JP2011038050A - 光硬化性組成物、硬化方法及び硬化物 - Google Patents

光硬化性組成物、硬化方法及び硬化物 Download PDF

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JP2011038050A
JP2011038050A JP2009189094A JP2009189094A JP2011038050A JP 2011038050 A JP2011038050 A JP 2011038050A JP 2009189094 A JP2009189094 A JP 2009189094A JP 2009189094 A JP2009189094 A JP 2009189094A JP 2011038050 A JP2011038050 A JP 2011038050A
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Hitoshi Okazaki
仁 岡崎
Motoharu Takeuchi
基晴 竹内
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Abstract


【課題】
本発明の目的は、紫外線や可視光の照射によって容易に重合し、硬化が可能なエピスルフィド化合物を含有する硬化性組成物、当該硬化性組成物の光硬化方法ならびに光硬化により得られる屈折率の高い硬化物を提供する。
【解決手段】
(A)チイラン環を有する化合物と(B)一般式(1)で表される化合物を含む硬化性組成物を光硬化させることにより、高い透明性と高い屈折率を有する硬化物を得ることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学素子接着剤、光学素子用コーティング剤、レジスト材料、プリズム、光ファイバー、情報記録基盤、フィルター、プラスチックレンズ等の光学材料の原料として好適な組成物、当該硬化物の硬化方法及び硬化して得られる硬化物に関するものである。
プラスチック製光学材料の多くに要求される光学性能の一つとして、屈折率が挙げられる。特に屈折率の高い光学材料については、屈折率1.7以上の光学材料を可能とするエピスルフィド化合物が多数見いだされている(特許文献1〜4)。これら化合物は液状であり、光学材料として使用するためには当該化合物を含有する組成物の重合による硬化が必要となるが、従来からの硬化方法のほとんどは熱硬化であるため、これら化合物の用途に大きな制約があり、より汎用性の高い光硬化ができるエピスルフィド化合物含有の材料が強く望まれていた。
エピスルフィド化合物の重合は塩基触媒下で進行することが知られている。従ってエピスルフィド化合物の光硬化触媒としては光分解によって塩基を遊離する光塩基発生剤が適している。特にDBN(ジアザビシクロノネン)やDBU(ジアザビシクロウンデセン)などのアミジン塩基はエピスルフィド化合物に対して非常に強い触媒活性を示すことを考えれば、光分解によってアミジン塩基を遊離する光塩基発生剤がエピスルフィド化合物の光硬化触媒として好ましいと考えられる。
α−アミジニウムケトン類は光分解によってアミジン化合物を遊離することが知られている(特許文献5、6)。一方、本発明者等は該α−アミジニウムケトン類がエピスルフィド化合物の光硬化触媒として有用であることを見出した(特許文献7,8)。
しかしながら、光照射により該α−アミジニウムケトン類がアミジン化合物を光遊離する効率は必ずしも十分ではなく、該α−アミジニウムケトン類はイオン性塩であるため、エピスルフィド化合物を含有する組成物への溶解性にも限界があった。以上の理由により、該α−アミジニウムケトン類を含むエピスルフィド化合物含有硬化性組成物の光硬化性は実用上十分とは言えなかった。
一方、アミジン化合物を光遊離可能な1,3−ジアミン化合物が記載されている(特許文献9)。また、該1,3−ジアミン化合物とアニオン重合性化合物を含む硬化性組成物についても記載されている。しかしながら、アニオン重合性化合物としてエピスルフィド化合物は記載されていない。
特開平9−71580号公報 特開平9−110979号公報 特開平9−255781号公報 特開2001−163874号公報 特表2001−513765号公報 特表2002−523393号公報 WO2005/014696号公報 特開2005−264156号公報 特表2005−511536号公報
本発明の目的は、紫外線や可視光線の照射によって容易に重合し、硬化が可能なエピスルフィド化合物を含有する硬化性組成物、当該硬化性組成物の光硬化方法ならびに光硬化により得られる屈折率の高い硬化物を提供することにある。
本発明者らは上記問題を解決すべく検討を行った結果、エピスルフィド化合物の光硬化触媒として、特許文献9に記載されている一般式(1):
Figure 2011038050
(1)
(式中、R1は、波長範囲200nm〜650nmで光を吸収可能な、非置換であるか、またはC1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18ハロアルキル、NO、NR1011、CN、OR12、SR12、C(O)R13、C(O)OR14、ハロゲン、もしくは式(2):
Figure 2011038050
(2)
の基によって1回以上置換されており、かつ光吸収時にアミジン基の発生を導く光脱離を生起する、芳香族または複素環式芳香族基であり、
