JP2003218360A - 分子膜誘電体デバイス - Google Patents

分子膜誘電体デバイス

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JP2003218360A
JP2003218360A JP2002014857A JP2002014857A JP2003218360A JP 2003218360 A JP2003218360 A JP 2003218360A JP 2002014857 A JP2002014857 A JP 2002014857A JP 2002014857 A JP2002014857 A JP 2002014857A JP 2003218360 A JP2003218360 A JP 2003218360A
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electric field
self
dielectric
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molecular film
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Hitoshi Fukushima
均 福島
Hiroshi Miyazawa
弘 宮澤
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の課題は、電界の印加による分子の立
体配座の可逆的な変化に基づく原理により電界応答機能
を有する分子膜誘電体デバイスを提供することにある。 【解決手段】 本発明は、基板と、該基板上に設けられ
た誘電異方性分子を含む自己組織化膜と、該自己組織化
膜に電界を印加する電界制御部と、を少なくとも備え、
前記誘電異方性分子は、前記電界制御部による電界の印
加により立体配座を可逆的に変化させる可動部としての
ターフェニル骨格を有する化合物であることを特徴とす
る分子膜誘電体デバイスの提供により、前記課題を解決
したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電界の印加による
分子の立体配座の可逆的な変化に基づく原理により電界
応答機能を有する、増幅素子、メモリ素子等の分子膜誘
電体デバイス、及びそれら素子を集積した高集積化デバ
イスに関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】現状の
シリコン半導体デバイス細線解像度は約0.1ミクロン
レベルであり、より高い集積度をもつ半導体の開発には
現有材料を基板にした素子構成では限界がある。この技
術的限界を超えるため、分子1個又は複数分子集合体の
レベルにて電界、光及び磁界等の外部入力により、分子
特有の構造、電子状態の変化を誘起させて、例えばメモ
リデバイスとして動作させようとする試みがある。
【0003】いくつかの分子デバイスのメカニズムが過
去に示されているが((a)Tour,J.M.Acc.Chem.Res. 200
0, 33, 791-804、(b)Tans, S.J. Nature, 1998, 393, 4
9-52、(c)Chem J. et al Appl. Phys. Lett. 2000, 77,
1224-1226、(d)Gittins, G.I. et al Nature, 2000, 4
08, 67-69、及び(e)Moresco, F et al. Phys. Rev.Let
t. 2001, 86, 672-675)、電界を印加させることで分子
の立体配座を可逆的に変化させて、その変化に基づくメ
モリロジックのオン、オフを高速処理できる具体的な例
はいまだ皆無である。
【0004】最近、線形で剛直な構造をもつフェニレン
−エチレンオリゴマーの金属表面上で形成される自己組
織化膜(SAM;Self-Assembled Monolayer)の走査
型トンネル顕微鏡(STM;Scanning Tunneling Micro
scopy)のプローブによる電極反転効果が報告されてい
る(Donhauser, J. Z. et al. Science 2001, 292, 230
3-2307)。これによれば、プローブ先端より自己組織化
膜表面へ印加電圧の方向を交互に変えると、異なる電界
の向きで表面の分子が構造変化することが確認されてい
る。しかしながら、線形で剛直な構造分子の明確な立体
配座変化がどのように起こって、表面上の形状変化が生
