JP2005264212A - 高強度鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 引張強度TSが500MPa以上の高強度で、かつ全伸びElおよび平均r値(ランクフォード値)とのバランスに優れた高強度鋼板およびこれを安定に製造する方法を提供する。
【解決手段】 質量%で、C:0.020〜0.050%、Si:0.01〜1.0%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.005〜0.1%、S:0.01%以下、Al:0.005〜0.1%、N:0.01%以下およびNb:0.01〜0.3%を含有し、かつ、Nb含有量とC含有量が、0.2≦(Nb/93)/(C/12)≦0.7 (式中のNbおよびCは各々の元素の含有量(質量%))なる関係を満たし、残部は実質的にFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するとともに、面積率で50%以上のフェライト相と、面積率で1%以上のマルテンサイト相を含む鋼組織を有し、引張強度TS、全伸びElおよび平均r値の積(TS×El×平均r値)で表される強度−延性−深絞り性バランスの値が24000MPa・%以上であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、自動車、電気機器等の使途に有用な、引張強度TSが500MPa以上の高強度で、かつ全伸びElおよび平均r値(ランクフォード値)とのバランスに優れた高強度鋼板およびこれを安定に製造する方法を提案しようとするものである。
自動車や電機、機械などの産業用分野においてプレス成形して使用される鋼板は、優れた強度と延性を兼ね備えていることが要求され、このような要求特性は近年、益々高まっている。
例えば自動車業界分野においては、近年、地球環境保全の観点から、CO2の排出量を規制するため、自動車の燃費改善が要求されている。加えて、衝突時に乗員の安全を確保するため、自動車車体の衝突特性を中心にした安全性の向上も要求されている。このように、自動車車体の軽量化と強化の双方が積極的に進められている。
自動車車体の軽量化と強化を同時に満たすには、剛性が問題にならない範囲で部品素材を高強度化し、板厚を減ずることによる軽量化が効果的であると言われており、最近では高強度鋼板が自動車部品に積極的に使用されている。軽量化効果は、使用する鋼板が高強度であるほど大きくなるため、自動車業界では、例えば内板および外板用のパネル用材料として引張強度TS:440MPa以上の鋼板を使用する動向にある。
一方、鋼板を素材とする自動車部品の多くは、プレス加工によって成形されるため、自動車用鋼板は優れたプレス成形性を有していることが必要とされる。しかしながら、高強度鋼板は、通常の軟鋼板に比べて成形性が大きく劣化するため、自動車の軽量化を進める上での課題として、TS≧440MPa、より好ましくはTS≧500MPaで、しかも年々複雑化する部品形状に対し、延性Elのみならず、良好なプレス成形性を兼ね備える鋼板の要求が高まっている。
高強度鋼板は、通常の軟鋼板に比べてプレス成形性、特に深絞り性が大きく劣化するが、自動車の軽量化を進める上で、内外板パネルや足回りなど、絞り成形主体の部材に対応可能な、高強度で、しかも良好な深絞り成形性を兼ね備える鋼板の要求は高い。具体的には深絞り性の評価指標であるランクフォード値(以下「r値」という。)で、平均r値≧1.2の高強度鋼板が要求されている。
従来、強度TSと延性Elの両立を図った鋼板として、フェライト相とマルテンサイト相から成る複合組織鋼板(Dual Phase鋼板、DP鋼板)が知られている。この鋼板は、延性が良好なだけでなく、降伏応力が低いので加工時の形状凍結特性が良好であり、上記組織を制御することにより、TSが高くElにも優れた鋼板が得られるが、マルテンサイト形成に必須である固溶Cが、高r値化に有効な{111}再結晶集合組織の形成を阻害するとされ、r値が低く深絞り性に劣るものであった。
従って、複雑化するプレス成形部品に対応するため、DP鋼板の特徴である、低降伏比、良好な強度−延性バランスを維持しつつ、当該DP鋼板の欠点であった低深絞り性を克服した、強度−延性−深絞り性バランスに優れる高強度複合組織鋼板の提供が切望されている。
複合組織鋼板のr値を改善する試みとして、例えば、特許文献1あるいは特許文献2の技術がある。
特公昭55−10650号公報 特開昭55−100934号公報
特許文献1には、冷間圧延後、再結晶温度〜Ac3変態点の温度で箱焼鈍を行い、その後、複合組織とするため、700〜800℃に加熱した後、焼入焼戻しを行う方法が開示されている。しかしながら、この方法では、連続焼鈍時に焼入焼戻しを行うため、製造コストが問題となる。また、箱焼鈍は、連続焼鈍に比べて処理時間や効率の面で劣る。
特許文献2の技術は、高r値を得るために、冷間圧延後、まず箱焼鈍を行い、この時の温度をフェライト(α)相−オーステナイト(γ)相の2相域とし、その後、連続焼鈍を行うものである。この技術では、箱焼鈍の均熱時にα相からγ相にMnを濃化させる。このMn濃化相は、その後の連続焼鈍時に優先的にγ相となり、ガスジェット程度の冷却速度でも混合組織が得られるものである。しかしながら、この方法では、Mn濃化のため比較的高温で長時間の箱焼鈍が必要であり、そのため、鋼板間の密着の多発、テンパーカラーの発生および炉体インナーカバーの寿命低下など製造工程上多くの問題がある。
