JP2011078409A - アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション法による核酸変異解析法 - Google Patents

アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション法による核酸変異解析法 Download PDF

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Abstract

【課題】擬陽性ないし擬陰性を低減し解析結果の信頼性を向上させたアレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション法による核酸変異解析法の提供。
【解決手段】[(a)同一の複数のプローブ核酸セットに対し、標識された複数の試料核酸を1種ずつ接触させてハイブリダイズさせる工程][(b)同一のプローブ核酸が固定化されているX1〜Xnの各スポットにおいてハイブリダイズした該試料核酸の標識強度F1〜Fnを取得する工程][(c)F1とF2の比較値からF1とFnの比較値までのn−1個の比較値各々が所定の数値範囲に入るか否かを判定する工程][(d)所定の数値範囲に入らないと判定された比較値の個数が所定数を超えるか否かを比較し、所定数を超える場合に、前記スポットX1を陽性と判断する工程]を含むアレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション法による核酸変異解析法。nは3以上の整数。
【選択図】図1

Description

本発明は、解析結果から擬陽性等の影響を低減し解析結果の信頼性を向上させるアレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション法による核酸変異解析法に関する。
アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(Comparative Genomic
Hybridization;CGH)法は、数10kb〜数Mbレベルで起きたゲノムコピー数異常等のゲノム構造異常を短時間で検出する手段として知られている(例えば非特許文献1、2参照)。
アレイCGHを用い遺伝疾患などの診断アレイの場合、病態に直結するコピー数異常を正確に診断することが必要になる。このため、標準となる核酸は、コピー数変化(CNV)を有しないものであることが必要であり、まれなCNVも含めて注意深い選択と確認を行う必要があり、煩雑で再検査を要求される場合が多かった。
また、全ゲノム解析用アレイを含めて、コピー数異常が検出されてきた場合、対象となるゲノムについて正常であることが証明された標準核酸の入手は非常に困難であるため、正常検体での解析例や公共データベースと照合するとともに、両親や同胞の検査を引き続き行い、擬陽性ないしは擬陰性であるのかde novoのコピー数異常であるのかを確認するために何度も再検査する必要があった(例えば非特許文献1参照)。擬陽性ないしは擬陰性と判定された場合には再検査の必要が生じ、一回的に診断できない問題が生じていた。
稲澤譲治ら編、「アレイCGH診断活用ガイドブック 知っておきたい染色体微細構造異常症」、株式会社医薬ジャーナル社 井本逸勢、稲澤譲治「マイクロアレイ技術用いたCGH解析:CGHアレイ法」、細胞工学, Vol.23, No.03, 355−361, (2004).
上記従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、従来のアレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション法で問題となっていた解析結果における擬陽性ないし擬陰性の影響、特に標準核酸のCNVによる影響を低減し解析結果の信頼性を向上させて再検査の必要がない核酸変異解析法、及びそのデータ処理を実行するプログラムを提供することにある。
また、本発明の目的は、前記核酸変異解析法を用いてなる遺伝子の変異に由来する疾患の診断方法を提供することにある。
上記課題は下記の手段により達成された。
1.
(a)1つの核酸マイクロアレイ上に複数のスポットがあり、該複数のスポットに互いに異なるプローブ核酸が固定化されている同一のプローブ核酸セットをnセット用いて、該nセットのプローブ核酸セットに対し、標識された、S1〜Snのn種の試料核酸をそれぞれ1種ずつ接触させてハイブリダイズさせる工程と、
(b)前記nセットのプローブ核酸セットから選ばれた、同一のプローブ核酸が固定化されているX1〜Xnのn個のスポットを選択し、X1〜Xnのn個の各スポットにおいてハイブリダイズした該試料核酸の標識強度F1〜Fnを取得する工程と、
(c)スポットX1の標識量値F1とF2〜Fnの各標識量値とを比較することによってn−1個の比較値C2〜Cnを得て、該比較値の各々が所定の数値範囲に入るか否かを判定する工程と、
(d)前記n−1個の比較値のうち、工程(c)で所定の数値範囲に入らないと判定された比較値の個数が所定数を超えるか否かを判定し、所定数を超える場合に、前記スポットX1を陽性と判断する工程と、を有し、
nは3以上の整数であり、前記試料核酸は検体核酸又は標準核酸であり、少なくとも前記S1は検体核酸であり、X1はS1を接触させたスポットである、
アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション法による核酸変異解析法。
2.
前記n種の試料核酸の少なくとも2種が検体核酸である上記1に記載の核酸変異解析法。
3.
(c’)F2とF1の比較値からF2とFnの比較値までのn−1個の比較値各々が所定の数値範囲に入るか否かを判定する工程と、
(d’)前記n−1個の比較値のうち、工程(c’)で所定の数値範囲に入らないと判定された比較値の個数が所定数を超えるか否かを判定し、所定数を超える場合に、前記スポットX2を陽性と判断する工程と、を更に有し、前記スポットX2は前記S1とは異なる試料核酸S2と接触させたスポットである、上記1又は2に記載の核酸変異解析法。
4.
前記n種の試料核酸の少なくとも1種が標準核酸である上記1〜3のいずれか一項に記載の核酸変異解析法。
5.
前記n種の試料核酸がすべて検体核酸である上記1〜3のいずれか一項に記載の核酸変異解析法。
6.
前記n種の試料核酸が、生物分類学的に同一種に属する異なる個体に由来する核酸である上記1〜5のいずれか一項に記載の核酸変異解析法。
7.
n個の同一のプローブ核酸セットNS1〜NSnが備えられており、
各プローブ核酸セットNSiはp個のスポットti1〜tipを有する核酸マイクロアレイに備えられ、iは整数かつ1≦i≦nであり、pは整数かつ2≦pであり、
互いに異なるプローブ核酸が各プローブ核酸セットNSiのp個のスポットti1〜tipに固定されており、
各プローブ核酸セットNSiのp個のスポットの1つが前記スポットXiであり、
スポットt1j〜tnjには同一のプローブ核酸が固定されており、jは整数かつ1≦j≦pであり、
前記工程(a)は標識された試料核酸Siをプローブ核酸セットNSiに接触させて、プローブ核酸セットNSiのp個のスポットに固定された核酸に試料核酸Siをハイブリダイズさせ、
工程(b)は各プローブ核酸セットNSiのスポットti1〜tipにおいてハイブリダイズされた試料核酸の標識量値Fi1〜Fipを取得し、
プローブ核酸セットNS1〜NSnから、NS1とNSmが選択され、mは整数かつ2≦m≦nであり、
工程(c)は
(c1)標識量値F1jとFmjを比較してp個の比較値C1’’〜Cp’’を求め、
(c2)比較値C1’’〜Cp’’の平均値又は中央値を算出し、
(c3)工程(c2)で得られた平均値又は中央値に基づき所定の数値範囲を設定し、比較値C1’’〜Cp’’が該所定の数値範囲内にあるか否かを判断する工程
を有する、上記1〜6のいずれか一項に記載の核酸変異解析方法。
8.
前記各試料核酸がすべて同じ標識で標識されている上記1〜7のいずれか一項に記載の核酸変異解析法。
9.
前記工程(b)における前記標識強度F1〜Fnが補正された値である上記1〜8のいずれか一項に記載の核酸変異解析法。
10.
上記1〜9のいずれか一項に記載の核酸変異解析法におけるデータ処理を実行するためのプログラムであって、下記の手順(I)及び(II)を実行するためのプログラム。
[(I)F1とF2からF1とFnとのn−1個の比較値が所定の数値範囲に入るか否かを比較する手順]
[(II)前記(I)で仮に決定したn−1個の比較値全てのうち、手順(I)で所定の数値範囲に入らないと判定された比較値が所定数を超えて存在する場合に、前記スポットX1を陽性と判断する手順]
11.
上記10に記載されたプログラムであって、手順(i)が下記の手順(i)〜(v)であるプログラム。
[(i)n個のプローブ核酸セットの各々にp個ずつあるスポットにおいて、
前記nセットのプローブ核酸セットからスポットX1を含むように選択される2個のプローブ核酸セットの対を選び、
該2個のプローブ核酸セットの間で同一のプローブ核酸が固定化されているスポット同士の標識強度の比較値を算出する手順]
[(ii)前記手順(i)における比較値の算出を、プローブ核酸セット内のp個のスポット同士において行う手順]
[(iii)前記手順(ii)で得られたp個の比較値の平均値又は中央値を算出する手順]
[(iv)前記手順(iii)で得られた平均値又は中央値から所定の数値範囲を設定し、p個の比較値それぞれが該所定の数値範囲を越えているか否かを比較する手順]
12.