およびRは、相互に独立して、水素、C1〜C18アルキル、あるいは非置換であるか、またはC1〜C18アルキル、CN、OR12、SR12、ハロゲンもしくはC1〜C18ハロアルキルによって1回以上置換されているフェニルであり;
は、C1〜C18アルキルまたはNRであり;
、R、R、R、R、R10およびR11は、相互に独立して、水素またはC1〜C18アルキルであり;あるいは
およびRは、互いに結合し、非置換であるか、または1個以上のC1〜C4アルキル基によって置換されているC2〜C12アルキレンブリッジを形成し;あるいは
およびRとは独立して、RおよびRは、互いに結合し、非置換であるか、または1個以上のC1〜C4アルキル基によって置換されているC2〜C12アルキレンブリッジを形成し;あるいは
が、基:NRである場合、RおよびRは、互いに結合し、非置換であるか、または1個以上のC1〜C4アルキル基によって置換されているC2〜C12アルキレンブリッジを形成し;
12、R13およびR14は、相互に独立して、水素またはC1〜C18アルキルである。)
で表される化合物が特に有用であり、エピスルフィド化合物と一般式(1)で表わされる化合物を含む硬化性組成物が紫外線や可視光の照射によって容易に硬化して、目的の硬化物が得られることを見出し、本発明に至った。
即ち本発明は、以下のとおりである。
1.(A)チイラン環を有する化合物と(B)一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする硬化性組成物。
Figure 2011038050
(1)
(式中、R1は、波長範囲200nm〜650nmで光を吸収可能な、非置換であるか、またはC1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18ハロアルキル、NO、NR1011、CN、OR12、SR12、C(O)R13、C(O)OR14、ハロゲン、もしくは式(2):
Figure 2011038050
(2)
の基によって1回以上置換されており、かつ光吸収時にアミジン基の発生を導く光脱離を生起する、芳香族または複素環式芳香族基であり、
およびRは、相互に独立して、水素、C1〜C18アルキル、あるいは非置換であるか、またはC1〜C18アルキル、CN、OR12、SR12、ハロゲンもしくはC1〜C18ハロアルキルによって1回以上置換されているフェニルであり;
R5は、C1〜C18アルキルまたはNRであり;
、R、R、R、R、R10およびR11は、相互に独立して、水素原子またはC1〜C18アルキルであり;あるいは
およびRは、互いに結合し、非置換であるか、または1個以上のC1〜C4アルキル基によって置換されているC2〜C12アルキレンブリッジを形成し;あるいは
およびRとは独立して、RおよびRは、それぞれ単独に、または互いに結合しアルキレンブリッジを形成したのもか、または1個以上のC1〜C4アルキル基によって置換されているC2〜C12アルキレンブリッジを形成し;あるいは
R5が、基:NRである場合、RおよびRは、それぞれ単独に、または互いに結合しアルキレンブリッジを形成したのもか、または1個以上のC1〜C4アルキル基によって置換されているC2〜C12アルキレンブリッジを形成し;
12、R13およびR14は、相互に独立して、水素またはC1〜C18アルキルである。)
2.(A)チイラン環を有する化合物が一般式(3)である第1項に記載の硬化性組成物。
Figure 2011038050
(3)
(式中、aは0から6の整数であり、bは0から4の整数、R21,R22はそれぞれ独立に、水素原子またはC1〜C10の炭化水素であり、R23,R24はそれぞれ独立にC1〜C10の炭化水素である。)
3.(A)チイラン環を有する化合物が、ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド(bが0、R21およびR22が水素原子、R23およびR24がメチレン)、またはビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィド(aが0、bが1、R21およびR22が水素原子、R23およびR24がメチレン)である第1項に記載の硬化性組成物。
4.(B)一般式(1)で表される化合物が、Rが、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントリル、ピレニル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチル、チエニル、ベンゾ〔b〕チエニル、ナフト〔2,3−b〕チエニル、チアントレニル、アントラキノニル、ジベンゾフリル、クロメニル、キサンテニル、チオキサンチル、フェノキサチイニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル、テルフェニル、スチルベニル、フルオレニルまたはフェノキサジニルであり、これらの基は、非置換であるか、またはC1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18ハロアルキル、NO、NR1011、CN、OR12、SR12、C(O)R13、C(O)OR14、ハロゲン、もしくは式(2)の基によって1回以上置換されているか、あるいはRは、式(4):
Figure 2011038050
(4)
の基であり;
12、R13およびR14が、相互に独立して、水素原子またはC1〜C18アルキルであり;
