JP2005260192A - 薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタ回路、電子デバイスおよび電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の薄膜トランジスタ1は、基板50上に設けられ、ソース電極3と、ドレイン電極4と、ゲート電極7と、ソース電極3およびドレイン電極4に対してゲート電極7を絶縁するゲート絶縁層6と、ゲート絶縁層6に接触する有機半導体層5とを有し、ゲート絶縁層6は、有機半導体層5に接触する第1のゲート絶縁層61と、この第1のゲート絶縁層61が有機半導体層5から剥離するのを防止する機能を有する第2のゲート絶縁層62とを備える。
【選択図】図2
Description
このような薄膜トランジスタとしては、基板上に、ソース電極およびドレイン電極と、有機半導体層が形成され、これら各部の上にゲート絶縁層、ゲート電極がこの順に積層されたトップゲート構造と、基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁層がこの順に積層され、これら各部の上に、ソース電極およびドレイン電極と、有機半導体層が形成されたボトムゲート構造のものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
ゲート電極に電圧が印加され、電場が加えられている状態では、有機半導体層とゲート絶縁層との界面にキャリアが誘起され、キャリアの大部分はこの界面に沿って伝導していく。したがって、キャリアの移動には、有機半導体層の物性のみではなく、有機半導体層とゲート絶縁層との組み合わせが大きく影響する。
すなわち、ゲート絶縁層は、キャリア移動度やS値、しきい電圧等のトランジスタ特性を決める重要な部分である。
有機半導体層とゲート絶縁層との界面で混ざり合いがあると、この混ざり合った部分が障壁となり、キャリアはこの障壁を越えて伝導しなくてはならなくなる。これにより、キャリア移動度が低下する。
有機半導体層との混ざり合いや、相互作用を生じ難い絶縁材料としては、ポリスチレン等の比較的活性の低い絶縁材料が挙げられる。
このため、特に、フレキシブルディスプレイや、表示素子のアクティブマトリックス装置等、実装面積が広く、したがって応力が生じやすいデバイスに使用されるトランジスタの場合、ゲート絶縁層と各部材との接合面で機械的強度が不足し、十分な信頼性が得られないといった問題が生じる。
しかしながら、活性の高い絶縁材料は、前述のような有機半導体層との混ざり合いや、相互作用を生じ易いことから、キャリア移動度等、トランジスタ特性を損なう。
このように、絶縁材料は、一般に、密着性を有するものは有機半導体層との界面で混ざり合いや相互作用を生じ易く、有機半導体層との混ざり合いや相互作用が生じ難いものは、密着性が不足してしまう。
このため、薄膜トランジスタでは機械的強度とトランジスタ特性の両立が難しいのが現状である。
本発明の薄膜トランジスタは、基板上に設けられ、ソース電極と、ドレイン電極と、ゲート電極と、前記ソース電極およびドレイン電極に対して前記ゲート電極を絶縁するゲート絶縁層と、該ゲート絶縁層に接触する有機半導体層とを有する薄膜トランジスタであって、
前記ゲート絶縁層は、前記有機半導体層に接触する第1のゲート絶縁層と、該第1のゲート絶縁層が前記有機半導体層から剥離するのを防止する機能を有する第2のゲート絶縁層とを備えることを特徴とする。
これにより、トランジスタ特性および機械的強度に優れる薄膜トランジスタが得られる。
前記第2のゲート絶縁層は、少なくとも前記有機半導体層および前記第1のゲート絶縁層を覆い、かつ、前記基板と密着するよう設けられ、これにより、前記第1のゲート絶縁層が前記有機半導体層から剥離するのを防止することが好ましい。
これにより、トップゲート構造の薄膜トランジスタにおいて、優れたトランジスタ特性および機械的強度を得ることができる。
本発明の薄膜トランジスタでは、前記第2のゲート絶縁層は、前記第1のゲート絶縁層を構成する材料より、前記基板との密着性が高い材料で構成されていることが好ましい。
これにより、トップゲート構造の薄膜トランジスタにおいて、機械的強度がより向上する。
前記第2のゲート絶縁層は、前記保護膜と密着することにより、前記第1のゲート絶縁層が前記有機半導体層から剥離するのを防止することが好ましい。
これにより、ボトムゲート構造の薄膜トランジスタにおいて、優れたトランジスタ特性および機械的強度を得ることができる。
これにより、ボトムゲート構造の薄膜トランジスタにおいて、機械的強度がより向上する。
これにより、有機半導体層の第1のゲート絶縁層との界面におけるキャリア移動度をより高めることができる。
本発明の薄膜トランジスタでは、前記第1のゲート絶縁層は、主骨格が主に飽和炭化水素と芳香族炭化水素とで構成される樹脂を主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、有機半導体層の第1のゲート絶縁層との界面におけるキャリア移動度をより高めることができる。
これにより、有機半導体層の第1のゲート絶縁層との界面におけるキャリア移動度をより高めることができる。
本発明の薄膜トランジスタでは、前記第1のゲート絶縁層は、重量平均分子量が300000〜2500000の樹脂を主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、有機半導体層の第1のゲート絶縁層との界面におけるキャリア移動度をより高めることができる。また、液状材料を用いた第1のゲート絶縁層の形成が容易となる。
