JP2005267894A - 画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】大型化および高精細化が可能な画像表示装置を提供する。
【解決手段】 蛍光面が形成された第1基板10と、複数の電子放出源18が設けられた第2基板12との間に、スペーサ構体22が設けられている。各スペーサ構体は、第1および第2基板に対向しているとともに、それぞれ電子放出源に対向した複数の電子ビーム通過孔26を有した支持基板24と、支持基板の表面上に立設された複数のスペーサ30a、30bと、を有している。支持基板は、複数の分割基板を互いに接合して構成されている。分割基板間の接合部25は、支持基板の電子ビーム通過孔を跨いで延びている。
【選択図】 図2
【解決手段】 蛍光面が形成された第1基板10と、複数の電子放出源18が設けられた第2基板12との間に、スペーサ構体22が設けられている。各スペーサ構体は、第1および第2基板に対向しているとともに、それぞれ電子放出源に対向した複数の電子ビーム通過孔26を有した支持基板24と、支持基板の表面上に立設された複数のスペーサ30a、30bと、を有している。支持基板は、複数の分割基板を互いに接合して構成されている。分割基板間の接合部25は、支持基板の電子ビーム通過孔を跨いで延びている。
【選択図】 図2
Description
この発明は、対向配置された基板と、基板間に配設されたスペーサとを備えた画像表示装置に関する。
近年、陰極線管(以下、CRTと称する)に代わる次世代の軽量、薄型の表示装置として様々な平面型の画像表示装置が注目されている。例えば、平面表示装置を構成するフィールド・エミッション・デバイス(以下、FEDと称する)の一種として、表面伝導型電子放出装置(以下、SEDと称する)の開発が進められている。
このSEDは、所定の間隔をおいて対向配置された第1基板および第2基板を備え、これらの基板は矩形状の側壁を介して周辺部を互いに接合することにより真空外囲器を構成している。第1基板の内面には3色の蛍光体層が形成され、第2基板の内面には、蛍光体を励起する電子放出源として、多数の電子放出素子が配列されている。第1基板および第2基板間に作用する大気圧荷重を支持し基板間の隙間を維持するため、両基板間には、複数のスペーサが配置されている。第1基板と第2基板との間には支持基板が設けられ、複数のスペーサはこの支持基板上に立設されている。また、支持基板には、それぞれ電子放出素子から放出された電子ビームが通過する複数の電子ビーム通過孔が形成されている(特許文献1)。
上記SEDにおいて、画像を表示する場合、蛍光体層にアノード電圧が印加され、電子放出素子から放出された電子ビームをアノード電圧により加速して蛍光体層へ衝突させることにより、蛍光体が発光して画像を表示する。実用的な表示特性を得るためには、通常の陰極線管と同様の蛍光体を用い、アノード電圧を数kV以上望ましくは5kV以上に設定することが必要となる。
特開2002−082850号公報
上記構成のSEDにおいて、第1基板および第2基板に対するスペーサおよび電子ビーム通過孔の位置合わせが重要な課題となる。例えば、支持基板に形成された電子ビーム通過孔およびスペーサは、電子放出素子から放出された電子を遮らない形で設けられねばならない。特に、電子放出素子から蛍光体へ向かう電子ビームの軌道を、支持基板によって遮らないように、支持基板を高い精度で形成し、かつ、第1基板および第2基板に対して支持基板を高い精度で位置合わせする必要がある。この問題は大型で高精細の表示装置になるほど深刻となる。
また、表示装置が大型化した場合、スペーサおよび支持基板からなるスペーサ構体自体も大型化することが必要となるが、既存の製造方法では大型の支持基板を高精度で製造することが困難であり、スペーサ構体の大型化が難しくなる可能性が有る。あるいは、部材製造コストが高価になることが予想される。板状の支持基板において、電子ビーム通過孔の形成位置座標精度は、支持基板のサイズが大きくなるほど劣化する。
