JP2005267984A - 有機el表示装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】 高い防湿性を発揮することで、良好な表示性能の実現が可能な有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】 有機EL表示装置1において、セル分離膜15をイミド構造を有する高分子材料、具体的にはポリイミドから構成する。ここで「イミド構造を有する高分子材料」としては、各種イミド構造体の他、イミド構造体を組成に含む共重合体、例えばポリイミドと直鎖オレフィン系との共重合体、あるいはポリアロマティック分子とイミド構造体との共重合体を含むものとする。さらに、平坦化膜3を四配位原子で形成された主骨格に窒素原子および酸素原子が配位子として結合してなる化合物、具体的にはSiONによって構成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、有機EL素子を用いた表示装置に関し、特に発光層の防湿性向上の技術に関する。
現在、次世代型ディスプレイとして、既存のCRT等に比べ、省スペース・省電力性等に優れるフラットパネルディスプレイ(FPD)が注目されている。
このFPDの一種として、有機エレクトロルミネッセンス(発光)素子(以下「有機EL素子」とする。)を発光セルとして集積してなる有機EL表示装置の研究開発が盛んに行われている。
有機EL素子は、発光層を、ホール注入電極(陽極またはアノード)と電子注入電極(陰極またはカソード)で挟んだ構成を有する。トップエミッション(TE)型と呼ばれる有機EL素子は、基板上にパターニングされた金属材料からなるホール注入電極の上に前記発光層を重ね、これにITO、IZO或いは薄膜金属等の透明電極で構成した電子注入電極を積層した構成を有する。これにより、駆動時において発光層からの発光が基板に遮られることなく、当該電子注入電極が配された側を前面として取り出せる。前記金属材料からなる前記ホール注入電極は、発光層における発光を前面に反射させ、発光効率を向上させる役目もなす。
前記基板には、例えばアクティブマトリクス型TFT基板等が利用される。前記発光層は、例えば厚さ20nmのアルミニウムキノリノール錯体を母材としてキナクリドンをドープし、さらに赤(R)、緑(G)、青(B)いずれかの色に対応する蛍光体材料を混合することで構成できる。或いは、各有機EL素子の配置位置に合わせてカラーフィルターを積層し、これによって基板全体でマルチカラー或いはフルカラーで画像表示を行うこともできる。このような構成を持つ有機EL素子、及びこれを用いた有機EL表示装置では、高発光効率・薄型・軽量・低視野角依存性等の高い性能が発揮されるようになっている。
ここにおいて前記有機EL表示装置では、TFT基板のSiN等からなる平坦化膜上において、前記ホール注入電極は発光層の下から若干外部へ露出するように配設されるが、その露出部分における電極のエッジ部分(段差部分)が比較的鋭利に突出しやすい。また、各有機EL素子からなるセルを隣接セルと明確に分離する目的からも、前記エッジ部分を被覆保護しながら、平坦化膜上において各発光層周囲を挟むように、アクリルなどの絶縁性材料からなるセル分離膜(第二平坦化膜、またはベースとも称される)が配される。
さらに、発光層は水分に対して弱いという性質があるため、防湿対策として、前記基板に配された有機EL素子の発光層を電子注入電極上から被覆し封止するように、耐湿性を有する材料からなる保護膜が形成される等の対策が採られている。このとき、保護膜は前記発光層を被覆しつつ、前記セル分離膜を包含して覆い被さるように配されることで、防湿性を高めるよう工夫がなされる。
特開2003-248440号公報
しかしながら、前記アクリル材料からなるセル分離膜と、SiNからなる平坦化膜の組み合わせでは、互いの密着性が十分とは言い難く、この両者の間から外気中の水分が浸入し、発光層と接触する恐れがある。発光層に浸入した水分は、発光層を変質させ、発光強度の低下や寿命劣化など、表示性能に悪影響を及ぼす恐れがあるので、上記課題は早急に解決する必要がある。
また同様の問題は、アクティブマトリクス型TFT基板を用いる場合の他、例えばパッシブマトリクス型基板を用いた場合にも起こりえる。
このように従来では、有機EL表示装置において、発光層の防湿対策としては未だ改良の余地があると考えられる。
本発明は以上の課題に鑑みて為されたものであって、その目的は高い防湿性を発揮することで、良好な表示性能の実現が可能な有機EL表示装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、第一電極と、発光層と、透明電極材料からなる第二電極とが順次積層されてなる有機発光素子が、基板上に、当該基板に前記第一電極を向けた状態で1個以上配設され、各有機発光素子が保護膜で被覆されてなる有機発光表示装置であって、前記保護膜に被覆された基板では、各有機発光素子を発光セル単位として個別に挟むようにセル分離膜が配設され、前記セル分離膜における前記基板との接触領域を含む一部以上が、イミド構造を有する高分子材料から構成されており、前記基板における前記セル分離膜との接触領域を含む一部以上が、四配位原子の主骨格に窒素原子および酸素原子が配位子として結合してなる化合物より構成されているものとした。
ここで前記基板はTFT基板であって、前記セル分離膜が接触する基板領域には、前記化合物よりなる平坦化膜が形成されており、前記第一電極は前記基板中に配設されたTFTと電気的に接続される構成とすることができる。