本発明の薄膜トランジスタでは、前記第1のゲート絶縁層は、液滴吐出法を用いて形成されたものであることが好ましい。
液滴吐出法によれば、所定形状の第1のゲート絶縁層を、容易かつ寸法精度よく形成することができる。
これにより、トランジスタ特性および機械的強度に優れた薄膜トランジスタ回路が得られる。
本発明の薄膜トランジスタ回路では、複数の前記第2のゲート絶縁層のうちの少なくとも一部のものは、一体的に形成されていることが好ましい。
これにより、より機械的強度に優れた薄膜トランジスタ回路が得られる。
本発明の電子デバイスは、本発明の薄膜トランジスタ回路を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子デバイスが得られる。
本発明の電子機器は、本発明の電子デバイスを備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
<アクティブマトリクス装置の第1実施形態>
まず、本発明の薄膜トランジスタを適用したアクティブマトリクス装置(薄膜トランジスタ回路)の第1実施形態について説明する。
図1に示すアクティブマトリクス装置30は、互いに直交する複数のデータ線31と、複数の走査線32と、これらのデータ線31と走査線32との各交点付近に設けられた薄膜トランジスタ1とを有している。
本実施形態では、図1中横方向(左右方向に)一列に配設された薄膜トランジスタ1は、それらのゲート電極7が一体的に形成され、走査線32を構成している。そして、この走査線32の一端部は、基板50に設けられた接続用電極33に接続されている。この接続用電極33は外部電極と接続を行う接続端子である。
なお、各画素電極41は、それぞれ、各薄膜トランジスタ1に対応してマトリクス状に配置されている。
薄膜トランジスタ1では、基板50上に、ソース電極3およびドレイン電極4が分離して設けられ、これらのソース電極3およびドレイン電極4に接触して有機半導体層5が設けられ、また、この有機半導体層5に接触してゲート絶縁層6が設けられている。さらに、このゲート絶縁層6上には、少なくともソース電極3とドレイン電極4との間の領域に重なるようにゲート電極7が設けられ、また、ゲート絶縁層6のほぼ全面を覆うように保護膜8が設けられている。
以下、このチャネル領域51において、キャリアの移動方向の長さ、すなわちソース電極3とドレイン電極4との間の距離をチャネル長L、チャネル長L方向と直交する方向の長さをチャネル幅Wと言う。
基板50は、薄膜トランジスタ1を構成する各層(各部)を支持するものである。基板50には、例えば、ガラス基板、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)等で構成されるプラスチック基板(樹脂基板)、石英基板、シリコン基板、ガリウム砒素基板等を用いることができる。薄膜トランジスタ1に可撓性を付与する場合には、基板50には、樹脂基板が選択される。
この下地層は、例えば、酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(SiN)、ポリイミド、ポリアミド、架橋により不溶化したポリマー等により構成することができる。
これらのソース電極3およびドレイン電極4の構成材料としては、例えば、Pd、Pt、Au、W、Ta、Mo、Al、Cr、Ti、Cuまたはこれらを含む合金等の金属材料が挙げられ、チャネル領域を移動するキャリアに応じて適宜選択するのが好ましい。
例えば、チャネル領域をホールが移動するpチャネル薄膜トランジスタの場合には、仕事関数が比較的大きいPd、Pt、Au、Ni、Cuまたはこれら金属を含む合金を使用するのが好ましい。
なお、前記導電性高分子材料は、通常、塩化鉄、ヨウ素、無機酸、有機酸、ポリスチレンサルフォニック酸のようなポリマー等がドープされ、導電性を付与された状態で用いられる。
ソース電極3とドレイン電極4との間の距離(離間距離)、すなわち、チャネル長Lは、2〜30μm程度であるのが好ましく、5〜20μm程度であるのがより好ましい。チャネル長Lを前記下限値より小さくすると、得られた薄膜トランジスタ1同士でチャネル長に誤差が生じ、特性(トランジスタ特性)がばらつくおそれがある。一方、チャネル長Lを前記上限値より大きくすると、しきい電圧の絶対値が大きくなるとともに、ドレイン電流の値が小さくなり、薄膜トランジスタ1の特性が不十分となるおそれがある。
また、基板50上には、ソース電極3とドレイン電極4との間、および、これらのソース電極3およびドレイン電極4の一部を覆うように、有機半導体層5が設けられている。
この有機半導体層5は、少なくともチャネル領域51においてチャネル長L方向とほぼ平行となるように配向しているのが好ましい。これにより、チャネル領域51におけるキャリア移動度が高いものとなり、その結果、薄膜トランジスタ1は、その作動速度がより速いものとなる。
また、高分子の有機半導体材料を主材料として構成される有機半導体層5は、薄型化・軽量化が可能であり、可撓性にも優れるため、フレキシブルディスプレイのスイッチング素子等として用いられる薄膜トランジスタへの適用に適している。
なお、有機半導体層5は、ソース電極3およびドレイン電極4を覆うように設けられる構成のものに限定されず、少なくともソース電極3とドレイン電極4との間の領域(チャネル領域51)に設けられていればよい。
