JP2005261366A - 包括的スクリーニング方法及び原因dna配列同定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、少なくとも一つのDNA配列の、細胞当たりのコピー数の増減に起因する表現型に対し、前記DNA配列を同定するためのスクリーニング方法を提供することを目的とする。
【解決手段】正常細胞に由来するホールゲノムをカバーするプローブ群を有するゲノムDNAマイクロアレイに対し、検体細胞または検体細胞集団より抽出した検体ゲノムDNAと、正常の前記細胞または前記細胞集団より抽出した正常ゲノムDNAを異なる蛍光色素でラベルし、ゲノムDNAマイクロアレイに対し、競合的にハイブリダイズさせる。得られたシグナルにおける両者の蛍光強度の比を算出すれば、各プローブで、どちらのゲノムDNAがより多くハイブリダイズしたか明らかになるので、前記検体細胞または前記検体細胞集団において、細胞当たりのコピー数が正常より増減しているDNA配列を有する少なくとも一つのプローブを同定することができる。

Description

本発明は、検体細胞または検体細胞集団において、細胞当たりのコピー数が正常より増減している、少なくとも一つのDNA配列を同定するための包括的スクリーニング方法に関する。また、少なくとも一つのDNA配列の、細胞当たりのコピー数が正常より増減していることが起因となる表現型を有する検体細胞または検体細胞集団において、前記DNA配列を同定するための原因DNA配列同定方法に関する。
担持体上にDNAやRNA、タンパク質をアレイ状に固定したデバイスとして、マイクロアレイが知られており、生物学、医学の分野において研究や診断に用いられている。マイクロアレイの表面にはDNAやRNA、タンパク質などのプローブが固定されるが、例えばDNAとしては、オリゴDNA、cDNA、ゲノムDNAなどが使用される。
このようなDNAを用いたマイクロアレイの応用例として、CGH(comparative genomic hybridization)マイクロアレイ法が知られている。この方法によると、多数の遺伝子、多数のcDNA、または特定の染色体領域をカバーする多数のゲノムDNA断片を固定したマイクロアレイに対し、異なる蛍光色素を用いて標識した検体ゲノムDNAと正常ゲノムDNAを競合的にハイブリダイズさせ、各プローブの蛍光シグナルを検出することにより、検体ゲノムDNA中で、細胞当たりのコピー数が正常より増減しているDNAを含む領域、またはそこに含まれる遺伝子を同定することができる(例えば、非特許文献1参照)。
メソッズ オブ モレキュラー バイオロジー(Methods Mol. Biol.) 2004年 256巻 39-56頁
このような、多数の遺伝子、多数のcDNA、または特定の染色体領域をカバーする多数のゲノムDNA断片を固定したマイクロアレイを用いても、検体ゲノムDNA中で、細胞当たりのコピー数が正常より増減しているDNAを含む領域がそのアレイ上に含まれていない場合、その領域は同定できない。また、複数のDNA配列の細胞当たりのコピー数が増減することによって、細胞の腫瘍化などの表現型が生じる場合、上記マイクロアレイでゲノムDNAの増幅領域や欠失領域が検出されても、それだけでは、その表現型の原因を特定できないかもしれない。また、ある表現型が、複数のDNA配列の細胞当たりのコピー数の増減が有する冗長な(redundant)効果による場合、検体によって、アレイ上の特定のプローブについてシグナルが得られる場合も得られない場合もあり、結果の解釈が難しくなる。
しかし、現在の解析技術では、ゲノムワイドな遺伝子異常の検出は、染色体の核型分析以外に有効な方法がないが、核型分析は解像度が低い。最近、染色体を用いたCGH(comparative genomic hybridization)が開発されているが、操作が煩雑すぎることと、再現性にも乏しいため、ほとんど臨床検査として実用化されていない。
そこで、本発明は、ゲノムDNAマイクロアレイを用い、検体細胞または検体細胞集団において、細胞当たりのコピー数が正常より増減している少なくとも一つのDNA配列を同定するための包括的スクリーニング方法を提供することを目的としてなされた。
