JP2005262751A - 活性エネルギー線硬化樹脂で表面被覆された成形品、およびその製造方法 - Google Patents

活性エネルギー線硬化樹脂で表面被覆された成形品、およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 その表面が良好な耐擦傷性と防汚性とを合わせもった成形品、およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 アルミニウム又はアルミニウムを主体とする合金の成形品の表面が、活性エネルギー線硬化性樹脂を主体とする硬化性皮膜を活性エネルギー線照射により硬化した硬化皮膜で被覆されたことを特徴とする表面処理合金成形品、及び、
i)アルミニウム若しくはアルミニウムを主体とする合金の成形品の表面、又はプラスチック成形品の表面に、活性エネルギー線硬化性樹脂を主体とする硬化性皮膜を形成する工程;及びii)酸素濃度が5体積%以下の雰囲気下で活性エネルギー線を照射して前記硬化性皮膜を硬化する工程;を含むことを特徴とする表面処理成形品の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、比較的軽量で加工性の高いアルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とする合金などの成形品や、アクリル樹脂やポリカーボネートなどのプラスチック板等が活性エネルギー線硬化樹脂で表面被覆された成形品に関するものであり、また、その製造方法にも関する。
軽量な構造材に対する需要に応えて、近年、アルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とする合金からなる金属成形品や、アクリル樹脂やポリカーボネートなどのプラスチック成形品が、各方面で使用されるようになっている。これらの成形品に共通の問題は、その表面が軟らかく、傷つきやすいことである。
従来、金属成形品については、ハードコート層を設けたあとに、金属蒸着層さらにイオンプレーティングによる金属または金属酸化層を設ける方法(特許文献1)、表面に二酸化チタン薄膜の形成させる方法(特許文献2)、剥離フィルムに熱硬化性などを設け、表面に転写にする方法(特許文献3)等が知られているが、これらの方法では、表面の耐擦傷性が不十分であったり、ハードコートの表面に金属層を設ける必要があったり、マジックなどの汚れが拭いても取れ難いなどの問題があった。
また、プラスチック成形品については、その表面にシリコンハードコートを形成する方法(特許文献4、5)、紫外線硬化樹脂を形成する方法(特許文献6)なども知られているが、その作製方法が複雑であったり、表面の耐擦傷性や防汚性が不足している問題もあった。
特開2001−303269号公報 特開2002−285357号公報 特開2003−48251号公報 特開2001−7584号公報 特開2002−60527号公報 特開2001−05726号公報
本発明の目的は、その表面が良好な耐擦傷性と防汚性とを合わせもった成形品、およびその製造方法を提供することである。
発明者らは、金属成形品やプラスチック成形品の表面を、耐擦傷性と防汚性を合わせもった活性エネルギー線硬化樹脂を主体とする硬化皮膜で被覆すること、およびその硬化時の雰囲気の酸素濃度を制御することにより、上記の目的が得られること見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
アルミニウム又はアルミニウムを主体とする合金の成形品の表面が、
活性エネルギー線硬化性樹脂を主体とする硬化性皮膜を活性エネルギー線を照射して硬化した硬化皮膜で被覆されたことを特徴とする表面処理合金成形品、である。
また、本発明は、プラスチック成形品の表面が、活性エネルギー線硬化性樹脂を主体とする硬化性皮膜を活性エネルギー線を照射して硬化した硬化皮膜で被覆されたことを特徴とする表面処理プラスチック成形品、である。
さらに、本発明は、上記表面処理合金成形品又は表面処理プラスチック成形品を製造する方法、すなわち、
i)アルミニウム若しくはアルミニウムを主体とする合金の成形品の表面、又はプラスチック成形品の表面に、活性エネルギー線硬化性樹脂を主体とする硬化性皮膜を形成する工程;及び
ii)酸素濃度が5体積%以下の雰囲気下で活性エネルギー線を照射して前記硬化性皮膜を硬化する工程;
を含むことを特徴とする表面処理成形品の製造方法、も提供する。
活性エネルギー線硬化性樹脂を用いて、成形品の表面を酸素濃度5体積%以下の雰囲気となるように制御して硬化させた硬化皮膜で被覆することにより、得られた成形品の表面は傷がつきにくくなる。さらに表面の水に対する接触角を100°以上にすることにより防汚性が向上し、傷・汚れに強いアルミニウムやポリカーボネート、塩ビ、アクリルなどの成形品を効率よく提供できる。
このような諸機能を有する合金成形品は、アルミ樹脂積層板、アルミ形材などに好適であり、またプラスチック成形品は、カーポートの屋根材、テラスなどの壁材、床材、壁材の表面材などに好適である。
本明細書において「成形品」とは、アルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とする合金、Mg、ZnまたはCu単体のみならず、これらの金属を主体にした合金、たとえばMgを主成分としてこれにAl,Zn,Zr,Cu,Th,Ce,BeおよびREMからなるグループの1種または2種以上の成分を添加した合金からなる金属成形品や、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、シクロオレフィンポリマー、ポリエステルなどの樹脂を鋳造、ダイキャスト、圧延、プレス、切削などの手段で成形したプラスチック成形品を言う。
