JP2005263759A - 皮膚浸透性シート - Google Patents
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Abstract
【課題】 美容目的の治療における皮膚浸透性シートを提供する。
【解決手段】 シート状基材を薬剤又は化粧剤に含浸させてなる皮膚浸透性シートであって、上記シート状基材が、ゲル状、スポンジ状又はフィルム状のいずれか一つから選ばれ、またコラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、アミノ酸またはそれらの混合物からなる群より選ばれる1種以上である。
【選択図】 なし
【解決手段】 シート状基材を薬剤又は化粧剤に含浸させてなる皮膚浸透性シートであって、上記シート状基材が、ゲル状、スポンジ状又はフィルム状のいずれか一つから選ばれ、またコラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、アミノ酸またはそれらの混合物からなる群より選ばれる1種以上である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、美容目的の治療における皮膚浸透性シートに関し、詳しくは、局所麻酔剤や化粧剤を含浸させた皮膚浸透性シートに関するものである。
従来より、美容形成において、顔面を中心とした美容外科手術で局所麻酔を行う場合、直接患者の顔面の施術部位に麻酔剤を注射する方法や、キシロカイン(塩酸リドカイン)等のゲル状薬剤を患者の顔面の施術部位に塗布し、プラスチックフィルムやガーゼ等で覆って固定する方法が一般的に行われてきた。
しかしながら、前者の顔面の皮内または皮下に麻酔剤を注射する方法は、強い疼痛を伴うものであり、患者に精神的及び肉体的苦痛を与えてきた。
また、後者のゲル状薬剤を塗布する方法は、少し時間が経過すると、施術部位からゲル状薬剤が漏れたり、皮膚表面との密着性が悪くて、処方後の後処理に時間がかかる等の欠点があった。そのうえ、薬剤の皮膚への浸透性又は薬剤の放出性をコントロールすることが非常に困難であった。
そこで、局所麻酔剤の貼付剤として、柔軟な坦持体と、該坦持体上に設けた局所麻酔薬を40〜65%含有する感圧性接着剤とからなる貼付剤が知られている(特許文献1)。
しかし、この貼付剤は、動静脈留置針処理の穿刺処理前に穿刺時の疼痛を除去ないし軽減するために使用されるものである。
また、別の局所麻酔剤の貼付剤として、貼付層に局所麻酔成分を含有したシート状貼付材も知られている(特許文献2)。
しかし、そのシート状貼付材は、剥離時に痛みの少ない角栓除去に適したシート状貼付材である。
さらに、口腔内貼付シートとして、歯肉粘膜などの口腔粘膜に粘着貼付して粘着剤層中の薬物として、局所麻酔薬を粘膜吸収させるための小片を、セパレータ上に複数枚載置して取り扱い性を向上させた口腔内貼付シートも知られている(特許文献3)。
一方、施術後および損傷部位の修復または回復の場合には、ガーゼや脱脂綿などに軟膏や薬剤を併用した治療が行われている。
これらは、細菌感染防止能が低く、かつ、浸出液を迅速に吸収するため創面を乾燥させてしまい、ガーゼや脱脂綿などを除去する際に新生表皮細胞を剥離し、痛みや出血を伴うことも多かった。また、損傷部位の雑菌繁殖を抑止するためにガーゼや脱脂綿の交換も頻繁に行わなければならなかった。
また、ナイロンなどの不織布による創傷被覆材では、患部への密着性が強く、交換の際に形成した肉芽組織や上皮が剥離する問題があった。
ところで、最近では、所定形状のシート状基材に美容液を含浸保持させたシート状パック剤が市販されており、このシート状パック剤を拡げて顔に貼着するだけで、簡単にパックすることができるとして賞用されている。
特に、顔に使用するシート状化粧用パック剤は、化粧剤とそれを坦持させる高分子を配合させたものや保水剤を含む成分をシートに塗布して使用するものが多い。
