JP2005272708A - 表面処理ポリカーボネート成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 表面硬度や耐擦傷性が高く、防汚性を有する硬化物が得られる硬化性組成物を提供し、またこれをポリカーボネート成形品に塗布、硬化させることで、磨耗、変質、変色などから保護された表面処理ポリカーボネート成形品を提供すること。
【解決手段】 表面硬度が150N/mm2以上320N/mm2以下で、鉛筆硬度が3H以上である硬化皮膜が表面に形成されている表面処理ポリカーボネート成形品。ポリカーボネート成形品の表面に形成させる硬化皮膜は、同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基とウレタン結合を含む化合物を含有し、かつその成分中のアクリル官能基当量が120〜200g/当量の範囲にある硬化性組成物を用いて、そのエチレン性不飽和基を重合・硬化させて形成する。
【選択図】 なし
【解決手段】 表面硬度が150N/mm2以上320N/mm2以下で、鉛筆硬度が3H以上である硬化皮膜が表面に形成されている表面処理ポリカーボネート成形品。ポリカーボネート成形品の表面に形成させる硬化皮膜は、同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基とウレタン結合を含む化合物を含有し、かつその成分中のアクリル官能基当量が120〜200g/当量の範囲にある硬化性組成物を用いて、そのエチレン性不飽和基を重合・硬化させて形成する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ポリカーボネート基材の硬度の低さを改善するために、その表面が処理された表面処理ポリカーボネート成形品に関する。
ポリカーボネートは軽量で機械的性質が高く、透明性に優れ、加工が容易であることから、各種の建築物、自動車等の窓材や構造材等として多く使用されている。しかしながら、ポリカーボネートは表面硬度、耐磨耗性、耐擦傷性、耐溶剤性などの表面特性が金属やガラスと比べて劣っている。そのため、ポリカーボネートの表面特性を改良するために、色々な表面処理が行われている。
例えば、ポリカーボネート基板表面にメラミン樹脂塗料を塗布して熱硬化によって保護膜を形成する方法(特許文献1〜3)や、ポリカーボネート基板表面にオルガノシロキサン化合物の加水分解生成物を塗布して熱硬化によってオルガノシロキサンからなる保護膜を形成する方法(特許文献4,5)等である。
また、加熱硬化に代わる方法として、多官能性のアクリレート系化合物を塗料として用い、紫外線や電子線等の活性光線を照射することによって硬化樹脂に変え、合成樹脂保護膜を形成する方法も知られている。
例えば、ポリカーボネート基板表面に(メタ)アクリル酸エステルを塗布して紫外線硬化によって保護膜を形成する方法(特許文献6)や、ポリカーボネート基板表面にアクリル酸エステルを塗布して紫外線硬化によって保護膜を形成する方法(特許文献7)等である。
しかし、上記熱硬化によって保護膜を形成する方法では、高温かつ長時間の厳しい条件での処理を必要とし、この処理によってポリカーボネート成形品が本来の優れた機械的性質を損なう危険が大きくなり、さらには保護膜にひび割れが起こりやすく、耐傷性及び耐久性を両立させることができない問題がある。
また、上記紫外線硬化によって保護膜を形成する方法では、硬化被膜の表面硬度は十分に満足できるものではなく、更に硬化に伴う収縮が大きすぎるため、表面にひび割れが生じやすい問題がある。
本発明の目的は、これら従来技術の欠点を改善し、表面硬度や耐擦傷性が高く、防汚性を有する硬化物が得られる硬化性組成物を提供すると共に、該硬化性組成物をポリカーボネート成形品に塗布、硬化させることで、磨耗、変質、変色などから保護された表面処理ポリカーボネート成形品を提供することにある。
また、上記紫外線硬化によって保護膜を形成する方法では、硬化被膜の表面硬度は十分に満足できるものではなく、更に硬化に伴う収縮が大きすぎるため、表面にひび割れが生じやすい問題がある。
本発明の目的は、これら従来技術の欠点を改善し、表面硬度や耐擦傷性が高く、防汚性を有する硬化物が得られる硬化性組成物を提供すると共に、該硬化性組成物をポリカーボネート成形品に塗布、硬化させることで、磨耗、変質、変色などから保護された表面処理ポリカーボネート成形品を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明では以下の構成をとった。すなわち、本発明は、
表面硬度が150N/mm2以上320N/mm2以下で、鉛筆硬度が3H以上である硬化皮膜が表面に形成されていることを特徴とする表面処理ポリカーボネート成形品である。
表面硬度が150N/mm2以上320N/mm2以下で、鉛筆硬度が3H以上である硬化皮膜が表面に形成されていることを特徴とする表面処理ポリカーボネート成形品である。
上記表面硬度及び鉛筆硬度を得るために、ポリカーボネート成形品の表面に形成させる硬化皮膜の好ましい形成方法は、同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基とウレタン結合を含む化合物を含有し、かつその成分中のアクリル官能基当量が120〜200g/当量の範囲にある硬化性組成物を用いて、そのエチレン性不飽和基を重合・硬化させて硬化皮膜とする方法である。
また、上記表面硬度及び鉛筆硬度を得るために、ポリカーボネート成形品の表面に形成させる硬化皮膜の別の好ましい方法は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーと、同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物の両方を含有する硬化性組成物を用いて、前記架橋性ポリマー中の開環重合性基と前記エチレン性不飽和基の両方を重合・硬化させて硬化皮膜とする方法である。
一般式(1)
一般式(1)