この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、大型化および高精細化が可能な画像表示装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、この発明の態様に係る画像表示装置は、蛍光面が形成された第1基板と、前記第1基板と隙間を置いて対向配置されているとともに前記蛍光面を励起する複数の電子放出源が設けられた第2基板と、それぞれ前記第1および第2基板の間に設けられ前記第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持するスペーサ構体とを備え、前記スペーサ構体は、前記第1および第2基板に対向しているとともに、それぞれ前記電子放出源に対向した複数の電子ビーム通過孔を有した板状の支持基板と、前記支持基板の表面上に立設された複数のスペーサと、を有し、前記支持基板は、複数の分割基板を互いに接合して構成され、分割基板間の接合部は、前記支持基板の電子ビーム通過孔を跨いで延びていることを特徴としている。
この発明によれば、スペーサ構体の位置決め精度および加工精度の向上、並びに製造コストの低減を図ることができ、大型で高精細な画像表示装置を得ることができる。
以下図面を参照しながら、この発明を、平面型画像表示装置としてのSEDに適用した実施形態について詳細に説明する。
図1ないし図3に示すように、SEDは、それぞれ矩形状のガラス板からなる第1基板10および第2基板12を備え、これらの基板は約1.0〜2.0mmの隙間をおいて対向配置されている。第1基板10および第2基板12は、ガラスからなる矩形枠状の側壁14を介して周縁部同士が接合され、内部が真空に維持された扁平な真空外囲器15を構成している。
図1ないし図3に示すように、SEDは、それぞれ矩形状のガラス板からなる第1基板10および第2基板12を備え、これらの基板は約1.0〜2.0mmの隙間をおいて対向配置されている。第1基板10および第2基板12は、ガラスからなる矩形枠状の側壁14を介して周縁部同士が接合され、内部が真空に維持された扁平な真空外囲器15を構成している。
第1基板10の内面には蛍光面として機能する蛍光体スクリーン16が形成されている。この蛍光体スクリーン16は、赤、青、緑に発光する蛍光体層R、G、B、および遮光層11を並べて構成され、これらの蛍光体層はストライプ状、ドット状あるいは矩形状に形成されている。蛍光体スクリーン16上には、アルミニウム等からなるメタルバック17およびゲッタ膜19が順に形成されている。
第2基板12の内面には、蛍光体スクリーン16の蛍光体層R、G、Bを励起する電子放出源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の表面伝導型の電子放出素子18が設けられている。これらの電子放出素子18は、画素毎に対応して複数列および複数行に配列されている。各電子放出素子18は、図示しない電子放出部、この電子放出部に電圧を印加する一対の素子電極等で構成されている。第2基板12の内面上には、電子放出素子18に電位を供給する多数本の配線21がマトリック状に設けられ、その端部は真空外囲器15の外部に引出されている。
接合部材として機能する側壁14は、例えば、低融点ガラス、低融点金属等の封着材20により、第1基板10の周縁部および第2基板12の周縁部に封着され、これらの基板同士を接合している。
図2ないし図4に示すように、SEDは、第1基板10および第2基板12の間に配設されたスペーサ構体22を備えている。スペーサ構体22は、第1基板10および第2基板10の間に配設された矩形状の金属板からなる支持基板24と、支持基板の両面に一体的に立設された多数の柱状のスペーサと、で構成されている。スペーサ構体22は、表示領域全体を覆って配置されている。
スペーサ構体22の支持基板24は矩形状に形成され、後述するように、複数枚、例えば、2枚の分割基板を接合して形成されている。支持基板24は、第1基板10の内面と対向した第1表面24aおよび第2基板12の内面と対向した第2表面24bを有し、これらの基板と平行に配置されている。支持基板24には、エッチング等により多数の電子ビーム通過孔26が形成されている。
電子ビーム通過孔26は複数行、複数列に並んで設けられている。真空外囲器15および支持基板24の長辺の延出方向方向を第1方向X、短辺の延出方向を第2方向Yとした場合、電子ビーム通過孔26は、第1方向Xにブリッジ部を介して第1ピッチで並んでいるとともに、第2方向Yに第1ピッチよりも大きな第2ピッチで並んで設けられている。電子ビーム通過孔26は、それぞれ電子放出素子18と対向して配列され、電子放出素子から放出された電子ビームを透過する。
