JP2005265060A - ボールねじ装置及び電気式パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ボールねじ装置において、摩擦抵抗トルクの変動及び転動音を減少させる。
【解決手段】 ボールねじ装置は、雄ねじ溝32が形成されたねじ軸部31と、雌ねじ溝36が形成されたナット部35と、両ねじ溝により形成される螺旋状通路34内に転動可能に介装された多数のボール40よりなり、ナット部に設けられて螺旋状通路の円周方向に1周弱隔たった2位置を軸線方向に接続する案内通路37eを有する少なくとも1対のこま37A〜37Dと螺旋状通路34の各1周弱部分により、少なくとも1対の循環通路34A〜34Dを形成している。対をなす2個のこまは、それらとナット部35の中心軸線Oとを結ぶ各線の間の角度が、軸線方向より見て180度から離れた値となるように配置されている。対をなす2個のこまを有する2つの循環通路は、軸線方向に隣接させて配置するのがよい。
【選択図】 図1
【解決手段】 ボールねじ装置は、雄ねじ溝32が形成されたねじ軸部31と、雌ねじ溝36が形成されたナット部35と、両ねじ溝により形成される螺旋状通路34内に転動可能に介装された多数のボール40よりなり、ナット部に設けられて螺旋状通路の円周方向に1周弱隔たった2位置を軸線方向に接続する案内通路37eを有する少なくとも1対のこま37A〜37Dと螺旋状通路34の各1周弱部分により、少なくとも1対の循環通路34A〜34Dを形成している。対をなす2個のこまは、それらとナット部35の中心軸線Oとを結ぶ各線の間の角度が、軸線方向より見て180度から離れた値となるように配置されている。対をなす2個のこまを有する2つの循環通路は、軸線方向に隣接させて配置するのがよい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電気式パワーステアリング装置の操舵力アシスト機構などに使用するのに適したボールねじ装置及び電気式パワーステアリング装置に関する。
電気式パワーステアリング装置には、例えば特許文献1に示すように、ハンドル軸及びピニオンを介して操舵ハンドルにより軸動されて操向車輪を操舵するラックシャフトの一部にボールねじ装置のねじ軸部を形成し、このボールねじ装置のナット部を操舵ハンドルのハンドルトルクに応じて出力トルクが制御される電動機により回転駆動してラックシャフトに操舵アシスト力を与えるようにしたものがある。この特許文献1のボールねじ装置は、雄ねじ溝が外周に形成されたねじ軸部と、雌ねじ溝が内周に形成されたナット部と、雄ねじ溝と雌ねじ溝により形成される螺旋状通路内に転動可能に介装された多数のボールよりなるものであり、この螺旋状通路は4つの循環通路に分割されて、多数のボールはこの各循環通路内を循環するように設けられている。
特開2003−90410号公報(段落〔0011〕〜〔0014〕、図1〜図3)。
しかしながら、上述した特許文献1に示す技術の電気式パワーステアリング装置は、ときには図7に示すように操舵に応じて生じる操舵トルクの変動が大きくなったり、また転動音が発生したりして操舵感が低下するという問題を生じることがある。上述した従来技術のボールねじ装置は、図5及び図6に示すように、ねじ軸部31とナット部1とこの両者の間に転動可能に介装された多数のボール5よりなり、ねじ軸部31の外周に形成された雄ねじ溝32と、ナット部1の内周に形成された雌ねじ溝2により螺旋状通路4が形成されている。ナット部1には螺旋状通路4の円周方向に1周弱隔たった2位置を雄ねじ溝32の間を乗り越えて軸線方向に接続する案内通路3eを有する4個のこま3A〜3Dが設けられ、この各案内通路3eと螺旋状通路4の各1周弱部分により4つの循環通路4A〜4Dが形成されており、多数のボール5はこの各循環通路4A〜4D内を循環する4つのボール群5A〜5Dにグループ分けされている。
