JP2005264156A - 光塩基発生剤 - Google Patents
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Abstract
高活性を示す光塩基発生剤を提供し、更に紫外線照射により容易に硬化するエピスルフィドを含有する硬化性組成物、ならびに紫外線照射により得られる硬化物を提供すること。
【解決手段】
下記一般式(1)で表される光塩基発生剤
【化1】
ここで、Arはフェニル、ビフェニル、ナフチル,4−(フェニルチオ)フェニル基であって、これらの基は非置換であるか、またはC1〜C18アルキル、C3〜C18アルケニル、C3〜C18アルキニル、C1〜C18ハロアルキル、NO2、OH、CN、OR1、SR2、C(O)R3、C(O)OR4もしくはハロゲンによりモノ置換またはポリ置換されており(式中R1、R2、R3、R4は水素またはC1〜C18アルキルである)、Rは水素又はC1〜C18アルキルであり、−A+はアンモニウムイオンであり、X−はボレートアニオン、N,N-ジメチルジチオカルバメートアニオン、N,N-ジメチルカルバメートアニオン、チオシアネートアニオンまたはシアネートアニオンである。
【選択図】 なし
Description
これまでに開発された光塩基発生剤の主な問題点は以下の2つである。
(1) エピスルフィド化合物は300nm付近までの光を吸収するが、光塩基発生剤の光吸収領域もこれとほぼ重なっており、光分解による塩基の発生効率が低い。
(2) 光分解により発生する塩基の塩基性が弱く、エピスルフィド化合物の重合硬化が遅い。
Rは、水素又はC1〜C18アルキル、好ましくは水素又はC1〜C3アルキルであり、最も好ましくは水素である。
本発明の硬化性組成物は、光塩基発生剤、エピスルフィド化合物、および任意成分を公知の手段、条件で物理的に混合することにより製造される。
使用する紫外線源は、紫外線を発生させる装置であれば特に制限はない。具体的には、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプを挙げることができる。
式(1)の光塩基発生剤を含んでいるので、本発明の硬化性組成物の硬化は非常に早く進行し、例えば、下記実施例5に記載したように、硬化率が、従来の光塩基発生剤を使用した場合の2倍以上に達する。
1−(4’−フェニルチオ)フェナシル−(1−アゾニア−4−アザビシクロ[2.2.2]オクタン)テトラフェニルボレート(I)の合成
100mlナス型フラスコに2−ブロモ−4’−フェニルチオアセトフェノン1.41g(0.0046mol)、アセトン20mlを入れ、その後攪拌を行い均一溶液とした。1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.52g(0.0046mol)を溶かしたアセトン溶液20mlを室温でフラスコに入れ、引き続き1時間攪拌を続けた。その後、析出した固体をろ別し、10mlのアセトンで2回洗浄後乾燥させ、白色固体を1.60g(0.0038mol、収率83%)得た。1H−NMRによる分析の結果、白色固体は目的物である1−(4’−フェニルチオ)フェナシル−(1−アゾニア−4−アザビシクロ[2.2.2]オクタン)ブロマイドであることを確認した。
100mlナス型フラスコに、得られた1−(4’−フェニルチオ)フェナシル−(1−アゾニア−4−アザビシクロ[2.2.2]オクタン)ブロマイド1.00g(0.0024mol)およびエタノール20mlを入れ攪拌を行った。これにナトリウムテトラフェニルボレート0.86g(0.0025mol)を溶かしたエタノール溶液20mlを室温で加え、引き続き1時間攪拌を行った。その後、フラスコ内の固体をろ別し乾燥させ、白色固体を1.34g(0.0020mol、収率85%)得た。1H−NMRによる分析の結果、白色固体は目的物である1−(4’−フェニルチオ)フェナシル−(1−アゾニア−4−アザビシクロ[2.2.2]オクタン) テトラフェニルボレートであることを確認した。
7.77―6.84(m,29H,ArH),4.61(s,2H,COCH2),
3.46(m,6H,CH2)、3.11(m,6H,CH2)
1−(4‘−フェニルチオ)フェナシル−(5−アゾニア−1−アザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン)テトラフェニルボレート(II)の合成
得られた橙色固体を100mlナス型フラスコに移し、エタノール30mlを入れ攪拌を行った。これにナトリウムテトラフェニルボレート0.97g(0.0028mol)を溶かしたエタノール溶液30mlを氷浴下で加え、引き続き30分間攪拌を行った。その後、フラスコ内の固体をろ別し乾燥させ、白色固体を1.67g(0.0025mol、収率88%)を得た。1H−NMRによる分析の結果、白色固体は目的物であることを確認した。
7.82−6.84(m,29H,ArH),4.84(s,2H,COCH2),3.70−3.68(m,2H、CH2),3.38(t,2H、CH2),3.32(t,2H、CH2),2.71(t,2H,CH2),2.15−2.13(m,4H、CH2)
