evonik Degussa GmbH Dünne, makroporöse polymerfolien
JP2012209234A (ja) * 2011-03-28 2012-10-25 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd 二次電池繊維状分離膜およびその製造方法
JP2013186958A (ja) * 2012-03-06 2013-09-19 Mitsubishi Paper Mills Ltd 金属イオン二次電池用セパレータの製造方法及び金属イオン二次電池用セパレータ
JP2018506161A (ja) * 2015-03-30 2018-03-01 エルジー・ケム・リミテッド セルロース系多層分離膜
US11424510B2 (en) 2018-01-17 2022-08-23 Lg Energy Solution, Ltd. Separator having through-holes sealed by thermoplastic polymer and electrochemical device including the same
WO2019163635A1 (ja) 2018-02-20 2019-08-29 三菱製紙株式会社 不織布塗工機

Also Published As

Publication number Publication date
JP4705335B2 (ja) 2011-06-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100699215B1 (ko) 전자부품용 세퍼레이터 및 그 제조 방법
JP4676728B2 (ja) 電子部品用セパレータ及びその製造方法
JP4705334B2 (ja) 電子部品用セパレータ及びその製造方法
JP4974448B2 (ja) 電子部品用セパレータの製造方法
JP5031835B2 (ja) 耐熱性超極細繊維状分離膜及びそれを利用した二次電池
JP5591704B2 (ja) 無機/有機多孔質膜を有する電池
JP5057419B2 (ja) 複合微多孔膜及びその製造方法並びに用途
JP4163894B2 (ja) リチウムイオン二次電池用セパレータ
JP5495210B2 (ja) 複合多孔質膜、複合多孔質膜の製造方法並びにそれを用いた電池用セパレーター
EP3764425A1 (en) Separator for electrochemical device, and manufacturing method therefor
WO2006123811A1 (ja) リチウムイオン二次電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池
US9755208B2 (en) Non-aqueous-secondary-battery separator and non-aqueous secondary battery
JP4812266B2 (ja) 電子部品用セパレータ及びその製造方法
JP2011035373A (ja) 蓄電デバイス用セパレータ
JP2992598B2 (ja) リチウムイオン電池
KR20150141403A (ko) 복합 다공성 분리막 및 그 제조방법과 이를 이용한 이차전지
JP4387951B2 (ja) 有機電解液電池用セパレータとその製造方法及びこれを組み込んだ有機電解液電池
JPWO2013054889A1 (ja) 微多孔膜及びその製造方法
JP4705335B2 (ja) 電子部品用セパレータ及びその製造方法
CN105619991B (zh) 一种复合锂离子电池隔膜材料及其制备方法
JP2006331759A (ja) 電子部品用セパレータ及びその製造方法
JP2016182817A (ja) 積層体
JP2010287697A (ja) 蓄電デバイス用セパレータ
JP7191536B2 (ja) 電気化学素子用セパレータ
JP2016182816A (ja) 積層体及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060727

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060727

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100218

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100309

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100428

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110308

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110311

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4705335

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140318

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350