JP2005258118A - 面積変調素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 その機能が、新しい原理に基づいて電界によって制御される面積変調素子を提供すること。
【解決手段】 円盤状に近い有機金属錯体分子1のコンフォメーションを、電界の印加によって変化させ、機能を発現する機能性分子素子を用い、紙面に平行方向(図面上下方向)に電界を印加すると、有機金属錯体分子の構造が変化し、その占有面積が変化する。従って、印加する電界の制御によって分子構造を種々に変化させて分子の占有面積を変化させることにより、光学フィルターや光学スクリーンなどの機能デバイスを得ることができる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、電界の作用下で機能を発現する新規な面積変調素子に関するものである。
ナノテクノロジーは、大きさが1億分の1メートル(10-8m=10nm)程度の微細構造を観察・作製・利用する技術である。
1980年代後半に、走査型トンネル顕微鏡と呼ばれる超高精度の顕微鏡が発明され、原子1個、分子1個を見ることができるようになった。走査型トンネル顕微鏡を用いれば、原子や分子を観察できるばかりでなく、1個ずつ操作することができる。
例えば、結晶の表面に原子を並べて文字を書いた例等が報告されている。しかし、原子や分子を操作できると言っても、莫大な個数の原子や分子を1個ずつ操作して、新材料やデバイスを組み立てるのは実際的ではない。
原子や分子やその集団を操作して、ナノメートルサイズの構造体を形成するには、それを可能にする新しい超精密加工技術が必要である。そのようなナノメートル精度の微細加工技術として、大きく分けて2つの方式が知られている。
1つは、従来から様々な半導体デバイスの製造に用いられてきた方法で、例えば大きなシリコンウエハを限界まで小さく精密に削り込んで行き、集積回路を作り込むような、所謂トップダウン型の方法である。他の1つは、極微の単位である原子や分子を部品として、小さな部品を組み上げて目的のナノ構造体を作製する、所謂ボトムアップ型の方法である。
トップダウン方式によって、どの位小さな構造体を作製できるかという限界に関しては、インテル社の共同創設者であるゴードン・ムーアが1965年に提示した有名なムーアの法則がある。これは、「トランジスタの集積度は18ヶ月で2倍になる。」という内容である。1965年以後、半導体業界は、30年以上にわたって、ムーアの法則どおりにトランジスタの集積度を高めてきた。
米半導体工業会(SIA)から発表されている今後15年間の半導体産業のロードマップITRS(International Technology Roadmap for Semiconductor)は、ムーアの法則は引き続き有効であるという見解を示している。
ITRSは、2005年までの短期ロードマップと、2014年までの長期ロードマップからなる。短期ロードマップは、2005年に半導体チップのプロセスルールは100nmに、マイクロプロセッサのゲート長は65nmになるとしている。長期ロードマップは、2014年のゲート長は20〜22nmになるとしている。
半導体チップは、微細化するほど高速化し、同時に電力消費を抑えられる。更に、1枚のウエハから取れる製品数も多くなり、生産コストも下げられる。マイクロプロセッサのメーカーが、新製品のプロセスルールとトランジスタ集積度を競うのもそのためである。
1999年11月、米国の研究グループが微細化技術の画期的な研究成果を明らかにした。それは、米国カリフォルニア大学バークレー校でコンピュータサイエンスを担当するチェンミン・フー教授らのグループによって開発された、FinFETと名づけられたFET(電界効果トランジスタ)上のゲートの設計方法である。この方法は、従来に比べ400倍の個数のトランジスタを半導体チップの上に形成することを可能にする。
ゲートは、FETのチャネルにおける電子の流れを制御する電極で、現在の一般的な設計では半導体の表面に平行に置かれ、チャネルを片側から制御する構造となっている。この構造では、ゲートが一定以上の長さがないと電子の流れを遮断することができないので、そのためのゲート長がトランジスタの微細化を制限する1つの要因になると考えられていた。