本発明の包括的スクリーニング方法は、検体細胞または検体細胞集団において、細胞当たりのコピー数が正常より増減している少なくとも一つのDNA配列を同定するための包括的スクリーニング方法であって、正常細胞に由来する1組のゲノム全体をカバーするプローブ群を有するゲノムDNAマイクロアレイを作製する工程と、各プローブのDNA配列を明らかにする工程と、前記検体細胞または前記検体細胞集団より検体ゲノムDNAを抽出し、正常の前記細胞または前記細胞集団より正常ゲノムDNAを抽出し、各々を異なる標識物でラベルする工程と、前記ゲノムDNAマイクロアレイに対し、前記検体ゲノムDNAと前記正常DNAを競合的にハイブリダイズさせる工程と、得られたシグナルを解析し、前記検体細胞または前記検体細胞集団において、細胞当たりのコピー数が正常より増減しているDNA配列を有する少なくとも一つのプローブを同定する工程と、を備える。前記検体細胞集団が腫瘍であってもよい。
さらに、本発明の原因遺伝子同定方法は、少なくとも一つのDNA配列の、細胞当たりのコピー数の増減が起因となる表現型を有する検体細胞または検体細胞集団において、前記DNA配列を同定するための原因遺伝子同定方法であって、正常細胞に由来する1組のゲノム全体をカバーするプローブ群を有するゲノムDNAマイクロアレイを作製する工程と、各プローブのDNA配列を明らかにする工程と、前記検体細胞または前記検体細胞集団より検体ゲノムDNAを抽出し、正常の前記細胞または前記細胞集団より正常ゲノムDNAを抽出し、各々を異なる標識物でラベルする工程と、前記ゲノムDNAマイクロアレイに対し、前記検体ゲノムDNAと前記正常DNAを競合的にハイブリダイズさせる工程と、得られたシグナルを解析し、前記検体細胞または前記検体細胞集団において、細胞当たりのコピー数が正常より増減しているDNA配列を有する少なくとも一つのプローブを同定する工程と、を備える。前記表現型が細胞の腫瘍化であってもよい。
本発明により、検体細胞または検体細胞集団において、細胞当たりのコピー数が正常より増減している少なくとも一つのDNA配列を同定するための包括的スクリーニング方法を提供することができる。このようにして包括的にスクリーニングすることにより、効率よく細胞当たりのコピー数が正常より増減しているDNA配列を同定できるばかりでなく、特に、検体細胞または検体細胞集団が、少なくとも一つのDNA配列の、細胞当たりのコピー数の増減が起因となる表現型を有する場合において、前記DNA配列を同定するための原因遺伝子同定方法を提供することができる。
以下、上記知見に基づき完成した本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。実施の形態及び実施例に特に説明がない場合には、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (Ed.), Molecular cloning, a laboratory manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2001); F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Struhl (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Ltd.などの標準的なプロトコール集に記載の方法、あるいはそれを修飾したり、改変した方法を用いる。また、市販の試薬キットや測定装置を用いている場合には、特に説明が無い場合、それらに添付のプロトコールを用いる。
なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的に実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
==ゲノムDNAマイクロアレイの作製==
本発明の包括的スクリーニング方法を行うために、まず正常細胞に由来する1組のゲノム全体(whole genome)をカバーするプローブ群を有するゲノムDNAアレイを作製する。
例えば、BACライブラリーを用いて、ランダムに選んだクローンからDNAを抽出し、両端の塩基配列を決定する。ゲノムDNAのデータベースを参照して、各クローンの染色体上での位置決定及びDNA配列決定を行い、ゲノム全域をカバーするクローンが得られるまで、この作業を繰り返す。
