JP2005261251A - 複合チョコレート菓子類の製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
カカオマス・カカオ脂含量が高い非テンパリング型チョコレート類を用いた複合菓子を提供する事を目的としたものである。
【解決手段】
チョコレート油脂がカカオ脂とそれ以外との油脂からなり、該非カカオ脂は好ましくはトランス酸型非テンパリング型油脂が好ましい。非カカオ脂の20℃での固体脂指数SFC(%)をN20として、非カカオ脂との合計量に対するカカオ脂量が、〔0.2×N20+22.5(%)〕〜〔0.25×N20+27.5(%)〕であり、アセチル化蔗糖脂肪酸エステルをチョコレート中0.1〜3%含有するチョコレート類生地を得る。この生地をテンパリングせずに焼き菓子などと組み合わせて複合チョコレート菓子類が製造される。
カカオマス・カカオ脂含量が高い非テンパリング型チョコレート類を用いた複合菓子を提供する事を目的としたものである。
【解決手段】
チョコレート油脂がカカオ脂とそれ以外との油脂からなり、該非カカオ脂は好ましくはトランス酸型非テンパリング型油脂が好ましい。非カカオ脂の20℃での固体脂指数SFC(%)をN20として、非カカオ脂との合計量に対するカカオ脂量が、〔0.2×N20+22.5(%)〕〜〔0.25×N20+27.5(%)〕であり、アセチル化蔗糖脂肪酸エステルをチョコレート中0.1〜3%含有するチョコレート類生地を得る。この生地をテンパリングせずに焼き菓子などと組み合わせて複合チョコレート菓子類が製造される。
Description
本発明は、複合チョコレート菓子類の製造法に関し、詳しくはカカオ脂を高配合したチョコレート類生地を使用した複合チョコレート菓子類の製造法に関する。
チョコレートは、カカオマス,カカオ脂,砂糖,粉乳等から製造され、カカオ脂は主としてPOSt、StOSt、POPグリセリドよりなり、単独菓子として喫食される典型的チョコレート中に約32%存在する。また製造コストの節約や物性改良の目的で、カカオ脂の一部または全部に代えて他の油脂を使用したチョコレート類もよく製造されている。カカオ脂に代えて使用される油脂(典型的にはハードバター)は、テンパリング型と非テンパリング型に大別される。
このうちテンパリング型は、シア脂、サル脂、イリッペ脂、パーム油等又はそれらの分画油から得られ、その主要なトリグリセリド組成がカカオ脂と同様、2−不飽和,1,3−ジ飽和のトリグリセリド(SUS)からなり、その飽和酸はパルミチン酸(P)とステアリン(St)が主体である。酵素によるエステル交換技術を利用してSUSに富むハードバターを得る技術も普及してきている。この型の油脂はその構造上カカオ脂と類似している為、カカオ脂と併用することによるブルーミングや耐熱性の低下等の問題はないが、それ自体単独で喫食される用途には、製造工程においてテンパリング処理が必要であった。
一方、非テンパリング型は、さらにトランス酸型とラウリン酸型が代表的である。トランス酸型は、パーム油等の分画軟質部や大豆油等の液状油をトランス異性化硬化して得られ、構成脂肪酸中にトランス酸を比較的多く含むトリグリセリドからなるのに対し、ラウリン酸型は、ヤシ油、パーム核油、ババス油の様なラウリン酸基を多く含むグリセリドからなる油脂及びその分画油より得られ、構成脂肪酸中ラウリン酸を多く含むトリグリセリドからなる。またSSUといった非対称型グリセリドまたはそれをSUS型のグリセリドと共存させた油脂も非テンパリング型油脂として使用可能である。これらの非テンパリング型油脂は、顕著な結晶多型現象を持たない為、そのチョコレート類の製造の際にはテンパリング処理は不要であるが、特にトランス酸型やラウリン酸型の油脂はカカオ脂との併用が非常に限定された割合しか併用できないと一般に認識されており(特許文献1)、カカオマス・カカオ脂を高配合したような、いわゆるチョコレートの風味が発現しにくいという制約があった。
この問題を解決したカカオ脂含量が高い非テンパリング型チョコレート類及びその製造法があるが(特許文献2)、非カカオ脂との合計量に対するカカオ脂量が、〔0.25×N20+22.5(%)〕までであり、それ以上のカカオ脂含量の非テンパリング型チョコレートはないのが現状である。
また、チョコレート類には、板チョコレートや粒状のチョコレート等それ自体の風味・物理的食感を味わう固形チョコレート単独菓子としての用途の他に、他の食品と複合して用いる製菓原料、より具体的には、焼菓子等のコーティング材、エンローバー材、フィリング材、装飾材等としての用途がある。ところがこの後者の使用法、特に、焼菓子に用いる場合、焼成から冷めきらない素材の温度によっては、複合させるテンパリングしたチョコレート生地中の結晶が消失して良好なチョコレート菓子を得がたいという問題があり、また、細い空隙にチョコレート類を充填するような場合にはチョコレート類生地が低粘度であることが必要なので粘性の高いテンパリング生地を用いがたいという問題があり、結果としてカカオ脂を使用できず、カカオマス・カカオ脂の好ましい風味をあまり期待できない、という問題があった。
