JP2005264397A - 難燃性ポリエステル系人工毛髪繊維 - Google Patents

難燃性ポリエステル系人工毛髪繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】 通常のポリエステル繊維の繊維物性を維持し、難燃性、べたつき、くし通りに優れ、発色を損なわずに光沢が調整されたポリエステル系人工毛髪用繊維を提供する。
【解決手段】 本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、 ポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)100重量部と数平均分子量が20000以上の臭素化エポキシ系難燃剤(B)5〜30重量部から形成された難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維を溶融紡糸することで、上記課題を解決した難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエステルと臭素化エポキシ系難燃剤からなる難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維に関するものである。
ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルからなる繊維は、高融点、高弾性率で優れた耐熱性、耐薬品性を有していることから、カーテン、敷物、衣料、毛布、シーツ地、テーブルクロス、椅子張り地、壁装材、人工毛髪、自動車内装資材、屋外用補強材、安全ネットなどに広く使用されている。
一方、かつら、ヘアーウィッグ、付け毛、ヘアーバンド、ドールヘアーなどの頭髪製品においては、従来、人毛や人工毛髪(モダクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維)などが使用されてきている。しかし、人毛の提供は困難になってきており、人工毛髪の重要性が高まってきている。人工毛髪素材として、難燃性の特徴を生かしてモダクリル繊維が多く使用されてきているが、耐熱性の点では不充分である。
近年、耐熱性に優れたポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルを主成分とする繊維を用いた人工毛髪が提案されるようになってきている。しかしながら、ポリエチレンテレフタレートを代表とするポリエステルからの繊維は、可燃性素材であるため、耐燃性が不充分である。
従来、ポリエステル繊維の耐燃性を向上させようとする試みは種々なされており、たとえばリン原子を含有する難燃性モノマーを共重合させたポリエステルからの繊維にする方法や、ポリエステル繊維に難燃剤を含有させる方法などが知られている。
前者の難燃性モノマーを共重合させる方法としては、たとえば、リン原子が環員子となっていて熱安定性の良好なリン化合物を共重合させる方法(特許文献1)、また、カルボキシホスフィン酸を共重合させる方法(特許文献2)、ポリアリレートを含むポリエステルにリン化合物を共重合させる方法(特許文献3)などが提案されている。
前記難燃化技術を人工毛髪に適用したものとしては、たとえばリン化合物を共重合させたポリエステル繊維が提案されている(特許文献4、特許文献5など)。
しかしながら、人工毛髪には高い難燃性が要求されるため、これらの共重合ポリエステル繊維を人工毛髪に使用するには、その共重合量を多くしなければならず、その結果、ポリエステルの耐熱性が大幅に低下し、溶融紡糸が困難になったり、火炎が接近した場合、着火・燃焼はしないが、溶融・ドリップするという別の問題が発生する。また、前記リン系難燃剤を配合した場合、難燃性を発現するためその添加量を多くする必要があることにも起因するべたつき感が増加するという課題がある。
一方、後者の難燃剤を含有させる方法としては、ポリエステル繊維に、微粒子のハロゲン化シクロアルカン化合物を含有させる方法(特許文献6)、臭素含有アルキルシクロヘキサンを含有させる方法(特許文献7)などが提案されている。しかし、ポリエステル繊維に難燃剤を含有させる方法では、充分な難燃性を得るために、含有処理温度を150℃以上の高温にすることが必要であったり、含有処理時間を長時間にする必要があったり、あるいは大量の難燃剤を使用しなければならないといった問題があり、繊維物性の低下や生産性の低下、製造コストがアップするなどの問題が発生する。
