JP2005264194A - α型酸化アルミニウム被覆部材 - Google Patents

α型酸化アルミニウム被覆部材 Download PDF

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Abstract

【課題】結晶粒径の小さいα型酸化アルミニウム膜を実現することにより、耐摩耗性、耐欠損性を改善したα型酸化アルミニウム被覆部材を提供する。
【解決手段】基体の表面に周期律表の4a、5a、6a族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、炭酸化物、窒酸化物および炭窒酸化物のいずれか1種の単層皮膜又は2種以上からなる多層皮膜、並びに少なくとも1層のα型酸化アルミニウムを主とする皮膜が形成されている被覆部材において、該α型酸化アルミニウムの皮膜の(0210)面による等価X線回折強度比PR(0210)が、1.3以上であることを特徴とするα型酸化アルミニウム被覆部材である。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐摩耗性の優れたα型酸化アルミニウム被覆部材であり、主に切削工具等への適用に関する。
酸化アルミニウム被覆部材に関しては、耐摩耗性の課題を改良するために、特許文献1から特許文献4のような技術の開示がなされている。
特許文献1は、超硬合金製基体表面上にTi(CN)層を被覆し、同じ被覆処理工程中に、組織化係数TC(104)が1.5より大きいα型酸化アルミニウム層を被覆した酸化アルミニウム膜被覆工具について、(110)面のX線回折強度が強く、下地膜との密着性が優れるα型酸化アルミニウム膜被覆工具を、特許文献2は、組織化係数TC(012)が1.3より大きい酸化アルミニウム膜を、特許文献3は組織化係数TC(110)が1.5より大きい本質的にクーリングクラックが存在しない酸化アルミニウム膜を、特許文献4は、超硬合金製基体表面上に(110)面のX線回折強度が強く、下地膜との密着性が優れるα型酸化アルミニウムを主とする皮膜を被覆した工具が記載されている。しかし、(0210)面についての考察は行なわれていない。
特開平05−295517号公報 特開平06−316758号公報 特開平07−216549号公報 特開平10−156606号公報
本発明は、結晶粒径の小さいα型酸化アルミニウム膜を実現することにより、耐摩耗性、耐欠損性を改善したα型酸化アルミニウム被覆部材を提供することであり、例えば切削工具に適用した場合、耐久特性の優れたα型酸化アルミニウム被覆工具を得ることである。
本願発明は、基体の表面に周期律表の4a、5a、6a族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、炭酸化物、窒酸化物および炭窒酸化物のいずれか1種の単層皮膜又は2種以上からなる多層皮膜、並びに少なくとも1層のα型酸化アルミニウムを主とする皮膜が形成されている被覆部材において、該α型酸化アルミニウムの皮膜の(0210)面による等価X線回折強度比PR(0210)が、1.3以上であることを特徴とするα型酸化アルミニウム被覆部材である。上記構成を採用することによって、結晶粒径の小さいα型酸化アルミニウム膜を実現する。即ち、α型酸化アルミニウムの(0210)面の結晶配向性を示す等価X線回折強度比PR(0210)を高めることによって、皮膜の結晶粒径が微細化し、α型酸化アルミニウムの表面の凹凸を小さくすることが可能になる。これにより、耐摩耗性、耐欠損性、耐クラック性を改善したα型酸化アルミニウム被覆部材を提供することが可能となる。例えば切削工具に適用した場合には、耐久特性の優れたα型酸化アルミニウム被覆工具を得ることができる。