また、特許文献3には、C:0.003〜0.03%、Si:0.2〜1%、Mn:0.3〜1.5%、Ti:0.02〜0.2%(ただし、(有効Ti)/(C+N)の原子濃度比を0.4〜0.8)含有する鋼を、熱間圧延し、冷間圧延した後、所定温度に加熱後急冷する連続焼鈍を施すことを特徴とする深絞り性及び形状凍結性に優れた複合組織型高張力冷延鋼板の製造方法が開示されている。具体的には、質量%で、0.012%C−0.32%Si−0.53%Mn−0.03%P−0.051%Tiの組成の鋼を冷間圧延後α−γの2相域である870℃に加熱後、100℃/sの平均冷却速度で冷却することにより、r値=1.61、TS=482MPaの複合組織型冷延鋼板が製造可能である旨が示されている。しかし、100℃/sという大きな冷却速度を得るには水焼入設備が必要となる他、水焼入した鋼板は表面処理性の問題が顕在化し、また、TSは500MPaに到達しておらず、製造設備上および材質上の問題がある。
特公平1−35900号公報
さらに、特許文献4には、C含有量との関係でV含有量の適正化を図ることで複合組織鋼板のr値を改善する技術が開示されている。これは、再結晶焼鈍前には鋼中のCをV系炭化物として析出させて固溶C量を極力低減させて高r値を図り、引き続きα−γの2相域で加熱することにより、V系炭化物を溶解させてγ中にCを濃化させて、その後の冷却過程でマルテンサイト相を生成させるものである。しかしながら、Vの添加は、高価であるためコストの上昇を招くこと、さらに熱延板中に析出したVCは、冷間圧延時の変形抵抗を高くするため、ロールへの負荷が大きく、トラブル発生の危険性を増大させるとともに、生産性の低下が懸念されるなどの製造上の問題がある。
特開2002−226941号公報
また、深絞り性に優れた高強度鋼板およびその製造方法の技術として、特許文献5の技術がある。この技術は、所定のC量を含有し、平均r値が1.3以上、かつ組織中にベイナイト,マルテンサイト,オーステナイトのうち1種類以上を合計で3%以上有する高強度鋼板を得るものであり、その製造方法は、冷間圧延の圧下率を30〜95%とし、次いでAlとNのクラスターや析出物を形成することによって集合組織を発達させてr値を高めるための焼鈍と、引き続き組織中にベイナイト相、マルテンサイト相およびオーステナイト相のうち1種類以上を合計で3%以上有するようにするための熱処理を行うことを特徴とするものである。この方法では、冷間圧延後、良好なr値を得るための焼鈍と、組織を作り込むための熱処理をそれぞれ必要としており、また、焼鈍工程では、その保持時間が1時間以上という長時間保持を必要としており、工程的(時間的)に生産性が悪いという問題がある。さらに、得られる組織の第2相分率が比較的高いため、優れた強度−延性バランスを安定的に確保することは難しい。
特開2003−64444号公報
深絞り性に優れる(軟)鋼板を高強度化するにあたり、従来検討されてきた固溶強化による高強度化の方法には、多量の或いは過剰な合金成分の添加が必要であり、これは、コスト的にも工程的にも、またr値の向上そのものにも課題を抱えるものであった。
また、組織強化を利用した方法では、2回焼鈍(加熱)法や高速冷却設備を必要とするため、製造工程上の問題があり、さらに、VCを活用した方法も開示されているが、高価なVの添加はコストの上昇を招く他、VCの析出は圧延時の変形抵抗を高くするため、これもまた安定した製造を困難にするものであった。
この発明は、このような従来技術の問題点を有利に解決した、強度−延性−深絞り性バランスに優れた高強度鋼板およびその製造方法を提案することを目的とする。
この発明は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を進めたところ、0.020〜0.050質量%というC含有量の範囲で、このC含有量との関係でNb含有量を規制した素材に、適切な処理を施して製造することにより、強度−延性バランスに優れ、かつ平均r値が 1.2以上を有する高強度鋼板を得ることに成功した。
まず、本発明者らが行った基礎的な実験結果について説明する。
質量%で、0.020%C−0.5%Si−2.0%Mn−0.035%P−0.005%S−0.03%Al−0.002%Nを基本成分とし、これに原子比でNb/C=0〜1.2となるようNbを添加した種々の鋼素材を、1250℃に加熱してこの温度で均熱保持した後、仕上圧延出側温度(仕上圧延終了温度ともいう)が880℃となるように熱間圧延を行って、板厚を4mmとした。さらに、仕上圧延終了後、コイル巻取相当処理として650℃で3時間の保温後、炉冷する処理を施した。次いで圧下率70%の冷間圧延を施して板厚1.2mmとし、引き続きこれらの冷延板を700℃まで平均昇温速度10℃/sで昇温し、その後850℃まで平均昇温速度3℃/sで加熱し、焼鈍温度850℃で120秒間加熱保持した後、該焼鈍温度から500℃までの温度域を冷却速度15℃/sとなるようにして室温まで冷却する連続焼鈍を施した。
得られた冷延焼鈍板について、引張試験を実施し引張特性を調査した。引張試験は、JIS5号引張試験片を用いて行った。引張強度TSは、圧延方向に対して垂直方向に引張試験を行ったときの値である。r値は、圧延方向(r)、圧延方向に45°方向(r)および圧延方向に垂直(90°)方向(r)からJIS5号引張試験片を採取し、JIS Z 2254の規定に準拠して平均r値(平均塑性歪比)を算出し、これをr値とした。
平均r値={r+(2×r)+r}/4
図1は、CとNbの原子比、すなわち(Nb/93)/(C/12)の関係がTSとr値におよぼす影響を示した図である。図1から、鋼中のNb含有量をCとの原子比にして0.2〜0.7の範囲に制限することにより、1.2以上のr値と、組織強化により500MPa以上のTSを達成することが明らかになった。また、上記基本成分に{(Nb/93)+(Ti/48)}/(C/12)=0〜1.2となるように、Nb、Tiを添加した成分系についても同様の実験を行なったところ、Nb単独添加時と同様の結果が得られた。
