JP2005261622A - 抗菌性吸収物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、数多く知られている植物抽出物由来の抗菌素材の中から、温風乾燥処理に対する安定性および皮膚への低刺激性の点に於いて特に優れた植物抽出物を塗布又は含浸した基材を使用する事により、微生物類に起因するかぶれに対する有効性を確実に維持し、且つ安全性に優れた吸収物品を提供する事を目的とする。
【解決手段】ムクロジ(Sapindus mukurossi)抽出物を塗布または含浸した吸収物品用部材を用いる事を特徴とする吸収物品であって、部材に該抽出物を塗布または含浸した後90℃〜130℃の温度下で1秒以上10秒以下の時間乾燥処理した部材を用いること、及び着用開始時に際して乾燥した状態で使用することを特徴とする吸収物品。
【選択図】 なし
【解決手段】ムクロジ(Sapindus mukurossi)抽出物を塗布または含浸した吸収物品用部材を用いる事を特徴とする吸収物品であって、部材に該抽出物を塗布または含浸した後90℃〜130℃の温度下で1秒以上10秒以下の時間乾燥処理した部材を用いること、及び着用開始時に際して乾燥した状態で使用することを特徴とする吸収物品。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ムクロジ抽出物を塗布又は含浸した吸収物品用部材を使用した新規な吸収物品に関する。
従来より、おむつや生理用品等使い捨て吸収物品の分野においてかぶれの発生が問題視されている。一般にかぶれの発生には、皮膚と吸収性物品との摩擦による切れやこすれ以外に、人体に由来する様々な生物学的要因が関与すると考えられている。例えば、おむつかぶれが発生する過程に於いては、先ずおむつの内部で尿や便が混在する状況が発生し、この環境が便や皮膚に常在する細菌類や、プロテアーゼ、リパーゼ等の消化管酵素を活性化する。これら生物学的因子は活性化すると刺激物となって皮膚を直接刺激し、最終的にかぶれを引き起こす。また一部の細菌類が産生するウレアーゼは、かぶれの増悪化因子であるアンモニアの発生に関与する。更に、かぶれの発生した皮膚表面はカンジタ菌や糸状菌等の真菌類が増殖するのに適しており、これらが増殖するとかぶれの症状はより悪化する。以上の如く、かぶれは様々な因子(刺激物)が複合的に絡んで発生するものである。
例えば、かぶれ発生、悪化への関与が疑われる微生物類に対し抗菌作用を有する素材を見出し且つこれを吸収物品に利用する技術を確立する事が出来れば、当該微生物に由来するかぶれを効果的に抑制でき大変有利である。この場合、肌に直接接する点を考慮して、肌への刺激がより少ない抗菌素材、例えば植物由来の抽出物を利用する方法が望ましい。実際、植物抽出物を吸収物品に使用した例として、アロエエキスや、ユーカリ溶媒抽出物とキトサンを併用する方法が開示されている。しかしながらこれら抽出物が、かぶれ原因菌、特に真菌類に対し十分な抗菌作用を有するか否かという点に関しては、現時点に於いて必ずしも明確ではない(特許文献1、2参照)。
ところで、上述の如く抗菌素材を含有する吸収物品を製造する場合、パーツとなる部材(例えば不織布やフィルム製品など)にあらかじめ溶液状態に調整した抗菌素材を塗布または含浸する工程と、塗布または含浸により付着した余分な水分を部材から完全に除去する為の絞り及び乾燥工程が必要であるが、これら工程は、ロールツーロール型の生産機を用いて、部材の送り速度100m/分以上で実施する方法が一般的である。この時部材は、90〜130℃に加温した温風に10秒以下の時間曝す方法で乾燥される。従って塗布または含浸に供される抗菌素材は、上記条件下で乾燥処理した時に於いても変性せず、且つ部材に安定して固着する性質を有する素材が望ましい。しかしながら植物抽出物、特にエキスの場合、熱処理を施す事によって変色したり或いは目的の活性が消失する等の問題が発生する場合がある。また精油の如く揮発しやすい性質を持つものについては、そもそも温風を使用する本乾燥工程に適さない。
特開2000−154109公報
特開2003−180747公報
