JP2005264184A - 高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる熱延鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高炭素鋼からなる熱延鋼帯の長手長手方向の略全域にわたって所定の冷却過程を確実に実現できることから、パーライト変態が完了しないままコイルに巻き取られることに起因して発生する長手方向の例えば硬度等の機械特性のばらつきを、低減する。
【解決手段】C含有量が0.50質量%以上1.50質量%未満の高炭素鋼又は高炭素合金鋼の鋼ストリップ25の温度が、仕上圧延の仕上出口温度以下から、(仕上出口温度未満かつA変態開始温度超までの温度域内に定めた第1の冷却停止温度超)までの温度域にある時には鋼ストリップ25の長手方向の略全域を水冷し、第1の冷却停止温度以下からA変態開始温度超までの温度域にある時には鋼ストリップ25の長手方向の略全域を空冷し、さらにA変態開始温度以下の温度域にある時には鋼ストリップ25の長手方向の略全域を水冷してパーライト変態を完了させた後に鋼ストリップ25を所定の巻取り温度でコイルに巻取る。
【選択図】 図2

Description

本発明は、高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる熱延鋼板の製造方法に関するものであり、例えば、長手方向の全長にわたって所定の冷却過程を確実に実現できることによって優れた機械特性を長手方向の略全域について実質的に均一に有する高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる熱延鋼板を製造する方法に関する。
図4は、熱延鋼板2の製造工程の一部であるランナウトテーブル1を模式的に示す説明図である。熱延鋼板2は、スラブを加熱炉により加熱した後に粗圧延機により粗圧延を行って粗バーとする(いずれも図示しない)。そして、この粗バーを仕上圧延機3(7スタンドからなるタンデム圧延機であり、その最終スタンドF7のみ示す)により仕上圧延して所定の板厚を有する鋼ストリップ4とする。仕上圧延された鋼ストリップ4は、仕上圧延機3の下流側に並設されたランナウトテーブル1により搬送されながら、ランナウトテーブル1に鋼ストリップ4の長手方向(図における左右方向)へ向けて複数設置された上下一対の水冷装置(5a、5b)、(6a、6b)、(7a、7b)、(8a、8b)、(9a、9b)、(10a、10b)、(11a、11b)、(12a、12b)から冷却水を噴射されて冷却され、所定の巻取り温度で巻取機13によりコイルに巻き取られることによって所望の機械特性を与えられて、製造される。
この熱延鋼板2の製造工程では、仕上圧延機3の最終スタンドF7を抜けた際の鋼ストリップ4の温度(本明細書では「仕上出口温度」という)や、ランナウトテーブル1の中間地点及び巻取機13の直前における鋼ストリップ4の温度等は、製品である熱延鋼板2に要求される機械特性に応じてそれらの目標値が定められており、鋼ストリップ4の長手方向の全域においてこれらの地点における目標値を満足するように、ランナウトテーブル1により鋼ストリップ4を冷却する必要がある。
しかし、例えば亜共析鋼以上のC含有量を有する鋼ストリップ4をランナウトテーブル1で冷却すると、水冷装置(5a、5b)〜(12a、12b)による水冷が終了してコイルに巻き取るまでの間にパーライト変態が完了していない部分が残存することがあり、このような場合には、パーライト変態が完了した部分と完了していない部分とが熱延鋼板2の長手方向に存在することにより、巻き取られた熱延鋼板2の長手方向に機械特性、特に硬度のばらつきが発生し、この熱延鋼板2を素材として各種の加工を行うと、長手方向の硬度のばらつきに起因した板厚変動や加工不良等の問題が発生することがあった。
また、Cr等の合金元素を添加された亜共析鋼以上のC含有量を有する鋼ストリップの場合には、巻取り温度のばらつき幅が大きくなるために、巻き取られた熱延鋼板2の長手方向の機械特性、特に硬度のばらつきがより顕著に発生することがあった。
このため、熱延鋼板2の長手方向の機械特性のばらつきを抑制するためには、仕上出口温度やランナウトテーブル1の中間地点及び巻取機13の直前における温度等といった、冷却過程のあるタイミングにおける鋼ストリップ4の温度を断片的に制御するのではなく、ランナウトテーブル1による冷却過程全体における鋼ストリップ4の温度を総合的に制御することが有効である。
図5は、ランナウトテーブル1の仕上圧延機3の出口から巻取機13の直前までの間における鋼ストリップ4の一般的な4つの冷却パターンA〜Dを模式的に示すグラフである。
図5における冷却パターンAは最も基本的な冷却パターンであり、ランナウトテーブル1の全域で略平均的に鋼ストリップ4を冷却するものである(以降、この冷却パターンAを「一段冷却」という)。
冷却パターンBは、仕上圧延機3を通過した後、ある一定時間は水冷を行わずにこの一定時間経過後に水冷を開始するか、又は、ある一定時間は緩く水冷を行いこの一定時間経過後に十分な水冷を行うものである(以降、この冷却パターンBを「後半冷却」という)。
冷却パターンCは、仕上圧延機3を通過した後直ちに水冷開始してランナウトテーブル1の途中で水冷を中止し、以降は水冷しないか又は緩い水冷を行うものである(以降、この冷却パターンを「前半冷却」という)。
冷却パターンDは、仕上圧延機3を通過した後直ちに水冷(前半冷却;第1冷却)を開始し、ランナウトテーブル1の途中で水冷をいったん停止して所定時間空冷(以下「中間空冷」という)し、その後に再度緩い水冷(後半冷却;第2冷却)を行うものである。
熱延鋼板2の長手方向の機械特性のばらつきを抑制するための発明としては、高炭素鋼のような共析鋼ではなく強度及び加工性の両立が求められる自動車用高張力鋼を対象とするものとして、例えば特許文献1には、ランナウトテーブルにおける鋼ストリップの冷却を、仕上圧延機側から順に、急冷ゾーン、空冷ゾーン及び制御冷却ゾーンの3ゾーンに区分し、最初の急冷ゾーンで所定の冷却停止温度まで急速冷却し、続いて空冷ゾーンで変態が完了するまで空冷してから制御冷却ゾーンで所定の巻取温度まで冷却してコイルに巻き取る発明が、また特許文献2には、基本的には特許文献1に開示された発明と同様であるが、ランナウトテーブルの冷却ゾーンを、第1水冷及び第1空冷からなる温度履歴制御ゾーンと、第2水冷及び第2空冷からなる巻取温度制御ゾーンとに区分して冷却することにより、鋼ストリップの温度過程を決定する温度履歴ゾーンつまり中間空冷を、鋼ストリップのオーステナイトからフェライトへの変態が完了する領域とする発明が、それぞれ開示されている。これらの発明における冷却は、上述した冷却パターンDに分類されるものである。
また、特許文献3には、高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる鋼ストリップの組成及び熱間圧延の条件に関連する所定の関係式に基づいて、低仕上温度及び高圧下率の熱間圧延を行うことでオーステナイト粒径を細粒化し、600〜650℃の温度域まで強制冷却し、その後空冷することによりランアウトテーブルでの滞留時間を長くしてコイルに巻き取るまでの間にパーライト変態を促進して完了させることにより、熱延鋼板の長手方向の硬度のばらつきを軽減する発明が、開示されている。
特開平3−277721号公報 特開平8−103809号公報 特開平11−131137号公報