次に、質量%で、0.020%C−0.5%Si−2.0%Mn−0.035%P−0.005%S−0.03%Al−0.002%N−0.065%Nb(CとNbの原子比:Nb/C=0.42)の鋼素材を、1250℃に加熱してこの温度で均熱保持した後、仕上圧延出側温度が880℃となるように熱間圧延を行って、板厚を4mmとした。さらに、仕上圧延終了後、コイル巻取相当処理として650℃で3時間の保温後、炉冷する処理を施した。次いで圧下率70%の冷間圧延を施して板厚1.2mmとし、引き続きこれらの冷延板に、700℃までの温度域および700〜800℃の温度域を、それぞれ0.1〜20℃/sの平均昇温速度に種々変化させて、850℃まで加熱し、焼鈍温度850℃で120秒間加熱保持した後、該焼鈍温度から500℃の温度域での平均冷却速度が15℃/sとなるようにして室温まで冷却する連続焼鈍を施した。
得られた冷延焼鈍板について、先述と同様に引張試験を実施し、引張強度TS、全伸びElおよび平均r値を求めた。
図2は、700〜800℃の温度域の平均昇温速度が、強度−延性−深絞り性バランス(TS×El×平均r値)におよぼす影響を示した図である。なお、これは700℃迄の温度域の平均昇温速度を10℃/s(一定)とした場合の結果である。図2から、700〜800℃の温度域の平均昇温速度を0.5〜5℃の範囲に制限することで、強度−延性−深絞り性バランス(TS×El×平均r値)の値が24000MPa・%以上と特性が向上することが明らかになった。尚、700℃まで昇温速度の変化は特性に大きな影響を与えなかったことを確認している。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討して得られたものであり、その要旨は以下の通りである。
(1)質量%で、
C:0.020〜0.050%、
Si:0.01〜1.0%、
Mn:1.0〜3.0%、
P:0.005〜0.1%、
S:0.01%以下、
Al:0.005〜0.1%、
N:0.01%以下および
Nb:0.01〜0.3%
を含有し、かつ、Nb含有量とC含有量が、
0.2≦(Nb/93)/(C/12)≦0.7 (式中のNbおよびCは各々の元素の含有量(質量%))
なる関係を満たし、残部は実質的にFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するとともに、面積率で50%以上のフェライト相と、面積率で1%以上のマルテンサイト相を含む鋼組織を有し、引張強度TS、全伸びElおよび平均r値の積(TS×El×平均r値)で表される強度−延性−深絞り性バランスの値が24000MPa・%以上であることを特徴とする高強度鋼板。
(2)上記組成に加えて、さらにMo:0.5質量%以下およびCr:0.5質量%以下の中から選択される1種または2種を含有することを特徴とする上記(1)に記載の高強度鋼板。
(3)上記組成に加えて、さらにTi:0.1質量%以下を含有し、かつ、鋼中のTiとSおよびNの含有量が、
(Ti/48)/{(S/32)+(N/14)}≦2 (式中のTi、SおよびNは各々の元素の含有量(質量%))
なる関係を満たし、かつ、NbおよびTiの含有量とC含有量が、
0.2≦{(Nb/93)+(Ti/48)}/(C/12)≦0.7 (式中のNb、TiおよびCは各々の元素の含有量(質量%))
なる関係を満たすことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の高強度鋼板。
(4)熱間圧延工程、冷間圧延工程および焼鈍工程を施すことにより、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の高強度鋼板を製造する方法であって、
該熱間圧延工程は、仕上圧延出側温度:800℃以上で仕上圧延を施した後、巻取温度:400〜720℃で巻き取る工程を包含し、
該冷間圧延工程は、圧下率40%以上で冷間圧延を施す工程を包含し、
該焼鈍工程は、700〜800℃の温度域を平均昇温速度:0.5〜5℃/sとして800〜950℃の焼鈍温度に加熱した後、該焼鈍温度から少なくとも500℃までの温度域を5℃/s以上の平均冷却速度で冷却する工程を包含することを特徴とする高強度鋼板の製造方法。
(5)前記焼鈍工程は、前記冷却後、さらに200〜400℃の温度域で60秒間以上保持する保持処理工程を包含するものである上記(4)に記載の高強度鋼板の製造方法。
この発明は、C含有量が0.020〜0.050質量%の範囲において、従来の極低炭素IF鋼のように深絞り性に悪影響を及ぼす固溶Cの低減を徹底せずに、マルテンサイト形成に必要な程度の固溶Cを残存させた状態下にもかかわらず、{111}再結晶集合組織を発達させて平均r値≧1.2を確保して良好な深絞り性を有するとともに、鋼組織をフェライト相と、マルテンサイト相を含む第2相とを有する強度延性バランスに優れる複合組織鋼板とすることで、TS500MPa以上の高強度化を達成したものである。
さらに、本発明では、焼鈍工程における700〜800℃の温度域での平均昇温速度を適正に制限することで、強度−延性−深絞り性バランスがさらに向上することを見出した。
これらの理由については、必ずしも明らかではないが、次のように考えられる。
本発明では、Nb含有量とC含有量が、0.2≦(Nb/93)/(C/12)≦0.7を満たすように設定することで、敢えてNbCとして析出固定されないCを存在させている。従来このようなCの存在が{111}再結晶集合組織の発達を阻害するとされてきたが、本発明では、全C含有量をNbCとして析出固定せずに高r値化を達成している。これは、固溶Cの存在による{111}再結晶集合組織形成に対する負の要因よりも、Nb添加および熱間圧延時の仕上圧延出側温度を適正に制御することで、熱延板組織を微細化し、加えてマトリックス中に微細なNbCを析出させることで、冷間圧延時に粒界近傍に歪を蓄積させて、粒界からの{111}再結晶粒の発生を促進するという正の要因の方が大きいためと考えられる。