更に、高い防汚性を得るために、ポリカーボネート成形品の表面に形成させる硬化皮膜の好ましい形成方法は、上記同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基とウレタン結合を含む化合物を含有する硬化性組成物、または上記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーと、同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物の両方を含有する硬化性組成物に、フッ素原子および/またはケイ素原子を含む防汚剤を含有させて、重合・硬化させて硬化皮膜とする方法である。この硬化皮膜をエッチングESCAで測定した時に、F/CまたはSi/Cの比が(硬化皮膜内部のF/CまたはSi/C)/(硬化皮膜表面のF/CまたはSi/C)≧1/20を満足する場合に、高い防汚性を得ることができる。
なお、硬化皮膜表面の元素量はエッチングESCAにおいて、電子線強度12kV/20mAで5秒間エッチングした時の元素量、硬化皮膜内部の元素量は、同条件で100〜500秒間エッチングした時の平均の元素量を示す。
本発明で用いる硬化性組成物は、基材であるポリカーボネートに、高硬度、防汚性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐溶剤性、耐湿性及び/又は密着性等が優れたハードコート表面層を施すことができ、かかるハードコート表面層が施された表面処理ポリカーボネート成形品は、建築材料として好適に用いられる。
以下、本発明の表面処理ポリカーボネート成形品を更に詳しく説明する。
本発明で用いるポリカーボネート基材は、芳香族二価フェノール類、代表的にはビスフェノールAとポリカーボネート前駆体、例えばホスゲンとを、特開平13−322197号公報などに記載の公知の方法によって重合させて得られるポリカーボネート樹脂を、板、その他の形状に成形して得られる成形品をいう。
本発明で用いるポリカーボネート基材は、芳香族二価フェノール類、代表的にはビスフェノールAとポリカーボネート前駆体、例えばホスゲンとを、特開平13−322197号公報などに記載の公知の方法によって重合させて得られるポリカーボネート樹脂を、板、その他の形状に成形して得られる成形品をいう。
本発明の表面処理ポリカーボネート成形品は表面硬度が高すぎるとひび割れが起こり、表面硬度が低いと耐擦傷性が悪くなる。表面処理ポリカーボネート成形品の表面硬度は、微小表面硬度計((株)フィッシャー・インスツルメンツ製:フィッシャースコープH100VP−HCU)で測定される表面硬度で表すことができる。この場合の表面硬度は、好ましくは150N/mm2〜320N/mm2、より好ましくは200N/mm2〜320N/mm2、特に好ましくは250N/mm2〜320N/mm2である。
本発明の表面処理ポリカーボネート成形品は鉛筆硬度が高いことも特徴である。表面処理ポリカーボネート成形品表面の鉛筆硬度はJIS K5400で定義される鉛筆硬度で表すことができ、ハードコート処理ポリカーボネート成形品のハードコート処理表面を直接鉛筆で引っかくことによって鉛筆硬度を評価することができる。この場合の鉛筆硬度は、3H以上であることが必要であり、より好ましくは4H以上、特に好ましくは5H以上である。
本発明のハードコート処理ポリカーボネート成形品において、上記の表面硬度で3H以上の鉛筆硬度を達成するためには、ハードコート層の膜厚を厚めにしなければならないことが明らかとなった。ハードコート層の膜厚を厚めにすることで本発明の特徴である鉛筆硬度が高く、ひび割れや膜剥れが生じにくいという効果が顕著に現れる。好ましい膜厚としては、5〜200μmであり、より好ましくは10〜100μmであり、さらに好ましくは15〜60μmであり、その中でも特に好ましくは20〜40μmである。従来の多くのハードコート層の膜厚は3〜5μm程度であり、本発明のように厚膜にすることで耐久性を損なうことなく高い鉛筆硬度が得られることは、予想外であった。
本発明のポリカーボネート成形品において高い防汚性を達成するためには、防汚剤が硬化皮膜全体に分布しなければならないことが明らかとなった。この硬化皮膜をエッチングESCAで測定したときに、硬化皮膜内部のF/CまたはSi/Cと硬化皮膜表面のF/CまたはSi/Cとの比、すなわち、(硬化皮膜内部のF/CまたはSi/C)/(硬化皮膜表面のF/CまたはSi/C)が、好ましくは1/20以上であり、より好ましくは1/15以上であり、さらに好ましくは1/10以上である。
以下、本発明で用いることのできる同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物について説明する。好ましいエチレン性不飽和基の種類は、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、ビニルエーテル基であり、特に好ましくはメタクリロイル基又はアクリロイル基であり、特に好ましくはアクリロイル基である。エチレン性不飽和基を含む化合物はエチレン性不飽和基を分子内に2個以上有していればよいが、より好ましくは3個以上である。そのなかでもアクリロイル基を有する化合物が好ましく、分子内に2〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に数個のアクリル酸エステル基を有する分子量が数百から数千のオリゴマーを好ましく使用できる。
これら分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物の好ましい具体例としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールポリアクリレート類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート等のエポキシアクリレート類、ポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を挙げることができる。また、このような化合物は市販もされていて、EB−600、EB−40、EB−140、EB−1150、EB−1290K、IRR214、EB−2220,TMPTA、TMPTMA(以上、ダイセル・ユーシービー(株)製)、UV−6300、UV−1700B(以上、日本合成化学工業(株)製)などが挙げられる。
上記で挙げた分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物のなかでも特に好ましい化合物として分子内に3個以上のアクリロイル基を有しアクリロイル当量が120以下の化合物が挙げられ、具体例としてはトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられる。
