JP2022548821A - 単一光子を生成するための装置 - Google Patents

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Abstract

エネルギーEを有する単一光子(2)を生成するための装置(1)であって、エネルギー準位N*からそれより低いエネルギー準位N1へのエネルギーEでの少なくとも1つの特定の遷移を有する複数の量子エミッタ(3)を備え、量子エミッタは、第1の領域(19)から第2の領域(20)へ延びる伝搬経路(4)の領域に配置され、装置が、伝搬経路に沿って伝搬する光(6)を放出するための少なくとも1つの光源(5)をさらに備え、光は、エネルギー準位N*の共鳴励起のためのエネルギーEを有し、量子エミッタは、伝搬経路に沿って光の光学的厚さτ>0を形成する正確にZ個の量子エミッタのみが照射されるように配置され、数Zは、Z0±10%の範囲であり、Z0は、第2の領域において、Z0個の量子エミッタで散乱される光の2光子成分と光の非散乱2光子成分との間の相殺的干渉が最大になる数である。【選択図】図1

Description

本発明は、エネルギー準位N*から、それより低いエネルギー準位N1へのエネルギーEでの少なくとも1つの特定の遷移を有する複数の量子エミッタを含む、エネルギーEを有する単一光子を生成するための装置に関する。
単一光子源、すなわち単独の光子のみを放出し、2つの光子を同時に放出することのない光源は、量子技術分野における多くの用途、特に量子鍵交換において中心的な役割をする。単一光子源は、多くの商用機器で、例えば量子暗号のための光源として用いられるが、それはこのような用途においては同時に存在する2つの光子が安全性を危険にさらすからである。この場合、例えば、盗聴者は、2つの光子のうちの1つを気づかれずに分岐し、それにより交換される鍵に関する情報を得ることができる。
研究では、単一光子を生成するために、一部では非常に複雑な方法が使用され、それらの方法は、例えば、相互作用するリュードベリ原子にもとづき(例えばF.Ripka et al.,Science 362,446(2018)を参照)、その複雑性から、使用において事実上何の役割もしない。
単一光子を生成する多数の可能性に関する概要は、例えば、M.D.Eisaman et al.,Review of Scientific Instruments 82,071101(2011)に記載されている。
現在、実用において単一光子源を実現するために、3つの方法が最も一般的に使用されている。
1.レーザパルスの強度の減衰:この場合、個々のレーザパルスが、単一のレーザパルスに光子が含まれる確率pが非常に低くなる(典型的には約p=10%)程度まで減衰される。パルスごとに2つの光子が得られる確率は、p(p=10%の場合は1%)で与えられ、したがって単一光子の確率よりもはるかに低くなる。このような源は、簡単に実現できはするが、2つの光子が同時に発生する確率が常に存在するため、実際には単一光子源ではない。このような確率は、単一光子の確率を犠牲にしてのみ低くすることができる。量子暗号プロトコルの場合、これはデータ転送速度又はプロトコルの安全性を根本的に制限する。
2.個々の量子エミッタ:あるいは、例えば個々の原子又は分子などの個々の量子エミッタの発光特性を利用する単一光子源が用いられる。このために、これらが典型的には外部光場を照射することにより励起される。その際、基底状態にフォールバックすると、正確に1つの光子が放出され、2つの光子が放出されることは決してない。典型的には全方向に放出されるこれらの光子を収集すると、単一光子源が得られる。これらの源では、2つの光子が同時に生じることが決してないということが確保されるが、これらの源には重大な欠点もある。
-低光子収量:典型的には、大抵の光子は収集光学系に、すなわち明確に定義されたモードに放出されず、そのため、通常、放出された光子の数パーセントしか収集されず、その結果、単一光子レートが低くなる。
-部分的に複雑な構造:特に、収集効率を高めるために共鳴器が用いられる場合、共鳴器モードの周波数が放出される光の周波数と一致することを確保しなければならない。
-単一光子源で用いられる多くのエミッタは、特にエミッタが固体に埋設されている場合、発光波長の不均一な広がりを示す。この場合、放出された光子は、すべてのプロトコルに適するわけではない。それによって、それぞれの源を広い用途に使用できなくなる。
3.パラメトリックダウンコンバージョン:この種の源では、非線形結晶がレーザビームによってポンピングされる。自発的プロセスでは、特定の時間にポンプレーザの光子がランダムに低周波数の2つの光子に変換される。この光子対を2つのビームに分割し、2つのビームのうちの1つに光子があるということにもとづいて、アプリケーションをトリガした場合、2番目のビームに光子があることもわかる。したがって、単一光子源が得られる。トリガメカニズムにもとづいて、もう1つのビームに正確にただ1つの光子が存在するのはいつであるのかに関する追加情報が得られるが、これらの源には重大な欠点もある。
-典型的には、スペクトル帯域幅が大きく、帯域幅に相対して光子対レートが低くなる(理想的な場合には、単純に光子対レートに反比例する)。
-確率過程では、2対の光子が生成される可能性もあり、すなわち単一光子の代わりに二重光子、又は2つの光子が同時に放出される可能性が著しく高い。
F.Ripka et al.,Science 362,446(2018) M.D.Eisaman et al.,Review of Scientific Instruments 82,071101(2011)
本発明の課題は、上記の不利な点を回避する単一光子又は単一光子源を生成するための装置を提供することである。特に、装置の構造は簡単で堅牢であるべきである。装置は、可能な限り良好な単一光子特性と、同時に高い単一光子レートを有することが好ましい。
二重光子又は同時に放出される光子の対の生成との関連で、原子の形の非相互作用量子エミッタのアンサンブルが、透過光の共鳴単一光子を指数関数的に減衰させるスペクトル選択フィルタとして機能できることが最近確認された。これに対して、入射光への原子の結合が弱い場合でも、共鳴光子対又は入射光の共鳴2光子成分は、1つの光子対又は2つの相関光子が2つの周波数側波帯で生じるように共鳴散乱され、側波帯のうちの一方は「青色シフト」、すなわち高エネルギーに向かってシフトされ、もう一方の側波帯は「赤色シフト」、すなわち低エネルギーに向かってシフトされる。これらの相関光子は、共鳴エネルギーがなくなったため、原子アンサンブルを通る残りの経路上で単一光子ほどには強度が大きく減衰されない。したがって、光子対の源を十分に大きい数の原子によって効果的に生成できる。S.Mahmoodian et al.,Physical Review Letters 121,143601(2018)を参照。
本発明の核心は、上述の事例では、原子の数に応じて、これらの原子で散乱する光の2光子成分と光の非散乱2光子成分との間に完全な相殺的干渉が起こり得るという驚くべき発見である。より厳密には、特定の観測方向又は特定の観測位置で原子と相互作用することなしに透過する2光子成分(上記の用語では「非散乱2光子成分」)と、同じ観測方向又は同じ観測位置に原子によって散乱される2光子成分との間に完全な相殺的干渉が起こり得る。注目すべきことに、単一光子はこの動作点ではまだ有限の透過率を示し、したがって、このようにして単一光子源を生成することができる。