上記1〜9のいずれか一項に記載の核酸変異解析法を用いてなる遺伝子の変異に由来する疾患の診断方法。
本発明の核酸変異解析法は、従来のアレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション法で問題となっていた解析結果における擬陽性ないし擬陰性の影響、特に標準核酸のCNVによる影響を低減し解析結果の信頼性を向上させることができる。より詳細には、従来のアレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション法では擬陽性ないし擬陰性の影響により再検査の必要があった検体についても、本発明の核酸変異解析法は再検査の必要がない。
本発明のプログラムは前記核酸変異解析法におけるデータ処理を実行するので、解析結果における擬陽性ないし擬陰性の影響、特にCNVによる影響を低減し解析結果の信頼性を向上させることができる。
本発明の遺伝子の変異に由来する疾患の診断方法は、前記核酸変異解析法を用いてなるので、擬陽性ないし擬陰性の影響を低減し診断することができる。
図1は本発明の1つの実施態様の核酸変異解析法を示すフローチャートである。 図2は本発明の1つの実施態様の核酸変異解析法の1つの実施態様の一部を示す部分概略図である。 図3は、検体DNA No.1と標準であるmaleのゲノムDNAの蛍光強度比の対数プロットの結果を示す図である。 図4は、検体DNA No.1と検体DNA No.2の蛍光強度比の対数プロットの結果を示す図である。 図5は、検体DNA No.1と検体DNA No.3の蛍光強度比の対数プロットの結果を示す図である。 図6は、検体DNA No.1と検体DNA No.4の蛍光強度比の対数プロットの結果を示す図である。
本明細書において「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本実施態様の核酸変異解析法は、アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション法による解析法であって、下記の工程(a)〜(d)を含むものである。
図1及び2は本発明の核酸変異解析法の好ましい1つの実施形態を示す概略図である。なお、図1では工程(d)で判断基準となるスポット数を半数とし、図2はnが4の場合を例示しているが、本実施態様はこれらに制限されるものではない。
まず、工程(a)は、核酸マイクロアレイ上のp個以上のスポットに互いに異なるプローブ核酸が固定化された同一のプローブ核酸セットをnセット用いて、該プローブ核酸セットの各々に対し、標識された、S1〜Snのn種の試料核酸を各々1種ずつ接触させてハイブリダイズさせる。以下、pは2以上の整数、nは3以上の整数である。
ついで、前記nセットのプローブ核酸セットの各々から選ばれた同一のプローブ核酸が固定化されているX1〜Xnのn個のスポットを選択し、各スポットにおいてハイブリダイズした該試料核酸の標識強度F1〜Fn(スポットX1の標識強度F1、スポットX2の標識強度F2…スポットXnの標識強度Fn)を取得する(工程(b))。
次に、F1とF2の比較値からF1とFnの比較値までのn−1個の比較値各々が所定の数値範囲に入るか否かを判定する(工程(c))。図2においては、工程3のF1とF2の比較値C2をF1/F2、F1とF3の比較値C3をF1/F3としているが、後述のように比較値の計算方法はこれに限定されない。
次に、前記n−1個の比較値のうち、工程(c)で所定の数値範囲に入らないと判定された比較値が所定数を超えて存在する場合に、前記スポットX1を陽性と確定する(工程(d))。
なお、ここでは任意のスポットX1に着目して説明しているが、その他のスポットに置き換えて行うことができ、試料核酸S1をハイブリダイズしたアレイ内のすべてのスポットを上記のX1に置き換えて解析を行うことが好ましい。
ここで、アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション法(以下、アレイCGH法ということもある)とは、核酸マイクロアレイ上で比較ゲノムハイブリダイゼーション法を行う方法をいい、例えば、稲澤譲治ら編、「アレイCGH診断活用ガイドブック 知っておきたい染色体微細構造異常症」(株式会社医薬ジャーナル社)等に詳しく記載されている。
従来のアレイCGH法では、標準とする核酸と検体とで別種の標識化合物を用い、同一のスポットに同時にハイブリダイズさせる2色法を用いるものが知られていた。
2色法では、標準と検体を同時に同じアレイで同時に評価するが、標準とする核酸のCNVが未知である場合、測定結果として現れる増減が、標準における増減か、或いは検体の影響における増減(いわゆる擬陽性・擬陰性)なのか見分けることが難しかった。このような問題を避けるため、2色法では、標準のCNVを事前に確認することが行われていた。しかし、標準のCNVが分かっていない場合には、標準のCNVを評価するために多くのサンプル及び実験が必要であった。
これに対して本実施態様の方法は、検体とする核酸と対照となる核酸1種とを、互いに同種の核酸が固定化されている別個のスポットにおいて各々ハイブリダイスさせ、各々測定した値を比較するものである。しかしこの方法でもアレイ1に検体の核酸を添加し、アレイ2に対照とする検体の核酸を添加し、それぞれハイブリダイズさせ、同一のプローブ核酸が固定化されたスポットであるスポットX1とスポットX2における標識強度の比較を行うことで1個の比較値を得て、それに基づき陰陽の判断を行うと、特に対照がCNV(コピー数変化)を含んでいると、対照の影響による増減(いわゆる擬陽性・擬陰性)が生じ、再検査が必要になる場合や誤判定が生じる場合がある。
そこで、本実施態様においては、標識されたn種の試料核酸が用いられる。nは3以上の整数である。具体的には、n種の試料核酸の中から1種を判断対象として着目し、残りのn−1種を対照として判断対象に関するn−1個の比較値を得て、比較値の陰陽について仮の判断を行う。ついで、n−1個の仮の判断結果のうち、所定数以上が仮の陽性である場合に真の陽性と判断し、仮の陽性が所定数より少ない場合には真の陰性と判断する。
前記所定数としては、仮の判断結果総数の30%〜70%の間の個数を用いることが好ましく、40%〜60%の個数を用いることがより好ましい。
ここで、陽性・陰性とは、従来のアレイCGH法と同様であり、対象とするスポットに固定化されている核酸配列について、標準核酸と比較して検証核酸に多く存在する場合又は少なく存在する場合若しくは存在しない場合を陽性と呼び、同じ場合を陰性と呼ぶ。
一般に、あるスポットにおいて、検体核酸と対照となる核酸1種との比較で擬陽性ないしは擬陰性(以下、単に擬陽性等という)が発生する確率は、多くても1/10程度であり、通常は1/100以下である。よって対照となる核酸をn−1種用い、得られたn−1個の仮の判断結果のうち、所定数以上が仮の陽性である場合に、真の陽性と判断することにより、上記擬陽性等が発生する確率は大幅に低減される。
以上から本実施態様の核酸変異解析法により測定結果から擬陽性等を低減できる。
また、本実施態様においては上記発生率が極めて低くなることから標準核酸を用いないことも可能となる。
本実施態様に用いられる試料核酸の種類nは3以上であり、4以上であることが好ましい。
上述のようにnは多いほど効果が高く、nの上限は制限されないが、データを迅速に得るため、及び計算を簡単にする観点からnは100以下であることが好ましい。nは4〜100であることが最も好ましい。
以下、標識されたn種の試料核酸は、試料核酸S1、S2、…Sn−1、Sn(nは3以上の整数)とも表す。
なお、以下、スポット(X1)に着目し、スポット(X1)おける標識が陽性か否かの検証、即ちスポット(X1)に接触させた標識された試料核酸(S1)における核酸変異の有無についての検証として説明しているが、スポット(X1)は任意のスポットであり、通常、アレイ上のp個以上のスポット(pは2以上の整数)スポットに対して着目して本実施態様の方法を各々行い、好ましくはアレイ上のすべての試料核酸をハイブリダイズしたスポットについて着目して検証を行う。
また、試料核酸のうち、着目している核酸を判断対象とする核酸とし、比較する相手を対照とする核酸としているが、任意の試料核酸について着目し、判断対象とする核酸とすることができる。試料核酸の少なくとも2種が検体核酸であることが好ましい。即ち、前記S1とした核酸はn種の核酸から任意に選ぶことが可能であり、n種の核酸に含まれる全ての検体核酸を順次S1として本実施態様を行うことで、信頼性の高い核酸変異解析を行うことができる。
試料核酸についての対応するスポット同士の標識強度を比較することで、複数の検体核酸についての真の陰陽性を判断することができる。
また、ハイブリダイゼーションを行う工程と、標識強度を取得する工程は、通常、アレイ上の全スポットに対して各々一度に行う。
なお、ハイブリダイゼーションした標識強度を予め取得してあるデータに関し、本実施態様の方法で検証を行うことも可能である。
・工程(a)