特にマトリックス中にNbCを析出させることの効果は、従来の極低炭素鋼程度のC含有量では有効ではなく、本発明のC含有量の適正範囲(0.020〜0.050質量%)において初めてその効果を発揮するものと推測され、このC含有量の適正範囲を見出したことが本発明の技術思想の基盤となっている。
そして、NbC以外のC、その存在形態はおそらくセメンタイト系炭化物或いは固溶Cであると推測されるが、これらNbCとして固定されなかったCの存在により、焼鈍工程における冷却時にマルテンサイト相を形成可能とし高強度化にも成功したのである。
さらに、詳細は定かではないが、焼鈍工程における加熱条件として、特に700〜800℃という、再結晶温度やAC1変態点を含む温度域での平均昇温速度の適正化を図ることは、再結晶集合組織の形成および発達、α−γ2相域中におけるCの2相分離、再結晶粒の成長具合などに影響をもたらし、特性を向上させることに寄与しているものと考えられる。
この発明の製造方法によれば、従来技術に対し、製鋼工程においては極低炭素鋼とするための脱ガス工程が不要であること、また固溶強化を利用するための過剰な合金元素の添加も不要でありコスト的にも有利である。さらに、過剰な炭化物の析出も抑えられているので、圧延時のロールへの負荷の懸念も小さく、一般に高r値化に有効とされる高冷延圧下率を得るにも好都合である。
以下に本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の鋼板の成分組成を限定した理由について説明する。なお、鋼板の成分組成における元素の含有量の単位はいずれも「質量%」であるが、以下、特に断らない限り、単に「%」で示す。
C:0.020〜0.050%
Cは、後述のNbとともに本発明における重要な元素である。Cは、高強度化に有効であり、フェライト相を主相としマルテンサイト相を含む第2相を有する複合組織の形成を促進して、TS≧500MPaとするため、本発明では複合組織形成および強度確保の観点から、Cを0.020%以上含有する必要がある。一方、0.050%を超えるCの含有は、良好なr値が得られなくなることから、C含有量の上限を0.050%とし、好ましくは0.035%、より好ましくは0.03%とする。
Si:0.01〜1.0%
Siは、フェライト変態を促進させ、未変態オーステナイト中のC含有量を上昇させてフェライト相とマルテンサイト相の複合組織を形成させやすくする他、固溶強化の効果がある。上記効果を得るためには、Siは0.01%以上含有することが必要であり、好ましくは0.05%以上とする。一方、Siが1.0%を超えて含有すると、熱間圧延時に赤スケールと称される表面欠陥が発生するため、鋼板とした時の表面外観を悪くする。
Mn:1.0〜3.0%
Mnは、高強度化に有効であるとともに、マルテンサイト相が得られる臨界冷却速度を低くする作用があり、焼鈍後の冷却時にマルテンサイト相の形成を促す。また、Mnは、Sによる熱間割れを防止するのに有効な元素でもある。このような観点から、Mnは1.0%以上含有する必要があり、好ましくは1.2%以上とする。一方、3.0%を超える過度のMnを含有することは、r値および溶接性を劣化させるので、Mn含有量の上限は3.0%とする。
P:0.005〜0.1%
Pは、固溶強化の効果がある元素である。しかしながら、P含有量が0.005%未満では、その効果が現れないだけでなく、製鋼工程において脱燐コストの上昇を招く。したがって、Pは0.005%以上含有するものとし、好ましくは0.01%以上含有する。一方、0.1%を超える過剰なPの含有は、Pが粒界に偏析し、耐二次加工脆性および溶接性を劣化させる。従って、P含有量の上限は0.1%とした。
S:0.01%以下
Sは、不純物であり、熱間割れの原因になる他、鋼中で介在物として存在し鋼板の諸特性を劣化させるので、できるだけ低減する必要がある。具体的には、S含有量は、0.01%までは許容できるため、0.01%以下とする。
Al:0.005〜0.1%
Alは、鋼の脱酸元素として有用である他、不純物として存在する固溶Nを固定して耐常温時効性を向上させる作用があり、かかる作用を発揮させるためには、Al含有量は0.005%以上とする必要がある。一方、0.1%を超えるAlの含有は、高合金コストを招き、さらに表面欠陥を誘発するので、Al含有量の上限を0.1%とする。
N:0.01%以下
Nは耐常温時効性を劣化させる元素であり、できるだけ低減することが好ましい元素である。N含有量が多くなると耐常温時効性が劣化し、固溶Nを固定するために多量のAlやTi添加が必要となるため、できるだけ低減することが好ましいが、0.01%までは許容できるため、N含有量の上限を0.01%とする。
Nb:0.01〜0.3%、かつ0.2≦(Nb/93)/(C/12)≦0.7
Nbは、本発明において最も重要な元素であり、熱延板組織の微細化および熱延板中にNbCとしてCを析出固定する作用を有し、高r値化に寄与する元素である。このような観点から、Nbは0.01%以上含有する必要がある。一方、本発明では、焼鈍後の冷却過程でマルテンサイト相を形成させるための固溶Cを必要とするが、0.3%を超える過剰のNb含有は、この形成を妨げることになるので、Nb含有量の上限を0.3%とする。