また前記第一電極は、前記発光層の表面積よりも大きく形成されており、前記セル分離膜は、前記発光層の下より露出する前記第一電極の少なくともエッジ部分を被覆するように配することもできる。
ここで前記高分子材料は、ポリイミドまたはポリイミドを含む共重合体とすることができる。さらに前記高分子材料は、感光性材料であると製造工程において、作業効率の面から有利である。
また本発明では、前記四配位原子は珪素原子または炭素原子であり、前記化合物は、SiON、CON、SiCON、(CHSiNHSi(CH、(CHSiOSi(CHの中から選ばれたものとすることができる。
また前記平坦化膜は、シラザン系ガス、酸素ガス、Si(OC、(CHSiOSi(CH、窒素ガスの中より選ばれた材料を用いて、真空紫外光CVD法により作製することもできる。
本発明では、セル分離膜にイミド構造を持つ高分子材料、および少なくとも前記セル分離膜と接触する基板部分(すなわちTFT基板の場合は平坦化膜、パッシブマトリクス型基板ではメイン基板表面部分)に四配位原子を主骨格とする材料をそれぞれ用いる構成とすることで、従来のアクリル等からなるセル分離膜と、SiN等からなる保護膜の組み合わせより構成される有機EL表示装置に比べ、飛躍的にセル分離膜と基板側との密着性が改善され、良好な強度で前記両者を接合させることができるものである。これによって本発明の有機EL表示装置では、前記両者の界面を通って、装置外部より水分が素子の発光層へ浸入しにくくなっているので、比較的長期にわたり高い防湿性が発揮され、発光層の変質が抑制されるとともに、安定した発光性能および表示性能が実現されるようになっている。
なお、前記高分子材料としては、市販されているため入手が容易なポリイミドまたはポリイミドを含む共重合体を用いることができる。この場合、感光性ポリイミドを用いることで、フォトエッチング等の手法により容易にパターニング形成することが可能なので、作業効率の面からも有利である。
一方、前記四配位原子としても、比較的入手しやすい珪素原子または炭素原子を利用することができる。具体的な材料としてはSiON、CON、SiCONの中から選ばれたものが利用できる。このようなことから、本願発明は比較的簡単に実現できるため、コストの面でも極めて有用性の高いものである。
特に基板がアクティブマトリクス型TFT基板の場合、前記平坦化膜は、前記平坦化膜は、シラザン系ガス、酸素ガス、TEOS、HMDSO、窒素ガスの中より選ばれた材料を用いて、真空紫外光CVD法により作製することができるので、既存の装置構成を利用して容易に成膜することが可能である。
(実施の形態1)
1-1.TFT型有機EL表示装置の全体構成
図1は、本発明の実施の形態1におけるTFT型有機EL表示装置の部分的な構成を示す上面図である。また、図2は当該有機EL表示装置の部分的な断面図である。このうち図2(a)はRGB各セルを含む断面図、図2(b)は部分拡大断面図である。
まず図1および図2(a)に示すように、本有機EL表示装置1は、TFT基板30と、有機EL素子10R、10G、10B、セル分離膜15、保護膜4、透明樹脂5等で構成される。本有機EL表示装置1は、基板前面(図1では紙面前面)側から発光を取り出すトップエミッション構造としている。
TFT基板30はLCD(液晶ディスプレイ)にも利用される多結晶シリコン等からなる能動層を有するTFTを備えた公知のものであって、ガラス等の無機材料からなるメイン基板2に、例えば図3の回路図に示すように所定の配線パターンで電源ライン103R、103G、103B、共通ゲートライン1002、コンデンサC、TFT1、2等が形成されている。このうちコンデンサC、TFT1、2は、各有機EL素子10R、10G、10Bに対応する位置ごとにそれぞれ設けられる。共通ゲートライン1002、電源ライン103R、103G、103B、および後述する共通カソード11等には、それぞれ公知のラインドライバが接続されており、外部より入力される映像信号に基づいた所定のパルスが印加されるようになっている。
このTFT基板30のメイン基板2の表面に、前記配線パターンを埋設するように、絶縁性材料からなる平坦化膜3が形成される。当該平坦化膜3は、当該膜上に載置されるデバイスに対して平坦性を呈することで、位置決め時や接合時などに安定性を発揮する役割をなす。このような平坦化膜3には部分的に間隙があり、当該間隙に合わせて前記配線パターンを露出する領域が設けられ、これによって図2(a)に示すように前記配線パターンとの各種接続、例えば各有機EL素子10R、10G、10Bのアノード101R、101G、101Bと電源ライン103R、103G、103Bとの接続、或いはTFT2と共通カソード11との接続がなされるようになっている。
有機EL素子10R、10G、10Bは、TFT基板30側から、第一電極としてアノード(ホール注入電極)101R、101G、101B、発光層102R、102G、102B、第二電極として共通カソード11(電子注入電極)がそれぞれ同順に積層された構成からなる。
アノード101R、101G、101BはMo、Cr等金属材料を厚さ100nm程度に加工したものであって、図1中のX線に沿った素子下層領域に示すように、列方向を長手方向として、行方向に複数にわたりストライプ状に併設されている。これによりアノード101R、101G、101Bのいずれかは、列方向に並ぶ1ラインごとの複数の有機EL素子10R、10G、10Bに対して共通電極となっている。