上記で挙げた分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物のなかでも特に好ましい化合物として分子内に3個以上のアクリロイル基を有しアクリロイル当量が120以下の化合物が挙げられ、具体例としてはトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられる。
次に、本発明で用いることのできる同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基とウレタン結合を含む化合物について説明する。同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基とウレタン結合を含む化合物は、ポリイソシアネートとポリオールとの縮合生成物から得ることができる。例えば、メチレン・ビス(p−フェニレンジイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート・ヘキサントリオールの付加体、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体、1,5−ナフチレンジイソシアネート、チオプロピルジイソシアネート、エチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、2,4トリレンジイソシアネート二量体、水添キシリレンジイソシアネート、トリス(4−フェニルイソシアネート)チオフォスフエ−トなどから選択したものと、次のポリオールとの反応によって得られるものである。ポリオールの例としては、ポリオキシテトラメチレングリコールなどのポリエーテル系ポリオール、ポリアジペートポリオール、ポリカーボネートポリオールなどのポリエステル系ポリオール、アクリル酸エステル類とヒドロキシエチルメタアクリレートとのコポリマーなどがある。
これらの同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基とウレタン結合を含む化合物のアクリル官能基当量は120〜200g/当量であることが必要であり、より好ましくは120〜150である。官能基当量が200を超えると架橋密度が低く硬度が不充分となり、120未満では架橋密度が高く高硬度となるが、ハードコート表面がひび割れる。
次に、本発明で用いる一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーについて詳細に説明する。
一般式(1)
一般式(1)中、R1は水素原子もしくは炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、好ましくは水素原子もしくはメチル基である。L1は単結合もしくは二価の連結基であり、好ましくは単結合、−O−、アルキレン基、アリーレン基および*側で主鎖に連結する*−COO−、*−CONH−、*−OCO−、*−NHCO−である。P1は開環重合性基を含む一価の基である。開環重合性基を含む一価の基とはカチオン、アニオン、ラジカルなどの作用により開環重合が進行する環構造を有する一価の基であり、この中でもヘテロ環状化合物のカチオン開環重合が好ましい。好ましいP1としては、エポキシ環、オキセタン環、テトラヒドロフラン環、ラクトン環、カーボネート環、オキサゾリン環などのイミノエーテル環などを含む一価の基が挙げられ、この中でも特に好ましくはエポキシ環、オキセタン環、オキサゾリン環を含む一価の基であり、最も好ましくはエポキシ環を含む一価の基である。
本発明で用いる一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは、対応するモノマーを重合させて合成することが簡便で好ましい。この場合の重合反応としてはラジカル重合が最も簡便で好ましい。
以下に一般式(1)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に一般式(1)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明で用いる一般式(1)で表される繰り返し単位のうち、より好ましい例としては、エポキシ環を有するメタクリレートまたはアクリレートから誘導される繰り返し単位であり、その中でも特に好ましい例としてグリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートから誘導されるE−1、E−3をあげることができる。また、本発明で用いる一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは、複数種の一般式(1)で表される繰り返し単位で構成されたコポリマーであってもよく、その中でも特にE−1、E−3いずれかのコポリマーとすることでより効果的に硬化収縮を低減できる。
本発明で用いる一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは、一般式(1)以外の繰り返し単位(例えば開環重合性基を含まない繰り返し単位)を含んだコポリマーでもよい。特に架橋性ポリマーのTgや親疎水性をコントロールしたい場合や、架橋性ポリマーの開環重合性基の含有量をコントロールする目的で一般式(1)以外の繰り返し単位を含んだコポリマーとすることができる。一般式(1)以外の繰り返し単位の導入方法は、対応するモノマーを共重合させて導入する手法が好ましい。
