JP2005263718A - アミノアルコキシ化合物の製造方法 - Google Patents

アミノアルコキシ化合物の製造方法 Download PDF

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浩悦 遠藤
Masashi Yamaguchi
正志 山口
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Abstract

【課題】 蒸留時の製品ロスを抑制してアミノアルコキシ化合物を効率的に製造する方法を提供する。
【解決手段】 シアノアルコキシ化合物を液相中、ニッケル含有化合物の存在下に水添して得られるアミノアルコキシ化合物を蒸留する際に、滞留時間、蒸留温度および液相に含まれるニッケル濃度の関係が下記式(I)
Figure 2005263718

(式(I)中、[Ni]はNi濃度(重量%)、tは滞留時間(Hr)、Tは蒸留温度(K)を示す
。)
を満足する条件で該アミノアルコキシ化合物を留出させる。
【選択図】 なし

Description

本発明はアミノアルコキシ基を有する化合物の製造方法に関する。詳しくは、シアノアルコキシ化合物の水素化によって得られるアミノアルコキシ化合物を効率的に蒸留精製する方法に関するものである。
アミノアルコキシ化合物は、その中でも特にアミノアルコキシ基を2つ以上有するものは、界面活性剤、洗浄剤、分析試薬などに利用され、また、これを原料として、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂などの各種樹脂に利用されている。
アミノアルコキシ化合物の製造は2工程からなり、第1工程はアルコール類とアクリロニトリル類を原料としたシアノエチレーションと呼ばれるシアノアルコキシ化合物の製造であり、塩基触媒を用いて行われる。第2工程はシアノアルコキシ化合物の水素化反応によるアミノアルコキシ化合物の製造であり、ラネーニッケル等の還元触媒を用いて反応が行われる。反応終了後の液には、目的化合物の他に、原料アルコール水酸基の一部が反応せずに残った化合物や水添反応に用いた触媒の金属成分が含まれるため、それらを除去するための精製操作が必要となるが、高品質の確保という観点から、特許文献1や2に記載されているように蒸留により精製することが多い。
米国特許発明第5075507号明細書 米国特許発明第3509106号明細書
アミノアルコキシ化合物は一般的に高沸点であり、本発明者らが、種々のアミノアルコキシ化合物を合成し、減圧蒸留により精製を試みたところ、200℃以上のような高温に保持されると熱分解や高沸化を起こしたり、また150℃程度でも長時間その温度に保持されると徐々にではあるが分解を引き起こしたりして目的とするアミノアルコキシ化合物のロスにつながることがわかった。さらに、アミノアルコキシ化合物の製造工程における水添反応にニッケルを含む触媒を使用した場合には、反応中にニッケルの一部が溶出し、そのニッケルが蒸留時の目的化合物のロスを加速させることを発見した。このように、アミノアルコキシ化合物は高温下の蒸留操作において分解および高沸化が起こり、収率の低下を引き起こすことから、蒸留時の製品ロスを可能な限り抑制し、工業的に有利に精製する方法の開発が必要であった。
従って、本発明は、アミノアルコキシ化合物を蒸留する際の製品ロスを抑制することのできる方法を提供することにある。
本発明者らは、かかる上記問題点を解決すべく鋭意検討を行った結果、蒸留温度、蒸留時間と溶液中のニッケル濃度が特定の関係を満足するような条件を選択して蒸留することによって、蒸留時のアミノアルコキシ化合物のロスを5重量%以下に抑制できることを見出し、工業的に適用可能な精製方法を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は、シアノアルコキシ化合物を液相中で還元して得られるアミノアルコキシ化合物を蒸留する際に、滞留時間、蒸留温度および液相に含まれるニッケル濃度の関係が下記式(I)
Figure 2005263718
(式(I)中、[Ni]はNi濃度(重量%)、tは滞留時間(Hr)、Tは蒸留温度(K)を示す
。)
を満足する条件で該アミノアルコキシ化合物を留出させることを特徴とするアミノアルコキシ化合物の製造方法、に存する。
本発明の方法によれば、蒸留温度、蒸留時間と溶液中のニッケル濃度が特定の関係を満足するような条件を選択して蒸留することによって、蒸留時のアミノアルコキシ化合物のロスを5重量%以下に抑制することが可能であり、高収率でアミノアルコキシ化合物を製造することができる。
<アミノアルコキシ化合物>
本発明において、アミノアルコキシ化合物とは、アミノアルコキシ基を1個以上有する化合物を指すが、特にアミノアルコキシ基を有するアルキレン、アリーレン及びエーテル残基を有する化合物が好ましく用いられる。