光のより大きい数の光子成分、すなわち3光子成分、4光子成分などは、極めて高い強度での場合を除いて、統計的に何の役割も果たさず、それにより透過光は、事実上、単一光子のみからなる。すなわち、観測方向又は観測位置で、一緒にではなく個々に伝搬する光子のストリームが得られる。
原子の数がさらに増えて初めて、光子対が支配的な光源がもたらされる上記とは逆の効果が得られる。
当然のことながら、個々の原子の代わりに他の量子エミッタを使用することもできる。
したがって、本発明によれば、エネルギーEを有する単一光子を生成するための装置において、装置が、エネルギー準位N*からそれより低いエネルギー準位N1へのエネルギーEでの少なくとも1つの特定の遷移を有する複数の量子エミッタを備えることが企図され、量子エミッタは、第1の領域から第2の領域へ延びる伝搬経路の領域に配置され、装置が、伝搬経路に沿って伝搬する光、殊に光モードを放出するための少なくとも1つの光源をさらに備え、光は、エネルギー準位N*の共鳴励起のためのエネルギーEを有し、量子エミッタは、伝搬経路に沿って光の光学的厚さτ>0を形成する正確にZ個の量子エミッタのみが照射されるように配置され、数Zは、Z0±10%の範囲であり、Z0は、第2の領域において、このZ0個の量子エミッタで散乱される光の2光子成分と光の非散乱2光子成分との間の相殺的干渉が最大になる数である。
「複数の量子エミッタ」とは、「少なくとも2つの量子エミッタ」と解することができる。実際には、数個、例えば3個又は5個の量子エミッタから10個よりも多い量子エミッタまで、様々な数の量子エミッタを有する変形形態が可能である。
エネルギーE又は光が光学的に可視範囲にある必要はないことに言及しておきたい。すなわち、本発明は、原則的に、電磁スペクトルの特定の領域に限定されない。理論的には、光子は、光学的に可視の光よりも格段に低い、例えばテラヘルツ領域若しくはマイクロ波領域のエネルギーを有するか、又は、光学的に可視の光よりも格段に高い、例えばX線領域のエネルギーを有する単一光子ストリームを生成することができる。
基本的に、伝搬経路は、光が第1の領域から第2の領域に伝搬する空間部分である。
上記のことからわかるように、第2の領域では相殺的干渉が不可欠であり、第2の領域は上記の観測位置にある程度相当する。言い換えると、出射する(入射ではない)光、又は出射する(照射ではない)光学モードは、散乱及び非散乱の2光子成分の相殺的干渉にとって決定的に重要である。上記の相殺的干渉によって、この出射光又はこの出射光学モードで事実上完全な単一光子特性を生成することができる。
レーザ源があり、それ以外の光学素子がない特に単純な事例では、伝搬経路は、典型的には、直線の周りの非常に狭い空間的領域であり、この空間的領域は、殊に拡大しないか、又はわずかにしか拡大しない。ここで、本発明による装置に必ずしもレーザ源が設けられている必要はないことに言及しておきたい。さらに、伝搬経路が上記の単純な形態とは異なることをもたらす1つ又は複数の光学素子を設けることができ、伝搬経路は、特に直線をたどる必要がない。
少なくとも1つの光源については、光源が複数の個々の光源、例えば、複数のレーザダイオード、並びに、場合によっては関連する光学素子、特にレンズ及び/又はミラー及び/又はフィルタを含むことができると言える。ここでは、及び以下において、光モードとは、とりわけ光源から送出される光を定義された空間的領域に制限するものと解されるべきである。この意味で、典型的には、レーザは、追加の光学素子がなくても、放出されたレーザ光の断面が基本モード若しくは基礎モード、又はより高いモード、又はマルチモード構造を有するかどうかに関係なく、光モードの源とみなすことができる。
言うまでもなく、励起されたエネルギー準位からそれより低いエネルギー準位へのどの遷移も無限に鋭く定義されたエネルギーによって特徴付けられるのではなく、ハイゼンベルクの不確定性原理によれば、それぞれの励起状態又はエネルギー準位の寿命に反比例する特定の帯域幅を有する。これに対応して、「エネルギー準位N*の共鳴励起のためのエネルギーEを有する光」は、光の完全に鋭いエネルギー値Eを意味するのではなく、光がおおよそエネルギー値Eの帯域幅で存在し、帯域幅がエネルギー準位N*からエネルギー準位N1への遷移の帯域幅と同じか、又はそれよりも小さいオーダでなければならない。
さらに述べておきたいのは、遷移の具体的なエネルギー、したがって遷移に関連するエネルギー準位の共鳴励起のための光のエネルギーは、一般に、量子エミッタの「状態」に依存し得、この状態は、特に量子エミッタの周辺による、及び量子エミッタが動いているか静止しているかによる影響を受けるということである。例えば、原子を量子エミッタとして設けることができ、この原子は、原子が自由であり、静止しているときに特定のエネルギーで遷移する。このエネルギーは、例えば、原子が動く(ドップラー効果)、又は結晶に埋設されている、又は電/磁界にさらされると変化し得る。次に、原子又は量子エミッタの対応するエネルギー準位を共鳴的に励起するためのエネルギーを有する光について言う場合、光のこのエネルギーは、後から実施例の説明の箇所でさらに詳しく説明するように、シフトされる遷移のエネルギーに適合させることができる(又は適合させることができない)。
光で照射される量子エミッタの数Zには、量子エミッタの配置によって影響を及ぼすことができる。
その場合、この配置は、いずれにしても、光学的厚さ(それ自体知られた、光がこの配置をどれだけ良好に通過できるかの無次元の尺度)τ>0が光に与えられ、それにより光の減衰が生じる。典型的には、量子エミッタが伝搬経路に沿って見たとき、少なくとも部分的に相前後して配置されていることにより、このことを確保することができる。しかしながら、基本的に、伝搬経路に沿って見たとき、量子エミッタが専ら相並んで、特に光の伝搬方向に対して専ら法線方向に配置され、同様に、この配置の幾何学的厚さは事実上ゼロであるが、光学的厚さτ>0が光に与えられている事例も可能である。
Z個又はZ0個の量子エミッタでの散乱は、明らかに、これらの量子エミッタの各々でのそれぞれの散乱のすべての確率振幅の量子力学的合計とすることができる。
数Z0は、量子エミッタと光との間の結合強度に依存し、比較的、すなわち、特に従来技術から知られている解決策と比較して、わずかな結合強度しか必要としないだけでなく、原則的に、結合強度の下限も必要とされない。量子エミッタの配置により、結合強度に、そしてZ0にも、量子エミッタを(より強い結合のために)伝搬経路に近づけるか、又は(より弱い結合のために)伝搬経路から遠ざけることによって簡単に影響を及ぼすことができる。
すなわち、Z個又はZ0個の量子エミッタの上記の配置は、量子エミッタと光との間の特定の結合強度に対して有効であるか、又はこれを考慮して選択することができ、結合強度は、特定の具体的な配置自体に決定的に依存する。
おおよそZ0のZの上記の範囲は、多くの用途に、単一光子特性の十分な純度を保証する。後者は、例えば、それ自体知られた仕方で、いわゆるハンブリーブラウン・ツイス・セットアップで正規化された2次相関関数g(2)(Δt)を決定することによって求めることができる。M.D.Eisaman et al.,Review of Scientific Instruments 82,071101(2011)を参照。g(2)(Δt=0)は、同じ時間に1つよりも多い光子が光ビームの断面を通過する確率の尺度である。したがって、完全な単一光子源からの光の場合、g(2)(Δt=0)=0である。本発明による装置をもってすれば、g(2)(Δt=0)≦0.01の値を問題なく達成することができる。同時に、入射光の強度を相応に高く選択することにより、高い単一光子レートを簡単に達成することができる。
