JP2010078685A - 光子発生装置および方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来技術では、希望する時間および位置において単一光子を発生させることは困難であった。光子発生器から任意の時刻において、また任意の空間的な位置または空間パターンによって光子を発生させるように安定な制御をするのは困難であった。また、より高速の量子暗号システムを支えるために、高いビットレートの時系列の光子列を発生させることも困難であった。
【解決手段】本発明の光子発生装置では、(1)誘電率制御によって励起子を空間移動させる。さらに(2)励起子の生成制御、(3)誘電率制御による励起子からの光子生成制御および(4)多層化した構造による時系列の単一光子列生成の制御の機構の1つまたは複数を組み合わせて利用する。単一光子の任意の時刻、任意の場所、任意の空間パターンでの発生を実現する。積層構造を利用して、光子は励起子制御層の繰り返しピッチLで決定される時間間隔を持つ時系列の光子パルスとして出力される。
【選択図】図7

Description

本発明は、量子暗号などに利用される光子発生器に関する。より詳細には、励起子の再結合を利用した狭スペクトルで、発光位置および発光パターンを自由に制御できる光子発生器に関する。
近年のインターネット技術の発展とともに、ネットワーク上でやりとりされる商取引や個人情報の安全性が求められ、データ伝送におけるセキュリティに対する要請が高まっている。これに応える技術として、量子暗号が着目されている。量子暗号技術を使った量子暗号システムの実現のために多くの実験も始まっており、より高速で長距離の暗号通信によるデータ伝送の可能性も精力的に検討されている。
量子暗号システムを支える重要な構成要素技術の1つに、光子発生器がある。理想的な量子暗号通信の実現には、1つのパルスに含まれる光子を1個に制限できる単一光子発生器が必須となる。複数光子の生成確率を下げるものとして、ターンスタイル素子、量子ドットなどが検討されている。
従来、例えば非特許文献1に開示されているように、光子発生器としてマトリックス状に配置されたLEDやLDの要素素子が用いられてきた。これら要素素子は、電子−正孔対の再結合による発光を利用していた。上述の光子発生器では、単一光子を発生させるための制御は、LEDやLDの駆動電流などの注入量を下げることによって行っていた。この方法では、注入量を下げて電子―正孔対から光子を発生させるとき、光の強度を弱くすることによって光子の量子力学的な確率分布を低くして単一光子を実現しているため、その発生時刻はきわめて不確定となってしまう。結果として、単一光子を、希望する時間および位置において発生させることは困難であった。すなわち、光子発生器から任意の時刻において、また任意の空間的な位置もしくは空間パターンによって光子を発生させるように安定な制御をすることは困難であった。
また、より高速の量子暗号システムを支えるために、高いビットレートの時系列の光子列を発生させることも困難であった。
"A single-photon turnstile device", J. Kim, O. Benson, H. Kan and Y. Yamamoto, Nature vol. 397, p.500-503 (1999)
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、単一光子の発生を時間的および空間的に安定して制御できる光子発生方法を実現し、単一光子を任意の時刻、任意場所または任意空間パターンで発生させることのできる光子発生装置を実現することにある。さらに、より高速な時間軸上の光子列を発生させることのできる光子発生装置を実現することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は励起子を発生させる励起子発生部と、誘電率を変化させることによって、前記励起子発生部において発生させた励起子を束縛できる複数の障壁領域を有し、所定の位置の前記障壁領域から前記励起子の再結合によって光子を発生させる励起子制御部とを備えたことを特徴とする光子発生装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1の光子発生装置であって、前記複数の障壁領域は、前記複数の障壁領域を除いた周辺領域と異なるエネルギーギャップを有する材料によって構成され、隣接する障壁領域に対して、順次、前記障壁領域の誘電率を周辺領域の誘電率に対して相対的に変化させることによって前記励起子生成部の所定の位置に励起子を空間移動させることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1の光子発生装置であって、前記励起子制御部は、格子状に配置された前記複数の障壁領域と、前記障壁領域と誘電率の異なる井戸領域とを有し、前記障壁領域の誘電率を前記井戸領域の誘電率に対して相対的に変化させることによって所定の位置の障壁領域に励起子を空間移動させ、所定の時間に前記励起子の再結合によって光子を発生させることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3の光子発生装置であって、前記励起子生成部において発生させた複数の励起子を、所定の空間パターンを形成する前記複数の障壁領域に空間移動させ、前記所定の空間パターンで複数の光子を発生させることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4いずれかの光子発生装置であって、前記励起子制御部は、各々が膜状に形成され複数の障壁領域を含む複数の励起子制御層が積層された多層構造を有し、前記複数の励起子制御層内の前記複数の各障壁領域は、膜形成面内において同位置に配置されており、所定の前記障壁領域位置にある各励起子制御層に渡って複数の障壁領域の誘電率を制御して、所定時系列パターンで光子列を発生させることを特徴とする。