特許文献1、2により開示された発明は、自動車用高張力鋼のように強度及び加工性の両立が求められる材料には確かに適したものではあるが、例えば高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる鋼ストリップにこの発明を適用しようとすると、高炭素鋼又は高炭素合金鋼はパーライト変態の完了に要する時間が長いために、ランナウトテーブルでの冷却が終了してコイルに巻き取るまでの間にパーライト変態が完了せず、熱延鋼板の長手方向への機械特性のばらつき、とりわけ硬度のばらつきを解消できない。また、自動車用高張力鋼の場合は、ベイナイト変態を積極的に活用して材料強度を得る冷却方法で製造されるが、この方法を高炭素鋼又は高炭素合金鋼に適用すると硬度が高くなり過ぎるという問題がある。
特許文献3により開示された発明は、例えば高炭素鋼のような共析鋼を対象とするものであるものの、この発明は小さな冷却速度しか得られない空冷によりパーライト変態を完了させるものであるとともに高炭素鋼又は高炭素合金鋼の場合にはパーライト変態の完了に要する時間が長いため、ランナウトテーブルでの冷却が終了してコイルに巻き取るまでの間にパーライト変態が完了せず、熱延鋼板の長手方向への機械特性のばらつきを確実に解消することはできない。この理由を添付図面を参照しながらさらに詳細に説明する。
図1は、C含有量が0.77%(本明細書において特にことわりがない限り「%」は「質量%」を意味するものとする)の共析鋼の連続冷却変態線図(CCT線図)の一例を示す説明図である。
上述したように冷却時のあるタイミングにおける鋼ストリップの温度を断片的に制御すると、鋼ストリップの冷却パターンは図1のパターン1のようになる場合があり、その部分は、ベイナイト変態を生じ、熱延鋼板の硬度が極めて上昇し、長手方向の機械特性がばらつく。
一方、鋼ストリップの冷却速度が小さ過ぎると、鋼ストリップの冷却パターンは図1のパターン2のようになり、熱間圧延終了後に急冷されないために、最終的に得られるパーライト組織の層状組織(以後、ラメラー間隔と記述する)が粗大化し、熱延鋼板の機械特性が劣化する。
したがって文献1、2にあるように単純に水冷、空冷、水冷と冷却ゾーンを分けて冷却しただけでは、良好な組織を得ることはできない。
これに対し、特許文献3に記載された発明により冷却した場合の鋼ストリップの冷却パターンは連続冷却変態線図では図1のパターン3のようになるため、ランナウトテーブルでの冷却が終了してコイルに巻き取るまでの間にパーライト変態を完了できるために熱延鋼板の長手方向への機械特性のばらつきを低減又は解消できるのでは、とも一見みえる。
しかしながら、特許文献3に記載された発明では、冷却の中間で行う空冷をパーライト変態が完了するまでと規定してはいるものの、通常のランナウトテーブル長及び鋼ストリップ搬送速度の条件で特許文献3に記載された発明で規定された鋼ストリップを空冷すると、空冷により得られる冷却速度は相当に小さいとともに高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる鋼ストリップはパーライト変態に要する時間が長いことから、パーライト変態が完全に完了せずに未変態のままで冷却工程を通過してしまう部分が不可避的に発生する。このため、この部分とパーライト変態を完全に完了した部分との間で熱延鋼板の長手方向への硬度のバラツキを生じてしまう。
さらに、特許文献3は、高炭素鋼に対しパーライト変態を完全に完了させる方法として、仕上低温圧延及び高圧下率圧延することを提案している。しかしながら、高炭素鋼は、非常に変形抵抗が大きいことから、通常の圧延を実施した場合においても圧延負荷(圧延荷重、圧延トルク)が大きくなるにもかかわらず、本方法による仕上低温圧延及び高圧下率圧延を実施した場合、さらに大きな圧延荷重、圧延トルクが発生し、最悪の場合は、圧延機やそれを駆動する電動機を破損させるといった設備トラブルが発生する可能性が高い。前記設備トラブルに至らないでも、圧延荷重が大きくなることにより鋼板の幅方向の伸び差が大きくなって鋼板の形状が著しく悪化し、圧延トラブルにつながる。したがって、この発明では、安定した圧延を行うことが非常に困難であるという問題がある。
このように、特許文献1〜3により開示された発明によっても、高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる熱延鋼板の長手方向への機械特性のばらつきを確実に解消することはできない。
本発明は、熱間圧延後の高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる鋼ストリップの温度が、(i)仕上出口温度以下から仕上出口温度未満かつA変態開始温度超の温度域内に定めた第1の冷却停止温度超までの温度域にある時には水冷を行い、(ii)第1の冷却停止温度以下からA変態開始温度超までの温度域にある時には空冷を行い、(iii)A変態開始温度以下の温度域にある時には水冷を行うこととすれば、高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる熱延鋼板の組織を長手方向の略全域で均一でかつ微細なパーライト組織とすることができ、これにより、高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる熱延鋼板の長手方向の機械特性のばらつきを実質的に解消できるという、新規かつ重要な知見に基づいてなされたものである。
本発明は、粗バーに仕上圧延を行って得られたC含有量が0.50%以上1.50%未満の高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる鋼ストリップの温度、具体的にはこの温度の実測値又は演算による推定値が、
(a)仕上圧延の仕上出口温度以下から、仕上出口温度未満かつA変態開始温度超の温度域内に定めた第1の冷却停止温度超までの温度域にある時には、パーライトを有する最終組織を得られる第1の冷却速度での第1の冷却、例えば水冷を、鋼ストリップの長手方向の略全域について行い、
(b)第1の冷却停止温度以下からA変態開始温度超までの温度域にある時には、最終組織にベイナイトを伴わない第2の冷却速度での第2の冷却、例えば空冷を、鋼ストリップの長手方向の略全域について行い、さらに
(c)A変態開始温度以下の温度域にある時には、第2の冷却速度よりも大きな第3の冷却速度での第3の冷却、例えば水冷を、鋼ストリップの長手方向の略全域について行うことによりパーライト変態を完了させた後に、鋼ストリップを所定の巻取り温度でコイルに巻取ること
を特徴とする高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる熱延鋼板の製造方法である。
また、本発明は、粗バーに仕上圧延機を用いて仕上圧延を行ってC含有量が0.50%以上1.50%未満の高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる鋼ストリップとし、この鋼ストリップを仕上圧延機に並設されたランナウトテーブルにより搬送しながら、ランナウトテーブルに鋼ストリップの長手方向へ向けて複数配置された水冷装置それぞれから冷却水を噴射することによって冷却してから、この鋼ストリップを所定の巻取り温度でコイルに巻取ることによって熱延鋼板を製造する際に、複数配置された水冷装置それぞれの近傍に、水環境下にある鋼ストリップの温度を測定可能な温度計を複数配置して、複数の温度計により鋼ストリップの温度を長手方向の複数の位置で測定し、測定した鋼ストリップの温度が、
(a)仕上圧延の仕上出口温度以下から、仕上出口温度未満かつA変態開始温度超の温度域内に定めた第1の冷却停止温度超までの温度域を示す温度計の近傍に位置する水冷装置を動作させて鋼ストリップを長手方向の略全域で水冷し、
(b)第1の冷却停止温度以下からA変態開始温度超までの温度域を示す温度計の近傍に位置する水冷装置を停止して鋼ストリップを長手方向の略全域で空冷し、さらに
(c)A変態開始温度以下の温度域を示す温度計の近傍に位置する水冷装置を動作させて鋼ストリップの長手方向の略全域で水冷してパーライト変態を完了させることを特徴とする高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる熱延鋼帯の製造方法である。