また、Nb含有の効果を奏するには、特にNb含有量(質量%)とC含有量(質量%)が、0.2≦(Nb/93)/(C/12)≦0.7(ただし、式中のNbおよびCは各々の元素の含有量)の範囲を満足するように、NbとCを含有させることが必要である。なお、ここで(Nb/93)/(C/12)はNbとCの原子濃度比を表している。(Nb/93)/(C/12)が0.2未満では、固溶Cの存在量が多く、高r値化に有効な{111}再結晶集合組織の形成を阻害することになる。また、(Nb/93)/(C/12)が0.7を超えると、マルテンサイト相を形成するのに必要なC量を鋼中に存在させることを妨げるので、最終的にマルテンサイト相を含む第2相を有する組織が得られない。したがって、Nb含有量を0.01〜0.3%とし、さらにNb含有量とC含有量が、0.2≦(Nb/93)/(C/12)≦0.7を満足するようにNbとCを含有させることとする。なお、より好ましくは0.3≦(Nb/93)/(C/12)≦0.5を満足するようにNbとCを含有させる。
以上が本発明の高強度鋼板の基本組成である。
なお、本発明では、上記した組成に加えてさらに下記に示すMoおよびCrの1種または2種を添加してもよい。
Mo:0.5%以下およびCr:0.5%以下の中から選択される1種または2種
MoおよびCrは、Mnと同様、マルテンサイト相が得られる臨界冷却速度を遅くする作用をもち、焼鈍工程における冷却時にマルテンサイト相の形成を促す元素であり、強度レベル向上に効果がある。また、NbほどではないがCを析出固定する作用を有し、高r値化に寄与する元素でもある。これらの効果を得るためには、MoおよびCrは0.05%以上含有することが好ましい。しかしながら、0.5%を超えて過剰にMo,Crを添加しても、これらの効果が飽和するだけでなく、特に高価なMoの過剰添加はコストの上昇を招くことから、MoおよびCrの含有量の上限は0.5%とすることが好ましい。
なお、本発明では、上記した組成に加えて、さらに下記に示すTiを添加してもよい。
Ti:0.1%以下、かつ鋼中のTiとSとNの含有量が、(Ti/48)/{(S/32)+(N/14)}≦2なる関係を満たし、かつ、NbおよびTiの含有量とC含有量が、0.2≦{(Nb/93)+(Ti/48)}/(C/12)≦0.7なる関係を満たすこと
Tiは、Alと同等或いはAl以上に固溶Nの析出固定に効果がある元素であり、この効果を得るためには0.005%以上含有することが好ましい。また、Tiは、TiCを形成しNbとほぼ同等の効果を発揮する。従って、高価なTiの0.1%を超える過剰の添加は、コストの上昇を招くばかりか、TiCの形成によりマルテンサイト相の形成に必要な固溶Cを鋼中に残すことを妨げるので、Ti含有量は、0.1%以下とすることが好ましく、かつ過剰なTiが固溶Cを鋼中に残すことを妨げないようにするため、鋼中でTiと優先的に結合するSおよびNの含有量との関係で(Ti/48)/{(S/32)+(N/14)}≦2を満たした上で、0.2≦{(Nb/93)+(Ti/48)}/(C/12)≦0.7なる関係を満たすように添加する。なお、ここで該関係式中のNb、Ti、SおよびNは各々の元素の含有量(質量%)である。
また、本発明では、上記した成分以外の残部は実質的に鉄および不可避的不純物の組成とすることが好ましい。
なお、通常の鋼組成範囲内であれば、B、Ca、REM等を含有しても何ら問題はない。例えば、Bは、鋼の焼入性を向上する作用をもつ元素であり、必要に応じて含有できる。しかし、B含有量が0.003%を超えるとその効果が飽和するため、0.003%以下とすることが好ましい。
また、CaおよびREMは、硫化物系介在物の形態を制御する作用をもち、これにより鋼板の諸特性の劣化を防止する。このような効果は、CaおよびREMのうちから選ばれた1種または2種の含有量が合計で0.01%を超えると飽和する傾向があるので、これ以下とすることが好ましい。
なお、その他の不可避的不純物としては、例えばSb、Sn、Zn、Co等が挙げられ、これらの含有量の許容範囲としては、Sb:0.01%以下,Sn:0.1%以下,Zn:0.01%以下,Co:0.1%以下の範囲である。
そして、本発明の高強度鋼板は、上記鋼組成を有することに加えて、面積率で50%以上のフェライト相と、面積率で1%以上のマルテンサイト相を含む鋼組織を有し、平均r値が1.2以上であり、かつ、引張強度TS、全伸びElおよび平均r値の積(TS×El×平均r値)で表される強度−延性−深絞り性バランスの値が24000MPa・%以上であることが必要である。
本発明の高強度鋼板は、平均r値が1.2以上を満足する良好な深絞り性を有し、引張強度≧500MPaの鋼板とするために、面積率で50%以上のフェライト相と、面積率で1%以上のマルテンサイト相を含む鋼組織を有する鋼板、いわゆる複合組織鋼板であることが必要である。特に、本発明では、50%以上の面積率を占めるフェライト相の{111}再結晶集合組織を発達させることによって、平均r値≧1.2を達成することができる。フェライト相が少なくなり、面積率で50%未満となると、良好な延性と深絞り性を確保することが困難となり、プレス成形性が低下する傾向がある。なお、フェライト相は、面積率で70%以上とすることが好ましく、また、複合組織の利点を利用するため、フェライト相は面積率で99%以下とするのが好ましく、さらに好ましくは97%以下とする。加えて、マルテンサイト相は、面積率で1%以上とする必要がある。マルテンサイト相が1%未満では、良好な強度延性バランスを確保できず、ひいては、強度−延性−深絞り性バランスの値を24000MPa・%以上にできない。なお、マルテンサイト相は面積率で3%以上とするのがより好ましい。なお、マルテンサイト相の面積率が20%を超えると、深絞り性を劣化させる傾向にあるため、マルテンサイト相は面積率で20%以下とするのが好ましく、より好ましくは15%以下である。さらに、強度−延性−深絞り性バランスの値が24000MPa・%未満では、低深絞り性であった、従来のDP鋼の深絞り性を充分に改善したとは言えず、複雑化するプレス成形部品の用途に十分対応することができない。
ここで、「フェライト相」とは、ポリゴナルフェライト相のほか、オーステナイト相から変態した転位密度の高いベイニチックフェライト相を含む。