共通カソード11はITO、IZO等の透明電極材料を厚み10nm〜20nmの範囲で加工して構成されており、全ての有機EL素子10R、10G、10Bに対して全面的に配設されている(図2を参照)。図1では内部説明のため、共通カソード11の図示を省略している。
発光層102R、102G、102Bは、有機EL素子10R、10G、10Bにおいて中核となる電子輸送性の材料からなり、例えば厚さ20nmのアルミニウムキノリノール錯体を母材とし、これにキナクリドンをドープすることで構成される。なお、図1、2には図示していないが、より詳細には、発光層102R、102G、102Bの下にはTFT基板30側から、厚み100nmのトリフェニルアミン誘導体からなるホール注入層、厚さ20nmのジアミン誘導体からなるホール輸送層が順次積層されている。このような発光層102R、102G、102Bの構成例では、5〜10Vの駆動電圧を印加することにより100〜300cd/m程度の輝度を発揮することができる。
発光層102R、102G、102Bにはさらに、赤(R)、緑(G)、青(B)いずれかの色に対応する蛍光体材料を混合することで色づけがなされる。或いは、発光層102R、102G、102Bを白色光層とし、透明樹脂5側にカラーフィルター(不図示)を装着する場合もある。
このような構成を持つ各有機EL素子10R、10G、10Bは、TFT基板30上の行方向にはRGBの順に繰り返し、列方向には同色ごとにそれぞれ複数にわたり配設され、全体としてマトリクス配列が形成される。各有機EL素子10R、10G、10Bは、長方形状の発光セル単位に相当し、行方向で隣接するRGBセル一組で1画素(ピクセル)を構成する。
さらにTFT基板30では、前記構成を持つ有機EL素子10R、10G、10Bをそれぞれ挟むように、各素子10R、10G、10Bを分離区画するための格子状のセル分離膜15が形成されている。当該セル分離膜15は、絶縁性材料を台形断面形状で構成され、図2(a)に示すように、前記有機EL素子10R、10G、10Bの下より露出する各アノード101R、101G、101Bのエッジ部1010R、1010G、1010Bを被覆するように形成されている。これはエッジ部1010R、1010G、1010Bにおける形状がフォトエッチング等の加工処理によって作製されることで比較的鋭利になっているため、部分的に異極性部分と接触してショートを発生しないように、これを被覆して保護する目的でなされたものである。また、隣り合う有機EL素子10R、10G、10B間で混色を生じるのを防ぐ目的でも配設する。
保護膜4は、絶縁性材料から構成されており、前記マトリクス配列をなす有機EL素子10R、10G、10Bとセル分離膜15をともに被覆し封止するように配される。当該保護膜4は、有機EL素子10R、10G、10Bを包含することで皮膜保護の役目を果たし、さらに装置外部より水分が浸入し、発光層102R、102G、102Bが変質するのを防ぐ等の目的で設けられる。
透明樹脂5は、アクリルなどを利用した透明性に優れる材料からなり、前記保護膜4の上からTFT基板30の片主面を被覆するように設けられる。当該透明樹脂5は、前記保護膜4とともに、発光層102R、102G、102Bを外界の水分より隔離して維持する役目もなす。
なお、透明樹脂5の代わりにガラスカバーを接着封止するように配設してもよい。
以上の構成を有する有機EL表示装置1によれば、図3の回路図に示すように、駆動時にはまず個別の電源ライン103R、103G、103Bのいずれか及び共通ゲートライン1002に対して給電がなされると、TFT1においてスイッチングが行われ、これに接続されたコンデンサCへデータが書き込まれる。その後は、電源ライン103R、103G、103Bを介してアノード101R、101G、101Bと共通カソード11に給電することにより、前記データが書き込まれたコンデンサCの位置に対応する有機EL素子10R、10G、10Bにおいて発光がなされる。このとき、データが書き込まれた前記コンデンサCからの出力は、当該コンデンサCに接続されたTFT2を介して任意の有機EL素子10R、10G、10B側に送られるようになっているので、TFT2において出力調整を行うことで素子の発光強度の調整がなされることとなる。
ここで、本実施の形態1の表示装置1の特徴は、セル分離膜15と平坦化膜3の材質にある。すなわち本実施の形態1では、本願発明者らの鋭意検討により、セル分離膜15と平坦化膜3に互いに高い親和性を持つ材料を用いることとし、これによって両者の密着力を飛躍的に向上させ、結果として装置外部から両者界面を通る水分の浸入を防止し、比較的長期にわたり高い防湿性が発揮されるように図られている。
以下、この特徴部分について説明する。
1-2.セル分離膜と保護膜の特徴について
本実施の形態1における有機EL表示装置1では、セル分離膜15がイミド構造を有する高分子材料、具体的にはポリイミドから構成されている。さらに平坦化膜3が四配位原子で形成された主骨格に窒素原子および酸素原子が配位子として結合してなる化合物、具体的にはSiONによって構成されている。
