JP2005259815A - 酸化物量子井戸構造及びそれを用いた光デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】 室温において十分に大きな励起子効果が期待できる構造と、この構造を用いた、室温で動作可能な電流注入型の励起子発光デバイスを提供する。
【解決手段】 量子井戸構造は、上記井戸層1と上記障壁層2とを交互に積層した構造を有している。量子井戸1内に励起子が生成されると、正孔(白抜きの+で表される)と電子(白抜きの−で表される。)との間に働くクーロン引力は、バルク中におけるクーロン引力に比べて顕著に増強される。クーロン引力の増強効果は、電子と正孔との間に、仮想的に想定される電気力線11が障壁層2側を回りこむ際に、障壁層2の低い比誘電率を反映して密になるために起こるものとして説明することができる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、酸化物量子井戸構造及びそれを用いた光デバイスに関し、特に、酸化物量子井戸構造を有する発光素子及び非線形光学スイッチに関する。
従来から、半導体中に形成される励起子に基づく光学的な現象(以下、「励起子効果」と称する。)を利用して、効率の高い発光素子及び非線形光学スイッチなどの開発が試みられている。特に、励起子効果によって室温で動作する高効率な発光素子や光スイッチが望まれていた。半導体材料を用いて、室温で動作する励起子効果を利用した光学素子を実現するためには、半導体中の励起子、すなわち電子と正孔とが結合した粒子が、室温における熱エネルギーによって解離しないようにする必要がある。
従来の半導体では、3次元励起子の結合エネルギーが、室温の熱エネルギーを超えることはまれであり、室温において十分に大きな励起子効果を期待することは難しかった。そこで、半導体材料により量子井戸構造を形成することによって2次元励起子とし、電子と正孔との結合エネルギーを増強する構造が用いられている。ここで、半導体量子井戸構造とは、半導体井戸層を、半導体井戸層よりもバンドギャップが大きい半導体障壁層により挟んだ接合構造を指し、電子や正孔を2次元に閉じ込めた構造を言う。理論的には、2次元励起子結合エネルギーは、3次元励起子結合エネルギーの4倍にまで至るとされている。ところが、理想的な2次元励起子状態を実現するためには極めて良質な量子井戸構造が必要である。現在の半導体技術ではこの倍率は2倍程度にとどまっているため、室温の熱エネルギーを大きく上回る励起子結合エネルギーは得られていない。半導体量子井戸構造において、半導体障壁層に比誘電率の低い絶縁体を用いる構造が提案されており、それに関する理論計算も行われている(非特許文献1参照)。
この文献では、2次元励起子結合エネルギーは、井戸層における高い比誘電率が障壁層における低い比誘電率に置換される効果により、上述の4倍という値に加えて、井戸層材料の比誘電率と障壁層材料の比誘電率の比の2乗に比例して増大することがわかる。また、具体的な井戸層と障壁層の組合せの例としては、GaAs/NaCl、CdS/NaCl、AlP/CaF2のみ記載されている。
文献(E. Hanamura, N. Nagaosa, M. Kumagai, T. Takagahara, Materials Science and Engineering B 1, 255 (1988))
上記の効果は、誘電性増強効果として知られ、実験的にも無機有機複合型量子井戸などで観測されている。無機有機複合型量子井戸では、室温における熱エネルギーの10倍以上の励起子結合エネルギーが観測されているが、材料の不安定性によって、電流注入による発光素子を実現するには至っていない。また、室温において、極めて大きな3次の非線形感受率が観測されているが、励起子の共鳴エネルギーにおける光吸収が大きいため、吸収損失が大きく、非線形光スイッチとしての応用は困難であるとされている。
前述の3次元励起子結合エネルギーが室温の熱エネルギーを超える数少ない材料は、総じてワイドバンドギャップ半導体材料であり、単極性が大きい。すなわち、n型p型相互の伝導制御が困難である。このため、室温で動作する電流注入型の励起子発光デバイスを作製することは、一般的に困難とされている。
本発明は、室温において十分に大きな励起子効果が期待できる構造と、この構造を用いた、室温で動作可能な電流注入型の励起子発光デバイスを提供することを目的とする。