一般式(1)以外の繰り返し単位を、対応するビニルモノマーを共重合することによって導入する場合、好ましく用いられるモノマーとしては、アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸など)類から誘導されるエステル類もしくはアミド類(例えば、N−i−プロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−メチル−2−ニトロプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ペンチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−メトキシメトキシエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2−ジメチルブチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、3−ペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、セチルアクリレート、ベンジルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、4−メチル−2−プロピルペンチルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、n−オクタデシルアクリレート、メチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、n−オクタデシルメタクリレート、2−イソボルニルメタクリレート、2−ノルボルニルメチルメタクリレート、5−ノルボルネン−2−イルメチルメタクリレート、3−メチル−2−ノルボルニルメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートなど)、
アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸(アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸など)、ビニルエステル類(例えば酢酸ビニル)、マレイン酸またはフマル酸から誘導されるエステル類(マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチルなど)、マレイミド類(N−フェニルマレイミドなど)、マレイン酸、フマル酸、p−スチレンスルホン酸のナトリウム塩、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジエン類(例えばブタジエン、シクロペンタジエン、イソプレン)、芳香族ビニル化合物(例えばスチレン、p−クロルスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム)、N−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルサクシンイミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、1−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、ビニリデンクロライド、ビニルアルキルエーテル類(例えばメチルビニルエーテル)、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等が挙げられる。これらのビニルモノマーは2種類以上組み合わせて使用してもよい。これら以外のビニルモノマーはリサーチディスクロージャーNo.1955(1980年、7月)に記載されているものを使用することができる。本発明ではアクリル酸またはメタクリル酸から誘導されるエステル類、およびアミド類、および芳香族ビニル化合物が特に好ましく用いられるビニルモノマーである。
一般式(1)以外の繰り返し単位として開環重合性基以外の反応性基を有する繰り返し単位も導入することができる。特に、ハードコート層の硬度を高めたい場合や、基材もしくはハードコート上に別の機能層を設ける場合の層間の接着性を改良したい場合、開環重合性基以外の反応性基を含むコポリマーとする手法は好適である。開環重合性基以外の反応性基を有する繰り返し単位の導入方法は対応するビニルモノマー(以下、「反応性モノマー」と称する。)を共重合する手法が簡便で好ましい。
本発明で用いる硬化性組成物が、一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーと、同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物の両方を含有する場合、一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーと、同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物との好ましい混合比は用いる化合物の種類によっても異なるが、エチレン性不飽和基を含む化合物の割合が30質量%以上90質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは50質量%以上80質量%以下である。
本発明で用いる硬化性組成物が、一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーと、同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物の両方を含有する場合、エチレン性不飽和基を含む化合物と開環重合性基を含む化合物の両方の化合物の架橋反応が進行することが好ましい。エチレン性不飽和基の好ましい架橋反応はラジカル重合反応であり、開環重合性基の好ましい架橋反応はカチオン重合反応である。いずれの場合も熱および/または光の作用により、重合反応を進行させることができる。通常、重合開始剤と称される少量のラジカル発生剤もしくはカチオン発生剤(もしくは酸発生剤)を添加し、熱および/または光によりこれらを分解し、ラジカルもしくはカチオンを発生させ重合を進行させる方法が一般的である。ラジカル重合とカチオン重合は別々に行ってもよいが、同時に進行させることが好ましい。ラジカル発生剤を添加せずに架橋反応を進行させる方法として単に加熱する方法もあるが、電子線を照射する方法が好ましく用いられる。