次に、BACクローンから得られたDNAを用いて、ゲノムDNAマイクロアレイを作製する。各BACクローンからDNAを抽出し、直接ガラスに貼り付けてもよいが、各BACクローンをPCRで増幅させたDNAを用いて、DNAマイクロアレイを作製する方が簡便で効率がよい。DNAマイクロアレイ作製のためのDNAを得る方法は、RCA(Rolling Circle Amplification )、Adaptor PCR、DOP-PCR(Degenerate oligonucleotide primer PCR)等が考えられるが、操作が簡便なこととアミノ基標識効率がよいことから、以下の実施例ではDOP-PCRを利用した。
以上、BACクローンを利用した、1組のゲノム全体(whole genome)をカバーするプローブ群を有するゲノムDNAアレイの作製方法を述べたが、ゲノムDNAアレイの作製方法はこれに限らず、プローブ群の有するDNAが、全体として、1組のゲノム全体(whole genome)をカバーするようなゲノムDNAアレイを作製できれば、どんなものでもよい。
==CGH(comparative genomic hybridization)法==
(1)まず、検体細胞または検体細胞集団より検体ゲノムDNAを、正常の細胞または細胞集団より正常ゲノムDNAを抽出する。
検体細胞または検体細胞集団の由来する生物種は何でも良く、原核生物であっても真核生物であっても良く、真核生物では、酵母などの単細胞生物であっても、線虫、ショウジョウバエ、ゼブラフィッシュ、メダカ、カエル、ニワトリ、マウス、ラット、ブタ、ヒト等を含む多細胞生物であってもよい。
細胞集団とは、複数の細胞からなる集団のことであり、組織、器官、個体などであってよい。
正常ゲノムDNAは、正常細胞由来であれば、細胞タイプ(cell-type)には関わらないが、検体細胞または検体細胞集団と同じ細胞タイプあるいは同じ細胞タイプ由来の細胞から抽出されることが望ましい。例えば、検体細胞集団がヒト腫瘍である場合、正常の細胞集団はヒト腫瘍が由来するヒト組織であることが好ましい。
検体細胞または検体細胞集団は、顕著な表現型があってもなくてもよい。一見正常にみえる検体でも、DNAレベルで異常が検出されたりすると、将来的に発生する疾患の予測などに利用できる可能性がある。
検体細胞集団は、均一な(homogenous)集団であることが好ましい。正常細胞が混入していると、検体細胞集団中の変異が希釈され、検出しにくくなるからである。
(2)次に、抽出した検体ゲノムDNAと正常ゲノムDNAを異なる標識物でラベルする。
標識物は、ジコキシゲニンやビオチンなどでラベルされたdNTPなどを用いてもよい。その場合、抗ジコキシゲニン抗体や抗ビオチン抗体を用いた抗原抗体反応により、酵素反応あるいは蛍光で検出するが、解析のしやすさから蛍光で検出するのが好ましい。定量性の面からは、蛍光色素でラベルされたdNTPを用いて、ゲノムDNAを直接蛍光色素でラベルするのが好ましい。いずれの場合も、最終的に検体ゲノムDNAと正常ゲノムDNAが、異なる放射波長を有する蛍光色素でラベルされる。蛍光色素の種類は、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、Cy5、Cy3などがあるが、特に限定されない。
ラベルの方法は、ニックトランスレーション法やランダムラベリング法が用いられるが、これらに限らない。
(3)次に、ゲノムDNAマイクロアレイに対し、定法に従い、ラベルした検体ゲノムDNAと正常ゲノムDNAを、同じハイブリダイゼーション溶液中でハイブリダイズさせる。これにより、検体ゲノムDNAと正常ゲノムDNAは競合的にゲノムDNAマイクロアレイにハイブリダイズする。
検体ゲノムDNAと正常ゲノムDNAは、例えば、緑色を発色する蛍光色素と赤色を発色するような異なる蛍光色素で標識されているため、両者について、一細胞当たりの量が同じであれば、プローブに対し同じ量がハイブリダイズし、両者の蛍光強度比が全体にほぼ一定となる。
しかし、検体ゲノムDNAについて、一細胞当たりの量が正常ゲノムDNAより多ければ、その検体ゲノムDNAを標識した蛍光強度が強くなり、一細胞当たりの量が正常ゲノムDNAより少なければ、正常ゲノムDNAを標識した蛍光強度が強くなり、それぞれ蛍光強度比が偏る。
このようにして、各プローブに対し、得られたシグナルを解析し、検体ゲノムDNA中に、一細胞当たりの量が正常ゲノムDNAと同じであるかどうか調べることにより、検体細胞または検体細胞集団において、細胞当たりのコピー数が正常より増減しているDNA配列を包括的にスクリーニングすることができる。
==原因DNA配列同定方法==