この場合、複数の温度計による鋼ストリップの温度の測定が繰り返し行われ、鋼ストリップの温度の最新の測定値により、動作又は停止させる水冷装置を決定することが望ましい。
これらの本発明に係る高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる熱延鋼帯の製造方法では、高炭素鋼が、さらに、Si:0.50%以下、Mn:0.1%以上1.5%以下、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼組成を有すること、又は、高炭素合金鋼が、さらに、Si:0.50%以下、Mn:0.1%以上1.5%以下を含有するとともに、Cr:0.01%以上1.50%以下、Ni:0.01%以上2.50%以下、W:0.01%以上5.0%以下、V:0.01%以上1.5%以下、Ti:0.01%以上0.10%以下、Nb:0.01%以上0.10%以下、B:0.0005%以上0.0100%以下のうちの1種以上を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼組成を有することが、望ましい。
これらの本発明に係る熱延鋼板の製造方法では、「空冷」とは、仕上圧延された鋼ストリップの対象部分を強制冷却あるいは水冷を伴わない冷却を行う処理を意味しており、これにより得られる冷却速度は20℃/秒以下程度である。
本発明により、長手方向の略全域にわたって所定の冷却過程を確実に実現できることから、例えば高炭素鋼又は高炭素合金鋼のようなパーライト変態に要する時間が長いためにパーライト変態が完了しないままコイルに巻き取られることに起因して発生する長手方向の例えば硬度等の機械特性のばらつきを、顕著に低減することができる。これにより、優れた機械特性を長手方向の略全域について実質的に均一に有する、高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる熱延鋼板を製造することができる。
本発明に係る高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる熱延鋼板の製造方法を実施するための最良の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は、本実施の形態で用いる仕上圧延された鋼ストリップ25を冷却して熱延鋼板21を製造するためのランナウトテーブル20を模式的に示す説明図である。
本実施の形態では、鋼ストリップ25は、図示しない粗バーに7基のスタンドからなる仕上圧延機22を用いて仕上圧延を行って得られるものであり、C含有量が0.50%以上1.50%未満の高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなるものである。なお、図2では、仕上圧延機22は最終スタンドF7のみを示す。
鋼ストリップ25が高炭素鋼からなるものである場合には、C:0.50%以上1.50%未満に加えてさらに、Si:0.50%以下、Mn:0.1%以上1.5%以下、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼組成を有することが例示される。一方、鋼ストリップ25が高炭素合金鋼からなるものである場合には、さらに、Cr:0.01%以上1.50%以下、Ni:0.01%以上2.50%以下、W:0.01%以上5.0%以下、V:0.01%以上1.5%以下、Ti:0.01%以上0.10%以下、Nb:0.01%以上0.10%以下、B:0.0005%以上0.0100%以下のうちの1種以上を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼組成を有することが、例示される。以下、鋼ストリップ25の組成を上述したように限定することが望ましい理由を説明する。
C:0.50%以上1.50%未満
Cは、本実施の形態では重要な元素である。C含有量が0.50%未満であると、本発明を適用しなくとも熱延鋼板には、長手方向の機械特性のばらつきは生じない。このため、本実施の形態におけるC含有量の下限は0.50%とする。また、C含有量が1.50%以上であると得られる熱延鋼板が硬くかつ脆くなるために、熱間圧延を行うことができなくなることがある。そこで、本実施の形態では、C含有量は0.50%以上1.50%未満とする。
Si:0.50%以下
Siは、製品の焼入れ性を向上できるため、焼入れ性を向上させるために添加してもよい。しかし、Si含有量が0.50%を超えるとこの効果は飽和する。また、焼入れ性が高過ぎると、本実施の形態で熱間圧延後の冷却時にベイナイト変態あるいはマルテンサイト変態が起こり、強度が高過ぎるままコイルに巻き取ることや、その後の工程での通板に支障をきたすことがある。そこで、本実施の形態ではSi含有量は0.50%以下とする。
Mn:0.1%以上1.5%以下
Mnを添加することにより、鋼中のSをMnSとして固定することにより熱間圧延中の加工性を向上できる。また、Mnの存在により製品の焼入れ性が向上する。これらの効果を奏するために、Mn含有量の下限は0.1%とする。しかし、Mn含有量が1.5%を超えるとその効果が飽和するとともに、熱間圧延後の冷却中にベイナイト変態あるいはマルテンサイト変態が起こり、強度が高過ぎるままコイルに巻き取られたり、その後の工程での通板に支障をきたすことがある。そこで、Mn含有量は0.1%以上1.5%以下とする。
Cr:0.01%以上1.50%以下
Crは、0.01%以上含有することにより、製品の焼入れ性を向上させ、焼き戻し軟化抵抗が得られるため、熱処理に対して非常に有利である。一方、Cr含有量が1.50%を超えると、効果が飽和するとともに熱間圧延時の硬さが高くなり過ぎ、熱間圧延を行うことができなくなったり、寸法精度を確保することが難しくなる等の問題を生じることがある。そこで、Cr含有量は0.01%以上1.50%以下とする。
Ni:0.01%以上2.50%以下
Ni含有量が0.01%以上であると、製品の焼入れ性が向上する。しかし、Ni含有量が2.50%を超えてもかかる効果は飽和し、コストが嵩む。そこで、Ni含有量は0.01%以上2.50%以下とする。
W:0.01%以上5.0%以下
Wも、Niと同様に、0.01%以上含有することにより製品の焼入れ性が向上する。一方、W含有量が5.0%を超えても、その効果は飽和するとともに熱間圧延中の強度が高くなり過ぎ圧延が困難になることがある。そこで、W含有量は0.01%以上5.0%以下とする。
V:0.01%以上1.5%以下
V含有量が0.01%以上であると、製品の焼き戻し軟化抵抗が大きくなる。一方、V含有量が5.0%を超えてもかかる効果は飽和し、コストが嵩む。そこで、V含有量は0.01%以上5.0%以下とする。
Ti:0.01%以上0.10%以下
CrやNb等のNと親和性の高い元素を有効に働かせるために、NをTiNとして固定させるためにTiを添加する。かかる効果を奏するためにTi含有量は0.01%以上とする。しかし、Ti含有量が0.10%を超えてもかかる効果は飽和する。そこで、Ti含有量は0.01%以上0.10%以下とする。
Nb:0.01%以上0.10%以下
Nbは、0.01%以上含有することにより結晶粒を微細化することができ、これにより靭性を向上できる。しかし、Nb含有量が0.10%を超えても効果は飽和する。そこで、Nb含有量は0.01%以上0.10%以下とする。
B:0.0005%以上0.0100%以下
Bは、0.0005%以上含有することにより製品の焼入れ性を向上できる。しかし、B含有量が0.0100%を超えてもかかる効果は飽和する。そこで、B含有量は0.0005%以上0.0100%以下と限定する。
上記以外はFe及び不可避的不純物である。