そこで、整肌および美容のためのシート状パック剤として、例えば、天然および合成のゴム質ポリマーなどの高分子化合物と油成分からなる油性の連続相中に5〜70重量%の水分を粒子状に分散させた形で含んだ室温で安定な含水ゲルからなるフィルムまたはシート状パック剤が知られている(特許文献4)。
他方、軽量でかさばらないシート状のフィルムとして、安価に製造、提供され、使用に際して、適宜適当な大きさの形状にカットし、化粧水、美容液などに浸漬して用いる、使用感、パック効果の優れたシート状パック剤も知られている(特許文献5)。
しかしながら、従来の不織布を使用したパック剤では、化粧剤を含浸させて顔面に覆うと、乾燥が速く、十分な保湿等のパック効果が得られなかった。
特開平6−145051号公報
特開平10−324622号公報
特開2000−319167号公報
特開昭55−92306号公報
特開平6−321733号公報
本発明の目的は、美容目的の治療における皮膚浸透性シートを提供することにある。
これらの問題点を解決すべく本発明者が鋭意研究を重ねた結果、シート状基材を、ゲル状、スポンジ状又はフィルム状のいずれかに選択することにより、薬剤又は化粧剤の放出性、すなわち、皮膚への薬剤又は化粧剤の浸透性を制御することができ、特に、局所麻酔剤を含浸した皮膚浸透性シートを用いることによって、施術時の疼痛を著しく軽減することができる。また、薬剤を含浸した皮膚浸透性シートを用いることによって、患部の施術後の再生および損傷部位の修復等の治療に著しく効果がある。さらに、化粧剤を含浸した皮膚浸透性シートを用いることによって、角質剥離を防ぐために著しく効果があることを見出し、本発明を完成した。
本発明の皮膚浸透性シートは、シート状基材に薬剤又は化粧剤を含浸させてなる皮膚浸透性シートであって、上記シート状基材が、ゲル状、スポンジ状又はフィルム状のいずれか一つから選ばれることを特徴とする。
本発明の第二の構成は、上記第一の構成において、シート状基材に薬剤又は化粧剤を含浸させてなる皮膚浸透性シートであって、上記シート状基材が、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、アミノ酸又はそれらの混合物からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする。
本発明の第三の構成は、上記第一または第二の構成において、上記薬剤が、局所麻酔剤であることを特徴とする。
本発明の第四の構成は、上記第一または第二の構成において、上記化粧剤が、化粧液であることを特徴とする。
本発明の皮膚浸透性シートは、薬剤又は化粧剤を含浸させたシート状基材を、ゲル状、スポンジ状又はフィルム状のいずれかに選択されることにより、薬剤又は化粧剤の放出性、すなわち、皮膚への薬剤又は化粧剤の浸透性を制御することができ、特に、局所麻酔剤を含浸した皮膚浸透性シートを用いることによって、施術時の疼痛を著しく軽減することができる。
また、薬剤を含浸した皮膚浸透性シートを用いることによって、施術後の再生および損傷部位の修復等の治療に著しく効果がある。
さらに、化粧剤を含浸した皮膚浸透性シートを用いることによって、角質剥離を防ぐために著しく効果がある。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明で用いられるシート状基材は、薬剤や化粧剤を経皮的に導入する皮膚浸透性シートであって、シート状基材の構造は、実質的にゲル状、スポンジ状又はフィルム状の構造を有するものである。また、多層状等の構造を有するものであってもよい。
さらに、シート状基材の形状は、大型不定型サイズとして、適宜所望の形状および大きさ、例えば、顔面のマスク形状、ミトンタイプ、バンテージタイプ等にして使用することができる。
そのうえ、このシート状基材は、用途に応じて、皮膚の保湿、血行促進、清浄を目的とする化粧水及び美容液等のパック剤として、利用することができる。
ゲル状、スポンジ状又はフィルム状の基材は、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、アミノ酸などを用いることができ、特にコラーゲンは、たとえば、アテロコラーゲンなどのように生体適合性に優れたものであることが好ましい。