上記包括的スクリーニング法を利用して、検体細胞または検体細胞集団が、少なくとも一つのDNA配列の、細胞当たりのコピー数の増減が起因となる表現型を有する場合において、前記DNA配列を同定するための原因DNA配列を同定できる。ここでは、ある形質に対し特定の表現型を有する検体細胞または検体細胞集団に対し、上記CGH法を適用し、その表現型の原因DNA配列を同定することを目的とする。
この場合の表現型は、少なくとも一つのDNA配列の、細胞当たりのコピー数の増減が起因となるものであれば、どんなものでもよいが、通常、このような変異は、体細胞あるいは生殖細胞において、そのDNA配列が重複または欠失することによって生じる。しかし、重複または欠失のような変異が生じていても、そのDNA配列に関し、細胞当たりのコピー数が変わらない場合、この方法は適用できない。例えば、ある細胞においてそのDNA配列の重複と欠失が同時に起きていたり、そのDNA配列の欠失とそのDNA配列を別の染色体に余分に有する転座が同時に起きていたりする場合である。
このような変異の例として、具体的には、ヒトの場合、体細胞変異であれば、細胞の腫瘍化などがあり、生殖細胞変異であれば、遺伝病などがある。また、ヒト以外の生物種を用いて、遺伝学的研究を行う際に作出した突然変異であってもよい。
変異が体細胞突然変異である場合、ゲノムDNAを抽出する検体細胞または検体細胞集団は、その表現型が観察される検体細胞または検体細胞集団が好ましいが、変異が生殖細胞変異である場合は、ゲノムDNAを抽出する検体細胞または検体細胞集団は、同じ個体に由来するものであれば、特に表現型が観察されない細胞または細胞集団であってもよい。
この原因DNA配列同定方法は、ある形質に関する表現型の原因が、複数のDNA配列の変異によるものであるとき、特に効果が高い。なぜなら、ここでは1組のゲノム全体をカバーするようなゲノムDNAアレイを用いるため、原因DNA配列を包括的に、ゲノムワイドにスクリーニングすることができ、1回のスクリーニングで、変異を生じている配列を漏れなく同定できるからである。
例えば、表現型が複数のDNA配列さらには複数の染色体に渡る変異によって生じる場合、形質が量的なものであり表現型がポリジーンの変異によって生じる場合、形質が冗長性(redundancy)を有する遺伝子群に支配されている場合、表現型を生じる主要な変異以外にモディファイヤー(modifier)が存在する場合など、複雑な遺伝的相互作用があるほど、本発明の原因DNA配列同定方法は効果を発揮すると考えられる。実際、腫瘍を生じる場合でも、例えばイニシエーター(initiator)及びプロモーター(promoter)の2段階あるいはそれ以上の多段階の遺伝的変異が必要とされる場合や、また、腫瘍化には直接関わりがないが、腫瘍の悪性化を引き起こすmycのような遺伝子が存在する場合など、ゲノム全体の解析をしないと、解析結果の解釈ができず、結論に結びつかない場合も多い。
最終的に、できるだけ多数の同じ表現型を示す細胞または細胞集団に対して、この原因DNA配列同定方法を行い、結果を全体として統計的に解析することにより、どのDNA配列の変異が表現型に関係するかを明らかにすることができる。
一方、各DNA配列中にどのような遺伝子が存在するかを、予め調べておくことにより、表現型の原因遺伝子の候補が得られる。より詳細に分子生物学的解析を行い、重複領域や欠失領域を絞り込むことにより、これらの遺伝子が実際に原因となっているか明らかにすることができる。
[実施例]
(1)BACクローンのスクリーニング
まず、BAC-DNAライブラリーから、1,0176クローンのBACクローンを選択し、R.E.A.L Prep 96 Plasmid Kit( QIAGEN)を用いて、DNAを抽出した。インサートの両端から、クローニングサイト近傍のDNA配列を決定し、プローブとして使用可能なサイズであることと、重複していないこと、全体としてホールゲノムがカバーされていることを基準に7400個以上のクローンを最終的に選別した。
各クローンのDNAの増幅にはDOP-PCR法を用いた。DOP-PCRには以下のプライマーセットを用いた。
DOP-1:5’-CCGACTCGAGNNNNNNCTAGAA-3’ (配列番号:1)
DOP-2:5’-CCGACTCGAGNNNNNNTAGGAG-3’ (配列番号:2)
DOP-3:5’-CCGACTCGAGNNNNNNTTCTAG-3’ (配列番号:3)