このゲート絶縁層6は、ソース電極3およびドレイン電極4に対してゲート電極7を絶縁するものである。
第1のゲート絶縁層61は、有機半導体層5を覆い、かつ、これに接触して設けられ、また、各薄膜トランジスタ1毎にそれぞれ独立して設けられている。
この薄膜トランジスタ1では、ゲート電極7に電圧が印加されると、有機半導体層5の第1のゲート絶縁層61との界面付近にキャリアが誘起され、大部分のキャリアはこの界面に沿って移動する。
このような絶縁材料としては、主骨格が主に飽和炭化水素で構成される樹脂(ポリオレフィン系樹脂)、および、主骨格が主に飽和炭化水素と芳香族炭化水素とで構成される樹脂、あるいは、フッ素化ポリマー(フッ素化高分子)を含む樹脂のうちの1種類または複数を主とするものが好適に使用される。
ここで、第1のゲート絶縁層61に用いる絶縁材料として、有機高分子材料を使用した場合、絶縁材料の分子量が大きくなるにつれて、有機半導体層5との界面が、混ざり合い(ミキシング)の少ない明確なものとなり、キャリア移動度が高くなる。
ところが、絶縁材料の分子量が大き過ぎると、第1のゲート絶縁層61を塗布法を用いて形成する際に、溶液の粘度や曳糸性が高くなり、特に、塗布法として例えばインクジェット法を用いる場合には、液滴の吐出が不安定になる。
特に、第1のゲート絶縁層61を塗布法で形成する場合には、第1のゲート絶縁層61を前記範囲より厚く形成しようとすると、液状材料中の絶縁材料の濃度を高くする必要があるが、高濃度の液状材料は、粘度や曳糸性が高くなることから、その供給(塗布)操作が不安定になるおそれがある。
本実施形態では、この第2のゲート絶縁層62は、各薄膜トランジスタ1において共通に設けられている。具体的には、第2のゲート絶縁層62は、基板50上の接続用電極33を除くほぼ全ての部分を覆うように、連続して(一体的に)形成されている。
したがって、第1のゲート絶縁層61の構成材料として、比較的活性が低く(有機半導体層に対する密着性が小さく)、有機半導体層5と混ざり合いや相互作用を生じ難いものを使用した場合でも、第2のゲート絶縁層62と基板50とが密着することにより、第1のゲート絶縁層61が有機半導体層5から剥離を防止することができる。
すなわち、第2のゲート絶縁層62は、ソース電極3およびドレイン電極4に対してゲート電極7を絶縁する機能に加えて、第1のゲート絶縁層61が有機半導体層5から剥離を防止する機能を有する。
このような絶縁材料としては、例えば、ポリビニルフェノール、フェノール樹脂(ノボラック樹脂)、ポリメチルメタクリル酸などのアクリル樹脂、ポリビニルアルコールのような可溶性ポリマー、または、ポリイミド(前駆体を溶液で塗布)、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、第2のゲート絶縁層62は、各薄膜トランジスタ1毎に設けられていてもよく、後述するゲート電極7と同様に、図1中横方向または縦方向に一列に配列されるものが一体的に形成されて(共通に設けられて)いてもよい。
また、第2のゲート絶縁層62の構成材料には、例えば、SiO2等の無機絶縁材料を用いることもできる。
ゲート電極7の構成材料としては、前記ソース電極3およびドレイン電極4で挙げたものと同様のものを用いることができる。
ゲート電極7の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜5000nm程度であるのが好ましく、1〜5000nm程度であるのがより好ましく、10〜5000nm程度であるのがさらに好ましい。
なお、このような構成は、ソース電極3およびドレイン電極4に適用することもできる。
この保護膜8は、各薄膜トランジスタ1を機械的に保護するとともに、例えば、アクティブマトリクス装置30を後述するような電気泳動表示装置20に適用する場合に、マイクロカプセル42に封入された電気泳動分散液420(親油性の液体)が、何らかの要因で外部に流出した際でも、薄膜トランジスタ1側に拡散するのを防止する機能を有するものである。
保護膜8の平均厚さは、特に限定されないが、100〜5000nm程度であるのが好ましく、300〜3000nmであるのがより好ましい。これにより、保護膜8は、その機能を十分に発揮することができる。
すなわち、ゲート電極7に電圧が印加されていないOFF状態では、ソース電極3とドレイン電極4との間に電圧を印加しても、有機半導体層5中にほとんどキャリアが存在しないため、微少な電流しか流れない。一方、ゲート電極7に電圧が印加されているON状態では、有機半導体層5のゲート絶縁層6に面した部分に可動電荷(キャリア)が誘起され、チャネル領域51にの流路が形成される。この状態でソース電極3とドレイン電極4との間に電圧を印加すると、チャネル領域51を通って電流が流れる。
このため、第1のゲート絶縁層61の有機半導体層5に対する密着性が小さい場合でも、第2のゲート絶縁層62の存在により、第1のゲート絶縁層61が有機半導体層5から剥離するのが効果的に防止される。したがって、アクティブマトリクス装置30は、フレキシブルデバイスや大面積のデバイスに適用した場合でも、十分な機械的強度を得ることができる。
次に、図1に示すアクティブマトリクス装置の製造方法について説明する。