ここで「イミド構造を有する高分子材料」としては、マレイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド等の各種イミド構造体の他、イミド構造体を組成に含む共重合体、例えばポリイミドと直鎖オレフィン系との共重合体、あるいはポリアロマティック分子とイミド構造体との共重合体を含むものとする。前記共重合の割合としては、イミド構造体の化学的性質を発揮させるための常識的な観点から、共重合体分子1分子中において、前記イミド構造体が単位モル比で10%以上含まれているようにするのが望ましい。発明者らの実験によれば、各種イミド構造体のうち、製造効率の観点からフォトエッチング等の手法により容易にパターニングが可能な感光性イミド(フタルイミド等)の利用が望ましいことが分かっている。
「SiON」の組成としては、Si100質量%に対し、OとNの合計が10質量%以上30%質量以下となる範囲とする。なお本実施の形態1では、上記平坦化膜3に加えて、保護膜4の材料としてもSiONを用いているが、これは本発明に必須ではない。
本発明の平坦化膜の材料としては、SiONの他に、Cを主骨格とするもの(CON)、或いはSiおよびCをともに主骨格に持つもの(SiCON)を利用することができるほか、(CHSiNHSi(CH、(CHSiOSi(CH等を挙げることもできる。さらに、これらのいずれかを混合して用いることも可能である。ここで、本実施の形態1のようにアクティブマトリクス型TFT基板を利用する場合、保護膜3の組成を(CHSiOSi(CH或いは(CHSiNHSi(CHもしくは両者を混合したものとすると、製造工程時に自己平坦性により良好な平坦性を有する平坦膜3が形成されるので望ましい。
本発明では、このように前記セル分離膜15と前記平坦化膜3を前記した特定の材料でそれぞれ作製して組み合わせた点に特徴を有するものであって、前記特定の材料のうち、一例としてポリイミドとSiONをそれぞれの材料に用いることにより、図2(b)に示すように、前記セル分離膜15と前記平坦化膜3の接触部分Cの密着力が、従来の構成(例えばセル分離膜がアクリル材料からなり、平坦膜がSiNで構成されているもの)に比べて飛躍的に向上されている。これによって有機EL表示装置1では、前記領域B、および保護膜4と平坦化膜3との接触領域A、さらに透明樹脂5と平坦化膜3との接触領域Dを経路(水分の浸入経路としてはD→A→Bの順)として、装置外部より水分が発光層102R、102G、102B側へ浸入しにくくなっている。発光層102R、102G、102Bは本来水に弱いという化学的性質を有しているが、本実施の形態1では上記構成によって前記セル分離膜15と前記平坦化膜3とが強固に密着することで、高い防湿性のもとに発光層の変質が抑制され、比較的長期にわたり安定した発光性能および表示性能が実現されることとなる。
また本実施の形態1の有機EL表示装置1では、上記平坦化膜3と同様に保護膜4もSiONで構成されていることから、前記領域AおよびDにおいても従来より高い密着力が得られている。このため、上記D→A→Bの浸入経路に加え、D→A→Cの浸入経路においても、装置外部から発光層への水分の浸入を効果的に防止することができる。
このような効果が得られる理由の一つとして、ポリイミドのイミド構造体と、四配位原子および配位原子からなる無機構造体とが互いに類似的な構造をしている点にあると考えられる。
本発明としては、少なくとも前記セル分離膜15と前記平坦化膜3をそれぞれイミド構造を有する高分子材料、四配位原子で形成された主骨格に窒素原子および酸素原子が配位子として結合してなる化合物で構成し、保護膜を従来の材料(例えば SiN等)で構成しても、上記D→A→Cを浸入経路とする水分の浸入を効果的に防止できるので構わない。しかしながら、より高い防湿効果を得るためには、上記の通り保護膜をSiONで構成し、D→A→Bの浸入経路においても浸入防止を図ることが望ましい。
さらに、上記構成例では、少なくとも領域Cに対応する部分にだけ前記セル分離膜15をポリイミド、前記平坦化膜3をSiONでそれぞれ構成するようにしてもよい。この場合、セル分離膜15および平坦化膜3をそれぞれ多層構造で構成し、互いに接触する最外層のみを上記SiON或いはポリイミドでそれぞれ構成する方法が挙げられる。
1-3.製造方法について
ここでは上記TFT型有機EL表示装置の製造方法の主なプロセスについて説明する。図4は、実施の形態1におけるTFT基板の平坦化膜成膜プロセスを示す装置断面図である。図5は、有機EL表示装置の製造方法(セル分離膜形成から保護膜形成まで)を示す模式的な図である。当図4、5では、TFT基板構造および有機EL素子およびその配列を簡略化して分かり易く図示している。なお、図5中で基板端部に設けられている「電極引出部」とは、各有機EL素子に対応するアノードと共通カソードにそれぞれ給電するための給電端子群を指す。
まず、メイン基板への平坦化膜成膜工程から説明する。
<真空紫外光CVD法を利用した成膜方法>
平坦化膜の成膜方法の一例として、CVD装置400を用いる。当該装置400は真空紫外光CVD装置であって、反応室401と、当該反応室401上部に透明な石英窓407を介して配された紫外線ランプ(Xeエキシマランプ)408、反射板409等から構成される。
反応室400内部には、メイン基板を載置するためのサセプタ402、蒸着源403が配されているとともに、反応室400には当該室内を減圧するための真空排気ポンプ410、原料ガス供給路404、不活性ガス供給路405、活性ガス供給路406等が接続されている。