図2において、符号23は巻取機を示し、符号24は仕上圧延機22の出口における鋼ストリップ25の表面の温度を測定する仕上出口温度計を示し、符号26は巻取機23による巻取りの直前の鋼ストリップ25の表面の温度を測定する巻取温度計を示し、符号27は温度制御装置を示し、符号28は温度測定処理装置を示す。
また、符号(29a、29b)、(30a、30b)、(31a、31b)、(32a、32b)、(33a、33b)、(34a、34b)、(35a、35b)、(36a、36b)は、ランナウトテーブル20に配置された上下一対の水冷装置を示す。図2では、合計8基の水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)のみ記載し、これら以外の水冷装置は図面が煩雑化することを考慮して省略してある。さらに、符号29c〜36cは、ランナウトテーブル20に設置され水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)を起動又は停止するために各水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)毎にそれぞれ一基ずつ設けられた制御弁を示す。
このように、水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)は、仕上圧延機22と巻取機21との間に設けられたランナウトテーブル20の上面及び下面に多数設けられており、ラミナー冷却やスプレー冷却などによる水冷却によって鋼ストリップ25を所定の温度過程を通過するように冷却し、所定の機械特性を有する熱延鋼板21を製造する。
なお、水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)は、本例のように水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)それぞれ毎に制御弁29c〜36cが一基ずつ設けられて起動及び停止が細分化されて制御されるように構成してもよいし、本例とは異なり複数個の冷却装置からなる1ユニットにつき1個の制御弁を設けてこのユニット単位で起動及び停止が一括して制御されるように構成してもよい。本例のように、水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)それぞれ毎に制御弁29c〜36cを設けたほうが制御の分解能を高められることはいうまでもないが、制御弁29c〜36cの設置数が増加することから、制御弁29c〜36cのメンテナンス性を勘案すると、制御弁29c〜36cの設置数を低減できる後者の手段で制御するほうが望ましい。一般的に、1ユニットにまとめる冷却装置の数は、メンテナンスに要するコストと目標とする機械特性の精度とを勘案して適宜決定すればよい。
従来から行われていた巻取温度を制御する際におけるランナウトテーブル20による水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の使用個数は、温度制御装置27により決定される。この設定手順の概略を以下に説明する。
まず、鋼ストリップ25がランナウトテーブル20にはなく粗バーが仕上圧延機22の入側にある場合には、水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の起動及び停止パターンを初期設定する必要がある。この初期設定は、粗バーが仕上圧延機22により仕上圧延される前に行われる。これは、粗圧延機で粗圧延された鋼ストリップの代表点(通常は先端部)の温度測定値あるいは計算値、あるいは全長の温度平均値を初期値として、仕上圧延機22の圧延速度に基づいて仕上圧延機22内の水冷却、熱放射、ロール接触熱伝達等の温度降下量をそれぞれ計算して鋼ストリップ25の仕上出口温度を計算した後、計算された鋼ストリップ25の仕上出口温度を初期値として上流から下流への冷装装置の設置順にしたがって水冷装置数を増やして演算を繰り返し行うことにより、目標の巻取温度を得られる水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の使用個数を決定する。
さらに、鋼ストリップ25が仕上圧延機22を出てランナウトテーブル20内に進入してきた時以降は、仕上圧延機22の出口温度計24により鋼ストリップ25の先端部から一定長さピッチあるいは一定時間ピッチで仕上出口温度を実測し、その各測定点(サンプリング点)のランナウトテーブル20内での温度降下量を計算し、それぞれのサンプリング点が巻取温度計26の直下に到達したときの鋼ストリップ25の温度が目標の巻取温度となるような水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の起動及び停止パターンを計算により決定する。
そして、この計算を長手方向の全てのサンプリング点について行い、ランナウトテーブル20内のサンプリング点の全ての起動及び停止パターンの最大公約数を選択することによって、最終的なランナウトテーブル20の水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の起動及び停止パターンを決定する。当然のことながら、この計算により決定される水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の使用個数は、所望の巻取温度を満足できるためのものであり、ランナウトテーブル20での冷却過程全体は何ら考慮されていない。
これに対し、本実施の形態は、後述するように、従来のように仕上出口温度と巻取温度という冷却過程の始点及び終点だけを制御するのではなく、それらの途中における第1の冷却の停止温度(すなわち第2の冷却の開始温度)や第2の冷却の終了温度(すなわち第3の冷却の開始温度)をもあわせて制御することにより冷却過程全体を制御するものである。
また、仕上圧延終了後には、上述した水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)を用いて可能な限り速やかに鋼ストリップ25の冷却を開始することが望ましいため、本実施の形態では、仕上圧延機22の出口に直近する位置の水冷装置(29a、29b)から順次連続的に冷却を開始する。なお、本実施の形態とは異なり、予め定めた使用順に従って水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の起動及び停止パターンを決定してもよい。
本実施の形態では、温度制御装置27により、所定の第1の冷却の停止温度、それに続いて行われる第2の冷却の時間を規定するA変態開始温度の設定値が決定し、これらに基づいてランナウトテーブル20の全長にわたって鋼ストリップ25の目標温度軌道である冷却過程全体を決定する。この冷却の際、各水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)は連続して使用するが、各水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)とも全能力を使用したのでは鋼ストリップ25の温度を制御できなくなるため、例えば、水冷装置(29a、29b)では水冷装置29aを用い、水冷装置(30a、30b)では水冷装置30bを用いるというように、上下一対の水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)のうちの一方の水冷装置を交互に千鳥状に用いるようにすれば、全体で連続して冷却できるとともに、例えば冷却速度や冷却停止温度を制御する場合に冷却能力が不足するような場合にも、起動していない側の冷却装置を起動して、冷却能力の不足を補うことができる。
なお、この形態に限定されるものではなく、例えば、水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の冷却水量を増減することにより冷却能力を調整するようにしてもよい。