本発明は、数多く知られている植物抽出物由来の抗菌素材の中から、温風乾燥処理に対する安定性に於いて特に優れた植物抽出物を塗布又は含浸した吸収物品用部材を使用する事により、微生物類に起因するかぶれに対する有効性を確実に維持し、且つ安全性に優れた吸収物品を提供する事を目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、植物抽出物由来の抗菌素材の中でもムクロジ(Sapindus mukurossi)の抽出物が、先に記した温風乾燥処理を施した後も安定して抗菌活性を維持する事を見出した。また、該抽出物を固着した吸収物品用部材は皮膚への刺激性が低く、且つ当該基材用いて吸収物品を作成した場合、該部材が肌に直接接している限りに於いては特別な前処理を施す事をせずとも、極めて効果的にかぶれを防止する事を見出すに至り、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ムクロジ(Sapindus mukurossi)抽出物を塗布または含浸した吸収物品用部材を用いる事を特徴とする吸収物品であって、部材に該抽出物を塗布または含浸した後90℃〜130℃の温度下で1秒以上10秒以下の時間乾燥処理した部材を用いること、及び使用開始時に際して乾燥した状態で使用されることを特徴とする吸収物品に関するものである。
本発明によれば、植物抽出物由来の抗菌素材の中でもムクロジの抽出物を吸収物品用部材に塗布または含浸した場合、温風乾燥処理により固着した後も該部材上で抗菌活性を維持する事が可能である。また、該抽出物を固着した部材は皮膚への刺激性が低く、且つ当該部材を用いて吸収物品を作成した場合、該部材が肌に直接接している限りに於いては特別な前処理を施す事をせずとも、極めて効果的にかぶれを防止する事が可能である。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明に於けるムクロジ(Sapindus mukurossi Gaertn.)とは、ムクロジ科の落葉或いは常緑の高木で、鎮痛、消炎、解毒等の薬効が知られている。また特開平2−160798号公報には、当該植物抽出物の糸状菌に対する抗菌作用が開示されている。本発明で使用するムクロジ抽出物とは、当該植物の葉、根、茎、花及び果実等の植物体の一部又は全部から抽出されるものであるが、中でも果皮からの抽出物が特に好ましい。
本発明に於ける植物から抽出物を得る為には、当該植物乾燥物または生植物の乾物換算当たりに対して2〜20倍の抽出溶媒が用いられる。抽出に使用する溶媒としては、一般には水、低級1価アルコール(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、液状多価アルコール(1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール等)、低級アルキルエステル(酢酸エチル等)、炭化水素(ベンゼン、ヘキサン、ペンタン、トルエン)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル、アセトニトリル等)が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。
ムクロジからの抽出方法は特に限定されないが、常温又は加温下で行う事が好ましい。その方法としては浸漬抽出、超音波破砕抽出、ソックスレイ抽出等がある。抽出時間に特に限定はないが、一般的に30分間から2週間が好ましい。
本発明に関わる抽出物は通常液体の抽出液として得られる。当該抽出液はそのまま使用しても良いが、各種処理を施して得られる処理物を使用する事も可能であり、このような処理物も本発明に関わる抽出物の中に含まれる。その例としては、例えば抽出液を常圧あるいは減圧下で濃縮した抽出液、該濃縮液中の溶媒を蒸発乾固させた固形物、濃縮液から有効成分を晶析後濾別乾燥した固形物等を挙げる事ができる。更に、ここで得られた抽出物は、上記の溶媒を用い、分配或いはクロマトグラフィーの如き精製等の処理を加えて、得られたものを用いる事が出来る。
上記抽出物を塗布又は含浸する吸収物品用の部材としては、合成繊維、天然繊維の繊維製品(織布、不織布等)、フィルム製品等、いかなる素材いかなる形状でもよく、吸収性物品の用途に応じて適宜選択可能であるが、特にポリプロピレン性の不織布又はフィルムが好ましい。また、対象となる部材は、疎水性、親水性を問わず使用可能である。例えば、疎水性の部材に抽出物を塗布又は含浸処理する場合、抽出物を処理するに先立って、該部材の作成時に市販の親水化剤を練りこむか、又は作成後に市販の親水化剤を製品表面に塗布するか、又は物理的手法により製品表面を親水化する事により効果的に抽出物を塗布又は含浸する事ができる。ここで、物理的に親水化する具体的な方法としては、例えばプラズマ処理法を挙げる事が出来る。更に、本発明に於ける吸収物品用部材は、吸収物品を構成するいかなるパーツに使用しても差し支えないが、好ましくは吸収物品の着用に際して皮膚に直接接触するパーツ、例えばトップシートやウェストギャザー等に使用されるものである。