加えて、上記したフェライト相、マルテンサイト相の他に、パーライト相、ベイナイト相あるいは残留オーステナイト(γ´)相などを含んだ組織としてもよい。
次に、本発明の高強度鋼板を得るために限定した製造条件の理由、および好ましい製造条件について説明する。
本発明の製造方法に用いられる鋼スラブの組成は、上述した鋼板の組成と同様であるので、鋼スラブ組成の限定理由の記載は省略する。
本発明の高強度鋼板は、上記した範囲内の組成を有する鋼スラブを素材とし、該素材に熱間圧延を施し熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に酸洗後冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に再結晶と複合組織化を達成する焼鈍工程とを順次経ることにより製造できる。
本発明の製造方法で使用する鋼スラブは、成分のマクロ偏析を防止すべく連続鋳造法で製造することが望ましいが、造塊法や薄スラブ鋳造法で製造してもよい。また、鋼スラブを製造した後、いったん室温まで冷却し、その後、再度加熱する従来法に加え、冷却せず温片のままで加熱炉に装入し、熱間圧延する直送圧延、或いはわずかの保熱を行った後に直ちに熱間圧延する直送圧延・直接圧延などの省エネルギープロセスも問題なく適用できる。
(熱間圧延工程)
スラブ加熱温度は、析出物を粗大化させることにより、{111}再結晶集合組織を発達させて深絞り性を改善するため、低い方が望ましい。しかし、加熱温度が1000℃未満では、圧延荷重が増大し、熱間圧延時におけるトラブル発生の危険性が増大するので、スラブ加熱温度は1000℃以上にすることが好ましい。なお、酸化重量の増加に伴うスケールロスの増大などから、スラブ加熱温度の上限は1300℃とすることが好適である。
上記条件で加熱された鋼スラブに粗圧延および仕上圧延を行う熱間圧延を施す。ここで、鋼スラブは粗圧延によりシートバーとされる。なお、粗圧延の条件は特に規定する必要はなく、常法に従って行えばよい。また、スラブ加熱温度を低くし、かつ熱間圧延時のトラブルを防止するといった観点からは、シートバーを加熱する、所謂シートバーヒーターを活用することが好ましい。
次いで、シートバーを仕上圧延して熱延板とする。このとき、仕上圧延出側温度(FT)は800℃以上とする。これは、冷間圧延および焼鈍後に優れた深絞り性が得られる微細な熱延板組織を得るためである。FTが800℃未満では、組織が加工組織を有し、冷延焼鈍後に{111}集合組織が発達しないだけでなく、熱間圧延時の圧延負荷が高くなる。従って、FTは800℃以上とする。なお、FTが980℃を超えると、組織が粗大化し、これもまた冷延焼鈍後の{111}再結晶集合組織の形成および発達を妨げる傾向があることから、高r値を得る観点から、FTの上限を980℃とすることが好ましい。
また、熱間圧延時の圧延荷重を低減するため、仕上圧延の一部または全部のパス間で潤滑圧延としてもよい。潤滑圧延を行うことは、鋼板形状の均一化や材質の均質化の観点から有効である。潤滑圧延の際の摩擦係数は、0.10〜0.25の範囲とするのが好ましい。さらに、相前後するシートバー同士を接合し、連続的に仕上圧延する連続圧延プロセスとすることも好ましい。連続圧延プロセスを適用することは、熱間圧延の操業安定性の観点からも望ましい。
コイル巻取温度(CT)は、400〜720℃の範囲とする。この温度範囲が熱延板中にNbCを析出させるのに適正な温度範囲である。CTが720℃を超えると、結晶粒が粗大化し、強度低下を招くとともに冷延焼鈍後の高r値化を妨げることになる。またCTが400℃未満となると、NbCの析出が起こりにくくなり、高r値化に不利となる。なお、CTは、好ましくは550〜680℃とする。
上記のように、成分組成および熱間圧延条件を調整することにより、1)熱延板段階でC含有量全体の20%以上をNbCとして析出固定することができ、また、2)熱延板の組織を、小傾角粒界を含む平均結晶粒径が8μm以下とすることができ、これらは高r値化に有利となる。
1)熱延板段階において、NbCとして析出固定されるC量が全体のC含有量の20%以上であること
NbCとして析出固定されるC量が鋼中の全C量に占める割合(以下、単に「析出固定されるC量の割合」という。)とは、熱延板の析出物を化学分析(抽出分析)して得られるNb量(析出Nb量)から次式にて算出される値である。
[C]fix=100×12×([Nb]/93)/[C]total
なお、式中、[C]fixは析出固定されるC量の割合(%)、[C]totalは鋼中の全C含有量(質量%)、および[Nb]は析出Nb量(質量%)である。
冷間圧延および再結晶前の段階で固溶Cを低減することは、高r値化のために有効であり、本発明では、NbCとして析出固定されるC量が全体のC含有量の20%以上でその効果が現れる。なお、全体のC含有量に占める析出固定されるC量の割合の上限は、前述したNbの適正範囲の上限((Nb/93)/(C/12)=0.7)以内のNb含有量であれば問題なく、高r値化と焼鈍後のマルテンサイト相の形成が両立される。
2)熱延板の組織が小傾角粒界を含む平均結晶粒径で8μm以下であること
従来軟鋼板においては、熱延板の結晶粒径を微細化するほど、r値を高める効果があることが知られている。本発明においては、特に小傾角粒界も含めて粒径を測定した場合、その平均結晶粒径が8μm以下で高r値化に効果が現れる。なお、結晶粒径の測定方法としては、圧延方向に平行な板厚断面(L断面)について光学顕微鏡を用いて微視組織を撮像し、JIS G O552に準じた切断法により公称粒径dとして求めればよく、この他、EBSP(Electron Back Scatter Diffraction Pattern)等の装置を用いて求めてもよい。