本発明の一観点によれば、第1の酸化物材料からなる井戸層と、該第1の酸化物材料に略格子整合する第2の酸化物材料からなる障壁層と、を有する量子井戸構造を備えたことを特徴とする光デバイスが提供される。また、還元有効質量の大きい第1の酸化物材料からなる井戸層と、該第1の酸化物材料に略格子整合する第2の酸化物材料からなる障壁層と、を有する量子井戸構造を備えたことを特徴とする光デバイスが提供される。また、前記第2の酸化物材料は、比誘電率が低い材料であることを特徴とする。また、酸化物材料においては、井戸層と障壁層とのエネルギーバンドの不連続値を大きくする材料の組み合わせを選択することが可能であるため、室温においてもキャリアを井戸層内に閉じ込める効果が大きい。さらに量子井戸構造において、励起子の結合エネルギーを大きくすることで、室温における動作特性が向上する。
前記井戸層材料がTiOまたはチタン酸ペロブスカイト酸化物を含むことを特徴とする。前記チタン酸ペロブスカイト酸化物は、SrTiOであることを特徴とする。前前記井戸層の材料がSrTiOである場合は、前記障壁層材料が、LaAlO、NdGaO、前記井戸層材料がTiOである場合は、Alであることを特徴とする。前記障壁層として、前記井戸層中において、電子から正孔へ向かう電気力線が前記障壁層側に回り込む際に、前記電気力線が密になるように低い誘電率を有する障壁層が選択されることを特徴とする。したがって、前記障壁層材料は、井戸層がSrTiOである場合は、ReAlO、ReGaO、(Reは、La、Pr,Ndのいずれかを表す)及びMZrO、MHfO、MGeO(MはCa、Srのいずれかであることを表す)及びSrO又はBaO及びこれらとSrTiOとの混晶材料または超格子材料からも選択され、TiOに対しては、GeO、ZrO、HfO、及び、これらとTiOとの混晶材料または、超格子材料からも選択されることを特徴とする。ここで言う超格子材料とは、前記障壁層とSrTiOを1層から2層程度の短周期で交互積層した材料を指す。例えば、SrTiOが挙げられるが、この材料はSrOとSrTiOを1層づつ交互積層した自然超格子構造を有している。このような障壁層の形態では、超格子内に形成されるミニバンドが障壁層の価電子帯および伝導帯に対応する。
さらに、前記量子井戸構造と、該量子井戸構造の積層側の第1面に形成されるn型層と、前記第1面と反対側の第2面に形成されるp型層と、を有することを特徴とする光デバイスが提供される。この際、電子と正孔とは、量子井戸中で励起子を形成し、再結合して熱平衡状態に緩和するが、励起子の共鳴エネルギーに相当する波長を有する光が発生する。励起子の共鳴エネルギーに対応する波長は、井戸層幅と、井戸層材料、障壁層材料とに依存して、紫外から可視光まで変化させるができ、それに応じた波長を有する光を出射することができる。
本発明の他の観点によれば、透光性の基板と、該基板上に形成された前記量子井戸構造と、を備えた光スイッチ素子が提供される。
また、透光性の基板と、該基板上に形成された前記量子井戸構造と、を有する光スイッチ素子と、前記基板に対して制御光を照射する制御光照射手段と、前記基板に対して信号光を照射する信号光照射手段とを有する光スイッチ装置が提供される。
これにより、透過光の強度を制御光によって制御することを特徴とする光スイッチ素子。
入射した光に対する酸化物量子井戸構造の吸収係数は、励起子の持つ大きな3次の非線形光学効果に起因して、制御光の強度を変化させることによって可変にできる。したがって、入射光のうちの透過分である透過光の強度を制御光の強度により変化させることができる。すなわち、制御光によって入射光の透過率を変化させることができる光スイッチを形成することができる。
本発明によれば、励起子の還元有効質量が特に大きいチタン酸化物を、比誘電率が低い障壁層で挟んだ量子井戸構造を用いることにより、室温における熱エネルギーでも解離しない安定な励起子を生成することができ、高効率な発光素子や光スイッチを形成することができる。また、これらの利点を生かして、発光素子や光スイッチを組み合わせた光演算回路を形成することが可能になる。
本明細書において、障壁層と井戸層とが「略格子整合する」との表現は、格子定数が必ずしも同じでない場合でも、障壁層又は井戸層を形成する酸化物材料自体の性質がほぼ保持される程度の格子定数のずれを有する場合も含む表現である。