本発明においては、1分子のアミノアルコキシ化合物が有するアミノアルコキシ基の数は、好ましくは2以上であり、上限が、通常8以下、好ましくは4以下であるが、2個または3個であることが特に好ましい。
アミノアルコキシ基部分は、炭素数の下限が、通常、2以上、好ましくは3以上であり、上限が、通常、10以下、好ましくは5以下である。
具体的には、アミノエトキシ基、アミノプロポキシ基、アミノブトキシ基、等が好ましく用いられる。
アミノアルコキシ基が結合するアルキレン部分としては、炭素数の下限が、通常、1以上、好ましくは2以上であり、上限が通常、10以下、好ましくは6以下である。具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ぺンタメチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン等から誘導される2価基が挙げられる。
アミノアルコキシ基が結合するアリーレン部分としては、炭素数の下限が、通常6以上、上限が通常、12以下、好ましくは10以下である。具体的には、フェニレン、ナフチレン等から誘導される2価基が挙げられる。
アミノアルコキシ基が結合するエーテル残基としては、−{(CH2)m0)}n−(
CH2)m−が挙げられ、ここで、mは通常1〜4の整数、nは1以上、上限が、通常1
20以下、好ましくは80以下の整数である。
また、これらのアミノアルコキシ化合物は、アルコキシ部分、アルカン部分、アレーン部分及びエーテル部分の炭素原子が、メチル基、エチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜22のアリール基等の他、ニトロ基、塩素、臭素等のハロゲン原子で置換されていてもよい。
これらの化合物の中でも、アミノ基とアルコキシ基中の酸素原子との間の炭素数が3である化合物は、アルコール類とアクリロニトリル類とのナトリウムアルコキサイドなどの塩基触媒反応によって容易に得られる。
アミノアルコキシ化合物としては、具体的には、4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン、4,8−ジオキサウンデカン−1,11−ジアミン、4,7−ジオキサ−5−メチルデカン−1,10−ジアミン、4,8−ジオキサ−6−メチルウンデカン−1,11−ジアミン、4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン、4,8−ジオキサ−5−メチルウンデカン−1,11−ジアミン、4,7−ジオキサ−5−エチルデカン−1,10−ジアミン、4,8−ジオキサ−5,5−ジメチルウンデカン−1,11−ジアミン、4,12−ジオキサペンタデカン−1,15−ジアミン、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、4,7,10,13−テトラオキサヘキサデカン−1,16−ジアミン、1,4−ビス(3−アミノプロポキシメチル)シクロヘキサン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシメチル)シクロヘキサン、1,2,3−トリス(3−アミノプロポキシ)プロパン、1,1,1−トリス(3−アミノプロポキシメチル)エタン、1,1,1−トリス(3−アミノプロポキシメチル)プロパン、1,1,1−トリス(3−アミノプロポキシメチル)ブタン、ポリオキシエチレンビス(3−アミノプロピル)エーテル、ポリオキシトリメチレンビス(3−アミノプロピル)エーテル、ポリオキシテトラメチレンビス(3−アミノプロピル)エーテル等である。
<アミノアルコキシ化合物の製造方法>
アミノアルコキシ化合物の製造は、通常、アルコール類とアクリロニトリル類を原料とし、塩基触媒を用いてシアノエチレーションによりシアノアルコキシ化合物を製造する工程、得られたシアノアルコキシ化合物を、ラネーニッケル等を還元触媒として用いて還元(水素化反応)を行うことによりアミノアルコキシ化合物を製造する工程からなる。
(1)シアノアルコキシ化合物の製造
先ず、アルコールとα,β−不飽和ニトリルを原料とし、塩基触媒を用いて、シアノエチレーションによるシアノアルコキシ化合物の製造を行う。
アルコールとしては、脂肪族、脂環式あるいは芳香族のモノあるいは多価アルコールのうち、任意のものが使用できるが、中でも多価アルコールが好ましい。
具体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタン
ジオール、1,2−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等の炭素数2以上10以下の2価脂肪族アルコール;
1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール等の炭素数6以上20以下の2価脂環式アルコール;
カテコール、レソルシノール、ヒドロキノン、ビスフェノールA
等の炭素数6以上20以下の2価芳香族アルコール;