じたのか明確ではなく、その変化がはたして可逆的な配
座変化に基づく分子構造なのかどうかも定かではない。
【0005】従って、本発明は、電界の印加による分子
の立体配座の可逆的な変化に基づく原理により電界応答
機能を有する分子膜誘電体デバイスを提供することを課
題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板と、該基
板上に設けられた誘電異方性分子を含む自己組織化膜
と、該自己組織化膜に電界を印加する電界制御部と、を
少なくとも備え、前記誘電異方性分子は、前記電界制御
部による電界の印加により立体配座を可逆的に変化させ
る可動部としてのターフェニル骨格を有する化合物であ
ることを特徴とする分子膜誘電体デバイスを提供するこ
とにより、前記課題を解決したものである。
【0007】また、本発明は、基板と、該基板上に設け
られた誘電異方性分子を含む自己組織化膜と、該自己組
織化膜に電界を印加する電界制御部と、 該自己組織化
膜を構成する該誘電異方性分子に電気的に接触する電極
対と、を少なくとも備え、前記誘電異方性分子は、ター
フェニル骨格を有する化合物であり、その立体配座が前
記電界制御部による電界の強さに対応して変化し、その
変化に応じて分子間におけるターフェニル骨格同士の電
子軌道(π軌道)の重なりを変えることによって、流れ
る電流の強度をコントロールすることを特徴とする分子
膜誘電体デバイスを提供するものである。
【0008】また、本発明は、前記電界制御部がゲート
電極であり、前記電極対が前記基板に電気的に接触しな
いソース電極及びドレイン電極であり、 前記ターフェ
ニル骨格を有する化合物が、特定構造の化合物で、前記
自己組織化膜の面方向に流れる電流の強度をコントロー
ルする、前記分子膜誘電体デバイスを好ましく提供す
る。
【0009】また、本発明は、前記電界制御部がゲート
電極であり、前記電極対が前記基板に電気的に接触する
ソース電極及びドレイン電極であり、 前記ターフェニ
ル骨格を有する化合物が、特定構造の化合物で、前記基
板の面方向に流れる電流の強度をコントロールする、請
求項11記載の分子膜誘電体デバイスを好ましく提供す
る。
【0010】本発明の作用は、次の通りである。即ち、
電界制御部により自己組織化膜中の誘電異方性分子に電
界が加えられると、当該分子中の可動部(可動性のある
官能基)が電界の変化に対応させて立体配座(空間位
置)を変化させる。即ち、この可動部は誘電異方性を有
する。微視的には隣接する誘電異方性分子間で可動部間
の距離が変化することになり、巨視的には自己組織化膜
の面方向における抵抗値またはキャリアの移動度が変化
することになる。したがって、電界、すなわち電圧の制
御により電子対間の電流値を変化させることができると
いう能動素子としての機能を有することになる。
【0011】本発明によれば、電界を少なくとも一度印
加した後に、電界が存在しない状態で可動部が一の立体
配座に安定的に位置する単安定状態を有する構造(一の
状態から電界強度に応じて可動部の位置を変化させうる
単安定構造)であれば、増幅機能やスイッチング機能を
有するトランジスタに相当する能動素子(第1のデバイ
ス)が提供される。
【0012】また、本発明によれば、電界を少なくとも
一度印加した後に、電界が存在しない状態で誘電異方性
分子の可動部が複数の異なる立体配座にそれぞれ安定的
に位置する複数安定状態を有する構造、例えば、一定電
界以上をかけることで誘電異方性分子の可動部が第1の
位置から第2の位置へ、またはその逆方向に動き、無電
界では安定な双安定構造であれば、それぞれの立体配座
(空間位置)に対応させてデジタルの「1」または
「0」を記憶できる記憶(メモリ)素子(第2のデバイ
ス)が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明をその好ましい実
施形態に基づいて詳細に説明する。
【0014】(実施形態1)本実施形態は、基板として
の金属基板(金基板;Au)と、該金属基板の表面に設
けられた誘電異方性分子を含む自己組織化膜と、該自己
組織化膜の表面に近接した位置まで自由に接近でき且つ
該自己組織化膜に対して電圧を印加する電界制御部とし
ての、走査型トンネル顕微鏡(STM)のプローブ端子
類似構造のマイクロティップ(鋭利な先端を有する微小
電極端子;tip)と、該自己組織化膜を構成する該誘
電異方性分子に電気的に接触する電極対と、を備える分
子膜誘電体デバイスである。
【0015】そして、本実施形態に係る自己組織化膜を