(冷間圧延工程)
次いで、該熱延板に酸洗後冷間圧延を施し冷延板とする。ここで熱延板はスケールを除去するために酸洗を行う。酸洗は通常の条件にて行えばよい。冷間圧延条件は、所望の寸法形状の冷延板とすることができればよく、特に限定されないが、冷間圧延時の圧下率は少なくとも40%以上とすることが好ましく、より望ましくは50%以上とする。高r値化には高冷延圧下率が一般に有効であり、圧下率が40%未満では、{111}再結晶集合組織が発達せず、優れた深絞り性を得ることが困難となる。一方、この発明では冷間圧下率を90%までの範囲で高くするほどr値が上昇するが、90%を超えるとその効果が飽和するばかりでなく、冷間圧延時のロールへの負荷も高まるため、上限を90%とすることが好ましい。
(焼鈍工程)
次に、上記冷延板に焼鈍を施す。該焼鈍は上記冷延板に700〜800℃の温度域の平均昇温速度を0.5〜5℃/sとして800〜950℃の温度域の焼鈍温度まで加熱し、次いで焼鈍温度から少なくとも500℃までの温度域を平均冷却速度:5℃/s以上として冷却し、さらに、必要に応じて、200〜400℃の温度で60秒間以上保持する。
上記焼鈍工程における冷却速度は、マルテンサイト相の形成の観点から、焼鈍温度から少なくとも500℃までの温度域の平均冷却速度を5℃/s以上として冷却する必要がある。該温度域の平均冷却速度が5℃/s未満だとマルテンサイト相が形成されにくくフェライト単相組織となり組織強化が不足することになる。なお、500℃未満の温度域については特に規定する必要はなく、焼鈍設備に応じて適宜冷却すればよい。
したがって、上記焼鈍は、本発明で必要とする冷却速度を確保するため連続焼鈍ラインで行う連続焼鈍とすることが好ましく、焼鈍温度を800〜950℃の温度域の温度として行う必要がある。本発明においては、焼鈍の際の最高到達温度である焼鈍温度を、概ね800℃以上とすることで、α−γの2相域、つまり、冷却後にフェライト相とマルテンサイト相を含む組織が得られる温度以上、かつ再結晶温度以上にすることができる。逆に、800℃未満では冷却後に十分なマルテンサイト相の形成がなされない、或いは再結晶が完了せずフェライト相の集合組織を調整できず高r値化が図れない。一方、950℃を超える高温では、再結晶粒が粗大化し、特性が著しく劣化する。また、焼鈍時間、すなわち焼鈍温度での加熱保持時間は、1秒間よりも短いと、集合組織が充分に発達しない場合があり、300秒間よりも長いと、結晶粒が粗大化し、TS低下や表面性状の劣化等、特性への悪影響が出る場合がある他、連結焼鈍ラインのラインスピードを極端に遅くすることになり、これは生産性の低下をも招くため、焼鈍時間は1〜300秒間とすることが好ましい。
また、本発明の鋼板は、強度−延性−深絞り性バランス(TS×El×r値)が24000MPa・%以上であることが必要であり、これを達成するため、焼鈍工程における加熱時の700〜800℃の温度域での平均昇温速度を0.5〜5℃/sの範囲に制限する必要がある。平均昇温速度が0.5℃/s未満ではTSが低下する傾向があり、さらに結晶粒が粗大化する傾向にあり、これは、鋼板表面性状の劣化を招く原因になるとともに、生産性の低下をも招く。一方、5℃/sを超えると、TSは高くなるものの、Elおよびr値が劣化する傾向にある。
加えて、特に強度に対する延性を向上させる場合には、上記焼鈍温度からの冷却後、さらに、必要に応じて、200〜400℃の温度で60秒間以上保持する保持処理を施すことが好ましい。過度に硬質な第2相(マルテンサイト相)の存在は、詳細は定かではないが、強度−延性(特に局部伸び)バランス、さらにはr値をも劣化させる傾向にある。これに対し、200〜400℃の温度域で保持することで、詳細は定かではないが、内部応力の比較的小さいマルテンサイト相や低温変態相が形成するため、過度に硬質な第2相(マルテンサイト相)の生成を抑えることができる。保持温度が200℃未満だと、上記のような効果が得られにくく、一方、400℃超えだと、組織強化として有効なマルテンサイト相が得られにくい。また、保持時間は60秒間未満だと、充分にその効果が得られない。なお、保持時間の上限は特に設けないが、生産性の低下の点から、600秒間とすることが好適である。
また、上記保持処理は、連続焼鈍ラインで焼鈍する場合、連続焼鈍炉の過時効帯を使ったいわゆる過時効処理とすればよい。
また、上記冷延板の焼鈍工程の後に電気めっき処理、あるいは溶融めっき処理などの表面処理を施し、鋼板表面にめっき層を形成しても良い。ここでめっき層は、純亜鉛および亜鉛系合金めっきに限らず、AlやAl系合金めっきなど、従来、鋼板表面に施されている各種めっき層とすることも勿論可能である。
さらに、上記のように製造した冷延鋼板(冷延焼鈍板ともいう)に、形状矯正、表面粗度等の調整の目的で調質圧延またはレベラー加工を施してもよい。調質圧延或いはレベラー加工の伸び率は合計で0.2〜15%の範囲内であることが好ましい。0.2%未満では、形状矯正、粗度調整の初期の目的が達成できないおそれがあり、一方15%を超えると、顕著な延性低下をもたらす傾向があるため好ましくない。なお、調質圧延とレベラー加工では、加工形式が相違するが、その効果は、両者で大きな差がないことを確認している。調質圧延、レベラー加工はめっき処理後でも有効である。
次に、本発明の実施例について説明する。
表1に示す組成の溶鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法でスラブとした。これら鋼スラブを1250℃に加熱し粗圧延してシートバーとし、次いで、表2に示す条件の仕上圧延を施す熱間圧延工程により熱延板とした。これらの熱延板を酸洗後圧下率70%の冷間圧延を施す冷間圧延工程により冷延板とした。引き続き、これら冷延板に連続焼鈍ラインにて、表2に示す条件で連続焼鈍を行った。ここで、表2中、No.12の鋼種Fは、焼鈍の冷却を350℃まで行い、過時効帯にて350〜300℃の温度域で100秒間保持する保持処理(過時効処理)を施している。次いで、得られたこれらの冷延焼鈍板に伸び率0.5%の調質圧延を施し、各種特性を評価した。