工程(a)においては、同一のプローブ核酸が固定化されているX1〜Xnのn個のスポットに対し、標識された、S1〜Snのn種の試料核酸をそれぞれ1種類ずつ接触させて、前記固定化された核酸に前記試料核酸をハイブリダイズさせる。
核酸マイクロアレイとは、固体基板上にプローブ核酸を高密度に結合させた物をいう。前記固体基板に用いる固体材料としては、一般的に使用されるスライドガラスなどのガラス素材のほか、プラスチック材料など、プローブ核酸が結合可能な材料である限り特に制限はない。
本実施態様に用いられる前記核酸マイクロアレイとしては、BAC−DNAアレイ、オリゴヌクレオチドマイクロアレイ、c−DNAマイクロアレイ等が挙げられる。
なお、本実施態様の核酸変異解析法において、市販品の核酸マイクロアレイを使用してもよいし、通常の方法で作成したものを用いてもよい。
スポットとは、前記核酸マイクロアレイ上に複数存在する、プローブ核酸を多量に高い密度で固定化した領域をいう。
前記核酸マイクロアレイのスポット数はp個以上であれば特に制限はないが、一般に5個〜100万個であることが好ましく、300個〜5000個であることが好ましい。
前記核酸マイクロアレイのスポットの配置は特に制限はなく、アレイを複数エリアもち、複数の試料核酸を1枚の基板上で測定できる多検体アレイ、複数のアレイを組み合わせ、多くのスポットを1枚の基板に再現したタイリングアレイなどが挙げられる。
プローブ核酸とは、核酸マイクロアレイの基板上に(好ましくはスポット状に複数個)固定化されている核酸であり、既知の配列を含む核酸であることが好ましい。
前記プローブ核酸の大きさは、10塩基(b)〜10kbであることが好ましく、50b〜5kbであることがより好ましく、100b〜2kbであることが更に好ましい。
「同一のプローブ核酸」とは、前記プローブ核酸に相補的な核酸にストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸をも含むものとする。
本実施態様では、同一のプローブ核酸が固定化されているn個のスポットにおいて各々別の試料核酸とハイブリダイズを行う。ここで同種の前記プローブ核酸が固定化されている前記スポットは、スポットX1、X2、…Xn−1、Xn(nは3以上の整数)と表す。
前記n個のスポットX1、X2、…Xn−1、Xnは、同一の核酸マイクロアレイ上に存在していてもよいが、各々別のn個の核酸マイクロアレイに存在することが好ましい。例えば、前記n個のスポットが、同種のn個の核酸マイクロアレイに別々の存在する場合には、ブロック番号、Column番号、Row番号が同じであるスポットを前記n個のスポットとすることが好ましい。
前記プローブ核酸の固定量は、1スポットあたり、0.8〜5μgとすることが好ましく、1.0〜2.0μgとすることがより好ましい。
工程(a)において、「プローブ核酸セット」とは、特定の転写産物についての遺伝子をコードするプローブ核酸の一群をいう。本実施態様において、前記プローブ核酸セットの数は、通常、アレイ上のスポットの数に対応する。
1つのプローブ核酸セットについて、固定化されるプローブ核酸の種類が各スポット間で異なる限り、各スポットには1種のプローブ核酸が固定化されていても複数種のプローブ核酸が固定化されていてもよい。通常、1つのアレイに1つのプローブ核酸セットが固定化されている。
工程(a)において、nセットのプローブ核酸セットは、nセットの同一のプローブ核酸セットをいい、あるプローブ核酸セットに相補的なプローブ核酸セットにストリンジェントな条件でハイブリダイズするプローブ核酸セットをも含むものとする。
前記同一のプローブ核酸セットは試料核酸の種類に対応し、nセットである。
前記プローブ核酸としては、化学合成した核酸、cDNA、BAC(Bacterial Artificial Chromosomes)、YAC(Yeast Artificial Chromosomes)、PAC(P1‐derived Artificial Chromosomes)、これらを遺伝子工学的な手法等を用いて増幅した物が挙げられる。
更に、DNAやRNAなどの天然型の核酸を化学修飾した核酸を前記プローブ核酸として使用しても良い。例えば、PNA(Peptide Nucleic Acid)、BNA(Bridged Nucleic Acid)、メチルホスホネート型DNA、ホスホロチオエート型DNA、ホスホロアミデート型DNA、ボラノホスフェート型DNAなどを用いることができる。また、キメラ型核酸を用いることもできる。
前記プローブ核酸を固体基板上に結合させる方法としては、GeneChipを代表とする光脱離基を結合させたアミダイトモノマーを用い、マスクを使用して、1ヌクレオチドずつ化学合成する方法やインクジェット方式でアミダイトモノマーを固体基板上にスポットし、望んだ配列を化学合成する方法、電極上で溶液のpHを変化させそのpH変化を利用して保護基を脱離することにより基板上で核酸を合成する方法、あらかじめ化学合成した核酸を精製し基板上にスポットする方法、スポッターを用いてcDNAをスポットする方法などが挙げられる。前記スポット方式については、インクジェット方式、ピンアレイ方式などが挙げられる。
試料核酸は、本実施態様の核酸変異解析法に用いられる一本鎖ないしは二本鎖の核酸をいい、DNA、RNA等いずれであってもよい。
試料核酸の由来は特に制限はなく、例えば、核酸マイクロアレイを用いて、核酸の発現量や存在量、ゲノムの中のコピー数などを測定しようとしている試料核酸を含有している細胞等の分析対象あるいは診断などの評価を行おうとしている細胞、同時に組織や、器官、一個体などが挙げられ、細胞そのものに制限されるものではない。
特に試料核酸の由来としては、ある疾患を持っていると考えられうるヒト患者、動物等から取得できる細胞等が好ましい。前記疾患としては、癌、遺伝病、感染症等の核酸になんらかの情報を持ちうる疾患が全て該当し特に制限するものではない。本実施態様の方法は、変異の数が比較的少ない、先天性の遺伝病などの検査に好適であり、粘膜・髪の毛・爪といった非侵襲的な部位や、血液・リンパ液・骨髄・精液・羊水などの体液を試料とすることが好ましい。
前記n種の試料核酸が、生物分類学的に同一種に属する異なる個体に由来する核酸、又は同一個体の異なる細胞に由来する核酸であることが好ましく、ヒトの異なる個体に由来する核酸、又はヒトの同一個体の異なる細胞(例えば、正常細胞及びがん細胞)に由来する核酸であることがより好ましい。ヒトの異なる個体に由来する核酸であることが最も好ましい。
また、本実施態様の方法は、特定の遺伝病を有する可能性等によって選別されていない個体に対する検査(新生児の全数検査など)に用いられることが好ましい。
前記試料核酸を調製(精製及び断片化等)する際には、精製処理を行い、タンパクや脂質等の細胞溶解物を除去することが好ましい。精製を行わないと、蛍光等による標識の際に、様々な副反応が生じると共に、タンパクや脂質等細胞溶解物がバックグラウンドノイズに大きな影響を与え、核酸マイクロアレイの性能を著しく低下させるからである。
前記精製の手法としては、シリカやセルロース化合物などの核酸吸着性膜を担持したカートリッジを用いた方法、エタノール沈殿やイソプロパノール沈殿、フェノール−クロロホルム抽出などが挙げられ、更に、イオン交換樹脂やオクタデシル基などの疎水性置換基を結合したシリカ担体やサイズ排除効果を有する樹脂を使用した固相抽出カートリッジ、クロマトグラフィーなどによる手法などが挙げられる。前記試料核酸の長さは特に制限されず、例えばホールゲノムであってもよいが、下記の断片化処理後に前記精製処理を行っても良い。
なお、標識された試料核酸の長さは特に制限されないが、通常、標識・複製処理により1000b塩基(1kb)又は塩基対(bp)〜5000b又はbpに断片化されている。
断片化処理としては、酵素処理、超音波処理、機械的破砕処理、化学的処理等が挙げられる。前記酵素処理に使用する酵素としては、制限酵素又は核酸分解酵素を用いることが好ましい。制限酵素の種類は、複数用いることも可能である。
前記機械的破砕処理としては、ガラス、ステンレス、ジルコニアなどのボールを用いて、核酸を切断する手法等が挙げられる。
前記核酸に対しサブトラクション法による処理を行っても良い。サブトラクション法とは、対象遺伝子のコピー数や発現に差がある場合、遺伝子の中に存在する違いを、引き算の要領で差し引きし、効率的に遺伝子を単離する方法である。例えば、PCR−Select法、RDA(representational difference analysis)法、DsDD(Duplex−specific Direct Digestion)法等を用いることができる。
特に、本実施態様において、がん細胞に由来する試料核酸を用いる場合、がん組織の中には、がん細胞と共に多量の正常細胞が含まれているため、核酸マイクロアレイの性能が著しく低下する場合があるが、サブトラクション法によって、その性能低下をある程度防ぐことができる。
前記n種の試料核酸として、少なくとも複数種の検体核酸及び少なくとも1種、好ましくは2種以上の標準核酸を含むことが好ましい。
また、本実施態様の別の態様として、試料核酸を用いない、即ちn種の試料核酸のすべてを検体核酸とすることもできる。