コラーゲンのシート状基材は、コラーゲンが血小板凝集能を持ち、線維芽細胞の増殖、移動を促進することに基づいて、創傷被覆材として利用することができる。さらに、薬剤や細胞成長因子を含有することで創傷被覆材としてよりいっそう効果が発揮することができる。
創傷部での薬剤や細胞成長因子の放出は、薬剤の拡散に基づくものであるが、この薬剤の放出速度は、シート状基材の溶解性によって調節することができる。本発明のシート状基材では、紫外線の照射時間を変化させることで溶解性を調節することができる。
すなわち、初期に大量に創傷部位に薬剤等を放出させるには、紫外線の照射時間を短くして架橋することで、シート状基材の溶解性を高めて薬剤等の放出を促進することができる。
シート状基材として使用されるヒアルロン酸は、創傷などを負った場合に初期の段階で細胞から産出される生理活性物質であり、創面の治療過程において、表皮細胞および繊維芽細胞のいずれもが、コラーゲンのシート状基材上で良好に移動する上で必要なものであるといわれている。ヒアルロン酸は、細胞の足場をゆるやかにして、細胞を移動しやすくするという機能を果たしていると考えられている。
ヒアルロン酸は、コラーゲンのシート状基材を作製する際にコラーゲンの0.1w/w%〜5w/w%の濃度で用いられる。
また、使用する用途に応じて、これらの必須構成成分の生体適合性、成形、架橋等を妨げない程度に混合することができる。具体的には、ゼラチン、ヒアルロン酸、キチン、キトサンやアミノ酸を混合することができる。
一方、薬剤や化粧剤の放出速度を遅くして徐放的に用いる場合には、紫外線の照射時間を長くして架橋することで、シート状基材の溶解性を低下させることができる。
主に、紫外線の照射は、紫外線に感度のあるアミノ酸を持ったコラーゲン同士で架橋させる目的で行う。架橋に用いる紫外線の主波長は、特に限定しないが、効果的に架橋する観点から、250〜270nmが好ましい。有効な耐水性、物理的強度が得られるシート状基材として、単位面積当たりの紫外線量は、1000〜5000mWsec/cm2の範囲が好ましい。また、有効な溶解性が得られるシート状基材として、架橋に用いる紫外線の照射時間は、5〜20分間がより好ましい。
具体的に、架橋剤の例としては、たとえば、グルタルアルデヒド、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル,グリセロールポリグリシジルエーテル、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
薬剤として用いられる局所麻酔剤は、貼付した部位表面の感覚、特に痛覚を麻痺する作用を有するものであればよく、特に限定されるものではない。
具体的に、局所麻酔剤としては、コカイン、プロカイン、クロロプロカイン、テトラカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ブピバカイン、ジブカインなどを好ましく挙げることができ、これらのうち1種若しくは2種以上を用いることができる。さらに、プロカインより速く麻酔作用が現れ、麻酔効果も強く、持続時間を長くする局所麻酔剤としては、リドカインがより好ましい。
また、局所麻酔剤の使用量としては、使用する局所麻酔剤の成分によっても異なるが、施術時の疼痛を和らげることができる程度含有させればよく、より具体的には、シート状基材に対して、5%リドカインを0.8〜1.0ml/cm2の割合で含有させる。
シート状基材に対して、5%リドカインを0.8ml/cm2よりも少なく含有させると、麻酔効果を十分に発揮することができない。また、5%リドカインを1.0ml/cm2よりも多く含有させると、麻酔効果が強すぎるだけでなく、経済的にも無駄が多くなり、コスト高になる。
その他の薬剤としては、施術後の再生および損傷部位の修復等の治療に用いられる薬剤、例えば、ステロイド剤、抗炎症剤、鎮痛剤、抗生物質等の抗菌剤等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