このような装置400によれば、メイン基板を載置したのち、反応室400内部を10-4Pa程度まで減圧する。そして、出力20mW/cmで紫外線ランプ408を発光させ、波長172nmの紫外線を石英窓407越しに反応室400内部に照射する。一方、原料ガス供給路404から原料ガスとしてシラザン系ガス、活性ガス供給路406から活性ガスとして酸素ガス、TEOS(Si(OC))、HMDSO((CHSiOSi(CH)のいずれか1種以上、および不活性ガス供給路405から不活性ガスとして窒素ガスをそれぞれ反応室401内部へ供給する。このとき原料ガス流速は10cc/minに設定する。
ここで、前記シラザン系ガスは珪素-窒素結合構造を有する化合物の一例である。具体的なシラザン系材料としては以下の化合物を挙げることができる。これらのいずれか、または1種以上を混合して用いてもよい。

ヘキサメチルジシラザン;(CHSiNHSi(CH
ジシラザン;SiHNHSiH
ジシラザノール;SiHNHSiHOH
ジシラゼン;SiHNSiH

この真空紫外光CVD法では、上記シラザン系材料を用いることで、成膜時にメイン基板表面に対して、いわゆる自己平坦性が発揮され、良好な平坦面を有する平坦化膜が形成されることとなる。
本発明ではこのような理由から、高い平坦性を持つ平坦化膜を形成する手法として、上記シラザン系ガス、酸素ガス、TEOS、HMDSO、窒素ガスの中より選ばれた材料を用いた真空紫外光CVD法を利用するのが望ましい。
<スパッタ法を利用した成膜方法>
平坦化膜の成膜方法の他の例としては、公知のスパッタリング法を挙げることができる。この方法は、SiONで平坦化膜を形成する場合などに好都合である。すなわち、スパッタ源として、Si、O、Nを用意し、対向スパッタリング法等によってメイン基板表面に材料を堆積させて成膜する。
上記のように平坦化膜が形成できたら、次に図5(a)に示すように、まずTFT基板に対し、その表面に帯状のアノード101R、101G、101Bをストライプ状に併設する。そのパターニング手法としては、フォトエッチング法、スクリーン印刷法等が挙げられるが、精緻なパターニングを行うためにはフォトエッチング法の利用が望ましい。
アノード101R、101G、101Bを形成したら、その上から光分解型感光性ポリイミド材料を用い、格子状のパターンでセル分離膜15を形成する。パターニング手法としては、前記材料をスピンコート法で全面に塗布した後、ハーフトーンを併用した所定のマスキングを行い、その上から露光する方法が挙げられる。その後、マスクと不要なイミド材料の除去を行い、前記イミドを重合反応させてポリマー化させる。これで図5(a)の状態となる。
次に図5(b)に示すように、セル分離膜15の格子状窓に、発光層102R、102G、102Bをそれぞれ形成する。具体的には、発光層材料を真空蒸着する方法や、前記材料を溶液に溶かし、これを塗布して形成する方法等がある。実施の形態1で説明したようにアルミニウムキノリノール錯体を利用する場合、真空蒸着法での製造が一般的である。
このように発光層102R、102G、102Bを形成したら、次に蒸着法、スクリーン印刷法、或いはスパッタリング法等を用いて基板全面に共通カソードを形成する(図5(c))。このとき、共通カソードの厚みは約10nm〜20nmの範囲の薄膜として形成することが望ましいので、前記スパッタリング法としては、対向スパッタリング法を採用し、直接スパッタ材料が基板側へ衝突しないように、基板でのダメージの発生を極力抑えるように形成するのが好適である。
共通カソードを形成したら、当該共通カソードを覆うように、保護膜を形成する(図5(d)。保護膜の成膜には、反応性スパッタリング法を用いることができる。
以上の工程により、セル分離膜形成から保護膜形成までの工程が終了する。その後、保護膜の上から透明樹脂を充填することにより、本発明のTFT型有機EL表示装置が完成する。
(実施の形態2)
ここでは本発明をパッシブマトリクス型(単純マトリクス型)表示装置に適用する例を示す。以下、上記実施の形態1との差違部分を中心に説明する。
2-1.パッシブマトリクス型有機EL表示装置の構成と効果
図6は、本発明の実施の形態1におけるパッシブマトリクス型有機EL表示装置の部分的な構成を示す上面図である。図6中、Y線領域およびZ線領域以外の領域は、各有機EL素子のマトリクス配列を表示するためにカソードの図示を省いている。
また、図7は当該有機EL表示装置の部分的な断面図である。このうち図7(a)はRGB各セルを含む断面図、図7(b)は部分拡大断面図である。
本有機EL表示装置6においても、基板前面(図7では紙面前面)側から発光を取り出すトップエミッション構造としている。
図6および図7(a)に示すように、本有機EL表示装置6は、メイン基板7と、有機EL素子20R、20G、20B、セル分離膜16、保護膜4、透明樹脂5等で構成される。
メイン基板7は、無機材料から構成することができるが、ここでは前記平坦化膜3と同じ材料、すなわち四配位原子を主骨格とし、これに配位子として窒素原子および酸素原子を結合させた化合物(SiON)で構成されている。
各有機EL素子20R、20G、20Bは、実施の形態1の有機EL素子10R、10G、10Bと同様にメイン基板7上で複数にわたりマトリクス状に配列されている点で共通しているが、その各電極の配設パターンが異なっている。
すなわち第一に、アノード201〜201は、図7中のZ線に沿った素子下層領域に示すように、行方向を長手方向として列方向に複数にわたり併設されている。行方向に隣接する素子の1ラインごとにアノード201〜201が共通電極となっている。