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の数平均分子量が100以上30,000以下のポリアルキレングリコール;
グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、ジペンタエリスリトール等の3官能以上のアルコール等である。
中でも、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ポリエチレングリコール等が、原料を比較的安価に入手しやすい点で好ましい。
α,β−不飽和ニトリルとしては、シアノ基以外の炭素数が通常2以上、4以下、好ま
しくは3以下のものが用いられる。具体的には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、cis−クロトノニトリル、trans−クロトノニトリル、フマロニトリル、マレオニトリル、2−メチル−2−ブテンニトリル、2−ペンテンニトリル等が挙げられ、アク
リロニトリル、メタクリルニトリルが好ましい。
第1工程のシアノエチレーションの塩基触媒としては、特に制限はないが、Na、K等の
アルカリ金属、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、ナトリウムアルコキシド等のアルカリ金属のアルコキシド、陰イオン交換樹脂などが例示される。反応は発熱を伴うため、塩基を含んだアルコール類にアクリロニトリル類を少量ずつ添加する方法で行われる。
塩基性触媒の使用量は、アルカリ金属含有触媒を使用する場合、アルカリ金属の、原料アルコールの水酸基のモル数に対する比として、下限が通常、0.0005以上、好ましくは0.001以上であり、上限が通常、0.1以下、好ましくは0.01以下である。
原料の初期仕込み比は、アルコールの水酸基とアクリロニトリル類のオレフィン数が同モル数に近いほどよく、どちらが小過剰であってもよい。反応は室温でも進行するが、加温状態の方が早く、しかしながら、高温になるとアクリロニトリル類の重合反応が起きるので、温度の下限は通常0℃以上、好ましくは20℃以上であり、上限が通常120℃以下、好ましくは80℃以下である。本反応は発熱反応であるので、その反応熱を制御するために、塩基を含んだアルコール類にアクリロニトリル類を少量づつ添加する方法がよい。
反応は、無溶媒で実施することが可能であるが、必要に応じて溶媒を使用してもよい。その場合、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数が通常6以上12以下の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン等の炭素数が通常6以上12以下の芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等の炭素数が通常4以上12以下のエーテル類;アセトン、メチルイソブチルケトン等の炭素数が通常3以上10以下のケトン類;の他、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、およびこれらの混合溶媒が用いられる。この場合、溶媒の使用量は、原料のアルコールに対して、通常100重量倍以下、好ましくは10重量倍以下である。
得られたシアノアルコキシ化合物は特に精製することなく、第2工程の水素化反応に用いることが可能である。また、必要に応じて一般の操作方法、例えば、抽出、洗浄、蒸留等により精製した後に水添反応に用いることもできる。
(2)第2工程:シアノアルコキシ化合物の還元(水素化)反応
還元反応に使用する還元剤としては、シアノ基の還元剤として公知のもの、市販のもの等多くが知られているが、それらの中から任意に選ぶことができる。その経済性、分離の容易さ等から水素を還元剤とする接触還元が望ましい。水素を還元剤として用いる場合には、水素の分圧は0.001MPa以上であれば反応は進行するが、水素分圧が低いと反応
速度が遅くなり、触媒が失活するといったことが懸念されるので、温度、触媒濃度との関係で決定しなければならない。通常は、0.01MPa以上、好ましくは0.05MPa以上、さらに好ましくは0.1MPa以上であり、また、通常50MPa以下、好ましくは20MPa以
下、更に好ましくは10MPa以下である。
反応中に水素化反応の他に、生成したアミンの多級化反応が起こりやすいため、多級化防止のために液体アンモニアを添加して反応を行うことが好ましい。アンモニアの使用量は、反応容積全体に対して、通常1体積%以上、好ましくは5体積%以上であり、また、通常99体積%以下、好ましくは50体積l%以下の範囲内である。
反応基質であるシアノアルコキシ化合物が液体の場合、無溶媒(アンモニアは溶媒と考えない)で行うことが可能であるが、必要に応じて溶媒を使用してもよい。その場合、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、等の炭素数が通常1以上4以下のアルコール;ヘキサン、ヘプタン等の炭素数が通常6以上12以下の脂肪族炭化水素;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等の炭素数が通常4以上12以下のエ