また、ポリエステル系繊維は、耐熱性は十分であるが、溶融紡糸で紡糸されるために繊維表面が極めて平滑であるため、特有の鏡面光沢があって感触、風合ともかつら用毛髪として使用するには違和感があり、人の毛髪には極めて程遠い。例えば常法で製糸したポリエステル繊維そのままでは、糸表面が平坦で、かつ光の屈折率が例えば繊維軸方向で1.72、繊維軸と直交する方向でも1.54と高いため、光の反射が強く、表面光沢が高くなり、人工毛髪に適用することができない。
この点を改良するため、従来からポリエステル繊維表面の艶消技術の提案が行なわれてきている。たとえばポリエステル繊維の表面に多数の擦過傷を生じさせて粗面化し、艶消を施した人工毛髪を得る方法が知られている。
しかしながら、この方法により得られた艶消繊維は繊維表面に生じた擦過傷のために繊維の強度が低下するという欠点を有している。
また、酸化硅素を主成分とする微粒子などを含有するポリエステル系繊維をアルカリ性水溶液で処理し、繊維表面に特定の微細な凹凸を形成させた人工毛髪用ポリエステル繊維およびその製造方法も知られている(特許文献8)。
しかし、この方法で得られた繊維は表面の凹凸が微細かつ均一すぎるために艶消状態が不充分で、斜め方向から光を受けたときに強く光を反射するため、人工毛髪としての使用が制約されている。また、充分な艶消効果を得るために、無機微粒子の含有量を増やし、繊維表面の凹凸のサイズを大きくしたり、数を増やしたりする方法も考えられるが、この場合、原料のポリエステル中に多量の微粉末を混入させることになり、紡糸した繊維の強度が、含有させる微粉末の量に比例して劣化することが経験的に知られている。人工毛髪の強度はかつらの耐久性に関与し、弱いと耐久性が低下する。
一方、繊維表面に艶消に影響する無機微粒子を含有させずに凹凸を付与する手段として、ポリエステル系繊維にプラズマ光をあてる方法が知られている。
しかし、この方法では、大きく分けて、原糸を形成するための紡糸工程と、原糸の外表面に凹凸部を形成するプラズマ加工工程と、凹部を有する原糸に人工毛の色を付与するための染色工程との3段階の工程が必要となり、生産性が低い。また、現状では各工程での処理時間が著しく異なるため、各工程間の調整が容易でなく、生産管理が容易でない。その結果、均一な品質を有する人工毛髪を安定的に高い生産性で得ることができないという問題がある。
このように、強伸度などの繊維物性を維持し、難燃性、べたつき、くし通りに優れ、発色を損なわずに、光沢が調整されたポリエステル系人工毛髪用繊維はいまだ得られていないのが実情である。
特公昭55−41610号公報 特公昭53−13479号公報 特開平11−124732号公報 特開平3−27105号公報 特開平5−339805号公報 特公平3−57990号公報 特公平1−24913号公報 特開昭63−12716号公報
本発明は、前述のごとき従来の問題を解決した、通常のポリエステル繊維の繊維物性を維持し、難燃性、べたつき、くし通りに優れ、発色を損なわずに光沢が調整された人工毛髪用繊維を提供する。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリエステルと、一般式(1)で示される繰り返し単位で構成された、数平均分子量が20000以上の臭素化エポキシ系難燃剤からなる組成物を溶融紡糸することにより、通常のポリエステル繊維の繊維物性を維持し、難燃性、べたつきに優れたポリエステル系人工毛髪用繊維が得られることを見出し、また、数平均分子量が20000以上の臭素化エポキシ系難燃剤がポリエステル中に微分散する結果、発色を損なわずに光沢を調整することができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、ポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)100重量部と数平均分子量が20000以上の臭素化エポキシ系難燃剤(B)5〜30重量部から形成された、繊維表面に微細な突起を有する難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維に関し、(A)成分が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマーからなるポリエステルである上記難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。(B)成分が、下記(化5〜化8)で表される臭素化エポキシ系難燃剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の難燃剤である上記難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維、
Figure 2005264397
(式中、mは30〜150を示す)
Figure 2005264397
(式中、mは30〜150を示す)
Figure 2005264397