場合によっては、周辺からの散乱光の入力を回避するために、単一光子ストリームのための収集光学系を設けることができる。
本発明による装置は、上記の課題設定を解決する。
-手間をかけて準備する必要のある個々の量子エミッタ、及び量子エミッタの大きい結合強度が必要とされないため、装置は、その構造に関して、既知の解決策よりもはるかに複雑でない。
-適切な数の量子エミッタを光ビームに結合することによって、あるいはそれらの結合強度を、最も簡単には、光モードにおける量子エミッタの相対位置により、又は例えば偏光若しくは光モード径により変更することによって、光又は光モードへの量子エミッタの結合強度に関係なく、完全な単一光子特性を常に達成することができる。
-同時に、本発明による装置の単一光子レート(1秒あたりの単一光子)は、量子エミッタの光への結合強度又は収集効率によって与えられるのではなく、入射光の出力を増加させることにより、ほぼ任意に増加させることができる。非常に高い強度でのみ限界に達し、その場合、より高い数の光子成分が統計的に役割を果たし始め、3光子成分の透過の確率が著しく上昇する。
具体的には、本発明による装置をもってすれば、0.1*γのレートを容易に実現でき、ここで、γは、励起エネルギー準位N*の減衰レートである。レートがさらに大きくなって初めて、上記の3光子成分の透過の確率が役割を果たし始める。
比較のために、個々の原子を用いて行われる既知の手法では、理論上の限界はγ/2であり、ここで、γはそれぞれ励起されるエネルギー準位の減衰レートである。
ただし、実際には、単一光子の放出は4πsrの立体角全体で行われ、単一光子の完全な収集は困難であるか、あるいは光を光ガラスファイバに結合すべき場合に、例えば多大な損失といった他の欠点を伴うため、技術的に妥当な設定でこの限界に近づくことは困難である。
-本発明による装置は、さらに、低い結合強度に対して比較的大きい、典型的には>10の量子エミッタ数が必要とされるので、本質的に非常に堅牢に設計することができる。それによって、量子エミッタの正確な数Zの変動に対する感度を、理論的には任意に小さく抑えることができる。典型的な例では、量子エミッタの数の変動が平均値に関してポアソン分布に従う場合、平均値の周辺で増減する量子エミッタ数の相対的変動がZ0.5/Zに従って、Zが増加するにつれて減少する。
-さらに、本発明による装置は、最適なスペクトル特性も有する。本発明による単一光子源の波長は、量子エミッタの共鳴波長によって予め定められる。そのために、よく知られた遷移を用いる様々な量子エミッタ、又は異なった遷移を用いる量子エミッタを使用する場合、異なった、完全に再現可能な波長を有する単一光子源を作成することができる。さらに、原則的に、例えば磁場によって、それ自体知られた仕方で遷移の正確なエネルギーに影響を及ぼす、及び調整することも可能である。同時に、単一光子は、量子力学的に区別することもできないが、このことは多くのプロトコルにとって重要である。
すでに述べたように、光源がレーザ源である必要はない。その代わりに、光の十分に狭い帯域幅を確保するために、従来の光源、例えば、発光ダイオード又はガス放電ランプ、それに加えて下流に接続された狭帯域フィルタを光源として使用することもできる。送出された光ビームの通常は本質的に鋭い束状化と、使用するために必要とされる光ビームの狭い周波数帯域幅にもとづいて、本発明による装置の好ましい実施形態では、光源がレーザ源であり、殊に少なくとも1つのレーザダイオードを含むことが企図されている。この場合、「レーザ源」は、光源が、当然のことながら複数の個別レーザ光源を含むこともできることと解することができる。この場合、レーザダイオードは特に安価であり、様々なエネルギーに利用可能である。
すでに述べたように、本発明による装置を実現する場合、量子エミッタとして原子に限定されず、適切なエネルギースキームを有する様々な量子エミッタを使用することができる。本発明による装置の好ましい一実施形態では、量子エミッタは、原子及び/又はイオン及び/又は分子及び/又は量子ドット及び/又は結晶構造の欠陥を含むことが企図されている。実際には、この選択によって、光子の所望のエネルギーを簡単に選択することができる。その一方で、結合強度に、それぞれの量子エミッタの原子/イオン/分子/量子ドット/結晶欠陥の種類の適切な選択によって的確に影響を及ぼすこともできる。さらには、これらの量子エミッタのうちの少なくともいくつかの種類を日常的に利用可能にすることができ、これは実用的な使用に有利に働く。結晶構造は、2次元又は3次元の結晶構造であり得る。結晶構造における適切な結晶欠陥は、例えば、それぞれが外来原子と空孔からなる複合体によってなる色中心、例えば、ダイヤモンドの窒素空孔中心(いわゆる「nitrogen-vacancy centre」、NV中心とも呼ばれる)、又はダイヤモンドのケイ素空孔中心(いわゆる「silicon-vacancy centre」、SiV中心とも呼ばれる)。
本発明による装置の好ましい一実施形態では、伝搬経路を定義するために少なくとも1つの光学素子が設けられることが企図されている。伝搬経路を定義又は形成するための少なくとも1つの光学素子は、それ自体知られた少なくとも1つの素子、例えば、光が特定の空間領域に集束される少なくとも1つのレンズ、及び/又は少なくとも1つの光ファイバ、若しくは光が導かれる少なくとも1つの光導波路、及び/又は少なくとも1つのミラー、及び/又は入射光の断面が制限される少なくとも1つの絞りである。その場合、使用される光源の種類、すなわち、レーザ光源か他の光源かに関係なく、少なくとも1つの光学素子を設けることができる。その場合、殊に、少なくとも1つの光学素子は、使用される光源に合わせて調整されている。
本発明による装置の好ましい一実施形態では、導波路コアを含む光導波路が光を導くために設けられていることと、Z個の量子エミッタが近接場に配置され、近接場が導波路コア内及び導波路コアの外側の光の電磁場からなることと、が企図される。
光導波路は、それ自体知られている。導波路コアは、屈折率n1を有する第1の光学媒体であり、屈折率n2を有する少なくとも1つの第2の光学媒体によって取り囲まれるか、又は導波路コアは、光学境界面で導波路コアのためのクラッドを形成する少なくとも1つの第2の光学媒体に隣接する。光はn1>n2である。後者は、光の全反射、したがって導波路コア内の光の輸送を保証する。
その場合、導波路で導かれる光は、空間的に導波路コアに限定されるのではなく、少なくとも1つの第2の光学媒体内に(エバネッセント波として)入射する。すなわち、近接場は導波路コアの外側にも存在する。すなわち、量子エミッタを導波路コアの外側に、特に光学境界面を形成する導波路コアの表面から特定の法線距離をおいて配置することもでき、法線距離は表面に向けて法線方向に測定される。例えば、このような法線距離は、最大5*λ又は最大20*λの範囲であり、ここで、λはエネルギーEの光の真空波長である。
光導波路又は導波路コアのために広く使用されている材料は、例えばSi、GaAs、ガラス、又は石英ガラス若しくはSiOである。
導波路は伝搬経路を定義し、量子エミッタを導波路コアの内側及び/又は外側に配置することができる。
光導波路の使用は小型化を促進し、それにより装置を集積光回路、特にチップに集積することが可能である。
前述のように、光導波路はそれ自体知られている。特に簡単かつ安価に実現できるようにするために、本発明による装置の特に好ましい一実施形態では、導波路が光ファイバとして形成されることが企図されている。
すでに述べたように、導波路の使用は、小型化及び光チップへの集積のために理想的であり、導波路コアは、基板に光導体路として設計されている。