図2ないし図7に示すように、支持基板24は、それぞれ矩形状に形成された2枚の分割基板23a、23bを接合して1枚板に形成されている。分割基板23a、23bは、例えば鉄−ニッケル系の金属板により厚さ0.1〜0.3mmに形成されている。各分割基板23a、23bの一辺、例えば、第2方向Yに延びた長辺は接合部25を形成されている。そして、分割基板23a、23bは、接合部25を互いに突き合わせ状態で互いに接合されている。接合部25は、支持基板24の第1方向Xの中央部に位置し、第2方向Y全長に渡って延びている。また、接合部25は、支持基板24の第2方向Yに延びた電子ビーム通過孔26の1列と重なって位置し、各電子ビーム通過孔を跨いで延びている。
分割基板23a、23bの接合部25は例えばスポット溶接により互いに接合されている。接合部25は、隣合う電子ビーム通過孔26間で、少なくとも1箇所が溶接されている。ここでは、分割基板23a、23bの接合部25は、複数箇所が支持基板24の一方の表面側から溶接され、複数箇所が支持基板の他方の表面側から溶接されている。支持基板の一方の表面側から溶接された溶接部と、支持基板の他方の表面側から溶接された溶接部とは、接合部25の延出方向に沿って交互に並んでいる。
なお、接合部25の溶接には、スポット溶接の他、アーク溶接、レーザ溶接等を用いることができる。また、接合部25同士の接合は、溶接に限らず、ろう付け、接着、熱圧着等を用いてもよい。
図3に示すように、支持基板24の表面には、金属板を構成する元素からなる酸化膜、例えば、Fe3O4、NiFe2O4からなる酸化膜が形成されている。また、支持基板24の表面24a、24b、並びに、各電子ビーム通過孔26の壁面は、例えば、ガラス、セラミック等を主成分とした絶縁層27により被覆されている。更に、支持基板24の表面24a、24b、周縁部、並びに、各電子ビーム通過孔26の壁面は、二次電子発生防止効果を有した高抵抗膜としてのコート層28により被覆されている。コート層28は絶縁層27に重ねて形成されている。
コート層28は、二次電子放出係数が0.4〜2.0と低い材料、例えば、酸化クロム、酸化銅、ITO等を含有している。このような低二次電子放出係数の材料は種々見出されているが、一般に自由電子を有する良導体に多く存在する。しかし、後述するように、SEDでは第1基板および第2基板間に10kV程度の比較的高電圧が印加されるため、コート層として絶縁材料もしくは半導体などの比較的高抵抗材料を選択する必要がある。例えば、酸化クロムの体積抵抗値はおよそ105Ωcmと比較的高抵抗であり、かつ低二次電子放出係数の材料である。そして、スペーサ構体22を構成している支持基板24において、表面抵抗は107Ωcm以上であることが望ましい。そこで、本実施形態では、ガラスペーストと酸化クロムの粉末とを混合した複合材料によってコート層28を形成することで、支持基板24の表面抵抗値をマクロ的に上げ放電抑制効果を得ている。
図2ないし図4に示すように、支持基板24の第1表面24a上には複数の第1スペーサ30aが一体的に立設され、それぞれ第2方向Yに並んだ電子ビーム通過孔26間に位置している。第1スペーサ30aの先端は、ゲッタ膜19、メタルバック17、および蛍光体スクリーン16の遮光層11を介して第1基板10の内面に当接している。
支持基板24の第2表面24b上には複数の第2スペーサ30bが一体的に立設され、それぞれ第2方向Yに並んだ電子ビーム通過孔26間に位置している。第2スペーサ30bの先端は第2基板12の内面に当接している。ここでは、各第2スペーサ30bの先端は、第2基板12の内面上に設けられた配線21上に位置している。各第1および第2スペーサ30a、30bは互いに整列して位置し、支持基板24を両面から挟み込んだ状態で支持基板24と一体に形成されている。
第1および第2スペーサ30a、30bの各々は、支持基板24側から延出端に向かって径が小さくなった先細テーパ状に形成されている。例えば、各第1スペーサ30aおよび第2スペーサ30bはほぼ楕円状の横断面形状を有している。
上記のように構成されたスペーサ構体22は、それぞれ支持基板24の長辺が第2基板12の第1方向Xと平行に延びた状態で配置され、支持基板24の各角部は、第2基板12内面に立設された支持部材32に固定されている。各スペーサ構体の第1および第2スペーサ30a、30bは、第1基板10および第2基板12の内面に当接することにより、これらの基板に作用する大気圧荷重を支持し、基板間の間隔を所定値に維持している。