また第二に、カソード11R、11G、11Bは図7中のY線に沿った素子上層領域に示すように、発光層202R、202G、202Bの上において、列方向を長手方向として行方向に複数にわたり併設されている。これにより、列方向に隣接する素子の1ラインごとにカソード11R、11G、11Bのいずれかが共通電極となっている。駆動時には任意のアノード201〜201およびカソード11R、11G、11Bに対し、装置外部より入力される映像信号に基づいた所定のパルスが印加されることで、特定の有機EL素子20R、20G、20Bを発光できる。
有機EL素子20R、20G、20Bの構成において、発光層202R、202G、202Bの構成および組成は、前記発光層102R、102G、102Bと同様のものを用いることができる。
ここで、前記構成を持つ有機EL素子20R、20G、20Bをそれぞれ囲繞して区画するための格子状のセル分離膜16が形成されている。当該セル分離膜16は、上記15と同様にイミド構造体を有する絶縁性材料を台形断面形状に加工して構成され、図6および図7に示すように、前記有機EL素子20R、20G、20Bの下より露出する各アノード201〜201のエッジ部2011〜2011を被覆保護するように形成されている。
なお、図7ではセル分離膜16の頂部161に順次積層された203R、203G、203Bおよび204R、204G、204Bを図示しているが、これはそれぞれ発光層202R、202G、202Bおよびカソード11R、11G、11Bの材料が製造工程上の都合で部分的に堆積したものであり、有機EL表示装置6の正常な駆動には不要なものであって、これらを除去するようにしてもよい。
さらに、実施の形態2においても保護膜4を用いており、これを四配位原子に配位子として窒素原子および酸素原子を結合させた化合物(SiON)で構成している点に特徴を有する。
このような構成を有する有機EL表示装置6においても、前記セル分離膜16と前記保護膜4の材料的な組み合わせ、すなわちポリイミドとSiONをそれぞれの材料として用いることにより、図7(b)に示すように、前記セル分離膜16と前記保護膜4の接触領域E(203R、204R等を除去する場合にはセル分離膜16の頂部161も含まれる)の密着力が、従来に比べて飛躍的に向上されている。したがって有機EL表示装置6でも上記表示装置1と同様に、前記領域Eおよび保護膜4とメイン基板7との接触領域Fを経路として、装置外部より水分が発光層202R、202G、202B側へ浸入しにくくなっているので、高い防湿性により発光層202R、202G、202Bの変質を抑制し、比較的長期にわたる安定性で優れた発光性能および表示性能が得られるようになっている。
また有機EL表示装置6では、メイン基板7もSiONで構成されていることから、前記領域Fおよびメイン基板7とセル分離膜16との接触領域Cにおいても従来より高い密着性が得られているので、上記F→Eの浸入経路に加え、F→Cの浸入経路においても発光層202R、202G、202Bへの浸入を効果的に防止することができる。
また、上記構成例では、少なくとも領域Eに対応する部分にだけ前記セル分離膜16をSiON、前記保護膜4をポリイミドでそれぞれ構成するようにしてもよい。この点は実施の形態1と同様である。また、メイン基板7は必ずしもSiONで構成する必要はないが、SiONで構成することにより、本発明の効果に加えてF→Cの浸入経路についても高い防湿効果が得られるので望ましい。
2-2.製造方法について
ここでは上記パッシブマトリクス型有機EL表示装置の製造方法の主なプロセスについて説明する。
本実施の形態2では、まずメイン基板7を本発明で規定する化合物、すなわち四配位原子に配位子として珪素原子または炭素原子が結合してなるもの(具体的にはSiON、CON、SiCON、(CHSiNHSi(CHなど)で構成する。なお、ガラス等からなる層を下層とし、これに前記四配位原子に配位子として珪素原子または炭素原子が結合した化合物からなる層を上層として積層することにより、メイン基板7を構成するようにしてもよい。
図8は、有機EL表示装置の製造方法(セル分離膜形成から保護膜形成まで)を示す模式的な断面図である。
当図8(a)に示すように、まずメイン基板に対し、その表面に帯状のアノードアノード201〜201をストライプ状に併設する。そのパターニング手法としては、フォトエッチング法、スクリーン印刷法等が挙げられるが、精緻なパターニングを行うためにはフォトエッチング法の利用が望ましい。
アノード201〜201を形成したら、その上から図3(a)と同様に、光分解型感光性ポリイミド材料を用い、格子状のパターンでセル分離膜16を形成する。パターニング手法としては、前記材料をスピンコート法で全面に塗布した後、ハーフトーンを併用した所定のマスキングを行い、その上から露光する方法が挙げられる。その後、マスクと不要なイミド材料の除去を行い、前記イミドを重合反応させてポリマー化させる。これで図8(a)の状態となる。
次に図8(b)に示すように、セル分離膜16の間隔ごとに、真空蒸着法や印刷法などを利用して、発光層202R、202G、202Bをそれぞれ形成する。
このように発光層202R、202G、202Bを形成したら、次にスクリーン印刷法、或いは所定のマスキングを施し、スパッタリング法等を用いてカソード11R、11G、11Bを形成する(図8(c))。このとき、共通カソードの厚みは約10nm〜20nmの範囲の薄膜として形成することが望ましいので、前記スパッタリング法としては、対向スパッタリング法を採用し、直接スパッタ材料が基板側へ衝突しないように、基板でのダメージの発生を極力抑えるように形成するのが好適である。