検体核酸とは、いわゆる検体から得た核酸、即ち、核酸変異について未知であって、本実施態様により核酸変異を解析しようとする標的の核酸をいう。例えば、正常細胞(がん化していない細胞)から抽出した核酸、異常細胞(例えば、がん細胞)から抽出した核酸を検体核酸として使用することができる。
標準核酸とは、上記で検体核酸と比較するためのもので、ユーザー(核酸変異解析法の実行者)が変異等につき予めある程度の情報を有している核酸をいう。具体的には、コピー数変化(CNV)などについてコピー数変化が生じている位置とその数が既知の核酸であることが好ましく、塩基配列が既知であることがより好ましい。
また、例えば、CNVやなんらかのモザイクを持つ患者において癌が発症したとして、同一患者について癌細胞から得られた核酸と癌細胞以外の正常細胞から得られた核酸とを比較した場合、CNVやなんらかのモザイクについては、相殺されるので、該正常細胞から得られた核酸を標準核酸として用いることになんら障害が無い。そのため、ゲノム中のコピー数がその生物種における一般的な存在量と異なっていたとしても、同一固体の場合など、検体核酸と比較して情報を得られる限り、標準核酸とすることができる。
前記各試料核酸が同じ標識で標識されていることが好ましい。
標識とは、検出可能な物質を核酸に結合することをいう。前記検出可能な物質としては、特に制限はないが、蛍光物質、酵素、放射性同位元素、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)を起こす化合物等を挙げることができ、蛍光物質による蛍光標識であることが好ましい。
前記蛍光物質として特に制限はないが、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、Cy−dye、Alexa、緑色蛍光タンパク質(GFP;Green Fluorescent Protein)、青色蛍光タンパク(BFP)、黄色蛍光タンパク(YFP)、赤色蛍光タンパク(RFP)、Acridine、DAPI、Ethidium bromide、SYBR Green、Texas Red、希土類蛍光ラベル剤、TAMRA、ROXなどを用いることができ、Cy−3、Cy−5などのCy−dyeによって蛍光標識することが好ましい。
更に、標識に関し、ジゴキシゲニン(Digoxigein:DIG)、ビオチンなども利用することもできる。ビオチンを利用した例としては、プローブに結合させたビオチンに、アビジンを結合させ、ここにビオチンを結合させたアルカリ性ホスファターゼを結合させ、アルカリ性ホスファターゼの基質であるニトロブルーテトラゾリウムと5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸を加えると紫色の発色が見られ検出に使用することができる。
また、非酵素的に標識することもできる。例えば、ULS arrayCGH LabelingKit(Kreatech Biotechnology BV社製)なども用いることができる。
蛍光標識する方法としては、直接標識法、間接標識法いずれの標識法を用いても良い。直接標識法とは、核酸を一本鎖とし、ここに短鎖核酸をハイブリダイゼーションさせ、蛍光物質(例えばCy−dye)を結合させたヌクレオチド化合物をヌクレオチドとともに混合しておき、一段階で核酸を標識する方法である。間接標識法とは、核酸を一本鎖とし、ここに短鎖核酸をハイブリダイゼーションさせ、蛍光物質(例えばCy−dye)が結合できる置換基を持ったヌクレオチド化合物、例えば、アミノアリル基を持ったヌクレオチド化合物と天然型のヌクレオチドとともに混合しておき、最初に、この置換基を持った核酸を合成し、次に、アミノアリル基を介して蛍光物質(例えばCy−dye)を結合させ、核酸を標識させる方法である。
蛍光物質等の標識化合物を核酸に導入する方法として、ランダムプライマー法(プライマーエクステンション法)、ニックトランスレーション法、PCR(Polymerase Chain Reaction)法、末端標識法などを用いることができる。特に、本実施態様においてはランダムプライマー法を好適に用いることができる。
ランダムプライマー法は、核酸に対して、数bp(塩基対)から十数bpのランダムなプライマー核酸をハイブリダイゼーションさせ、ポリメラーゼを用いて、増幅と標識とを同時に行い、標識された核酸を合成する方法である。ニックトランスレーション法は、例えば、DnaseIでニックを入れた二本鎖核酸に、DNAポリメラーゼを作用させ、DNAを分解すると同時に、DNAポリメラーゼ活性により、標識された核酸を合成する方法である。PCR法は、二種類のプライマーを準備し、そのプライマーを用いてPCR反応を行うことで、増幅と標識とを同時に行い、標識された核酸を得る方法である。末端標識法は、5’末端を標識する方法では、アルカリホスファターゼで脱リン酸化した核酸の5’末端に、T4 ポリヌクレオチドキナーゼによるリン酸化反応で蛍光物質等の標識化合物を取り込ませる方法である。3’末端を標識する方法は、ターミナルトランスフェラーゼにより、蛍光物質等の標識化合物を核酸の3’末端に付加する方法である。
標識された試料核酸等として、それらを含む未精製の溶液を使用することも可能である。その様な未精製溶液を用いる場合、それらの溶液中には、酵素などがそのまま残存しており、調製後、溶液中に残存する酵素の活性を失活させておくことが好ましい。データの再現性に影響を与えるのを防止する観点からである。
酵素の失活方法として、酵素の失活が可能な方法であればどの様な方法でもかまわないが、キレート剤を添加する方法、60℃以上の加熱処理を行うことのいずれか一方若しくは両方を行うことが好ましい。加熱温度は、60℃以上が好ましく、63℃以上が更に好ましい。加熱時間は、1分以上あれば良く、最も好ましくは、65℃以上で5分間以上の加熱処理を行うことが好ましい。
また、klenow fragmentを用いた標識方法であれば、ボルテックスミキサー等を用いて酵素の活性を失わせることも可能である。
・ハイブリダイズ
工程(a)において、nセットの前記プローブ核酸セットの各々に対し、標識されたn種の試料核酸S1〜Snの各々1種ずつ接触させるために、前記スポット各々に前記試料核酸を各々1種ずつ含有させる手法としては、ピペッティング等任意の手法で行うことができる。
工程(a)において、前記プローブ核酸と前記試料核酸とは、ハイブリダイゼーション溶液中インキュベートすることによりハイブリダイズさせることができる。
インキュベートの条件としては特に制限はないが、25〜50℃の範囲で行うことが好ましく、30〜45℃の範囲で行うことがより好ましく、37〜42℃の範囲で行うことが更に好ましい。また、ハイブリダイゼーションの時間は、8〜96時間とすることが好ましく、12〜72時間とすることがより好ましく、16〜48時間とすることが更に好ましい。
工程(a)のハイブリダイズに用いるハイブリダイゼーション溶液としては該溶液において前記プローブ核酸と該試料核酸とがハイブリダイズする限り特に制限はない。前記プローブ核酸と該試料核酸とが好適にハイブリダイズする性質を有する溶液であることが好ましく、前記プローブ核酸と該試料核酸との配列の一致度が高いハイブリダイゼーションを促進し、その一方で、配列の一致度が低いハイブリダイゼーションを抑制する働きを有する溶液であることがより好ましい。
前記ハイブリダイゼーション溶液は、排除体積効果を有する物質、試料核酸の融点を低下させる物質、及びイオン強度を調整する溶液を含有することが好ましい。
前記排除体積効果を持つ物質として、ポリエチレングリコール(PEG、例えば特開2000−325099号公報参照)やデキストラン硫酸等が挙げられる。
前記試料核酸の融点を低下させる物質としては、ホルムアミド、グリセロール、ホルムアルデヒド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、グアニジン・チオシアネート(GuSCN)、ヨウ素などが挙げられる。
イオン強度を調整する溶液としては、SSC(150mM NaCl、15mM クエン酸ナトリウム)、SSPE(150mM NaCl, 10mM NaHPO・HO,1mM EDTA pH7.4)、MES hybridization buffer等が挙げられる。
前記ハイブリダイゼーション溶液には、ブロッキング剤、界面活性剤等を含有させてもよい。
界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、Tween(登録商標)、TritonX(登録商標)などが挙げられる。
前記ブロッキング剤は、ハイブリダイゼーション時に非特異ハイブリダイゼーションの検出を低減するための物である。例えば、核酸マイクロアレイのバックグラウンドノイズを低減させる作用を主として有するtRNA(トランスファーRNA)、変性サケ精子DNA、poly A(ポリアデニル酸)、poly dA(ポリデオキシアデニル酸)、スキムミルクなどが挙げられ、一般に販売されているブロッキング剤も用いることができる。