本発明の実施の形態について説明する前に、発明者の行った考察について説明する。励起子の結合エネルギーは、電子と正孔との有効質量から計算される励起子の還元有効質量に比例し、かつ、比誘電率の二乗に半比例することが知られている。従って、励起子の還元有効質量が大きいほど、また、誘電媒質の比誘電率が低いほど、励起子の結合エネルギーが大きい。ペロブスカイト酸化物は、ほぼ等しい結晶構造と格子定数とを有する無数の材料群から成り立っており、半導体に比べてそれらの物性は極めて広範囲に及ぶ。ペロブスカイト酸化物を含むヘテロ接合構造の例について図1に示す。図1は、SrTiO(井戸層)/LaAlO(障壁層)からなるヘテロ接合構造の伝導帯エネルギー図である。図1に示すように、SrTiO/LaAlOヘテロ接合構造は、その接合界面に約2.0eVの伝導帯のエネルギー不連続値(ΔEc)を有している。
図1に示す量子井戸構造では、井戸層中における電子の第1量子化準位E1と1S励起子準位との間のエネルギー差として定義される2次元励起子エネルギーE ex(2D)は、井戸層幅が0になる極限において、以下の式で表される。
ex(2D)=4(ε/ε ex(3D)(eV) (1)
ここで、εは井戸層であるSrTiOの比誘電率であり、εは障壁層であるLaAlOの比誘電率であり、E ex(3D)は、以下の式で表される3次元励起子エネルギーである。
ex(3D)=13.6(ε−2μ、μ-1=m *−1+m *−1(eV) (2)である。
ここで、m およびm は井戸層であるSrTiOの電子と正孔の有効質量である。
本発明は、励起子の還元有効質量μが極めて大きい酸化物、例えばSrTiOを、比誘電率εが低い障壁層、例えばLaAlOと組み合わせて量子井戸構造を形成することにより、井戸層の実効的な比誘電率をさげることが可能である。したがって、従来の半導体材料を用いた量子井戸構造では得られなかった室温付近における大きな励起子効果を得ることを特徴とする。この際、酸化物材料では、結晶構造や格子定数がほぼ等しく、かつ、極めて広範囲な物性値が得られる酸化物材料の中から、所望の井戸層材料と所望の障壁層材料とを選択することで、特性の良い高品質な量子井戸構造を作製できるという利点もある。
また、酸化物材料においてn型及びp型の伝導に関する制御が簡単にできることに着目し、上記の酸化物量子井戸構造とヘテロ接合構造とを形成することにより、電流注入型の励起子発光素子を作成し、また、大きな励起子効果による高効率な非線形光学スイッチ素子を提供することができる。
上記の考察に基づいて、以下に、本実施の形態による酸化物量子井戸構造及びそれを用いた光デバイスについて図面を参照しつつ説明を行う。
図2は、本実施の形態による酸化物量子井戸構造であって、井戸層材料として選択可能なTiO層およびSrTiO層の3次元励起子結合エネルギーE ex(3D)の温度依存性に関する理論計算結果を示す図である。理論計算において、TiOおよびSrTiOの励起子の還元有効質量は、それぞれ6m程度および2m程度(但し、mは自由電子の有効質量)を用いている。これらの材料の電子と正孔の有効質量は、酸化物材料の中においても、また通常の半導体材料と比べて非常に大きい値であることが特徴である。TiO層およびSrTiO層の3次元励起子結合エネルギーE ex(3D)は、熱エネルギー(ボルツマン定数k×絶対温度T;300Kで0.026eV程度、20Kで0.002eV程度)と比較すると分かるように、低温でのみ励起子が熱解離せずに存在できるものと予想される。尚、ほとんどの半導体の3次元励起子結合エネルギーは、TiOの3次元励起子結合エネルギーと同程度である。上記のような量子井戸用の障壁層として用いられる酸化物材料としては、例えば、SrTiOの井戸層に対しては、LaAlO、NdGaOなど、TiOの井戸層に対して、Alなどが挙げられる。これらの障壁層材料に共通な特徴は、井戸層にほぼ格子整合すること、ΔEcが大きいこと、井戸層に比べて比誘電率が十分に低いことである。
図3及び図4は、LaAlO、NdGaO、Alの材料における比誘電率の温度依存性を、量子井戸材料の候補であるSrTiO、TiOとともに、それぞれ示す図である。TiOとSrTiOとは、励起子の還元有効質量が大きい。一方で、比誘電率もまた大きいために、3次元励起子結合エネルギーが小さくなる。このような性質を補うように2次元励起子を形成する構造にして結合エネルギーを増大させることが好ましい。従って、LaAlO、NdGaO、Alなどの材料は、障壁層として有用である。それは、これらの材料の比誘電率が井戸層の比誘電率に比べて十分低いということである。
尚、障壁層として用いることができる他の材料としては以下のものが挙げられる。SrTiOに対しては、ReAlO、ReGaO(Reは、La、Pr,Ndのいずれかを表す)、MZrO、MHfO、MGeO(MはCa、Srのいずれかであることを表す)、SrO、BaO、および、これらとSrTiOとの混晶材料または超格子材料が挙げられる。TiOに対しては、GeO、ZrO、HfO、および、これらとTiOとの混晶材料または超格子材料が挙げられる。