したがって、本発明による装置の特に好ましい一実施形態では、導波路コアが基板上に配置され、導波路コアは、少なくとも部分的に基板に沈められていることが好ましい。したがって、量子エミッタも基板に沈めることができる。基板として、例えば、フォトニックSiチップ又はSiO基板が考えられる。光導体路は、例えば、一般的なリソグラフィ法及び広く使用されている材料、例えば、ガラス、石英ガラス、Si、GaAsなどを使用して製造することができる。
本発明による装置の好ましい一実施形態では、光を導くために、中空コアを有するフォトニック結晶ファイバが設けられ、量子エミッタは、殊に中空コアに配置されている。
光を導くためのフォトニック結晶ファイバ(いわゆる「photonic-crystal fibres」)は、それ自体が知られており、フォトニックバンドギャップを有するフォトニック結晶を形成するフォトニック結晶構造(いわゆる「cladding」)により取り囲まれたコアを有する。したがって、エネルギーがフォトニックバンドギャップにある光子は、上述のフォトニック結晶構造には発生し得ない。したがって、基本的に本発明で使用することができるフォトニック結晶ファイバの実質的に2つの変形形態がもたらされ、それぞれのフォトニック結晶ファイバが伝搬経路を定義する。
一方で、これらのファイバは中実のコアを持つことができる。この場合、これは実質的に上記のような導波路である。そのようなフォトニック結晶ファイバが本発明による装置の実施形態で使用される場合、量子エミッタは、すでに詳述したように、コアで導かれる光の近接場に配置される。すなわち、量子エミッタを必ずしもコア内に配置する必要はなく、コアの外側に配置することもできる。
他方、フォトニック結晶ファイバは、光がコアを取り囲むフォトニック結晶構造のバンドギャップにあるエネルギーを有する場合に光を導くことができる中空コアを有することができる。
中空コアは、光を導くことを可能にするだけでなく、コア、したがって伝搬経路の領域における量子エミッタの簡単に実行可能な、かつ空間的及び量的に適切に定義された配置も可能にする。
特に、量子エミッタをガス状でコアに導入することができ、ガスが量子エミッタからなるか、又は量子エミッタを含むことができる。その場合、中空コアはまた、コアに導入されるガスの量の非常に正確な配分も容易にし、すなわち、この場合、コアに導入される量子エミッタの数を非常に正確に指定又は決定することができる。
完璧を期すために、中空コアを有するそのようなフォトニック結晶ファイバについても、基本的に、量子エミッタが中空コアで導かれる光の近接場に配置されていればよいということを述べておきたい。すなわち、この場合も、量子エミッタを必ず(中空)コア内に配置する必要はなく、(中空)コアの外側に配置することもできる。
本発明による装置の好ましい一実施形態では、結晶が伝搬経路に配置されることと、Z個の量子エミッタが、結晶における結晶欠陥によって、好ましくは外来原子及び/又は空孔によって、特に好ましくはドーピング原子によって形成されることとが企図されている。
その場合、殊に、結晶は、使用される光に対して透明であるか、又は光をほとんど減衰させない。
すでに述べたように、結晶欠陥として考えられるのは、それぞれが外来原子と空所からなる複合体によって形成される色中心、例えばダイヤモンドの窒素空孔中心(いわゆる「nitorogen-vacancy centre」、NV中心とも呼ばれる)又はダイヤモンドのケイ素空孔中心(いわゆる「silicon-vacancy centre、SiV中心とも呼ばれる)である。このような色中心は、それ自体が知られている方法で、例えばイオン注入によって生成することができる。したがって、結果として生じる量子エミッタの配置及び数Zに的確に影響を及ぼすことができる。
外来原子自体も結晶欠陥である。この場合、例えば外来原子の導入が拡散によって行われ、それに対応して結晶内の外来原子の濃度がガウス拡散プロファイルに従う場合に、結晶内の外来原子の分布によって数Zに影響を及ぼすことができる。
すなわち、一般に、任意の結晶欠陥については、Zの数は、さらに、伝搬経路内の結晶のサイズと具体的な配置に依存する。さらに、Z個の量子エミッタを有する結晶の領域のみが照射されるように結晶において伝搬経路を定義するために、少なくとも1つの光学素子を設けることができる。特に、これにはレンズ及び/又は絞りが考えられる。
この場合、照射された量子エミッタが所望の又は特定の結合強度を有するように領域を選択することができる。
この実施形態は、特別な堅牢性を特徴とする。
特に、量子エミッタが結晶に埋設されていることから、自由に移動できず、それにより静止する結晶にドップラーシフト、すなわち遷移の帯域幅から逸脱させ得るドップラー効果によるエネルギーシフトが発生しないため、エネルギー準位N*の励起に問題はない。したがって、特に、エネルギーE(及び対応する帯域幅、上記を参照)の光によるエネルギー準位N*の共鳴励起が問題なく可能である。この点について、固体における他の効果が基本的にエネルギーシフトにつながる可能性があるが、これらの効果の多くは、典型的には、それぞれの固体のそれ自体知られた冷却によって十分に低減できるということをさらに述べておきたい。
しかしながら、冷却によって十分に低減することができない効果によるエネルギーシフトがある場合でも、又はその他の理由で冷却が不可能若しくは制限される場合でも、本発明による装置の機能を以下のように保証することができる。このために、エネルギー準位N1からそれより低いエネルギー準位N0へのエネルギーE’でさらに遷移する量子エミッタでは、上述のエネルギーシフトが十分に小さい(又は特定の範囲にある)量子エミッタを選択するために2段階スキームを適用することができる。上記の2段階スキームは、量子エミッタがガス状である実施変形形態との関連で後からさらに詳しく説明される。これは、エネルギーE’又はほぼE’のさらなる光で量子エミッタの一部分がエネルギー準位N1に励起され、エミッタのこの部分がN0からN1への遷移、及びN1からN*への遷移のごくわずかなスペクトル分布を有することにもとづいている。結果として生じる、エミッタの選択された部分のN1からN*への遷移のスペクトル分布は、特に、固体に存在するすべてのエミッタのN1からN*への遷移のスペクトル分布よりも小さくなる。次いで、これらの量子エミッタの場合、選択された量子エミッタのN1からN*への遷移のエネルギーであるエネルギーEの光で、エネルギー準位N*がエネルギー準位N1を出発点として的確に励起され、最終的に、上記の光子数に依存する散乱を利用してエネルギーEの単一光子ストリームが生成される。
完璧を期すために、これに関連して、典型的には役割を果たす光エネルギーが低い(典型的にはUV-Cから近IR-B領域まで、特にそれに対応して100nm~2000nmの真空波長領域)ために、反跳エネルギーは問題がなく、遷移の帯域幅から外れることはないということを述べておきたい。これは当然、本発明による装置を、さらに低いエネルギーの単一光子を生成するために、例えば、(長波)テラヘルツ領域又はマイクロ波領域の単一光子を生成するために使用する場合にますます当てはまる。これらの反跳エネルギーは、光子が放出又は吸収される場合に光子の衝撃にもとづいて生じる反跳の結果として生じる。
例えば、外来原子及び/又は空孔が組み込まれたダイヤモンド結晶を用いた上記の実施例の実現が考えられよう。
実際には、半導体は、それらが高純度で容易に入手可能であるため、上記の実施例で使用するのに特に良く適している。次いで、外来原子として、特に、それ自体が知られた技術でコントロールして結晶に導入することができるドーピング原子が考えられる。したがって、本発明による装置の特に好ましい一実施形態では、結晶の材料がケイ素を含むことと、ドーピング原子がホウ素原子又はリン原子を含むこととが企図されている。すなわち、pドーピング(3価のホウ素)とnドーピング(5価のリン)を企図することができる。