このようにカソード11R、11G、11Bを形成したら、当該カソード11R、11G、11Bを覆うように、保護膜4を形成する(図8(d)。この保護膜の成膜には、反応性スパッタリング法を用いることができる。
以上の工程により、セル分離膜形成から保護膜形成までの工程が終了する。その後、保護膜の上から透明樹脂を充填することにより、本発明のパッシブマトリクス型有機EL表示装置が完成する。
ここでは本発明の効果を確認すべく、実施例と比較例の有機EL表示装置をそれぞれ作製し、駆動させて性能評価を行った。各有機EL表示装置としては、基本的にはTFT型を採用したが、特別規格として各有機EL素子を挟むようにセル分離膜を配置させたテストワーク構造とした。
<実施例1>
パッシブマトリクス型として作製した。
メイン基板に成膜;四配位原子を主骨格とし、これに酸素原子および窒素原子が配位子として結合された化合物の一つとして、SiONをメイン基板表面に成膜した。材料の混合比率は、質量比でSi:(O+N)が100:10〜30程度になるよう調整した。
成膜手法としては、Siターゲットを用いたOガス及びNガス添加による反応性スパッタ法を用いた。
スパッタ形式は対向ターゲット型とし、出力を2kWに設定した。基板温度は室温のままとした。ガス流量は、Ar/N/O=50/3/3sccmに設定した。この条件で、最終膜厚を1.0ミクロンとした。
セル分離膜;上記成膜表面に対し、光分解型感光性ポリイミド(感光性ポリイミドコーティング剤、日産化学(株)製RN-901)を用いて作製した。
セル分離膜の作製方法としては、アノードを配設した基板主面にスピンコート法を用いて、膜厚約2.0ミクロンで上記材料の塗布を行った。その後、窒素雰囲気中で100℃、2時間の条件でプリベークした。
次に、前記材料の上から所定パターン(グレーティングパターン)のマスキングを施し、露光処理を行った。このときセル分離膜の側面傾斜部に相当する場所にはハーフトーンマスクを施し、所望の断面形状となるよう調整した。その後、露光部分をエッチング処理にて除去した。
続いて、窒素雰囲気中で220℃、30分の条件で重合反応させ、ポリイミド化させた。最終膜厚が1.2ミクロンとなるよう調整した。

<実施例2>
アクティブマトリクス型として作製した。
平坦化膜;四配位原子を主骨格とし、これに酸素原子および窒素原子が配位子として結合された化合物の一つとして、HMDSOとヘキサメチルジシラザンを用いた。 成膜手法としては、真空紫外光CVD法を用い、最終膜厚を2.0ミクロンとした。
セル分離膜;実施例1と同様に、光分解型感光性ポリイミド(感光性ポリイミドコーティング剤、日産化学(株)製RN-901)を用い、最終膜厚が1.2ミクロンとなるよう調整した。

<比較例1>
パッシブマトリクス型として作製した。
メイン基板に成膜;SiOからなるものとし、以下の方法で成膜した。
Siターゲットを用いたOガス添加による反応性スパッタ法を用いた。
スパッタ形式は対向ターゲット型とし、出力を2kWに設定した。メイン基板温度は室温のままとした。ガス流量は、Ar/N=50/3sccmに設定した。この条件で、最終膜厚を1.0ミクロンとした。
セル分離膜;上記成膜の上から、アクリル(感光性アクリルコーティング、日産化学(株)製UHP-010)を用いて作製した。
セル分離膜の作製方法としては、スピンコート法により膜厚約2.0ミクロンで塗布を行った。その後、窒素雰囲気中で100℃、2時間の条件でプリベークした。
続いて、前記材料の上から所定パターン(グレーティングパターン)のマスキングを施し、露光処理を行った。このときセル分離膜の側面傾斜部等はハーフトーンマスクを施した。このときのマスキングパターンは実施例1と同様である。その後、露光部分をエッチング処理にて除去した。
続いて、窒素雰囲気中で220℃、30分の条件で重合反応させ、ポリアクリル化させた。最終膜厚は1.8ミクロンとした。

<比較例2>
アクティブマトリクス型として作製した。
セル分離膜;アクリルからなるものとし、作製方法は比較例1と同様に調整して、最終膜厚2.0ミクロンとした。
平坦化膜;SiOとし、以下の方法で成膜した。
Siターゲットを用いたOガス添加による反応性スパッタ法を用いた。
スパッタ形式は対向ターゲット型とし、出力を2kWに設定した。基板温度は室温のままとした。ガス流量は、Ar/O=50/3sccmに設定した。この条件で、最終膜厚を1.0ミクロンとした。

<結果と考察>
上記作製した各実施例と各比較例の有機EL表示装置を一定期間静置したのち、給電して駆動状態におき、その上面から発光具合を確認した。その結果、実施例1および2では基板の違い(アクティブ或いはパッシブ)にかかわらず、各有機EL素子の発光が良好になされており、高い表示性能を有していることが確認された。
一方、比較例1および2では、各有機EL素子における発光領域、特に各素子の輪郭に相当する周辺部位がぼやけ、当該周辺部位に不点灯領域が発生していることが確認された。
比較例1および2において、このような不点灯領域が発生する原因としては、各素子の発光層を囲繞するセル分離膜と基板側(平坦化膜あるいは成膜部分)との密着力が弱く、結果として有機EL素子周辺から経時的に剥離が進み(いわゆるエッジグロースが進行し)、セル分離膜が基板側から浮き上がってしまったために生じたものと推測される。
このように、セル分離膜と保護膜との密着力が弱いことは、図2(a)で示したように、セル分離膜と保護膜の界面から発光層へ水の浸入を生じる問題が比較的容易に起こりえることを意味している。