これに対し、FinFETは、ゲートをチャネルの両側にまたがるフォーク型にして効果的にチャネルを制御する。FinFETの構造では、従来の構造に比べ、ゲート長とトランジスタをさらに小さくすることが可能となる。
同研究グループが製造したプロトタイプのFETのゲート長は、18nmで、現在の一般的なゲート長の10分の1であり、これは、ITRSの長期ロードマップで示された2014年のサイズに匹敵する。更にこの半分のゲート長も可能だと言われている。フーらは、広く半導体業界で採用されていくことを期待して特許をとらないとしているため、FinFETが製造技術の主流になっていく可能性もある。
しかしながら、「ムーアの法則」も、いずれは自然法則に基づく限界にぶつかるとも指摘されている。
例えば、現在主流になっている半導体技術では、シリコンウエハ上にリソグラフィ技術で回路パターンを焼き付けて、半導体チップを製造する。より微細化するためには、解像度を上げねばならず、解像度を上げるためには、より波長の短い光を利用する技術を実用化しなければならない。
また、集積度の増大によって半導体チップ当たりの発熱量が大きくなりすぎ、高温になった半導体チップが誤動作したり、熱的に破壊されてしまう心配もある。
更に、専門家の予測によると、半導体業界がこのままチップを小さくしつづければ、設備コストやプロセスコストが膨らみ、歩留まりの悪化もあって、2015年あたりで経済的に成り立たなくなるとも考えられている。
上記のようなトップダウン方式の技術的な壁を打開する新たな技術として、個々の分子に電子部品としての機能を持たせようとする研究が注目を集めている。単一分子からなる電子デバイス(分子スイッチなど)であり、ボトムアップ方式で作製する。
金属やセラミックス、半導体についても、ボトムアップ方式でナノメートルサイズの構造体を作る研究が行われている。しかし、もともと1個1個が独立していて、形の違い、機能の違いなど、数100万種類に及ぶ多様性のある分子こそ、それを生かせば、従来とはまったく異なる特徴を持つデバイス(分子デバイス)をボトムアップ方式で設計し、作製することができる。
例えば、導電性分子の幅はわずか0.5nmである。この分子の線材は、現在の集積回路技術で実現されている100nm程度の線幅に比べて、数千倍の高密度の配線を実現できる。また、例えば、1個の分子を記憶素子として使うと、DVDの1万倍以上の記録が可能となる。
分子デバイスは、従来の半導体シリコンとは異なり、化学的工程で合成する。1986年、三菱電機社の肥塚裕至は、ポリチオフェン(高分子)からなる世界初の有機トランジスタを開発した。
さらに、米国ヒューレット・パッカード(HP)社とカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究グループは、有機電子デバイスの製造に成功し、1999年7月にScience誌に発表するとともに、特許も出願した(後記の特許文献1及び2参照。)。彼らは、有機分子であるロタキサン数百万個からなる分子膜を使ってスイッチをつくり、この分子スイッチをつなぎ合わせて、基本的な論理回路であるANDゲートを作製した。
また、米ライス大学とエール大学の共同研究グループは、電界印加下での電子注入によって分子構造が変化してスイッチング動作を行う分子スイッチを作ることに成功し、1999年11月にScience誌に発表した(後記の非特許文献1及び2参照。)。繰り返しオン、オフできる機能は、HPとカリフォルニア大学ロサンゼルス校のグループでは実現されていなかった機能である。大きさは通常のトランジスタの100万分の1で、小さく高性能のコンピュータを作る基礎となる。
合成に成功したJ.Tour教授(ライス大学・化学)は、分子スイッチの生産コストは、通常の半導体製造に使われる高価なクリーンルームが不要のため、従来の数千分の1にできるとしている。5〜10年以内に分子とシリコンのハイブリッド型コンピュータを作る予定だとしている。
1999年にベル研究所(ル−セントテクノロジー社)が、ペンタセン単結晶を用いて有機薄膜トランジスタを作製し、これは、無機半導体に匹敵する特性を示した。
電子部品としての機能を持つ分子デバイスの研究が盛んに行われているといっても、これまでの分子デバイスに関する研究は、ほとんどが、光、熱、プロトン、イオンなどで駆動するものであった(後記の非特許文献3参照)。