以下、活性エネルギー線硬化性樹脂から得られた硬化皮膜で表面被覆された本発明の成形品について、更に詳細に説明する。
用いる活性エネルギー線硬化性樹脂としては、好ましくは、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、ビニルエーテル基、アリル基などのエチレン性不飽和基を有する硬化性樹脂であり、特にアクリロイル基を同一分子内に3個以上有する樹脂が好ましい。
なお、同一分子内にエチレン性不飽和基を3個以上含む硬化性樹脂と共に、エチレン性不飽和基を1個もしくは2個含む硬化性樹脂(モノマーあるいはオリゴマー)を併用してもよい。さらに、分子内に3〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーや、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に数個のアクリル酸エステル基を有する分子量が数百から数千のオリゴマーなどを硬化性樹脂として好ましく使用することができる。
これら同一分子内に3個以上のアクリル基を有する硬化性樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールポリアクリレート類、エベクリル1290K、エベクリル−220(ダイセル・ユーシービー(株)製)やポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応あるいはポリオールとアクリロイルオキシエチルイソシアネートとの反応によって得られるウレタンアクリレート、ビスフェノールAなどとグリシジルアクリレートなどの反応によって得られるエポキシアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。
その他の硬化性樹脂としては、スチレン化合物(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル)、1,4−ジビニルシクロヘキサン、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)などを挙げることができる。
さらに硬化性樹脂やそのモノマーとしては、例えば、“光硬化技術データブック 材料編”(テクノネットブックス、テクノネット社)などに記載されているものが用いることができる。
また、同一分子内に3個以上のエチレン性不飽和基を有する硬化性樹脂として、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーも好ましく使用できる。
一般式(2)
Figure 2005262751
以下、一般式(2)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーについて詳細に説明する。
上記一般式(2)中、R2は、水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
2は、一価のエチレン性不飽和基またはエチレン性不飽和基を有する一価の基を表す。
2は、単結合もしくは二価以上の連結基を表し、好ましくは単結合、−O−、アルキレン基、アリーレン基および*側で主鎖に連結する*−COO−、*−CONH−、*−OCO−、*−NHCO−である。
好ましいP2としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、アリル基またはこれらの基のいずれかを含有する一価の基であり、最も好ましくはアクリロイル基またはこれを含有する一価の基である。
前記一般式(2)で表される繰り返し単位のポリマー、あるいは複数種の一般式(2)で表される繰り返し単位で構成されたコポリマーであってもよく、また、一般式(2)以外の繰り返し単位(例えば開環重合性基を含まない繰り返し単位)を含んだコポリマーでもよい。特に架橋性ポリマーのTgや親疎水性をコントロールしたい場合や、架橋性ポリマーの開環重合性基の含有量をコントロールする目的で一般式(2)以外の繰り返し単位を含有するコポリマーとする手法は好適である。一般式(2)以外の繰り返し単位の導入方法は、対応するモノマーを共重合させて導入する手法が好ましい。
一般式(2)以外の繰り返し単位を、対応するビニルモノマーを重合することによって導入する場合、好ましく用いられるモノマーとしては、アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸など)類から誘導されるエステル類(例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−メチル−2−ニトロプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ペンチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−メトキシメトキシエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2−ジメチルブチルアクリレート、3−メト キシブチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、3−ペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、セチルアクリレート、ベンジルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、4−メチル−2−プロピルペンチルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、n−オクタデシルアクリレート、メチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、n−オクタデシルメタクリレート、2−イソボルニルメタクリレート、2−ノルボルニルメチルメタクリレート、5−ノルボルネン−2−イルメチルメタクリレート、3−メチル−2−ノルボルニルメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートなど)、
アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸など)類から誘導されるアミド類(例えば、N−i−プロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド)、アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸(アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸など)、ビニルエステル類(例えば酢酸ビニル)、マレイン酸またはフマル酸から誘導されるエステル類(マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチルなど)、マレイミド類(N−フェニルマレイミドなど)、マレイン酸、フマル酸、p−スチレンスルホン酸のナトリウム塩、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジエン類(例えばブタジエン、シクロペンタジエン、イソプレン)、芳香族ビニル化合物(例えばスチレン、p−クロルスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム)、N−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルサクシンイミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、1−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、ビニリデンクロライド、ビニルアルキルエーテル類(例えばメチルビニルエーテル)、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等が挙げられる。尚、本明細書において、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル酸」は「アクリレート又はメタクリレート」、「アクリロイル又はメタクリロイル」、「アクリル酸又はメタクリル酸」の意味を表す。
これらのビニルモノマーは2種類以上組み合わせて使用してもよい。これら以外のビニルモノマーはリサーチディスクロージャーNo.19551(1980年、7月)に記載されているものを使用することができる。
なかでも、アクリル酸またはメタクリル酸から誘導されるエステル類およびアミド類、ならびに芳香族ビニル化合物が特に好ましく用いられる。
一般式(2)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは、(i)対応するモノマーを重合させて直接エチレン性不飽和基を導入する手法で合成してもよく、(ii)任意の官能基を有するモノマーを重合して得られるポリマーに高分子反応によりエチレン性不飽和基を導入する手法で合成してもよい。また、上記(i)および(ii)の手法を組み合わせて合成することもできる。重合反応としてはラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合などが挙げられる。
上記(i)の方法を用いる場合、重合反応により消費されるエチレン性不飽和基と架橋性ポリマー中に残されるエチレン性不飽和基の重合性の差を利用することにより可能である。例えば、一般式(2)のP2が、アクリロイル基、メタクリロイル基またはこれらのいずれかを含有する一価の基である場合、架橋性ポリマーを生成させる重合反応をカチオン重合とすることで上記(i)の手法によって本発明の架橋性ポリマーを得ることができる。一方、P2がスチリル基またはスチリル基を含有する一価の基である場合は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合のいずれの方法をとってもゲル化が進行しやすいため、通常上記(ii)の手法によって一般式(2)の架橋性ポリマーを合成する。
このように上記(ii)の高分子反応を利用する手法は、一般式(2)中に導入されるエチレン性不飽和基の種類によらず、架橋性ポリマーを得ることが可能であり、有用である。
高分子反応は、(I)例えば2−クロロエチル基から塩酸を脱離させるようなエチレン性不飽和基をプレカーサー化した官能基を含むポリマーを生成させたあとに官能基変換(脱離反応、酸化反応、還元反応など)によりエチレン性不飽和基に誘導する方法と、(II)任意の官能基を含むポリマーを生成させたあとに、該ポリマー中の官能基と結合生成反応が進行して共有結合を生成しうる官能基とエチレン性不飽和基の両方を有する反応性モノマーを反応させる方法が挙げられる。これら(I)、(II)の方法は組み合わせて行ってもよい。