この他に本実施態様において、特開2005−087109公報に記載されているように、ハイブリダイゼーション溶液の組成の一つとして、リン脂質、デンハルト溶液(フィコール、ポリビニルピロリドン、ウシ血清アルブミンを主成分とする溶液)、4級アンモニウム塩であるベタイン(Biochemistry 32, 137−144(1993))、TMAC(tetramethyl ammonium chloride)(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 1585−1588 (1985))、市販されているハイブリダイゼーション溶液、例えば、ExpressHyb(Clontech社製)、PerfectHyb(東洋紡績株式会社製)、ULTRAhyb(Ambion社製)などを用いることもできる。
ハイブリダイズは、標的核酸とプローブ核酸とがストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが好ましい。具体的なハイブリダイズの条件としては、例えば、37℃で16時間ハイブリダイゼーション反応を行った後、洗浄条件として、(1)2×SSCの溶液を5mL、室温、30秒間、(2)50%ホルムアミド/2×SSC(pH7.0)溶液を5mL、50℃、15分間、(3)2×SSC/0.1%SDS(pH7.0)溶液を5mL、50℃、30分間、(4)2×SSCの溶液を5mL、室温、5分間の洗浄を行うことが挙げられる。
・工程(b)
工程(b)においては、X1〜Xnのn個のスポットにおけるハイブリダイズした該試料核酸の標識量値F1〜Fnを取得する。
工程(b)において、核酸マイクロアレイ上のハイブリダイズ後の標識強度を取得する手法としては標識強度を測定できる限り特に制限はない。
工程(b)において、スポットX1の標識強度をF1、スポットX2の標識強度をF2…スポットXn−1の標識強度をFn−1、スポットXnの標識強度をFnと表す。nは3以上の整数である。
例えば、ラジオアイソトープであればX線フイルムやBASS(富士フイルム株式会社製)等を用いることができる。
標識物質として蛍光物質を用いた場合、蛍光スキャナーを用いることが好ましい。蛍光スキャナーとしては、例えば、FLAシリーズ(富士フイルム株式会社製)やGenePixシリーズ(Axon Instruments社製)、LS Reloaded(テカン社製)などが挙げられる。
・工程(c)
工程(c)において、スポットX1の標識量値F1とF2〜Fnの標識量値とを比較することによってn−1個の比較値C2〜Cnを得て、該比較値の各々が所定の数値範囲に入るか否かを判定する。換言すれば、比較値の大小が陽性に相当するか否かについて、仮の判定を行う。工程(d)を含まない従来の方法における陽性・陰性(特にS2〜Snのうちの標準核酸との比較値の判定結果)は、ここでいう仮に判定される陽性・陰性は、に相当する。
比較値とは、2つの同種のスポット同士の標識強度を比較することによって得られた数値であり、標識強度比、標識強度の差等が挙げられ、標識強度比であることが好ましく、標識強度比の対数値(Log値)であることがより好ましく、標識強度比の底を2とする標識強度比の対数値(Log値)であることが更に好ましい。
比較値各々を陽性又は陰性と仮に判定する基準、即ち所定の数値範囲は、従来のアレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション法と同等のものでよく、たとえば陽性であることが既知である試料核酸(ポジティブコントロール)と陰性であることが既知である試料核酸(ネガティブコントロール)を用意し、その中間値を閾値として判断することなどができる。
また、ハイブリダイズに供されるn種の試料核酸の量が互いに異なる可能性があるので、それを更正する工程を含むことが好ましい。このような工程は特に制限されず、異なるプローブ核酸セットにおいて得られた標識強度を比較する単色法のハイブリダイゼーションにおいて通常用いられている正規化を適用することができ、例えばグローバルノーマライゼーション等を使用することが出来る。
たとえば、各アレイ内のp個のスポットにおける標識強度の平均値や中央値を、比較するアレイ間で揃える方法や、後述する(c2)の工程のように、1対のアレイ間の各スポットにおける各比較値を得た後で、該1対のアレイ間のp個の比較値の平均値や中央値が、ほかの1対のアレイ間のものと同じになるようにする方法が挙げられる。具体的には、個々の標識強度又は比較値と、各アレイ内のp個のスポットにおける標識強度の平均値や中央値で除した比や、標識強度の平均値や中央値を引いた値、あるいは偏差値で表す方法が挙げられる。
このような工程を含むことで、前述したような試料核酸量による差を更正することができる。ここで、更正する方法は特に限定されず、例えば平均値や中央値を標識強度に乗除する、平均値や中央値より一定値以上外れた値を除外するなどの方法が挙げられる。
また上記更正する工程で平均値や中央値で除した比とした場合、得られた値はコピー数に相当する値となる。前述した工程(c)の所定の数値範囲は、各測定値(特に既知の変異を測定した値)を参考に明確に変異していると考えられる領域を除ける値を設定することもできるし、理論的なコピー数としてありえる数値から設定することもできる。後者としては、具体的には、異常のない常染色体上の特定の核酸領域が存在する個数が1コピーであり、1対の前記染色体対のコピー数を1とする場合、理論的にありえるコピー数は、0、0.5、1、1.5、2・・・と0.5おきの値となる。そのため、前記工程(c)における判定を行う基準として、上記間隔の半分、即ち0.25を閾値として仮の陰陽を判断したり、あるいは中間的な値(たとえば0.2〜0.3)を従来のように擬陽性として判定を行わずに除外したりすることもできる。
前記比較値の所定の数値範囲は、従来のアレイ比較ゲノムハイブリダイゼーションの陽性を判断する基準と同様に設定することができる。例えば蛍光強度比を用いる場合、論理的には0.8〜1.2等の値を挙げることができるが、配列の特定等を考慮して任意に設定可能である。例えば後述する補正を行う場合はその分を乗除することができる。
即ち、本実施態様において前記工程(c)は、nセットのプローブ核酸セットの各々にp個ずつあるスポットに対して、下記(c1)〜(c3)の工程を行う工程であることが好ましい。即ち、全部で(n−1)×p個の比較値が算出される。
[(c1)前記nセットのプローブ核酸セットからスポットX1を含むように選択される2個のプローブ核酸セットの対を選び、
該2個のプローブ核酸セットの間で同一のプローブ核酸が固定化されているp対のスポット同士における標識強度を各々比較し、p個の比較値を算出する工程]
[(c2)工程(c1)で得られたp個の比較値の平均値又は中央値を算出する工程]
[(c3)工程(c2)で得られた平均値又は中央値に基づき所定の数値範囲を設定し、p個の比較値それぞれが該所定の数値範囲を越えているか否かを判定する工程]
より詳しくは、本実施態様においては、下記の工程を含む。
n個の同一のプローブ核酸セットNS1〜NSnが備えられており、
各プローブ核酸セットNSiはp個のスポットti1〜tipを有する核酸マイクロアレイを備え、iは整数かつ1≦i≦nであり、pは整数かつ2≦pであり、
互いに異なるプローブ核酸が各プローブ核酸セットNSiのp個のスポットti1〜tipに固定されており、
各プローブ核酸セットNSiのp個のスポットの1つが前記スポットXiであり、
スポットt1j〜tnjには同一のプローブ核酸が固定されており、jは整数かつ1≦j≦pであり、
前記工程(a)は標識された試料核酸Siをプローブ核酸セットNSiに接触させて、プローブ核酸セットNSiのp個のスポットに固定された核酸に試料核酸Siをハイブリダイズさせ、
工程(b)は各プローブ核酸セットNSiのスポットti1〜tipにおいてハイブリダイズされた試料核酸の標識量値Fi1〜Fipを取得し、
プローブ核酸セットNS1〜NSnから、NS1とNSmが選択され、mは整数かつ2≦m≦nであり、
工程(c)は
(c1)標識量値F1jとFmjを比較してp個の比較値C1’’〜Cp’’を求め、
(c2)比較値C1’’〜Cp’’の平均値又は中央値を算出し、
(c3)工程(c2)で得られた平均値又は中央値に基づき所定の数値範囲を設定し、比較値C1’’〜Cp’’が該所定の数値範囲内にあるか否かを判断する工程
工程(c3)において、比較値が標識強度比であって、標識強度比の平均値ないしは中央値の偏差を基準に陽性又は陰性と仮に判定することが好ましい。たとえば、平均値ないしは中央値の偏差に基づき閾値(所定の数値範囲)を設け、平均値ないしは中央値からの偏差が前記閾値を超える場合を陽性(又は陰性)と仮に判定することができる。
工程(c2)・(c3)における比較値の平均値又は中央値を算出する工程及びそれと各比較値を対比する工程は、上述したように比較値とする前に各プローブ核酸セット内のp個のスポットにおける各標識強度の平均値又は中央値を算出し、それと各標識強度とを対比することでも行うことができる。即ち、本実施態様において、前記工程(c)が下記工程であってもよい。
[(cc)前記nセットのプローブ核酸セット内の各スポットにおける標識強度の平均値ないしは中央値を算出し、