米国特許No.6256767B1 米国特許No.6128214 J.Chen,M. A. Reed,A. M. Rawlett and J. M. Tour,"Large on-off ratios and negative differential resistance in a molecular electronic device",Science,1999,Vol. 286,1551-1552 J. Chen,M. A. Reed,C. Zhou, C. J. Muller, T. P. Burgin and J. M. Tour,"Conductance of a molecular junction",Science,1997, Vol. 278,252-254 Ben L.Feringa,"Molecular Switches",WILEY-VCH,Weinheim,2001
電界で駆動される従来の分子素子は、電界の作用を受けた分子自身の物性の変化を利用する素子、即ち、分子自体を1個の素子と考えて、その分子の電子状態を電界によって変化させる素子しかなかった。
上記のような実情に鑑み、本発明の目的は、その機能が、新しい原理に基づいて電界によって効果的に制御される機能性分子素子としての面積変調素子を提供することにある。
即ち、本発明は、電界で誘起される分子構造変化によって占有面積が変化する系を用いた、面積変調素子に係わるものである。ここで、「素子」とは、この分子構造変化を生じる構造は勿論、電極等を付設したデバイスも含む概念である。
本発明によれば、前記電界で誘起される分子構造変化によって、使用する分子の占有面積が変化(変調)する系を用いて面積変調素子を構成しているので、印加する前記電界の制御によって分子構造を種々に変化させて分子の占有面積を変化させることにより、光学フィルターや光学スクリーンなどの機能デバイスを得ることができる。
このような電界の作用機構は、前記電界による分子の構造変化でその占有面積を直接制御して変調しようとするものであって、従来の機能性分子素子には見られなかったものである。この新しい電界の作用機構に基づけば、分子の占有面積を電界応答性良く制御できる面積変調素子を構成することができる。
本発明による面積変調素子は、誘電率異方性を有しかつ電界の作用下で構造変化する、例えば直鎖状の側鎖を有する望ましくは円盤状(又は円盤に近い)有機分子と、金属イオンとの有機金属錯体分子を用いるのがよい。
このような側鎖を有する円盤状に近い有機分子を使用すれば、ディスコティック液晶の性質を保有するため、分子が配向し、高い誘電率異方性を示すことができる。これについては、後記の非特許文献4及び5を参照することができる。
他方、この有機分子が誘電率異方性を有しかつ電界の作用下で構造又は配向変化することによって、前記電界の変化に対応して錯体形成部等のコンフォメーションが変化して、誘電率異方性、つまりは分子の占有面積が変化する。
そして、前記側鎖を有する円盤状に近い有機金属錯体分子の液晶溶液が電界印加用の電極上で配向した状態で少なくとも対向電極間に配置されるのがよい。
また、これらの一対の対向電極間に、前記側鎖を有する円盤状に近い有機金属錯体分子がカラム状に配列したカラム状配列構造体を形成しているのがよい。
また、前記側鎖を有する円盤状に近い有機金属錯体分子に作用する前記電界の変化によって、前記有機金属錯体分子の構造が変化し、誘電率テンソルの主軸方向と前記一対の対向電極の形成面とがなす角度が変化するのがよい。
この場合、前記電界印加用の第1の電極上に、前記側鎖を有する前記有機分子からなる有機金属錯体分子の溶液が配され、この溶液上に直接に若しくは絶縁層を介して前記電界印加用の第2の電極が設けられ、前記電界に対応して前記溶液の相分離状態が変化するように構成してよい。
また、前記側鎖を有する円盤状に近い有機分子がビリベルディン・ビラディエノン等のビラディエノン誘導体であり、前記金属イオンが亜鉛イオン、銅イオン又はニッケルイオン等であるのがよい。
このビラディエノン誘導体以外に、ビリン誘導体、フロリン誘導体、クロリン誘導体等が使用可能である。前記金属も、他の典型元素や遷移金属が使用可能である。