また、本実施の形態のように水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の起動及び停止の単位をできるだけ細分化しておけば、冷却温度の降下の調整単位も細分化されるため、上述したように使用する水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の選択にあまり注意を払わなくとも、水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の設置順に冷却を行っていけばよいこととなり、使用する水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)を簡便に設定できる。さらに、冷却時の制御では、冷却温度はある許容範囲内となるように制御すればよい。
このようにして、温度制御装置27により使用する水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)が特定される。
図2において、符号37a〜37c38a〜38cは、水環境下にある鋼ストリップ25の表面の温度を測定することができる水環境温度計を示す。図2では6基の水環境温度計37a〜37c、38a〜38cを示し、これら以外の水環境温度計は図面が煩雑化することを考慮して省略してある。なお、この種の水環境温度計の構造や原理等は、例えば特開2003−185501号公報により開示されており、既に公知であるためここでの説明は省略する。また、以降の説明では、はじめにこの温度計37a〜37c38a〜38cによる鋼ストリップ25の温度測定値は用いずに鋼ストリップ25の推定演算値を用いて制御を行う場合を説明し、温度計37a〜37c38a〜38cによる鋼ストリップ25の温度測定値は用いて制御を行う場合は後述することとする。
本実施の形態では、鋼ストリップ25を仕上圧延機22に並設されたランナウトテーブル20により搬送しながら、ランナウトテーブル20に鋼ストリップ25の長手方向へ向けて多数配置された水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)それぞれから冷却水を噴射することによって冷却する。また、複数配置された水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)それぞれの近傍に、水環境下にある鋼ストリップ25の温度を測定可能な温度計37a〜37c38a〜38cを複数配置しておく。そして、複数の温度計37a〜37c38a〜38cにより鋼ストリップ25の表面の温度を長手方向の複数の位置で測定する。鋼ストリップ25の表面の温度の測定値は、温度測定処理装置28を介して温度制御装置27へ送られる。
温度制御装置27は、粗圧延機の出口温度計(図示しない)の検出値を初期値として、仕上圧延機22における板厚圧下スケジュールや圧延速度設定値などに基づいて、仕上出口温度を予測計算する。
なお、仕上出口温度は、オーステナイト域で熱間圧延を行った後にA変態開始点の前後における冷却過程を確実に制御するという観点から、Ae変態点以上とすることが望ましい。仕上出口温度をAe変態点以上とすることにより、仕上圧延中に生じるオーステナイト−フェライト変態を抑制できるために長手方向の材質を均一化し易いからである。仕上出口温度は、好ましくはAe変態点の直上の温度である。
本実施の形態の温度制御装置22は、鋼ストリップ25の温度の推定演算値が、仕上圧延の仕上出口温度以下から、仕上出口温度未満かつA変態開始温度超の温度域内に事前に定めた第1の冷却停止温度超までの温度域にある温度計(例えば38a)の近傍に位置する水冷装置(例えば(29a、29b)〜(30a、30c))を動作させることにより、鋼ストリップ25に対してその長手方向の略全域で第1の冷却(水冷)を行う。
また、本実施の形態の温度制御装置27は、鋼ストリップ25の温度の推定演算値が、仕上出口温度以下から第1の冷却停止温度までの温度域にあるときは温度計38a〜38cの近傍にある水冷装置により第1の冷却停止温度を目標値に制御する。第1の冷却停止温度以下からA変態開始温度超までの温度域にある温度計(例えば37a)の近傍に位置する水冷装置(例えば(32a、32b)〜(33a、33b))までを停止して、鋼ストリップ25に対してその長手方向の略全域で第2の冷却(空冷)を行う。
さらに、温度制御装置27は、鋼ストリップ25の温度の推定演算値が、A変態開始温度以下の温度域にある温度計(例えば37c)の近傍に位置する水冷装置(例えば(34a、34b)〜(36a、36b))を動作させて、鋼ストリップ25に対してその長手方向の略全域で第3の冷却(水冷)を行って、パーライト変態を完了させる。
なお、上述したように、この説明では、鋼ストリップ25の温度には、推定演算値を用いた。しかし、このような推定演算には不可避的に誤差が含まれる。そこで、鋼ストリップ25の温度には、推定演算値ではなく、温度計37a〜37c38a〜38cによる鋼ストリップ25の温度の測定を用いるようにしてもよい。
つまり、さらに高精度で第1の冷却停止温度及びA変態開始温度を把握するには、上述したように、水環境下にある鋼ストリップ25の表面の温度を測定できる水環境温度計37a〜37c、38a〜38cを用い、温度計38a〜38cの検出値が第1の冷却停止温度を示した温度計より下流側の水冷装置を停止する。また、第1の冷却停止温度を示した温度計より下流側でこれらの水環境温度計37a〜37c、38a〜38cの検出値がA変態開始温度を示した温度計より上流側の水冷装置を停止し、一方でそれより下流側の水冷装置を使用して冷却を行う。これによれば、温度計算を行う必要がなくなるため、より高精度に第1の冷却停止温度、A変態開始温度及び第2の冷却の開始位置及び第3の冷却の開始位置を特定できる。ただし、この方法を行うには、高価な水環境温度計37a〜37c、38a〜38cを複数設置する必要があることからコストが嵩む。このため、熱延鋼板21に要求される特性の精度に応じて、上記2種の手段を適宜使い分けることが望ましい。
温度計37a〜37c、38a〜38cによる鋼ストリップ25の温度の測定は、適当な時間間隔で繰り返し行って最新の測定値を温度制御装置27に入力することにより、温度制御装置27がこの最新の測定値に基づいて、上述した水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の起動及び停止を制御することが、制御精度の向上を図るためには望ましい。
このように、本実施の形態では、C含有量が0.50%以上1.50%未満の高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる鋼ストリップ25の温度を、演算により推定するか、あるいは温度計37a〜37c、38a〜38cにより実測することによって、求める。
そして、求めた推定演算値又は実測値が、仕上圧延の仕上出口温度以下から、仕上出口温度未満かつA変態開始温度超の温度域内に定めた第1の冷却停止温度超までの温度域にある時には、パーライトを有する最終組織を得られる第1の冷却速度での第1の冷却、具体的には水冷を、鋼ストリップ25の長手方向の略全域について行う。ここで、第1の冷却停止温度は、例えば、第1の冷却停止温度=A変態開始温度+板厚×α(ただし、α=5.4[Mn]+14.5[Si]+8.5[Cr]+8.5[Ni])として求めることが例示される。
第1の冷却を第1の冷却停止温度未満の温度域まで行ってしまうと、鋼ストリップ25が硬質化し、材質のばらつきが増大し易い。また、第1の冷却は700℃以下の温度域まで行うことが望ましい。第1の冷却を700℃超の温度域で停止してしまうとパーライト変態が遅れ、ホットランテーブル20上でパーライト変態が完了しなくなることに起因して熱延鋼板の材質、ひいては機械特性の長手方向のばらつきが増大する。