SEDは、支持基板24および第1基板10のメタルバック17に電圧を印加する図示しない電圧供給部を備えている。この電圧供給部は、支持基板24およびメタルバック17にそれぞれ接続され、例えば、支持基板24に12kV、メタルバック17に10kVの電圧を印加する。SEDにおいて、画像を表示する場合、蛍光体スクリーン16およびメタルバック17にアノード電圧が印加され、電子放出素子18から放出された電子ビームをアノード電圧により加速して蛍光体スクリーン16へ衝突させる。これにより、蛍光体スクリーン16の蛍光体層が励起されて発光し、画像を表示する。
次に、以上のように構成されたSEDの製造方法について説明する。始めに、スペーサ構体22の製造方法について説明する。
それぞれ所定寸法に形成された2枚の分割基板23a、23bを用意する。分割基板としては、45〜55重量%ニッケル、残部鉄、不可避不純物を含有した板厚0.12mmの金属板を用いる。この金属板を脱脂、洗浄、乾燥した後、エッチングにより電子ビーム通過孔26を形成する。続いて、図5ないし図7に示すように、金属板の接合部25同士を突き合わせ状態で、2枚の金属板を第2方向Yに沿って位置合わせした後、第1方向Xに沿って位置合わせする。この際、接合部25の接合面25a同士が接触した状態で、2枚の金属板を移動させて位置合わせする。
それぞれ所定寸法に形成された2枚の分割基板23a、23bを用意する。分割基板としては、45〜55重量%ニッケル、残部鉄、不可避不純物を含有した板厚0.12mmの金属板を用いる。この金属板を脱脂、洗浄、乾燥した後、エッチングにより電子ビーム通過孔26を形成する。続いて、図5ないし図7に示すように、金属板の接合部25同士を突き合わせ状態で、2枚の金属板を第2方向Yに沿って位置合わせした後、第1方向Xに沿って位置合わせする。この際、接合部25の接合面25a同士が接触した状態で、2枚の金属板を移動させて位置合わせする。
位置合わせが終了した後、2枚の金属板の接合部25同士を溶接して接合し、全体として矩形状の1枚の金属板を形成する。続いて、この金属板全体を酸化処理した後、電子ビーム通過孔26の内面を含め金属板表面に絶縁層27を形成する。更に、絶縁層27の上に、ガラスペーストに約30重量%の酸化クロム(Cr2O3−α:α=−0.5〜0.5)を混入したコート液をスプレーにより塗布し、乾燥した後、焼成することにより、コート層28を形成する。これにより、所定寸法の支持基板24を得る。
なお、コート層28は塗布膜に限らず、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、あるいはゾルゲル法により、支持基板表面に酸化クロムを薄膜状に形成した層としてもよい。
一方、支持基板24とほぼ同一の寸法を有した矩形板状の上型および下型を用意する。成形型としての上型および下型は、紫外線を透過する透明な材料、例えば、透明シリコン、透明ポリエチレンテレフタレート等により平坦な板状に形成する。上型は、支持基板24に当接される平坦な当接面と、第1スペーサ30aを成形するための多数の有底のスペーサ形成孔と、を有している。スペーサ形成孔はそれぞれ上型の当接面に開口しているとともに、所定の間隔を置いて配列されている。同様に、下型は、平坦な当接面と、第2スペーサ30bを成形するための多数の有底のスペーサ形成孔と、を有している。スペーサ形成孔はそれぞれ下型の当接面に開口しているとともに、所定の間隔を置いて配列されている。なお、上型および下型は、複数に分割された型を組み合わせて構成してもよい。
続いて、上型のスペーサ形成孔および下型のスペーサ形成孔にスペーサ形成材料を充填する。スペーサ形成材料としては、少なくとも紫外線硬化型のバインダ(有機成分)およびガラスフィラーを含有したガラスペーストを用いる。ガラスペーストの比重、粘度は適宜選択する。
スペーサ形成材料の充填されたスペーサ形成孔がそれぞれ電子ビーム通過孔26間と対向するように、上型を位置決めし当接面を支持基板24の第1表面24aに密着させる。同様に、下型を、各スペーサ形成孔が電子ビーム通過孔26間と対向するように位置決めし、当接面を支持基板24の第2表面24bに密着させる。なお、支持基板24のスペーサ立設位置には、ディスペンサあるいは印刷により、予め接着剤を塗布しておいてもよい。これにより、支持基板24、上型および下型からなる組立体を構成する。組立体において、上型のスペーサ形成孔と下型のスペーサ形成孔とは、支持基板24を挟んで対向して配列されている。