これら3種のプライマー用いて同一の鋳型BACクローンに対し、3回のDOP-PCRを行った。DOP-PCRは反応液量10μlとし、反応組成は15mM Tris-HCl pH8.0, 50mM KCl, 2.5mM MgCl2, 0.2mM dNTP, 2μM DOP-PCR primer, 1.25U AmpliTaq Gold, 0.5μl BAC DNAとした。反応にはGene Amp PCR 9700( Perkin Elmer) を用いた。94℃ 3分の熱変性後、94℃ 1.5分, 30℃ 2.5分, ramp at 0.1℃/ sec to 72℃, 72℃ 3分を10サイクル行い、さらに94℃ 1分, 62℃ 1.5分, 72℃ 2分を30サイクル行った。
得られたDOP-PCR産物を鋳型としプライマー2を用いてSecondary PCRを行った。
プライマー2:5’-XGGAAACAGCCCGACTCGAG-3’ (配列番号:4)
Secondary PCRは反応液量20μlとし、反応組成は5mM Tris-HCl pH8.5, 50mM KCl, 2.5mM MgCl2, 0.25mM dNTP, 1.6μM a分o-link primer, 3U AmpliTaq Gold, 0.5μl 各DOP-PCR 産物とした。PCR条件は95℃ 10分の熱変性後、95℃ 1分, 60℃ 1.5分, 72℃ 7分 を35サイクル行い、最後に72℃ 10分で伸張した。
増幅したPCR産物の精製には、マルチスクリーン384 PCRプレート(MILLIPORE)を用いた。精製後DNAは10μlの1x spotting buffer ( 250mM sodium phosphate buffer pH8.5, 0.00025% N-Lauroylsarcosine) に溶解しマイクロアレイの作製に用いた。
(2)マイクロアレイの作製
マイクロアレイの作製にはSPBIO2000(HITACHI)を用いた。調整したDNAをガラススライド上にトリプルスポットし、飽和NaClチャンバーにて24時間インキュベートした。スライドガラス表面をBlocking Buffer(50mM ethanola分e, 0.1M Tris pH9.0, 0.1% SDS)で50℃、15分ブロッキングした後、滅菌蒸留水で2回洗浄し、さらに4x SSC, 0.1% SDS中で50℃、60分洗浄し、滅菌蒸留水で洗浄した。アレイ上のDNAを1本鎖化するためスライドガラスを沸騰した滅菌蒸留水中で2分インキュベートした後、室温の滅菌蒸留水にて2回洗浄し、乾燥させ、デシケータ中で保管した。
(3)DNAのラベリング
ゲノムDNAのラベリングにはBioprime Labeling kit(Invitrogen)を用いた。反応液量は50μlとし指定のプロトコールに従って1μgの健常人DNA(健常人の末梢血より抽出したDNA) と1μgの扁平上皮癌細胞株DNAのラベリング反応を行ったが、反応組成のうち各dNTP濃度を終濃度200μM( dATP, dGTP, dTTP)、50μM( dCTP)、160μM(Cy3またはCy5標識dCTP)となるよう変更した。ラベル後のDNAはSephadex G-50カラムを用いて精製し、67.5μgのHuman Cot-1 DNA (Invitrogen)とともにエタノール濃縮した。
(4)競合的ハイブリダイゼーション
プレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションは、Lucidea Slide Pro(Amersham Biosciences) を用いて行った。
まず、エタノール沈殿した各標識ゲノムDNA全量を30μlのハイブリダイゼーションバッファー(50% Formamide, 10% Dextransulfate, 0.1% Tween20, 2x SSC, 10mM Tris-HCl pH7.4)に溶解させ、3μl Yeast tRNA(100μg/μl) を加え72℃にて10分熱変性後、37℃、1時間プレハイブリダイゼーションを行った。一方、マイクロアレイに対しては、DNA mix( 40μg サケ精子DNA、67.5μg Human Cot-1 DNAを濃縮し100μlのハイブリダイゼーションバッファーに溶解した) を72℃、10分変性後、氷冷し、アレイと37℃、1時間プレハイブリダイズさせた。