また、第1の冷却の冷却速度は20℃/秒以上60℃/秒以下とすることが望ましい。第1の冷却の冷却速度が20℃/秒未満であるとパーライト変態の進行が遅れ、ホットランテーブル20上でパーライト変態が完了しなくなることに起因して、熱延鋼板21の組織及び機械特性の長手方向へのばらつきが増大し易くなる。また、第1の冷却速度が60℃/秒超であると温度制御性が悪化するために部分的にベイナイトが析出し易くなる。これに対し、第1の冷却の冷却速度を20℃/秒以上60℃/秒以下とすることによりA変態を促進させながらベイナイトの生成を防止できるのであり、換言すると、この冷却速度は、共析鋼において共析点から連続冷却を行った際にパーライト変態を開始させる冷却速度である。
次に、求めた推定演算値又は実測値が、第1の冷却停止温度以下からA変態開始温度超までの温度域にある時には、最終組織にベイナイトを伴わない第2の冷却速度での第2の冷却、例えば空冷を、鋼ストリップ25の長手方向の略全域について行う。
ここで、A変態開始温度は、鋼ストリップ25の成分、圧延条件さらには冷却条件等から経験的に適宜設定すればよい。例えば、経験的に求められる次式により規定される関数fを用いて、A変態開始温度(℃)=f([C]、[Mn]、[Si]、[Cr]、Tf、CR、VR)として、算出することができる。ここで、A変態開始温度は、添加元素の量、冷却開始温度、冷却速度さらには板厚によって変動するため、本実施の形態では、上記式を実際に冷却を行った際の多数のデータに基づいて求めた。
また、本実施の形態では、鋼ストリップ25の温度の推定演算値又は実測値が、A変態開始温度までの温度域を第2の冷却、例えば、加熱された鋼ストリップ25の対象部分を静かな大気中に放置して冷却する空冷を、鋼ストリップ25の長手方向の略全域で行うことにより、A変態が現に開始されたことに伴う温度上昇(A変態の開始による変態発熱)を確認できるために、第3の冷却の開始時期を正確に決定することがでる。
さらに、本実施の形態では、鋼ストリップ25の温度の推定演算値又は実測値が、A変態開始温度以下の温度域にある時には、第2の冷却速度よりも大きな第3の冷却速度での第3の冷却、例えば水冷を、鋼ストリップ25の長手方向の略全域について行うことによりパーライト変態を完了させる。
第3の冷却の冷却速度は、20℃/秒以上60℃/秒以下であることが望ましい。この範囲の冷却速度で第3の冷却を行うことによって微細パーライト組織を確実に得られるからである。第3の冷却の冷却速度が20℃/秒未満であるとパーライト変態を完全に完了させることができない場合がある。一方、60℃/秒超であると巻取温度の制御性が悪化するためである。
本実施の形態では、このようにしてランナウトテーブル20上でパーライト変態を完了させる。そして、パーライト変態を完了した鋼ストリップ25を所定の巻取温度でコイルに巻取って熱延鋼板とする。巻取温度は、微細パーライトを得ながらベイナイトの生成の防止を図って次工程での作業性を確保するために400℃以上600℃以下とすることが望ましい。
このように、本実施の形態では、仕上圧延終了後に極力早く第1の冷却(水冷)を行うことにより最終のパーライト組織を微細化する。そして、この第1の冷却を所定のパーライトノーズの温度である第1の冷却停止温度でいったん停止し、パーライト変態が開始するタイミングまで第2の冷却(空冷)を行うことにより、過剰な冷却によってベイナイト組織を生じて硬度が高くなり過ぎることを確実に防止する。そして、パーライト変態が開始したのと同時に第3の冷却(水冷)を開始することによりパーライト変態を完了させてから、コイルに巻き取るのである。
本実施の形態によれば、仕上圧延後の冷却速度を20℃/秒以上60℃/秒以下として第1の冷却を第1の冷却停止温度まで行うため、オーステナイト域での熱間仕上圧延後からA変態開始温度付近の冷却過程を確実に所望のとおりに制御でき、ベイナイトの発生を防止しながらA変態を促進させることができる。また、本実施の形態によれば、第2の冷却により適切な空冷時間を確保することができるため、A変態の開始による温度上昇を正確に確認して引き続いて行う第3の冷却の開始タイミングを正確に決定することができる。
さらに、本実施の形態によれば、このようにして決定した第3の冷却の開始タイミングに基づいて、引き続いて20℃/秒以上60℃/秒以下の冷却速度で第3の冷却を行うため、最終的に均一な微細パーライト組織を得ることができる。
したがって、本実施の形態の冷却パターンは、図5における冷却パターンDと類似するものの、少なくとも、第2の冷却を停止する条件と第3の冷却を開始する条件との二点において、この冷却パターンDとは異なる。
このため、本実施の形態により製造された熱延鋼板21は、鋼ストリップ25の長手方向の全長にわたって所定の冷却過程が確実に実現されて製造されるため、パーライト変態に要する時間が長い高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなるものではあっても、パーライト変態が完了しないままコイルに巻き取られてしまうために発生する長手方向の例えば硬度等の機械特性のばらつが顕著に軽減されており、優れた機械特性を長手方向の略全域について実質的に均一に有する。このため、本実施の形態により製造された熱延鋼板は、長手方向の機械特性のばらつきが実質的に解消されており、冷間圧延等の二次加工に供されてもこの二次加工を確実かつ容易に行うことができる。
次に、温度制御装置27によるこのような温度制御計算の計算フローを、図3を参照しながら詳細に説明する。
温度制御装置27は、冷却の各過程における粗バーや鋼ストリップ25の温度の降下量は、対象となる粗バーや鋼ストリップ25の板厚、粗バーの仕上圧延速度、鋼ストリップ25の仕上出口温度の目標値、第1の冷却の停止温度、第2の冷却の時間を規定するA変態開始温度の設定値、巻取温度の目標値、水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の冷却能力とに基づいて、例えば下記(1)式により規定される鋼板温度降下計算式を用いて、決定する。
Tout=Tinexp{−(α/cρh)・(L/V)} ・・・・・・・(1)
この(1)式において、Toutは水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の出口温度を示し、Tinは水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の入口温度を示し、αは水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の熱伝達係数を示し、cは鋼ストリップ25の比熱を示し、ρは鋼ストリップ25の密度を示し、hは鋼ストリップ25の板厚を示し、Lは水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の長さを示し、Vは粗バーの圧延速度を示す。
具体的には、温度制御装置27は、図3に示す計算フローにしたがって、水冷装置(29a、29b)から順次使用パターンを決めていく。
図3におけるステップ(以下、「S」と略記する)1では、粗圧延を行われた粗バーの材料情報である粗バーの板厚h、比熱c、密度ρと、圧延情報である圧延速度V、水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の長さLが、温度制御装置27に入力される。そして、S2へ移行する。なお、本実施の形態では、理解を容易とするために、全ての水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の長さは同一であることとした。