各循環通路4A〜4Dは、ねじ軸部31の雄ねじ溝32とナット部1の雌ねじ溝2の間に形成される部分と、各こま3A〜3Dの案内通路3eにより形成される部分よりなり、各ボール5は、前者の部分では雄ねじ溝32と雌ねじ溝2の間に多少の締め代を持って隙間なく介装されて転動されるが、後者の部分ではこま3A〜3Dの案内通路3eとの間に多少の隙間をおいて通過するようになっている。また、各こま3A〜3Dは円周方向に90度間隔で設けられているので、第1循環通路4Aと第3循環通路4Cはナット部1の中心軸線Oに対し丁度反対側に位置する1対の第1こま3Aと第3こま3Cを有する1対の循環通路4A,4Cを形成し、第2循環通路4Bと第4循環通路4Dはナット部1の中心軸線Oに対し丁度反対側に位置する1対の第2こま3Bと第4こま3Dを有する別の1対の循環通路4B,4Dを形成している。
図6の状態において、何らかの外力が加わって二点鎖線に示すようにねじ軸部31がナット部1に対し変位すると、雄ねじ溝32と雌ねじ溝2の間の隙間は直径方向の一方では減少し、他方では増大する。そしてこの隙間が小さくなる位置では各こま3A〜3Dの案内通路3eから両ねじ溝32,5の間に入り込むボール5が引っ掛かり、ねじ軸部31とナット部1の間の摩擦抵抗トルクの変動及び転動音が大きくなって前述したような問題を生じるものと思われる。
本発明は、ボールが対をなす2個のこまの案内通路から雄ねじ溝と雌ねじ溝の間に入り込む各位置の間の軸線方向から見た角度が、180度から離れた値となるように配置することにより、ねじ軸部とナット部の間の摩擦抵抗トルクの変動及び転動音が大きくなるという問題を解決することを目的とする。
このために、請求項1の発明によるボールねじ装置は、螺旋状の雄ねじ溝が外周に形成されたねじ軸部と、このねじ軸部の外周に同軸的に回転自在に組み付けられて雄ねじ溝と同じリードの螺旋状の雌ねじ溝が内周に形成されたナット部と、雄ねじ溝と雌ねじ溝により形成される螺旋状通路内に転動可能に介装された多数のボールよりなり、ナット部に設けられて螺旋状通路の円周方向に1周弱隔たった2位置を雄ねじ溝の間を乗り越えて軸線方向に接続する案内通路を有する少なくとも1対のこまと螺旋状通路の各1周弱部分により少なくとも1対の循環通路を形成するとともに多数のボールはこの各循環通路内を循環するように設けてなり、対をなす2個のこまはナット部の中心軸線に対し反対側に配置してなるボールねじ装置において、対をなす2個のこまは、それらとナット部の中心軸線とを結ぶ各線の間の角度が、同中心軸線方向より見て180度から離れた値となるように配置したことを特徴とするものである。
前項に記載のボールねじ装置において、対をなす2個のこまとナット部の中心軸線とを結ぶ各線の間の中心軸線方向より見た角度は、ボールが対をなす2個のこまの各案内通路からこれに続く雄ねじ溝と雌ねじ溝の入り込む際にこの入り込みがなされる各位置と中心軸線とを結ぶ方向に沿って生じるボールの弾性変形により生じる各反力の合力が、ねじ軸部とナット部を合力の方向に相対変位させる値となるように設定することが好ましい。
前2項に記載のボールねじ装置は、対をなす2個のこまを有する2つの循環通路を、軸線方向において隣接するように配置することが好ましい。
操舵ハンドルのハンドルトルクに応じて出力トルクが制御される電動機と、これにより駆動されるボールねじ装置よりなる操舵力アシスト機構を備えてなる電気式パワーステアリング装置において、ボールねじ装置は前3項に記載のボールねじ装置よりなるものとすることが好ましい。