プレハイブリダイゼーション後の標識ゲノムDNAに200μlのハイブリダイゼーションバッファーを加え、マイクロアレイと37℃、48時間ハイブリダイゼーションさせた。マイクロアレイは、washing buffer1( PBS, 0.05% Tween20) 中で10分間、室温洗浄し、42℃に温めたwashing buffer2( 50% Formamide, 2x SSC) 中で30分間、室温洗浄、さらにwashing buffer1( PBS, 0.05% Tween20) 中で再度10分間、室温洗浄した。さらに0.2xSSC、0.05x SSCで洗浄し、遠心乾燥させスキャニングするまでデシケータ中で遮光保存した。
(5)スキャニングおよびデータ解析
マイクロアレイのスキャニングにはGenePix4000B( Amersham Biosciences)を用いた。スキャニングには付属のソフトウェア設定のautomatic grid featureを使用し、必要な場合にはマニュアル補正を行った。測定したCy3およびCy5の蛍光量からバックグラウンドの蛍光量を引いたものを各スポットの蛍光強度とし、Cy3とCy5の蛍光強度比を算出した。データの標準化にはグローバル法を用いた。全スポットにおける蛍光強度比の平均値を算出し、その平均値で各スポットにおける蛍光強度比を割ったものを各スポットの平均蛍光強度比とした。
なお、コントロールとして、健常人のゲノムDNA同士で、上記マイクロアレイに対して競合的ハイブリダイゼーションを行った結果を表1に、扁平上皮癌細胞株と健常人のゲノムDNAに対して行った結果を表2に示す。
Figure 2005261366
Figure 2005261366
表1では、平均蛍光強度比が0.94〜1.11の範囲に収まっているので、ここから大幅に外れた数値を取るDNA配列に、コピー数の増減が生じていると考えられる。こうして、表2より、扁平上皮癌細胞株では、c-raf1、FHIT、p53、BCL2のコピー数が減少し、EFGR、EMS1、INT2のコピー数が増加していることが明らかになった。
このように、本発明の包括的スクリーニング方法を用いれば、ゲノムDNA内の複数の異常を同時に検出することができる。

Claims (4)

  1. 検体細胞または検体細胞集団において、細胞当たりのコピー数が正常より増減している少なくとも一つのDNA配列を同定するための包括的スクリーニング方法であって、
    正常細胞に由来する1組のゲノム全体をカバーするプローブ群を有するゲノムDNAマイクロアレイを作製する工程と、
    各プローブのDNA配列を明らかにする工程と、
    前記検体細胞または前記検体細胞集団より抽出した検体ゲノムDNAと、正常の前記細胞または前記細胞集団より抽出した正常ゲノムDNAを、異なる標識物でラベルする工程と、
    前記ゲノムDNAマイクロアレイに対し、前記検体ゲノムDNAと前記正常DNAを競合的にハイブリダイズさせる工程と、
    得られたシグナルを解析し、前記検体細胞または前記検体細胞集団において、細胞当たりのコピー数が正常より増減しているDNA配列を有する少なくとも一つのプローブを同定する工程と、
    を備える包括的スクリーニング方法。
  2. 前記検体細胞または検体細胞集団が腫瘍細胞または腫瘍であることを特徴とする請求項1に記載の包括的スクリーニング方法。
  3. 少なくとも一つのDNA配列の、細胞当たりのコピー数が正常より増減していることが起因となる表現型を有する検体細胞または検体細胞集団において、前記DNA配列を同定するための前記表現型の原因遺伝子同定方法であって、
    正常細胞に由来する1組のゲノム全体をカバーするプローブ群を有するゲノムDNAマイクロアレイを作製する工程と、
    各プローブのDNA配列を明らかにする工程と、
    前記検体細胞または前記検体細胞集団より抽出した検体ゲノムDNAと、正常の前記細胞または前記細胞集団より抽出した正常ゲノムDNAを、異なる標識物でラベルする工程と、
    前記ゲノムDNAマイクロアレイに対し、前記検体ゲノムDNAと前記正常DNAを競合的にハイブリダイズさせる工程と、
    得られたシグナルを解析し、前記検体細胞または前記検体細胞集団において、細胞当たりのコピー数が正常より増減しているDNA配列を有する少なくとも一つのプローブを同定する工程と、
    を備える原因DNA配列同定方法。
  4. 前記表現型が細胞の腫瘍化であることを特徴とする請求項3に記載の原因DNA配列同定方法。
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