上記抽出物を吸収物品用の部材に塗布又は含浸する方法としては、例えばスプレー法、グラビア印刷法等により該部材表面に抽出物を塗布するか、または液状の抽出物に部材を一定時間浸漬する方法を挙げる事が出来る。中でも、グラビア印刷法によって表面塗布する方法が特に好ましい。また上記抽出物を塗布または含浸した部材は、速やかにローラーで絞った後エアーオーブンで乾燥し余分な水分を除去する事が好ましい。乾燥にあたっては、余分な水分が十分に除去可能であり、且つ抽出物乃至は部材の性状、物性が変化しない温度であれば特に指定は無いが、実生産機に於ける生産性を考慮した場合、90℃〜130℃に加温した温風を10秒を超えない時間吹き付け乾燥する方法が好ましい。仮に100m/min以上の速度で塗布又は含浸工程から乾燥処理工程迄を実施する場合、温風の温度が90℃に満たない場合、10秒以内の乾燥時間では乾きむらが生じ、逆に130℃を超えると抽出物の有する抗菌活性が消失する。
乾燥後、吸収物品用部材に固着した抽出物の重量は、該基材の乾燥重量当り0.0001〜10重量%の範囲である事が好ましく、特に0.001〜1重量%の範囲である事が好ましい。当該濃度範囲で抽出物が固着した部材は、かぶれの発生、悪化に関与する微生物類の増殖を抑制する能力を有すると共に、皮膚への刺激性が低く高い安全性を有している。
本発明に於けるかぶれの発生、悪化に関与する微生物類としては、ヒトへの感染能がある細菌類を示す。ここで、ヒトへの感染能がある細菌類としては、例えばMicrococcus属、Candida属、Microsporum属、Trichophyton属、及びExophiala属の微生物類等を例示することが出来る。
本発明における吸収物品としては、経血、血液、汗、尿等各種体液を吸収する目的で使用され、且つ皮膚に直接接する製品であれば特に限定はないが、好ましくは使い捨ての衛生用品であり、具体的には、おむつ、生理用ナプキン、タンポン、パンティーライナー、失禁用パット等を挙げる事が出来る。また、本発明に於ける吸収物品を使用するに当っては、一般の吸収物品と同様、直接肌に接するように装着すればよく、装着に際して特別な処理を施す必要はない。
本発明の吸収物品は、ムクロジ抽出物を塗布又は含浸処理した部材が着用開始時に於いて乾燥状態である事が好ましい。ここで、着用開始時とは、当該吸収物品の新品を最初に装着する際の状態を指す。また乾燥状態とは、当該部材を触った際に乾燥している触感を与える状態であれば該部材に含まれる水分量がいかなる値でも差し支えないが、好ましくは該部材の重量当り10%以下、更に好ましくは5%以下の水分含量であるものを指す。
更に、本発明に於いては、上記抽出物と共に、該抽出物の効果を損なわない範囲で抗炎症剤、保湿剤、栄養補給剤からなる群から選ばれる薬効成分の1種または2種以上を配合する事により、更に効果を高めることが可能である。具体的な薬効剤としては以下のものが例示できる。
(抗炎症剤)
抗炎症剤としては、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、チアミン塩酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、フラビンアデニンジヌクレオチド、ニコチン酸アミド、塩化コリン、アロエ抽出物、アルニカ抽出物、アシタバ抽出物、ウコン抽出物、キハダ抽出物、オトギリソウ抽出物、カミツレ抽出物、コンフリー抽出物、スイカズラ抽出物、セージ抽出物、ワレモコウ抽出物、シソ抽出物、シラカバ抽出物、ユーカリ抽出物、ヨモギ抽出物、レンゲソウ抽出物、コンドロイチン硫酸、及びそれらの誘導体が挙げられる。
抗炎症剤としては、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、チアミン塩酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、フラビンアデニンジヌクレオチド、ニコチン酸アミド、塩化コリン、アロエ抽出物、アルニカ抽出物、アシタバ抽出物、ウコン抽出物、キハダ抽出物、オトギリソウ抽出物、カミツレ抽出物、コンフリー抽出物、スイカズラ抽出物、セージ抽出物、ワレモコウ抽出物、シソ抽出物、シラカバ抽出物、ユーカリ抽出物、ヨモギ抽出物、レンゲソウ抽出物、コンドロイチン硫酸、及びそれらの誘導体が挙げられる。