構成する誘電異方性分子は、マイクロティップによる電
圧の印加によりその立体配座を可逆的に変化させる可動
部としてのターフェニル骨格を有する化合物からなる構
造とされている。このような誘電異方性分子は、その立
体配座を電界の強さ対応させて変化させるものであるこ
とが好ましい。このようなターフェニル骨格を有する化
合物としては、本発明の効果を容易に達成できるように
電圧の印加による電界エネルギーを分子回転エネルギー
に変換させるものが好ましく、例えば、ターフェニル骨
格に直接結合(置換)している原子(例えば、酸素原子
等)と、該原子から金属基板に結合する部分(例えば、
S−S部分等)までの間を繋ぐ基(例えば、アルキル基
等)との間の結合に歪を有する構造の化合物等が挙げら
れる。具体的には、ターフェニル骨格を有する下記一般
式(1)で表される化合物(ジスルフィド化合物)から
なるものが好適である。
【0016】
【化7】
【0017】また、ターフェニル骨格を有する前記一般
式(1)で表される化合物の中でも、式中のnが5〜2
0であるものは、合成する容易さ及び溶媒への溶解性が
良好な点で好ましい。
【0018】本実施形態のデバイスは、例えば、次のよ
うにして製造することができる。即ち、前記一般式
(1)で表される化合物(但し、式中Rがニトリル
基、Rがフッ素原子、M、M及びMが全て水素
原子、Rがn=11とする直鎖アルキル基で、エーテ
ル結合の置換位置はオルト位である;オルト位非対称ジ
スルフィド化合物)とドデカンチオールとをモル比3:
2の割合でジクロロメタン中に混合し、この混合物の濃
度が約0.2mmolとなるようにジクロロメタン溶液
を調製する。この溶液中に、ジクロロメタンで予め洗浄
してある金基板を約半日浸漬させる。ここで、金基板と
しては、真空蒸着により基材上に金膜(厚さが1000
オングストローム前後で、酸化されていない蒸着薄膜)
を形成してなる金基板を用いた。尚、本実施形態では、
基板として金基板を用いているが、これと同様に形成し
てなる銀その他の金属基板を用いることもできる。これ
により金基板の表面に、自己組織化膜〔前記一般式
(1)で表される化合物を含み、その分子の立体構造
が、予めエーテル結合を介したメチレンスペーサとの関
係でオルト位に制御された状態で分子膜中に存在〕が形
成される。
【0019】その後、電界制御部としてのマイクロティ
ップを、STM可動部と同様な構造で設ける。尚、電界
制御部の素材としては、例えば、Al(アルミニウ
ム)、n型Si(シリコン)、Pt,Ir合金(白金、
イリジウム合金)、Ta(タングステン;電界研磨した
もの)等が挙げられる。更に、電極対(素材の例は、電
界制御部の上記素材の例と同様。)を、通常のデバイス
と同様にして設ける。これにより、本実施形態のデバイ
スを製造することができる。
【0020】尚、電界印加によって動的変化を示すター
フェニル骨格を有するジスルフィドの合成例及びこれに
より形成される自己組織化膜の物性等については、特開
2001−316354号公報及びFukushima, H. et a
l. "Dynamics of Self-Assembled Monolayers lnduced
by Electric Field" ;Proceeding from" First Interna
tional Conference on Molecuar Electronics and Bioe
lectronics". 2001/3/4-7によって報告されている。
【0021】本実施形態のデバイスによる作用効果につ
いて説明すると、次の通りである。即ち、金基板上に形
成された自己組織化膜の表面に、マイクロティップの鋭
利な先端部を接近させ、電圧を印加させる。次に、電圧
の印加方向を反転させると、分子中の誘電異方性の大き
いターフェニル部分が、そのダイポールモーメントの向
きに沿って電界方向に配向する。この電界配向は、加え
る電圧の極性を変化させることで可逆的に起こる。
【0022】マイクロティップから印加される電圧は、
読み込みの容易性の点で、2.0〜−2.0Vであるこ
とが好ましく、更に電界印加時の自己組織化膜の安定性
が向上する点で、1.5〜−1.5Vであることがより
好ましい。
【0023】本実施形態に係る作用効果について、図面
を参照して更に詳述する。図1(a)は、本実施形態の
デバイスにおけるマイクロティップの先端をプラス極性
として自己組織化膜に1.0Vの電圧を印加したとき
に、STMにて観察した100nm×100nm領域に
おける自己組織化膜の表面の状態を示す図である。図2