ここで言う結合形成反応とは、一般に有機合成分野で用いられる結合生成反応のなかで共有結合を形成する反応であれば特に制限なく使用できる。一方で、架橋性ポリマーに含まれるエチレン性不飽和基が反応中に熱重合し、ゲル化してしまう場合があるので、できるだけ低温(好ましくは60℃以下、特に好ましくは室温以下)で反応が進行するものが好ましい。また反応の進行を促進させる目的で触媒を用いても良く、ゲル化を抑制する目的で重合禁止剤を用いてもよい。
本発明において、一般式(2)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマー中、一般式(2)で表される繰り返し単位が含まれる割合は、1質量%以上100質量%以下、好ましくは30質量%以上100質量%以下、特に好ましくは50質量%以上100質量%以下である。
一般式(2)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい数重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定、ポリエチレングリコール換算値)の範囲は、1000以上100万以下、さらに好ましくは3000以上20万以下である。最も好ましくは5000以上10万以下である。
活性エネルギー線硬化性樹脂に含まれる(カチオン、アニオン、ラジカルなどの作用により開環重合が進行する)環構造を有する化合物としては、カチオン開環重合性のヘテロ環状化合物又は下記一般式(1)で表される開環重合性基を含有する硬化性樹脂が好ましい。
一般式(1)
Figure 2005262751
一般式(1)中:
1は、水素原子または炭素原子数1から4のアルキル基を表し、
1は、一価の開環重合性基または開環重合性基を有する一価の基を表し、
1は、単結合または二価以上の連結基を表す。
ヘテロ環状化合物としては、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状ラクトン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導 体などの環状イミノエーテル類などが挙げられ、特にエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、オキサゾリン誘導体が好ましい。同一分子内に有する開環重合性基の数は特に制限はなく、2個以上有していればよいが、3個以上の開環重合性基を有する化合物がより好ましい。
同一分子内に2個以上の開環重合性基を有する化合物の具体例としては、例えばグリシジルエーテル類としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど、脂環式エポキシ類としてセロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401、EHPE3150CE(以上、ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど、オキセタン類としてOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX− 1009(以上、東亞合成(株)製)などが挙げられる。その他にグリシジル(メタ)アクリレートの重合体、或いはグリシジル(メタ)アクリレートと共重合 出来るモノマーとの共重合体が挙げられる。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位のポリマー、あるいは複数種の一般式(1)で表される繰り返し単位で構成されたコポリマーであってもよく、また、一般式(1)以外の繰り返し単位(例えば開環重合性基を含まない繰り返し単位)を含んだコポリマーでもよい。特に架橋性ポリマーのTgや親疎水性をコントロールしたい場合や、架橋性ポリマーの開環重合性基の含有量をコントロールする目的で一般式(1)以外の繰り返し単位を含有するコポリマーとする手法は好適である。一般式(1)以外の繰り返し単位の導入方法は、対応するモノマーを共重合させて導入する手法が好ましい。
一般式(1)以外の繰り返し単位を、対応するビニルモノマーを重合することによって導入する場合、好ましく用いられるモノマーとしては、先に一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリマーの説明で挙げたものと同じである。
一般式(1)以外の繰り返し単位として、開環重合性基以外の反応性基を有する繰り返し単位も導入することができる。特に、活性エネルギー線硬化樹脂層の硬度を高めたい場合や、基材もしくは活性エネルギー線硬化樹脂層上に別の機能層を用いる場合の層間の接着性を改良したい場合、開環重合性基以外の反応性基を含むコポリマーとする手法が好適である。開環重合性基以外の反応性基を有する繰り返し単位の導入方法は対応するビニルモノマー(以下、反応性モノマーと称する)を共重合する手法が簡便で好ましい。