図3および図4は、それぞれ、図1および図2に示すアクティブマトリクス装置の製造方法を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図3および図4中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
アクティブマトリクス装置30の製造方法は、[1]電極(ゲート電極を除く)および配線形成工程と、[2]有機半導体層形成工程と、[3]ゲート絶縁層形成工程と、[4]ゲート電極形成工程と、[5]保護膜形成工程を有している。以下、これらの各工程について、順次説明する。
図3(a)に示すように基板50を用意し、この基板50上に、ソース電極3、ドレイン電極4、画素電極41、データ線31および接続用電極33を形成する。
図3(b)に示すように、まず、基板50上に金属膜(金属層)9を形成する。
これは、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング(低温スパッタリング)、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法、金属箔の接合等により形成することができる。
この金属膜9の除去には、例えば、プラズマエッチング、リアクティブイオンエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、これらのソース電極3、ドレイン電極4、画素電極41、データ線31および接続用電極33は、それぞれ、例えば、導電性粒子を含有するコロイド液(分散液)、導電性ポリマーを含有する液体(溶液または分散液)等の液状材料を基板50上に供給して被膜を形成した後、必要に応じて、この被膜に対して後処理(例えば加熱、赤外線の照射、超音波の付与等)を施すことにより形成することもできる。
これらの中でも、特に、インクジェット法(液滴吐出法)を用いるのが好ましい。インクジェット法(液滴吐出法)によれば、ソース電極3、ドレイン電極4、画素電極41、データ線31および接続用電極33を、容易かつ寸法精度よく形成することができる。
インクジェット法では、導電性材料またはその前駆体を含有する液状材料(以下、「インク」と言う。)を、液滴吐出ヘッドのノズルから液滴を吐出してパターニングする。
ここで、インクの粘度(常温)は、特に限定されないが、通常、2〜20cps程度であるのが好ましく、4〜8cps程度であるのがより好ましい。インクの粘度をかかる範囲とすることにより、ノズルからの液滴の吐出をより安定的に行うことができる。インクの粘度が上記範囲より小さい場合には、吐出時に変位させるピエゾ素子の振動が減衰しずらいので、吐出が不安定になり易い傾向がある。また、インクの粘度が上記範囲より大きい場合には、インクの流路抵抗が大きいため、高速で印刷する際、インクの供給が追い付かず、やはり不安定になるおそれがある。
<A> 電極および配線を有機高分子材料で構成する場合、インクとしては、有機高分子材料またはその前駆体を溶解または分散した液状材料が用いられる。
この場合、溶媒または分散媒には、例えば、硝酸、硫酸、アンモニア、過酸化水素、水、二硫化炭素、四塩化炭素、エチレンカーボネイト等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル系溶媒、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸系溶媒のような各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
特に、無機材料粒子(金属粒子)には、Agを主成分とするものが好適である。Agを主成分とする粒子を用いることにより、インクの調製が容易となるとともに、得られるゲート電極7において高い導電性が得られる。
また、用いる無機材料粒子の平均粒径は、特に限定されないが、1〜100nm程度であるのが好ましく、2〜30nm程度であるのがより好ましい。
また、無機材料粒子には、常温での凝集を阻止するための凝集阻止剤(分散剤)で被覆したものを用いるのが好ましい。この凝集阻止剤としては、例えば、アルキルアミンのような窒素原子を含む基を有する化合物、アルカンジオールのような酸素原子を含む基を有する化合物、アルキルチオール、アルカンジチオールのような硫黄原子を含む基を有する化合物等が挙げられる。アルカンジオールとしては、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、エチレングリコール、ブタンジオールが好適である。
分散媒には、例えば、テルピネオール、ミネラルスピリット、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、メシチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、エタノール、イソプロパノール(IPA)、水またはこれらを含む混合液を用いることができるが、特に、水を含む分散媒を用いるのが好ましい。
なお、インクの粘度は、例えば、無機材料粒子の含有量、分散媒の種類や組成、添加物の有無や種類等を適宜設定することにより調整することができる。
この場合、インクにおける金属酸化物粒子の含有量は、特に限定されないが、1〜40wt%程度であるのが好ましく、10〜30wt%程度であるのがより好ましい。
また、還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、硫化水素、シュウ酸、一酸化炭素等が挙げられる。