すでに述べたように、多数の量子エミッタによって弱い結合がある程度補償されることにより、量子エミッタと光との間の結合が弱い場合でも本発明による装置は機能する。したがって、量子エミッタは、必ずしもいわば固体凝集状態にある必要はなく、理論的には、液状で、若しくは液体中に、又はガス状で、若しくはガス中に存在することもできる。その場合、量子エミッタは、例えば透明な液体/透明なガス中に存在することができ、あるいはそれ自体で液体/ガスを実質的に形成することができる。
したがって、本発明による装置の好ましい一実施形態では、量子エミッタが伝搬経路の領域にガス状で存在することが企図されている。ガスを、例えば透明な容器、又は光のための透明な入口及び単一光子ストリームのための透明な出口を有する容器に入れることができる。しかしながら、光源、及び場合によっては単一光子ストリームのための検出器又は導体がガス中に配置されていることも考えられよう。さらに、伝搬経路の領域を流れるガスに光を透過させることも考えられよう。すでに上述したように、ガスをフォトニック結晶ファイバの中空コア内に配置することもでき、フォトニック結晶ファイバ、又はフォトニック結晶ファイバの中空コアでの光の入力及び出力がそれ自体知られた仕方で行われる。さらに、ガスは、導波路、特に光ファイバ、又は基板に沈められた導波路に配置することができ、それにより、量子エミッタを少なくとも近接場に配置することができる。
伝搬経路の、特に少なくとも1つの光学素子によって定義できる特定の領域にある量子エミッタの数Zは、ガス中での量子エミッタの熱移動により特定の統計的変動を被る。しかしながら、すでに上記したように、相応に大きく選択される数Zによって相対変動を十分に小さく抑えることができる。
量子エミッタは、熱移動にもとづいて、少なくともほぼマクスウェル・ボルツマン分布によって説明できる速度分布を有する。この分布によれば、温度に応じて、量子エミッタが部分的に有し得る速度は、非常に高速であるため、それぞれの速度に伴うドップラーシフト(くずれた表現では、量子エミッタは、それが移動しているために、エネルギーEを有する光ではなく、エネルギーが(ドップラー)シフトされる光を「見る」)がN*からN1へのエネルギー準位の遷移の帯域幅よりも大きい。このような量子エミッタの場合、基本的に、エネルギーE(及び対応する帯域幅、上記参照)の光で共鳴励起を行うことはできない。
例示的に説明するために、ガス状のセシウム原子と、約1.45eVのエネルギー、又は約852nmの真空波長、又は約352THzの周波数でのCs-D遷移を量子エミッタとみなすことにする。遷移に関連する約30.5nsの寿命は、約2*10-8eVの遷移の帯域幅を生ぜしめ、これは約5MHzの周波数に相当する。マクスウェル・ボルツマン分布の最大値(速度分布の導出及びゼロ設定により得られる)は、ガス粒子の最も可能性の高い速度としてv=(2*k*T/m)0.5を提供し、ここで、kはボルツマン定数を示し、Tは温度を示し、mはガス粒子の質量を示す。したがって、132.9u(原子質量単位)の質量を有するCs原子については、T=300Kでv≒193.7m/sとなる。結果として生じるドップラーシフトは、約227MHz又は9.4*10-7eVであり、したがって遷移の帯域幅よりも格段に大きい。したがって、このドップラーシフトでは遷移の共鳴励起は不可能である。
しかしその一方で、マクスウェル・ボルツマン分布は、ドップラーシフトがN*からN1へのエネルギー準位の遷移の帯域幅よりも小さい、十分に低速の量子エミッタが存在することも保証する。すなわち、これらの量子エミッタについては、ドップラーシフトが非常に小さいため、共鳴励起が可能である。通常、全量子エミッタに対するこれらの量子エミッタの比率は、一桁のパーセント範囲である。
したがって、十分な数の量子エミッタが全部照射されることを確保することにより、統計的に、照射される量子エミッタの数Zが十分に低速のものであることも確保することができる。このために、伝搬経路を適切に定義できるだけでなく、例えば、十分に低速の量子エミッタの数を調整するのに適した温度を選択することもできる。さらに、ガスが実質的に量子エミッタのみからなる場合に、例えば量子エミッタの総数を、特にガス圧の変更/増加によって変更/増加することができ、それにより十分に低速の量子エミッタの数も変更/増加することができる。
本発明による装置の特に好ましい一実施形態では、量子エミッタが、エネルギー準位N1からそれより低いエネルギー準位N0へのエネルギーE’でのさらなる遷移を有することと、さらなる光、殊にさらなる光モードを放出するために少なくとも1つの光源が設けられ、さらなる光がエネルギーE’を有し、それにより量子エミッタにおいてエネルギー準位N1が共鳴励起され、次いで、これらの量子エミッタのうちのZ個においてエネルギーEの光でエネルギー準位N*が励起されることと、が企図されている。すなわち、さらなる光は、ある意味で、エネルギー準位N1の共鳴励起によって、先ず、十分に低速の量子エミッタ、すなわち、ドップラーシフトが十分に小さい、すなわち誇張した表現では、「実質的に静止している」量子エミッタをガスから選択するために用いられる。次いで、これらの量子エミッタは、基本的に、準位N*がN1から共鳴励起される次の共鳴散乱プロセスのために利用でき、ここで、これらの量子エミッタのうちのZ個がエネルギーEの光で照射される。
殊に、その場合、さらなる光は、狭帯域、すなわちさらなる遷移の帯域幅よりも格段に小さい帯域幅で選択される。
言い換えれば、エネルギーE’のさらなる光による照射によって量子エミッタの配置が決まり、この配置から、さらにZ個の量子エミッタがエネルギーEの光で照射される。すなわち量子エミッタが十分に低速であり、それによりエネルギーE’のさらなる光により、エネルギー準位N1を、エネルギー準位N0を出発点として、共鳴励起することができる場合、これらの量子エミッタも十分に低速であり、それにより次にエネルギー準位N*を、この場合、エネルギー準位N1を出発点として、エネルギーEの光によって共鳴励起することができる。
エネルギーEの光及びE’の光は、殊にいわゆる「ドップラーフリー」構成で選択され得るということを述べておきたい。この構成では、光ビームは逆平行又は少なくともほぼ平行な方向に伝搬する。光ビームが同じ平行又は少なくともほぼ平行な方向に伝搬する構成も可能である。
さらに、遷移及びエネルギーE又はE’の光の選択は、殊に、エネルギーE及びE’の光の波長が互いに著しく、特に好ましくは少なくとも10%異なるようにされる。実際には、これにより、例えば光学フィルタによって、生成された単一光子ストリームをエネルギーE’の「選択光」から分離することが容易になる。
数Zには、さらに、上述したように影響を及ぼすことができる(特に少なくとも1つの光学素子による伝搬経路の定義、量子エミッタの総数、特にガス圧、温度)。全体として、本発明による装置の機能の特に良好なコントロールが、上述の共鳴散乱プロセスにもとづいて行われる。
さらなる光を放出するための少なくとも1つの光源は、光を放出するための少なくとも1つの光源に組み込まれているか、又はこの光源によって形成される。
上述した実施変形形態は、例えば、アルカリ原子からの蒸気によって実現することができ、そのためのエネルギー準位の適切な選択は、選択規則によって確保することができる。したがって、本発明による装置の特に好ましい実施例では、量子エミッタは、リチウム原子及び/又はナトリウム原子及び/又はカリウム原子及び/又はルビジウム原子及び/又はセシウム原子を含むことが企図されている。