次に、本発明で用いることのできるフッ素原子および/またはケイ素原子と活性エネルギー線重合性基を有する化合物(防汚剤)について説明する。ハードコート層に用いられる、防汚剤としての上記硬化性樹脂の具体的な例としては、フッ素原子および/またはケイ素原子を含有するモノマー、あるいはフッ素原子および/またはケイ素原子を含むモノマーの共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体にアクリル基を含有させたポリマーが挙げられる。フッ素含有モノマーとしては、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、パーフルオロアルキルスルホンアミドエチルアクリレート、パーフルオロアルキルアミドエチルアクリレート等に代表されるパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。具体的には、2−パーフルオロオクチルエチルメタアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート(日本メクトロン(株)製)、M−3633、M−3833、R−3633、R−3833等のアクリレート化合物((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、AFC−1000,AFC−2000、FA−16等(共栄社化学(株)製)、メガファック531A(大日本インキ(株)製)などの重合性基を含有する化合物が挙げられる。フッ素を含有する共重合体としては、主鎖が炭素原子のみからなり、かつ、含フッ素ビニルモノマー重合単位と側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位とを含んでなる共重合体があり、具体的には下記一般式(2)で表される共重合体が挙げられる。
(一般式(2)中、Mfは含フッ素ビニルモノマー、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、mは0または1を表す。Xは水素原子またはメチル基を表す。Aは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し30≦x≦60、40≦y≦80、0≦z≦65を満たす値を表す。)
一般式(2)におけるMfで表される含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やM−2020(商品名、ダイキン製)等)、パーフルオロアルキルスルホン酸メタアクリルアミド、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、パーフルオロオレフィン類が好ましく、溶解性、透明性、入手性等の観点からはヘキサフルオロプロピレンが特に好ましい。本発明の共重合体は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位を必須の構成成分として有する。共重合体への(メタ)アクリロイル基の導入法は特に限定されるものではないが、例えば、1)水酸基、アミノ基等の求核基を有するポリマーを合成した後に、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸とメタンスルホン酸の混合酸無水物等を作用させる方法、2)上記求核基を有するポリマーに、硫酸等の触媒存在下、(メタ)アクリル酸を作用させる方法、3)上記求核基を有するポリマーにメタクリロイルオキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、4)エポキシ基を有するポリマーを合成した後に(メタ)アクリル酸を作用させる方法、5)カルボキシル基を有するポリマーにグリシジルメタクリレート等のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、6)3―クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーを重合させた後で脱塩化水素を行う方法などが挙げられる。これらの中で本発明では特に水酸基を含有するポリマーに対して1)または2)の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入することが好ましい。
一般式(2)におけるMfで表される含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やM−2020(商品名、ダイキン製)等)、パーフルオロアルキルスルホン酸メタアクリルアミド、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、パーフルオロオレフィン類が好ましく、溶解性、透明性、入手性等の観点からはヘキサフルオロプロピレンが特に好ましい。本発明の共重合体は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位を必須の構成成分として有する。共重合体への(メタ)アクリロイル基の導入法は特に限定されるものではないが、例えば、1)水酸基、アミノ基等の求核基を有するポリマーを合成した後に、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸とメタンスルホン酸の混合酸無水物等を作用させる方法、2)上記求核基を有するポリマーに、硫酸等の触媒存在下、(メタ)アクリル酸を作用させる方法、3)上記求核基を有するポリマーにメタクリロイルオキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、4)エポキシ基を有するポリマーを合成した後に(メタ)アクリル酸を作用させる方法、5)カルボキシル基を有するポリマーにグリシジルメタクリレート等のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、6)3―クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーを重合させた後で脱塩化水素を行う方法などが挙げられる。これらの中で本発明では特に水酸基を含有するポリマーに対して1)または2)の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入することが好ましい。
これらの(メタ)アクリロイル基含有重合単位の組成比を高めれば皮膜強度は向上し、含フッ素ビニルモノマー重合単位の種類によっても異なるが、一般に(メタ)アクリロイル基含有重合単位は40〜80モル%を占めることが好ましく、45〜75モル%を占めることがより好ましく、50〜70モル%を占めることが特に好ましい。
