JP2005264881A - エンジンの擦り合わせ方法および装置 - Google Patents

エンジンの擦り合わせ方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 擦り合わせを短時間で適切に行うための新規な手段を提供する。
【解決手段】 燃料成分に由来するスーツを増量させる制御ステップ(S40)と、制御ステップによるスーツの増量を伴った運転を実行すべき所定の増量運転実行条件が満たされているかを判定する判定ステップ(S20)とを実施する。スーツ(煤化した未燃燃料)をエンジンの擦り合わせのための媒体として利用するので、擦り合わせ用オイルを特別に準備する必要がなく、また出荷前の擦り合わせ運転時間を解消または抑制しながら、擦り合わせを適切に実行できる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、エンジンの擦り合わせ方法および装置に関し、特に燃料成分に由来するスーツを利用してエンジンの摺動部分の擦り合わせを行うものに関する。
エンジンの摺動部分の摺動抵抗を低減させることは、エンジンの燃費向上を図るために重要である。摺動抵抗を低減するためには、エンジンの摺動部分を高精度に加工し摺動部分の面性状を改善することによって、摺動部分の摩擦係数を下げる方法が考えられる。しかし、摺動部分を高精度に加工することは、製造工数とコストの増大につながる。このため従来から、ユーザの新車購入時のいわゆる慣らし運転によって、摺動部分の擦り合わせを行う方法が一般に行われている。この方法では、慣らし運転の内容の個人差によって、燃費向上等の効果のばらつきが生じるという問題点がある。
このような擦り合わせを容易かつ一律に行うために、出願人の別途の出願に係る特許文献1は、エンジン組立完成後であって出荷前に、硬質粒子が含有された擦り合わせ用オイルをエンジン内に注入して擦り合わせ運転する方法を開示している。この方法によれば、エンジンの燃費向上を比較的早期に実現できると考えられる。
特開2002−122029号公報
しかし、この構成では、擦り合わせのために硬質粒子が含有された擦り合わせ用オイルを特別に準備しなければならず、製造コストの増大につながる。また、擦り合わせ運転をエンジン組立完成後であって出荷前に行うので、長時間の擦り合わせ運転は製造コストの増大につながり、また擦り合わせ運転を短時間で済ませるのでは、摺動部分の面性状の改善が不十分になりかねない。
そこで本発明の目的は、擦り合わせを短時間で適切に行うための新規な手段を提供することにある。
第1の本発明は、燃料成分に由来するスーツによってエンジンの擦り合わせを促進することを特徴とするエンジンの擦り合わせ方法である。
第1の本発明では、燃料成分に由来するスーツ(煤化した未燃燃料)が、エンジンの擦り合わせのための媒体として利用される。スーツはカーボン系の硬質な粒子であり、これがエンジンオイル中に混入すると、エンジン内でのエンジンオイルの循環によってエンジンの摺動部分がスーツによって研磨され、その摺動部分の面性状が改善される。したがって、本発明では擦り合わせ用オイルを特別に準備する必要がなく、また出荷前の擦り合わせ運転時間を解消または抑制しながら、擦り合わせを適切に実行できる。
第2の本発明は、請求項1に記載のエンジンの擦り合わせ方法であって、燃料の燃焼条件を制御して燃料成分に由来するスーツを増量させる制御ステップと、前記制御ステップによるスーツの増量を伴った運転を実行すべき所定の増量運転実行条件が満たされているかを判定する判定ステップと、を含むことを特徴とするエンジンの擦り合わせ装置である。
第2の本発明では、判定ステップによって、スーツの増量を伴った運転を実行すべき所定の増量運転実行条件が満たされているかが判定されるので、その結果を利用してスーツの増量を適切なタイミングで終了させることが可能となる。
第3の本発明は、請求項2に記載のエンジンの擦り合わせ方法であって、前記制御ステップによって、前記判定ステップの出力に基づいて、前記増量運転実行条件が満たされている間、前記スーツを増量させることを特徴とするエンジンの擦り合わせ方法である。
第3の本発明では、制御ステップによって、所定の増量運転実行条件が満たされている間スーツを増量させるので、スーツの増量を自動的に終了させることが可能となる。