(保湿剤)
保湿剤としては、グリセリン、アロエ抽出液、冬虫夏草抽出液、プラセンタ抽出液、ホホバ抽出液、ローヤルゼリー、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、トレハロース、セラミド、尿素、酵母抽出エキス等が挙げられる。
保湿剤としては、グリセリン、アロエ抽出液、冬虫夏草抽出液、プラセンタ抽出液、ホホバ抽出液、ローヤルゼリー、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、トレハロース、セラミド、尿素、酵母抽出エキス等が挙げられる。
(栄養補給剤)
栄養補給剤としては、グリシン、アラニン、アルギニン、セリン、グルタミン酸、プロリン、スレオニン、リジン等のアミノ酸及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、パントテン酸カルシウム、ニコチン酸アミド、チアミン塩酸塩、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ビオチン等のビタミン類が挙げられる。
栄養補給剤としては、グリシン、アラニン、アルギニン、セリン、グルタミン酸、プロリン、スレオニン、リジン等のアミノ酸及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、パントテン酸カルシウム、ニコチン酸アミド、チアミン塩酸塩、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ビオチン等のビタミン類が挙げられる。
以下、実施例等により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
(製造例1)
ムクロジ(Sapindus mukurossi Gaertn.)の果皮100gを70%エタノール(3L)で3日間、室温で浸漬抽出した。吸引濾過により抽出液と残渣を濾別した後、得られた抽出液を濃縮、乾固し、最終的にムクロジ抽出物61.6gを得た。本抽出物を試験用サンプルとし、以下の試験に供した。
ムクロジ(Sapindus mukurossi Gaertn.)の果皮100gを70%エタノール(3L)で3日間、室温で浸漬抽出した。吸引濾過により抽出液と残渣を濾別した後、得られた抽出液を濃縮、乾固し、最終的にムクロジ抽出物61.6gを得た。本抽出物を試験用サンプルとし、以下の試験に供した。
[不織布の作成]
ポリプロピレンを原料とする繊維径2.1デニールの連続長繊維からなる目付量が15g〜25/m2のスパンボンド不織布を作成した後、この不織布に市販の親水化剤(商品名:シラストールPHP26、Schill&Seilacher社製)を、0.1〜1塗布量%の範囲になるよう塗布し、親水化剤処理不織布のロールサンプルを作成した。次に、製造例記載のムクロジ抽出物を0.03重量%になるよう蒸留水に溶解した後、グラビア印刷機を用いて該抽出物を親水化処理不織布上に塗布した。続いて、ローラーによる絞り工程を経た後、エアーオーブン(温風温度;90℃)内で8秒間乾燥処理し、ムクロジ抽出物塗布不織布を作成した。なお、抽出物の塗布から乾燥に至る全工程は、100m/minの送り速度で実施した。
ポリプロピレンを原料とする繊維径2.1デニールの連続長繊維からなる目付量が15g〜25/m2のスパンボンド不織布を作成した後、この不織布に市販の親水化剤(商品名:シラストールPHP26、Schill&Seilacher社製)を、0.1〜1塗布量%の範囲になるよう塗布し、親水化剤処理不織布のロールサンプルを作成した。次に、製造例記載のムクロジ抽出物を0.03重量%になるよう蒸留水に溶解した後、グラビア印刷機を用いて該抽出物を親水化処理不織布上に塗布した。続いて、ローラーによる絞り工程を経た後、エアーオーブン(温風温度;90℃)内で8秒間乾燥処理し、ムクロジ抽出物塗布不織布を作成した。なお、抽出物の塗布から乾燥に至る全工程は、100m/minの送り速度で実施した。
実施例1に於いて、温風温度を110℃に変更した以外は該実施例と同様に操作し、ムクロジ抽出物塗布不織布を作成した。
実施例1に於いて、温風温度を130℃に変更した以外は該実施例と同様に操作し、ムクロジ抽出物塗布不織布を作成した。
(比較例1)
実施例1に於いて、温風温度を70℃に変更した以外は該実施例と同様に操作し、ムクロジ抽出物塗布不織布を作成した。