(式中、R1はC1-10のアルキル基、nは30〜150を示す)
Figure 2005264397
(式中、R2はC1-10のアルキル基pは30〜150、yは0〜5を示す)
に関する。
上記繊維表面の形状が、算術平均粗さ(Ra)0.1〜0.3μm、十点平均粗(Rz)0.3〜2.0μmの範囲であることを特徴とする。
また、上記難燃性ポリエステル繊維は、単繊維繊度が10〜100dtexであることが好ましい。
本発明によると、通常のポリエステル繊維の繊維物性を維持し、難燃性、べたつき、くし通りに優れ、発色を損なわずに光沢が調整された人工毛髪用繊維を得ることができる。
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維は、ポリエステルと数平均分子量が20000以上の臭素化エポキシ系難燃剤からなる組成物を溶融紡糸して得られた繊維であり、数平均分子量が20000以上の臭素化エポキシ系難燃剤がポリエステル中に微分散する結果、繊維表面に微細な突起を形成した繊維である。
本発明に用いられるポリエステル(A)に含まれるポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルとしては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートおよび/またはこれらのポリアルキレンテレフタレートを主体とし、少量の共重合成分を含有する共重合ポリエステルがあげられる。前記主体とするとは、80モル%以上含有することをいう。
前記共重合成分としては、たとえばイソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スぺリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの多価カルボン酸、それらの誘導体、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルなどのスルホン酸塩を含むジカルボン酸、その誘導体、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンなどがあげられる。
前記共重合ポリエステルは、通常、主体となるテレフタル酸および/またはその誘導体(たとえばテレフタル酸メチル)と、アルキレングリコールとの重合体に少量の共重合成分を含有させて反応させることにより製造するのが、安定性、操作の簡便性の点から好ましいが、主体となるテレフタル酸および/またはその誘導体(たとえばテレフタル酸メチル)と、アルキレングリコールとの混合物に、さらに少量の共重合成分であるモノマーまたはオリゴマー成分を含有させたものを重合させることにより製造してもよい。
前記共重合ポリエステルは、主体となるポリアルキレンテレフタレートの主鎖および/または側鎖に前記共重合成分が重縮合していればよく、共重合の仕方などには特別な限定はない。
前記ポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの具体例としては、たとえばポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステルなどがあげられる。
前記ポリアルキレンテレフタレートおよびその共重合ポリエステルは、1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステルなど)が好ましく、これらを2種以上混合したものも好ましい。
(A)成分の固有粘度としては、0.5〜1.4であるのが好ましく、さらには0.5〜1.0であるのが好ましい。固有粘度が0.5未満の場合、得られる繊維の機械的強度が低下する傾向が生じ、1.4をこえると、分子量の増大に伴い溶融粘度が高くなり、溶融紡糸が困難になったり、繊度が不均一になる傾向が生じる。
本発明に用いられる臭素化エポキシ系難燃剤(B)は数平均分子量が20000以上であり、一般式(1)で示される繰り返し単位で構成されているものが好ましい。末端構造は特に限定はなく一般に用いられているものであれば使用することができる。
(B)成分の具体例としては、下記式:
Figure 2005264397
で表される化合物を含む一般式(2)で表される末端未封止型臭素化エポキシ系難燃剤、下記式:
Figure 2005264397
で表される化合物を含む一般式(3)で表される片末端封止型臭素化エポキシ系難燃剤、下記式:
Figure 2005264397