次いで、上型および下型の外側に配置された紫外線ランプから上型および下型に向けて紫外線(UV)を照射する。上型および下型はそれぞれ紫外線透過材料で形成されている。そのため、紫外線ランプから照射された紫外線は、上型および下型を透過し、充填されたスペーサ形成材料に照射される。これにより、組立体の密着を維持した状態で、スペーサ形成材料を紫外線硬化させる。
続いて、硬化したスペーサ形成材料を支持基板24上に残すように、上型および下型を支持基板24から離型する。その後、スペーサ形成材料が設けられた支持基板24を加熱炉内で熱処理し、スペーサ形成材料内からバインダを飛ばした後、約500〜550℃で30分〜1時間、スペーサ形成材料を本焼成する。これにより、支持基板24上に第1および第2スペーサ30a、30bが作り込まれたスペーサ構体22が得られる。
一方、SEDの製造においては、予め、蛍光体スクリーン16およびメタルバック17の設けられた第1基板10と、電子放出素子18および配線21が設けられているとともに側壁14が接合された第2基板12と、を用意しておく。続いて、前記のようにして得られたスペーサ構体22を第2基板12上に位置決め配置し、支持部材32に固定する。この状態で、第1基板10、第2基板12、およびスペーサ構体22を真空チャンバ内に配置し、真空チャンバ内を真空排気した後、側壁14を介して第1基板を第2基板に接合する。これにより、スペーサ構体22を備えたSEDが製造される。
以上のように構成されたSEDによれば、スペーサ構体22の支持基板24は複数枚の分割基板を接合して形成されている。そのため、各分割基板を小型化することができ、分割基板のエッチング加工、レーザー加工等の加工精度を上げることができる。これにより、高い寸法精度の支持基板を得ることができる。また、各分割基板を既存の製造方法および製造装置により安価に製造することができる。従って、SEDの画素ピッチを小さくし高精細化を図った場合でも、また、SEDを大型化した場合でも、電子放出素子等に対してスペーサ構体を高い精度で位置合わせすることができ、大型で高精細化なSEDが得られる。
一方、分割基板間の接合部は、支持基板の電子ビーム通過孔の列に重なって位置し、電子ビーム通過孔を跨いで延びている。そして、接合部は、隣合う電子ビーム通過孔間で互いに溶接されている。そのため、接合部の溶接箇所を低減し、溶接時における支持基板の熱を分散し支持基板の熱変形を防止することができる。SEDの高精細化に伴い、電子ビーム通過孔間のピッチも小さくなる。そのため、電子ビーム通過孔間で分断された複数の分割基板を接合する場合、接合部の形成スペースを確保することが困難となる。しかしながら、本実施形態によれば、接合部は電子ビーム通過孔列に重ねて設けられ、電子ビーム通過孔を跨いで延びていることから、電子ビーム通過孔の配列ピッチを小さくした場合でも、接合部の形成スペースを確保することができる。従って、一層の高精細化が可能となる。
更に、本実施形態によれば、分割基板間の接合部において、複数箇所を支持基板の一方の表面側から溶接し、他の複数箇所を支持基板の他方の表面側から溶接している。これにより、溶接時に生じる支持基板の熱応力を支持基板の両面側から打ち消し合うことができ、その結果、接合部における支持基板の反り、うねりを防止することができる。
なお、上述したSEDにおいて、スペーサ構体の支持基板は2枚の分割基板を接合して構成したが、2枚に限らず、3枚以上の分割基板を互いに接合して支持基板を構成してもよい。また、分割基板の接合位置は、支持基板の第1方向中央に限らず、必要に応じて変更可能である。複数の分割基板は互いに同一寸法に形成されている必要はなく、互いに異なる寸法に形成してもよい。
上述した実施形態において、分割基板間の接合部25は、支持基板の両面側から交互に溶接する構成としたが、2箇所置き、3箇所置きあるいはランダムに異なる表面側から溶接してもよい。また、図8に示すように、接合部25における全ての溶接部を、支持基板24の一方の表面側からの溶接する構成としてもよい。この場合、溶接工程を簡略化することができる。すなわち、片面側からの溶接は1回の溶接作業ですみ、両面側から溶接する場合に比較して溶接作業を低減することが可能となる。理想的には条件の追い込みで片面溶接にするのが望ましいが、特性が満足できない場合は工数は増えるが両面から溶接する。