本発明は、α型酸化アルミニウムを主とする皮膜の(0210)面による等価X線回折強度比PR(0210)が、最大値を示すことであり、摺動性が良く耐摩耗性、耐欠損性と耐摺動性に優れた皮膜が得られる。更に、α型酸化アルミニウムを主とする皮膜表面の平均結晶粒径Dが、膜厚が2.5μm未満の時はD≦1μm、膜厚が2.5〜4.5μmの時はD≦2μm、膜厚が4.5μmを超えて大きい時はD≦3μm、である。このことによって皮膜内にクラックが進展し難くなる。α型酸化アルミニウムを主とする皮膜の内層側に炭窒化チタン膜を有し、該炭窒化チタン膜の(311)面又は(422)面による等価X線回折強度比PRが最大値を示すことによって、結晶粒径が小さく、柱状組織を有する皮膜となり、強靭性と耐摩耗性の優れた皮膜が得られる。本発明は、α型酸化アルミニウムを主とする皮膜より外層側にチタン化合物又はジルコニウム化合物の膜が形成されていることである。これは、被覆部材を例えば切削工具に適用した場合、工具の使用有無の識別が容易となる。基体は超硬合金であって、該超硬合金は周期律表の4a、5a、6a族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物から選ばれる1種以上と、Fe、Ni、Co、W、Mo、Crから選ばれる1種以上と、残りがWC及び不可避不純物からなる超硬合金とすることによって、皮膜と基体との靭性、硬度、耐熱性のバランスが良くなる。
本発明は結晶粒径の小さいα型酸化アルミニウム膜を実現することにより、耐摩耗性、耐欠損性を改善したα型酸化アルミニウム被覆部材を提供することができた。本発明のα型酸化アルミニウム膜を切削工具に適用した場合、耐久特性の優れたα型酸化アルミニウム被覆工具を得ることができた。
本発明のα型酸化アルミニウムを主とする皮膜は、(0210)面による等価X線回折強度比PR(0210)が1.3以上であり、好ましくは1.5以上である。PR(0210)が1.3以上の場合は、膜厚方向に対して結晶粒の傾きが少ないことから、最表面の凹凸が少なくなり、その結果、摺動性に優れる。強度比PR(0210)が1.3未満の場合は、α型酸化アルミニウム皮膜の表面の凹凸が大きくなり、摺動性が悪くなるため不都合である。α型酸化アルミニウムを主とする皮膜の等価X線回折において、強度比PR(0210)が最大値を示すことにより、基体表面でのα型酸化アルミニウムを主とする皮膜の(0210)面が、膜厚方向に対して垂直な方向に配向する傾向が増大する。これにより、膜厚に比べて膜表面の平均結晶粒径が小さい皮膜を得ることが出来、皮膜にクラックが進展しにくくなる。更に、皮膜表面の凹凸が小さくなることから、摺動性が改善され、耐摩耗性、耐欠損性と耐摺動性に優れた、α型酸化アルミニウム被覆部材を提供することがでる。本発明のα型酸化アルミニウムを主とする皮膜表面のDは、膜厚が2.5μm未満の時はD≦1μm、膜厚が2.5〜4.5μmの時はD≦2μm、好ましくはD≦1.5μm、膜厚が4.5μmを超えて大きい時はD≦3μm、好ましくはD≦2.5μmと規定する。膜厚に対してD値の範囲を規定することは、皮膜表面の面粗さ制御のため重要である。皮膜表面のDを小さくすることにより、皮膜表面の面粗さが小さくなり、例えば切削工具に応用した場合、被削材との摩擦係数が小さくなり、耐摩耗性に優れる。更に皮膜内にクラックが進展し難くなることから、良好な切削耐久特性が実現される。
α型酸化アルミニウムを主とする皮膜の内層側に、(311)若しくは(422)面からの等価X線回折強度比PRが最大値を示す炭窒化チタン膜は、結晶粒径が小さい柱状組織であるため、強靭性と耐摩耗性を有する。α型酸化アルミニウムを主とする皮膜の内層側に炭窒化チタン膜を有する構成とすることで、炭窒化チタン膜の耐摩耗性、強靭性の特徴を生かし、耐熱性も向上させることができる。本発明のα型酸化アルミニウムを主とする皮膜の外層側にチタン化合物の膜又はジルコニウム化合物の膜を形成することが好ましい。外側側にチタン化合物の膜又はジルコニウム化合物の膜が形成されていることにより、使用の有無の識別が容易になる。本発明のα型酸化アルミニウム被覆部材は、超硬合金を基体とする。該超硬合金は、周期律表の4a、5a、6a族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物の1種以上とFe、Ni、Co、W、Mo、Crから選ばれるの1種以上と、残りがWC及び不可避不純物からなる超硬合金である。該超硬合金を基体とすることにより本発明の皮膜と基体との靭性、硬度、耐熱性のバランスが良い。例えば被覆工具に適用した場合、良好な切削耐久特性が実現される。