本発明におけるスーツの増量は、第4の本発明のように燃料噴射量の増加によって行うこととするのが好適である。
エンジンが車両に搭載されている場合には、第5の本発明のように、車両の走行距離が所定の基準値を下回っていることを、本発明における増量運転実行条件とするのが好適である。
また、第6の本発明のように、エンジンの状態を示す所定の物理量に基づいて積算スーツ量を算出する積算ステップを更に含み、積算スーツ量が所定の基準値を下回っていることを増量運転実行条件とすれば、擦り合わせの終了を精度よく検出することが可能となる。
また、エンジンのアイドル回転数が所定値と一致するように燃料噴射量を制御するアイドル回転数制御ステップを更に含んでいる場合には、アイドリング時の燃料噴射量は、出荷時にはエンジンをその摺動摩擦に抗して運転する必要から比較的高く設定され、擦り合わせの進行に伴って漸次低い値をとり、擦り合わせが終了すると安定するように推移する。したがって、第7の本発明のように燃料噴射量が所定の安定状態に達していないことを増量運転実行条件とすることができ、この場合にも簡易な構成によって本発明に所期の効果を得ることができる。
また、第8の本発明のように、判定ステップによる判定結果を運転者または整備作業者に出力する出力ステップを更に含むこととすれば、運転者等がエンジンオイルの交換時期を適切に認識することができ、また増量運転の終了によるドライバビリティの変化が車両の異常によるものでないことを認識できる。
第9の本発明は、燃料の燃焼条件を制御して燃料成分に由来するスーツを増量させる制御手段と、前記制御手段によるスーツの増量を伴った運転を実行すべき所定の増量運転実行条件が満たされているかを判定する判定手段と、を備えたことを特徴とするエンジンの擦り合わせ装置である。第9の本発明によれば、第2の本発明と同様の効果を得ることができる。
本発明の好適な実施形態につき、以下に説明する。図1は本発明の第1実施形態に係るエンジンの擦り合わせ装置1を示す。エンジン10は、筒内燃料噴射式のディーゼルエンジンであって、吸気通路11、排気通路12及び燃焼室16等を備えて構成されている。エンジン10の各シリンダ13にはピストン14が上下動可能に配設されている。そのピストン14の頂面14aの中央には、燃焼室16を構成する凹部(キャビティ)15が形成されている。燃焼室16の上方には、燃料を噴射するインジェクタ17が設けられている。
インジェクタ17は、各シリンダ13のための共通の燃料蓄圧室であるコモンレール18に接続されている。動作の際には、燃料タンク18a内に備蓄された燃料が燃料ポンプ18bによって汲み出され、高圧に加圧されてコモンレール18に蓄圧される。こうして蓄圧された燃料の圧力は、コモンレール18に連結された各シリンダ13のインジェクタ17に印加される。そのインジェクタ17の先端部には、その背後圧が所定高圧となることで開弁し、燃料を噴射させるノズル(図示略)が設けられている。そして、そのインジェクタ17の内部に設けられた電磁ソレノイド(図示略)によって、上記ノズルの背後圧を制御することで、燃料噴射の開始と終了とを決めるようにしている。したがって、こうしたコモンレールシステムでは、エンジン10の回転速度に依存しない高精度の燃料噴射制御を行うことができる。
一方、吸気通路11の上流には、ステップモータ23によって開閉駆動されて、同吸気通路11の流路面積を可変とする吸気絞り弁22が設けられている。更にその上流には、吸気通路11を流過する吸入空気量を検出するためのエアフローメータ21、及び吸入空気を浄化するエアクリーナ20がそれぞれ設けられている。
このエンジン10には、クランクシャフトやカムシャフトなどの軸受けや上記シリンダ13とピストン14との摺接面などの潤滑を必要とする潤滑部32が存在する。それら潤滑部32に供給される潤滑用のエンジンオイルは、エンジン10にあってそのシリンダ13の下方に設けられたオイルパン30内に貯留されている。そして、そのオイルパン30内のエンジンオイルがオイルポンプ31によって汲み出され、各潤滑部32へと送り出される。こうして各潤滑部32へと送られたエンジンオイルは、再びオイルパン30へと還流され、循環される。こうしてエンジン10内を循環されるエンジンオイルには、燃料の燃焼に伴い生成されるスーツが次第に混入されることになる。