請求項1の発明によれば、対をなす2個のこまは、それらとナット部の中心軸線とを結ぶ各線の間の角度が、同中心軸線方向より見て180度から離れた値となるように配置したので、外力によりねじ軸部とナット部が相対変位して対をなす2個のこまの各案内通路からこれに続く雄ねじ溝と雌ねじ溝の間に入り込む各位置における両ねじ溝の間の隙間が減少した場合は、この両位置において両ねじ溝の間に入り込むボールの弾性変形は増大し、この両位置においてボールの弾性変形により生じる反力は増大し、この2つの反力の作用線は何れもナット部の中心軸線を通る。しかし、軸線方向から見た場合の各反力の間の角度は180度から離れた値であるので、互いに反対側に位置するボール同士が完全に競り合うことはなく横方向に逃げ、ボールが両ねじ溝の間に入り込む際の引っ掛かりの増大は抑制されて、ねじ軸部とナット部の間の摩擦抵抗トルクの変動及び転動音の増大も抑制される。
対をなす2個のこまとナット部の中心軸線とを結ぶ各線の間の中心軸線方向より見た角度を、ボールが対をなす2個のこまの各案内通路からこれに続く雄ねじ溝と雌ねじ溝の入り込む際にこの入り込みがなされる各位置と中心軸線とを結ぶ方向に沿って生じるボールの弾性変形により生じる各反力の合力が、ねじ軸部とナット部を合力の方向に相対変位させる値となるように設定した請求項2の発明によれば、ねじ軸部とナット部が合力の方向に相対変位することにより横方向に逃げ、これによりボールが両ねじ溝の間に入り込む際の引っ掛かりの増大は確実に抑制され、従ってねじ軸部とナット部の間の摩擦抵抗トルクの変動及び転動音の増大も確実に抑制される。
対をなす2個のこまを有する2つの循環通路を、軸線方向において隣接するように配置した請求項3の発明によれば、対をなす2個のこまを有する2つの循環通路の間の距離が減少することにより、ねじ軸部とナット部の相対変位による互いに競り合うボールが各こまの案内通路から入り込む各循環通路の雄ねじ溝と雌ねじ溝の間の隙間の変動が小さくなるので、ボールが両ねじ溝の間に入り込む際の引っ掛かりの増大は一層抑制され、従ってねじ軸部とナット部の間の摩擦抵抗トルクの変動及び転動音の増大も一層抑制される。
操舵ハンドルのハンドルトルクに応じて出力トルクが制御される電動機と、これにより駆動されるボールねじ装置よりなる操舵力アシスト機構を備えてなる電気式パワーステアリング装置において、ボールねじ装置は前3項に記載のボールねじ装置よりなるものとした請求項4の発明によれば、操舵力アシスト機構に使用するボールねじ装置のねじ軸部とナット部の間の摩擦抵抗トルクの変動及び転動音の増大が抑制されるので、電気式パワーステアリング装置の操舵に応じて生じる操舵トルクの変動及び転動音を減少させることができる。
先ず、図3により、本発明によるボールねじ装置を有する操舵力アシスト機構Sを備えた電気式パワーステアリング装置の説明をする。この実施形態の電気式パワーステアリング装置は、細長い筒状のハウジング10に、軸線方向の一部に長手方向に沿ってラック12が形成されたラックシャフト11が軸線方向移動可能に支持され、ラックシャフト11の両端はそれぞれタイロッド16を介して左右の前輪(操向車輪)17に連結されている。また少なくとも一部がハウジング10に回転自在に支持されたハンドル軸14の一端にはラック12と噛合するピニオン13が固定され、他端には操舵ハンドル15が連結されている。
ハウジング10内には、筒状のモータシャフト20がラックシャフト11と同軸的に回転自在に支持され、ラックシャフト11とモータシャフト20は、ラックシャフト11の一部に一体形成されたねじ軸部31と、モータシャフト20に固定されてボール(後述)を介してねじ軸部31とねじ係合されるナット部35からなるボールねじ装置30により連結されている。モータシャフト20にはブラシレスDCモータなどのモータ(電動機)21が設けられ、制御装置25はハンドル軸14に設けられたトルクセンサ26により検出された操舵ハンドル15から入力されるハンドルトルクに応じて、モータ21の出力トルクを制御して、ラックシャフト11に操舵アシスト力を与えるようになっている。このモータシャフト20とボールねじ装置30とモータ21が、ラックシャフト11にアシスト力を与える操舵力アシスト機構Sを構成する。