前述の井戸層材料と障壁層材料とを、数原子層〜数十原子層の厚さで交互に積層し、井戸層内に量子井戸ポテンシャルが形成されるようにした。この構造が、本実施の形態による量子井戸層構造である。図5は、本実施の形態による量子井戸構造を示す図である。図5(A)に示すように、本実施の形態による量子井戸構造は、上記井戸層1と上記障壁層2とを交互に積層した構造を有している。図5(B)に示すように、量子井戸1内に励起子が生成されると、正孔(白抜きの+で表される)と電子(白抜きの−で表される。)との間に働くクーロン引力は、バルク中におけるクーロン引力に比べて顕著に増強される。クーロン引力の増強効果は、電子と正孔との間に、仮想的に想定される電気力線11が障壁層2側を回りこむ際に、障壁層2の低い比誘電率を反映して密になるために起こるものとして説明することができる。
図6は、所定の井戸層材料と障壁層材料とを組み合わせて形成した量子井戸構造における、2次元励起子結合エネルギーの計算値の温度依存性を示す図である。図6に示すように、300Kまでの全ての温度範囲にわたって、2次元励起子結合エネルギーは、点線で示した熱エネルギーの値を大きく上回っていることがわかる。図2のバルク中における3次元励起子結合エネルギーに比べて非常に大きな値を示している。すなわち、本実施の形態による量子井戸構造を用いることにより、熱エネルギーに対して極めて大きな励起子結合エネルギーを有する構造を実現できることがわかる。
以上、本実施の形態による量子井戸構造を用いると、熱エネルギーに対して極めて大きな励起子結合エネルギーを有する構造を実現でき、室温においても励起子結合を保つことができることがわかる。
次に、上記の技術を光デバイスへ応用した第1応用例について第2の実施の形態として説明する。図7は、本発明の第2の実施の形態による光デバイスであって、第1の実施の形態による酸化物量子井戸構造を発光デバイスとして機能させるためのヘテロ構造例を示す図である。図7に示す素子は、本実施の形態による酸化物量子井戸構造4を、n型酸化物材料5とp型酸化物材料3で挟んだ構造を有している。例えば、n型酸化物材料5とp型酸化物材料3とに対してそれぞれ電極を形成したpn接合構造に対して、順バイアスを印加すると、n型酸化物材料5から酸化物量子井戸とp型酸化物材料3電子と正孔とを同時に量子井戸4中に注入することを特徴としている。電子と正孔とは、量子井戸4中で励起子を形成し、再結合して熱平衡状態に緩和するが、その際に励起子の共鳴エネルギーに相当する波長を有する光が発生する。励起子の共鳴エネルギーに対応する波長は、井戸層の厚さと、井戸層材料、障壁層材料とに依存して、紫外から可視光まで変化させるができ、それに応じた波長を有する光6を出射することができる。ところで、n型とp型との伝導に関しては、特に、ペロブスカイト酸化物においては容易に制御可能であり、ここでは、n型不純物をドープしたSrTiOと、p型不純物をドープしたLaMnOやLaCuOなどを用いることができる。
次に、第2応用例について図面を参照しつつ説明を行う。図8は、第2応用例によるデバイスであって、本発明の第1の実施の形態による酸化物量子井戸が、光スイッチとして機能するように構成した素子の概略を示す図である。図8に示すように、信号光の波長では、光吸収を示さない格子整合基板8に対して酸化物量子井戸構造7(図7参照)が形成されている。入射した光に対する酸化物量子井戸構造7の吸収係数は、励起子の持つ大きな3次の非線形光学効果に起因して、制御光10の強度を変化させることによって可変にできる。したがって、入射光9のうちの透過分である透過光11の強度を制御光10の強度により変化させることができる。すなわち、制御光10によって入射光の透過率を変化させることができる光スイッチを形成することができる。
尚、上述の酸化物量子井戸層は、パルスレーザー堆積法などを用いて高品質な構造が形成可能である。この手法によれば、原料固体をレーザーパルスでアブレーションして、基板上に原子層又は分子層オーダーに制御して井戸層と障壁層とを形成することができる。
以上、本発明の実施の形態によれば、励起子の還元有効質量が特に大きいチタン酸化物を比誘電率が低い障壁層で挟んだ量子井戸構造を用いることで、室温における熱エネルギーでも解離しない安定な励起子を生成することができる。これにより、バルクのチタン酸化物や従来の半導体量子井戸を用いても得られなかった、高効率な発光素子や光スイッチを形成することができる。また、これらの利点を生かして、発光素子や光スイッチを組み合わせた光演算回路を形成することが可能である。