上述した実施形態において、各分割基板の接合部25を基板の側縁により形成し、複数の分割基板の接合部同士を突き合わせて接合する構成としたが、図9に示す第2の実施形態のように、接合部同士を支持基板24の板厚方向に重ね合わせて接合する構成としてもよい。この場合、各分割基板23a、23bの接合部25は、分割基板の板厚tに対してほぼ半分の厚さt/2に形成されているとともに、分割基板の表面とほぼ平行に延びた接合面25aを有している。接合面25aは、分割基板の表面に対してt/2だけ段差を持って位置している。また、接合面25aは長辺と直交する方向、すなわち、第1方向Xに調整幅Wを有している。接合部25は、例えば、分割基板23a、23bをハーフエッチングすることにより形成されている。
分割基板23a、23bの接合部25は、接合面25a同士が接触した状態で板厚方向に重ね合わされ、互いに接合されている。例えば、分割基板23a、23bの接合部25が板厚方向に重なった領域を、分割基板の両面側から交互に溶接することにより、接合部25同士を接合している。また、接合部25は、支持基板24の電子ビーム通過孔26の1列に重ねて設けられ、電子ビーム通過孔を跨いで延びている。
第2の実施形態において、SEDの他の構成は前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。そして、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、第2の実施形態形によれば、分割基板の接合部は、分割基板の面方向に沿って位置調整可能な調整幅を有しているため、複数枚の分割基板を正確に位置合わせし、一層高い寸法精度の支持基板を得ることができる。
前述した実施形態において、スペーサ構体は、第1および第2スペーサおよび支持基板を一体的に備えた構成としたが、第2スペーサ30bは第2基板12上に形成する構成としてもよい。また、スペーサ構体は、支持基板および第2スペーサのみを備え、支持基板が第1基板に接触した構成としてもよい。
図10に示すように、この発明の第3の実施形態に係るSEDによれば、スペーサ構体22は、矩形状の金属板からなる支持基板24と、支持基板の一方の表面のみに一体的に立設された多数の柱状のスペーサ30と、を有している。支持基板24は、複数、例えば、2枚の分割基板23a、23bを接合して構成されている。分割基板23a、23bは、それぞれ前述した実施形態と同様の接合部25を有し、この接合部25電子ビーム通過孔26の1列に重ねて設けられ、電子ビーム通過孔を跨いで延びている。
支持基板24は第1基板10の内面と対向した第1表面24aおよび第2基板12の内面と対向した第2表面24bを有し、これらの基板と平行に配置されている。支持基板24には、エッチング等により多数の電子ビーム通過孔26が形成されている。電子ビーム通過孔26は、それぞれ電子放出素子18と対向して配列され、電子放出素子から放出された電子ビームを透過する。
支持基板24の第1および第2表面24a、24b、各電子ビーム通過孔26の内壁面は、絶縁層として、ガラス、セラミック等を主成分とした絶縁層27により被覆され、更に、絶縁層に重ねてコート層28が形成されている。そして、支持基板24は、その第1表面24aが、ゲッタ膜19、メタルバック17、蛍光体スクリーン16を介して、第1基板10の内面に面接触した状態で設けられている。支持基板24に設けられた電子ビーム通過孔26は、蛍光体スクリーン16の蛍光体層R、G、Bと対向している。これにより、各電子放出素子18は、電子ビーム通過孔26を通して、対応する蛍光体層と対向している。
支持基板24の第2表面24b上には複数のスペーサ30が一体的に立設され、それぞれ電子ビーム通過孔26間に位置している。各スペーサ30の延出端は、第2基板12の内面、ここでは、第2基板12の内面上に設けられた配線21上に当接している。スペーサ30の各々は、支持基板24側から延出端に向かって径が小さくなった先細テーパ状に形成されているとともに、ほぼ楕円形の横断面形状に形成されている。
上記のように構成されたスペーサ構体22は、支持基板24が第1基板10に面接触し、スペーサ30の延出端が第2基板12の内面に当接することにより、これらの基板に作用する大気圧荷重を支持し、基板間の間隔を所定値に維持している。