実施例1に於いて、温風温度を70℃に変更した以外は該実施例と同様に操作し、ムクロジ抽出物塗布不織布を作成した。
(比較例2)
実施例1に於いて、温風温度を150℃に変更した以外は該実施例と同様に操作し、ムクロジ抽出物塗布不織布を作成した。
実施例1に於いて、温風温度を150℃に変更した以外は該実施例と同様に操作し、ムクロジ抽出物塗布不織布を作成した。
ポリプロピレンを原料とする繊維径2.1デニールの連続長繊維からなる目付量が15〜25g/m2のスパンボンド不織布を作成した後、真空プラズマ処理を行なった。プラズマ処理に用いた条件は、酸素ガス流量100sccm、処理時圧力20Pa、電力密度 1.6W/cm2(平行平板型電極)である。送り速度50m/minにてプラズマ処理を実施することにより、親水化不織布を得た。次に、製造例記載のムクロジ抽出物を0.03重量%になるよう蒸留水に溶解した後、グラビア印刷機を用いて該抽出物を親水化処理不織布上に塗布した。続いて、ローラーによる絞り工程を経た後、エアーオーブン(温風温度;90℃)内で8秒間乾燥処理し、ムクロジ抽出物塗布不織布を作成した。なお、抽出物の塗布から乾燥に至る全工程は、100m/minの送り速度で実施した。
実施例4に於いて、温風温度を110℃に変更した以外は該実施例と同様に操作し、ムクロジ抽出物塗布不織布を作成した。
実施例4に於いて、温風温度を130℃に変更した以外は該実施例と同様に操作し、ムクロジ抽出物塗布不織布を作成した。
(比較例3)
実施例4に於いて、温風温度を70℃に変更した以外は該実施例と同様に操作し、ムクロジ抽出物塗布不織布を作成した。
実施例4に於いて、温風温度を70℃に変更した以外は該実施例と同様に操作し、ムクロジ抽出物塗布不織布を作成した。
(比較例4)
実施例4に於いて、温風温度を150℃に変更した以外は該実施例と同様に操作し、ムクロジ抽出物塗布不織布を作成した。
実施例4に於いて、温風温度を150℃に変更した以外は該実施例と同様に操作し、ムクロジ抽出物塗布不織布を作成した。
(試験例1)
実施例1〜6及び比較例1〜4で得られたサンプルについて、抗菌試験を実施した。以下にその具体的方法を記す。
実施例1〜6及び比較例1〜4で得られたサンプルについて、抗菌試験を実施した。以下にその具体的方法を記す。
[試験菌株]
Micrococcus luteus NBR3332
Candida albicans IFO1594
Microsporum canis TIMM1502
Trichophyton rubrum TIMM2659
Exophiala mesophila ATCC2005542
Micrococcus luteus NBR3332
Candida albicans IFO1594
Microsporum canis TIMM1502
Trichophyton rubrum TIMM2659
Exophiala mesophila ATCC2005542
[試験菌株入手先]
Micrococcus luteus:独立行政法人 製品評価基盤技術機構 生物遺伝資源センター
Candida albicans :独立行政法人 製品評価基盤技術機構 生物遺伝資源センター
Microsporum canis:帝京大学医真菌研究センター
Trichophyton rubrum:帝京大学医真菌研究センター
Exophiala mesophila:アメリカン・タイプカルチャー・コレクション(ATCC)
Micrococcus luteus:独立行政法人 製品評価基盤技術機構 生物遺伝資源センター
Candida albicans :独立行政法人 製品評価基盤技術機構 生物遺伝資源センター
Microsporum canis:帝京大学医真菌研究センター
Trichophyton rubrum:帝京大学医真菌研究センター
Exophiala mesophila:アメリカン・タイプカルチャー・コレクション(ATCC)
[増殖用培地]
ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地(Micrococcus luteus)
ブドウ糖ペプトン培地(Candida albicans)
ポテトデキストロース寒天培地(Microsporum canis、Trichophyton rubrum、Exophiala mesophila)
ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地(Micrococcus luteus)