一方、こうしたエンジン10において、上記エアフローメータ21をはじめとする各種センサの出力は、同エンジン10の制御系及びその診断系としての役割を司る電子制御ユニット(「ECU」)26に対し入力される。このECU26は、上記吸気絞り弁22を開閉駆動するステップモータ23、及び燃料噴射を行うインジェクタ17等を駆動制御する。なおECU26は周知のワンチップマイクロプロセッサとして構成されており、その詳細は図示しないが、各種演算処理を行うCPU、制御プログラムや各制御変数の初期値などを格納したROM、制御プログラムやデータを一時的に保持するRAM、入出力ポート、A/DおよびD/A変換器ならびに記憶装置等を含んで構成されている。
このECU26には、上記エアフローメータ21の他、エンジン10の出力軸であるクランクシャフト24aの回転位相を、そして更にはその回転速度を検知するNEセンサ24、アクセルペダル25aの踏み込み量を検知するアクセルセンサ25、コモンレール18内に蓄圧された燃料の圧力を検知する燃圧センサ19、不図示の駆動輪の近傍に設けられた車速センサ37、吸気経路に設けられた吸気温センサ38、エンジン冷却水経路に設けられた水温センサ39等のエンジン10の運転状態を検知する種々のセンサの出力が入力される。そしてECU26は、これらセンサの出力結果に基づきエンジン10の運転状態を把握し、上記インジェクタ17やステップモータ23、および車室内に設けられたLCDディスプレイ装置などのインジケータ40をはじめとする種々のアクチュエータを駆動制御して、同エンジン10の各種制御を実行する。
こうしたエンジン制御の一環としてECU26は、インジェクタ17の駆動制御に基づく燃料噴射量及び燃料噴射時期の制御を実行している。次に、こうした燃料噴射制御について説明する。図2に示される燃料噴射制御は、ECU26において、所定の始動条件が成立している場合、例えば車室内のイグニッションスイッチがオンされている場合に繰り返し実行される。
まず、ECU26によって、機関負荷および燃料噴射量が算出される(S10)。機関負荷は、エアフローメータ21からの検出信号に基づいて得られる吸入空気量Qと、NEセンサ24からの検出信号に基づいて得られるエンジン回転数NEとに基づいて算出される(Q/NE)。燃料噴射量は、この機関負荷、並びにアクセルセンサ25、吸気温センサ38、水温センサ39等からの検出信号に基づいて所定のマップによって算出される。
次に、スーツ生成運転条件が成立しているかが判断される(S20)。この判断は、車両の走行距離が、所定の基準値を下回っているか否かによって行われる。車両の走行距離は、車速センサ27の検出値に基づいてECU26によって別途に常時行われる走行距離積算処理によって積算され、その値はECU26の記憶装置に記憶されている。ステップS20ではこの走行距離の現在値と、所定の基準値(例えば1000km)との比較が行われ、現在値が基準値を下回っている場合に肯定される。
ステップS20で否定の場合には、通常の運転が行われる(S50)。すなわち、先にステップS10で算出された燃料噴射量に基づき、所定のマップの参照により、燃料噴射時間および燃料噴射時期(インジェクタ17のノズルの開弁時期および閉弁時期)が算出される。燃料噴射時間(すなわち、インジェクタ17の上記ノズルの開弁時間)は、上記NEセンサ24及び燃圧センサ19によって検知されるそのときのエンジン回転速度及びコモンレール18内の燃料圧力に基づき算出される。通常の運転における燃料噴射の終了時期[℃A]は、未燃成分によるスーツを生じさせないような値に設定される。
そしてECU26は、算出された燃料噴射時期(インジェクタ17のノズルの開弁時期および閉弁時期)に応じてインジェクタ17を駆動制御することで、通常の運転を行う。こうして、エンジン10の運転状態に応じて、インジェクタ17から適度な量の燃料が適切な時期に噴射されるようになる。
他方、ステップS20で肯定の場合には、先に算出された機関負荷が所定の基準値と比較され(S30)、負荷が基準値を下回る場合には、処理はステップS50の通常運転に移行する。