分散媒には、例えば、ブチルセロソルブ、ポリエチレングリコール等の低粘度油脂類、2−プロパノール等のアルコール類またはこれらを含む混合液を用いることができる。
なお、インクの粘度は、例えば、金属酸化物粒子の含有量、分散媒の種類や組成等を適宜設定することにより調整することができる。
用いる金属酸化物の前駆体としては、例えば、金属アルコキシド、酢酸または酢酸誘導体の金属塩のような有機金属化合物、金属塩化物、金属硫化物、金属シアン化物等の無機金属化合物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、溶媒には、例えば、水、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンのような多価アルコール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アリルアルコール、フルフリルアルコール、エチレングリコールモノアセタートのような単価アルコールまたはこれらを含む混合液を用いることができる。
なお、インクの粘度は、例えば、金属酸化物の前駆体の濃度、溶媒の種類や組成等を適宜設定することにより調整することができる。
例えば、各電極3、4を金属材料を主材料として構成した場合には、プラズマ処理(例えば、アルゴンプラズマ処理、酸素プラズマ処理)を施すのが好適である。これにより、各電極3、4の表面に付着する有機物を除去することができ、その結果、得られる薄膜トランジスタ1の特性をより向上させることができる。
次に、図3(d)に示すように、ソース電極3およびドレイン電極4が形成された基板50上に、ソース電極3とドレイン電極4との間および各電極3、4の一部を覆うように、有機半導体層5を形成する。
このとき、ソース電極3とドレイン電極4との間(ゲート電極7に対応する領域)には、チャネル領域51が形成される。
なお、有機半導体層5の形成領域は、図示の構成に限定されず、有機半導体層5は、ソース電極3とドレイン電極4との間の領域(チャネル領域51)にのみ形成してもよい。これにより、同一基板上に、複数の薄膜トランジスタ1(素子)を並設する場合に、各素子の有機半導体層5を独立して形成することにより、リーク電流、各素子間のクロストークを抑えることができる。また、有機半導体材料の使用量を削減することができ、製造コストの削減を図ることもできる。
また、チャネル領域51にのみ有機半導体層5を形成する際、インクジェット法(液滴吐出法)は非接触で行なえる点で特に適している。また、薄膜トランジスタ1を製造するのに要求される解像度も5〜100μmであり、インクジェット法の解像度に適合している。
次に、有機半導体層5上に、第1のゲート絶縁層61および第2のゲート絶縁層62を備えるゲート絶縁層6を形成する。
[3−I] まず、図4(e)に示すように、第1のゲート絶縁層61を、有機半導体層5を覆うように形成する。
例えば、第1のゲート絶縁層61を無機物や有機低分子材料で構成する場合には、第1のゲート絶縁層61は、前述したような乾式メッキ法によって形成することができる。乾式メッキ法による場合、第1のゲート絶縁層61は、例えば第1のゲート絶縁層61の非形成領域をメタルシャドウマスクで覆い、その上から乾式メッキ法によって絶縁材料を被着させた後、メタルシャドウマスクを除去することにより形成することができる。
この場合、前記液状材料を基板50上に供給する方法としては、前記工程[1]で挙げたのと同様の方法を用いることができるが、特にインクジェット法(液滴吐出法)を用いるのが好ましい。インクジェット法(液滴吐出法)によれば、所定形状の第1のゲート絶縁層61を、容易かつ寸法精度よく形成することができる。
前述したように、有機半導体材料は、多くのものが芳香族炭化水素系溶媒に溶解し易いため、前記液状材料の調製に用いる液体には、芳香族炭化水素系溶媒の使用を避けることが好ましく、具体的には、水系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、フッ素系溶媒を用いることが好ましい。
また、この場合、前記液状材料中における有機高分子材料の濃度(含有率)は、3%wt/vol以下であるのが好ましく、0.5〜2%wt/vol程度であるのがより好ましい。有機高分子材料の濃度が前記範囲よりも大きい場合には、液状材料の粘度や曳糸性が高くなり、液状材料の供給(塗布)操作が不安定になるおそれがある。
[3−II] 次に、図4(f)に示すように、第2のゲート絶縁層62を、基板50上の接続用電極33を除くほぼ全面に形成する。
第2のゲート絶縁層62は、第1のゲート絶縁層61と同様にして形成することができる。
次に、図4(g)に示すように、ゲート絶縁層6上に、走査線32(ゲート電極7)を形成する。
走査線32は、前記ソース電極3およびドレイン電極4と同様にして形成することができる。
なお、前記液状材料を供給する方法には、特に、インクジェット法を用いるのが好ましい。インクジェット法によれば、走査線32に対応して、液状材料を精度よく供給することができる。これにより、走査線32を高い寸法精度で形成することができる。
次に、図4(h)に示すように、ゲート絶縁層6のほぼ全面を覆うように、保護膜8を形成する。
保護膜8は、第1のゲート絶縁層61と同様にして形成することができる。
以上のような工程を経て、図1および図2に示すアクティブマトリクス装置30が得られる。