本発明によれば、予め定めた任意の時間パルスパターンを生成することもできる。また、パルス間隔に任意に調整をすることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5いずれかの光子発生装置であって、前記障壁領域の誘電率を小さくすることによって前記励起子の再結合をさせ、光子を発生させることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6いずれかの光子発生装置であって、前記障壁領域の誘電率は、前記障壁領域へ照射させる光パルスを利用すること、前記障壁領域の電場を利用することまたはナノチューブ構造中を走行するナノマシンを利用することによって制御されることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、励起子発生部と、前記励起子発生部において発生させた励起子を誘電率を変化させることによって束縛できる複数の障壁領域を有し、所定の位置の前記障壁領域から前記励起子の再結合によって光子を発生させる励起子制御部とを備えた光子発生装置において光子発生を制御する方法において、励起子発生部において、励起子を発生させるステップと、前記複数の障壁領域の内の1つの障壁領域の誘電率を変化させて、前記励起子を前記1つの障壁領域に束縛するステップと、前記1つの障壁領域の誘電率を変化させて前記束縛を解除するととともに、前記1つの障壁領域に隣接するもう1つの障壁領域の誘電率を変化させて束縛し前記励起子を空間移動させるステップと、所定の位置の障壁領域に空間移動させた励起子を、所定の時間に前記障壁領域の誘電率を変化させることによって再結合させるステップとを備えることを特徴とする光子発生を制御する方法の発明である。
請求項9に記載の発明は、請求項8の方法であって、前記励起子制御部は、格子状に配置された前記複数の障壁領域と、前記障壁領域と誘電率の異なる井戸領域とを有し、前記束縛するステップおよび前記空間移動させるステップは前記障壁領域の誘電率を前記井戸領域の誘電率に対して相対的に変化させることによって実行されることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9の方法であって、前記励起子発生部と前記励起子制御部との境界近傍にある障壁領域の誘電率を前記井戸領域の誘電率よりも大きくすることによって、前記励起子制御部への励起子の侵入を制御するステップをさらに備えることを特徴とする。
以上説明したように、本発明の光子発生装置によれば、単一光子の発生を時間的および空間的に安定に制御する方法を実現し、単一光子を任意の時刻、任意の場所または任意の空間パターンで発生させることのできる光子発生装置を実現できる。予め定めた任意の時間パルスパターン、任意のパルス間隔に調整をすることが可能で、より高速な光子列を発生させることのできる光子発生装置を実現できる。量子暗号システムのさらなる高速化、高機能化を実現する。
本発明の光子発生装置においては、(1)誘電率制御によって励起子を空間移動させる機構を用いることを1つの特徴とする。さらに、以下の(2)−(4)の機構の1つまたは複数を組み合わせて利用することにより、単一光子の任意の時刻、任意の場所、任意の空間パターンでの発生を実現する。すなわち、(2)励起子の生成制御、(3)誘電率制御による励起子からの光子生成制御、および(4)多層化した構造による時系列の単一光子列生成の制御である。以下、図面を使用しながら本発明について詳細に説明する。
以下の説明で、空間移動、空間パターンなどの用語における「空間」は、1点から発生する光子に対比して、光子を発生する2次元面内の複数の点を形成する空間という意味で使用されている。したがって、媒質として空気で構成される空間や真空の空間などを意味するものではない。
図1は、本発明の光子発生装置の基本的な構成を示した概念図である。本発明の光子発生装置1は、励起子生成部2および励起子制御部3から構成される。励起子生成部2は、半導体によって構成され、本光子発生装置外に接続したまたは本光子発生装置の一部として形成された励起光源9が発生する光を照射されることにより、励起子を生成する。励起子は、良く知られているように、クーロン引力の相互作用により束縛状態にある電子―正孔対である。
励起子生成部2によって生成された励起子は、励起子制御部3において、励起子の空間移動および励起子発光(発光再結合)を経て光子を生成するように制御される。励起子制御部3は、詳細に後で述べるように、2種類またはそれ以上種類の半導体によって構成される。図1においては、励起光源9、励起子生成部2および励起子制御部3が、それぞれ別個のブロックとして記載されている。しかし、いずれのブロックも1種類または複数種類の半導体材料によって構成できるので、半導体基板上にパターン形成された素子として一体に形成することもできる。すなわち、図1は、本発明の光子発生装置を機能ブロックとして表現したものであることに留意されたい。従来技術が、光子発生のために電子−正孔対の再結合による発光を利用していたのに対し、本発明の光子発生装置では、励起子を利用している点で相違していることに注目されたい。本発明の特徴的な構成要素である励起子制御部の構成および動作についてさらに詳細に説明する。