ブドウ糖ペプトン培地(Candida albicans)
ポテトデキストロース寒天培地(Microsporum canis、Trichophyton rubrum、Exophiala mesophila)
[感受性試験用培地]
Mueller Hinton II agar培地(Micrococcus luteus)
サブロー寒天培地(Candida albicans、Microsporum canis、Trichophyton rubrum、Exophiala mesophila)
Mueller Hinton II agar培地(Micrococcus luteus)
サブロー寒天培地(Candida albicans、Microsporum canis、Trichophyton rubrum、Exophiala mesophila)
[摂取用菌液の調製]
上記の増殖用培地に各菌株を摂取し、Micrococcus luteusは35℃で18〜20時間、Candida albicansは25℃で2日間、Microsporum canis、Trichophyton rubrum及びExophiala mesophilaは25℃で14日間、夫々増殖培養を行った。培養終了後、Micrococcus luteus及びCandida albicansの2菌株は、夫々の増殖用培地で菌数が106/mLとなるように希釈し、摂取用菌液とした。Microsporum canis、 Trichophyton rubrum、Exophiala mesophilaの3菌株は、増殖培養終了後、形成された胞子(分生子)をポリソルベート80を0.05%添加した滅菌生理食塩水に浮遊させ、胞子数が約106/mLとなるよう調製し、摂取用菌液とした。
上記の増殖用培地に各菌株を摂取し、Micrococcus luteusは35℃で18〜20時間、Candida albicansは25℃で2日間、Microsporum canis、Trichophyton rubrum及びExophiala mesophilaは25℃で14日間、夫々増殖培養を行った。培養終了後、Micrococcus luteus及びCandida albicansの2菌株は、夫々の増殖用培地で菌数が106/mLとなるように希釈し、摂取用菌液とした。Microsporum canis、 Trichophyton rubrum、Exophiala mesophilaの3菌株は、増殖培養終了後、形成された胞子(分生子)をポリソルベート80を0.05%添加した滅菌生理食塩水に浮遊させ、胞子数が約106/mLとなるよう調製し、摂取用菌液とした。
[ハローテスト用平板培地の作成]
上記の方法に従い作成した各摂取用菌液の内、Micrococcus luteusはMueller Hinton II agar培地に、Candida albicans、Microsporum canis、 Trichophyton rubrum及びExophiala mesophilaはサブロー寒天培地に、夫々各摂取用菌液を1/10量添加し、十分に混和後、シャーレに分注、固化させてハローテスト用平板培地を作成した。
上記の方法に従い作成した各摂取用菌液の内、Micrococcus luteusはMueller Hinton II agar培地に、Candida albicans、Microsporum canis、 Trichophyton rubrum及びExophiala mesophilaはサブロー寒天培地に、夫々各摂取用菌液を1/10量添加し、十分に混和後、シャーレに分注、固化させてハローテスト用平板培地を作成した。
[ハローテスト]
実施例1〜6及び比較例1〜4で得られた不織布を夫々3cm四方の正方形に裁断し、上記のハローテスト用平板培地上に載せた後、Micrococcus luteusは35℃で18〜20時間、及びCandida albicansは25℃で2日間、Microsporum canis及びTrichophyton rubrum及びExophiala mesophilaは25℃で14日間、培養した。培養終了後、試験用不織布周囲のハローの有無を肉眼で観察し、抗菌活性を判定した。その結果を表1に示す。
実施例1〜6及び比較例1〜4で得られた不織布を夫々3cm四方の正方形に裁断し、上記のハローテスト用平板培地上に載せた後、Micrococcus luteusは35℃で18〜20時間、及びCandida albicansは25℃で2日間、Microsporum canis及びTrichophyton rubrum及びExophiala mesophilaは25℃で14日間、培養した。培養終了後、試験用不織布周囲のハローの有無を肉眼で観察し、抗菌活性を判定した。その結果を表1に示す。