このようなアクティブマトリクス装置30では、ゲート絶縁層6が第1のゲート絶縁層61と第2のゲート絶縁層62とにより構成されているため、ゲート絶縁層6の機能を十分に発揮させるための膜厚を、第2のゲート絶縁層62により確保することができる。
次に、本発明の薄膜トランジスタを適用したアクティブマトリクス装置(薄膜トランジスタ回路)の第2実施形態について説明する。
図5は、アクティブマトリクス装置の第2実施形態を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
第2実施形態のアクティブマトリクス装置30は、各薄膜トランジスタ1を構成する各部の積層順が異なり、それ以外は、前記第1実施形態のアクティブマトリクス装置30と同様である。
すなわち、各薄膜トランジスタ1は、ゲート7電極がゲート絶縁層6を介してソース電極3およびドレイン電極4よりも基板50側に設けられた構成の薄膜トランジスタ、すなわち、ボトムゲート構造の薄膜トランジスタである。
このような構成により、薄膜トランジスタ1では、この保護膜8の第2のゲート絶縁層62に対するアンカー効果により、有機半導体層5が第1のゲート絶縁層61側に押し付けられ、第1のゲート絶縁層61と密着する。
このような絶縁材料としては、例えば、ポリビニルフェノール、フェノール樹脂(ノボラック樹脂)、ポリメチルメタクリル酸などのアクリル樹脂、ポリビニルアルコールのような可溶性ポリマー、または、ポリイミド(前駆体を溶液で塗布)、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような第2実施形態のアクティブマトリクス装置30およびその製造方法によっても、前記第1実施形態のアクティブマトリクス装置30およびその製造方法と同様の作用・効果が得られる。
次に、本発明の薄膜トランジスタを適用したアクティブマトリクス装置(薄膜トランジスタ回路)の第3実施形態について説明する。
図6は、アクティブマトリクス装置の第3実施形態を示す平面図である。
以下、第3実施形態のアクティブマトリクス装置およびその製造方法について説明するが、前記第1実施形態のアクティブマトリクス装置およびその製造方法との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
すなわち、図6に示すように、各薄膜トランジスタ10が有するソース電極3およびドレイン電極4の双方が櫛歯状、かつ、その歯が互いに噛み合うように形成されている。
また、ゲート電極7(走査線32)は、第1のゲート絶縁層61と第2のゲート絶縁層62とがこの順で積層されたゲート絶縁層6上に、電極指3a、4aが交互に配列された領域に重なるように設けられている。
また、ソース電極3の各電極指3aと、ドレイン電極4の各電極指4aとの間の領域における、キャリアの移動方向の長さ、すなわち各電極指3a、4a間の距離がチャネル長Lに相当し、チャネル長L方向と直交する方向の長さω×電極指3aと電極指4aとの間隔(ギャップ)の数Nがチャネル幅Wとなる。
また、チャネル長Lは、20μm以下であるのが好ましく、10μm以下がより好ましい。チャネル幅Wは、前記第1実施形態と同様とすることができる。
このようなアクティブマトリックス装置30およびその製造方法によっても、前記第1実施形態のアクティブマトリクス装置30およびその製造方法と同様の作用・効果が得られる。
したがって、本実施形態では、ゲート電極7を微細な形状に形成することを要求されないことから、その形成方法の選択の幅が広がり、ゲート電極7の形成に各種塗布法を用いた場合でも、良好な特性を有する薄膜トランジスタ10が得られる。
次に、前述したようなアクティブマトリクス装置30を備える電子デバイスについて、電気泳動表示装置を一例に説明する。
図7は、本発明の電子デバイスを電気泳動表示装置に適用した場合の実施形態を示す縦断面図である。
図7に示す電気泳動表示装置20は、基板50上に設けられたアクティブマトリクス装置30と、このアクティブマトリクス装置30に電気的に接続された電気泳動表示部40とで構成されている。
そして、マイクロカプセル42がバインダ材45により、画素電極41と透明電極43との間に固定されている。
各カプセル42内には、それぞれ、特性の異なる複数種の電気泳動粒子、本実施形態では、電荷および色(色相)の異なる2種の電気泳動粒子421、422を含む電気泳動分散液420が封入されている。
これにより、かかる薄膜トランジスタ1に接続されているデータ線31と画素電極41とは、実質的に導通する。このとき、データ線31に所望のデータ(電圧)を供給した状態であれば、このデータ(電圧)は画素電極41に供給される。
これにより、画素電極41と透明電極43との間に電界が生じ、この電界の方向、強さ、電気泳動粒子421、422の特性等に応じて、電気泳動粒子421、422は、いずれかの電極の方向に向かって電気泳動する。
したがって、走査線32への選択信号の供給および停止、あるいは、データ線31へのデータの供給および停止を適宜組み合わせて行うことにより、電気泳動表示装置20の表示面側(透明基板44側)に、所望の画像(情報)を表示させることができる。
特に、本実施形態の電気泳動表示装置20では、電気泳動粒子421、422の色を異ならせていることにより、多階調の画像を表示することが可能となっている。
また、本実施形態の電気泳動表示装置20は、低い駆動電圧で作動するため、省電力化が可能である。