ーテル類;アセトン、メチルイソブチルケトン等の炭素数が通常3以上10以下のケトン類;の他、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、水およびこれらの混合溶媒が用いられる。この場合、溶媒の使用量は、反応容積全体に対して、通常99体積%以下、好ましくは50体積l%以下の範囲内である。
反応温度は、0度以上であれば反応が進行することが確認され、また室温付近においても工業的に十分な反応速度が得られる。さらにより高温で、高い反応性が得られるが、高温領域で進行しやすくなる水素化分解による副生物の増大は避けるべきことであり、これらの観点から反応温度は選択されるべきである。一般的には還元反応は、10度〜180度の間の温度領域で行うことが好ましい。更に好ましくは25度〜120度の温度において、経済的にも有為な反応速度を得ることが出来る。
水素化反応の還元触媒としては、ラネーニッケル、ラネーコバルト、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウムなどの貴金属、及びそれらをカーボン、シリカ、ゼオライト等の担体に担持したもの等を併用してもよい。中でもラネーニッケルやラネーコバルトは副反応が少なく、比較的安価に入手可能であることから好ましい。
これらの触媒はごく少量でも有効で、特に制限はないが、基質に対して下限が、通常、0.0001重量倍以上、好ましくは0.001倍以上、より好ましくは、0.01重量%以上であり、上限が通常、100重量倍、好ましくは70重量倍、より好ましくは50重量倍である。
反応液中に強塩基が含まれる場合にはシアノアルコキシ化合物の分解反応が促進されるが、分解を抑制するためには無機酸や有機酸あるいはハロゲン含有化合物の添加が有効である。特に第1工程の反応液を精製することなく第2工程に用いる場合には第1工程に用いた塩基性触媒が含まれるため上記した酸等の添加が有効となる。
<蒸留分離>
上記シアノアルコキシ化合物の水素化反応によりアミノアルコキシ化合物を得た後の液は触媒を分離し、軽沸成分を留去した後、蒸留により精製する。
本発明においては、アミノアルコキシ化合物を蒸留する際に、滞留時間t、蒸留温度Tおよび液に含まれるニッケル濃度の関係が、下記式(I)
Figure 2005263718
(式(I)中、[Ni]はNi濃度(重量%)、tは滞留時間(Hr)、Tは蒸留温度(K)を示す

を満足する条件で該アミノアルコキシ化合物の蒸留を行う。
滞留時間が長すぎると、蒸留操作の間にアミノアルコキシ化合物が分解または高沸化することによりアミノアルコキシ化合物のロスが5重量%以上になり効率的でない。
滞留時間tは、下限が通常、0.0001Hr以上、好ましくは0.001Hr以上であり、上限が通常20Hr以下、好ましくは10Hr以下である。
圧力は通常1Pa以上であり、上限が通常5000Pa以下、好ましくは2000Pa以下で行われる。圧力が低いほど蒸留温度を下げられるため好ましいが、蒸留装置および減圧装置の能力の限界から通常1Pa以下の蒸留は困難である。また圧力が高すぎると、蒸留温度が上がり製品のロスが増加する。
蒸留温度はアミノアルコキシ化合物の種類および蒸留時の圧力によって決まるが、通常50℃以上であり、300℃以下、好ましくは250℃以下で行われる。蒸留温度が低すぎると、蒸発した成分を液化するために、より低温の冷媒を必要とするため効率的でなく、また高すぎると、製品のロスが増加する傾向にある。
シアノアルコキシ化合物を還元する際、ラネーニッケル等のニッケルを含む触媒を用いると、反応液中にニッケルが溶出することがある。特に反応液に酸性化合物が存在する場合、金属ニッケルが酸化されて溶液中のニッケル濃度が上昇しやすい。水素化反応終了後の液中のニッケル濃度は水素化の反応時間、温度、添加物等によって変化するが、通常0.0001重量%以上、1.0重量%以下である。このニッケル濃度が高すぎると、蒸留時の分解および高沸化の速度が上がる傾向がある。
また、ニッケルを含まない触媒を使用して還元を行った場合にも金属成分の溶出は観測される場合がある。例えば、ラネーコバルトを用いた場合にはコバルトが溶出し、溶液中のコバルト濃度は通常、0.0001重量%〜1.0重量%となる。しかし、コバルトの溶出はニッケルとは異なり、蒸留時の製品ロスには影響を及ぼさない。
<蒸留装置>
蒸留は連続式でもバッチ式でも良い。装置の理論段数は1〜50段である。好ましくは2〜30段である。段数が低いと分離効率が低下し、また過剰な段数を用いると蒸留装置が過大となるため好ましくない。
また、滞留時間を短くするために薄膜蒸留装置を使用することもできる。
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