図2の(A)および(B)は、励起子制御部およびその一部の拡大図を示す。図2の(A)において、励起子制御部3は、1つの半導体材料で形成された井戸領域4の中に、よりバンドギャップの大きな半導体材料で形成された複数の障壁領域5をマトリクス状に埋め込んだ構造をしている。このマトリックス構造の大きな特徴は、埋め込まれた障壁領域5の材料の誘電率ε1を、その周囲にある井戸領域5の半導体材料の誘電率ε2よりも小さい値から大きい値まで制御できる点にある。尚、図2の(A)は、半導体基板上に形成された井戸領域を基板面に垂直な方向から見た上面図である。
図2の(B)は、1つの障壁領域近傍の拡大図を示している。本発明の光子生成装置では、障壁領域5の誘電率を制御して、励起子の引き寄せ、およびトラップすることによって所望の位置に空間移動させ、さらに障壁領域の誘電率を制御して所望のタイミングで光子を発生させる。本発明では、励起子が存在する井戸領域の材料の制御ではなく、励起子の存在しない障壁層材料の制御によって、少数の光子の発生・制御を行なう点にも大きな特徴がある。井戸領域による制御は、励起子の安定性を劣化させることがある点で、本発明のように障壁領域を制御することにメリットがある。図2の(B)に示すように、障壁領域5の誘電率の制御により、1つの障壁領域5の近傍に電子7および正孔6の対で構成される励起子8をトラップすることができる。
図3の(A)および(B)は、障壁領域の誘電率を制御する例示的な方法を示す図である。障壁領域の誘電率の制御は、埋め込まれた材料に対して、(1)電場を印加する方法、(2)光を照射する方法、(3)障壁領域を中空としてその中に誘電体を機械的に移動させる方法などを用いて実現することができる。図3の(A)は、電場を印加して誘電率を制御する方法の例示的な説明図である。励起子制御部を、井戸領域4を構成する基板側面から見た断面図を示している。誘電率ε2を持つ井戸領域4の内部に、誘電率ε1を持つ円柱形状の障壁領域5が埋め込まれている。井戸領域4の上下には、バンドギャップの大きい材料による障壁層11a、11bが形成される。さらに障壁層11a、11bの上下の障壁領域5に対応する部分には、ぞれぞれ、電極10a、10bが形成されている。上下の2つの電極10a、10b間に電圧を印加して電場(電界)を生じさせることによって、電場下にある障壁領域の実効誘電率を変化させることができる。
光を照射する方法の1つとして、例えば光パルスを利用して材料の誘電率の制御を行う方法がある。誘電率は、材料に照射される光の強度に依存して変化する(非線形分極=非線形光学効果による)。この性質を利用して、障壁領域に照射する光を制御することによって、障壁領域の誘電率を制御することが可能である。
光を照射する方法は、例えば、以下のような手順により実現できる。1)各々の障壁領域のある層の上(または下)の層にLD、LEDなどを形成する。2)各々の障壁領域の上(または下)に光ファイバを近接させる。3)障壁領域の形成するマトリックスに対応した空間的な光のパターンを障壁領域のある層に結像させる(プロジェクターのような仕組み)。
また、図3の(B)に示すように、井戸領域4の内部に、中空空間13を形成して、この空間内に例えば円柱形状の誘電体15を配置する。中空空間13の場所が、障壁領域5に相当することになる。誘電体15は、マイクロマシン技術などによる駆動機構12によってその中空内の位置を井戸領域4の形成面の例えば法線方向に上下に変化させることができる。この誘電体15の位置の上下変化によって、障壁領域の実効誘電率を変化させることができる。誘電体15の形状や構成は、その位置の変化により誘電率の変化を生じさせられる限り、どのようなものでも良い。例えば、ナノチューブ構造中を走行するナノマシンを利用することができる。次に、誘電率制御によって、励起子を空間移動させる原理についてさらに詳細に説明する。
図4は、誘電率制御によって励起子を空間移動させる原理について説明する図である。図4は、2つの状態に分けて、障壁領域の誘電率と励起子の束縛エネルギーEbの関係を、グラフとともに模式的に説明している。先にも述べたように、励起子は電子および正孔がクローン相互作用により束縛状態を形成したものである。励起子の存在する空間の誘電率によって、その励起子のエネルギーは変化する。ここで、障壁領域の誘電率ε1を変化させることを考える。
ε1が井戸領域の誘電率ε2より小さい(ε1<ε2)場合、励起子は、障壁領域の近傍、特に障壁領域を取り囲むように存在している方が電子および正孔間のクーロン引力が強くなり、励起子のエネルギーは低くなる。そのため、励起子は障壁領域を取り囲むようになり、重心運動は局在、すなわち障壁領域に束縛される。
これに対し、ε1が井戸領域の誘電率ε2より大きい(ε1>ε2)場合は、障壁領域の近傍では電子および正孔間のクーロン引力が弱くなるため、励起子のエネルギーは大きくなってしまう。そのため、励起子は、障壁領域の外周領域で自由な重心運動をする。