以下に反応性モノマーの好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ヒドロキシル基含有ビニルモノマー(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアルコール、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなど)、イソシアネート基含有ビニルモノマー(例えば、イソシアナトエチルアクリレート、イソシアナトエチ ルメタクリレートなど)、N−メチロール基含有ビニルモノマー(例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど)、カルボキシル基含有ビニルモノマー(例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン 酸、カルボキシエチルアクリレート、安息香酸ビニル)、アルキルハライド含有ビニルモノマー(例えばクロロメチルスチレン、2−ヒドロキシ−3−クロロプ ロピルメタクリレート)、酸無水物含有ビニルモノマー(例えばマレイン酸無水物)、ホルミル基含有ビニルモノマー(例えばアクロレイン、メタクロレイン)、スルフィン酸基含有ビニルモノマー(例えばスチレンスルフィン酸カリウム)、活性メチレン含有ビニルモノマー(例えばアセトアセトキシエチルメタクリレート)、酸クロライド含有モノマー(例えばアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド)、アミノ基含有モノマー(例えばアリルアミン)、アルコキシシリル基含有モノマー(例えばメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン)などが挙げられる。上記の反応性モノマーは一般式(2)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーにも適用できる。
本発明において、一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマー中、一般式(1)で表される繰り返し単位が含まれる割合は、1質量%以上100質量%以下、好ましくは30質量%以上100質量%以下、特に好ましくは50質量%以上100質量%以下である。
一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい数重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定、ポリエチレングリコール換算値)の範囲は、1000以上100万以下、さらに好ましくは3000以上20万以下である。最も好ましくは5000以上10万以下である。
また本発明では、硬化性組成物中に微粒子を添加してもよい。微粒子を添加することで活性エネルギー線硬化樹脂層の硬化収縮量を低減できるため、基材との密着性が向上したり、基材がプラスチックフィルムである場合などカールを低減でき好ましい。微粒子としては、無機微粒子、有機微粒子、有機−無機複合微粒子のいずれも使用できる。無機微粒子としては例えば、二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子などが挙げられる。このような無機微粒子は一般に硬質であり、活性エネルギー線硬化樹脂層に充填させることで、硬化時の収縮を改良できるだけではなく、表面の硬度も高めることができる。
一般に、無機微粒子は本発明で用いるポリマーや多官能ビニルモノマーなどの有機成分との親和性が低いため単に混合するだけでは凝集体を形成したり、硬化後の硬化皮膜がひび割れやすくなる場合がある。本発明では無機微粒子と有機成分との親和性を増すため、有機セグメントを含む表面修飾剤で無機微粒子表面を処理することができる。表面修飾剤は、無機微粒子と結合するか無機微粒子に吸着しうる官能基と、有機成分に高い親和性を有する官能基とを同一分子内に有するものが好ましい。
無機微粒子に結合もしくは吸着し得る官能基を有する表面修飾剤としては、シラン、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム等の金属アルコキシド表面修飾剤や、リン酸基、硫酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等のアニオン性基を有する表面修飾剤が好ましく用いられる。
有機成分に親和性を有する官能基としては、単に有機成分と親疎水性を合わせただけのものでもよいが、有機成分と化学的に結合しうる官能基が好ましく、特にエチレン性不飽和基、もしくは開環重合性基が好ましい。
これら表面修飾剤の代表例として、以下の不飽和二重結合含有のカップリング剤や、リン酸基含有有機硬化性樹脂、硫酸基含有有機硬化性樹脂、カルボン酸基含有有機硬化性樹脂等が挙げられる。
有機微粒子としては特に制限がないが、エチレン性不飽和基を有するモノマーからなるポリマー粒子、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等、および本発明における一般式(1)および(2)からなるポリマー粒子が好ましく用いられ、その他に、ポリシロキサン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アセチルセルロース、ニトロセルロース、ゼラチン等の樹脂粒子が挙げられる。これらの粒子は架橋されていることが好ましい。
微粒子の微細化分散機としては、超音波、ディスパー、ホモジナイザー、ディゾルバー、ポリトロン、ペイントシェーカー、サンドグラインダー、ニーダー、アイガーミル、ダイノミル、コボールミル等を用いることが好ましい。また、分散媒としては前述の表面修飾用の溶媒が好ましく用いられる。