また、前記側鎖としては、炭素原子数3〜12の直鎖状であればよく、例えば−C1021、−C817が挙げられる。このような炭素原子数を有する側鎖によって、有機分子が結晶化することなしに良好に配向することができ、合成も容易となる。即ち、炭素原子数が1〜2であると、有機分子が結晶化し易くなって液晶的な物性を示さなくなって配向不良を生じ、また炭素原子数が13以上になると、却って配向し難くなり、合成も困難となる。
また、前記溶液に使用する溶媒として、例えば4−ペンチル−4’−シアノビフェニル(5CB)等のビフェニル系液晶やテトラヒドロフラン等の極性溶媒が使用可能である。
また、この溶液中のビラディエノン金属錯体等の有機分子の濃度は0.1〜80質量%とするのがよく、10〜30質量%とするのが望ましい。
なお、本発明において、上記の「面積変調素子」とは、素子として構成されたものに限らず、この素子を組み込んでなる既述したような分子デバイスも含むものとする(以下、同様)。
<非特許文献4>S.T.Trzaska, H-F.Hsu and T.M.Swager,“Cooperative Chiralith in Columnar Liquid Crystals:Studies of Fluxional Octahedral Metallomesogens. ”,J. Am. Chem. Soc.,1999,Vol.121,4518-4519
<非特許文献5>清水 洋,“カラムナー液晶 その多様な分子構造と分子間相互作 用”,液晶,2002,Vol.6,147-159
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に具体的に説明する。
機能性分子素子
電界の印加により立体構造が変化して機能を発現する分子素子の機能の一例として、スイッチング動作が考えられる。図1は、金属イオン3と、側鎖5を有する円盤状に近い有機分子2とが錯体4を形成してなる機能性分子素子1を例として、機能性分子素子1に電界の印加時に金属イオン3の周辺で起こる変化をモデル化して概略図示したものである。
側鎖5を有する円盤状に近い有機金属錯体分子(機能性分子1)は、金属3との活性部位を複数有するため、生成エネルギーをほとんど等しくする構造異性体が複数存在する。図1(a)のように、電界を印加しないときは、最も低い生成エネルギーの構造体1aをとる。
ところが、例えば、低い電界が印加されると、図1(b)に示すように、誘電率異方性をその印加電界方向に揃えようとして、誘電率異方性が印加電界方向に沿った構造体1bとなるように、その生成エネルギー差と印加電界強度につり合った構造変化をする。
そして、例えば、更に高い電界が印加されると、図1(c)に示すように、より生成エネルギーが高く、かつ誘電率異方性が電界印加方向により沿った構造体1cとなるように構造変化する。
このように、電界印加時に機能性分子の示すスイッチング動作のダイナミクスについては、電界強度の違いによって図1(b)、図1(c)に示した少なくとも2種類の動作モードが考えられる。これについて更に詳細に説明する。
図1(a)に示すように、電圧が印加されていない初期状態では、機能性分子素子1の側鎖5を有する円盤状に近い有機金属錯体分子1aは、なるべく閉じた円状構造をとろうとする。
この状態で、図1(b)に示すように、電界を印加すると、側鎖5を有する円盤状に近い有機金属錯体分子1は誘電率異方性の方向を電界の向きに向けようとして、例えば、開いた(伸びた)円状構造1bをとろうとする。また、図1(c)に示すように、更に高い電界を印加することにより、電界非印加時より生成エネルギーは高いが、誘電率異方性の方向を更に電界印加方向に揃えるように、伸びた円状構造1cに変化する。
これをカラム全体でみれば、らせんピッチが伸縮しているかのような変化をする。
上記のように、電界の印加によって、側鎖を有する円盤状に近い有機金属錯体分子1の構造又は配向が変化し、これが金属イオン3との錯体形成部4の構造変化を生じさせ、機能性分子1の誘電率を変化させる。
機能性分子1には、側鎖5を有する円盤状に近い有機分子2や錯体形成部4の構成等の違いにより、いくつかの組み合わせが考えられる。
例えば、図2には、置換基(R)(例えば−C1021)からなる側鎖5を有する円盤状に近い有機分子(例えば末端にC=O基を対向して有するビラディエノン誘導体)2と、金属イオン(例えばZn(II)イオン)3との有機金属錯体分子1を示す。