上述の障壁領域の近傍および周辺における、障壁領域の誘電率に依存した励起子の各振る舞いは、不純物原子を含む材料における束縛励起子の振る舞いと類似している。以下では、励起子が障壁領域を取り囲んだ状態の励起子を「束縛状態にある」と呼び、束縛されていない励起子を「自由な状態にある」と呼ぶことにする。ε1>ε2の場合には、励起子は障壁領域から離れて、自由な状態となる。上述の2つの状態の効果を、励起子の移動に利用することができる。さらに、励起子の移動方法について詳細に説明する。
図5は、誘電率制御による励起子の空間移動の原理を空間エネルギーとともに説明する図である。図5の(A)および(B)では、説明を簡単にするため、隣り合う2つの障壁領域5a、5bのみを含む井戸領域4について説明している。各図の下には、励起子のエネルギーの空間依存性も概念的に示している。エネルギー図において、Cは伝導帯のエネルギーを、Vは価電子帯のエネルギーを、exは励起子のエネルギーをそれぞれ示している。(A)の状態から(B)の状態へ誘電率を変化させることによって、励起子8を左側の障壁領域5aから右側の障壁領域5bへ空間移動させる過程が説明される。
図5の(A)は、励起子を空間移動させる前の状態を示す。左側の障壁領域5aの誘電率を井戸領域4の誘電率ε1よりも小さいε2に、右側の障壁領域5bの誘電率を井戸領域4と同じ誘電率ε2に設定した状態である。
これに対し、図5の(B)は、本発明の誘電率制御によって励起子を空間移動させた後の状態を示す。ここでは、左側の障壁領域5aの誘電率を井戸領域4の誘電率ε2より大きなε3に、右側の障壁領域5bの誘電率を井戸領域4の誘電率ε2より小さなε1と設定した状態となる。(A)の場合、励起子のエネルギーは左側の障壁領域5aの周りで低く、それ以外の場所では高くなる。(B)の場合は、励起子のエネルギーは左側の障壁領域5aの周りで高く、右側の障壁領域5bの周りで低くなっている。励起子8にとってこのエネルギーは実効的なポテンシャルエネルギーVとして働き、励起子8はその傾き(グラディエント)の逆方向に相当する力Fを感じる。
Figure 2010078685
従って図5の(A)の状態では、左側の障壁領域5a近傍の励起子8は左側の障壁領域5aにひきつけられ、そこに束縛される。2つの障壁領域5a、5bの誘電率を所定のタイミングで制御することにより、各障壁領域の各誘電率を(B)の状態へ変化させる。このとき、左側の障壁領域5bに束縛されていた励起子8は、上述のエネルギーの傾きにより、左側の障壁領域5aから反発力を受けるとともに、右側の障壁領域5bからは引力を受けてひきつけられる。この結果、励起子8は、左側の障壁領域5aから右側の障壁領域5bへ移動して、そこで束縛される。このように、障壁領域の誘電率制御によって、励起子の空間移動を実施できる。さらに励起子の空間移動に加えて、励起子制御部3においてはもう1つの誘電率制御機構を実行する。
図6は、励起子近傍の障壁領域の誘電率と規格化した振動子強度fとの関係のグラフを示す図である。図6の横軸は、障壁領域の実効誘電率ε*を示している。縦軸は、規格化した振動子強度fを示している。振動子強度は、良く知られているように、発光遷移の起こりやすさを表す材料定数である。したがって、振動子強度が大きいほど、発光遷移が起こり易いことになる。ここでは、人為的な構造を持たない井戸層材料(バルク状態)の振動子強度を1としたときの振動子強度(バルク材料の振動子強度で規格化した振動子強度)を示していることに注意されたい。
励起子の感じる実効誘電率は、障壁領域の誘電率、井戸領域の誘電率、障壁領域の構造から決定される(例えば、図3の(A)を参照されたい)。他のパラメータが一定であれば、障壁領域5の誘電率を小さくすることにより、実効誘電率も小さくすることができる。図6に示した理論計算値の関係から、実効誘電率が小さくなると、発光の確率が飛躍的に増大することがわかる。従って、上で述べた障壁領域5の誘電率制御によって、所望の位置まで励起子の空間移動を実現した後に、励起子が束縛されている障壁領域の誘電率をさらに減少させることによって、励起子からの光子の発生を促すことができる。このように、本発明の光子発生装置では、障壁領域の誘電率制御という手段によって、励起子を空間移動させる機構と併せて、励起子からの光子発生を促す機構を含むところに特徴がある。
さらに、励起子からの発光は本質的に単一光子発光だけとなるので、従来の単一光子光源のように、確率分布を全体に低くして単一光子を生成するという処理が必要でない。このため、任意時刻での光子発生を効率的に行うことができるという点にも特徴がある。
実施例1: 次に、より具体的な励起子制御部の動作を実施例を用いながら説明する。
図7は、本発明の実施例1の光子発生装置の構成を示す概念図である。図7についても、本発明の励起子の空間移動の方法に着目して概念的に説明するものであり、半導体素子などで製作され得る光子発生装置の実際の形状・構成を説明するための図ではないことに注意されたい。本実施例1の光子発生装置は、左側の小さな長方形で表示された励起子発生部2と、その右の大きな長方形で表示された励起子制御部3が連結された構成を持つ。励起子発生部2には励起光が照射され、リングで示された励起子8が生成される。励起子制御部3は、井戸領域4をベースとして、井戸領域内に格子状に配置された円形状の複数の障壁領域5を含んでいる。障壁領域は、すべて半導体材料1で構成され、各障壁領域には図の左端から順に番号が付されている。以後の説明では、障壁領域(1)、障壁領域(2)などと呼んで区別する。井戸領域は、別の半導体材料2によって構成されている。励起子発生部2は、井戸領域4と同じ半導体材料2によって構成されて、励起子制御部3と連結されている。