15が、C1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、OH、CN、OR10、SR10、水素または式(2)の基であり;
nが、0、1、2または3である、第1項に記載の硬化性組成物。
5.(B)一般式(1)において、Rが、フェニル、ナフチル、アントリルまたはアントラキノニルであり、これらの基が、非置換であるか、または水素原子、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、NO、CN、OR12、SR12、C(O)R13、C(O)OR14、ハロゲン、もしくは式(2)の基によって1回以上置換されており;
12、R13、R14が、相互に独立して、水素またはC1〜C4アルキルであり;
およびRが、水素またはC1〜C6アルキルであり;
およびRが、互いに結合し、非置換であるか、または1個以上のC1〜C4アルキル基によって置換されているC2〜C6アルキレンブリッジを形成し;
およびRが、互いに結合し、非置換であるか、または1個以上のC1〜C4アルキル基によって置換されているC2〜C6アルキレンブリッジを形成する、第1項から第3項のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
6.さらに、(C)増感剤を含むことを特徴とする第1項に記載の硬化性組成物。
7.第1項から第6項のいずれか1項に記載の硬化性組成物を、紫外線もしくは可視光の照射により硬化させることを特徴とする硬化方法。
8.第7項の硬化方法により得られた硬化物。
9.酸素濃度10%以下の雰囲気にて第1項〜第6項のいずれか1項に記載の硬化性組成物に紫外線や可視光を照射することを特徴とする第8項に記載の硬化方法。
10.第7項記載の硬化方法により得られた硬化物。
本発明によれば、紫外線や可視光の照射によって容易に硬化可能なエピスルフィド化合物を含有する硬化性組成物、並びに当該硬化組成物の光硬化で屈折率の高い硬化物を提供することが出来る。
本発明で使用する(A)チイラン環を有する化合物は、開環重合することにより硬化物を生成する。チイラン環を有する化合物が硬化物を生成するためには、1分子内に2個以上のチイラン環を有する有機化合物であることが必要であるが、硬化性組成物の架橋性および得られる硬化物の高屈折率を追求した場合、下記構造式(3)式で表される化合物が好ましい。
Figure 2011038050
(3)
(式中、aは0から6の整数であり、bは0から4の整数、R21,R22はそれぞれ独立に、水素原子またはC1〜C10の炭化水素であり、R23,R24はそれぞれ独立にC1〜C10の炭化水素である。)
一般式(3)で表わされる化合物の具体例としては、ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)エタン、ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ブタン、ビス(5,6−エピチオ−3−チオヘキサン)スルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(3,4−エピチオブチル)ジスルフィド、ビス(4,5−エピチオペンチル)ジスルフィド、ビス(5,6−エピチオヘキシル)ジスルフィドが挙げられるが、ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド(一般式(3)において、bが0、R21およびR22が水素原子、R23およびR24がメチレン)、ビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィド(一般式(3)において、aが0、bが1、R21およびR22が水素原子、R23およびR24がメチレン)が特に好ましい。
本発明の硬化性組成物に含まれる(B)下記一般式(1):
Figure 2011038050
(1)
(式中、R1は、波長範囲200nm〜650nmで光を吸収可能な、非置換であるか、またはC1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18ハロアルキル、NO、NR1011、CN、OR12、SR12、C(O)R13、C(O)OR14、ハロゲン、もしくは式(2):
Figure 2011038050
(2)
の基(芳香族または複素環式芳香族基)によって1回以上置換されており、かつ光吸収時にアミジン基の発生を導く光脱離を生起する、芳香族または複素環式芳香族基であり、
およびRは、相互に独立して、水素原子、C1〜C18アルキル、あるいは非置換であるか、またはC1〜C18アルキル、CN、OR12、SR12、ハロゲンもしくはC1〜C18ハロアルキルによって1回以上置換されているフェニルであり;
は、C1〜C18アルキルまたはNRであり;
、R、R、R、R、R10およびR11は、相互に独立して、水素原子またはC1〜C18アルキルであり;あるいは
およびRは、互いに結合し、非置換であるか、または1個以上のC1〜C4アルキル基によって置換されているC2〜C12アルキレンブリッジを形成し;あるいは
およびRとは独立して、RおよびRは、互いに結合し、非置換であるか、または1個以上のC1〜C4アルキル基によって置換されているC2〜C12アルキレンブリッジを形成し;あるいは
が、基:NRである場合、RおよびRは、互いに結合し、非置換であるか、または1個以上のC1〜C4アルキル基によって置換されているC2〜C12アルキレンブリッジを形成し;