合成例1
トリメチロールプロパン20gにナトリウムメトキシド0.15gを80℃で溶解させた後、60℃に降温した。これに攪拌しながら、アクリロニトリル24.5gを反応混合物が55〜65℃を保つように約1時間かけて滴下した。滴下後、55〜65℃で2時間攪拌し、1,1,1−トリス(2−シアノエトキシメチル)プロパンを合成した。
オートクレーブに、1,1,1−トリス(2−シアノエトキシメチル)プロパンを20g、酢酸を6.0mmol、MeOHで溶媒置換したラネーニッケル(日興リカ製R−239)5gを仕込んだ。軽く攪拌後オートクレーブを締め、水素置換後液体アンモニアを17g仕込んだ。攪拌下昇温して80℃で水素を5MPaとして4時間反応した後、触媒分離および軽沸成分留去を行い1,1,1−トリス(3−アミノプロポキシメチル)プロパンを得た(純度79重量%)。得られた液中のNi濃度をICP−AESで定量したところ、0.41重量%であった。
実施例1
合成例1で得られた1,1,1−トリス(3−アミノプロポキシメチル)プロパン(純度:79重量%)を93Paの減圧下、469K(196℃)で薄膜蒸留(滞留時間:約0.01時間)を行い、純度84重量%の1,1,1−トリス(3−アミノプロポキシメチル)プロパンを得た。留出分および釜残の組成分析から1,1,1−トリス(3−アミノプロポキシメチル)プロパンのマスバランスを計算したところ、蒸留時の該化合物のロスは1.0重量%未満であった。尚、式(I)の右辺の計算値は0.03であり、蒸留時間は約0.01時間であったことから式(I)の条件範囲内であった。
比較例1
合成例1で得られた1,1,1−トリス(3−アミノプロポキシメチル)プロパン(純
度:79重量%)を130Paの減圧下、508K(235℃)で0.6時間かけて単蒸留を行い、純度25重量%の1,1,1−トリス(3−アミノプロポキシメチル)プロパンを得た。留出分および釜残の組成分析から1,1,1−トリス(3−アミノプロポキシメチル)プロパンのマスバランスを計算したところ、蒸留時の該化合物のロスは64重量%であった。尚、式(I)の右辺の計算値は0.06であり、蒸留時間は0.6時間であったことから式(I)の条件範囲外であった。
実施例2
実施例1の蒸留による留出分である、金属成分を含まない1,1,1−トリス(3−アミノプロポキシメチル)プロパン(純度:84重量%)を200Paの減圧下、523K(250℃)で3.0時間かけて単蒸留を行い、純度86重量%の1,1,1−トリス(3−アミノプロポキシメチル)プロパンを得た。留出分および釜残の組成分析から1,1,1−トリス(3−アミノプロポキシメチル)プロパンのマスバランスを計算したところ、蒸留時の該化合物の分解または高沸化によるロスは4.6重量%であった。尚、式(I)の右辺の計算値は3.4であり、蒸留時間は3.0時間であったことから式(I)の条件範囲内であった。
比較例2
実施例1の蒸留による留出分である、金属成分を含まない1,1,1−トリス(3−アミノプロポキシメチル)プロパン(純度:84重量%)を200Paの減圧下、523K(250℃)で4.0時間かけて単蒸留を行い、純度86重量%の1,1,1−トリス(3−アミノプロポキシメチル)プロパンを得た。留出分および釜残の組成分析から1,1,1−トリス(3−アミノプロポキシメチル)プロパンのマスバランスを計算したところ、蒸留時の該化合物の分解または高沸化によるロスは6.3重量%であった。尚、式(I)の右辺の計算値は3.4であり、蒸留時間は4.0時間であったことから式(I)の条件範囲外であった。
実施例3
エチレングリコール50gにナトリウムメトキシド0.04gを80℃で溶解させた後、60℃に降温した。これに攪拌しながら、アクリロニトリル78gを反応混合物が50〜60℃を保つように約1時間かけて滴下した。反応液を室温(20℃)まで冷却した後、残りのアクリロニトリル10gを滴下した。滴下後、室温で30分攪拌し3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジニトリルを合成した。
オートクレーブに、3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジニトリルを20g、ジクロロメタンを4.7mmol、MeOHで溶媒置換したラネーニッケル(日興リカ製R−239)5gを仕込んだ。軽く攪拌後オートクレーブを締め、水素置換後液体アンモニアを17g仕込んだ。攪拌下昇温して60℃で水素を5MPaとして2時間反応した後、触媒分離および軽沸成分留去を行い4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミンを得た(純度96重量%)。得られた液中のNi濃度をICP−AESで定量したところ、0.07重量%であった。