本発明に有用な共重合体では上記含フッ素ビニルモノマー重合単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位以外に、一般式(2)におけるAで表される、基材への密着性、ポリマーのTgの調整(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合することもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40モル%の範囲であることがより好ましく、0〜30モル%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2‐ヒドロキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル等)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N,N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
一般式(2)中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していてもよい。好ましい例としては、*‐(CH2)2−O−**、 *−(CH2)2−NH−**、 *−(CH2)4−O−**、 *−(CH2)6−O−**、 *−(CH2)2−O−(CH2)2−O−**、 −CONH−(CH2)3−O−**、 *−CH2CH(OH)CH2−O−*、 *−CH2CH2OCONH(CH2)3−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表す。
一般式(2)中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、30≦x≦60、40≦y≦80、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、50≦y≦70、0≦z≦10の場合である。
ケイ素含有モノマーとしてはポリジメチルシロキサンと(メタ)アクリル酸等の反応によるシロキサン基を有するモノマーが挙げられる。末端(メタ)アクリレートのシロキサン化合物の具体例としては、X−22−164A、X−22−164B、X−22−164C、X−22−2404、X−22−174D、X−22−8201、X−22−2426(信越化学工業(株)製)などが挙げられる。
光の作用によってカチオンを発生させる光酸発生剤としては、トリアリールスルホニウム塩やジアリールヨードニウム塩などのイオン性の化合物やスルホン酸のニトロベンジルエステルなどの非イオン性の化合物が挙げられ、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」ぶんしん出版社刊(1997)などに記載されている化合物等種々の公知の光酸発生剤が使用できる。この中で好ましくはスルホニウム塩もしくはヨードニウム塩であり、対イオンとしてはPF6 −、SbF6 −、AsF6 −、B(C6F5)4 −などが好ましい。
光の作用によりラジカルを発生させる重合開始剤の例としてはアセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物等が好ましい。アセトフェノン系化合物としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン等が挙げられる。ベンジル系化合物としては、例えば、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。ベンゾインエーテル系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーズケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン等が挙げられる。チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。このような芳香族ケトン類からなる感光性ラジカル重合開始剤の中でも、アセトフェノン系化合物及びベンジル系化合物が、硬化特性、保存安定性、臭気等の面で特に好ましい。これらの芳香族ケトン類からなる感光性ラジカル重合開始剤は、1種あるいは2種以上のものを所望の性能に応じて配合して使用することができる。
本発明において一般式(1)で表される繰り返し単位を有する架橋性ポリマーや、同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物は通常、固体もしくは高粘度液体となり単独での塗布は困難であり、水溶性の場合や水分散物とした場合は水系で塗布することもできるが、通常有機溶媒に溶解して塗布される。有機溶媒としては、本発明で用いる化合物を可溶ならしめるものであれば特に制限なく使用できる。好ましい有機溶媒としては、メチルエチルケトン等のケトン類、イソプロパノール等のアルコール類、酢酸エチルなどのエステル類などが挙げられ、好ましくはイソプロパノールとメチルイソブチルケトンの混合溶媒である。また、前記した単官能もしくは多官能のビニルモノマーや単官能もしくは2官能もしくは3官能以上の開環重合性基を有する化合物が低分子量化合物である場合、これらを併用すると、硬化性組成物の粘度を調節することが可能であり、溶媒を用いなくても塗布可能とすることもできる。
本発明で用いる硬化性組成物中には、紫外線吸収剤、塗布性改良のための界面活性剤、帯電防止剤など、従来公知の添加剤が添加されていてもよい。
塗布方法としてはカーテンコーティング、ディップコーティング、印刷コーティング、スプレーコーティング、ブレードコーティング、グラビアコーティング、ワイヤーバー法等の公知の塗布方法が挙げられ、この中でもディップコーティングが好ましい。
塗布方法としてはカーテンコーティング、ディップコーティング、印刷コーティング、スプレーコーティング、ブレードコーティング、グラビアコーティング、ワイヤーバー法等の公知の塗布方法が挙げられ、この中でもディップコーティングが好ましい。
また本発明では、硬化性組成物中に微粒子を添加してもよい。微粒子を添加することでハードコート層の硬化収縮量を低減できるため、基材との密着性が向上したり、基材がプラスチックフイルムである場合などカールを低減でき好ましい。微粒子としては、無機微粒子、有機微粒子、有機−無機複合微粒子のいずれも使用できる。無機微粒子としては例えば、二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子などが挙げられる。このような無機微粒子は一般に硬質であり、ハードコート層に充填させることで、硬化時の収縮を改良できるだけではなく、表面の硬度も高めることができる。ただし、微粒子は一般にヘイズを増加させる傾向があるために、各必要特性のバランスの上で充填方法が調整される。