12、R13およびR14は、相互に独立して、水素原子またはC1〜C18アルキルである。)
で表わされる化合物は、紫外線や可視光の吸収により光分解して、下記一般式(5):
Figure 2011038050
(5)
で表わされるアミジン塩基を遊離する。これらのアミジン塩基はエピスルフィド化合物の重合に対して極めて高い触媒活性を示すため、エピスルフィド化合物を含んだ硬化性組成物を硬化させることができる。
一般式(1)において、Rは、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントリル、ピレニル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチル、チエニル、ベンゾ〔b〕チエニル、ナフト〔2,3−b〕チエニル、チアントレニル、アントラキノニル、ジベンゾフリル、クロメニル、キサンテニル、チオキサンチル、フェノキサチイニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル、テルフェニル、スチルベニル、フルオレニルまたはフェノキサジニルであり、これらの基は、非置換であるか、またはC1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18ハロアルキル、NO、NR1011、CN、OR12、SR12、C(O)R13、C(O)OR14、ハロゲン、もしくは式(2)の基によって1回以上置換されているか、あるいはRは、式(4):
Figure 2011038050
(4)
の基であり;
12、R13およびR14が、相互に独立して、水素原子またはC1〜C18アルキルであり;
15が、C1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、OH、CN、OR10、SR10、水素または式(2)の基であり;
nが、0、1、2または3であることが好ましい。
さらに、Rは、フェニル、ナフチル、アントリルまたはアントラキノニルであり、これらの基が、非置換であるか、または水素、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、NO、CN、OR12、SR12、C(O)R13、C(O)OR14、ハロゲン、もしくは式(2)の基によって1回以上置換されており、R12、13、14が、相互に独立して、水素原子またはC1〜C4アルキルであることがより好ましい。
およびRは、水素原子またはC1〜C6アルキルであることが好ましい。
およびRは、互いに結合し、非置換であるか、または1個以上のC1〜C4アルキル基によって置換されているC2〜C6アルキレンブリッジを形成することが好ましい。
およびRは、互いに結合し、非置換であるか、または1個以上のC1〜C4アルキル基によって置換されているC2〜C6アルキレンブリッジを形成することが好ましい。
(B)一般式(1)で表わされる化合物の使用量は、(A)チイラン環を有する化合物100重量部に対して、0.01〜20重量部であり、好ましくは0.05〜10重量部であり、より好ましくは0.1〜3重量部である。
本発明はさらに、成分(A)および(B)に加えて増感剤(C)を含む、上述の硬化性組成物を提供する。硬化性組成物に増感剤(C)を配合することによって、成分(B)がより効率的にアミジン化合物を遊離することが可能になる。その結果、露光時間の短縮化や硬化性組成物の重合促進が図れる。
好ましい増感剤(C)は、置換または非置換のベンゾフェノン、チオキサントン、アントラキノンなどの芳香族ケトンまたはオキサジン、アクリジン、フェナジンおよびローダミンなどの染料である。特に好ましくは、置換または非置換のベンゾフェノンまたはチオキサントンである。具体的には、ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ジフェニルベンゾフェノン、4,4′−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4′−ビス(p−イソプロピルフェノキシ)ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、2−メトキシカルボニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルスルフィド、4−メトキシ−3,3′−メチルベンゾフェノン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(トリフルオロメチル)チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1,3−ジメチル−2−(2−エチルヘキシルオキシ)チオキサントン等が挙げられる。
以上、好ましい増感剤(C)を例示したが、これらは単独でも2種類以上を混合して使用してもかまわない。増感剤(C)の使用量は、(A)チイラン環を有する化合物100重量部に対して、0.01〜20重量部であり、好ましくは0.05〜5重量部であり、より好ましくは0.1〜3重量部である。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じてチオール化合物を添加することが可能である。チオール化合物の添加によって、着色が少なく透明性に優れる硬化物を得ることができる。ここでいうチオール化合物とは、1分子内に1個または2個以上のチオール基を有する有機化合物であるが、硬化物の機械強度を高める上で2個以上のチオール基を有する化合物が好ましい。