一方、シート状基材に含有させる化粧剤の使用量としては、使用する化粧剤によっても異なるが、角質の保護の観点からは(すなわち角質剥離を防ぐためには)、シート状基材に対して、0.8〜1.0ml/cm2の割合で含有させることがより好ましい。
シート状基材に含有させる化粧剤が、0.8ml/cm2より少ないと、シートの水分保持量が不足して肌への密着性が悪くなる。また、シート状基材に含有させる化粧剤が1.0ml/cm2より多いと、化粧剤が垂れたり、シートが破れたりしてパック剤としての機能を果すことができなくなり、これも同様に角質剥離の保護が図ることができない。
具体的には、化粧剤としては、好ましくは、ビタミンCまたはその誘導体(水溶性ビタミンC誘導体あるいは脂溶性ビタミンC誘導体)、プラセンタエキス、アミノ酸、ヒアルロン酸、コラーゲン、セラミド、レチノール(ビタミンA)、ビタミンE、α−ヒドロキシ酸(AHA)などが挙げられる。
これらのうち、ヒアルロン酸は、ムコ多糖類であり、数ある化粧剤の中でも保湿効果等の評価が最も高いとされている。
また、プラセンタエキスとは、健康なヒト、ウシまたは、ブタから抽出されるペプチド類を含む抽出物であり、乳酸脱水酵素が含まれている。
さらに、特定の特徴を表出する目的で、ビタミン類、塗布用化粧品や細胞成長因子等を含有させることも可能である。これらの物質は、必要に応じて高濃度で使用することも可能である。
例えば、ビタミン類としては、コエンザイムQ10、塩酸チアミン(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、塩酸ピリドキシン(ビタミンB6)、ビタミンP(ヘスベリジン、ルチン、ケルセチン等)が挙げられる。
塗布用化粧剤としては、カテキン、ゼラニウム、ローヤルゼリー、成長因子で細胞の増殖を刺激するような自己血清、グリコースが挙げられる。
細胞成長因子としては、血小板由来成長因子(PDGF)、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、インシュリン様成長因子−1(IGF−1)等が挙げられる。
また、皮膚表面の除菌には、シート状基材に悪影響を与えない程度の強酸性水を用いることも可能である。
本発明の皮膚浸透性シートは、薬剤や化粧剤を経皮的に導入するシート状基材であるので、例えば、擦過傷、皮膚剥脱、外傷性皮膚欠損創、分層採皮創、熱傷、皮膚潰瘍及び褥瘡用の皮膚適用薬剤としてのドラッグデリバリーシステム(DDS)のキャリアー等としても利用することができる。皮膚細胞の間隙を調製すれば、皮膚疾患に合致した薬剤を選択的に所望の部位にまで導入することができる。
以下に、本発明の実施例として、皮膚浸透性シートの製造例について詳細に説明するが、本発明は、これに限定されるものではなく、種々の変形例により製造され得る。
(実施例1)スポンジシート状基材の作製
室温にてアテロコラーゲン粉末をイオン交換水に溶解させて、アテロコラーゲン溶液の最終濃度を1w/v%にした。次に、プラスチックケース(幅190mm×奥行き90mm×高さ25mm)に厚さ1mmになるように1w/v%のアテロコラーゲンイオン交換水溶液を流し込んだ。このプラスチックケースをアンモニアガス雰囲気に晒して、白色のアテロコラーゲンゲルを得た。このゲル化したアテロコラーゲンを、−80℃以下の温度に保たれた冷凍庫で凍結せしめ、シート状基材を作製した。さらに、ゲル化したアテロコラーゲンゲルを凍結乾燥機にて水分を昇華させることにより、スポンジシート状基材を得た。さらに、得られたスポンジシート状基材に対して、主波長が254nmの紫外線を3分間照射させることにより、スポンジシート状基材を架橋した。次いで、このようにして成形して得られたアテロコラーゲンスポンジシート状基材から80mm×100mm×2mmの大きさの試料を作製した。さらに、電子線やエチレンオキサイドガス(EOG)により、アテロコラーゲンスポンジシート状基材の減菌処理を行った。