以下、本実施例の光子発生装置の動作について、励起子発生部2から1個の励起子を障壁領域(17)へ移動させ、その後、障壁領域(17)から単一光子を発生させるという場合を例として説明する。これ以降の説明で用いる各部の誘電率の大きさは、ε1<<ε2<ε3<ε4の関係にあるものとし、井戸領域4の誘電率をε3とする。
図8は、誘電率制御によって励起子を空間移動させる様子を説明する図である。図8の(A)から(D)の各図とともに、励起子8が励起子発生部2から障壁領域(17)まで順次移動される様子が、以下の各工程1)から工程4)で説明される。簡単のため、各図では励起子制御部3のみが示されている。初期状態では、障壁領域(1)から障壁領域(21)の誘電率はすべてε4とする。
1) 励起子発生部2に励起光を照射することにより、1個または複数個の励起子を励起子発生部2に生成する。この状態では、励起子制御部3の入口付近にある障壁領域(2)の誘電率(ε4)は井戸領域4の誘電率ε3より大きいため、励起子8は励起子制御部3に入り込めない。
2) ここで、図8の(A)に示すように、障壁領域(2)の誘電率をε4からε2に設定する。これにより励起子発生部の励起子のうち1つだけが障壁領域(2)へ向けて移動し、障壁領域(2)の周りに束縛される。
3) 次に、図8の(B)に示すように、障壁領域(6)の誘電率をε2に設定し、続いて障壁領域(2)の誘電率をε4に設定する。これにより、励起子は障壁領域(6)の周りに移動しそこで束縛される。
4) 同様に、図8の(C)に示すように、障壁領域(10)の誘電率をε2に設定し、続いて障壁領域(6)の誘電率をε4に設定する。これにより、励起子は障壁領域(10)の周りに移動しそこで束縛される。上述のように、障壁領域の誘電率を順次変化させて励起子を移動させていくことにより、励起子制御部3の所望の位置に励起子を空間移動させることができる。次に、光子の放出制御について説明する。
図9は、実施例1の光子発生装置において光子を発生させる最終段階を説明する図である。図8で説明した各工程に続いて説明する。
5) 図8の(D)に引き続き、図9の(A)に示すように、障壁領域(17)の誘電率をε2に設定し、続いて障壁領域(13)の誘電率をε4に設定する。これにより、励起子は障壁領域(17)の周りに移動しそこで束縛される。最終的に目標位置である障壁領域(17)への空間移動が完了する。
6) ここで、障壁領域(17)の誘電率をε2からε1に設定する。誘電率をさらに減少させることにより、図6で説明したように、励起子が再結合し単一光子が障壁領域(17)から放出される。単一光子は、図9の(B)の紙面に垂直方向へ飛び出す。以上詳細に述べたように、本実施例では、障壁領域の誘電率を順次制御して励起子をトラップしながら、所望の空間位置に移動させ、任意の時刻に、単一光子を発生させることができる。
この実施例における誘電率制御については、障壁領域を半導体材料1によって構成しているので、図3の(A)で説明した電場による誘電率制御または光による誘電率制御が適当である。具体的には、半導体層(井戸領域)全体を挟むように、一対の絶縁膜を形成し、その絶縁膜上に、さらに1つ1つの障壁領域を挟むようにそれぞれ1対の独立した電極を形成する。この1対の電極間に加える電圧を時系列で変化させることによって、挟まれた障壁領域の誘電率を制御する。また、図3の(B)で説明したように、障壁領域の部分を中空とし、この中空部分に誘電体多層膜を形成した円筒形マイクロマシンを設置し、面の法線方向に移動させることにより障壁領域部の誘電率を制御するという方法も有効である。この場合、円筒形マイクロマシンの円筒軸を半導体層(井戸領域)の法線方向にとり、誘電体多層膜は半導体層に平行に積層させる。
本実施例の光子発生装置の作製方法の例としては、まず、エピタキシャル成長によって半導体材料2の層を基板上に成長させる。その後、エッチングにより、障壁領域となる部分を除去する。さらに、再成長により、障壁領域を半導体材料1によって形成することができる。
より具体的な励起子制御部の構成を、井戸領域層の材料をGaAsとした場合を例とすると、励起子の大きさは1〜5nm(バルクGaAsでは10nm)、障壁領域の大きさは直径1〜5nmで、励起子より少し小さいのが好ましい。障壁領域の厚さ、すなわち井戸領域の厚さは、サブミクロンから数ミクロン程度とすることができる。また、障壁領域同士の間隔は励起子の大きさよりも大きい2〜10nmとすることができる。ただし、大きすぎると励起子の移動に時間が掛かりすぎることに留意する必要がある。井戸領域層の材料が変れば、励起子の大きさも変動するので、上述の障壁領域の格子形状・寸法などは材料定数によって変動する。井戸領域の材料としては、例えばGaAs, AlGaAs, InP, GaNなどが有る。また、障壁領域の材料には井戸領域の材料よりも大きなエネルギーギャップを有することが要求され、上記の井戸領域の材料例に対応したものとして、AlGaAs, AlAs, GaInP, AlGaNなどが考えられる。
実施例2: 図6は、本発明の実施例2に係る光子発生装置の構成を示す概念図である。本実施例では、複数の励起子の空間位置を制御することによって、任意の空間発光パターンで光子を発生させることができる。励起子の空間移動および光子の発生に関する基本的な動作は、実施例1と同様である。ここでは、実施例1との相違点に絞って動作を説明する。