チオール化合物の好ましい具体例としては、メタンジチオール、メタントリチオール、1,2−ジメルカプトエタン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、1,2,3−トリメルカプトプロパン、2−メルカプトメチル−1,3−ジメルカプトプロパン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、2,4−ビス(メルカプトメチル)−1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン、4,8−ビス(メルカプトメチル)−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ビス(メルカプトメチル)−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、5,7−ビス(メルカプトメチル)−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、1,2,7−トリメルカプト−4,6−ジチアヘプタン、1,2,9−トリメルカプト−4,6,8−トリチアノナン、1,2,8,9−テトラメルカプト−4,6−ジチアノナン、1,2,10,11−テトラメルカプト−4,6,8−トリチアウンデカン、1,2,12,13−テトラメルカプト−4,6,8,10−テトラチアトリデカン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、テトラキス(4−メルカプト−2−チアブチル)メタン、テトラキス(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタン、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−メルカプトメチルフェニル)プロパン、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテル、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)スルフィド等が挙げられる。
以上、好ましいチオール化合物を例示したが、これらは単独でも2種類以上を混合して使用してもかまわない。チオール化合物の添加量は、硬化性組成物100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部であり、より好ましくは3〜40重量部で、更に好ましくは5〜30重量部である。
本発明の硬化性組成物には、耐候性、耐酸化性、強度、表面硬度、基材との密着性、屈折率、染色性等の各種性能改良を目的として、エポキシ化合物類、イソ(チオ)シアネート類、フェノール類、アミン類、硫黄原子を有する無機化合物、セレン原子を有する無機化合物等を添加しても構わない。この場合は、必要に応じて公知の重合硬化触媒を別途加えることが出来る。
本発明の硬化性組成物は、紫外線や可視光線を照射することにより硬化される。その際に使用する光源は、紫外線や可視光線を発生させる装置であれば特に制限はない。具体的には、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプを挙げることができる。
本発明の硬化性組成物は光硬化させる際に、空気中の酸素の影響で重合阻害を受ける場合がある。従って、露光時間を短縮するためや硬化性組成物を十分に重合させるために低酸素濃度の雰囲気にて露光を行うことが好ましい。具体的には、硬化性組成物を取り巻く雰囲気を窒素ガスや炭酸ガスで置換して露光を行う方法が挙げられる。その際の酸素濃度としては10%以下が好ましく、5%以下が更に好ましい。また、硬化性組成物の表面をポリプロピレンフィルム等の透明なフィルムで被覆して露光を行う方法や硬化性組成物をガラス等で構成される透明なモールド内に密封注入して露光を行う方法も挙げられる。
硬化性組成物に紫外線や可視光を照射した後、加熱処理を行うことにより、硬化を更に促進することができる。紫外線照射後に求められる硬化度に応じて加熱温度並びに時間を適宜選択できるが、加熱温度は室温〜150℃、加熱時間は1分〜3日が好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中において、(A)チイラン環を有する化合物は、特開平9−110979号公報および特開2001−163874号公報に記載の方法に基づいて合成した。また、(B)一般式(1)で表わされる化合物は、特表2005−511536号公報に記載の方法に基づいて合成した。また、硬化性組成物に露光を行う際の光源にはメタルハライドランプ(120W/cm、熱線カットフィルター付き、岩崎電気社製)を使用した。また、得られた硬化物の屈折率は、アッベ屈折計(アタゴ社製「NAR-4T」)を用いて、D線での値を測定した。測定温度は25℃とした。
実施例1
(A)ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド(100重量部)に対して、(B)5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン(3重量部)を混合し、均一になるまで撹拌して、硬化性組成液を作製した。この硬化性組成液をスライドグラス上に適量垂らし、その上にPETフィルム(東レ社製「ルミラーT60」、厚み38μm)を被せて硬化性組成液が空気中の酸素と接触しない状態にした。硬化性組成液の厚みは約20μmになるようにした。続いてPETフィルムの上からメタルハライドランプの光を照射距離30cmにて10分間照射した。