例えば、次の準位(エネルギー昇順で)N0、N1、N*を選択することができる(励起時の遷移:N0からN1、及びN1からN*):
N*=(x-1)D
N1=xP
N0=xS
ここで、Liの場合はx=2、Naの場合はx=3、Kの場合はx=4、Rbの場合はx=5、及びCsの場合はx=6である。
本発明により単一光子を生成するために、特定の速度クラスに属する量子エミッタを的確に使用することも可能であるということを述べておきたい。すなわち、この場合、特定のドップラーシフトによって初めてエネルギー準位N*を共鳴励起することができるエネルギーを有する光が(例えば光源として連続調整可能なレーザを使用して)意図的に選択される。したがって、速度が適切な範囲である量子エミッタの場合にのみエネルギー準位N*を共鳴励起することができるか、又はこれらの量子エミッタのみが共鳴散乱に寄与する。これらの量子エミッタは、殊に、先ずさらなる光で選択され、さらなる光のエネルギーは、(例えばさらなる光源として連続調整可能なレーザを使用して)、特定のドップラーシフトによって初めて準位N1が共振励起され得るように意図的に選択される。これについて、このように選択された量子エミッタでは、ドップラー効果にもとづいてN1からN*への遷移のスペクトルの広がりがごく狭いということをさらに述べておきたい。これらの選択された量子エミッタの場合、エネルギー準位N*は、特定のドップラーシフトを有する光で、N1を出発点として的確に励起され得る。したがって、このように設計された装置により、エネルギーが特定のドップラーシフトを有する単一光子が生成される。
最後にもう一度(上記参照)述べておきたいのは、量子エミッタが結晶の結晶欠陥によって形成され、そこで場合によって生じる遷移エネルギーのシフトを考慮に入れることができる実施形態にも上述の2段階スキームを適用できるということである。
次に、本発明を実施例をもとにして詳しく説明する。図面は例示であり、本発明の思想を表すが、本発明の思想を限定するもの、又は完結的に表すものでは決してない。
図1は、本発明による装置の基本的な機能方式の模式図である。 図2は、量子エミッタが配置された、光ファイバを有する本発明による装置の一実施形態の模式図である。 図3は、量子エミッタが結晶における外来原子である、本発明による装置の別の実施形態の模式図である。 図4は、量子エミッタがガス状で存在する、本発明による装置の別の実施形態の模式図である。 図5は、量子エミッタがファイバの外側に配置されている、光ファイバを有する本発明による装置の別の実施形態の模式図である。
図1は、特定のエネルギーEの単一光子又は単一光子ストリーム2を生成するための単一光子源又は装置1の本発明の基本原理の模式図を示す。装置1は、個々の量子エミッタ3によるエネルギーEの光6の光子数に依存する散乱の原理を利用し、量子エミッタ3は、例えば原子、イオン、分子、量子ドット、又は結晶構造中の欠陥によって実現され得る。光6又はレーザ源5からのレーザビームなどの適切に定義された光学モードを有する光場に結合された量子エミッタ3は、量子エミッタ3に到達するのが1つの光子であるのか、2つの光子であるのかに応じて、より厳密には光6の1光子成分であるのか2光子成分14であるのかに応じて光6と異なった相互作用をする。ここでは、光モードは、第1領域19から第2領域20へ延びる特定の伝搬経路4に沿って(図1に、2つの黒色の実線で示される)光6が伝搬することと解されるべきである。伝搬経路4の領域に量子エミッタ3が配置されている。場合によっては、伝搬経路4をより正確に定義するために、1つ又は複数の光学素子を設けることができる。
光6の上記の成分は、それぞれの量子エミッタ3で散乱することができるか、又は散乱することができない。それにより、選択された観測方向の場合、又は選択された観測位置では、出射する光6の非散乱2光子成分と散乱する2光子成分との間に干渉が生じる(図1には、明確性及び図示上の理由から、入射光6の2光子成分14のみが示され、散乱及び非散乱2光子成分は示されない)。装置1では、観測方向は伝搬経路4によって予め定められるか、又は観測位置は第2の領域20に相当する。
光子数に依存した光6の位相シフトが生じ、このこともまた、観測位置で、又は第2の領域20において、散乱する2光子成分と非散乱2光子成分との相殺的干渉をもたらし得る。適切な数Z0の量子エミッタ3が光場モードに結合される場合、完全な相殺的干渉のポイントに到達でき、このポイントでは一緒に伝搬する2つの光子の損失が100%である。注目すべきは、個々の光子がこの動作点でまだ有限の透過率を示すということである。これによって、量子エミッタ3のアンサンブルを透過した光6は、統計的には極めて高い強度でしか役割を果たさない高次の光子成分(3光子成分、4光子成分など)を除いて、完全な単一光子特性を有し、単一光子ストリーム2が得られる。すなわち、2つの光子が同時にアンサンブルを通過することはない。
図1において、伝搬経路4から離れる方向を指す波状の矢印によって散乱する2光子成分と非散乱2光子成分との相殺的干渉によって引き起こされる損失と単一光子成分の弱化とを含む全損失13が示される。
光6の2光子成分14の上記の散乱は共鳴散乱であり、すなわち量子エミッタ3は、エネルギー準位N*からそれより低いエネルギー準位N1へのエネルギーEでの遷移を有し、エネルギー準位N*がエネルギーEの光6又はその2光子成分14によって励起される。
念のために、この箇所でも、エネルギーEが無限に厳密な値ではなく、上記の遷移の帯域幅、又はエネルギー準位N*の寿命により与えられる特定の帯域幅を有する値と解されるべきであることに言及しておきたい。したがって、「(エネルギー準位N*の共鳴励起のための)エネルギーEの光6」は、光6の完全に厳密なエネルギー値Eを意味するのではなく、光6がおおよそエネルギー値Eの帯域幅を有し、この帯域幅は、エネルギー準位N*からエネルギー準位N1への遷移の帯域幅と同じか、又はそれよりも小さいオーダでなければならない。
本発明によれば、量子エミッタ3の配置は、伝搬経路4に沿って光6の光学的厚さτ>0を形成する正確にZ個の量子エミッタ3のみが照射されるようになっていて、数Zは、Z0±10%の範囲であり、この場合、Z0は、これらのZ0個の量子エミッタ3で散乱する光6の2光子成分と光6の非散乱2光子成分との間の相殺的干渉が最大であるときの数である。おおよそZ0であるZの上記の範囲は、実際に、多くの用途に、単一光子ストリーム2の単一光子特性の十分な純度を保証する。
図2の実施例では、導波路は、それ自体知られた仕方でレーザ源5の光6が入力され、伝搬経路4(図2に破線で示される)を定義する光ファイバ7の形態で設けられている。伝搬経路4が直線である必要はなく、光ファイバ7の具体的な形状に対応して、事実上任意に湾曲させることができるということも述べておきたい。光ファイバ7は、光6を導くためにファイバコア8又は導波路コアを備える。
導波路コアを有する光導波路は、それ自体知られている。導波路コア又はファイバコア8は、屈折率n1の第1の光学媒体であり、屈折率n2の少なくとも1つの第2の光学媒体によって取り囲まれるか(図2には明確性の理由から図示されない)、又は導波路コアは、導波路コアのクラッドをなす少なくとも1つの第2の光学媒体に光学的境界面で隣接する。光学的境界面は、図示された実施例ではファイバコア8の表面10によって形成される。光6はn1>n2である。後者は、光6の全反射、したがって導波路コア又はファイバコア8での光6の伝送を保証する。