本発明のα型酸化アルミニウムを主とする皮膜は、必ずしも最外層である必要はなく、α型酸化アルミニウムを主とする皮膜の上に、更に少なくとも1層の、例えばTiN等のチタン化合物を被覆しても良い。この場合、α型酸化アルミニウムを主とする皮膜の粒径測定は、HF−HNO溶液等によりチタン化合物膜を化学エッチングで除去することにより実施できる。
本発明の皮膜の被覆方法には、例えば、化学蒸着法(以下、熱CVD法と言う。)、プラズマを付加した化学蒸着法(以下、PACVD法と言う。)等を用いることができる。用途は切削工具に限るものではなく、α型酸化アルミニウムを主とする皮膜を含む単層或いは多層の硬質皮膜により被覆された耐摩耗材や金型、溶湯部品等でも良い。酸化膜はα型酸化アルミニウム単相に限るものではなく、α型酸化アルミニウムが主であれば、他の酸化物、例えばα型酸化アルミニウムとκ型酸化アルミニウムとの混合膜やγ型酸化アルミニウム、θ型酸化アルミニウム、δ型酸化アルミニウム、χ型酸化アルミニウム等、他の酸化アルミニウムとの混合膜或いはα型酸化アルミニウムと酸化ジルコニウム等他の酸化物との混合膜であっても同様の効果が得られる。本発明のα型酸化アルミニウムを主とする皮膜とは、皮膜のX線回折ピーク強度の総計の60%以上がα型酸化アルミニウムのX線回折ピークからなるものをいう。次に本発明のα型酸化アルミニウム被覆部材を実施例によって具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものでない。
(実施例1)
重量%でWC:72%、TiC:8%、(TaNb)C:11%、Co:9%の組成よりなる超硬合金製テスト基板と超硬合金製インサート工具を熱CVD法による製膜装置内にセットし、その表面に、HキャリアーガスとTiClガスとNガスとを原料ガスに用い、0.3μm厚さのTiNを900度で形成し、HキャリアーガスとTiClガスとCHCNガスとを原料ガスに用い、900度で6μm厚さのTi(CN)膜を形成した。950〜1020度でHキャリヤーガスとTiClガスとNガスをトータル2200(ml/分)を5〜120分間流してTiN膜を成膜した。連続して本構成ガスに更に2.2〜110(ml/分)のCOとCOの混合ガスを追加して5〜30分間成膜することによりTi(NO)膜を作製した。続いてAl金属小片を詰め350度に保温した小筒中にHガスを流量310(ml/分)とHClガス130(ml/分)とを流すことにより発生させたAlClガスとHガスを2(l/分)と、COとCOの混合ガス100〜400(ml/分)とを熱CVD法による製膜装置内に流し1000〜1100度で反応させることにより酸化アルミニウム膜を所定の厚さ成膜して、本発明例1から23を作製した。α型酸化アルミニウム膜の成膜時にHSガスは流さなかった。一方、PR(0210)の差異によるα型酸化アルミニウムを主とする酸化膜の粒径及び切削特性への影響を明らかにするために、本発明例と同一の条件でTi(NO)膜までを成膜し、その後は成膜温度、AlCl、CO、CO比を変更した条件で、所定の厚さの酸化アルミニウム膜を成膜して、比較例24から27を作製した。更に、従来例28は本発明例と同様にTiN膜までを成膜した後、TiClガスとNガスとを止め、HキャリアーガスとCOガスとを流して1010度で15分間TiN膜を酸化させた後、1020度でHガス、AlClガスおよびCOガスにより所定の厚さの酸化アルミニウム膜を成膜することにより作製した。