で表される化合物を含む一般式(4)で表される両末端封止型臭素化エポキシ系難燃剤等が挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の組成物の相構造は、(A)成分中に上記(B)成分が微分散した海島構造をとっているのが特徴であり、前記組成物を用いて溶融紡糸して得られる繊維は、(B)成分からなる粒子状の島部分により突起が形成され、この突起により艶消し効果が発現する。
上記(B)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対し、5〜30重量部である。その中でも6〜25重量部が好ましく、8〜20重量部がさらに好ましい。使用量が5重量部より少ないと難燃効果が得られ難くなり、また、繊維表面に突起が形成され難くなるために、光沢が強くなる。30重量部より多いと機械的特性、耐熱性、耐ドリップ性、色の鮮明性が損なわれる。
(B)成分の数平均分子量は20000以上であるのが好ましく、さらには30000〜80000であるのが好ましい。数平均分子量が20000未満の場合、ポリエステル中に分散している難燃剤の分散ドメインが小さくなり、繊維表面の突起が小さくなって、光沢が強くなる。分子量が高すぎると、分散ドメインが大きくなり発色が低下する。
繊維表面の形状については、算術平均粗さ(Ra)は0.1〜0.3μm、十点平均粗さ(Rz)μmは0.3〜2.0μmの範囲であることが好ましい。Raが0.1μm以下、またはRzが0.3μm以下の場合、繊維表面の粗さが小さくなって光沢が強くなる。Raが0.3μm以上、またはRzが2.0μm以上であると、光沢は抑制されるが、繊維表面の粗さが大きすぎ、発色が低下する。
本発明の人工毛髪繊維は、上述したように、熱可塑性ポリマー同士を微分散させることにより、発色を損なわずに繊維のつやを消しているので、従来のようにつや消しに無機微粒子を使用した時のような繊維強度の低下が起こらない、また、アルカリ減量処理のように、特別な処理工程を必要としないという点で優れている。
本発明において、繊維表面の表面形状は、レーザー顕微鏡により算術平均粗さ(Ra)、十点平均粗さ(Rz)を求めたものである。
本発明に使用する難燃性ポリエステル系組成物は、たとえば、(A)および(B)成分を事前にドライブレンドした後、種々の一般的な混練機を用いて溶融混練することにより製造することができる。前記混練機の例としては、たとえば一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどがあげられる。これらのうちでは、二軸押出機が、混練度の調整、操作の簡便性の点から好ましい。
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維は、前記難燃性ポリエステル系組成物を通常の溶融紡糸法で溶融紡糸することにより製造することができる。
すなわち、たとえば、押出機、ギアポンプ、口金などの温度を270〜310℃とし、溶融紡糸し、紡出糸条を加熱筒に通過させたのち、ガラス転移点以下に冷却し、50〜5000m/分の速度で引き取ることにより紡出糸条が得られる。また、紡出糸条を冷却用の水を入れた水槽で冷却し、繊度のコントロールを行なうことも可能である。加熱筒の温度や長さ、冷却風の温度や吹付量、冷却水槽の温度、冷却時間、引取速度は、吐出量および口金の孔数によって適宜調整することができる。
得られた紡出糸条は熱延伸されるが、延伸は紡出糸条を一旦巻き取ってから延伸する2工程法および巻き取ることなく連続して延伸する直接紡糸延伸法のいずれの方法によってもよい。熱延伸は、1段延伸法または2段以上の多段延伸法で行なわれる。熱延伸における加熱手段としては、加熱ローラ、ヒートプレート、スチームジェット装置、温水槽などを使用することができ、これらを適宜併用することもできる。
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維には、必要に応じて、耐熱剤、光安定剤、蛍光剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、可塑剤、潤滑剤などの各種添加剤を含有させることができる。顔料を含有させることにより、原着繊維を得ることができる。
このようにして得られた本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維は、繊度が通常、10〜100dtex、さらには20〜90dtexであるのが、人工毛髪用に適している。繊度が10未満では細すぎ、あるいは100を超える場合には太すぎるため、人工毛髪として通常使用するための触感等の点から好ましくない。また、人工毛髪用繊維としては、着火しにくく、自己消火性を有していることが好ましい。
本発明の難燃性ポリエステル系繊維が原着されている場合、そのまま使用することができるが、原着されていない場合、通常の難燃性ポリエステル系繊維と同様の条件で染色することができる。