なお、本発明の電子デバイスは、このような電気泳動表示装置20への適用に限定されるものではなく、液晶表示装置、有機または無機EL表示装置等に適用することもできる。
このような電気泳動表示装置20は、各種電子機器に組み込むことができる。以下、電気泳動表示装置20を備える本発明の電子機器について説明する。
<<電子ペーパー>>
まず、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態について説明する。
図8は、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。
この図に示す電子ペーパー600は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体601と、表示ユニット602とを備えている。
このような電子ペーパー600では、表示ユニット602が、前述したような電気泳動表示装置20で構成されている。
次に、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態について説明する。
図9は、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。
この図に示すディスプレイ800は、本体部801と、この本体部801に対して着脱自在に設けられた電子ペーパー600とを備えている。なお、この電子ペーパー600は、前述したような構成、すなわち、図8に示す構成と同様のものである。
このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600は、本体部801に着脱自在に設置されており、本体部801から取り外した状態で携帯して使用することもできる。
また、このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600が、前述したような電気泳動表示装置20で構成されている。
例えば、本発明の薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタ回路、電子デバイスおよび電子機器の各部の構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することもできる。
1.薄膜トランジスタの製造
以下では、特に断らない限り、水として純水を用いた。
なお、各実施例および比較例では、それぞれ、基板上に図1に示す構成の薄膜トランジスタ(200個)を製造した。
また、インクジェット法では、インク(液状材料)の粘度(常温)を4〜8cpsに調製して用いた。
まず、平均厚さ1mmのポリカーボネート基板を用意し、水(洗浄液)を用いて洗浄した。
次に、基板上に、Cu微粒子を分散した水分散液を、ソース電極およびドレイン電極に対応した形状となるようにインクジェット法(液滴1滴の量20pL)により塗布した後、80℃×10分間で乾燥した。これにより、ソース電極およびドレイン電極を形成した。
そして、このソース電極およびドレイン電極が形成されたポリカーボネート基板に対して、大気圧下で酸素プラズマ処理(大気圧酸素プラズマ処理)を施した。
なお、大気圧酸素プラズマ処理の条件は、RFパワー0.05W/cm2、酸素ガス流量80sccmとした。
次に、基板の全面に、ポリビニルフェノール(重量平均分子量20000)を6%wt/volとなるように溶解した1−プロパノール溶液を、スピンコート法(2400rpm)により塗布した後、60℃×10分間で乾燥した。これにより、平均厚さ450nmの第2のゲート絶縁層を形成した。
次に、第2のゲート絶縁層を覆うように、ポリシラザンのキシレン溶液をスピンコート法(2400rpm)により塗布した後、大気中、120℃×1時間で加熱した。その後、90℃、90%RHの環境下でキュアを行った。これにより、平均厚さ300nmの保護膜を形成した。
(実施例2〜実施例4)
有機半導体層および第1のゲート絶縁層の構成材料を、それぞれ、表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして、薄膜トランジスタを製造した。
まず、平均厚さ1mmのポリカーボネート基板を用意し、水(洗浄液)を用いて洗浄した。
次に、基板上に、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)の水分散液を、インクジェット法(液滴1滴の量20pL)により塗布した後、80℃×10分間で乾燥した。これにより、平均厚さ100nm、平均幅15μmのゲート電極を形成した。
次に、第2のゲート絶縁層上に、ゲート電極と重なるように、ポリスチレン(重量平均分子量300000)を1.8%wt/volとなるように溶解したメチルイソブチルケトン溶液を、インクジェット法(液滴1滴の量10pL)により塗布した後、60℃×10分間で乾燥した。これにより、平均厚さ40nmの第1のゲート絶縁層を形成した。
なお、得られたソース電極およびドレイン電極の平均厚さは、100nm、ソース電極とドレイン電極との距離(チャネル長L)は、10μm、チャネル幅Wは、1mmであった。
なお、大気圧アルゴンプラズマ処理の条件は、RFパワー0.05W/cm2、アルゴンガス流量80sccmとした。
次に、ソース電極とドレイン電極の間の領域に、ポリフェニルアミン(重量平均分子量8000)を1%wt/volとなるように溶解したキシレン溶液を、インクジェット法(液滴1滴の量10pL)により滴下した後、60℃×10分間で乾燥した。これにより、平均厚さ50nmの有機半導体層を形成した。