図1は、超硬合金製テスト基板に成膜した本発明例1のX線回析パターンを示したものである。皮膜のX線回折は、X線回折装置(理学電気(株)製RUー300R型)を用いて2θ−θ法により2θが20〜90度の範囲で測定した。X線源には波長λ=0.154nmのCuのKα線のみを用い、装置に内蔵されたソフトによりKα線とノイズとを除去して測定した。本発明例1は、超硬合金基体表面に炭化チタン、炭窒化チタン、炭化チタン、炭酸化チタンを成膜し、その表面上にα型酸化アルミニウムを成膜したものである。図1より、本発明例1のα型酸化アルミニウム膜は、(0210)面のX線回折強度が強いことがわかる。α型酸化アルミニウムの(0210)面における2θ値は89.02度近傍である。表1にα型酸化アルミニウムの各結晶方位面に対する、面間距離d、2θ値、標準X線回折強度I0をまとめたものを示した。2θ値はCuのKα線を用いた時に測定される値をd値から計算により求めた。d値とI0値は、ASTMファイル10−173に記載の値である。一方、表2は、Ti(CN)のd値、2θ値を示す。TiCのI0値はASTMファイルの番号29−1361に記載の値を、TiNのI0値はASTMファイル38−1420に記載の値を併記した。
本発明では、α型酸化アルミニウムの(012)面から(0210)面までの配向を定量的に評価するため、次式の等価X線回折強度比PR(hkl)を(数1)で定義した。
ここで定義した等価X線回折強度比PR(hkl)は、I(hkl)、I0(hkl)は計算に用いられる結晶方位面として、α型酸化アルミニウムの(hkl)面からの実測X線回折強度であり、I0(hkl)はASTM ファイル10−173に記載されている標準X線回折強度である。標準X線回折強度I0は、等方的に配向したα型酸化アルミニウム粉末粒子の(hkl)面からのX線回折強度を表す。(数1)で定義されたPR(hkl)は、α型酸化アルミニウム膜の(hkl)面からの実測X線回折ピーク強度の相対強度を示し、PR(hkl)値が大きい程(hkl)面からのX線回折ピーク強度が他のピーク強度よりも強いことす示す。この事は(hkl)面が膜厚方向に対して垂直な方向即ち、基体接線方向に配向していることを示す。表1、2に示す様に、Ti(CN)の(222)面の2θ値である76.96度とα型酸化アルミニウムの(1010)面の2θ値である76.88度とは、その差が0.08度であり、両者のX線回折ピークを分離することは出来ない。このため、Ti(CN)の(222)面は(111)面と結晶構造上同一であることを用いて、Ti(CN)の(222)面のX線回折強度を(数2)により求め、(数3)により、この値を実測された76.9度近傍のX線回折強度I(76.9度)から差し引くことにより、α型酸化アルミニウムの(1010)面のX線回折強度を求めた。
ここで、Ti(CN)の標準X線回折強度I0(hkl)はTiCの値を採用した。TiNの標準X線回折強度I0(hkl)を採用した場合、Ti(CN)のI(222)はI(111)の12/72倍となり(数2)による計算値よりも大きく、α型酸化アルミニウムのI(1010)は(数3)による計算値よりも小さくなる。(数2)、(数3)で求めたα型酸化アルミニウムのI(1010)値は、小さいめに求めた値であることがわかる。
図2は、本発明例1の皮膜表面を倍率5000倍で撮影したSEM写真を示す。各皮膜表面のDは、走査電子顕微鏡((株)日立製作所製S−2300型)の写真により測定した。Dの測定方法は、例えば倍率5000倍で撮影した略長方形のSEM写真を用いた場合、SEM写真の長辺方向と平行方向に略等間隔に引いた線分3本と対角線2本の合わせて5本を基準とし、各直線内にある結晶粒の数から、(数4)によりDを求めた。測定結果を表3、4に示す。
皮膜の摺動性評価は、加熱型トライボメーター(CSM社製TRIBOMETER/HT型)を用いて、大気中:25度、周速:50mm/秒、軌道半径:3.0mm、荷重:5N、ボール:SUJ2製、φ6.0mm、乾式の条件で測定した。測定試料の基体は、実施例1と同じ組成の超硬合金製テスト基板を鏡面ラップしたものを用い、この上に評価対象の皮膜を被覆した。皮膜の膜厚は、各試料を10度傾けて斜め方向に研摩した面をレーザー顕微鏡により観察し、皮膜の間隔を測定することにより求めた。これらの結果、表3、4に併記した。