室温にてアテロコラーゲン粉末をイオン交換水に溶解させて、アテロコラーゲン溶液の最終濃度を1w/v%にした。次に、プラスチックケース(幅190mm×奥行き90mm×高さ25mm)に厚さ1mmになるように1w/v%のアテロコラーゲンイオン交換水溶液を流し込んだ。このプラスチックケースをアンモニアガス雰囲気に晒して、白色のアテロコラーゲンゲルを得た。このゲル化したアテロコラーゲンを、−80℃以下の温度に保たれた冷凍庫で凍結せしめ、シート状基材を作製した。さらに、ゲル化したアテロコラーゲンゲルを凍結乾燥機にて水分を昇華させることにより、スポンジシート状基材を得た。さらに、得られたスポンジシート状基材に対して、主波長が254nmの紫外線を3分間照射させることにより、スポンジシート状基材を架橋した。次いで、このようにして成形して得られたアテロコラーゲンスポンジシート状基材から80mm×100mm×2mmの大きさの試料を作製した。さらに、電子線やエチレンオキサイドガス(EOG)により、アテロコラーゲンスポンジシート状基材の減菌処理を行った。
(比較例1)スポンジシート状基材の作製
実施例1と同様の方法で得られたスポンジシート状基材に対して、主波長が254nmの紫外線を15分間照射させた。以下、実施例1と同様の大きさのアテロコラーゲンスポンジシート状基材の試料を作製した。
実施例1と同様の方法で得られたスポンジシート状基材に対して、主波長が254nmの紫外線を15分間照射させた。以下、実施例1と同様の大きさのアテロコラーゲンスポンジシート状基材の試料を作製した。
(比較例2)スポンジシート状基材の作製
実施例1と同様の方法で得られたスポンジシート状基材に対して、主波長が254nmの紫外線を30分間照射させた。以下、実施例1と同様の大きさのアテロコラーゲンスポンジシート状基材の試料を作製した。
実施例1と同様の方法で得られたスポンジシート状基材に対して、主波長が254nmの紫外線を30分間照射させた。以下、実施例1と同様の大きさのアテロコラーゲンスポンジシート状基材の試料を作製した。
(比較例3)ゲルシート状基材の作製
実施例1の途中工程で作製されるシート状基材で、前記同様に作製されたゲル化したアテロコラーゲンを、−80℃以下の温度に保たれた冷凍庫で凍結せしめ、紫外線を照射しないシート状基材の試料を作製した。
実施例1の途中工程で作製されるシート状基材で、前記同様に作製されたゲル化したアテロコラーゲンを、−80℃以下の温度に保たれた冷凍庫で凍結せしめ、紫外線を照射しないシート状基材の試料を作製した。
(製造例1)ヒアルロン酸を含有するスポンジシート状基材の作製
アテロコラーゲン1gを塩酸でpH3に調製した蒸留水に溶解した後、水酸化ナトリウム水溶液で調製した水溶液を得た。次いで、ヒアルロン酸ナトリウム0.01gをこのアテロコラーゲン水溶液に加え、これにpH4.5に調製した蒸留水を加えて100mlとした(アテロコラーゲン1w/v%、ヒアルロン酸0.01w/v%)。これを1分間ホモジナイズした後、実施例1と同様にしてヒアルロン酸を含むアテロコラーゲン−ヒアルロン酸スポンジシート状基材を作製した。
アテロコラーゲン1gを塩酸でpH3に調製した蒸留水に溶解した後、水酸化ナトリウム水溶液で調製した水溶液を得た。次いで、ヒアルロン酸ナトリウム0.01gをこのアテロコラーゲン水溶液に加え、これにpH4.5に調製した蒸留水を加えて100mlとした(アテロコラーゲン1w/v%、ヒアルロン酸0.01w/v%)。これを1分間ホモジナイズした後、実施例1と同様にしてヒアルロン酸を含むアテロコラーゲン−ヒアルロン酸スポンジシート状基材を作製した。
(製造例2)2層構造のスポンジシート状基材の作製
実施例1と同様の方法で作製したアテロコラーゲンスポンジシート状基材に未架橋のアテロコラーゲンスポンジシート状基材を積層させ、前記と同様にして凍結乾燥させ、2層構造のスポンジシート状基材を作製した。
実施例1と同様の方法で作製したアテロコラーゲンスポンジシート状基材に未架橋のアテロコラーゲンスポンジシート状基材を積層させ、前記と同様にして凍結乾燥させ、2層構造のスポンジシート状基材を作製した。