本発明で硬化性組成物を活性エネルギー線照射により硬化する場合、低温で架橋反応が進行する場合が多く、好ましい。本発明では、活性エネルギー線として、放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線などが用いられる。その中でも紫外線を用いて、ラジカルもしくはカチオンを発生させる重合開始剤を添加し、紫外線により硬化させる方法がさらに好ましく、重合の効率化の点で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射することが特に好ましい。また紫外線を照射した後、加熱することにより、さらに硬化を進行させることができる場合があり、この方法を好ましく用いることができる。この場合の好ましい加熱温度は140℃以下である。
本発明で用いる硬化性樹脂組成物を活性エネルギ−線照射により重合硬化する場合、当業界公知の、殺菌灯、紫外線用蛍光灯、カ−ボンア−ク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧または高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、自然光等を光源とする紫外線、または走査型またはカ−テン型電子線加速器による電線等を使用することができ、厚みが5μm以下の塗布層の紫外線硬化の場合、重合の効率化の点で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射することが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<硬化性組成物の調製>
(i)本発明で用いる架橋性ポリマーと(ii)エチレン性不飽和基含有化合物と(iii)ウレタン結合を含むエチレン性不飽和基含有化合物と (iv)フッ素原子および/またはケイ素原子と活性エネルギー線重合性基を有する化合物と (v)ラジカル重合開始剤(イルガキュア184(チバガイギー社製))と(vi)カチオン重合開始剤(UVI−6990(ユニオンカーバイド日本(株)製)とを、イソプロパノール及びメチルイソブチルケトンの混合溶媒に溶解後、30分攪拌し、硬化性組成物を得た。なお、(i)本発明で用いた架橋性ポリマーと(ii)エチレン性不飽和基含有化合物と(iii)ウレタン結合を含むエチレン性不飽和基含有化合物の種類は表1記載の組み合わせで選択した。
(i)本発明で用いる架橋性ポリマーと(ii)エチレン性不飽和基含有化合物と(iii)ウレタン結合を含むエチレン性不飽和基含有化合物と (iv)フッ素原子および/またはケイ素原子と活性エネルギー線重合性基を有する化合物と (v)ラジカル重合開始剤(イルガキュア184(チバガイギー社製))と(vi)カチオン重合開始剤(UVI−6990(ユニオンカーバイド日本(株)製)とを、イソプロパノール及びメチルイソブチルケトンの混合溶媒に溶解後、30分攪拌し、硬化性組成物を得た。なお、(i)本発明で用いた架橋性ポリマーと(ii)エチレン性不飽和基含有化合物と(iii)ウレタン結合を含むエチレン性不飽和基含有化合物の種類は表1記載の組み合わせで選択した。
重合開始剤は、架橋性ポリマーも含めたエチレン性不飽和基含有化合物とウレタン結合を含むエチレン性不飽和基含有化合物の総質量に対し、ラジカル重合開始剤とカチオン重合開始剤を2.9%ずつ添加した。なお、開環重合性基含有化合物を含まない場合はラジカル重合開始剤のみを5.8%添加した。
ここで
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート/ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(Aldrich製)
EB1290K、EB220:ウレタンアクリレート(ダイセル・ユーシービー(株)製)
BDDA:ブタンジオールジアクリレート(Aldrich製)
ビスコート6FM:完全フッ素化アルキルエステル誘導体(大阪有機化学製)
X−22−164A:末端(メタ)アクリレートシロキサン化合物(信越化学工業製)
ここで
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート/ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(Aldrich製)
EB1290K、EB220:ウレタンアクリレート(ダイセル・ユーシービー(株)製)
BDDA:ブタンジオールジアクリレート(Aldrich製)
ビスコート6FM:完全フッ素化アルキルエステル誘導体(大阪有機化学製)
X−22−164A:末端(メタ)アクリレートシロキサン化合物(信越化学工業製)
<実施例試料の作成>
ポリカーボネート基板の表面に対して、上記で作成した硬化性組成物を表1記載の処方、膜厚になるようにディップコーティングで塗布、90℃で2分乾燥し、750mJ/cm2の紫外線照射後、90℃、10分加熱することによって、ポリカーボネート基板表面にハードコート層を形成した。
ポリカーボネート基板の表面に対して、上記で作成した硬化性組成物を表1記載の処方、膜厚になるようにディップコーティングで塗布、90℃で2分乾燥し、750mJ/cm2の紫外線照射後、90℃、10分加熱することによって、ポリカーボネート基板表面にハードコート層を形成した。
実施例における各種の特性評価は以下の要領にて行った。
(エッチングESCAの測定)
エッチングESCAは、ESCA測定機((株)島津製作所製:ESCA−3400)を用いて求めた値である。具体的には、硬化皮膜表面の元素量は、電子線強度12kV/20mAで5秒間エッチングして測定した。硬化皮膜内部の元素量は、電子線強度12kV/20mAで100秒間、200秒間、300秒間、500秒間エッチングして測定し、その平均値として求めた。
エッチングESCAは、ESCA測定機((株)島津製作所製:ESCA−3400)を用いて求めた値である。具体的には、硬化皮膜表面の元素量は、電子線強度12kV/20mAで5秒間エッチングして測定した。硬化皮膜内部の元素量は、電子線強度12kV/20mAで100秒間、200秒間、300秒間、500秒間エッチングして測定し、その平均値として求めた。