微粒子の充填量は、充填後の硬化皮膜層の体積に対して、2〜40体積%が好ましく、3〜25体積%がより好ましく、5〜15体積%が最も好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化後の硬化皮膜の撥水性は大きい方が防汚性は良好になり、水に対する接触角を100°以上にすることが好ましい。100°未満では充分な防汚性、汚れの繰り返しの拭き取り性が低下傾向となる。
硬化皮膜の表面の水に対する接触角を100°以上にするために、硬化樹脂層に活性エネルギー線の照射で硬化する基を有するフッ素原子および/またはケイ素原子を含有する公知のフッ素硬化性樹脂やケイ素硬化性樹脂、あるいはフッ素原子を含有する骨格とケイ素原子を含有する骨格とを有する硬化性樹脂が用いられる。
これらの硬化性樹脂としては、フッ素原子またはケイ素原子を含有するモノマー、あるいはフッ素原子および/またはケイ素原子を含むモノマーの共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体にアクリル基を含有させたポリマーが挙げられる。
フッ素原子を含有するモノマーとしては、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、パーフルオロアルキルスルホンアミドエ チルアクリレート、パーフルオロアルキルアミドエチルアクリレート等に代表されるパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。具体的には、2−パーフルオロオクチルエチルメタアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート(日本メクトロン(株)製)、M− 3633、M−3833、R−3633、R−3833等のアクリレート化合物((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、AFC−1000,AFC− 2000、FA−16等(共栄社化学(株)製)、メガファック531A(大日本インキ(株)製)などの重合性基を含有するフッ素化合物が挙げられる。
ケイ素原子を含有する含有モノマーとしては、ポリジメチルシロキサンと(メタ)アクリル酸等の反応によるシロキサン基を有するモノマーが挙げられる。末端(メタ)アクリレートのシロキサン化合物の具体例としては、X−22−164A、X−22−164B、X−22−164C、X−22−2404、X−22−174D、X−22−8201、X−22−2426(信越化学工業(株)製)、RMS−033、RMS−083、RMS−182(Gelest.Inc.)などが挙げられる。
本発明で用いられる活性エネルギー線としては、放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線等の電離放射線を用いることが好ましく、安全性、生産性を考えると電子線、紫外線を用いることがより好ましい。
また、硬化した後、後加熱することによりさらに硬化を進行させることができる場合があり、好ましく用いることができる。
活性エネルギー線の照射方法は、成形品の形状により、2方向以上の照射装置を設置したり、成形品を回転させたりすることが出来、成形品に均一に照射することが好ましい。
本発明では、活性エネルギー線照射の際の雰囲気を窒素やアルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス置換等により酸素濃度を5体積%以下、好ましくは1体積%以下することが特徴である。酸素濃度を抑えることにより、酸素による活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化阻害を防ぐこと出来る。具体的には、用いられるラジカル発生剤、カチオン又は酸発生剤等の反応が阻害されるのを防ぐことができ、特に表面の硬度が大きい硬化層を形成することができる。酸素濃度が高くなると所望の表面硬度を得ることが出来ず、表面の耐擦傷性は劣ったものになる。
酸素濃度の制御には、窒素などの不活性ガスを流し、活性エネルギー線照射部の雰囲気を制御しながら照射したり、石英ガラスなどで仕切った不活性ガスで置換したゾーン内に活性エネルギー線硬化性樹脂を塗布した成形品をいれ、活性エネルギー線を照射したりする方法が挙がられる。
酸素濃度が大きくなると、表面近傍の重合性二重結合が未反応で残存するようになり、表面硬度が低下する。このような表面近傍の未反応重合性基量は、照射前の量に対し10モル%以下になっていることが好ましく、更に7モル%以下になっていることが好ましい。表面の未反応重合性基量は、例えば赤外吸収スペクトルや固体NMRやその他の方法で調べることが出来る。
活性エネルギー線を照射する温度のさらに50℃以上の温度で硬化させることが好ましいが、基材の耐熱性を考慮して温度を調整することが好ましい。基材の耐熱性が十分であれば、一般的には、温度は50℃乃至140℃が好ましく、50℃乃至100℃がより好ましい。具体的な方法としては、活性エネルギー線硬化性樹脂を乾燥するための乾燥温度を保持させた状態で硬化させたり、熱ロールに巻き付けながら硬化させたり、活性エネルギー線を照射するゾーンを仕切り、蒸気、ヒーターなどで温度制御したり、活性エネルギー線照射装置の熱によりゾーン内を温め、硬化させる方法などが挙げられる。