以上、試験例1の結果から、90〜130℃の温度条件下で乾燥処理した不織布の抗菌性能を確認した(実施例1〜6)。同等の抗菌性能は70℃で乾燥処理した不織布に於いても抗菌性能が認められたものの、得られた不織布には乾燥むらが認められ以降の加工工程を考慮した場合問題であった(比較例1、3)。一方150℃で乾燥処理した不織布では、抗菌性能が消失した(比較例2、4)。
また、親水化処理方法が異なる場合に於いても、それぞれの抗菌性能に差はなく、90〜130℃の温度条件下であれば何れも良好であった。
また、親水化処理方法が異なる場合に於いても、それぞれの抗菌性能に差はなく、90〜130℃の温度条件下であれば何れも良好であった。
(試験例2)
実施例1及び4記載の方法に従って不織布を作成後、該不織布の皮膚に対する安全性を下記に示す24時間クローズドパッチテストを用いて評価した。なお、本発明に於いて皮膚刺激性試験及びその判定法は、河合法皮膚貼付試験の方法に準じた。以下にその具体的な方法を記す。
実施例1及び4記載の方法に従って不織布を作成後、該不織布の皮膚に対する安全性を下記に示す24時間クローズドパッチテストを用いて評価した。なお、本発明に於いて皮膚刺激性試験及びその判定法は、河合法皮膚貼付試験の方法に準じた。以下にその具体的な方法を記す。
[試験法]
実施例1及び4記載の方法に従って作成した不織布を1.5cm四方の正方形に裁断した後、健常成人20名(男性7名、女性13名)の上腕内部に貼付しガーゼを挟んでバンソウコウで軽く固定した。なお、コントロール試料としてゾンデスTA−4308(松本油脂製薬(株)製)を、1重量%になるよう局方ガーゼに含浸した試料を作成し同時に貼付した。24時間後、貼付した不織布及びコントロール試料を除去しレプリカ標本を作成後、顕微鏡下で以下に示す評価基準に従って判定した。
[評価基準]
実施例1及び4記載の方法に従って作成した不織布を1.5cm四方の正方形に裁断した後、健常成人20名(男性7名、女性13名)の上腕内部に貼付しガーゼを挟んでバンソウコウで軽く固定した。なお、コントロール試料としてゾンデスTA−4308(松本油脂製薬(株)製)を、1重量%になるよう局方ガーゼに含浸した試料を作成し同時に貼付した。24時間後、貼付した不織布及びコントロール試料を除去しレプリカ標本を作成後、顕微鏡下で以下に示す評価基準に従って判定した。
[評価基準]
[判定法]
判定は刺激の強さに応じて以下に述べるA-StageからD-Stageまでの4段階に分けて観察、記録したものを総合して判定した。以下にその詳細を記す。
(1) A-Stage
円形皮丘の程度により、(−)から(++)までの4段階で判定する。
(2)B-Stage
陥凹皮溝の変化の強さにより判定する。20名の被験者の内、検査試料により陥凹皮溝反応の(+)の反応を示した人の数を試験体刺激指数とし、コントロール試料も同様に陥凹皮溝反応の(+)の数をコントロール試料刺激指数としてその差をもってB-Stage刺激指数とする。
(3)C-Stage
皮溝浅化、皮溝消失、不整皮丘皮、皺襞丘皮、膜状鱗屑を被験者20名中1名でも認めた場合、C-Stage陽性と判定する。
(4) D-Stage
肉眼判定により、紅斑、浮腫等を被験者20名中1名でも認めた場合、D-Stage陽性と判定する。
判定は刺激の強さに応じて以下に述べるA-StageからD-Stageまでの4段階に分けて観察、記録したものを総合して判定した。以下にその詳細を記す。
(1) A-Stage
円形皮丘の程度により、(−)から(++)までの4段階で判定する。
(2)B-Stage
陥凹皮溝の変化の強さにより判定する。20名の被験者の内、検査試料により陥凹皮溝反応の(+)の反応を示した人の数を試験体刺激指数とし、コントロール試料も同様に陥凹皮溝反応の(+)の数をコントロール試料刺激指数としてその差をもってB-Stage刺激指数とする。
(3)C-Stage
皮溝浅化、皮溝消失、不整皮丘皮、皺襞丘皮、膜状鱗屑を被験者20名中1名でも認めた場合、C-Stage陽性と判定する。
(4) D-Stage
肉眼判定により、紅斑、浮腫等を被験者20名中1名でも認めた場合、D-Stage陽性と判定する。
[判定結果]