得られた各冷延焼鈍板および溶融亜鉛めっき鋼板の、微視組織、引張特性およびr値について調査した結果を表2に示す。また、熱間圧延工程後の熱延板について、NbCとして析出固定されるC量の割合と微視組織(結晶粒径)について、前述の方法で調べた。なお、結晶粒径の測定はJIS G O552に準じた切断法で行った。
調査方法は下記の通りである。
(i)冷延焼鈍板の微視組織
各冷延焼鈍板から試験片を採取し、圧延方向に平行な板厚断面(L断面)について、光学顕微鏡或いは走査型電子顕微鏡を用いて微視組織を撮像し、画像解析装置で主相であるフェライト相の面積率と第2相の種類および面積率を求めた。
(ii)引張特性
得られた各冷延焼鈍板から圧延方向に対して90°方向(C方向)にJIS5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠してクロスヘッド速度10mm/minで引張試験を行い、引張強度(TS)および全伸び(El)を求めた。
(iii)r値
得られた各冷延焼鈍板の圧延方向(L方向)、圧延方向に対し45°方向(D方向)および圧延方向に対し90°方向(C方向)からJlS5号引張試験片を採取した。これらの試験片に10%の単軸引張歪を付与した時の各試験片の幅歪と板厚歪を測定し、これらの測定値を用い、JIS Z 2254の規定に準拠して平均r値(平均塑性歪比)を算出し、これをr値とした。
Figure 2005264212
Figure 2005264212
表2に示す調査結果より明らかなように、本発明例では、いずれもTS500MPa以上であるとともに、平均r値が1.2以上で深絞り性に優れ、かつ強度−延性−深絞り性バランス(TS×El×平均r値)が24000MPa・%以上となっている。
本発明によれば、TS500MPa以上であり、かつ平均r値が1.2以上と深絞り性に優れるとともに延性にも優れた高強度鋼板を安価にかつ安定して製造することが可能となり、産業上格段の効果を奏する。例えば、本発明の高強度鋼板を自動車部品に適用した場合、これまでプレス成形が困難であった部位も高強度化が可能となり、自動車車体の衝突安全性や軽量化に十分寄与できるという効果がある。また、自動車部品に限らず、家電部品やパイプ用素材としても適用可能である。
(Nb/93)/(C/12)の値がTSとr値におよぼす影響を示した図である。 700〜800℃の温度域の平均昇温速度が、強度−延性−深絞り性バランス(TS×El×平均r値)におよぼす影響を示した図である。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C:0.020〜0.050%、
    Si:0.01〜1.0%、
    Mn:1.0〜3.0%、
    P:0.005〜0.1%、
    S:0.01%以下、
    Al:0.005〜0.1%、
    N:0.01%以下および
    Nb:0.01〜0.3%
    を含有し、かつ、Nb含有量とC含有量が、
    0.2≦(Nb/93)/(C/12)≦0.7 (式中のNbおよびCは各々の元素の含有量(質量%))
    なる関係を満たし、残部は実質的にFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するとともに、面積率で50%以上のフェライト相と、面積率で1%以上のマルテンサイト相を含む鋼組織を有し、引張強度TS、全伸びElおよび平均r値の積(TS×El×平均r値)で表される強度−延性−深絞り性バランスの値が24000MPa・%以上であることを特徴とする高強度鋼板。
  2. 上記組成に加えて、さらにMo:0.5質量%以下およびCr:0.5質量%以下の中から選択される1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度鋼板。
  3. 上記組成に加えて、さらにTi:0.1質量%以下を含有し、かつ、鋼中のTiとSおよびNの含有量が、
    (Ti/48)/{(S/32)+(N/14)}≦2 (式中のTi、SおよびNは各々の元素の含有量(質量%))
    なる関係を満たし、かつ、NbおよびTiの含有量とC含有量が、
    0.2≦{(Nb/93)+(Ti/48)}/(C/12)≦0.7 (式中のNb、TiおよびCは各々の元素の含有量(質量%))
    なる関係を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の高強度鋼板。
  4. 熱間圧延工程、冷間圧延工程および焼鈍工程を施すことにより、請求項1〜3のいずれかに記載の高強度鋼板を製造する方法であって、
    該熱間圧延工程は、仕上圧延出側温度:800℃以上で仕上圧延を施した後、巻取温度:400〜720℃で巻き取る工程を包含し、
    該冷間圧延工程は、圧下率40%以上で冷間圧延を施す工程を包含し、
    該焼鈍工程は、700〜800℃の温度域の平均昇温速度:0.5〜5℃/sとして800〜950℃の焼鈍温度に加熱した後、該焼鈍温度から少なくとも500℃までの温度域を5℃/s以上の平均冷却速度で冷却する工程を包含することを特徴とする高強度鋼板の製造方法。
  5. 前記焼鈍工程は、前記冷却後、さらに200〜400℃の温度域で60秒間以上保持する保持処理工程を包含するものである請求項4に記載の高強度鋼板の製造方法。
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