その平均値ないしは中央値に基づく各スポットの偏差値(F’1、F’2…F’n)をnセットのプローブ核酸セット各々において算出し、
nセットのプローブ核酸セットうちの2個の対の間で同種のスポット同士の標識強度の比較値を算出し、F’1とF’2の対の比較値からF’1とF’nの対の比較値までのn−1個の比較値各々について、nセットの前記平均値ないしは中央値を基準に所定の数値範囲に入るか否かを判定する工程]
なお、本実施態様では説明のために各工程について別々に番号をつけて説明しているが、この順番を制限するものではなく、同時に処理することを排除するものでもない。
・工程(d)
工程(d)において、所定の数値範囲に入らないと判定した数が、n−1のうちの所定数を超える場合に前記スポットX1を陽性と確定する。該所定数は、n−1の半数であることが好ましく、nが4以上かつ該所定数がn−1の70%であることがより好ましい。また、一定数以下であるものについては、陰性と確定することが好ましいが、ある程度の範囲を定めて擬陽性とし、再検査を行うことも好ましい。再検査を行う場合でも、再検査を行う必要が生じる可能性は従来の方法より大幅に減らすことが期待できる。また再検査を行う場合には、比較対照を変えて行うことが好ましい。
なお、比較値が所定の数値範囲に入らないと判定した数が工程(d)におけるn−1のうちの所定数を超えない場合は、スポットX1におけるデータは信頼性が欠けると判断して再検査を行う等の処理を行うことができる。
また、スポット(X1)は任意のスポットであり、通常スポットX1と同一のアレイ内の複数のスポット(好ましくはすべてのスポット)において、上記(X1)と置き換えて、本実施態様の(a)〜(d)と同様の工程又は(i)〜(iii)処理を行う。
・標識強度の補正
前記工程(b)において取得される前記標識強度が補正された値であることが好ましい。
具体的には、前記工程(b)における前記標識強度の取得が、下記工程から得られた値であることが好ましい。
あるスポットにおいて、標識された前記試料核酸と、固定化された前記プローブ核酸とをハイブリダイズさせる工程、
前記プローブ核酸の少なくとも一部にハイブリダイズしうる配列を有し、標識された前記試料核酸とは異なる標識で標識されている標識された検証核酸を前記スポットに付与して前記プローブ核酸とハイブリダイズさせる工程、
前記スポットにおいてハイブリダイズした標識された前記試料核酸の標識強度を取得する工程、
前記スポットにおいてハイブリダイズした標識された前記検証核酸の標識強度を測定する工程、及び
前記検証核酸の前記標識強度に基づき、前記スポットにおける固定された前記プローブ核酸の量を検知し、該検知量により前記試料核酸の標識強度を補正する工程を含むことが好ましい。
この補正方法は、例えば特開2010‐004873に記載の方法を用いることができる。
ここで、標識された前記試料核酸をハイブリダイゼーションさせる工程と、前記標識検証核酸(B)をハイブリダイゼーションさせる工程とが同時に行われ、かつ、
該ハイブリダイズした該標識試料核酸の量を測定する工程と、前記ハイブリダイズした検証核酸の量を測定する工程とが同時に行われることが好ましい。
ここで、検証核酸とは、前記プローブ核酸の少なくとも一部にハイブリダイズしうる配列を有する核酸をいい、複数のスポットにおけるハイブリダイズ能力の大小、具体的には各スポットに固定化されているプローブ核酸の量に起因するばらつきを検知し、更にはプローブ核酸量のスポット間のばらつきを補正するために使用することができる。そのため、検証核酸は、核酸マイクロアレイ上の全スポットに固定化されているプローブ核酸とハイブリダイズ可能であればよく、どの様な配列、鎖長でも良い。ここで、全てのスポットとは、同一溶液の検体又は標準が反応する可能性がある全スポットを表し、通常は単一の核酸マイクロアレイ上のスポット全てのことであるが、これに限定されない。
また、ハイブリダイズ可能であれば、どの様な核酸でも良く、DNAやRNAの様な天然型の核酸や、DNAやRNAなどの天然型の核酸を化学修飾した核酸であってもよい。
例えば、PNA、メチルホスホネート型DNA、ホスホロチオエート型DNA、キメラ型核酸などを用いることができる。
検証核酸として好ましい配列としては、反復配列が挙げられる。反復配列とは、リピート配列ともいい、ある塩基数ごとに制限酵素認識部位のように繰り返し出現する配列であり、短い塩基配列のパターンが何度も繰り返す配列、例えば、poly d(AT)やpoly d(GC)などや、一単位が数千塩基対に及ぶ長い配列が何度も繰り返す配列などをあげることができ、ヒト等の高等生物中にはゲノム中に高頻度で出現することが知られている。本実施態様においては、例えばインビトロジェン社で販売されているCot−1 DNAを好適に用いることができる。
Cot−1 DNAは、通常、核酸マイクロアレイ測定時にマンマリアン(哺乳類)から得られた検体の反復配列をブロックするために使用される核酸として知られている。
そのCot−1 DNAの少なくとも一部を標識化して未標識のCot−1 DNAとともに用いることによって、特異的なハイブリダイゼーションの検出感度を高め、かつスポット差を低減させることもできる。
検証核酸は、検体の核酸とは異なり、かつ、プローブ核酸セット全てが共通して持っている配列を有する核酸を用いることも好ましい。
例えば、プローブ核酸中に共通に存在する核酸配列部分に実質的に相補的な核酸配列を有する、合成オリゴヌクレオチドを検証核酸として用いることもできる。
また、アレイを作製するときに用いたベクター(プラスミド、BAC、YAC、PAC、コスミド、ウィルスなど)の核酸、大腸菌のゲノムなど、アレイを作製する上で、全てのスポットに存在すると考えられる配列を有する核酸も検証核酸として使用出来る。
本実施態様では、試料核酸に対して、検証核酸の使用量をモル比で1以上用いることが好ましい。モル比を1以上用いることによって、核酸マイクロアレイの性能が向上する。
検証核酸の大きさは、20bp以上であることが好ましく、20bp〜1Mbpであることがより好ましく、100bp〜500kbであることが更に好ましい。
検証核酸の使用量は、検体又は標準の核酸に対して、0.5〜2倍モルの範囲とすることが好ましい。
・自動化
本実施態様の核酸変異解析法は、すべての工程を手作業で行うこともできるし、部分的に自動化された機械で行うこともできるし、全工程を自動化された機械で行うこともできる。
自動化を行うことにより、作業者は煩雑な作業から解放され、人件費を低減し、熟練度の違いによる結果の差異を減少させ、ヒューマンエラーを防ぐことが可能となる。
・プログラム
次に、本実施態様のプログラムについて説明する。
本実施態様のプログラムは、以上説明した核酸変異解析法におけるデータ処理を実行するためのプログラムであって、下記の手順(I)及び(II)を実行するためのプログラム。
[(I)F1とF2からF1とFnとのn−1個の比較値が所定の数値範囲に入るか否かを比較する手順]
[(II)前記(I)で仮に決定したn−1個の比較値全てのうち、手順(I)で所定の数値範囲に入らないと判定された比較値が所定数を超えて存在する場合に、前記スポットX1を陽性と判断する手順]
手順(I)は下記の手順(i)〜(v)であることが好ましい。
[(i)n個のプローブ核酸セットの各々にp個ずつあるスポットにおいて、
前記nセットのプローブ核酸セットからスポットX1を含むように選択される2個のプローブ核酸セットの対を選び、
該2個のプローブ核酸セットの間で同一のプローブ核酸が固定化されているスポット同士の標識強度の比較値を算出する手順]
[(ii)前記手順(i)における比較値の算出を、プローブ核酸セット内のp個のスポット同士において行う手順]
[(iii)前記手順(ii)で得られたp個の比較値の平均値又は中央値を算出する手順]
[(iv)前記手順(iii)で得られた平均値又は中央値から所定の数値範囲を設定し、p個の比較値それぞれが該所定の数値範囲を越えているか否かを比較する手順]
本実施態様のプログラムを用いることにより、前述の標識強度を測定し得られたデータを処理する際、効率よくデータ処理を実施することができる。
該プログラムは、通常コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録した形態で提供される。該記録媒体は、コンピュータが読み取り可能なものである限り特に制限はない。本実施態様の記録媒体は、可搬型又は固定型の両方の媒体が含まれ、例えば、コンパクトディスク(CD)、フレキシブルディスク(FD)、ハードディスク、半導体メモリ等を挙げることができる。
本実施態様のプログラムは、上記記録媒体に記録されて流通させることも、コンピュータの記録装置に記録しておき、ネットワークを通じて他のコンピュータに転送する形態で流通させることもできる。
次に、本実施態様の、遺伝子の変異に由来する疾患の診断方法について説明する。
本実施態様の、遺伝子の変異に由来する疾患の診断方法は、上記説明した核酸変異解析法を用いてなる。診断の対象となる前記疾患としては、癌、遺伝病、感染症等の核酸になんらかの情報を持ちうる疾患が全て該当し特に制限するものではない。