S2では、温度制御装置27に、冷却条件として、第1の冷却の停止温度の目標値TSaim、A変態開始温度の設定値TA1aim、巻取温度の目標値TCaimが入力される。また、冷却停止温度許容値ΔTS、A変態開始温度の許容値ΔTA1、巻取温度の許容値ΔTCも入力される。そして、S3へ移行する。
ここで、これらの許容値ΔTS、ΔTA1、ΔTCは小さいほど計算精度が高まるものの計算時間が長くなり、逆に、許容値ΔTS、ΔTA1、ΔTCが大きいほど計算精度は低下するものの計算時間は短くなる。したがって、許容値ΔTS、ΔTA1、ΔTCは、要求される精度と計算に必要な計算機の能力とを勘案して適宜設定すればよい。
S3では、仕上出口温度TFを、別の仕上圧延機22の設定計算等により例えば下記(2)式に示すように仕上圧延機22の水冷、空冷(この中に熱放射も含む)、ロールとの接触熱伝達の温度降下に基づいて、計算する。
T=T0−ΔT
ΔT=ΔTw+ΔTa+ΔTr−ΔTq
ΔTw=hw(T−Tw)・tw/(c・ρ・H)
ΔTa=ha(T−Ta)・ta/(c・ρ・H)
ΔTr=hr(T−Tr)・tr/(c・ρ・H)
ΔTq=G・η/(c・ρ・H)
・・・・・・(2)
(2)式において、Tは粗バーの温度を示し、T0は粗バーの初期温度を示し、ΔTは粗バーの温度降下量を示し、ΔTwは仕上圧延機22内に設置された水冷装置による温度降下量を示し、ΔTaは仕上圧延の際の空冷による温度降下量を示し、ΔTrはワークロールとの接触による温度降下量を示し、ΔTqは仕上圧延時の加工発熱による温度上昇量を示し、hw、ha、hrはそれぞれ水冷、空冷、圧延ロールに対する熱伝達係数を示し、Tw、Ta、Trはそれぞれ水温、気温、圧延ロール温度を示し、tw、ta、trはそれぞれ水冷、空冷、圧延に要した時間であって圧延機や搬送テーブルの速度パターンから求められる。また、cは粗バーの比熱を示し、ρは粗バーの密度を示し、Hは粗バーの厚さを示す。さらに、Gは圧延トルクを示し、ηは圧延トルクが加工発熱に変化する割合を示す。
そして、このようにして算出した仕上出口温度TFを以降の計算の初期温度に設定し、S4へ移行する。
S4〜S10では、最初の水冷装置(29a、29b)から順次下流に位置する水冷装置(30a、30b)、(31a、31b)、・・・・・の順となるように、使用する水冷装置を決定する。なお、この手順に限定されるものではなく、予め定めた使用順序にしたがって水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の使用順序を決定してもよい。
つまり、S4及びS5では、各水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)による温度降下を計算し、第1番目の水冷装置(29a、29b)の出口温度を、上述した(1)式により計算する。このときの水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の水冷熱伝達係数は下記(3)式を用いて求める。そして、S6へ移行する。
α=A(W/T)(1−D×T)V ・・・・・・・(3)
この(3)式において、Wは水量密度を示し、Tは鋼ストリップ24の温度を示し、Tは冷却水温度を示し、Vは圧延速度を示す。また、αは水冷熱伝達係数であって水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の種類によって変化し、A〜Eはその際のパラメータである。
S6〜S10では、水冷装置(29a、29b)の出口における鋼ストリップ24の温度が第1の冷却の停止温度の許容範囲内に入っているか否か、すなわち|Tout−TSaim|≦ΔTSであるか否かをチェックする。そして、入っていなければればS7及びS8へ移行し、水冷装置(30a、30b)以降の各水冷装置についても同様の演算を繰り返し行う。
そして、第Nc1番目の水冷装置の出口における鋼ストリップ25の温度が第1の冷却の停止温度の許容範囲内に入った場合には、S10へ移行する。これにより、第1番目〜第Nc1番目目の水冷装置が、第1の冷却に使用される水冷装置として決定される。そして、S11へ移行する。
つまり、S1〜S10では、温度制御装置27により、鋼ストリップ25が仕上圧延機25を抜けてランナウトテーブル20内に入ってきた時点以降において、仕上圧延機22の出口温度計24を用いて鋼ストリップ25の先端部から一定長さピッチあるいは一定時間ピッチで仕上出口温度を測定した各測定点(サンプリング点)のランナウトテーブル20内での温度降下量を計算し、それぞれのサンプリング点が巻取温度計26の直下に到達したときに目標の巻取温度になるような水冷装置(29a、29b)〜(36a、36b)の起動及び停止パターンを計算し、この計算を鋼ストリップ25の長手方向の全サンプリング点に対して行うことによりランナウトテーブル20内の全サンプリングの起動及び停止パターンの最大公約数をとることによって最終的なランナウトテーブル20の起動及び停止パターンを設定し、この起動及び停止パターンに基づいて制御弁29c〜36cに制御信号を出力して、水冷を行うのである。なお、この長手方向の計算は、仕上出口温度のサンプリングタイミング毎に鋼ストリップ25の先端部から尾端部までの全域について逐次行われる。
S11では、続いて行われる第2の冷却を行う水冷装置のうちの最上流の水冷装置を、S10で決定された第Nc1番目の一つ下流の第(Nc1+1)番目の水冷装置として決定する。そして、S12へ移行する。
S12〜S17では、S11で設定した最上流の第(Nc1+1)番目の水冷装置から何番目までの水冷装置により第2の冷却を行うかを決定する。
具体的には、S12では、第(Nc1+1)番目の水冷装置以降の各水冷装置による温度冷却開始温度を、Tout=Tinexp(−(αair/cρh)tair)により、計算する。この式においてαairは空冷熱伝達係数である。そして、S13へ移行する。
S13では、第(Nc1+1)番目の水冷装置の出口における鋼ストリップ25の温度が、A変態開始温度に到達するか否かを、|Tout−TA1aim|≦ΔTA1が満たされているか否かにより、チェックする。
そして、|Tout−TA1aim|≦ΔTA1が満たされていない場合には、S14及びS15へ移行し、第(Nc1+2)番目以降の水冷装置の出口における鋼ストリップ25の温度について同様の計算を繰り返し行う。
そして、第(Nc1+Nstop)番目の水冷装置の出口における鋼ストリップ25の温度について、|Tout−TA1aim|≦ΔTA1が満たされてA変態開始温度の許容範囲内に入った場合は、S17へ以降する。これにより、第2の冷却に用いられる水冷装置の数はNstopとなる。
S18では、続いて行われる第3の冷却を行う水冷装置のうち最上流の水冷装置を、第(Nc1+Nstop+1)番目の水冷装置として設定する。そして、S19へ移行する。
S19〜S23では、第3の冷却を行う水冷装置を、第(Nc1+Nstop+1)番目の水冷装置から連続して何番目の水冷装置までとするかを決定する。
すなわち、S19では、上述した(1)式及び(3)式を用いて各水冷装置による温度降下を計算する。そして、S20へ移行する。
S20では、第(Nc1+Nstop+1)番目の水冷装置の出口において、所定の巻取温度に到達するか否かを、|Tout−TCaim|≦ΔTCによりチェックする。第(Nc1+Nstop+1)番目の水冷装置の出口における鋼ストリップ25の温度が所定の巻取温度の許容範囲内に入っていなければS21、S22へ移行し、第(Nc1+Nstop+2)番目の各水冷装置についても同様の計算を繰り返して行う。
そして、第(Nc1+Nstop+Nc2)番目の水冷装置の出口における鋼ストリップ25の温度について、|Tout−TCaim|≦ΔTCが満足されて所定の巻取温度に到達した場合には、S23へ移行する。これにより、第3の冷却に仕様される水冷装置の数はNC2となる。