種々の光デバイスに応用することができる。また、光デバイスと電子デバイスとを集積化した構造にも適用することができる。
酸化物量子井戸における伝導帯エネルギー図である。 チタン酸化物の3次元励起子結合エネルギーの温度依存性を示す図である。 ペロブスカイト酸化物の比誘電率の温度依存性を示す図であり、合わせて、室温におけるバンドギャップを示している。 TiOとAlとの比誘電率の温度依存性を示す図であり、合わせて室温におけるバンドギャップを示している。 酸化物量子井戸構造の断面図(図5(A))と井戸中の正孔と電子間の電気力線を示す図(図5(B))である。 種々の酸化物量子井戸における2次元励起子結合エネルギーの温度依存性を示す図である。 n型及びp型酸化物材料と酸化物量子井戸構造を結合させた発光デバイスの動作原理を示す図である。 酸化物量子井戸構造を用いた光スイッチの動作原理図である。
符号の説明
1:酸化物井戸層、2:酸化物障壁層、11:電気力線、3:p型酸化物層、4:酸化物量子井戸層、5:n型酸化物層、6:電荷の再結合により生成された光、7:酸化物量子井戸層、8:透光性基板、9:入射光、10:制御光、11:透過光。

Claims (12)

  1. 第1の酸化物材料からなる井戸層と、該第1の酸化物材料に略格子整合する第2の酸化物材料からなる障壁層と、を有する量子井戸構造を備えたことを特徴とする光デバイス。
  2. 還元有効質量の大きい第1の酸化物材料からなる井戸層と、該第1の酸化物材料に略格子整合する第2の酸化物材料からなる障壁層と、を有する量子井戸構造を備えたことを特徴とする光デバイス。
  3. 前記第2の酸化物材料は、比誘電率が低い材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光デバイス。
  4. 前記井戸層の材料がチタン酸化物を含むことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の光デバイス。
  5. 前記井戸層の材料がTiOまたはチタン酸ペロブスカイト酸化物を含むことを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の光デバイス。
  6. 前記チタン酸ペロブスカイト酸化物は、SrTiOであることを特徴とする請求項5に記載の光デバイス。
  7. 前記井戸層の材料がSrTiOである場合は、前記障壁層の材料が、LaAlO、NdGaO、前記井戸層の材料がTiOである場合は、Alのうちから選択される材料であることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の光デバイス。
  8. 前記障壁層の材料が、井戸層がSrTiOである場合は、ReAlO、ReGaO、(Reは、La、Pr,Ndのいずれかを表す)及びMZrO、MHfO、MGeO(MはCa、Srのいずれかであることを表す)及びSrO又はBaO及びこれらとSrTiOとの混晶材料または、超格子材料のうちから選択され、TiOである場合は、GeO、ZrO、HfO、及び、これらとTiOとの混晶材料または超格子材料のうちから選択されることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の光デバイス。
  9. 請求項1から8までのいずれか1項に記載の量子井戸構造と、
    該量子井戸構造の積層側の第1面に形成されるn型層と、前記第1面と反対側の第2面に形成されるp型層と、を有することを特徴とする光デバイス。
  10. 透光性の基板と、
    該基板上に形成された請求項1から9までのいずれか1項に記載の量子井戸構造と
    を備えた光スイッチ素子。
  11. 透光性の基板と、該基板上に形成された請求項1から7までのいずれか1項に記載の量子井戸構造と、を有する光スイッチ素子と、
    前記基板に対して制御光を照射する制御光照射手段と、
    前記基板に対して信号光を照射する信号光照射手段と
    を有する光スイッチ装置。
  12. 請求項10に記載の光スイッチ素子を、請求項11に記載の制御光照射手段として用いることを特徴とする光演算回路。
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