1−(4‘−フェニルチオ)フェナシル−(8−アゾニア−1−アザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン)テトラフェニルボレート(III)の合成
7.83−6.83(m,29H,ArH),5.02(s,2H,COCH2),3.62(t,2H,CH2),3.51(t,2H,CH2),3.34(t,2H,CH2),2.55(m,2H,CH2),2.16−2.12(m,2H,CH2),1.71(m,4H,CH2),1.58(m,2H,CH2)
1−フェナシル−(1−アゾニア−4−アザビシクロ[2.2.2]オクタン)テトラフェニルボレート(IV)の合成
1−ナフトイルメチル−(1−アゾニア−4−アザビシクロ[2.2.2]オクタン) テトラフェニルボレート(V)の合成
光塩基発生剤のモル光吸係数の測定
実施例1〜3および参考実験1、2で合成した光塩基発生剤のモル光吸光係数ε(254nm、313nm)を以下の手順により調べた。結果を表1に示した。化合物I〜IIIは313nmの光を効率よく吸収できることが分かった。
測定手順
光塩基発生剤0.01gを10mlのメスフラスコに量りとり、標線までアセトニトリルを加え溶解させた。この溶液をメスピペットにより1ml量りとり、10mlのメスフラスコを用いアセトニトリルで10倍に希釈し、更にこの操作を繰り返すことにより、原液の100倍希釈溶液を作製した。
この溶液を石英セル(光路長=1cm)に入れ、分光光度計(島津社製UV−2500PC)により200〜400nmの吸収スペクトルを測定した。スペクトルにより得られた吸光度を用い、下式よりモル吸光係数を算出した。
モル吸光係数(ε)=吸光度×分子量/濃度(g/L)
エピスルフィド化合物の光硬化試験
ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド100重量部、光塩基発生剤2重量部、γ−ブチロラクトン6重量部およびシリコーンオイルKF-351(信越化学社製)0.2重量部を混合し均一溶液とした後、この溶液をガラス基板上にバーコーター(No.9)を用い塗膜した。
石英製の窓がついた箱にこのガラス基板を設置し、箱に窒素ガスを流した。箱の中の酸素濃度が0.2%以下になったのを確認後、メタルハライドランプ(30mw/cm2)を用い紫外線を1分間照射した。その後直ちに、ガラス基板をテトラヒドロフラン(THF)に浸漬し、30分後THFから取り出し乾燥した。下式より不溶化率を求め、硬化速度の評価とした。結果を表2に示した。
ガラス基板に残存した樹脂の重量
不溶化率(%)= ――――――――――――――――― ×100
ガラス基板に塗布した溶液の重量
化合物Iを用いた場合、エピスルフィド化合物の硬化が非常に速く進行することが分かった。
Claims (17)
- 下記一般式(1)で表される光塩基発生剤。
X−はボレートアニオン、N,N-ジメチルジチオカルバメートアニオン、N,N-ジメチルカルバメートアニオン、チオシアネートアニオンまたはシアネートアニオンである。 - 一般式(1)において、Arがフェニルである請求項1記載の光塩基発生剤。
- 一般式(1)において、X―がボレートアニオンである請求項1〜3の何れかに記載の
光塩基発生剤。 - 少なくとも1種の、分子内に少なくとも2つ以上のチイラン環を有するエピスルフィド化合物と、少なくとも1種の、一般式(1):
X−はボレートアニオン、N,N-ジメチルジチオカルバメートアニオン、N,N-ジメチルカルバメートアニオン、チオシアネートアニオンまたはシアネートアニオンである。)
で表される光塩基発生剤を含むことを特徴とする硬化性組成物。 - 一般式(1)において、Arがフェニルである請求項5記載の硬化性組成物。
- 一般式(1)において、X―がボレートアニオンである請求項5〜7の何れかに記載の
硬化性組成物。
- 一般式(2)のエピスルフィド化合物が、ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド又はビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィドである請求項9記載の硬化性組成物。
- 更に、増感剤を含むことを特徴とする請求項5〜10の何れかに記載の硬化性組成物。
- 一般式(1)の光塩基発生剤を溶解できる溶媒を含む事を特徴とする請求項5〜11の何れかに記載の硬化性組成物。
- 請求項5〜12の何れかに記載の硬化性組成物を、紫外線の照射により硬化させることを特徴とするエピスルフィド化合物の硬化方法。
- 前記硬化性組成物に紫外線を照射した後、加熱して硬化させることを特徴とする請求項13記載の硬化方法。
- 前記紫外線照射を酸素濃度が3%以下である雰囲気中で行うことを特徴とする請求項13または14記載の硬化方法。
- 前記酸素濃度が0.3%以下であることを特徴とする請求項15記載の硬化方法。
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