JP2005262072A - 含水土壌の脱水用袋体、および含水土壌の封じ込め方法 - Google Patents

含水土壌の脱水用袋体、および含水土壌の封じ込め方法 Download PDF

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Abstract

【課題】河川・湖沼などに堆積する高含水量の土壌を効率良く、かつ、排水処理が不要なレベルまでろ過することが可能な、含水土壌の封じ込めに好適に使用可能な袋体、およびこの袋体を用いた含水土壌の封じ込め方法を提供すること。
【解決手段】水を含む土壌を脱水するための袋体であって、該袋体が、合成繊維のマルチフィラメント糸織物からなり、且つ複数の袋体が互いに結合されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば河川・湖沼に堆積した、水を含む土壌を脱水減量化するのに好適に使用可能な袋体、および水を含む土壌を脱水減量化して、土壌を袋体の内部に封じ込めることが可能な含水土壌の封じ込め方法に関するものである。
従来より、織物や不織布製の袋に、水、及びダイオキシンやPCBなどの有害物質を含む汚染土壌を充填し、脱水減量化して汚染土壌封じ込める工法が提案されており、例えば、化学繊維製の透水性袋体を使用し、汚染土壌を圧入して加圧脱水したり、該袋体を順次積み重ねて下側の袋体を加圧脱水する方法が開示されている(特許文献1)。
しかしながら、上記方法においては、袋体をのり面など、袋体との馴染みが悪い場所に積み重ねて敷設あるいは配設する場合、横滑りなどが発生し、施工に支障をきたす恐れがあるという問題を有していた。
特開2002−178000号公報
本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点を解消し、河川・湖沼などに堆積する高含水量の土壌を効率良く、かつ、排水処理が不要なレベルまでろ過することが可能で、のり面などにおける横滑りのない含水土壌の封じ込め用袋体、およびこの袋体を用いた含水土壌の封じ込め方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、含水土壌を充填し封じ込めるための袋体を複数結合させるとき、上記目的が達成できることを究明し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、水を含む土壌を脱水するための袋体であって、該袋体が、合成繊維のマルチフィラメント糸織物からなり、且つ複数の袋体が互いに結合されていることを特徴とする含水土壌の脱水用袋体が提供される。
ここで、上記複数の袋体は縫製により結合されていることが好ましい。
また、上記合成繊維のマルチフィラメント糸としては、ポリエステル、ナイロン、ビニロン、およびポリプロピレンの群から選ばれた少なくとも1種の合成繊維からなるマルチフィラメント糸が好ましい。
さらに、合成繊維のマルチフィラメント糸としては、特にポリ乳酸繊維からなるマルチフィラメント糸が好ましい。
次に、本発明によれば、水を含む土壌を、透水性の袋体内に入れた後、該袋体内の土壌に含まれる水分を袋体外に透過させて脱水するとともに、土壌を袋体内に残留させて、袋体内に封じ込めるに際し、該袋体として、請求項1〜8のいずれか1項に記載の含水土壌の脱水用袋体を使用することを特徴とする含水土壌の封じ込め方法が提供される。
本発明によれば、河川・湖沼などに堆積する高含水量の土壌を効率良く、かつ、排水処理が不要なレベルまでろ過することが可能な袋体、およびこの袋体を用いた含水土壌の封じ込め方法が提供される。
本発明で使用する合成繊維のマルチフィラメント糸としては、ポリエステル、ナイロン、ビニロン、ポリプロピレンなどのマルチフィラメント糸が例示され、中でもポリエステルマルチフィラメント糸であることが好ましい。特に、ポリエステルマルチフィラメント糸の中でも、良好な物性を示すポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸や、袋体を恒久的に埋設しようとする場合は、生分解性の観点から、ポリ乳酸繊維からなるマルチフィラメント糸が好ましい。
また、上記のポリエステルマルチフィラメント糸は、再生ポリエステルからなるマルチフィラメント糸であることが好ましい。ここで、再生ポリエステルとは、回収ペットボトル、回収ポリエステル繊維、或いは回収ポリエステルフィルムなどから再生されたポリエステルを言い、回収したポリエステルを溶融して再度糸条に形成させるマテリアルリサイクル法や、回収したポリエステルを解重合して再度ポリマー化するケミカルリサイクル法により得られた再生ポリエステルなどが例示される。
マテリアルリサイクル法の具体例としては、特開2000−29362号公報に開示される如く、回収されたポリエステルポリマーを、ビスオキサゾリン系化合物と溶融反応させて、該ポリエステルポリマーの固有粘度を0.5〜1.1とする方法、また、ケミカルリサイクル法の具体例としては、特開2003−160656号公報に開示される如く、回収されたポリアルキレンテレフタレートポリマーをメタノール解重合して得られたテレフタル酸ジメチルを70重量%以上使用し、かつ、触媒として、チタン化合物とリン化合物とを、チタン元素のモル数に対するリン元素のモル数(P/Ti)が特定の範囲となるように、グリコール中で加熱することにより得られた析出物を用いて重縮合反応させる方法などが例示される。
なお、上記マルチフィラメント糸の総繊度は、通常、75〜2000dtex、好ましくは150〜1500dtexであり、また、総フィラメント数は、通常、75〜2000フィラメント、好ましくは150〜1500フィラメントである。