次に図1及び図2により、本発明の要部であるボールねじ装置30の説明をする。この実施形態のボールねじ装置30は、電気式パワーステアリング装置のラックシャフト11に一体形成されて螺旋状の雄ねじ溝32が外周に形成されたねじ軸部31と、このねじ軸部31の外周に多少の隙間をおいて同軸的に回転自在に組み付けられ雄ねじ溝32と同じリードの螺旋状の雌ねじ溝36が内周に形成されたナット部35を備えている。このナット部35は電気式パワーステアリング装置のモータ21により回転駆動される。このねじ軸部31とナット部35は、所定の位置関係にある状態では、雄ねじ溝32と雌ねじ溝36により断面形状がほゞ円形の螺旋状通路34を形成し、この螺旋状通路34内に転動可能に介装される多数のボール40により、互いにねじ係合可能となっている。
筒状のナット部35の外周部の一端部近く(図1では下側、図2では左下側)には、螺旋状通路34の円周方向に1周弱隔たった2位置を雄ねじ溝32の間の外側を乗り越えて軸線方向に接続する案内通路37eを有する第1こま37Aが外側から固定され、螺旋状通路34の1周弱部分とこの案内通路37eにより閉じた第1循環通路34Aを形成し、この第1循環通路34A内を循環するように多数のボール40よりなる第1ボール群40Aが設けられている。図2に示すように、ナット部35外周部には、第1こま37Aから右向きに雌ねじ溝36に沿って1回転半弱(例えば512度)進んだ位置に、第1こま37Aと同一形状の第2こま37Bが設けられ、これにより形成された第1循環通路34Aと同様の第2循環通路34B内には、循環する第2ボール群40Bが設けられている。
また、ナット部35外周部には、第1こま37A及び第2こま37Bからそれぞれ右向きに雌ねじ溝36に沿って3.75回転進んだ位置に、第1こま37Aと同一形状の第3こま37C及び第4こま37Dが設けられ、これにより形成された第1循環通路34Aと同様の第3循環通路34C及び第4循環通路34D内には、それぞれ循環する第3ボール群40C及び第4ボール群40Dが設けられている。この実施形態の各こま37A〜37Dの案内通路37eは、雄ねじ溝32の間を乗り越える部分がトンネル状に形成されているが、この乗り越える部分は溝状に形成することもできる。
この実施形態では、第1こま37Aと第2こま37Bが、ナット部35の中心軸線Oに対しほゞ反対側に配置される1対のこま37A,37Bであり、第1循環通路34Aと第2循環通路34Bが、これと対応する1対の循環通路34A,34Bである。また、第3こま37Cと第4こま37Dが、ナット部35の中心軸線Oに対しほゞ反対側に配置される別の1対のこま37C,37Dであり、第3循環通路34Cと第4循環通路34Dが、これと対応する別の1対の循環通路34C,34Dである。
各循環通路34A〜34Dは、ねじ軸部31の雄ねじ溝32とナット部35の雌ねじ溝36の間に形成される部分と、各こま37A〜37Dの案内通路37eにより形成される部分よりなり、各ボール40は、前者の部分では雄ねじ溝32と雌ねじ溝36の間に多少の締め代を持って隙間なく介装されて転動されるが、後者の部分ではこま37A〜37Dの案内通路37eとの間に多少の隙間をおいて通過するようになっている。また前述のように、第2こま37Bは第1こま37Aから右向きに雌ねじ溝36に沿って1回転半弱進んだ位置にあるので、対をなす第1こま37Aと第2こま37Bは、軸線方向から見た場合、それらとナット部35の中心軸線Oとを結ぶ各線の間の角度が180度から離れた値となる。同様に、第4こま37Dも第3こま37Cから右向きに雌ねじ溝36に沿って1回転半弱進んだ位置にあるので、別の対をなす第3こま37Cと第4こま37Dは、軸線方向から見た場合、それらとナット部35の中心軸線Oとを結ぶ各線の間の角度が180度から離れた値となっている。