この有機金属錯体分子1において、対向し合う末端のC=O基(カルボニル基)の存在によって分子が平面からねじれた構造を呈し、かつ複数の分子間がπ−πスタック構造をなしてらせんを巻くようになる。図3には、その分子構造のモデルを示すが、らせん構造はM−体又はP−体の光学異性体によって形成される。このらせん構造の分子間のピッチが上記した電界の作用で変化するのである。
この有機金属錯体1、例えばビラディエノン金属錯体は、電界無印加の通常の状態では青色を呈し、電界の印加によって緑色→薄茶色に変化し、また電界を切ると元の状態へと可逆的に戻る。なお、この変化は温度によっても生じ、電界と温度の双方をコントロールすれば、分子構造を同様に変化させることもできるものと考えられる。
面積変調素子
ここでは、有機金属錯体分子1として、ビラディエノン2と金属イオン3である亜鉛(II)イオン3とからなるものを用いて、これを組み込んだメンバランス面積変調デバイス及びその作製工程を説明する。
図4は、メンバランス面積変調デバイス51の構造を示す概略断面図である。この面積変調デバイス51では、第1の基板45及び第2の基板35の上には、制御電界印加用の電極であるITO(Indium Tin Oxide)膜36A、36Bが形成され、一方のITO膜の上に絶縁層37が積層されている。ビラディエノン2と亜鉛(II)イオン3との錯体1と、4−ペンチル−4’−シアノビフェニル(5CB)とからなる液晶溶液22は、2枚の基板45及び35の間にスペーサ(図示は省略した。)とともに挟み込まれ、端部を封止材38によって封止されている。
制御電界印加用の電極を兼ねる第1の基板45上のITO膜36Aと、もう一方の制御電界印加用の電極であるITO膜36Bとは、制御電界印加用の電源41に電気的に接続される。
以下に、面積変調デバイス51の作製工程を説明する。
まず、ビラディエノン亜鉛錯体1に制御用の電界を印加するための制御電界印加用の電極を作製する。第1の基板45と第2の基板35として例えばガラス基板を用い、その表面上に真空蒸着等によりITO(Indium Tin Oxide)膜を形成して、制御電界印加用の電極36A、36Bとする。
次いで、第2の基板35上のITO膜36B上に、塗布等によりポリビニルアルコール等の絶縁層37を形成する。これは、ラビング等により液晶配向膜としてよい。
次いで、上記の電極36A−36B間に機能性分子素子の材料を組み込み、面積変調の観測が可能な面積変調デバイス51の主要部を作製する。
まず、ビラディエノン金属錯体1を4−ペンチル−4’−シアノビフェニル(5CB)液晶に溶解させ、この溶液22を電極36A上に塗布する。
この液晶溶液22に、第2の基板35上に形成した絶縁層37が密着するように、第1の基板45と第2の基板35とを貼り合わせる。
最後に、貼り合わせた2枚の基板45及び35の周辺をエポキシ樹脂等の封止材38によって封止して、面積変調デバイス51を完成する。
このようにして作製された面積変調デバイス51の制御電界印加用の電極36A及び36Bに加える電圧をオン、オフして、顕微鏡観察すると、面積変調作用が観測される。
即ち、図5に示すように、電圧オフ時にはビラディエノンエリアと5CB液晶エリアとが明確に相分離し、5CB液晶エリアが比較的大きく観察されるが、印加電圧が70Vでは、第1の構造変化を起こして相の溶融が開始され、印加電圧が80Vのときには、第2の構造変化を起こして更に2相が溶融し、印加電圧が90Vのときには、第3の構造変化を起こして良相溶性を示す。この過程では、溶液22は青色→薄緑色へと変色するが、電圧印加を切ると元へ戻る可逆性がある。
これは、電界印加により、図1及び図3に示したように、円盤状に近い有機金属錯体分子1を電界方向に対して構造変化させ、錯体分子の構造を変調させて、相分離状態(分子の占有面積)を変化させることによるものであり、これによって新規な面積変調素子を提供することができる
このような面積変調デバイスを利用すると、
1)フィルター用途:親水性(電界オン時)と疎水性(電界オフ時)のコントロールにより、フィルターとして使える。電界によりそれをコントロールできるということから、例えば、親水性イオン(Liなど)は、過剰な電界印加下では、穴(有機金属錯体分子間の間隙)がふさがれて(図4の上下方向に)流れなくなるということにより、電池として構成した場合に過電圧を防止するという用途が考えられる。