典型的には、光ファイバ7の実際の利用、特にデータ伝送に利用する場合、約100nm~約2000nm、特に約850nm~1550nmである光6の真空波長λに相当するエネルギーを有する光6が使用される。
Z個の量子エミッタ3は、近接場に配置され、近接場は、導波路コア又はファイバコア8内及びファイバコア8の外側の光6の電磁場からなる。すなわち、Z個の量子エミッタ3は、図2の実施例でのように必ずしもファイバコア8内に配置される必要がなく、近接場に十分な強度で結合できるようにするために、ファイバコア8に十分近いところにこれらの量子エミッタが配置されさる限り、ファイバコア8の外側に配置することもできる。導波路コアの外側のこの種の配置は、図2に点線で示唆された、ファイバコア8の外側の量子エミッタ3によって示され、この量子エミッタ3は、ファイバコア8の表面10から特定の法線距離9を有し、法線距離9は、表面10に対して法線方向に測定されている。近接場への量子エミッタ3の十分な結合を保証するために、法線距離9は、例えば5*λまで、又は20*λまでの範囲であり得、ここでλは、エネルギーEの光6の真空波長である。その場合、光場は、この法線距離9の外側で正確にゼロに低下する必要はない。
光ファイバ7で導かれた光6は、ファイバコア8に配置されていて、特に外来原子又は量子ドットであり得るZ個の量子エミッタ3のアンサンブルによって伝搬する。その場合、量子エミッタ3は、伝搬経路4に沿って見て相前後して配置され、ゼロよりも大きい光学的厚さτを形成し、それにより光6の透過が根本的に弱化される。その場合、量子エミッタ3での光6の2光子成分14の上記の共鳴散乱、及び散乱する2光子成分と非散乱2光子成分との間の相殺的干渉が生じる。これに対応して、入射光6の強度よりも当然はるかに弱化されているが、まだ有限強度を有する、又は単一光子の1秒あたりの速度が比較的高い単一光子ストリーム2が光ファイバ7から出る(図2に入射光6及び単一光子ストリーム2について異なる大きさの矢印で示唆されている)。
図5は、光ファイバ7を用いる別の実施例を示し、この場合、量子エミッタ3は、ファイバコア8内にではなく、ファイバコア8の外側に配置されている。具体的には、ファイバコア8は、断面が狭窄された、又は横方向の寸法が最小の領域を有し、この領域に沿って量子エミッタ3が配置されている。この配置は、それ自体知られた仕方で、例えば光トラップを用いて行われる。例えばR.Mitsch et al.,Physical Review A89,063829(2014)を参照。例えば、量子エミッタ3は、Cs原子であり得、エネルギー準位N*とN1との間の遷移は真空波長λ≒852nmのCs-D線によって与えられる。
したがって、図5の実施例でも、量子エミッタ3への光6の2光子成分14の上記の共鳴散乱、及び第2の領域20において散乱する2光子成分と非散乱2光子成分との間の相殺的干渉が生じ、それにより光ファイバ7から単一光子ストリーム2が出る。
図3は、本発明による装置1の別の実施形態の模式図を示し、量子エミッタ3は、結晶11における外来原子12の形態の結晶欠陥によって実現されている。例えば、結晶11は、半導体結晶、特にケイ素結晶であり得、外来原子12として、例えばホウ素原子又はリン原子などのドーピング原子が企図されている。その場合、結晶11は、使用される光6に対して透明であるか、又は光6をほとんど弱化しない。
この実施例でも、伝搬経路4(図3に曲線の実線で示唆される)を定義するために1つ又は複数の光学素子(図示せず)を設けることができる。
例えば、結晶11の限定された空間領域に光6を収束させるための少なくとも1つのレンズ(図示せず)を設けることができ、それにより図3に示される伝搬経路4が得られる。この伝搬経路4の領域にZ個の量子エミッタ3が配置され、これらの量子エミッタが光6で照射される。この場合も、上記の量子エミッタ3への光6の2光子成分14の共鳴散乱、及び第2の領域20において散乱する2光子成分と非散乱2光子成分との間に相殺的干渉が生じる。これに対応して、入射光6の出力よりも当然格段に弱められたが、まだ有限出力を有する、又は単一光子の1秒あたりの速度が比較的高い単一光子ストリーム2が結晶11から出る(図3に入射光6と単一光子ストリーム2について異なる大きさの矢印で示される)。
図4は、本発明による装置1の別の実施形態の模式図を示し、量子エミッタ3がガス状で存在する。その場合、特に量子エミッタ3を原子によって形成することができ、例えば量子エミッタ3からのガスは、気化したアルカリ原子であり得る。基本的には、量子エミッタ3からのガスは、別の、特に透明な、又はほとんど吸収しないガスの一部であり得る。図示された実施例では、原子量子エミッタ3のみからなるガス15が示されている。
図示された実施例では、ガス15は、光6に対して透明な容器16内に配置され、それにより光6は、実質的に妨げられることなく容器16の壁を通り抜けることができる。すなわち、容器を通り抜ける場合の光6の弱化は実質的にガス15のみにより引き起こされる。
この実施例でも、伝搬経路4(図4に曲線の実践で示唆される)を定義するために1つ又は複数の光学素子(図示せず)を設けることができる。
例えば、容器16内の限定された空間領域に光6を収束させるための少なくとも1つのレンズ(図示せず)を設けることができ、それにより図4に示された伝搬経路4が得られる。この伝搬経路4の領域にZ個の量子エミッタ3が配置され、これらの量子エミッタが光6で照射される。
容器16の代わりに、例えば中空コアを有するフォトニック結晶ファイバを設けることもでき、量子エミッタ3のガス15は中空コア内に入っている。その場合、フォトニック結晶ファイバ又はその中空コアの形状は、同時に伝搬経路4を設定する。
いずれにしても、Z個の量子エミッタ3のガス15中の配置は静的でなく、量子エミッタ3が動くため、瞬時の配置である。その場合、量子エミッタ3の速度分布は、少なくとも近似的にマクスウェル・ボルツマン分布によって説明することができる。ドップラー効果にもとづいて、エネルギー準位N*とN1との間の遷移のエネルギーEは、それぞれの量子エミッタ3の速度に依存してシフトされる(いわゆる「ドップラーシフト」)。温度に応じて、速度分布にしたがって、原子の数が多くなるか少なくなり、その速度は非常に高速であり、結果として生じるドップラーシフトが遷移の帯域幅よりも大きくなり、それによりこれらの原子については、エネルギーEの光6によるエネルギー準位N*の共鳴励起が可能でない。
例示的に説明するために、ガス状のセシウム原子と、約1.45eVのエネルギー、又は約852nmの真空波長、又は約352THzの周波数でのCs-D遷移を量子エミッタとみなすことにする。遷移に関連する約30.5nsの寿命は、約2*10-8eVの遷移の帯域幅を生ぜしめ、これは約5MHzの周波数に相当する。マクスウェル・ボルツマン分布の最大値は、温度がT=300Kの場合に最も可能性の高いCs原子の速度vとしてv≒193.7m/sをもたらす。結果として生じるドップラーシフトは、約227MHz又は9.4*10-7eVであり、したがって、遷移の帯域幅よりも格段に大きい。
しかし、マクスウェル・ボルツマン分布によれば、遷移の帯域幅からドップラーシフトが導出されないほどゆっくりとした原子のフラクションもある。これらの原子についてはエネルギーEの光6による共鳴励起が引き続き可能である。図4の実施例では、伝搬経路4の適切な選択によって、ガス15の統計的に正確にZ個の量子エミッタ3が照射されることが確保され、ここでZ個の量子エミッタ3は、エネルギー準位N*の共鳴励起のために十分な低速度である。