表3より、本発明例1〜23の各α型酸化アルミニウムは、PR(0210)が1.3以上である。本発明例17、18を除いてPR(0210)が最大PR面(hkl)値を示した。実施例1に示した成膜条件を採用したことにより、α型酸化アルミニウムは(0210)面が膜厚方向に対して垂直な方向即ち、基体接線方向に配向したため、微細結晶粒を有するα型酸化アルミニウム膜を得る事が出来た。比較例24〜27のPR(0210)は1.3未満であり、膜厚2.5μmに対して、結晶粒径が3.0μm以上と大きかった。従来例28は、PR(0210)が0.8であり、膜厚4.5μmに対して、結晶粒径が4.5μmと大きかった。
表3より、摩擦係数μは、PR(0210)が1.3以上の場合、0.4以下と優れておりPR(0210)が1.5以上の場合0.35以下と更に優れていた。比較例24から27の摩擦係数μはPR(0210)が1.3以下の場合、0.5以上であり摺動性が劣っていた。
(実施例2)
実施例1の条件で作製した本発明例1〜23、比較例24〜27、従来例28の切削工具各5個を用いて、切削試験1に示す条件で連続切削した。その後、工具の逃げ面の摩耗量を倍率200倍の光学顕微鏡により観察した。摩耗量が0.4mmに達した時点で切削寿命と判定した。
(切削試験1)
被削材:FCD600丸棒
工具形状:SMNN120408
切削速度:200m/min
送り:0.35mm/rev
切り込み:2.0mm
切削液:水溶性液を使用
表3に切削試験結果を併記した。
表3より、本発明例5〜23は、連続切削可能時間が20分以上と切削特性が優れていた。本発明例1〜4は、連続切削可能時間が36分以上となり、切削特性が更に優れていた。本発明例17〜19を比較すると、最大PR面を除いて他の特性が略同じとなっている場合、最大PR面が(0210)の場合の方が、切削耐久特性がより優れていた。本発明例5〜7を比較すると、膜厚が4.6μmで同じであり、平均結晶粒径Dを除いて他の特性が略同じとなっている場合、Dが3μmと最も小さい方が、切削耐久特性がより優れていた。本発明例9〜14を比較すると、膜厚が2.5〜4.5μmの範囲である時、Dが2μm以下の方が、切削耐久特性がより優れていた。本発明例20〜23を比較すると、膜厚が2.5μm未満の範囲である時、Dが1μm以下の方が、切削耐久特性がより優れていた。本発明例12、15、16の切削試験結果から、PR(0210)が1.3以上であり、Ti(CN)膜の最大PR面(311)(422)の時、切削耐久特性がより優れていた。このことは、本発明のα型酸化アルミニウムを主とする皮膜の等価X線回折強度比PR(0210)が1.3以上、好ましくは1.5以上とすることにより、最表面の凹凸が少なく摺動性が改善されたためである。
更に、本発明例のα型酸化アルミニウムを主とする皮膜の結晶粒径が小さいことによって、皮膜の機械特性や切削特性が優れた。これは微小結晶粒化に伴い、膜表面の面粗さRaやRmaxが小さくなり、切削加工に適用した時に、被削材との摩擦が小さくなり、皮膜の摩耗や基体の脱粒が少なく、優れた機械特性を得ることが可能となったためである。比較例24〜27は皮膜の剥離が見られ、切削寿命も16分以下と切削工具として劣っていた。従来例28も8分間連続切削後に皮膜の剥離が見られ、切削工具として劣っていた。
(実施例3)
実施例1で用いた成膜条件で酸化アルミニウム膜まで成膜した後、更に、Hガス4(l/分)とTiClガス50(ml/分)とNガス1.3(l/分)とを20分間流し、1020度で窒化チタン膜を形成して、本発明例29〜51、比較例52〜55、従来例56を作製した。最外層は窒化チタン膜である。上記の条件で作製した本発明例等の切削工具各5個を用いて、切削試験2に示す条件で連続切削した後に、工具の逃げ面の摩耗量を倍率200倍の光学顕微鏡により観察した、摩耗量が0.35mmに達した時点で切削寿命と判定した。