実施例1と同様に、励起子発生部2および励起子制御部3が連続的に構成されている。励起子制御部3は、誘電率ε3を持つ井戸領域4内に格子状に配列された複数の障壁領域5を備えている。初期状態では、障壁領域はすべて誘電率ε4に設定されている。ここで、ε3<ε4の関係が成り立っているものとする。以後の説明では、異なる障壁領域を、障壁領域(1)、障壁領域(2)などと呼んで区別する。
障壁領域(1)−(3)は、励起子発生部2で発生した励起子群を障壁領域(4)−(7)の障壁領域にそれぞれ1つずつ束縛させるために、励起子の空間移動をスムーズに制御する目的で利用される。したがって、本実施例における空間パターンの形成の観点においては、必須のものではない。したがって、障壁領域(1)−(3)において、励起子の束縛を行っても、行わなくてもよい。本実施例では、任意の光子発生点を分布した空間パターンを形成するように、励起子を空間移動させるところを特徴とする。
図11は、実施例2において、励起子の空間パターンを形成させる様子を説明する図である。図11の(A)から(F)の各図とともに、励起子発生部2から、複数の励起子を所望の複数の障壁領域位置に移動させて空間パターンを形成し、さらに複数の光子を発生させる工程を説明する。これ以降、説明で用いる各部の誘電率の大きさはε1<<ε2<ε3<ε4の関係にあるものとする。
障壁領域(1)−(3)で励起子の束縛を行わない場合、図10の励起子制御部3にある16個の障壁領域(4)−(19)で形成される4×4の格子内で、任意のパターンでの光子発生を行うことができる。例えば、障壁領域の番号で表して、下記の空間パターンを形成する場合を考える。
4 12 16
5 9 17
10 14
7 19
励起子分布のパターン形成は、隣接する格子間を励起子が移動する速度より長い時間間隔(τ)で、障壁領域(4)−(7)の障壁領域の第1列に所望のパターンで励起子の導入を行い、これら導入された励起子(群)を、障壁領域(8)−(11)の第2列、→障壁領域(12)−(15)の第3列、→障壁領域(16)−(19)の第4列へと順次移動させることにより行う。
1) 初期状態の時刻t=0では、障壁領域の誘電率はすべてε4に設定されている。
2) まず、時刻t=τ1で、障壁領域(4)、(5)、(7)の誘電率をε4からε2に設定して、励起子を束縛させる。(図11の(A)を参照)
3) 時刻t=τ2において、まず障壁領域(8)、(9)、(11)の誘電率をε4からε2にするとともに、障壁領域(4)、(5)、(7)の誘電率をε2からε4として、障壁領域(4)、(5)、(7)の励起子を障壁領域(8)、(9)、(11)に平行移動させる。(図11の(B)を参照)
4) 時刻t=τ3において、障壁領域(4)、(6)の誘電率をε4からε2に設定して、励起子を束縛させる。この時点では、第1列および第2列に励起子が配置された状態にある。(図11の(C)を参照)
5) 時刻t=τ4において、障壁領域(8)、(9)、(11)の励起子は、障壁領域(12)、(13)、(15)に移動させ、障壁領域(4)、(6の)の励起子は、障壁領域(8)、(10)のそれぞれ平行移動させる。(図11の(D)を参照)
6) 時刻t=τ5において、同様に励起子群の平行移動を実行した結果、第1列から第4列までに、障壁領域(4)、(7)、(7)、障壁領域(9)、(10)、障壁領域(12)、(14)、障壁領域(16)、(17)、(19)に励起子が配列され、所望の空間パターンが形成される。このとき、励起子が束縛されている障壁領域の誘電率はε2に設定されている。(図11の(E)を参照)
7) 最後に時刻t=τ6においてすべての障壁領域の誘電率をε1にして、各障壁領域から光子を同時に発生させる。
上述の一連の工程の説明では、各時刻の関係は規定していないが、励起子の移動が確実にスムーズに行なわれる限り、どのようなタイミングでも良い。また、障壁領域間で励起子の平行移動工程は同一なので、等時間間隔で平行移動させることができる。また、最終工程の光子の発生段階を任意の時刻に設定できるのは言うまでも無い。上述のように、本実施例によれば、励起子制御部の面内の任意の空間位置パターンで、単一光子を生成することができる。
図12は、本発明の実施例3の光子発生装置の構成を示す概念図である。本実施例の光子発生装置は、実施例2の光子発生装置の励起子制御部を多層に積層させた構造を含んでいる。すなわち、第1の励起子制御部20−1、第2の励起子制御部20−2、・・第6の励起子制御部20−6、第7の励起子制御部20−7が、順次、x方向に積層された構成となっている。図12では、励起子制御部3のみが記載されているが、各層の励起子制御部に対応してまたは共通の励起子生成部を備えていることは言うまでも無い。1つの励起子制御部は、y−z面に沿って形成されている。複数の障壁領域の配列構成パターンは、実施例2のものと同じであるがこれに限定されることはない。1つの励起子制御層のy−z面で、励起子の空間移動ができる配列パターンであれば良い。図12は、本実施例の動作を説明するために概念的に示したものであって、実際の装置(デバイス)におけるx、y、z方向の寸法を比例して表示していない。
各励起子制御部20−1、・・、20−7は、誘電率ε3を持つ井戸領域4および複数の障壁領域5を備える。各層の障壁領域は、すべて円柱状で、その位置が各層で共通となっている。図12では、簡単のため、各層の障壁領域に対する誘電率制御のための電極などの機構は記載されていない。各励起子制御層では、それぞれ独立した誘電率制御によって、励起子のy−z面内の空間移動が可能である。