図1において、符号T1〜T4で示す各位置は、ねじ軸部31に対しナット部35が矢印Rで示す向きに回転している場合の、各循環通路34A〜34Dにおける各こま37A〜37Dの案内通路37eから雄ねじ溝32と雌ねじ溝36の間に入る位置を示している。上述のように、対をなす第1こま37Aと第2こま37B及び第3こま37Cと第4こま37Dは、軸線方向から見た場合、それらとナット部35の中心軸線Oとを結ぶ各線の間の角度が180度から離れた値であるので、第1及び第2循環通路34A,34Bの各位置T1と位置T2、及び第3及び第4循環通路34C,34Dの各位置T3と位置T4も、それらとナット部35の中心軸線Oとを結ぶ各線の間の角度は、図1に示すように、軸線方向から見た場合、180度から離れた値となる。この各位置T1〜T4においては、各ボール40は各こま37A〜37Dから両ねじ溝32,2の間に入り込む際に多少弾性変形されるので多少の引っ掛かりを生じ、ねじ軸部31とナット部35の間の摩擦抵抗トルクが変動し、転動音を生じるが、ねじ軸部31とナット部35の相対位置関係が正常な場合は、それらのトルク変動及び転動音は実質的に問題とならない程度である。なお、ナット部35がねじ軸部31に対し矢印Rと逆向きに回転する場合は、各こま37A〜37Dの案内通路37eから雄ねじ溝32と雌ねじ溝36の間に入る位置は、各こま37A〜37Dの反対側(第1こま37Aについて言えば符号T1′で示す位置)となる。
しかしながら、図2の状態において、ねじ軸部31の両端部に例えば符号Fで示すような外力による偶力が加わって二点鎖線に示すようにナット部35に対する位置関係が正常な状態からずれた場合は、第1循環通路34Aの位置T1と第2循環通路34Bの位置T2における雄ねじ溝32と雌ねじ溝36の間の隙間が何れも減少するので、この両位置T1,T2おいて両ねじ溝32,36の間に入り込むボール40の弾性変形は増大し、この各位置T1,T2においてボール40の弾性変形により生じる反力P,Pは増大し、この2つの反力P,Pの作用線は何れもナット部35の中心軸線Oを通る。しかし、軸線方向から見た場合の各反力P,Pの間の角度は180度から離れた値であるので、互いに反対側に位置するボール40同士が完全に競り合うことはなく横方向に逃げるので、ボール40が両ねじ溝32,36の間に入り込む際の引っ掛かりの増大は抑制され、従ってねじ軸部31とナット部35の間の摩擦抵抗トルクの変動及び転動音の増大も抑制される。
対をなす2個のこま37A,37B(または各こま37C,37D)とナット部35の中心軸線Oとを結ぶ各線の間の中心軸線方向より見た角度(=各位置U1,U2(または各位置U3,U4)とナット部35の中心軸線Oとを結ぶ各線の間の中心軸線方向より見た角度)は、ボール40が対をなす2個のこま37A,37B(または各こま37C,37D)の各案内通路37eからこれに続く雄ねじ溝32と雌ねじ溝36の入り込む際にこの入り込みがなされる各位置U1,U2(または各位置U3,U4)と中心軸線Oとを結ぶ方向に沿って生じるボール40の弾性変形により生じる各反力P,Pの合力Qが、ねじ軸部31とナット部35を合力Qの方向に相対変位させる値となるように設定するものとする。このようにすれば、各反力P,Pによりねじ軸部31とナット部35が合力Qの方向に相対変位することにより横方向に逃げるので、ボール40が両ねじ溝32,36の間に入り込む際の引っ掛かりの増大は確実に抑制され、従ってねじ軸部31とナット部35の間の摩擦抵抗トルクの変動及び転動音の増大も確実に抑制される。