(切削試験2)
被削材:S50C丸棒(HB220)
工具形状:CMNN120412
切削条件:250m/min
送り:0.4mm/rev
切り込み:2.0mm
切削液:水溶性液を使用
表4に切削試験結果を併記した。
本発明例33〜51はPR(0210)が1.3の場合であり、連続切削可能時間が40分以上を示した。これは、切削特性が比較例、従来例よりも優れる。本発明例29〜32はPR(0210)が1.5以上の場合であり、連続切削可能時間が56分以上と切削特性が更に優れた。本発明例45〜47を比較すると、最大PR面を除いて他の特性が略同じとなっている場合、最大PR面が(0210)の場合の方が、切削耐久特性がより優れていた。本発明例33から35を比較すると、膜厚が4.6μmで同じであり、平均結晶粒径Dを除いて他の特性が略同じとなっている場合、Dが3μmと最も小さい方が、切削耐久特性がより優れていた。本発明例37から42を比較すると、膜厚が2.5〜4.5μmの範囲である時、Dが2μm以下の方が、切削耐久特性がより優れていた。比較例52から55は皮膜の剥離が見られクレーター摩耗が大きく進行し、切削寿命も36分以下と切削工具として劣っていた。従来例56も28分間連続切削後に皮膜の剥離とクレーター摩耗の進行が見られ、切削工具として劣っていた。
図1は、本発明例1の皮膜のX線回析パターンを示す。 図2は、本発明例1のα型酸化アルミニウムを主とする皮膜のSEM写真。

Claims (6)

  1. 基体の表面に周期律表の4a、5a、6a族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、炭酸化物、窒酸化物および炭窒酸化物のいずれか1種の単層皮膜又は2種以上からなる多層皮膜、並びに少なくとも1層のα型酸化アルミニウムを主とする皮膜が形成されている被覆部材において、該α型酸化アルミニウムの皮膜の(0210)面による等価X線回折強度比PR(0210)が、1.3以上であることを特徴とするα型酸化アルミニウム被覆部材。
  2. 請求項1に記載のα型酸化アルミニウム被覆部材において、該α型酸化アルミニウムを主とする皮膜の(0210)面による等価X線回折強度比PR(0210)が、最大値を示すことを特徴とするα型酸化アルミニウム被覆部材。
  3. 請求項1又は2記載のα型酸化アルミニウム被覆部材において、該α型酸化アルミニウムを主とする皮膜の内層側に炭窒化チタン膜を有し、該炭窒化チタン膜の(311)面又は(422)面による等価X線回折強度比PRが最大値を示すことを特徴とするα型酸化アルミニウム被覆部材。
  4. 請求項1乃至3いずれかに記載のα型酸化アルミニウム被覆部材において、該α型酸化アルミニウムを主とする皮膜表面の平均結晶粒径Dが、膜厚が2.5μm未満の時はD≦1μm、膜厚が2.5〜4.5μmの時はD≦2μm、膜厚が4.5μmを超えて大きい時はD≦3μm、であることを特徴とするα型酸化アルミニウム被覆部材。
  5. 請求項1乃至4いずれかに記載のα型酸化アルミニウム被覆部材において、該α型酸化アルミニウムを主とする皮膜より外層側にチタン化合物又はジルコニウム化合物の膜が形成されていることを特徴とするα型酸化アルミニウム被覆部材。
  6. 請求項1乃至5いずれかに記載のα型酸化アルミニウム被覆部材において、該基体は超硬合金であって、該超硬合金は周期律表の4a、5a、6a族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物から選ばれる1種以上と、Fe、Ni、Co、W、Mo、Crから選ばれる1種以上と、残りがWC及び不可避不純物からなる超硬合金であることを特徴とするα型酸化アルミニウム被覆部材。
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