各励起子制御部の層間には、バンドギャップの大きい材料でできた層間分離層21−1、21−2、・・、21−6が形成されている。本実施例の光子発生装置の構造によれば、各励起子制御部層から放出された光子が、障壁領域となる円柱を導波路として伝搬し、時系列化された光子列として最上層の励起子制御部層20−1から出力される。次にこの時系列化された光子列の生成についてさらに説明する。
図13は、実施例3において時系列に光子を発生させる仕組みを説明する図である。1つの障壁領域に着目して、1つの障壁領域を含むx−z面の断面図を示している。励起子制御層20−1、20−2、・・20−NはN層あり、各励起子制制御層の間は、層間分離層21−1、・・、21−N−1が形成されている。各励起子制御部のx方向の繰り返しピッチをLとする。各層の障壁領域は、y−z面の同位置に形成されているので、x方向に光導波路が形成されている。各励起子制御部では、独立して障壁領域の誘電率制御ができるので、ある時点においては、各励起子制御部層のすべての障壁領域5−1、5−2、・・5−Nに対して励起子を束縛した状態に設定できる。このとき、障壁領域の誘電率は、実施例2において図11の(E)で説明したのと同様に、ε2となっている。
図13の(A)は、各励起子制御層のy−z面内の同一位置の障壁領域に、励起子が束縛された状態を示している。ここで、各障壁領域の誘電率ε2からε1に一斉に下げることによって、各障壁領域から、同時に光子が発生する。各光子は、x軸方向に向かって飛び出し、最上層の障壁領域5−1から光子列として放出される。先にも述べたように、各層の障壁領域は、x軸方向に光導波路を構成しているので、光子は励起子制御層の繰り返しピッチLで決定される時間間隔を持つ時系列の光子パルスとして、出力される。図13の(B)は、光子列パルスを説明する概念図である。
以下に、より具体的な構成を例示的に説明する。1つの励起子制御部層は、厚さ1−2nmとして、層間分離層の厚さを10μmとすることができる。このとき、多層構造の周期ピッチは、ほぼ10μmとなる。ここで、層間分離層の厚さが励起子制御層の厚さよりも非常に大きいのは、光パルスの間隔を比較的長く設定するためである。
本実施例における各動作を実行するのに必要な所要時間は、概ね以下のとおりである。1つの励起子制御層の中で、障壁領域間を移動させるのにかかる時間は、1nsec程度である。この時間は、障壁領域の間隔などに依存する。一方、ピッチLの周期構造を持つ励起子制御層間を光が移動するのに要する時間は、0.1psecとなる。例えば、GaAsの屈折率を3.1、Lを10μmとした場合、概ね0.1psecが得られる。
光パルスの間隔は0.1psec程度と非常に短くなるため、層数を増やすことによりより多くの時系列光パルス(信号)を利用できるようになる。例えば、層数を100まで増やせば、10nsecのバースト期間に100の光パルスを持つ変調を行なうことができる。また、層間隔Lをより小さくすれば、さらに短時間周期の光パルスを発生できる。逆に、層間隔Lをより大きくすれば、さらに長時間周期の光パルスを発生できる。
上述の説明では、各層の光子放出を同時に行なうものとしたが、各層の誘電率をε2からε1へ設定するタイミングを別々にすれば、時間軸上で任意のパルスパターンを形成することもできる。また、パルス間隔を調整することもできることは容易に理解できるだろう。また、多層構造の層数、層間隔は半導体材料の選択によって変動する。また、励起子制御部の間隔を等間隔に構成する必要はなく、不等間隔にもできる。また、一部の層をある間隔として他の層は別の間隔とすることも可能である。このようにすることで、各層の光子放出の誘電率制御を同時に行なうだけで、予め定めた任意の時間パルスパターンを生成することもできる。また、任意のパルス間隔に調整をすることができる。
上述のように、実施例3の光子発生装置によれば、任意の時系列光パルスを生成することができる。最上層の励起子制御層の各障壁領域から、それぞれ独立して、時系列の光子パルス列を発生できる。実施例2において説明した、任意の空間パターンで光子を発生させるだけでなく、任意の時系列光パルスを生成することができる。実施例3の構成の光子発生装置により、複数の信号系列の並列処理が可能となる。並列処理により、量子暗号システムのさらなる高速化および多機能化を実現できる。
本発明の光子発生装置によれば、励起子を利用して、単一光子の発生を時間的および空間的に安定して制御する方法を実現し、単一光子を任意の時刻、任意の場所または任意の空間パターンで発生させることのできる光子発生装置を実現することができる。周波数純度の高い励起子遷移を利用することができる特徴を持つ。さらに、より高速な光子列を発生させることのできる光子発生装置を実現できる。量子暗号システムのさらなる高速化および高機能化を実現する。
本発明は、量子暗号システムに利用することができる。特に量子暗号システムの光子発生装置に利用できる。