染色に使用される顔料、染料、助剤などとしては、耐候性および難燃性のよいものが好ましい。
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維は、繊維表面処理剤、柔軟剤などの油剤を使用し、触感、風合を付与して、より人毛に近づけることができる。
また、本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維は、モダアクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ナイロン繊維など、他の人工毛髪素材と併用してもよいし、人毛と併用してもよい。
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、特性値の測定法は、以下のとおりである。
(強度および伸度)
インテスコ社製、INTESCO Model 201型を用いて、フィラメントの引張強伸度を測定する。長さ40mmのフィラメント1本をとり、フィラメントの両端10mmを、接着剤を糊付けした両面テープを貼り付けた台紙(薄紙)で挟み、一晩風乾させて、長さ20mmの試料を作製した。試験機に試料を装着し、温度24℃、湿度80%以下、荷重0.034cN×繊度(dtex)、引張速度20mm/分で試験を行ない、強伸度を測定した。同じ条件で試験を10回繰り返し、平均値をフィラメントの強伸度とした。
(難燃性)
繊度約50dtexのフィラメントを150mmの長さに切り、0.7gを束ね、一方の端をクランプで挟んでスタンドに固定して垂直に垂らした。有効長120mmの固定したフィラメントに20mmの炎を3秒間接炎させ、燃焼させた。燃焼性は、残炎時間が0秒(着火しない)を◎、3秒未満を○、3〜10を△、10秒以上を×とし、また、耐ドリップ性は、消火するまでのドリップ数が0を◎、5以下を○、6〜10を△、11以上を×として評価した。
(鮮明性)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントを太陽光のもと、目視により評価した。
◎:十分な鮮明感があり色の深みがある。
○:透明感がある。
△:若干白っぽく、色の深みが少ない。
×:白っぽく、色の深みがない。
(べたつき)
長さ30cm、総維度10万dtexのトウフィラメントを恒温恒湿室(23℃、相対湿度55%)内で3時間静置した後に、右手親指、人差し指、中指を使って評価した。
○:べたつき感なし
△:若干べたつき感あり
×:べたつき感あり
(くし通り)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントに繊維表面処理剤として、PO/EOランダム共重合体(分子量20000)とカチオン系帯電防止剤を50/50の比率で含む3%水溶液に浸漬し、それぞれ0.1%が付着するようにし、80℃で5分間乾燥させた。処理されたトウフィラメントにくし(デルリン樹脂製)を通し、くしの通り易さを評価した。
○:ほとんど抵抗ない(軽い)
△:若干抵抗がある(重い)
×:かなり抵抗がある、または、途中で引っかかる
(表面粗さ)
レーザー顕微鏡(キーエンス製VK−9500)により測定した。繊維側面を3000倍(対物レンズ150倍×内蔵レンズ20倍)の倍率で、繊維軸と平行に10本測定し得られた画像を、JIS B0601−1994表面粗さの定義に準じた計算式に基づき算出した。
(数平均分子量)
下記に示す測定機器、測定条件により測定した。
測定装置:WATERS GPC
溶媒:クロロホルム(高速液体クロマトグラフ用)
検出器:UV
測定条件:カラム温度35℃、各サンプルでn=1
分子量換算:ポリスチレン基準換算
サンプル作成:難燃剤15mgをクロロホルム45mgに溶解し濾過後測定に使用した。
(実施例1〜7)
水分量100ppm以下に乾燥したポリエチレンテレフタレート、臭素化エポキシ系難燃剤からなる表1に示す比率の組成物に、着色用ポリエステルペレットPESM6100BLACK(大日精化工業(株)製、カーボンブラック含有量30%、ポリエステルは(A)成分に含まれる)2部を添加してドライブレンドし、二軸押出機に供給し、280℃で溶融混練し、ペレット化したのちに、水分量100ppm以下に乾燥させた。ついで、溶融紡糸機を用いて280℃でノズル径0.5mmの丸断面ノズル孔を有する紡糸口金より溶融ポリマーを吐出し、口金下30mmの位置に設置した水温50℃の水浴中で冷却し、100m/分の速度で巻き取って紡出糸条を得た。得られた紡出糸条を80℃の温水浴中で延伸を行ない、4倍延伸糸とし、200℃に加熱したヒートロールを用いて、100m/分の速度で巻き取り、熱処理を行ない、単繊維繊度が50dtex前後のポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