そして負荷が基準値以上である場合には、スーツ生成運転が行われる(S40)。このスーツ生成運転は、具体的には燃料噴射の終了時期の遅延によって行われる。すなわち、先にステップS10で算出された燃料噴射量に基づき、上記所定のマップの参照により燃料噴射時間および燃料噴射時期(インジェクタ17のノズルの開弁時期および閉弁時期)が算出されると共に、先に算出された燃料噴射時間に所定の補正係数x(x>1)が乗算され、この乗算によって得られた補正後の燃料噴射時間に相当する閉弁時期をもって、インジェクタ17の閉弁時間が更新され、燃料噴射が行われる。
このような処理により、燃料噴射時間に補正係数xの乗算が行われない通常運転時には、燃料の1ショットにおける燃料噴射率が図3において実線で示すように推移するのに対し、補正係数xの乗算が行われるスーツ生成運転時には、同図において二点鎖線で示すように、燃料噴射の終了時期が遅延され、且つ燃料噴射量が増大される。この結果、燃料噴射の一部がスーツ生成領域(燃料噴射が行われた場合にスーツが生成するようなクランク角度領域)において行われ、その結果スーツが生成する。このスーツがエンジンオイル中に混入すると、エンジン内でのエンジンオイルの循環によってエンジンの摺動部分がスーツによって研磨され、その摺動部分の面性状が改善される。
以上の処理は、エンジン10の運転中に亘って繰り返し実行され、所定のエンジン停止条件が成立した場合、例えば車室内のイグニッションスイッチがオフされた場合に終了する。
以上の処理の結果、図4に示されるように、本発明による改良前(すなわち、本実施形態における通常運転のみによって行われた場合に相当する走行)であれば燃費率が実線で示されるように比較的緩慢に推移していたのに対し、本実施形態では燃費率が二点鎖線で示されるように比較的短期間で上昇する。その結果、擦り合わせ完了時点を、改良前における時点t0から、本実施形態では完了時点t1のように、より早い時点とすることができ、早期に燃費率が向上される。
以上のとおり、本実施形態では、燃料成分に由来するスーツを利用し、増量手段または増量ステップによるスーツの増量(S40)によって面性状の改善が促進されるので、擦り合わせ用オイルを特別に準備する必要がなく、製造コストを削減できる。また、擦り合わせが出荷後の走行時に行われるので、出荷前における擦り合わせ運転時間を解消または抑制しながら、擦り合わせを適切に実行できる。さらに、ECU26によって、スーツ生成運転を終了すべき所定の増量運転終了基準が満たされているかを判定(S20)するので、その結果を利用してスーツの増量を適切な時期に終了させることができる。
また本実施形態では、スーツの増量(S40)を、燃料噴射時間の遅角側への延長による燃料噴射量の増量によって行うこととしたので、スーツに起因した摺動摩擦による出力の低下が燃料噴射量の増加によって補償され、これによって違和感の少ない運転を行うことができる。
なお、本実施形態ではスーツの増量(S40)を、燃料噴射時間の遅角側への延長による燃料噴射量の増加によって行うこととしたが、本発明におけるスーツの増量は、エンジン10の燃焼状態とくにスーツの生成量に影響するような他のパラメータの変更によって行ってもよい。エンジン内でのスーツ生成量は、燃焼された燃料の量が多いほど増大し、概ね燃料噴射量に比例するが、燃料燃焼状態にも大きな影響を受ける。例えば、燃焼室内に十分な量の空気(酸素)が存在して、噴射された燃料のほとんどが完全燃焼されるような状況では、スーツはあまり生成されず、噴射された燃料に対して空気(酸素)量が不足すれば、不完全燃焼によって多量のスーツが生成されるようになる。したがって、スーツの生成量、ひいてはエンジンオイル中へのスーツの混入度合いは、噴射される燃料に対しての空気量の多寡、すなわち空燃比にも大きく依存する。すなわち、本発明におけるスーツの増量は、例えばインジェクタ17の駆動制御のために算出する燃料噴射量と、エアフローメータ21によって検知される吸入空気量とに基づいて算出される燃焼室16内の空燃比を、スーツ増量側であるリッチ側に調整することによって実現してもよく、また空燃比の調整と燃料噴射時間の延長との併用によってもよい。またスーツの増量は、インジェクタ17等の耐圧性能の許す限りにおいて、燃料噴射圧の増大によってもよい。