(鉛筆硬度の測定)
作製した表面処理ポリカーボネート成形品を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間放置した後、JIS S6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、1kgのおもりを用いて各硬度の鉛筆で引っ掻きを5回繰り返し、傷が全く認められなかった回数を表した。3回とも傷が認められなかった最大の鉛筆硬度がポリカーボネート基板の鉛筆硬度である。なお、JIS K5400で定義される傷は(i)塗膜の破れ、(ii)塗膜のすり傷である。
作製した表面処理ポリカーボネート成形品を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間放置した後、JIS S6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、1kgのおもりを用いて各硬度の鉛筆で引っ掻きを5回繰り返し、傷が全く認められなかった回数を表した。3回とも傷が認められなかった最大の鉛筆硬度がポリカーボネート基板の鉛筆硬度である。なお、JIS K5400で定義される傷は(i)塗膜の破れ、(ii)塗膜のすり傷である。
(表面硬度の測定)
表面硬度は、微小表面硬度計((株)フィッシャー・インスツルメンツ製:フィッシャースコープH100VP−HCU)を用いて求めた値である。具体的には、ダイヤモンド製の四角錐圧子(先端対面角度;136°)を使用し、押し込み深さが1μmを超えない範囲で、適当な試験荷重下での押し込み深さを測定し、試験荷重をその試験荷重で圧痕の幾何学的形状から計算される圧痕の表面積で割った値である。
表面硬度は、微小表面硬度計((株)フィッシャー・インスツルメンツ製:フィッシャースコープH100VP−HCU)を用いて求めた値である。具体的には、ダイヤモンド製の四角錐圧子(先端対面角度;136°)を使用し、押し込み深さが1μmを超えない範囲で、適当な試験荷重下での押し込み深さを測定し、試験荷重をその試験荷重で圧痕の幾何学的形状から計算される圧痕の表面積で割った値である。
(ひび割れの評価法)
ハードコート試料を温度60℃、相対湿度90%の条件で1日放置した後、−20℃の冷蔵庫に1日放置(サイクルサーモテスト)を10回繰り返した。このサンプル表面の5cm角内のひび割れを評価した。全くひび割れのないものを○、わずかでもひび割れのあるものを×とした。
ハードコート試料を温度60℃、相対湿度90%の条件で1日放置した後、−20℃の冷蔵庫に1日放置(サイクルサーモテスト)を10回繰り返した。このサンプル表面の5cm角内のひび割れを評価した。全くひび割れのないものを○、わずかでもひび割れのあるものを×とした。
(スチールウールの評価法)
型番#0000のスチールウールに加重200g/cm2をかけ、20回往復で擦ったときの傷を目視で観察した。なお、記号の意味は、○:傷が観察されず、△:傷が多少見える、×:傷有り、である。
型番#0000のスチールウールに加重200g/cm2をかけ、20回往復で擦ったときの傷を目視で観察した。なお、記号の意味は、○:傷が観察されず、△:傷が多少見える、×:傷有り、である。
(防汚性の評価法)
フイルム表面に書いた速乾性油性インキ(ゼブラ製、「マッキー」(登録商標))を東レ(株)製「トレシー」(登録商標)を用いて数回擦ってふき取った状態を目視で観察した。なお、記号の意味は、○は書いた跡が完全にふき取れた状態、△は一部がふき取れずに残った状態、×は大部分がふき残った状態、である。
フイルム表面に書いた速乾性油性インキ(ゼブラ製、「マッキー」(登録商標))を東レ(株)製「トレシー」(登録商標)を用いて数回擦ってふき取った状態を目視で観察した。なお、記号の意味は、○は書いた跡が完全にふき取れた状態、△は一部がふき取れずに残った状態、×は大部分がふき残った状態、である。
表2に示したポリカーボネート基板表面へ塗布した硬化性樹脂の評価結果より、本発明における硬化性樹脂を使用し、膜厚み10μm以上で100μm以下のときに、高硬度・耐擦傷性が優れ、ひび割れが少なく、更にエッチングESCAにおいて(硬化皮膜内部のF/CまたはSi/C)/(硬化皮膜表面のF/CまたはSi/C)≧1/20を満足する場合に高い防汚性を有する表面処理ポリカーボネート成形品を得られ、本発明の効果が確認された。
Claims (6)
- 表面硬度が150N/mm2以上320N/mm2以下で、 鉛筆硬度が3H以上である硬化皮膜が表面に形成されていることを特徴とする表面処理ポリカーボネート成形品。
- 硬化皮膜は、同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基とウレタン結合を含む化合物を含有し、かつその成分中のアクリル官能基当量が120〜200g/当量の範囲にある硬化性組成物を用いて、そのエチレン性不飽和基を重合させることで得た硬化皮膜である、請求項1記載の表面処理ポリカーボネート成形品。
- 硬化皮膜は、フッ素原子および/またはケイ素原子を含む防汚剤を含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の表面処理ポリカーボネート成形品。
- エッチングESCAで測定したときに、硬化皮膜内部のF/CまたはSi/Cと、硬化皮膜表面のF/CまたはSi/Cとの比が1/20以上である、請求項4記載の表面処理ポリカーボネート成形品。
- 硬化皮膜の厚みが10μm以上100μm以下である、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の表面処理ポリカーボネート成形品。
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JP2014001267A (ja) * | 2012-06-15 | 2014-01-09 | Mitsubishi Gas Chemical Co Inc | 透明樹脂フィルム |
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2004
- 2004-03-25 JP JP2004089438A patent/JP2005272708A/ja active Pending
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