活性エネルギー線が紫外線の場合、開始剤としてラジカルを発生させるラジカル発生剤を用いることが好ましい。具体的には、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、及びチオキサントンなどの公知のラジカル発生剤を使用することが好ましい。また通常、光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども紫外線照射によりラジカル発生剤として作用するため、本発明ではこれらを用いてもよい。
また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブ チルホスフィン、およびチオキサントン誘導体等が含まれる。
紫外線によってカチオンを発生させるカチオン発生剤としては、トリアリールスルホニウム塩やジアリールヨードニウム塩やスルホン酸のニトロベンジルエステルなどの非イオン性の化合物などの公知の光カチオン発生剤が使用できる。この中で特に好ましくはスルホニウム塩もしくはヨードニウム塩であり、対イオンとしてはPF 、SbF 、AsF 、B(C などが好ましい。
この中でも、特に好ましくはヨードニウム塩であり、対イオンとしてはPF 、SbF が好ましい。
上記の開始剤については、John Willy and Sons、“Photoinitiators for Free Radical Cationic & Anionic Photopolymerization 2nd Edition”(1998)、有機エレクトロニクス材料研究会編、"イメージング用有機材料"ぶんしん出版社刊 (1997)に記載されている種々の開始剤を使用することが出来る。
本発明で用いる各種重合開始剤は、単独でも2種以上組み合わせて用いてもよいし、また、単独でラジカルとカチオンの両方を発生させるような硬化性樹脂の場合などは1種単独で用いることができる。重合開始剤の添加量としては、硬化性樹脂中に含まれるエチレン性不飽和基含有硬化性樹脂や開環重合性基含有硬化性樹脂の総質量に対し、0.1〜15質量%の範囲で使用することが好ましく、1〜10質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂には、さらに着色剤(顔料、染料)、消泡剤、増粘剤、レベリング剤、帯電防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤や改質用樹脂など、従来公知の添加剤を添加してもよい。特に、ポリカーボネート、塩ビ、PET等(これらは耐光性が良好でない)では、活性エネルギー線硬化性樹脂中に紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。
成形品表面での活性エネルギー線硬化性樹脂層の塗布・塗装(ここでは、「形成」ともいう。)は、樹脂単独でも、有機溶媒を媒体として用いて調製してもよく、有機溶媒で希釈して調整することが、粘度などの調節が出来、好ましい。有機溶媒の例にはアルコール類(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル類(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素類(例、ヘキサン、シク ロヘキサン)、アミド類(例、n−メチルピロリドン)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール類(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。これらの溶媒は単独でも2種以上併用して用いることができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂塗布液の成形品への塗布・塗装方式としては、成形品の形状に合った塗布・塗装方式で行うことが出来、具体的には、カーテンコーティング法、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、印刷コーティング法、ロールコーター法、グラビア法、ワイヤーバー法、単層または重層スロットエクストルージョンコーター方、スライドコーター法などの公知の塗布方式が挙げられる。
硬化後の活性エネルギー線硬化樹脂層の鉛筆硬度が優れるためには、活性エネルギー線硬化樹脂層の硬度がある程度大きいことが好ましい。硬度の観点から、活性エネルギー線硬化樹脂層の表面弾性率は4.0GPa程度以上が好ましく、より好ましくは4.5GPa以上である。表面弾性率が4.0GPa未満の活性エネルギー線硬化樹脂層では、十分な鉛筆硬度及び耐擦傷性が得られない。なお、上記の表面弾性率をユニバーサル硬度で表すと、その値は250N/mm程度以上が好ましく、より好ましくは300N/mm以上である。
上記表面弾性率は、微小表面硬度計((株)フィッシャー・インスツルメンツ製:フィッシャースコープH100VP−HCU)を用いて求めた値である。具体的には、ダイヤモンド製の四角錐圧子(先端対面角度;136°)を使用し、押し込み深さが1μmを超えない範囲で、適当な試験荷重下での押し込み深さを測定し、除荷重時の荷重と変位の変化から求められる弾性率である。
また、前述の微小表面硬度計を用いて表面硬度をユニバーサル硬度として求めることもできる。ユニバーサル硬度は四角錐圧子の試験荷重下での押し込み深さを測定し、試験荷重をその試験荷重で生じた圧痕の幾何学的形状から計算される圧痕の表面積で割った値である。
上記の表面弾性率とユニバーサル硬度の間には、正の相関を有することが知られている。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1〜3、参考例1