本実施の形態では、以上のようにして、第1の冷却を行う水冷装置が第1番目〜第Nc1番目の水冷装置として決定され、第2の冷却を行う水冷装置が第(Nc1+1)番目〜第(Nc1+Nstop)番目の水冷装置として決定され、さらに、第3の冷却を行う水冷装置が第(Nc1+Nstop+1)番目〜第(Nc1+Nstop+Nc2)番目の水冷装置として決定され、さらに設定された圧延速度で圧延が行われる。
ここで、図3により示す計算フローは、巻取温度も所定の目標値に制御する場合のものであるが、製造する熱延鋼板21の仕様によっては巻取温度の管理に特に高精度が要求されないこともあり、このような場合には、パーライト変態を可及的速やかに完了させることが有利である。そこで、このような場合には第2の冷却が終了した以降に全ての水冷装置を用いて第3の冷却を行うようにしてもよい。
なお、仕上圧延機22の出口温度が所定通りに制御されていない場合は、仕上圧延機22の圧延速度を変更したり、あるいは仕上圧延機22の入側に加熱装置が設置されている場合にはこの加熱装置を用いて温度制御したりすることにより、より安定した冷却を行うことができる。
C:0.53、Mn:0.8%、Si:0.22%、Cr:0.07%、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼組成を有する粗バーを、熱間仕上圧延機により仕上圧延して、板厚:3.0mm、板幅:1000mmの鋼ストリップとした。仕上出口温度は840℃であった。この後、冷却速度50℃/秒で650℃まで水冷し、625.8℃まで空冷し、その後冷却速度50℃/秒で水冷し、590℃の巻取り温度でコイルに巻き取って、熱延鋼板を製造した(本発明例)。通板速度は450mpmであった。
一方、比較例として、上述した鋼組成を有する粗バーを、熱間仕上圧延機により仕上圧延して、板厚:3.0mm、板幅:1000mmの鋼ストリップとした。仕上出口温度は同じく840℃であった。そして、冷却速度10〜20℃/秒で冷却し、630℃の巻取り温度でコイルに巻き取って、熱延鋼板を製造した(従来例)。
そして、本発明例及び従来例で得られたコイルについて、長手方向の硬度のばらつきΔHRBを測定した。
その結果、本発明例のコイルの長手方向の硬さのばらつきΔHRBを、従来例のコイルの長手方向の硬さのばらつきΔHRBに対し、半分以下に抑制できた。
また、従来例における長手方向の巻取温度のばらつき△tは60℃(±30℃)であったが、本発明例における長手方向の巻取温度のばらつき△tは30℃(±15℃)であった。
このため、本発明例によれば、長手方向の略全域にわたって所定の冷却過程を確実に実現できることから、パーライト変態に要する時間が長いためにパーライト変態が完了しないままコイルに巻き取られることに起因して発生する長手方向の例えば硬度等の機械特性のばらつきを、顕著に低減することができる。これにより、優れた機械特性を長手方向の略全域について実質的に均一に有する高炭素合金鋼からなる熱延鋼板を製造することができた。
C含有量が0.77%の共析鋼の連続冷却変態線図(CCT線図)の一例を示す説明図である。 実施の形態で用いる仕上圧延された鋼ストリップを冷却して熱延鋼板を製造するためのランナウトテーブルを模式的に示す説明図である。 温度制御装置による温度制御計算の計算フローを示すフロー図である。 熱延鋼板の製造工程の一部であるランナウトテーブルを模式的に示す説明図である。 ランナウトテーブルの仕上圧延機の出口から巻取機の直前までの間における鋼ストリップの一般的な4つの冷却パターンA〜Dを模式的に示すグラフである。
符号の説明
25 鋼ストリップ
21 熱延鋼板
20 ランナウトテーブル
22 仕上圧延機
23 巻取機
24 仕上出口温度計
26 巻取温度計
27 温度制御装置
28 温度測定処理装置
(29a、29b)〜(36a、36b) 水冷装置
29c〜36c 制御弁
37a〜37c 水環境温度計

Claims (3)

  1. 粗バーに仕上圧延を行って得られたC含有量が0.50質量%以上1.50質量%未満の高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる鋼ストリップの温度が、
    該仕上圧延の仕上出口温度以下から、該仕上出口温度未満かつA変態開始温度超の温度域内に定めた第1の冷却停止温度超までの温度域にある時には、パーライトを有する最終組織を得られる第1の冷却速度での第1の冷却を、前記鋼ストリップの長手方向の略全域について行い、
    前記第1の冷却停止温度以下から前記A変態開始温度超までの温度域にある時には、前記最終組織にベイナイトを伴わない第2の冷却速度での第2の冷却を、前記鋼ストリップの長手方向の略全域について行い、さらに
    前記A変態開始温度以下の温度域にある時には、該第2の冷却速度よりも大きな第3の冷却速度での第3の冷却を、前記鋼ストリップの長手方向の略全域について行うことによりパーライト変態を完了させた後に、該鋼ストリップを所定の巻取り温度でコイルに巻取ること
    を特徴とする高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる熱延鋼板の製造方法。
  2. 粗バーに仕上圧延を行って得られたC含有量が0.50質量%以上1.50質量%未満の高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる鋼ストリップの温度が、
    該仕上圧延の仕上出口温度以下から、該仕上出口温度未満かつA変態開始温度超までの温度域内に定めた第1の冷却停止温度超までの温度域にある時には、前記鋼ストリップの長手方向の略全域を水冷し、
    前記第1の冷却停止温度以下から前記A変態開始温度超までの温度域にある時には、前記鋼ストリップの長手方向の略全域を空冷し、さらに
    前記A変態開始温度以下の温度域にある時には、該鋼ストリップの長手方向の略全域を水冷してパーライト変態を完了させた後に、該鋼ストリップを所定の巻取り温度でコイルに巻取ること
    を特徴とする高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる熱延鋼板の製造方法。
  3. 粗バーに仕上圧延機を用いて仕上圧延を行ってC含有量が0.50質量%以上1.50質量%未満の高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる鋼ストリップとし、該鋼ストリップを前記仕上圧延機に並設されたランナウトテーブルにより搬送しながら、該ランナウトテーブルに該鋼ストリップの長手方向へ向けて複数配置された水冷装置それぞれから冷却水を噴射することによって冷却してから、該鋼ストリップを所定の巻取温度でコイルに巻取ることによって熱延鋼板を製造する際に、
    前記複数配置された水冷装置それぞれの近傍に、水環境下にある該鋼ストリップの温度を測定可能な温度計を複数配置して、該複数の温度計により前記鋼ストリップの温度を前記長手方向の複数の位置で測定し、測定した鋼ストリップの温度が、
    前記仕上圧延の仕上出口温度以下から、該仕上出口温度未満かつA変態開始温度超の温度域内に定めた第1の冷却停止温度超までの温度域を示す前記温度計の近傍に位置する前記水冷装置を動作させて該鋼ストリップを長手方向の略全域で水冷し、
    前記第1の冷却停止温度以下から前記A変態開始温度超までの温度域を示す前記温度計の近傍に位置する前記水冷装置を停止して該鋼ストリップを長手方向の略全域で空冷し、さらに
    前記A変態開始温度以下の温度域を示す前記温度計の近傍に位置する前記水冷装置を動作させて該鋼ストリップの長手方向の略全域で水冷してパーライト変態を完了させること
    を特徴とする高炭素鋼又は高炭素合金鋼からなる熱延鋼帯の製造方法。
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