フォトニック結晶ファイバを用いる上述の変形形態では、伝搬経路4は中空コアの形状によって予め定められるが、後者は、非常に正確に定義された体積であるということに言及しておきたい。それに対応して、中空コア内に配置された量子エミッタ3の数を非常に正確に調整することができ、それによっても同様に、ガス15の統計的に正確にZ個の量子エミッタ3が照射されることを確保することができ、このZ個の量子エミッタ3は、エネルギー準位N*の共鳴励起のために十分な低速度である。
図4の実施例の装置1を用いて、上述の共鳴散乱プロセスを利用して本発明による装置1の機能を良好にコントロールできるようにするための2段階の方法が実現され、すなわち、先ず、ガス15の全量子エミッタ3から、光6との共鳴散乱のために問題になるのに十分な遅さの量子エミッタが予め選定され、これらによってもまたZ個の量子エミッタ3が光6で照射される。このために、量子エミッタ3は、エネルギー準位N1からそれより低いエネルギー準位N0へのエネルギーE’でのさらなる遷移を有し、さらなる光18、殊にさらなる光モードを出力するためのさらなるレーザ源17が設けられ、さらなる光18はエネルギーE’を有する。図示された実施例では、さらなる光18は、光6と同じ若しくは平行の方向で、又は略同じ若しくは平行の方向で量子エミッタ3に入射するが、例えば互いに逆の配置も考えられる。その場合、次のように設計される。量子エミッタ3が十分に低速であり、エネルギーE’のさらなる光18によってエネルギー準位N1が、エネルギーN0を出発点として、共鳴励起され得る場合、これらの量子エミッタ3も十分に低速であり、その結果として、エネルギー準位N*を、この場合はエネルギー準位N1を出発点として、エネルギーEの光6によって共鳴励起させることができる。次いで、このZ個の量子エミッタ3の配置のみが、共鳴散乱プロセスのために役割を果たし、その場合、光6の散乱する2光子成分と非散乱2光子成分との間に相殺的干渉が生じる。それに対応して、入射光6の強度と比べて当然格段に弱化されているが、まだ有限強度を有する、又は単一光子の1秒あたりの速度が比較的高い単一光子ストリーム2が容器16から出る(図4には入射光6と単一光子ストリーム2について異なる大きさの矢印で示唆される)。
アルカリ原子、特にナトリウム原子、ルビジウム原子、又はセシウム原子の蒸気は、この実施例を実現するのに適している。セシウム原子については、次の原子エネルギー準位(エネルギー的に昇順で)N0、N1、N*を選択することができる(励起時の遷移:N0からN1、及びN1からN*へ):N*=5D、N1=6P及びN0=6S。
1 装置
2 単一光子ストリーム
3 量子エミッタ、特に原子、イオン、分子、又は量子ドット
4 伝搬経路
5 レーザ源
6 光
7 光ファイバ
8 ファイバコア
9 法線距離
10 ファイバコアの表面
11 結晶
12 外来原子
13 総損失
14 入射光の2光子成分
15 原子ガス
16 ガスの容器
17 さらなるレーザ源
18 さらなる光
19 第1の領域
20 第2の領域

Claims (13)

  1. エネルギーEを有する単一光子(2)を生成するための装置(1)であって、エネルギー準位N*からそれより低いエネルギー準位N1への前記エネルギーEでの少なくとも1つの特定の遷移を有する複数の量子エミッタ(3)を備え、前記量子エミッタ(3)は、第1の領域(19)から第2の領域(20)へ延びる伝搬経路(4)の領域に配置され、前記装置(1)が、前記伝搬経路(4)に沿って伝搬する光(6)、殊に光モードを放出するための少なくとも1つの光源(5)をさらに備え、前記光(6)は、前記エネルギー準位N*の共鳴励起のための前記エネルギーEを有し、前記量子エミッタ(3)は、前記伝搬経路(4)に沿って前記光(6)の光学的厚さτ>0を形成する正確にZ個の量子エミッタ(3)のみが照射されるように配置され、数Zは、Z0±10%の範囲であり、
    Z0は、前記第2の領域(20)において、前記Z0個の量子エミッタ(3)で散乱される前記光(6)の2光子成分と前記光(6)の非散乱2光子成分との間の相殺的干渉が最大になる数である、装置(1)。
  2. 前記光源がレーザ源(5)であり、殊に少なくとも1つのレーザダイオードを備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
  3. 前記量子エミッタ(3)は、原子及び/又はイオン及び/又は分子及び/又は量子ドット及び/又は結晶構造における欠陥を含むことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の装置(1)。
  4. 前記伝搬経路を定義するために少なくとも1つの光学素子が設けられていることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の装置(1)。
  5. 前記光(6)を導くために導波路コア(8)を備える光導波路(7)が設けられていることと、前記Z個の量子エミッタ(3)が近接場に配置され、前記近接場が、前記導波路コア(8)内及び前記導波路コア(8)の外側の前記光(6)の電磁場からなることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の装置(1)。
  6. 前記光導波路が光ファイバ(7)として形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の装置(1)。
  7. 前記導波路コアが基板上に配置され、前記導波路コアが、好ましくは少なくとも部分的に前記基板に沈められていることを特徴とする、請求項5に記載の装置(1)。
  8. 前記光(6)を導くために、中空コアを有するフォトニック結晶ファイバが設けられ、前記量子エミッタ(3)は、殊に前記中空コアに配置されていることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の装置(1)。
  9. 前記伝搬経路(4)に結晶(11)が配置されていることと、前記Z個の量子エミッタ(3)が、前記結晶(11)における結晶欠陥によって、殊に外来原子(12)及び/又は空孔によって、特に好ましくはドーピング原子によって形成されていることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の装置(1)。
  10. 前記結晶(11)の材料がケイ素を含むことと、前記ドーピング原子がホウ素原子又はリン原子を含むことと、を特徴とする、請求項9に記載の装置(1)。
  11. 前記量子エミッタ(3)は、前記伝搬経路(4)の領域においてガス状で存在することを特徴とする、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の装置(1)。
  12. 前記量子エミッタ(3)は、前記エネルギー準位N1からそれより低いエネルギー準位N0へのエネルギーE’でのさらなる遷移を有することと、さらなる光(18)、殊にさらなる光モードを放出するための少なくとも1つの光源(17)が設けられ、前記さらなる光(18)は、量子エミッタ(3)において前記エネルギー準位N1を共鳴励起し、それにより前記エネルギーEの前記光(6)で前記量子エミッタ(3)のうちのZ個において前記エネルギー準位N*を励起するために、前記エネルギーE’を有することを特徴とする、請求項9~請求項11のいずれか1項に記載の装置(1)。
  13. 前記量子エミッタ(3)は、リチウム原子及び/又はナトリウム原子及び/又はカリウム原子及び/又はルビジウム原子及び/又はセシウム原子を含むことを特徴とする、請求項11又は請求項12に記載の装置(1)。
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