第3の実施形態において、他の構成は前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。第3の実施形態に係るSEDおよびそのスペーサ構体は前述した実施形態に係る製造方法と同様の製造方法によって製造することができる。そして、本実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
前述した実施形態では、分割基板を互いに接合して1枚の支持基板を形成した後、この支持基板上にスペーサを形成する方法としたが、これに限らず、分割基板上にスペーサを形成し複数のスペーサ構体を形成した後、分割基板同士を接合する構成としてもよい。
スペーサの径や高さ、その他の構成要素の寸法、材質等は上述した実施形態に限定されることなく、必要に応じて適宜選択可能である。この発明は、電子源として表面伝導型電子放出素子を用いたものに限らず、電界放出型、カーボンナノチューブ等の他の電子源を用いた画像表示装置にも適用可能である。
10…第1基板、 12…第2基板、 14…側壁、 15…真空外囲器、
16…蛍光体スクリーン、 8…電子放出素子、
22…スペーサ構体、 23a、23b…分割基板、 24…支持基板、
25…接合部、 25a…接合面、 26…電子ビーム通過孔、
30…スペーサ、 30a…第1スペーサ、 30b…第2スペーサ
16…蛍光体スクリーン、 8…電子放出素子、
22…スペーサ構体、 23a、23b…分割基板、 24…支持基板、
25…接合部、 25a…接合面、 26…電子ビーム通過孔、
30…スペーサ、 30a…第1スペーサ、 30b…第2スペーサ
Claims (11)
- 蛍光面が形成された第1基板と、
前記第1基板と隙間を置いて対向配置されているとともに前記蛍光面を励起する複数の電子放出源が設けられた第2基板と、
それぞれ前記第1および第2基板の間に設けられ前記第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持するスペーサ構体とを備え、
前記スペーサ構体は、前記第1および第2基板に対向しているとともに、それぞれ前記電子放出源に対向した複数の電子ビーム通過孔を有した板状の支持基板と、前記支持基板の表面上に立設された複数のスペーサと、を有し、
前記支持基板は、複数の分割基板を互いに接合して構成され、分割基板間の接合部は、前記支持基板の電子ビーム通過孔を跨いで延びている画像表示装置。 - 前記支持基板の電子ビーム通過孔は、複数列、複数行に並んで設けられ、前記分割基板間の接合部は、前記電子ビーム通過孔の1列と重なって延びている請求項1に記載の画像表示装置。
- 前記分割基板の接合部は、隣合う電子ビーム通過孔間で溶接されている請求項1又は2に記載の画像表示装置。
- 前記分割基板の接合部は、前記支持基板の一方の表面側から溶接されている請求項3に記載の画像表示装置。
- 前記分割基板の接合部は、複数箇所が前記支持基板の一方の表面側から溶接され、複数箇所が前記支持基板の他方の表面側から溶接されている請求項3に記載の画像表示装置。
- 前記分割基板の接合部は、前記支持基板の一方の表面側から溶接された溶接部と、前記支持基板の他方の表面側から溶接された溶接部とが交互に並んでいる請求項5に記載の画像表示装置。
- 前記各分割基板の接合部は、分割基板の他の部分よりも薄く形成され、他の分割基板の接合部と板厚方向に重ねて接合されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像表示装置。
- 前記各分割基板は矩形状に形成され、前記接合部は分割基板の少なくとも一辺に沿って形成されているとともに、各分割基板をこの一辺と直交する方向に沿って位置調整可能な位置調整幅を有している請求項7に記載の画像表示装置。
- 前記支持基板は、前記第1基板に対向した第1表面と、前記第2基板に対向した第2表面と、を有し、前記スペーサは、前記第1表面上に立設された複数の第1スペーサと、前記第2表面上に立設された複数の第2スペーサと、を含んでいる請求項1ないし8のいずれか1項に記載の画像表示装置。
- 前記支持基板は、前記第1基板に当接した第1表面と、前記第2基板と隙間を置いて対向した第2表面と、を有し、前記スペーサは、前記第2表面上に立設されているとともに前記第2基板に当接した先端部を有している請求項1ないし8のいずれか1項に記載の画像表示装置。
- 前記スペーサは、柱状のスペーサである請求項1ないし10のいずれか1項に記載の画像表示装置。
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