また上述した実施形態では、対をなす2個のこま37A,37B(及び37C,37D)を有する2つの循環通路34A,34B(及び34C,34D)を、軸線方向において隣接するように配置しており、このようにすれば対をなす2個のこま37A,37B(及び37C,37D)を有する2つの循環通路34A,34B(及び34C,34D)の間の距離が減少して、ねじ軸部31とナット部35の間の位置関係のずれによる互いに競り合うボール40が各こま37A〜37Dの案内通路37eから入り込む各位置T1,T2における各循環通路34A,34Bの雄ねじ溝32と雌ねじ溝36の間の隙間の変動が小さくなるので、ボール40が両ねじ溝32,36の間に入り込む際の引っ掛かりの増大は一層抑制され、従ってねじ軸部31とナット部35の間の摩擦抵抗トルクの変動及び転動音の増大も一層抑制される。
また上述した実施形態では、電気式パワーステアリング装置の操舵力アシスト機構Sに使用するボールねじ装置に上述したボールねじ装置を適用しており、このようにすれば、操舵力アシスト機構Sに使用するボールねじ装置30のねじ軸部31とナット部35の間の摩擦抵抗トルクの変動及び転動音の増大が抑制されるので、電気式パワーステアリング装置の操舵に応じて生じる操舵トルクの変動及び転動音を減少させることができる。図4は本発明のボールねじ装置を適用した電気式パワーステアリング装置の、操舵に応じて生じる操舵トルク変動の特性の一例を示したものであり、図7に示す従来技術における操舵トルク変動の特性に比して、トルク変動の幅が減少しており、良好な操舵感が得られ、また転動音も減少する。
15…操舵ハンドル、21…電動機(モータ)、30…ボールねじ装置、31…ねじ軸部、32…雄ねじ溝、34…螺旋状通路、34A〜34D…循環通路、35…ナット部、36…雌ねじ溝、37A〜37D…こま、40…ボール、O…中心軸線、S…操舵力アシスト機構。
Claims (4)
- 螺旋状の雄ねじ溝が外周に形成されたねじ軸部と、このねじ軸部の外周に同軸的に回転自在に組み付けられて前記雄ねじ溝と同じリードの螺旋状の雌ねじ溝が内周に形成されたナット部と、前記雄ねじ溝と雌ねじ溝により形成される螺旋状通路内に転動可能に介装された多数のボールよりなり、前記ナット部に設けられて螺旋状通路の円周方向に1周弱隔たった2位置を前記雄ねじ溝の間を乗り越えて軸線方向に接続する案内通路を有する少なくとも1対のこまと前記螺旋状通路の前記各1周弱部分により少なくとも1対の循環通路を形成するとともに前記多数のボールはこの各循環通路内を循環するように設けてなり、対をなす2個の前記こまは前記ナット部の中心軸線に対し反対側に配置してなるボールねじ装置において、対をなす前記2個のこまは、それらと前記ナット部の中心軸線とを結ぶ各線の間の角度が、前記中心軸線方向より見て180度から離れた値となるように配置したことを特徴とするボールねじ装置。
- 請求項1に記載のボールねじ装置において、対をなす前記2個のこまと前記ナット部の中心軸線とを結ぶ各線の間の同中心軸線方向より見た角度は、前記ボールが対をなす前記2個のこまの各案内通路からこれに続く前記雄ねじ溝と雌ねじ溝の入り込む際にこの入り込みがなされる各位置と前記中心軸線とを結ぶ方向に沿って生じる前記ボールの弾性変形により生じる各反力の合力が、前記ねじ軸部とナット部を前記合力の方向に相対変位させる値となるように設定したことを特徴とするボールねじ装置。
- 請求項1または請求項2に記載のボールねじ装置において、対をなす前記2個のこまを有する2つの前記循環通路を、軸線方向において隣接するように配置したことを特徴とするボールねじ装置。
- 操舵ハンドルのハンドルトルクに応じて出力トルクが制御される電動機と、これにより駆動されるボールねじ装置よりなる操舵力アシスト機構を備えてなる電気式パワーステアリング装置において、前記ボールねじ装置が請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のボールねじ装置よりなることを特徴とする電気式パワーステアリング装置。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20060301 |