特開昭60−221035号公報
特開2000−41579号公報
本発明は、カカオマス・カカオ脂含量が高い非テンパリング型チョコレート類を用いた複合菓子を提供する事を目的としたものである。
本発明者は上記のような課題を達成するために、鋭意努力した結果、アセチル化蔗糖脂肪酸エステルを配合すると、カカオ脂が高い比率になっても、非テンパリング製法で、品質劣化を起こさないチョコレート類が得られること、ただしカカオ脂の適当な比率は非カカオ脂の固体脂の割合に影響されて変化すること、等を見いだし、その結果、従来よりもチョコレート風味が良好なチョコレート菓子が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の一つは、非カカオ脂との合計量に対するカカオ脂量が、〔0.25×N20+22.5(%)〕〜〔0.25×N20+27.5(%)〕であり〔ただしN20は、乳脂を除く非カカオ脂の20℃での固体脂指数SFC(%)〕、アセチル化蔗糖脂肪酸エステルをチョコレート中0.1〜3%含有するチョコレート類であり、本発明の他の一つは、そのような組成の生地、即ち、非カカオ脂との合計量に対するカカオ脂量が、〔0.25×N20+22.5(%)〕〜〔0.25×N20+27.5(%)〕であり、アセチル化蔗糖脂肪酸エステルをチョコレート中0.1〜5%含有するチョコレート類生地を、テンパリングせずに成形・冷却することを特徴とするチョコレート類を使用した複合チョコレート菓子類の製造法である。そしてカカオ脂を高い量含むにかかわらず、概チョコレート類生地の成形温度が33℃以上で複合チョコレート菓子類を製造することができる。
なお、この明細書において表示する%及び部は何れも重量基準を意味し、また、固体脂指数(SFC)はパルスNMRを用いて測定したものをいう。
本発明により、カカオマスを高配合しても品質劣化を起こさないチョコレート風味の強い非テンパリング型チョコレートを用いた複合菓子得る事が可能となったものであり、この発明は、新しいチョコレート市場、及びこれを用いた複合菓子に多大の貢献をもたらすものである。
本発明における複合チョコレート菓子類とは、センターチョコレート、フィリングチョコレート等が例示出来、焼き菓子などと複合した形態のものを示す。
本発明における非カカオ脂即ちカカオ脂以外の油脂成分は、非テンパリング型とりわけ非ラウリン型のものを好適に用いることができる。典型的には、原料として菜種油、大豆油、米油、綿実油等の液状油あるいは、パーム油、シア脂、及びこれらの分画油等の1種又は2種以上の配合油を、異性化硬化し、必要に応じ、分別やエステル交換を行い得る所謂トランス酸型油脂、及び、これに硬さ等の調整の為、液状油等の他の油脂と混合した油脂を使用出来る。非カカオ脂中に占めるラウリン系油脂の割合は50%以下が好ましい。また、非カカオ脂は、SSUといった非対称型の油脂または対称型/非対称型混合型の油脂であっても良い。これら油脂の硬さはいわゆるハードバターと称されるカカオバターとほぼ同程度のものから、フィリング油脂、ソフトフィリング用油脂まで、N20でいえば約90%〜数%程度のものまで使用できる。
本発明におけるカカオ脂は、カカオマスやココア等に含まれるものでも、カカオ脂そのものでもよい。また、本カカオ脂は、精製、分別等の加工を行ったものでもよい。
本発明におけるアセチル化蔗糖脂肪酸エステルは、蔗糖脂肪酸エステル中の残存水酸基をアセチル基にて置換したタイプの蔗糖脂肪酸エステルで、脂肪酸としては、ステアリン酸やパルミチン酸等の炭素数16以上の長鎖飽和酸が好ましく、またエステル化度は3以上のものが好ましい。アセチル化蔗糖脂肪酸エステルの配合量はチョコレート生地中、0.1%〜3.0%の範囲で実施されるが、0.1%未満の場合、経時的に品質劣化(粗大化)を起こす危険があり、3%を越える場合、コスト的に高くなるわりに効果の増大が少ないので3%以下が好ましい。
また、本発明における非カカオ脂との合計に対するカカオ脂の比率は、次式で表される範囲がよく、非カカオ脂の20℃における固体脂含量(%)が高い程、多量の領域のカカオ脂が加配される傾向にある。〔0.25×N20+22.5(%)〕〜〔0.25×N20+27.5(%)〕。
カカオ脂含有量が上記範囲未満の場合は、特開2000−41579号公報に記載の非テンパリング型チョコレート類単独であれば、チョコレート風味を向上させ、品質良好なものが得られるが、本願発明の上記範囲の場合は、良好な単独の非テンパリング型チョコレート類は得られにくく、本願発明の複合チョコレート菓子類、ビスケットやクッキーなどの焼き菓子製品とチョコレート類のような油脂性菓子を組み合わせて得られる複合菓子にすることで、従来技術に比してチョコレート風味を向上させた、品質良好な菓子類を得ることができる。カカオ脂量が上記範囲を越える場合は、経時的に油脂の粗大化が起こる等の品質の低下の危険がある。