2)光学用途:光散乱を電界で制御する、光学スクリーンなどに使える。
次に、本発明を実施例について更に詳細に説明する。
図4に示した面積変調デバイス51を作製した。まず、上記したビラディエノン金属錯体分子1に制御用の電界を印加するための制御電界印加用の電極36A及び36Bを作製した。
第1の基板45と第2の基板35(ガラス基板)上に制御電界印加用の電極としてITO透明電極36A、36Bを真空蒸着によって形成した後、第2の基板上のITO透明電極36B上に絶縁層37を形成した。この材料として、ポリビニルアルコールを選択し、ポリビニルアルコールの10質量%水溶液を調製して、ITO上にスピンコート法で塗布し、110℃で30分間加熱処理した後、真空中で72時間乾燥させた。
そして、第1の基板45と第2の基板35とをスペーサを介して貼り合わせ、両基板のギャップを10μmとした。
次に、ビラディエノン2の亜鉛錯体1と4−ペンチル−4’−シアノビフェニル(5CB)とからなる液晶溶液22を、第1の基板45と第2の基板35との間に毛細管現象を利用して注入した。
最後に、貼り合わせた2枚の基板45及び35の周辺部をエポキシ樹脂等の封止材38によって封止して、面積変調デバイス51を完成した。
このようにして作製された面積変調デバイス51の制御電界印加用の電極36A及び36Bに加えるバイポーラ高周波(10kHz)電圧をオン、オフして、顕微鏡下で観測した。この結果、図5に示すように、電界オフ時には、ビラディエノン金属錯体と5CB液晶との相溶性が悪くて相分離がみられるが、電界印加によってその相溶性が変化し、ミクロ領域での面積変調作用が観測された。例えば、5CBの各エリアが10μmφであったものが、電圧印加により1μmφ以下に減少させることができ、図示した1画素毎に青色→薄緑色に変色した。これは、光スイッチやディスプレイとして有用である。
即ち、印加電圧がオフのときには、ビラディエノン金属錯体と4−ペンチル−4’−シアノビフェニル(5CB)液晶との相溶性が悪く、相分離が観察されるが、印加電圧が70Vでは、第1の構造変化を起こして相の溶融が開始され、印加電圧が80Vのときには、第2の構造変化を起こして更に2相が溶融し、印加電圧が90Vのときには、第3の構造変化を起こして良相溶性を示した。
以上に述べた本発明の実施の形態及び実施例は、本発明を何ら限定するものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
本発明の実施の形態による機能性分子素子が示す3つのスイッチング動作モードを例示した概略図である。 同、機能性分子素子を構成するビラディエノン金属錯体の構造式を示す図である。 同、ビラディエノン金属錯体の化学構造のモデルとそのらせん構造を示す模式図である。 同、面積変調デバイスの概略断面図である。 本発明の実施例による面積変調デバイスの相溶性−電圧の関係を示す顕微鏡観察写真である。
符号の説明
1、1a、1b、1c…機能性分子素子又はビラディエノン金属錯体、
2…側鎖を有する円盤状に近い有機分子(ビラディエノン誘導体)、
3…金属イオン(亜鉛(II)イオン)、4…錯体(錯体形成部)、5…側鎖(R)、
22…液晶溶液、37…絶縁層、35…第2の基板(ガラス基板)、
36A、36B…ITO透明電極(制御電界印加用の電極)、
41…制御電界印加用の電源、45…第2の基板、51…面積変調デバイス(素子)

Claims (4)

  1. 電界で誘起される分子構造変化によって占有面積が変化する系を用いた、面積変調素子。
  2. 誘電率異方性を有しかつ電界の作用下で構造変化する、側鎖を有する有機分子と、金属イオンとの錯体からなる、請求項1に記載した面積変調素子。
  3. 前記側鎖が直鎖状をなし、ほぼ円盤状の前記有機分子に結合されている、請求項2に記載した面積変調素子。
  4. 前記電界印加用の第1の電極上に、前記側鎖を有する前記有機分子からなる有機金属錯体分子の溶液が配され、この溶液上に直接に若しくは絶縁層を介して前記電界印加用の第2の電極が設けられ、前記電界に対応して前記溶液の相分離状態が変化する、請求項3に記載した面積変調素子。
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