Figure 2005264397
*1:ポリエチレンテレフタレート、カネボウ合繊(株)製
*2:臭素化エポキシ系難燃剤、数平均分子量約30000、阪本薬品工業(株)製
*3:臭素化エポキシ系難燃剤、数平均分子量約40000、東都化成(株)製
*4:臭素化エポキシ系難燃剤、数平均分子量約4000、阪本薬品工業(株)製
*5:臭素化エポキシ系難燃剤、数平均分子量約10000、阪本薬品工業(株)製
*6:臭素化ポリスチレン系難燃剤、日産フェロ(株)製
*7:オクタブロモトリメチルフェニルインダン、分子量約860、ブロムケム・ファーイースト(株)製
得られた繊維を用いて、強伸度、難燃性、光沢、べたつき、くし通りを評価した結果を表2に示す。
Figure 2005264397
(比較例1〜4)
水分量100ppm以下に乾燥したポリエチレンテレフタレート(EFG−85A、カネボウ合繊(株)製)、ハロゲン系難燃剤からなる表1に示す比率の組成物に、着色用ポリエステルペレットPESM6100BLACK(大日精化工業(株)製、カーボンブラック含有量30%)2重量部を添加してドライブレンドし、ノズル径0.5mmの丸断面ノズル孔を有する紡糸口金を用いて溶融ポリマーを吐出し、口金下30mmの位置に設置した水温50℃の水浴中で冷却し、100m/分の速度で巻き取って紡出糸条を得た。得られた紡出糸条を80℃の温水浴中で延伸を行い、4倍延伸糸とし、200℃に加熱したヒートロールを用いて、100m/分の速度で巻き取り、熱処理を行い、単繊維繊度が50dtex前後のポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
得られた繊維を用いて、強伸度、難燃性、光沢、べたつき、くし通りを評価した結果を表2に示す。
表2に示したように、比較例1〜4に対し実施例では、難燃性、べたつき、くし通りに優れ、発色を損なわずに光沢が調整されていることが確認された。従って、今回のポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)100重量部と数平均分子量が20000以上の臭素化エポキシ系難燃剤(B)5〜30重量部から形成された、繊維表面に微細な突起を有する人工毛髪用繊維は、従来の人工毛髪用繊維に比べ、強伸度などの繊維物性を維持したまま、難燃性、べたつき、くし通りに優れ、発色を損なわずに、光沢が調整されている人工毛髪用繊維を得るのに有効な手段と言える。

Claims (5)

  1. ポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)100重量部と、一般式(1)で示される繰り返し単位で構成された、数平均分子量が20000以上の臭素化エポキシ系難燃剤(B)5〜30重量部から形成された、難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
    Figure 2005264397
    (式中、mは30〜150を示す)
  2. (A)成分が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマーからなるポリエステルである請求項1記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
  3. (B)成分が、一般式(2)〜(4)で表される臭素化エポキシ系難燃剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の難燃剤である請求項1または2記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
    Figure 2005264397
    (式中、mは30〜150を示す)
    Figure 2005264397
    (式中、R1はC1-10のアルキル基、nは30〜150を示す)
    Figure 2005264397
    (式中、R2はC1-10のアルキル基、pは30〜150、yは0〜5を示す)
  4. 繊維表面の形状が、算術平均粗さ(Ra)0.1〜0.3μm、十点平均粗(Rz)0.3〜2.0μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
  5. 単繊維繊度が10〜100dtexである請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
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