次に、第2のゲート絶縁層を覆うように、ポリビニルアルコール(重量平均分子量3000000)を8%wt/volとなるように溶解した水溶液をスピンコート法(2400rpm)により塗布した後、80℃×10分間で乾燥した。これにより、平均厚さ300nmの保護膜を形成した。
(実施例6)
第1のゲート絶縁層および第2のゲート絶縁層の構成材料を、それぞれ、表1に示すように変更した以外は、前記実施例5と同様にして、薄膜トランジスタを製造した。
第1のゲート絶縁層および第2のゲート絶縁層の2層構成のゲート絶縁層に代わり、次のようにして1層構成のゲート絶縁層を形成した以外は、前記実施例4と同様にして、薄膜トランジスタを製造した。
有機半導体層を形成した後、基板の全面に、ポリビニルシクロヘキサン(重量平均分子量300000)を5%wt/volとなるように溶解したメチルイソブチルケトン溶液を、スピンコート法(2400rpm)により塗布した後、60℃×10分間で乾燥した。これにより、平均厚さ450nmのゲート絶縁層を形成した。
各実施例および比較例で製造した薄膜トランジスタについて、それぞれ、曲げ試験を行い、有機半導体層と、第1のゲート絶縁層またはゲート絶縁層との界面における剥離状況を観察した。
また、各薄膜トランジスタについて、キャリア移動度およびS値を測定した。ここで、S値とは、ドレイン電流の値が1桁上昇するのに要するゲート電圧の値である。
キャリア移動度が大きく、S値が小さいもの程、良好な特性を有する薄膜トランジスタであることを意味する。
これらの値を、表1に示す。なお、キャリア移動度およびS値は、それぞれ、200個の薄膜トランジスタの平均値である。
これに対して、比較例で製造した薄膜トランジスタは、有機半導体層とゲート絶縁層との界面で剥離が多数認められた。なお、このため、比較例で製造した薄膜トランジスタについては、キャリア移動度およびS値の測定は省略した。
また、各実施例および比較例と同様にして、図6に示す構成の薄膜トランジスタを製造して、前記と同様にして評価したところ、前記と同様の結果が得られた。
Claims (14)
- 基板上に設けられ、ソース電極と、ドレイン電極と、ゲート電極と、前記ソース電極およびドレイン電極に対して前記ゲート電極を絶縁するゲート絶縁層と、該ゲート絶縁層に接触する有機半導体層とを有する薄膜トランジスタであって、
前記ゲート絶縁層は、前記有機半導体層に接触する第1のゲート絶縁層と、該第1のゲート絶縁層が前記有機半導体層から剥離するのを防止する機能を有する第2のゲート絶縁層とを備えることを特徴とする薄膜トランジスタ。 - 前記ソース電極およびドレイン電極が、前記ゲート電極より前記基板側に設けられたトップゲート構造をなし、
前記第2のゲート絶縁層は、少なくとも前記有機半導体層および前記第1のゲート絶縁層を覆い、かつ、前記基板と密着するよう設けられ、これにより、前記第1のゲート絶縁層が前記有機半導体層から剥離するのを防止する請求項1に記載の薄膜トランジスタ。 - 前記第2のゲート絶縁層は、前記第1のゲート絶縁層を構成する材料より、前記基板との密着性が高い材料で構成されている請求項2に記載の薄膜トランジスタ。
- 前記ゲート電極が、前記ソース電極およびドレイン電極より前記基板側に設けられたボトムゲート構造をなし、少なくとも前記有機半導体層および前記第1のゲート絶縁層を覆うように設けられた保護膜を有し、
前記第2のゲート絶縁層は、前記保護膜と密着することにより、前記第1のゲート絶縁層が前記有機半導体層から剥離するのを防止する請求項1に記載の薄膜トランジスタ。 - 前記第2のゲート絶縁層は、前記第1のゲート絶縁層を構成する材料より、前記保護膜との密着性が高い材料で構成されている請求項4に記載の薄膜トランジスタ。
- 前記第1のゲート絶縁層は、主骨格が主に飽和炭化水素で構成される樹脂を主材料として構成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の薄膜トランジスタ。
- 前記第1のゲート絶縁層は、主骨格が主に飽和炭化水素と芳香族炭化水素とで構成される樹脂を主材料として構成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の薄膜トランジスタ。
- 前記第1のゲート絶縁層は、フッ素化高分子を含む樹脂を主材料として構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の薄膜トランジスタ。
- 前記第1のゲート絶縁層は、重量平均分子量が300000〜2500000の樹脂を主材料として構成されている請求項1ないし8のいずれかに記載の薄膜トランジスタ。
- 前記第1のゲート絶縁層は、液滴吐出法を用いて形成されたものである請求項1ないし8のいずれかに記載の薄膜トランジスタ。
- 請求項1ないし10のいずれかに記載の薄膜トランジスタを複数備えることを特徴とする薄膜トランジスタ回路。
- 複数の前記第2のゲート絶縁層のうちの少なくとも一部のものは、一体的に形成されている請求項11に記載の薄膜トランジスタ回路。
- 請求項11または12に記載の薄膜トランジスタ回路を備えることを特徴とする電子デバイス。
- 請求項13に記載の電子デバイスを備えることを特徴とする電子機器。
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