露光後、PETフィルムを剥がし、硬化性組成物の硬化状態を確認したところ、表面にタック(べた付き)が残らない状態で硬化していた。また、硬化膜の屈折率を測定したところ、nD=1.70であった。また、硬化膜の色は薄黄色であった。
実施例2
成分(B)を表1に示す化合物に変える以外が実施例1を繰り返した。露光後の硬化状態、硬化膜の屈折率および硬化膜の色は表1に示すとおりであった。
実施例3〜10
成分(B)、成分(C)を表1に示す内容に変え、また、露光時間を60秒間に変える以外は実施例1を繰り返した。露光後の硬化状態、硬化膜の屈折率および硬化膜の色は表1に示すとおりであった。
Figure 2011038050
実施例11
(A)ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド(95重量部)に対して、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド(5重量部)、(B)5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン(0.5重量部)および(C)ベンゾフェノン(1重量部)を混合し、均一になるまで撹拌して作製した硬化性組成液を使用する以外は実施例3を繰り返した。露光後の硬化状態、硬化膜の屈折率および硬化膜の色は表2に示すとおりであった。
実施例12
(A)ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド(70重量部)に対して、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(30重量部)、(B)5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン(0.5重量部)および(C)ベンゾフェノン(1重量部)を混合し、均一になるまで撹拌して作製した硬化性組成液を使用する以外は実施例3を繰り返した。露光後の硬化状態、硬化膜の屈折率および硬化膜の色は表2に示すとおりであった。
実施例13
成分(A)をビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィドに変える以外は実施例3を繰り返した。露光後の硬化状態、硬化膜の屈折率および硬化膜の色は表2に示すとおりであった。
Figure 2011038050
実施例14
(A)ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド(95重量部)に対して、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド(5重量部)、(B)5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナン(1重量部)、(C)2,4−ジエチルチオキサントン(1重量部)、およびレベリング剤としてBYK−333(0.1重量部、ビックケミー・ジャパン社製)を混合し、均一になるまで撹拌して硬化性組成液を作製した。この硬化性組成液をガラス板上にバーコーター(#9)を用いて塗工し、空気雰囲気中でメタルハライドランプの光を照射距離30cmにて10分間照射した。
露光後、PETフィルムを剥がし、硬化性組成物の硬化状態を確認したところ、表面にタックが残らない状態で硬化していた。また、硬化膜の屈折率を測定したところ、nD=1.70であった。また、硬化膜の色は黄色であった。
実施例15
実施例14で作製した硬化性組成液をガラス板上にバーコーター(#9)を用いて塗工し、塗工したガラス板を石英製の窓が付いた容器内に置いた。続いて、容器内に窒素ガスを流し、容器内の酸素濃度を5%(酸素分析計G−102(飯島電子工業社製)を用いて測定)に調節して、石英窓の上からメタルハライドランプの光を照射距離30cmにて60秒間照射した。露光後の硬化状態、硬化膜の屈折率および硬化膜の色は表3に示すとおりであった。
Figure 2011038050
本発明の方法によれば、透明性が高く、かつ高屈折率を有する硬化物を得ることができ、眼鏡レンズ等の用途に使用でき、産業上有用である。

Claims (10)

  1. (A)チイラン環を有する化合物と(B)一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする硬化性組成物。
    Figure 2011038050
    (1)
    (式中、R1は、波長範囲200nm〜650nmで光を吸収可能な、非置換であるか、またはC1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18ハロアルキル、NO、NR1011、CN、OR12、SR12、C(O)R13、C(O)OR14、ハロゲン、もしくは式(2):
    Figure 2011038050
    (2)
    の基によって1回以上置換されており、かつ光吸収時にアミジン基の発生を導く光脱離を生起する、芳香族または複素環式芳香族基であり、
    およびRは、相互に独立して、水素、C1〜C18アルキル、あるいは非置換であるか、またはC1〜C18アルキル、CN、OR12、SR12、ハロゲンもしくはC1〜C18ハロアルキルによって1回以上置換されているフェニルであり;