上記表4に示す結果の通り、本発明の不織布は極めて安全である事が確認された。
(試験例3)
実施例1記載の方法に従って作成した不織布を用いて、使い捨て紙おむつを作成すると共に、これを用いてモニター試験を実施した。以下にその具体的な方法を記す。
実施例1記載の方法に従って作成した不織布を用いて、使い捨て紙おむつを作成すると共に、これを用いてモニター試験を実施した。以下にその具体的な方法を記す。
[モニター試験用紙おむつの作成]
市販の乳幼児用使い捨て紙おむつ(商品名:メリーズ、花王株式会社製、Lサイズ)のトップシートを剥がした後、実施例1記載のムクロジ抽出物含浸不織布に張り替え、モニター試験用紙おむつを作成した。
市販の乳幼児用使い捨て紙おむつ(商品名:メリーズ、花王株式会社製、Lサイズ)のトップシートを剥がした後、実施例1記載のムクロジ抽出物含浸不織布に張り替え、モニター試験用紙おむつを作成した。
(比較例5)
実施例7に於いて、ムクロジ抽出物を塗布しない未処理不織布を使用した以外は、該実施例と同様に操作し、モニター試験用紙おむつを作成した。
実施例7に於いて、ムクロジ抽出物を塗布しない未処理不織布を使用した以外は、該実施例と同様に操作し、モニター試験用紙おむつを作成した。
[モニター試験]
乳幼児用紙おむつ使用中の赤ちゃん16名(平均月齢18ヶ月)を無作為に8名ずつ2つのグループに分けた後、夫々に実施例13または比較例6で作成したモニター試験用紙おむつを配布した。試験結果は、配布した紙おむつを10日間ずつ使用してもらった後に、母親からの回答により得た。その結果を表5に示す。
乳幼児用紙おむつ使用中の赤ちゃん16名(平均月齢18ヶ月)を無作為に8名ずつ2つのグループに分けた後、夫々に実施例13または比較例6で作成したモニター試験用紙おむつを配布した。試験結果は、配布した紙おむつを10日間ずつ使用してもらった後に、母親からの回答により得た。その結果を表5に示す。
モニター試験の結果、ムクロジ抽出物を含浸した不織布で作成した紙おむつ(実施例7)では、上記の抽出物を含有しない紙おむつ(比較例5)に比べかぶれにくいと答えた人が増えた事から、上記抽出物を含有する不織布はかぶれ防止に対して有効であると判断した。
Claims (4)
- ムクロジ(Sapindus mukurossi)抽出物を塗布または含浸した吸収物品用部材を用いる事を特徴とする吸収物品であって、部材に該抽出物を塗布または含浸した後90℃〜130℃の温度下で1秒以上10秒以下の時間乾燥処理した部材を用いること、及び使用開始時に際して乾燥した状態で使用されることを特徴とする吸収物品。
- 吸収物品用部材を乾燥処理した後、該部材に固着したムクロジ抽出物の重量が、該基材の重量当り0.0001〜10%である事を特徴とする請求項1記載の吸収物品。
- 吸収物品用部材を乾燥した後、該部材に固着したムクロジ抽出物の重量が、該基材の重量当り0.001〜2%である事を特徴とする請求項1記載の吸収物品。
- 請求項1記載の吸収物品用部材が、ポリプロピレン製の不織布またはフィルム製品である事を特徴とする吸収物品。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004077755A JP2005261622A (ja) | 2004-03-18 | 2004-03-18 | 抗菌性吸収物品 |
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JP2004077755A JP2005261622A (ja) | 2004-03-18 | 2004-03-18 | 抗菌性吸収物品 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102214282B1 (ko) * | 2020-07-28 | 2021-02-10 | 리체파마(주) | 두피 개선용 샴푸 조성물 제조방법 |
JP2021038496A (ja) * | 2019-09-02 | 2021-03-11 | 百事基材料(青島)股▲分▼有限公司Bestee Material (Tsingtao) Co., Ltd. | 植物機能性ポリプロピレンスパンボンド不織布及びその製造方法 |
-
2004
- 2004-03-18 JP JP2004077755A patent/JP2005261622A/ja active Pending
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