本発明の光子発生装置の基本的な構成を示した概念図である。 本発明の光子発生装置における励起子制御部の構成およびその一部の拡大をを示す図である。 励起子制御部の障壁領域の誘電率を制御する例示的な方法を示す図である。 誘電率制御による励起子の空間移動原理について説明する図である。 誘電率制御による励起子の空間移動原理を説明するもう1つの図である。 励起子近傍の障壁領域の誘電率と規格化した振動子強度fとの関係のグラフを示す図である。 本発明の実施例1の光子発生装置の構成を示す概念図である。 実施例1において、誘電率制御によって励起子を空間移動させる様子を説明する図である。 実施例1の光子発生装置において光子を発生させる最終段階を説明する図である 本発明の実施例2の光子発生装置の構成を示す概念図である。 実施例2において、励起子の空間パターンを形成させる様子を説明する図である。 本発明の実施例3の光子発生装置の構成を示す概念図である。 実施例3において時系列に光子を発生させる仕組みを説明する図である。
符号の説明
1 光子発生装置
2 励起子生成部
3 励起子制御部
4 井戸領域
5、5a、5b、5−1、・・5−N 障壁領域
6 正孔
7 電子
8 励起子
9 励起光源
10a、10b 制御電極
11a、11b 障壁領域層
12 駆動機構
13 中空空間
20−1、20−2、・・、20−N 励起子制御部層
21−1、21−2、・・20−N−1 層間分離層

Claims (10)

  1. 励起子を発生させる励起子発生部と、
    誘電率を変化させることによって、前記励起子発生部において発生させた励起子を束縛できる複数の障壁領域を有し、所定の位置の前記障壁領域から前記励起子の再結合によって光子を発生させる励起子制御部と
    を備えたことを特徴とする光子発生装置。
  2. 前記複数の障壁領域は、前記複数の障壁領域を除いた周辺領域と異なるエネルギーギャップを有する材料によって構成され、隣接する障壁領域に対して、順次、前記障壁領域の誘電率を周辺領域の誘電率に対して相対的に変化させることによって前記励起子生成部の所定の位置に励起子を空間移動させることを特徴とする請求項1に記載の光子発生装置。
  3. 前記励起子制御部は、格子状に配置された前記複数の障壁領域と、前記障壁領域と誘電率の異なる井戸領域とを有し、前記障壁領域の誘電率を前記井戸領域の誘電率に対して相対的に変化させることによって所定の位置の障壁領域に励起子を空間移動させ、所定の時間に前記励起子の再結合によって光子を発生させることを特徴とする請求項1に記載の光子発生装置。
  4. 前記励起子生成部において発生させた複数の励起子を、所定の空間パターンを形成する前記複数の障壁領域に空間移動させ、前記所定の空間パターンで複数の光子を発生させることを特徴とする請求項2または3に記載の光子発生装置。
  5. 前記励起子制御部は、各々が膜状に形成され複数の障壁領域を含む複数の励起子制御層が積層された多層構造を有し、前記複数の励起子制御層内の前記複数の各障壁領域は、膜形成面内において同位置に配置されており、所定の前記障壁領域位置にある各励起子制御層に渡って複数の障壁領域の誘電率を制御して、所定時系列パターンで光子列を発生させることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の光子発生装置。
  6. 前記障壁領域の誘電率を小さくすることによって前記励起子の再結合をさせ、光子を発生させることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の光子発生装置。
  7. 前記障壁領域の誘電率は、前記障壁領域へ照射させる光パルスを利用すること、前記障壁領域の電場を利用することまたはナノチューブ構造中を走行するナノマシンを利用することによって制御されることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の光子発生装置。
  8. 励起子発生部と、前記励起子発生部において発生させた励起子を誘電率を変化させることによって束縛できる複数の障壁領域を有し、所定の位置の前記障壁領域から前記励起子の再結合によって光子を発生させる励起子制御部とを備えた光子発生装置において光子発生を制御する方法において、
    励起子発生部において、励起子を発生させるステップと、
    前記複数の障壁領域の内の1つの障壁領域の誘電率を変化させて、前記励起子を前記1つの障壁領域に束縛するステップと、
    前記1つの障壁領域の誘電率を変化させて前記束縛を解除するととともに、前記1つの障壁領域に隣接するもう1つの障壁領域の誘電率を変化させて束縛し前記励起子を空間移動させるステップと、
    所定の位置の障壁領域に空間移動させた励起子を、所定の時間に前記障壁領域の誘電率を変化させることによって再結合させるステップと
    を備えることを特徴とする光子発生を制御する方法。
  9. 前記励起子制御部は、格子状に配置された前記複数の障壁領域と、前記障壁領域と誘電率の異なる井戸領域とを有し、前記束縛するステップおよび前記空間移動させるステップは前記前記障壁領域の誘電率を前記井戸領域の誘電率に対して相対的に変化させることによって実行されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 前記励起子発生部と前記励起子制御部との境界近傍にある障壁領域の誘電率を前記井戸領域の誘電率よりも大きくすることによって、前記励起子制御部への励起子の侵入を制御するステップをさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の方法。
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