次に、第2実施形態について説明する。上記第1実施形態では、車両の走行距離が所定の基準値を上回ったことをスーツ生成運転条件として採用したが、本発明における増量運転実行条件には、エンジン10の運転状態を示す他のパラメータ、とくに擦り合わせの進行度合いに関連するような他のパラメータを採用してもよい。そこで第2実施形態は、エンジンの状態を示す所定の物理量に基づいて積算スーツ量を算出する積算手段または積算ステップを更に備え、積算スーツ量が所定の基準値を下回っていることを増量運転実行条件とするものである。
積算スーツ量の算出は、例えば出願人の提案に係る特開2001‐200712号公報に開示されているものと同様の方法によって実施することができる。エンジンオイル中へのスーツの混入態様は、次の2つの態様に大別される。一つは燃料の燃焼により生成されたスーツの一部がシリンダ13の周壁などのエンジンオイル中に溶け込む態様での混入であり、もう一つは、噴射時にキャビティ内から溢れ、燃焼しながらシリンダ13の周壁のエンジンオイル中に吹き付けられる態様での混入である。前者の態様でのスーツ混入量は、燃焼時に生成されるスーツの量に比例する。このスーツ生成量は、燃焼される燃料の量、すなわち燃料噴射量と、燃焼時の燃料のスーツ転換率によって決定される。この場合、噴射された燃料に対して燃焼室内の空気の割合が少ないほど、すなわち空燃比がリッチであるほど、燃料の不完全燃焼が生じてスーツ生成量が増大する。したがって、前者の混入態様でのスーツ混入量は、燃料噴射量および空燃比に基づき把握することができる。本実施形態では、所定算出期間(1秒)におけるエンジンオイル中への前者の態様でのスーツ混入量S1を、次の数1によって算出する。
(数1)
S1=Gfin・f(ABYF)・NE・CY/2
ここで、「Gfin」は燃料噴射量を、「NE」はエンジン回転速度[毎秒]を、「CY」はディーゼルエンジン10のシリンダ数をそれぞれ示している。また、「f(ABYF)」は、空燃比ABYFの関数であり、その値は空燃比ABYFによる燃焼時の燃料のスーツ転換率に比例する。そしてその関数f(ABYF)値は、空燃比ABYFがリッチな程増大する。ちなみに、こうした態様のみによってスーツが混入されるときには、生成されたスーツの大部分が排気と共に排出されるため、スーツ混入量は比較的少ない。
一方、後者の態様、すなわちキャビティ15からの噴射燃料の溢れによるスーツ混入量は、燃料噴射期間中のピストン14の位置に応じて変化する。例えば、ピストン14が上方に位置する期間に燃料噴射が行われれば、噴射燃料の大部分がピストン14のキャビティ15内に留まるため、そうしたシリンダ13周壁に直接的に吹き付けられる態様でのスーツ混入はほとんど生じない。これに対して、燃料噴射時期(噴射開始時期)の遅角、或いは燃料噴射量(噴射時間)の増大によって、ピストン14がある程度下方に移動した後も燃料噴射が行われていれば、噴射された燃料はキャビティ15内に収まりきらなくなる。そして、インジェクタ17から噴射された燃料の一部は、ピストン14の頂面14aにて飛散し、或いは直接吹き付けられて、燃焼しながらシリンダ13周壁のエンジンオイル中に直接的に混入するようになる。こうした態様で混入するスーツの量は、噴射された燃料がキャビティ15から溢れるようになってから、噴射終了に至るまでの燃料噴射量によって把握することができる。本実施形態では、所定算出期間(1秒)におけるエンジンオイル中への上記後者の態様でのスーツ混入量S2を、次式数2によって算出している。
(数2)
S2=β・Gfin・(Te−α)/(Te−Ts)・NE・CY/2 [ただし、S2>0]
ここで、「Te」は噴射終了時期[℃A]を、「Ts」は噴射開始時期[℃A]をそれぞれ示している。また、「α」は、インジェクタ17から噴射された燃料がキャビティ15内から溢れるようになる時期[℃A](例えば20℃A)を示している。更に、「β」は、キャビティ15から溢れ出した燃料量に対しての、上記後者の態様にてエンジンオイル中に混入するスーツ量の割合を示す所定の定数である。
第2実施形態における燃料噴射量及び燃料噴射時期の制御は、図2に示される第1実施形態のものと略同様であるが、図2のステップS20において、スーツ生成運転条件が成立しているか否かの判断として、積算スーツ量と所定の基準スーツ量との比較が行われる点において異なる。
すなわちステップS20では、ECU26によって、まず上記数1に従い、所定算出期間における上記前者の混入態様でのスーツ混入量S1が、エンジン回転速度NE、燃料噴射量Gfin、及び空燃比ABYFに基づき演算される。