各種シート状基材の溶解性を比較するために、実施例1で得られた主波長が254nmの紫外線を3分間照射させたスポンジシート状基材(実施例1)、比較例1で得られた主波長が254nmの紫外線を15分間照射させたスポンジシート状基材(比較例1)、比較例2で得られた主波長が254nmの紫外線を30分間照射させたスポンジシート状基材(比較例2)、比較例3で得られた紫外線を照射しないスポンジシート状基材(比較例3)を使用して、シート状基材の溶解性試験を行った。
まず、実施例1と比較例1〜3で作製されたシート状基材を4×5cmの長方形の大きさに切断して、9w/w%の高濃度ビタミンC液に1分間浸漬し、スポンジシート状基材に、高濃度ビタミンC液を1ml/cm2含有させた。
(シート状基材の溶解性試験)
次に、5名の25〜45才の女性患者の顔面の全面、頬部あるいは下眼瞼部分を清拭した後、上記方法で4×5cmの長方形の大きさにして作製し、1ml/cm2の割合で9w/w%濃度のビタミンCを含有させた実施例1と比較例1〜3で作製されたシート状基材を用い、女性患者の顔面の全面、頬部あるいは下眼瞼部分に貼付して、実施例1と比較例1〜3で作製されたシート状基材の溶解性試験を試みた。実施例1は、本発明の皮膚浸透性シートの一実施例である。比較例1と比較例2は、実施例1と比較して紫外線の照射時間を長くしたスポンジシート状基材である。比較例3は、紫外線を照射しない、未架橋のスポンジシート状基材とした。
次に、5名の25〜45才の女性患者の顔面の全面、頬部あるいは下眼瞼部分を清拭した後、上記方法で4×5cmの長方形の大きさにして作製し、1ml/cm2の割合で9w/w%濃度のビタミンCを含有させた実施例1と比較例1〜3で作製されたシート状基材を用い、女性患者の顔面の全面、頬部あるいは下眼瞼部分に貼付して、実施例1と比較例1〜3で作製されたシート状基材の溶解性試験を試みた。実施例1は、本発明の皮膚浸透性シートの一実施例である。比較例1と比較例2は、実施例1と比較して紫外線の照射時間を長くしたスポンジシート状基材である。比較例3は、紫外線を照射しない、未架橋のスポンジシート状基材とした。
判定基準
○:完全溶解
△:一部溶解
×:溶解せず
結果を表1に示した。
○:完全溶解
△:一部溶解
×:溶解せず
結果を表1に示した。
この結果から、化粧剤として高濃度ビタミンCを含有させた実施例1は、5分後から一部溶解し、15分後で完全に溶解性が得られた。比較例1は、顔面に適用して15分経過してようやく一部が溶解した。比較例2は、顔面に適用して15分経過しても溶解性が得られなかった。比較例3は、顔面に適用して15分経過してようやく一部溶解が得られた。この結果から、同様に作製したコラーゲンのシート状基材であっても紫外線の照射時間を変化させることにより、シート状基材の溶解性が異なることが判明した。
次に、局所麻酔薬を含浸させたシート状基材の一例として、5%リドカイン溶液を含浸させた実施例1のコラーゲン・スポンジシート状基材と、同溶液を含浸させた従来のフェイスパック剤について、局所麻酔薬による疼痛緩和試験を実施した。
(局所麻酔薬による疼痛緩和試験)
5名の30〜60才の女性患者の顔面のほうれい線、額及びこめかみ部分を清拭した後、4×5cmの長方形の大きさにして作製した実施例1のコラーゲン・スポンジシート状基材を女性患者の顔面のほうれい線、額及びこめかみ部分に60分間貼付して、麻酔効果すなわち、疼痛緩和試験を実施した。
5名の30〜60才の女性患者の顔面のほうれい線、額及びこめかみ部分を清拭した後、4×5cmの長方形の大きさにして作製した実施例1のコラーゲン・スポンジシート状基材を女性患者の顔面のほうれい線、額及びこめかみ部分に60分間貼付して、麻酔効果すなわち、疼痛緩和試験を実施した。
疼痛緩和効果は、下記の判定基準に従って判定した。なお比較のため、従来例として、5%リドカインを含有した従来の不織布からなるフェイスパック剤を用いて、同様の試験を行った。
疼痛緩和効果の判定基準
○:疼痛なし
△:疼痛一部あり
×:疼痛あり
実施例1のシート状基材と従来例として5%リドカインを含有したフェイスパック剤の評価した結果を表2に示した。
○:疼痛なし
△:疼痛一部あり
×:疼痛あり