(その他の事項)
上記各実施の形態では、トップエミッション構造の有機EL表示装置の構成例を示したが、本発明はこれに限定せず、ボトムエミッション(BE)構造としてもよい。この場合、基板下面から発光を取り出すことになるので、アノードを透明電極とするとともに、基板もガラス基板で構成するなど、透明性を確保することが必要となる。しかしながら、本願では平坦化膜あるいはメイン基板の材料として、四配位原子を主骨格とし、これに酸素原子または窒素原子が配位子として結合した化合物を用いるので、当該基板側を透明にするのは困難であるから、できるだけトップエミッション構造とするのが望ましい。
また、上記各実施の形態では、基板に近い側にアノードを配し、発光層上部にカソードを配する例を示したが、電極の極性はこの逆であってもよい。しかしながら、トップエミッション構造を用いる場合では、発光層上部に配設するアノードに透明性を持たせる必要があるのは言うまでもない。
さらに、上記各実施の形態では、保護膜がセル分離膜を全体的に被覆する構成としたが、少なくとも各有機EL素子を被覆すればよく、セル分離膜を部分的に被覆する構成としてもよい。しかしながら、発光層の防湿効果を高めるためには、やはりセル分離膜を全体的に被覆する構成とするのが望ましい。
また上記実施の形態では、フルカラー表示に対応した有機EL表示装置の構成例を示したが、当然ながら単色表示装置としてもよい。この場合、例えば白色発光のみを得るためには、発光層へ蛍光体材料の添加する必要はない。
本発明の有機EL表示装置は、携帯電子機器のディスプレイや、フルカラーテレビジョンなどに利用することができる。
実施の形態1におけるアクティブマトリクス型有機EL表示装置の上面図である。 実施の形態1におけるアクティブマトリクス型有機EL表示装置の断面図である。 実施の形態1におけるアクティブマトリクス基板の部分的な回路図である。 実施の形態1におけるTFT基板の平坦化膜成膜プロセスを示す図である。 実施の形態1における有機EL表示装置の製造プロセスを示す図である。 実施の形態2におけるパッシブマトリクス型有機EL表示装置の上面図である。 実施の形態2におけるパッシブマトリクス型有機EL表示装置の断面図である。 実施の形態2における有機EL表示装置の製造プロセスを示す図である。
符号の説明
1 アクティブマトリクス型有機EL表示装置
2、7 メイン基板
3 平坦化膜
4 保護膜
5 透明樹脂
6 パッシブマトリクス型有機EL表示装置
10R〜10B、20R〜20B 有機EL素子
11 共通カソード
11R〜11G カソード
15、16 ベース(セル分離膜)
101R〜101G、201〜201 アノード
102R〜102G、202R〜202G 発光層
400 CVD反応装置
401 反応室
1010R〜1010G、2010R〜2010G エッジ部分

Claims (7)

  1. 第一電極と、発光層と、透明電極材料からなる第二電極とが順次積層されてなる有機発光素子が、基板上に、当該基板に前記第一電極を向けた状態で1個以上配設され、各有機発光素子が保護膜で被覆されてなる有機発光表示装置であって、
    前記保護膜に被覆された基板では、
    各有機発光素子を発光セル単位として個別に挟むようにセル分離膜が配設され、
    前記セル分離膜における前記基板との接触領域を含む一部以上が、イミド構造を有する高分子材料から構成されており、
    前記基板における前記セル分離膜との接触領域を含む一部以上が、四配位原子の主骨格に窒素原子および酸素原子が配位子として結合してなる化合物より構成されている
    ことを特徴とする有機発光表示装置。
  2. 前記基板はTFT基板であって、前記セル分離膜が接触する基板領域には、前記化合物よりなる平坦化膜が形成されており、
    前記第一電極は前記基板中に配設されたTFTと電気的に接続される構成であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
  3. 前記第一電極は、前記発光層の表面積よりも大きく形成されており、
    前記セル分離膜は、前記発光層の下より露出する前記第一電極の少なくともエッジ部分を被覆するように配されていることを特徴とする請求項1または2に記載の有機発光表示装置。
  4. 前記高分子材料は、ポリイミドまたはポリイミドを含む共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機発光表示装置。
  5. 前記高分子材料は、感光性材料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機発光表示装置。
  6. 前記四配位原子は珪素原子または炭素原子であり、
    前記化合物は、SiON、CON、SiCON、(CH33SiNHSi(CH33、(CH33SiOSi(CH33の中から選ばれた材料からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機発光表示装置。
  7. 前記平坦化膜は、シラザン系ガス、酸素ガス、Si(OC254、(CH33SiOSi(CH33、窒素ガスの中より選ばれた材料を用いて、真空紫外光CVD法により作製されたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の有機発光表示装置。
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