上記の合成繊維のマルチフィラメント糸は、常法により織成されて織物とされ、該織物を用いて袋体が形成される。この際、織物の組織や密度には特に制限はないが、本発明においては、該袋体の複数が互いに結合されていることが必要である。
該袋体の複数が結合されていない場合は、該袋体を順次積み重ねて下側の袋体を加圧脱水する際、含水土壌を効率的に充填し封じ込めることができなくなる。また、該袋体をのり面など、袋体との馴染みが悪い場所に敷設あるいは配設する場合、横滑りが発生して施工に支障をきたす。
袋体を結合させる方法には特に制限はなく、例えば、縫製や接着或いは加熱など、従来公知の方法が任意に採用できるが、中でも縫製による結合が好ましい。
本発明を、図を用いてさらに詳細に説明する。図1は本発明の一実施態様を示す平面図、また、図2はその側面図であり、1及び2は袋体、3は土壌の充填口、4は袋体の結合部分を表す。
図1及び図2において、複数の袋体1及び2は、袋体に土壌を充填して敷設した際に、側面(隣合う袋体との接触面)となる部分で、ミシン縫製により結合されている。このように複数の袋体を結合させることにより、袋体を順次積み重ねた場合、或いは袋体をのり面など、袋体との馴染みが悪い場所に敷設した場合においても横滑りが発生せず、安定した施工が可能となる。
この際、複数の袋体を、敷設面がややずれるように、即ち、図1の長さAに相当する分だけ側面方向にずらして結合させることにより、横滑り防止の効果がさらに向上するので好ましい。
また、本発明の袋体には、図1の5に示すようなハトメ部を設けることにより、敷設面と平行する方向に、多数の袋体を結合することが可能になるので好ましい。
尚、上記織物の、下記式で表されるカバーファクター(CF)は、1900〜2700であることが好ましい。
Figure 2005262072
上記カバーファクター(CF)は、式から明らかなように織物を構成する経糸,緯糸の繊度や密度により、適宜調整することができる。
本発明においては、有害物質を含む汚染土壌を、上記袋体内に入れた後、該袋体内の汚染土壌に含まれる水分を袋体外に透過させて脱水するとともに、汚染土壌に付着した有害物質を袋体内に残留させることにより、袋体内に封じ込めることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
なお、実施例中、%は特に断らない限り、重量基準である。
また、実施例中の各特性は、以下の方法に従って評価した。
(1)織物のカバーファクター
織物を構成する経糸の繊度(dtex)および経糸密度(本/インチ)、ならびに織物を構成する緯糸の繊度(dtex)および織物の緯糸密度(本/インチ)から、上記式(1)により算出した。
(2)通気度
JIS L 1096のA法に規定される、フラジール形法に準拠して測定した。
(3)湿潤時伸度
上記式(2)で算出される張力(Y)下における織物の湿潤時伸度は、JIS L 1096に準じて測定した。
(4)有害物質の封じ込め率
袋内に封じ込められた底質に含有されるダイオキシン類量(pg−TEQ/g)を、袋に充填した底質に含有されるダイオキシン類量(pg−TEQ/g)に対する百分率で表した。
(5)汚染物質の濃度
JIS K0312に規定される、「工業用水・工場排水中のダイオキシン類及びコプラナーPCBの測定方法」に準じて測定した。
[実施例1]
ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとをエステル交換反応させた後、重縮合反応させ、固有粘度0.64dl/gのポリエチレンテレフタレートポリマーを得た。このポリマーを減圧下で220℃に加熱して固相重合を行い、固有粘度0.98dl/gのポリマーとした。
該ポリマーを305℃で溶融させた後、250ホールの丸孔を有する紡糸口金より吐出させ、加熱雰囲気中を通過させた後、74℃のローラーで予熱を行いながら1.08倍の延伸を行い、560dtex/250フィラメントのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を得た。
得られたマルチフィラメント糸を製織した後、沸騰水処理を行ない、織物を収縮させて、カバーファクターが2314の織物を得た。
次いで、上記織物を用い、図1に示す形状の、2つの袋体がミシン縫製により結合されてなる袋体を成形した。
次いで、得られた袋体に、電動ポンプを用いて有害物質を含有する土壌(含水比600%)を充填した後、同様の操作を繰り返して、土壌が充填された6つの袋体を得た。
上記6つの袋体を積み重ねて下側の袋体を加圧脱水した結果、有害物質を99.98%以上封じ込めることが可能であり、かつ、その汚染物質の初期排水中の平均濃度は5.5pg−TEQ/lであった。
さらに、上記の袋体をのり面に敷設したところ、横滑りは全く発生しなかった。
なお、この際用いた土壌は、密度2.596、含水比27.05%、液性限界48.9%、ダイオキシン含有量790pg−TEQ/gであり、これを含水比600%に調整して用いた。
[比較例1]
実施例1において、2つの袋体を結合させることなく、単独で使用した以外は実施例1と同様に実施して有害物質を含有する土壌(含水比600%)を充填した。
得られた袋体は、滑りが発生するために4つ以上積み重ねることは不可能であった。
また、上記の袋体を実施例1と同形状ののり面に敷設しようとしたところ、横滑りが発生して、敷設できない部分が生じた。
本発明によれば、含水土壌の封じ込めに好適に使用可能な袋体、およびこの袋体を用いた含水土壌の封じ込め方法が提供されるので、河川・湖沼などに堆積する高含水量の土壌を効率良く、かつ、排水処理が不要なレベルまでろ過することができる。
本発明の袋体の一実施態様を示す平面図。 本発明の袋体の一実施態様を示す側面図。
符号の説明
1 袋体
2 袋体
3 土壌の充填口
4 袋体の結合部
5 ハトメ部