本実施態様の診断方法において、正常細胞(がん化していない細胞)から抽出した核酸を標準核酸、異常細胞(例えば、癌患者、遺伝病患者、感染症患者に由来する細胞)から抽出した核酸を検体核酸として上記説明した核酸変異解析法に適用することで、検体の提供患者、又は検体とした細胞の病変についてCNV等の原因に起因する擬陽性ないし擬陰性の影響を受けることなく診断することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の主旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
なお、以下の実施例において、Cy3−maleとは、male DNAに対して、Cy3で標識したものを示す。同様に、Cy5−maleとは、male DNAに対して、Cy5で標識したものを示す。また、Cy5−Cot−1 DNA等も同様に、それぞれの標識化合物で標識した核酸であることを示す。
〔実施例1〕
1.標識された試料核酸の調製
マイクロチューブに、Human Genomic DNA male (プロメガ株式会社製, カタログ番号G152;以下maleのゲノムDNAと呼ぶ)を3μL(0.75μg)、水(Distilled Water DNAse, RNase Free, GIBCO)を8μL、アレイCGH用のラベリングシステム(BioPrime (登録商標) Array CGH Genomic Labeling System(invitrogen))の2.5xRandom Primers Solution (インビトロジェン株式会社)を20μL入れ、ブロックインキュベータを用いて、95℃で5分間熱処理、37℃で15分間静置した。
前記ラベリングシステムの10xdCTP Nucleotide Mix (インビトロジェン株式会社)を5μL、Cy3−dCTP Bulk Pack 250nmol(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)を3μL、BioPrime (登録商標) Array CGH Genomic Labeling SystemのExo−Klenow Fragment (インビトロジェン株式会社)を1μL添加し、ブロックインキュベータを用いて37℃で2時間、標識化反応と同時に増幅反応を行った。ついでブロックインキュベータを用いて65℃に加熱し、反応溶液中に含まれているExo−Klenow Fragmentを失活させた。
上記操作をCoriell institute for medicalの細胞株GM07189(以下検体核酸No.1と呼ぶ)、GM07189(同検体核酸No.2)、GM13451(同検体核酸No.3)、及びGM13451(同検体核酸No.4)から、puregene(QIAgen社)のプロトコルに沿ってゲノム抽出を実施した。抽出したDNAについては、ナノドロップ(スクラム社)を用いてODを測定した。このように得られたゲノムに対しても、上記Human Genomic DNA maleと同様の操作を行って、未精製標識試料核酸を得た。なお、これらに対しても、標識化合物として、Cy3−dCTP(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)を用いた。
2.1.標識検証核酸の調製
マイクロチューブにCot−1 DNA (インビトロジェン株式会社製、カタログ番号15279−011)を3μg(13μL)用い、標識化合物にCy5−dCTP Bulk Pack 250nmol(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)を3μL用いた以外は同様にして、標識された検証核酸(未精製)を得た。
2.2.標識検証核酸を含むハイブリダイゼーション用溶液の調製
マイクロチューブに、標識核酸Cy5−Cot−1 DNAを21μL、未標識のCot−1 DNA 62μL(62μg、インビトロジェン株式会社製)を62μg、yeast tRNAを0.3μg、3M 酢酸ナトリウム(pH5.2)を9μL添加し、−20℃の99.5%(v/v)エタノールを360μL添加し、エタノール沈殿を行った。乾燥後、水8.7μL、ホルムアミド6.5μL、20% SDS 16.8μLを加えた。ここに、デキストラン1g、ホルムアミド5mL、20×SSC 1mLに水を加えて7mLとしておいたデキストラン・ホルムアミド溶液32μLを添加し、完全に溶解させた。その後、1つのチューブにまとめ、30μLずつチューブに分注した。
ここに、上記標識された試料核酸のゲノム10μLずつを添加し良く攪拌した。その後、75℃15分インキュベートした後、42℃に30分以上保温した。
3.BACアレイスライドの作製
ヒトゲノムをインサートとしたBACライブラリーから、染色体ごとにランダムかつ先天性異常が含まれる遺伝子領域と考えられる領域を含むBACを選択し、LB培地50mL(+クロラムフェニコール)で1晩培養した。上記BACは染色体ごとにある一定の長さで選んだものであり、最終的に約340スポットとしたものである。
これをQIAGEN社plasmid midi kitを用いて添付されたプロトコール通り抽出した。これを1.5μg/16μLTEに調整し、制限酵素RsaI、DpnI、HaeIIIを用いてそれぞれ2時間消化後、80℃20分で失活させ、3種を混合させた。更に、配列番号1の配列を有するアダプター:5’−aattccggcggccgcccgatg−3’及び配列番号2の配列を有するその相補鎖である:5’−P−catcgggcggccgcgg−3’(5’末端リン酸化)を添加し、95℃5分、70℃15分、65℃15分、60℃15分、55℃15分、50℃15分、45℃15分、40℃15分、35℃15分、30℃15分、25℃15分でアダプターを制限酵素消化後のDNA断片に付着させ、10×T4リガーゼ緩衝液5μL及びT4リガーゼ2.5μLを添加し、制限酵素処理後のDNA断片とアダプターを結合させた。これをNucleospinキット(MACHEREY−NAGEL社製)を用いてDNA断片を精製した。EX−Taq(タカラバイオ社製)と配列番号3の配列を有する5’末端アミノ化プライマー:5’−NH−ggaattccgcggccgcccgatg−3’を用いてPCRを実施した。PCRは1stPCRとして15サイクル、2ndPCRとして10サイクル実施した。これをマイクロコンカラムにて限外濾過を実施し精製し、最終濃度1μg/μLとし、プローブ核酸とした。これを日本碍子社に送付し、松波ガラスのスライドガラスにピエゾ法によりスポッティングを実施させ、BACアレイとした。
更に、このBACアレイを特開2002−176977公報に記載されている手順に準じてブロッキング、熱変性を行なった。
4.ハイブリダイゼーション
アロカ社のハイブリマスターHS300を用いてハイブリダイゼーションを実施した。
BACアレイスライドをいれ、37度になるように設定し、ハイブリダイゼーション溶液を添加後、16時間攪拌しながらハイブリダイゼーションを実施した。この際、保湿液としては50%ホルムアミド/2×SSCを用いた。その後、25℃で5分5mLの2×SSC、5分10mLの2×SSCで洗浄、50℃で14分5mLの50%ホルムアミド/2×SSC、30分5mLの0.1%SDS/2×SSCで洗浄し、5分25℃の2×SSCで洗浄した。
5.蛍光画像の取り込み及びデータ処理
genepix4000B(axon社製)を用いて蛍光画像を取り込んだ。これを数値化したgprファイルを基に計算を実施した。計算方法は、Cot‐1 DNAの蛍光値であるcy5を補正の指標として、cy3で標識した標識ゲノムの蛍光強度に対し補正を実施して比較を行った。蛍光値はバックグラウンド蛍光値を差し引いたものを用いた。
計算方法:log(ゲノム検体核酸の蛍光強度/標識cot‐1(検体)/ゲノム標準核酸の蛍光強度×標識cot‐1(標準))
この計算を、このようにして検体核酸No.1をハイブリダイズした全スポットと、標準核酸Human Genomic DNA maleをハイブリダイズした全スポットにおける同種のスポットの全ての対において行った。
上記計算により得られた全スポット対の値に対して、全スポット対の中央値で除することによりグローバルノーマライゼーションを行った。
このようにして検体核酸No.1と、標準核酸Human Genomic DNA maleとの比較を行った。しかし、標準核酸のCNVが既知でないため、この比較結果では擬陽性ないし擬陰性を含んでいる可能性がある。
そこで、標準核酸Human Genomic DNA maleの代わりに検体核酸No.2、No.3、No.4に変更して同様に検体核酸No.1との比較を各々行った。
6.結果
図3〜6に、上記計算を行った結果を示す。縦軸は蛍光強度比、横軸はスポット番号(プローブ核酸番号)を表す。図3〜6中、◆は閾値内のデータ、□は閾値外のデータ(+方向に外れたもの)、△は閾値外のデータ(−方向に外れたもの)を表す。閾値は0.8及び1.2と設定した。
図3は、検体核酸 No.1と標準核酸であるmaleのゲノムDNAの蛍光強度比の対数プロットの結果を示す図である。