活性エネルギー線硬化性樹脂を含む下記組成の塗液(1)を作製し、1mm厚アルミニウム(1000系)板に、硬化後の膜厚が10μmになるようにスライドコーターで塗設し、乾燥した後、窒素ガスを供給しながら酸素濃度を変化させ紫外線照射し、表面処理アルミニウムを作製した。紫外線の照射量は750mJ/cm、照射時の温度は70℃で行った。
塗液(1)
・エベクリル1290K(ダイセル・ユーシービー(株)製):100質量部
・イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製):4質量部
・メガファック531A(大日本インキ(株)製):2質量部(参考例1は0質量部)
・メチルエチルケトン:25質量部
・メチルイソブチルケトン:25質量部
比較例1
酸素濃度を21%で紫外線の照射を行ったものを実施例1と同様に作製した。
実施例4〜6、参考例2
活性エネルギー線硬化性樹脂を含む下記組成の塗液(2)を作製し、3mm厚のポリカーボネート板に、硬化後の膜厚が15μmになるようにディッピング法で塗設し、乾燥した後、窒素ガスで酸素濃度を変化させた石英ガラスの箱に配置し、紫外線照射し、表面処理カーボネート板を作製した。紫外線の照射量は1000mJ/cm、照射時の温度は50℃で行った。
塗液(2)
・TMPTA(ダイセル・ユーシービー(株)製):100質量部
・ポリグリシジルメタクリレート(MW=13000):25質量部
・イルガキュア819(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製):4質量部
・ロードシル2074(ローディア製):1質量部
・メガファック531A(大日本インキ(株)製):5質量部(参考例2は0質量部)
・チヌビン328(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製):3質量部
・メチルエチルケトン:50質量部
・メチルイソブチルケトン:25質量部
比較例2
酸素濃度を21%で紫外線の照射を行ったものを実施例4と同様に作製した。
作製した成形品の表面特性の測定結果を表1に示す。それぞれの測定法は以下の方法で行った。
・鉛筆硬度試験;鉛筆引っ掻き試験の硬度は、作製した活性エネルギー線硬化樹脂被覆成形品を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS−K−5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、9.8Nの荷重にて傷が認められない鉛筆の硬度を求めた。
・耐擦傷性;#0000のスチールウールを用い、2N/cmの荷重をかけ、50往復擦った後、表面の傷を観察した(傷が見えないものを○、僅かに見えるものを△、傷がはっきり見えるものを×とした)。
・接触角; Contact−Angle meter(協和界面化学(株)製10927)を用いて水の接触角を測定した。
・防汚性;成形品表面に書いた速乾性油性インキ(ゼブラ製、「マッキーケア」(登録商標))を東レ(株)製「トレシー」(登録商標)を用いて数回擦ってふき取った状態の評価(○は書いた跡が完全にふき取れた状態(20回以上の繰り返し)、△は一部がふき取れずに残った状態(10回程度の繰り返し)、×は大部分がふき残った状態(数回の繰り返し))。
・汚れ拭取り性;表面についた指紋を東レ(株)製「トレシー」(登録商標)を用いて拭取った時の取れ易さを評価した(○は軽い力で数回でとれるもの、×は力をこめて擦って取れるもの、△は中間のもの)。
・重合性基の量;活性エネルギー線照射前後の赤外吸収スペクトルの変化から求めた。照射後の量は、硬化層の表面層を削り出して測定し、810cm−1付近の変化を1730cm−1のエステル基の吸収で規格化し残存量を求めた。
Figure 2005262751
表1に示すように、本発明の成形品は2H以上の鉛筆硬度を有し、対擦傷性に優れ、防汚性及び汚れ拭き取り性に優れており、残存二重結合量も少なかった。

Claims (6)

  1. アルミニウム又はアルミニウムを主体とする合金の成形品の表面が、
    活性エネルギー線硬化性樹脂を主体とする硬化性皮膜に活性エネルギー線を照射して硬化した硬化皮膜で被覆されたことを特徴とする
    表面処理合金成形品。
  2. プラスチック成形品の表面が、
    活性エネルギー線硬化性樹脂を主体とする硬化性皮膜に活性エネルギー線を照射して硬化した硬化皮膜で被覆されたことを特徴とする
    表面処理プラスチック成形品。
  3. 活性エネルギー線硬化性樹脂の主成分が、(メタ)アクリロイル基を含有する樹脂である
    請求項1又は2に記載の表面処理成形品。
  4. 該硬化皮膜の水に対する接触角が100°以上である
    請求項1ないし3のいずれか1つに記載の表面処理成形品。
  5. 該硬化皮膜の表面近傍の未反応(メタ)アクリロイル基量が照射前の量に対し10モル%以下である
    請求項1ないし4のいずれか1つに記載の表面処理成形品。
  6. アルミニウム若しくはアルミニウムを主体とする合金の成形品又はプラスチック成形品の表面に、活性エネルギー線硬化性樹脂を主体とする硬化性皮膜を形成する工程、及び、
    酸素濃度が5体積%以下の雰囲気下で活性エネルギー線を照射して前記硬化性皮膜を硬化する工程を含むことを特徴とする
    表面処理成形品の製造方法。

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