次に、上記数2に従い、所定算出期間における上記後者の混入態様でのスーツ混入量S2が、エンジン回転速度NE、燃料噴射量Gfin、及び燃料噴射時期(噴射開始時期Ts及び噴射終了時期Te)に基づき演算される。
次に、それら演算されたスーツ混入量S1及びS2が、積算スーツ量STに加算される。こうして本ルーチンでは、所定算出期間毎に上記各混入態様でのスーツ混入量S1、S2が随時演算されると共に、それらの演算結果が積算されることで、エンジンオイル中の積算スーツ量STが算出される。
そして、積算スーツ量STと所定の基準スーツ量STthrとの比較が行われ、積算スーツ量STが基準スーツ量STthr以下である場合には肯定(すなわちスーツ生成運転条件が成立中と判定)、前者が後者を上回っている場合には否定(スーツ生成運転条件が不成立と判定)される。なお、第2実施形態におけるステップS10ならびに同S30以下の処理は、上記第1実施形態と同様であるため、その詳細の説明は省略する。
以上のとおり、第2実施形態では、エンジンの状態を示す所定の物理量に基づいて積算スーツ量STを算出する積算手段または積算ステップを更に備え、積算スーツ量が所定の基準値を下回っていることを増量運転実行条件としたので、擦り合わせの終了を精度よく検出することが可能となる。
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、エンジンのアイドル回転数が目標値となるように燃料噴射量を制御するアイドル回転数制御(ISC; Idle Speed Control)が行われる車両に対して、本発明を適用したものである。
この第3実施形態で行われるアイドル回転数制御は、次のような処理である。すなわち、「エンジンが動作中」、「車速が0」かつ「アクセルがオフされてから所定の過渡時間を経過」、すなわちアイドリング状態を示す条件が成立している場合に、ECU26はNEセンサ24の検出信号から算出されるエンジン回転数を読み込み、エンジン回転数が所定の目標回転数(例えば700rpm)と一致するように、インジェクタ17の開弁時間を制御することで、燃料噴射量を制御する。そして、暖機が終了したことを示す「エンジン水温が80℃以上」の条件が成立した場合に、ECU26は、インジェクタ17に対する燃料噴射量の指示値であるアイドル時指令噴射量Qiを取得する。このアイドル時指令噴射量Qiの取得は、例えば所定の走行距離ごとに1回の割合で行われ、取得された値はECU26に接続された所定の不揮発性メモリに順次追記される。
このアイドル時指令噴射量Qiは、アイドル回転数制御の結果として、エンジンの出荷時にはエンジンをその摺動摩擦に抗して運転する必要から比較的高く設定され、擦り合わせの進行に伴って漸次低い値をとり、概ね1000km走行相当程度の擦り合わせ運転により擦り合わせが終了すると安定するように推移する(図5参照)。第3実施形態では、アイドル時指令噴射量Qiのこのような特性を利用して、記憶されたアイドル時指令噴射量Qiの値に基づき、増量運転実行条件が満たされたかの判定が行われる。
第3実施形態における燃料噴射量及び燃料噴射時期の制御は、図2に示される第1実施形態のものと略同様であるが、図2のステップS20において、スーツ生成運転条件が成立しているか否かの判断として、アイドル時指令噴射量Qiの経時変化量dQ/dtの算出と、その値の所定の基準変化量との比較が行われる点において異なる。
すなわちステップS20では、ECU26によって、まずアイドル時指令噴射量Qiの経時変化量dQ/dtの算出が行われる。この経時変化量dQ/dtの算出は、不揮発性メモリに追記されている最近5個のアイドル時指令噴射量Qiの値を用いた最小自乗法による近似を用いて行われる。
次に、算出された経時変化量dQ/dtと、所定の基準変化量との比較が行われ、前者が後者を絶対値で上回っているか(すなわち、変化が所定値より大きいか)が判定される。そして肯定の場合には、変化が所定の安定状態に達していない場合であるとして、ステップS30以下の処理に移行し、スーツ生成運転が行われる(S40)。また否定の場合には、変化が所定の安定状態に達している場合であるとして、通常の運転が行われる(S50)。