    R5は、C1〜C18アルキルまたはNRであり;
    、R、R、R、R、R10およびR11は、相互に独立して、水素原子またはC1〜C18アルキルであり;あるいは
    およびRは、互いに結合し、非置換であるか、または1個以上のC1〜C4アルキル基によって置換されているC2〜C12アルキレンブリッジを形成し;あるいは
    およびRとは独立して、RおよびRは、それぞれ単独に、または互いに結合しアルキレンブリッジを形成したのもか、または1個以上のC1〜C4アルキル基によって置換されているC2〜C12アルキレンブリッジを形成し;あるいは
    R5が、基:NRである場合、RおよびRは、それぞれ単独に、または互いに結合しアルキレンブリッジを形成したのもか、または1個以上のC1〜C4アルキル基によって置換されているC2〜C12アルキレンブリッジを形成し;
    12、R13およびR14は、相互に独立して、水素またはC1〜C18アルキルである。)
  2. (A)チイラン環を有する化合物が一般式(3)である請求項1に記載の硬化性組成物。
    Figure 2011038050
    (3)
    (式中、aは0から6の整数であり、bは0から4の整数、R21,R22はそれぞれ独立に、水素原子またはC1〜C10の炭化水素であり、R23,R24はそれぞれ独立にC1〜C10の炭化水素である。)
  3. (A)チイラン環を有する化合物が、ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド(bが0、R21およびR22が水素原子、R23およびR24がメチレン)、またはビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィド(aが0、bが1、R21およびR22が水素原子、R23およびR24がメチレン)である請求項1に記載の硬化性組成物。
  4. (B)一般式(1)で表される化合物が、Rが、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントリル、ピレニル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチル、チエニル、ベンゾ〔b〕チエニル、ナフト〔2,3−b〕チエニル、チアントレニル、アントラキノニル、ジベンゾフリル、クロメニル、キサンテニル、チオキサンチル、フェノキサチイニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル、テルフェニル、スチルベニル、フルオレニルまたはフェノキサジニルであり、これらの基は、非置換であるか、またはC1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18ハロアルキル、NO、NR1011、CN、OR12、SR12、C(O)R13、C(O)OR14、ハロゲン、もしくは式(2)の基によって1回以上置換されているか、あるいはRは、式(4):
    Figure 2011038050
    (4)
    の基であり;
    12、R13およびR14が、相互に独立して、水素原子またはC1〜C18アルキルであり;
    15が、C1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、OH、CN、OR10、SR10、水素または式(2)の基であり;
    nが、0、1、2または3である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  5. (B)一般式(1)において、Rが、フェニル、ナフチル、アントリルまたはアントラキノニルであり、これらの基が、非置換であるか、または水素原子、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、NO、CN、OR12、SR12、C(O)R13、C(O)OR14、ハロゲン、もしくは式(2)の基によって1回以上置換されており;
    12、R13、R14が、相互に独立して、水素またはC1〜C4アルキルであり;
    およびRが、水素またはC1〜C6アルキルであり;
    およびRが、互いに結合し、非置換であるか、または1個以上のC1〜C4アルキル基によって置換されているC2〜C6アルキレンブリッジを形成し;
    およびRが、互いに結合し、非置換であるか、または1個以上のC1〜C4アルキル基によって置換されているC2〜C6アルキレンブリッジを形成する、請求項1から3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. さらに、(C)増感剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の硬化性組成物を、紫外線もしくは可視光の照射により硬化させることを特徴とする硬化方法。
  8. 第7項の硬化方法により得られた硬化物。
  9. 酸素濃度10%以下の雰囲気にて請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物に紫外線や可視光を照射することを特徴とする第8項に記載の硬化方法。
  10. 請求項7記載の硬化方法により得られた硬化物。
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