図4は、検体核酸 No.1と検体核酸 No.2の蛍光強度比の対数プロットの結果を示す図である。
図5は、検体核酸 No.1と検体核酸 No.3の蛍光強度比の対数プロットの結果を示す図である。
図6は、検体核酸 No.1と検体核酸 No.4の蛍光強度比の対数プロットの結果を示す図である。
各図において常染色体に相当するスポットで、閾値を外れたのは以下のスポットである。
図3:4、17、81、111、127、135、145、146、147、163、197、202、221、225、226、227、228、229、230、231、232、244、245、264、310、328
図4:31、181、197、219、225、226、227、228、229、230、231、232、281、291、314、318、319、320、321、322
図5:1、6、10、13、15、19、20、21、27、29、30、35、36、44、47、51、52、55、57、59、64、66、72、80、86、94、96、113、137、141、157、167、174、178、181、185、204、215、216、217、225、226、227、228、229、230、231、232、236、256、267、269、278、279、287、290、291、299、305、307、334
図6:1、2、3、4、5、6、7、8、10、17、29、31、52、86、111、113、163、174、197、216、217、226、227、228、230、231、232、236、245、273、287、290、306、342
この結果、197、225〜232の各スポットにおいては、図3〜図6のうちの過半数の結果において閾値を越えているため、陽性であると判定できた。その他の上記閾値を越えたスポットについては、擬陽性又は擬陰性と判定できた。
これにより、No.1の試料は、197、225〜232のスポットに固定化した核酸に対応する遺伝子にコピー数が増加する異常があることがわかった。
また、No.2〜No.4の試料及び標準としたmaleについて、上記No.1の試料と置き換えて同様に測定することで、それぞれのコピー数変化を測定することが出来る。
なお、本実施例で該当する例は無かったが、あるスポットについてのアレイ間比較結果で、正の閾値外及び負の閾値外両方の結果が存在する場合(例えば図3、4でn番スポットが□、図5、6で同n番スポットが△となった場合)、当該スポットは陽性とは判断しないことが好ましい。
以上の結果から、本発明の方法により擬陽性等の影響を受けることなく陽性又は陰性に確定できることが分かる。
本発明の核酸変異解析法、プログラム及び診断方法は、従来のアレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション法で問題となっていた解析結果における擬陽性ないし擬陰性の影響、特に標準核酸のCNVによる影響を低減し解析結果の信頼性を向上させることができる。

Claims (12)

  1. (a)1つの核酸マイクロアレイ上に複数のスポットがあり、該複数のスポットに互いに異なるプローブ核酸が固定化されている同一のプローブ核酸セットをnセット用いて、該nセットのプローブ核酸セットに対し、標識された、S1〜Snのn種の試料核酸をそれぞれ1種ずつ接触させてハイブリダイズさせる工程と、
    (b)前記nセットのプローブ核酸セットから選ばれた、同一のプローブ核酸が固定化されているX1〜Xnのn個のスポットを選択し、X1〜Xnのn個の各スポットにおいてハイブリダイズした該試料核酸の標識強度F1〜Fnを取得する工程と、
    (c)スポットX1の標識量値F1とF2〜Fnの各標識量値とを比較することによってn−1個の比較値C2〜Cnを得て、該比較値の各々が所定の数値範囲に入るか否かを判定する工程と、
    (d)前記n−1個の比較値のうち、工程(c)で所定の数値範囲に入らないと判定された比較値の個数が所定数を超えるか否かを判定し、所定数を超える場合に、前記スポットX1を陽性と判断する工程と、を有し、
    nは3以上の整数であり、前記試料核酸は検体核酸または標準核酸であり、少なくとも前記S1は検体核酸であり、X1はS1を接触させたスポットである、
    アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション法による核酸変異解析法。
  2. 前記n種の試料核酸の少なくとも2種が検体核酸である請求項1に記載の核酸変異解析法。
  3. (c’)F2とF1の比較値からF2とFnの比較値までのn−1個の比較値各々が所定の数値範囲に入るか否かを判定する工程と、
    (d’)前記n−1個の比較値のうち、工程(c’)で所定の数値範囲に入らないと判定された比較値の個数が所定数を超えるか否かを判定し、所定数を超える場合に、前記スポットX2を陽性と判断する工程と、を更に有し、前記スポットX2は前記S1とは異なる試料核酸S2と接触させたスポットである、請求項1又は2に記載の核酸変異解析法。
  4. 前記n種の試料核酸の少なくとも1種が標準核酸である請求項1〜3のいずれか一項に記載の核酸変異解析法。
  5. 前記n種の試料核酸がすべて検体核酸である請求項1〜3のいずれか一項に記載の核酸変異解析法。
  6. 前記n種の試料核酸が、生物分類学的に同一種に属する異なる個体に由来する核酸である請求項1〜5のいずれか一項に記載の核酸変異解析法。
  7. n個の同一のプローブ核酸セットNS1〜NSnが備えられており、
    各プローブ核酸セットNSiはp個のスポットti1〜tipを有する核酸マイクロアレイに備えられ、iは整数かつ1≦i≦nであり、pは整数かつ2≦pであり、
    互いに異なるプローブ核酸が各プローブ核酸セットNSiのp個のスポットti1〜tipに固定されており、
    各プローブ核酸セットNSiのp個のスポットの1つが前記スポットXiであり、
    スポットt1j〜tnjには同一のプローブ核酸が固定されており、jは整数かつ1≦j≦pであり、
    前記工程(a)は標識された試料核酸Siをプローブ核酸セットNSiに接触させて、プローブ核酸セットNSiのp個のスポットに固定された核酸に試料核酸Siをハイブリダイズさせ、
    工程(b)は各プローブ核酸セットNSiのスポットti1〜tipにおいてハイブリダイズされた試料核酸の標識量値Fi1〜Fipを取得し、
    プローブ核酸セットNS1〜NSnから、NS1とNSmが選択され、mは整数かつ2≦m≦nであり、
    工程(c)は
    (c1)標識量値F1jとFmjを比較してp個の比較値C1’’〜Cp’’を求め、
    (c2)比較値C1’’〜Cp’’の平均値又は中央値を算出し、
    (c3)工程(c2)で得られた平均値又は中央値に基づき所定の数値範囲を設定し、比較値C1’’〜Cp’’が該所定の数値範囲内にあるか否かを判断する工程
    を有する、上記1〜6のいずれか一項に記載の核酸変異解析方法。
  8. 前記各試料核酸がすべて同じ標識で標識されている請求項1〜7のいずれか一項に記載の核酸変異解析法。
  9. 前記工程(b)における前記標識強度F1〜Fnが補正された値である請求項1〜8のいずれか一項に記載の核酸変異解析法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の核酸変異解析法におけるデータ処理を実行するためのプログラムであって、下記の手順(I)及び(II)を実行するためのプログラム。
    [(I)F1とF2からF1とFnとのn−1個の比較値が所定の数値範囲に入るか否かを比較する手順]
    [(II)前記(I)で仮に決定したn−1個の比較値全てのうち、手順(I)で所定の数値範囲に入らないと判定された比較値が所定数を超えて存在する場合に、前記スポットX1を陽性と判断する手順]
  11. 請求項10に記載されたプログラムであって、手順(i)が下記の手順(i)〜(v)であるプログラム。
    [(i)n個のプローブ核酸セットの各々にp個ずつあるスポットにおいて、
    前記nセットのプローブ核酸セットからスポットX1を含むように選択される2個のプローブ核酸セットの対を選び、
    該2個のプローブ核酸セットの間で同一のプローブ核酸が固定化されているスポット同士の標識強度の比較値を算出する手順]
    [(ii)前記手順(i)における比較値の算出を、プローブ核酸セット内のp個のスポット同士において行う手順]
    [(iii)前記手順(ii)で得られたp個の比較値の平均値又は中央値を算出する手順]
    [(iv)前記手順(iii)で得られた平均値又は中央値から所定の数値範囲を設定し、p個の比較値それぞれが該所定の数値範囲を越えているか否かを比較する手順]
  12. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の核酸変異解析法を用いてなる遺伝子の変異に由来する疾患の診断方法。
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