チョコレート生地中の他の成分は公知のものでよく、ロールがけ、コンチング、リファイニング後、テンパリングしないチョコレート類製造の常法により成形、冷却してチョコレート類が製造される。複合チョコレート菓子類とは、ビスケットやクッキーなどの焼き菓子製品とチョコレート類のような油脂性菓子を組み合わせて得られる複合菓子のことである。組み合わせ方はサンド、充填などが可能であり、この発明において油脂はカカオ脂が多いにもかかわらず、ノーテンパーでしかも33℃より高い温度でも作業することができる。シュー皮、パイ、プレッツエル等の焼成後まだ熱い素材とチョコレート類生地を複合させることができ、生産上好都合である。
以上のように、本発明によって得られる複合チョコレート菓子類は、よりチョコレート風味の強く品質劣化を起こさない非テンパリング型チョコレート類を使用した複合チョコレート菓子類であり、従来のチョコレート類では得られなかったものである。
以下に、実施例及び比較例を例示して本発明をより一層明瞭にするが、これらは例示であって本発明の精神がこれらの例示に限定されるものではない。尚、以下に示す%及び部は何れも重量基準を意味する。
(実施例1・2及び比較例1・2)パームスーパーオレインを異性化硬化し、中融点画分を分取して得たトランス酸型非テンパリング型油脂(トランス酸50%、IV54.0、上昇融点36℃、N20値86.1%)(「油脂A」という)及びアセチル化蔗糖脂肪酸エステルである『DKエステルFA−10E(第一工業製薬株式会社製)』(エステル化度4.9)を用いて、表−1の配合にて常法にてノーテンパーチョコレートの試作を行ない溶融したチョコレート生地を45℃でビスケットにサンドし、官能による風味テスト及び経時保存テスト(27℃と18℃で12時間づつ交互に保管するサイクルテスト、及び一定保存テスト。共に結晶の粗大化を観察)を実施した。(表−2)
(実施例3・4及び比較例3・4)菜種油とパームオレインの8:2の混合油を異性化硬化した油脂(IV68.1、トランス酸30%、上昇融点36℃、N20値39.7%)(「油脂B」という)及び『リョートーシュガーエステルS−170AC』(三菱化学フーズ株式会社販売)を用いて、表−3の配合にてノーテンパーにてチョコレートを試作し、焼成後40℃まで冷却したシュー皮にチョコレートフィリングクリームとして充填し、官能による風味テスト及び経時保存テスト(27℃と18℃で12時間づつ交互に保管するサイクルテスト、及び20℃6か月の保存テストを実施した。(表−4)。
(実施例5・6及び比較例5・6・7)次に、ソフトフィリング用非テンパリング型油脂である『BST』(不二製油株式会社製)(トランス酸10%、上昇融点34.0℃、N20値7.2%)及びアセチル化蔗糖脂肪酸エステルである『リョートーシュガーエステルS−170AC』(三菱化学フーズ株式会社販売)または通常のシュガーエステルである『リョートーシュガーエステルPOS−135』(三菱化学フーズ株式会社販売)を用いて、表−5の配合にてノーテンパーにてチョコレートを試作し、焼成後40℃まで冷却したシュー皮にチョコレートフィリングクリームとして充填し、官能による風味テスト及び経時保存テスト(27℃と18℃で12時間づつ交互に保管するサイクルテスト、及び20℃6か月の保存テストを実施した。(表−6)
上記の結果に認められるように、アセチル化蔗糖脂肪酸エステルを0.1%以上含有し、非ラウリン非テンパリング型油脂とカカオ脂を本発明の範囲にて含有するチョコレート類は、非常にチョコレート感が良好で有りながら、且つ、保存性に優れたものであることが認められた。
Claims (2)
- 非カカオ脂との合計量に対するカカオ脂量が、〔0.25×N20+22.5(%)〕〜〔0.25×N20+27.5(%)〕であり〔ただしN20値は、乳脂を除く非カカオ脂の20℃での固体脂指数SFC(%)〕、アセチル化蔗糖脂肪酸エステルをチョコレート中0.1〜3%含有するチョコレート類生地を、テンパリングせずに使用することを特徴とする複合チョコレート菓子類の製造法。
- 非カカオ脂が、全体としてノーテンパータイプである請求項1記載の複合チョコレート菓子類の製造法。
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JP2004076140A JP2005261251A (ja) | 2004-03-17 | 2004-03-17 | 複合チョコレート菓子類の製造法 |
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JP2008245577A (ja) * | 2007-03-30 | 2008-10-16 | Fuji Oil Co Ltd | 油脂組成物で被覆された菓子又はパンの製造法。 |
JP2010207198A (ja) * | 2009-03-12 | 2010-09-24 | Morinaga & Co Ltd | 焼成チョコレート及びその製造方法 |
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