実施例1のシート状基材と従来例として5%リドカインを含有したフェイスパック剤の評価した結果を表2に示した。
疼痛緩和効果は、実施例1のシート状基材を利用したほうが45分後に患者の顔面のほうれい線、額及びこめかみ部分の疼痛が一部しか残っておらず、60分後には全く疼痛がなくなってしまった。従って、実施例1のシート状基材は、従来例のフェイスパック剤と比較して短時間で麻酔効果が現れることが判明した。
(化粧剤による顔におけるシミ、毛穴、きめ及び弾力性の試験)
次に、3名の25〜45才の女性患者の顔面のこめかみ部分を清拭した後、4×5cmの長方形の大きさにして作製し、各々6w/w%の高濃度ビタミンC、5w/w%のプラセンタおよび1w/w%のヒアルロン酸を含有させた実施例1のシート状基材と従来のフェイスパック剤を、それぞれ女性患者の顔面のこめかみ部分に貼付して、60分後に顔面のシミ、毛穴、きめ、弾力性について、肉眼的、色素計によるメラミンやヘモグロビンの測定、マイクロスコープによる観察によって評価した。各々高濃度ビタミンC、プラセンタおよびヒアルロン酸を含有させた実施例1のシート状基材と、従来例として同様に含有させたフェイスパック剤との評価した結果を表3に示した。
次に、3名の25〜45才の女性患者の顔面のこめかみ部分を清拭した後、4×5cmの長方形の大きさにして作製し、各々6w/w%の高濃度ビタミンC、5w/w%のプラセンタおよび1w/w%のヒアルロン酸を含有させた実施例1のシート状基材と従来のフェイスパック剤を、それぞれ女性患者の顔面のこめかみ部分に貼付して、60分後に顔面のシミ、毛穴、きめ、弾力性について、肉眼的、色素計によるメラミンやヘモグロビンの測定、マイクロスコープによる観察によって評価した。各々高濃度ビタミンC、プラセンタおよびヒアルロン酸を含有させた実施例1のシート状基材と、従来例として同様に含有させたフェイスパック剤との評価した結果を表3に示した。
高濃度ビタミンCにおいては、実施例1のシート状基材は、従来例のフェイスパック剤に比較して、シミは薄くなり、毛穴が小さくなり、きめが整った。
プラセンタにおいては、実施例1のシート状基材は、従来例のフェイスパック剤に比較して、高濃度ビタミンCと同様にシミは薄くなり、毛穴が小さくなり、きめが整った。
ヒアルロン酸においては、実施例1のシート状基材は、従来例のフェイスパック剤に比較して、毛穴が小さくなるという点が目立った。
従って、本発明の皮膚浸透性シートは、塗布剤に局所麻酔剤と化粧剤を用いても、従来例のフェイスパック剤に比較して、疼痛緩和、顔面におけるシミ、毛穴、きめ、弾力性のいずれについても、効果を発揮することが判明した。
Claims (4)
- シート状基材に薬剤又は化粧剤を含浸させてなる皮膚浸透性シートであって、上記シート状基材が、ゲル状、スポンジ又はフィルム状のいずれか一つから選ばれることを特徴とする皮膚浸透性シート。
- シート状基材に薬剤又は化粧剤を含浸させてなる皮膚浸透性シートであって、上記シート状基材が、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、アミノ酸又はそれらの混合物からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚浸透性シート。
- 上記薬剤が、局所麻酔剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膚浸透性シート。
- 上記化粧剤が、化粧液であることを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膚浸透性シート。
Priority Applications (1)
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JP2004082981A JP2005263759A (ja) | 2004-03-22 | 2004-03-22 | 皮膚浸透性シート |
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