Claims (10)

  1. 水を含む土壌を脱水するための袋体であって、該袋体が、合成繊維のマルチフィラメント糸織物からなり、且つ複数の袋体が互いに結合されていることを特徴とする含水土壌の脱水用袋体。
  2. 複数の袋体が縫製により結合されている請求項1記載の含水土壌の脱水用袋体。
  3. 合成繊維のマルチフィラメント糸が、ポリエステル、ナイロン、ビニロン、およびポリプロピレンの群から選ばれた少なくとも1種の合成繊維からなるマルチフィラメント糸である請求項1又は2記載の含水土壌の脱水用袋体。
  4. ポリエステルのマルチフィラメント糸が、再生ポリエステルからなるマルチフィラメント糸である請求項3記載の含水土壌の脱水用袋体。
  5. 再生ポリエステルが、回収ペットボトルより再生されたポリエステルである請求項4記載の含水土壌の脱水用袋体。
  6. 再生ポリエステルが、回収ポリエステル繊維より再生されたポリエステルである請求項4記載の含水土壌の脱水用袋体。
  7. 再生ポリエステルが、回収ポリエステルフィルムより再生されたポリエステルである請求項4記載の含水土壌の脱水用袋体。
  8. 合成繊維のマルチフィラメント糸が、ポリ乳酸繊維からなるマルチフィラメント糸である請求項1又は2記載の含水土壌の脱水用袋体。
  9. 水を含む土壌を、透水性の袋体内に入れた後、該袋体内の土壌に含まれる水分を袋体外に透過させて脱水するとともに、土壌を袋体内に残留させて、袋体内に封じ込めるに際し、該袋体として、請求項1〜8のいずれか1項に記載の含水土壌の脱水用袋体を使用することを特徴とする含水土壌の封じ込め方法。
  10. 土壌がさらに有害物質を含み、土壌とそれに含まれる有害物質を袋体内に残留させて、袋体内に封じ込める請求項9記載の含水土壌の封じ込め方法。
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