得られた4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン(純度96重量%)を130Paの減圧下、413K(140℃)で2.0時間かけて単蒸留を行い、純度99重量%の4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミンを得た。留出分および釜残の組成分析から4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミンのマスバランスを計算したところ、蒸留時の該化合物のロスは4.1重量%であった。尚、式(I)の右辺の計算値は2.5であり、蒸留時間は2.0時間であったことから式(I)の条件範囲内であった。
比較例3
エチレングリコール50gにナトリウムメトキシド0.04gを80℃で溶解させた後、60℃に降温した。これに攪拌しながら、アクリロニトリル78gを反応混合物が50〜60℃を保つように約1時間かけて滴下した。反応液を室温(20℃)まで冷却した後、残りのアクリロニトリル10gを滴下した。滴下後、室温で30分攪拌し、3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジニトリルを合成した。
オートクレーブに、3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジニトリルを20g、酢酸を6.0mmol、MeOHで溶媒置換したラネーニッケル(日興リカ製R−239)5gを仕込んだ。軽く攪拌後オートクレーブを締め、水素置換後液体アンモニアを17g仕込んだ。攪拌下昇温して60℃で水素を5MPaとして2時間反応した後、触媒分離および軽沸成分留去を行い4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミンを得た(純度96重量%)。得られた液中のNi濃度をICP−AESで定量したところ、0.40重量%であった。
得られた4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン(純度96重量%)を130Paの減圧下、413K(140℃)で1.4時間かけて単蒸留を行い、純度99重量%の4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミンを得た。留出分および釜残の組成分析から4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミンのマスバランスを計算したところ、蒸留時の該化合物のロスは8.3重量%であった。尚、式(I)の右辺の計算値は0.9であり、蒸留時間は1.4時間であったことから式(I)の条件範囲外であった。
実施例4
トリメチロールプロパン20gにナトリウムメトキシド0.15gを80℃で溶解させた後、60℃に降温した。これに攪拌しながら、アクリロニトリル24.5gを反応混合物が55〜65℃を保つように約1時間かけて滴下した。滴下後、55〜65℃で2時間攪拌し、1,1,1−トリス(2−シアノエトキシメチル)プロパンを合成した。
オートクレーブに、1,1,1−トリス(2−シアノエトキシメチル)プロパンを20g、酢酸を6.0mmol、MeOHで溶媒置換したラネーコバルト(日興リカ製R−400)5gを仕込んだ。軽く攪拌後オートクレーブを締め、水素置換後液体アンモニアを17g仕込んだ。攪拌下昇温して80℃で水素を5MPaとして4時間反応した後、触媒分離および軽沸成分留去を行い1,1,1−トリス(3−アミノプロポキシメチル)プロパンを得た(純度81重量%)。得られた液中のCo濃度をICP−AESで定量したところ、0.36重量%であった。
得られた1,1,1−トリス(3−アミノプロポキシメチル)プロパン(純度:81重量%)を53Paの減圧下、413K(215℃)で4時間かけて単蒸留を行い、純度82重量%の1,1,1−トリス(3−アミノプロポキシメチル)プロパンを得た。留出分および釜残の組成分析から1,1,1−トリス(3−アミノプロポキシメチル)プロパンのマスバランスを計算したところ、蒸留時の該化合物のロスは4.4重量%であった。(尚、式(I)の右辺の計算値は7.7であり、蒸留時間は4.0時間であったことから式(I)の条件範囲内であった。
本発明の方法によれば、蒸留時の製品ロスを抑制してアミノアルコキシ化合物を精製することができる。

Claims (2)

  1. シアノアルコキシ化合物を液相中で還元して得られるアミノアルコキシ化合物を蒸留する際に、滞留時間、蒸留温度および液相に含まれるニッケル濃度の関係が下記式(I)
    Figure 2005263718
    (式(I)中、[Ni]はNi濃度(重量%)、tは滞留時間(Hr)、Tは蒸留温度(K)を示す
    。)
    を満足する条件で該アミノアルコキシ化合物を留出させることを特徴とするアミノアルコキシ化合物の製造方法。
  2. シアノアルコキシ化合物の還元をニッケル含有化合物の存在下に行う、請求項1に記載のアミノアルコキシ化合物の製造方法。
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