JP2005264179A - 鋼裏金付銅系軸受材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 歪時効硬化によって鋼裏金を強化する。鋼裏金はNを0を超え0.1質量%以下含む亜共析鋼を用いる。この鋼裏金に銅系軸受合金層を固着して複層材料を形成し、この複層材料を250℃以上530℃未満の温度にて圧下率で2%以上の圧延を施す。この圧延後、10分以内に100℃以下に冷却する。250℃以上530℃未満での圧延によって歪時効硬化が早期に完了し、また、圧延後、10分以内に100℃以下に冷却することで回復現象が促進され、より短時間で歪時効硬化が完了する。
【選択図】 なし
Description
(b)鋼裏金として、低炭素鋼よりも強度の高い中炭素鋼、高張力鋼(Mn鋼)、ステンレス鋼を使用する。
(c)特に高強度とする用途には、強靭鋼(マルエージ鋼)を用いる。
(d)中炭素鋼以上のC含有量の多い鋼を焼入れによって強化する。
この還元困難な酸化膜の形成を防止するには、鋼表面にCuやNiなどのめっきを施す方法も用いられているが、めっきを行うことはそれだけ製造コストの上昇をもたらし、また、めっき作業に伴う各種の廃液処理の問題も生ずる。
鋼に冷間加工を施すと、時効硬化が起きる場合がある。この時効硬化の原因については各種の推定がなされているが、一般には、鋼に含まれているCまたはN原子が冷間加工により生じた結晶歪に拡散することに起因すると考えられている。
本発明で利用する歪時効硬化は主に鋼が含有するN原子を関係させるものとする。大部分の鋼は、不可避不純物としてNを含んでいる。通常、自動車用外板などのように冷間加工(絞り成形など)を施す鋼板は、加工後の引張しわの発生や歪時効硬化の原因であるα相中に固溶するN原子をできるだけ少なくするために、N除去を意図的に行って製鋼されているが、それでも微量ではあるがN原子が必ず残っている。本願発明はこの鋼に必ず含有されているNを歪時効硬化に利用するものである。
請求項2の発明は、圧延後、10分以内に100℃以下に冷却することを特徴とするものである。
[亜共析鋼]
鋼の歪時効硬化はα相内において生ずる。亜共析鋼は、初析相としてα相が必ず析出するので、強化対象となるα相が多く得られる。亜共析鋼はC濃度が共析点(約0.8質量%)未満の鋼を言うが、本発明においては、Cが0.6質量%以下の亜共析鋼が好ましい。C0.6質量%以下の亜共析鋼にあっては、軸受形状(半割円筒状或は円筒状)への成形が容易で、しかも、硬化の対象となる初析α相が多くなるので、鋼裏金強化に適する。更に好ましくは、α相が一層増加し、硬化にとって効果的である低炭素鋼(C0.3質量%以下)である。
Nは鋼中に不可避不純物として僅かに存在する程度でも歪時効硬化を起こさせることが可能である。上記の自動車用外板は絞り加工などの成形加工を前提としているので、成形加工後のしわや時効硬化を排除するために、積極的にNを除去する製鋼法で製造されるが、それでもNを不可避的不純物として含んでいる。このような自動車用外板であってもNによる歪時効硬化を起こすことができる。
[複層材料を250℃以上530℃未満の温度で圧延]
室温での鋼のα相のN固溶限は0.003質量%程度であるが、温度が高くなるにつれて、α相のN固溶限は高くなる。そして、鋼のα相のN固溶量が最大となる温度は580℃程度で、そのときの含有量は0.1質量%程度である。
以上のように、α相へのNの固溶量を多くして鋼裏金の硬化程度を大きくすると共に、圧延により生じたα相の結晶歪部の中にNが速く拡散して時効硬化が早く完了するようにするために、複層材料を250℃以上530℃未満の温度において圧延する。なお、この圧延時の温度を、以下に単に、圧延温度ともいい、詳しくは圧延開始時の複層材料の温度をいう。
この回復現象により結晶歪が減少し、歪時効現象が短時間で安定化する。そして、これにより、歪時効硬化が短時間で終了する。
250℃以上530℃未満の温度において行う複合材料の圧延の圧下率は2%以上とする。圧下率が2%未満では、硬化の核となる結晶歪がない、或は結晶歪の量が少なく、歪時効硬化が不十分となる。なお、圧下率とは、圧延前の複合材料の厚さと圧延後の複合材料の厚さの差を、圧延前の複合材料の厚さで除した値の百分率である。
複層材料の圧延後、複層材料を、100℃を超えた温度に10分を超えて保持すると、鋼裏金の時効硬化量が減少する。特に、400℃を超えた温度で10分を超えて保持されると、結晶歪部に拡散したN原子が飛び出し易くなり、時効硬化量が減少する。このため、Nの拡散速度が遅くなる100℃以下の温度に10分以内で冷却する。
まず、鋼裏金付銅系軸受材料を製造するために、従来から採用されている一般的な製造方法(以下、従来製法と称する。)を説明する。予めアトマイズ法により製造した組成(数値は質量%;以下、同じ)Cu−10SnのCu合金粉末(−60メッシュ)を、厚さ1.5mm、組成Fe−0.1C−0.02Si−0.4Mn−0.006Nの鋼板(鋼裏金)上に厚さ1mmに散布した後、還元雰囲気を有する加熱部と冷却部とを連続して有する連続焼結炉の加熱部(800℃)で15分間焼結し、次いで冷却部で冷却した後、Cu合金焼結層(軸受合金層)を緻密化するために圧延を施し、再び上記と同一条件で二次焼結する。なお、ニ次焼結後に二次圧延を行っても良い。
これに対し、圧延温度を室温とした比較例品1,2および圧延温度を200℃とした比較例品3では、歪時効硬化時間が125時間以上であり、実施例品1〜4に比較して長い。特に、圧延温度を室温とした比較例品1では、図1からも理解されるように、圧延終了後、300時間を経過しても、なおも時効硬化は進行し続け、且つ300時間経過時点での鋼裏金硬度も111Hvと低い。なお、時効硬化が進行中のため、表2において括弧表示としている。
Claims (2)
- 鋼裏金上に銅系軸受合金層を固着してなる銅系軸受材料を製造する方法において、
前記鋼裏金はNを0を超え0.1質量%以下含む亜共析鋼からなり、この鋼裏金に前記銅系軸受合金層を固着して複層材料を形成し、この複層材料を250℃以上530℃未満の温度にて圧下率で2%以上の圧延を施すことを特徴とする鋼裏金付銅系軸受材料の製造方法。 - 圧延後、10分以内に100℃以下に冷却することを特徴とする請求項1記載の鋼裏金付銅系軸受材料の製造方法。
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