以上のとおり、第3実施形態では、エンジンのアイドル回転数が所定値と一致するように燃料噴射量を制御するアイドル回転数制御を行う場合において、燃料噴射量が所定の安定状態に達していないことを増量運転実行条件としたので、簡易な構成によって本発明に所期の効果を得ることができる。
なお、上記各実施形態におけるステップS20の判定の結果を、ECU26の制御出力によって、例えばインジケータ40における「擦り合わせ運転を実行中」「擦り合わせ運転が終了」などの文字メッセージなどによって、常時あるいは所定の診断操作入力に応じて、運転者または整備作業者に出力してもよい。この場合には、運転者等がエンジンオイルの交換時期を適切に認識することができ、また増量運転の終了によるドライバビリティの変化が車両の異常によるものでないことを認識できる。
また、上記各実施形態では、本発明を筒内燃料噴射式のディーゼルエンジンに適用した例について説明したが、本発明はガソリンエンジンや、LPGや水素などを燃料とする気体燃料エンジンについても適用できる。
本発明の実施形態に係るエンジンの擦り合わせ装置を示す概略構成図である。 第1実施形態における燃料噴射制御を示すフロー図である。 第1実施形態における燃料噴射率の変化を示すタイミング図である。 本発明による改良前と第1実施形態における燃費率の経時変化を示すグラフである。 第3実施形態におけるアイドル時指令噴射量の経時変化を示すグラフである。
符号の説明
1 エンジンの擦り合わせ装置
10 エンジン
17 インジェクタ
21 エアフローメータ
22 吸気絞り弁
26 ECU
32 潤滑部
37 車速センサ

Claims (9)

  1. 燃料成分に由来するスーツによってエンジンの擦り合わせを促進することを特徴とするエンジンの擦り合わせ方法。
  2. 請求項1に記載のエンジンの擦り合わせ方法であって、
    燃料の燃焼条件を制御して燃料成分に由来するスーツを増量させる制御ステップと、
    前記制御ステップによるスーツの増量を伴った運転を実行すべき所定の増量運転実行条件が満たされているかを判定する判定ステップと、
    を含むことを特徴とするエンジンの擦り合わせ方法。
  3. 請求項2に記載のエンジンの擦り合わせ方法であって、
    前記制御ステップでは、前記判定ステップの出力に基づいて、前記増量運転実行条件が満たされている間、前記スーツを増量させることを特徴とするエンジンの擦り合わせ方法。
  4. 請求項2または3に記載のエンジンの擦り合わせ方法であって、
    前記増量が燃料噴射量の増加によって行われることを特徴とするエンジンの擦り合わせ方法。
  5. 請求項2ないし4のいずれかに記載のエンジンの擦り合わせ方法であって、
    前記エンジンが車両に搭載されており、
    前記車両の走行距離が所定の基準値を下回っていることを前記増量運転実行条件とすることを特徴とするエンジンの擦り合わせ方法。
  6. 請求項2ないし4のいずれかに記載のエンジンの擦り合わせ方法であって、
    エンジンの状態を示す所定の物理量に基づいて、エンジンオイル内に混入したスーツの量を示す積算スーツ量を算出する積算ステップを更に含み、
    前記積算スーツ量が所定の基準値を下回っていることを前記増量運転実行条件とすることを特徴とするエンジンの擦り合わせ方法。
  7. 請求項2ないし4のいずれかに記載のエンジンの擦り合わせ方法であって、
    前記エンジンのアイドル回転数が所定値と一致するように燃料噴射量を制御するアイドル回転数制御ステップを更に含み、
    前記燃料噴射量が所定の安定状態に達していないことを前記増量運転実行条件とすることを特徴とするエンジンの擦り合わせ方法。
  8. 請求項2ないし7のいずれかに記載のエンジンの擦り合わせ方法であって、
    前記判定ステップによる判定結果を運転者または整備作業者に出力する出力ステップを更に含むことを特徴とするエンジンの擦り合わせ方法。
  9. 燃料の燃焼条件を制御して燃料成分に由来するスーツを増量させる制御手段と、
    前記制御手段によるスーツの増量を伴った運転を実行すべき所定の増量運転実行条件が満たされているかを判定する判定手段と、
    を備えたことを特徴とするエンジンの擦り合わせ装置。
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