(a)及び図3(a)は、同様の極性・電圧を印加した
ときに、STMにて観察したそれぞれ50nm×50n
m及び25nm×25nm領域における自己組織化膜の
表面の状態を示す図である。
【0024】一方、図1(b)は、本実施形態のデバイ
スにおけるマイクロティップの先端をマイナス極性とし
て自己組織化膜に1.0Vの電圧を印加したときに、S
TMにて観察した図1(a)と同一領域における自己組
織化膜の表面の状態を示す図である。図2(b)及び図
3(b)は、同様の極性・電圧を印加したときに、ST
Mにて観察したそれぞれ図2(a)及び図3(a)と同
一領域における自己組織化膜の表面の状態を示す図であ
る。
【0025】図1(a)と図1(b)の対比、図2
(a)と図2(b)の対比、図3(a)と図3(b)の
対比それぞれから明らかなように、電界の向きを逆転さ
せると自己組織化膜の表面が顕著に変化を起こすことが
判る。尚、この際(図1(b)、図2(b)及び図3
(b)の状態のとき)、自己組織化膜は、その表面から
約2オングストロームほどの高さで約20オングストロ
ーム×約20オングストロームの大きさの突起を形成す
る。この突起は、電圧の極性を再度反転させると消滅す
る。このように、この現象は可逆的である。
【0026】本実施形態のデバイスは、かかる電界印加
による自己組織化分子膜内、特にターフェニル部分とス
ペーサ部分との間で発生する立体配座変換によって生じ
る膜構造変化が大きな誘電率変化を引き起こし、以って
メモリー効果を生じる。尚、図1〜3の状態を形成する
自己組織化膜の分子状態を含む本実施形態のデバイスの
要部概略図を図4に示す。また、本実施形態では、電界
制御部として、自己組織化膜の表面に近接した位置まで
自由に接近できる先端が鋭利なマイクロティップを使用
しているが、これを単数又は複数で用いることができ、
例えば、後述の実施形態2の図5に示す構造のように自
己組織化膜の表面に近接した位置に予め固定化された複
数のマイクロティップとして用いてもよい。
【0027】自己組織化膜を形成する分子としては、特
に前記製造例に示すような、非対称構造を有するジスル
フィドを少なくとも含むことが、電界ベクトルに沿った
変化をより向上できる点で好ましい。
【0028】また、自己組織化膜を、上記のようなジス
ルフィド化合物とともに、アルカンチオールを用いて最
適化された混合分子膜組成構造とすることによって、基
板上表面内での分子が動的に変化するのに必要な自由空
間を確保して電界応答を向上させることもできる。
【0029】本実施形態のデバイスは、その自己組織化
膜を構成する分子内のエーテル結合を含むスペーサが有
する剛直ではなく且つ電界動作に付随して敏感に動きや
すい構造と、ターフェニル骨格が有する誘電異方性の大
きい剛直な構造との組み合わせによって、分子個々の構
造変化を容易に起こすことのできるものである。特に、
その構造変化に伴う大きな誘電異方性の変化を向上でき
る点で、本実施形態のデバイスに使用される前記ターフ
ェニル骨格を有する化合物が好ましい。
【0030】本実施形態のデバイスは、その自己組織化
膜が前述した誘電異方性分子としてのターフェニル骨格
を有する化合物を用いてなる機能薄膜であるため、電界
を印加することにより、該自己組織化膜を構成する分子
を動的に変化させ、膜表面全体の表面物性を可逆的に制
御できる電界応答機能を有するものである。
【0031】また、本実施形態のデバイスは、そのマイ
クロティップから印加される電界により、自己組織化膜
における分子構造変位が究極的に分子1個レベルで生じ
るものであるため、従来の半導体デバイスよりも原理的
に二桁以上小さいサイズのメモリデバイスとして機能す
ることができる。
【0032】(実施形態2)本実施形態は、TFT素
子、自己組織化膜及び電界制御部を組み合わせてなる分
子膜誘電体デバイス、具体的には、図5及び図6に示す
構造を有するデバイスである。ここで、図5は、本実施
形態のデバイスの要部を示す概略斜視図である。また、
図6は、本実施形態のデバイスの要部を示す概略断面図
である。
【0033】本実施形態のデバイスは、図5及び図6に
示すように、シリコン基板1と、該シリコン基板1上に
設けられた誘電異方性分子を含む自己組織化膜5と、該
自己組織化膜5の表面に近接した位置に予め固定化され
且つ該自己組織化膜5に対して電圧を印加するゲート電
極としての複数のマイクロティップ6(鋭利な先端を有
する微小電極端子;STMのプローブ端子類似構造)
と、該自己組織化膜5を構成する該誘電異方性分子に電
気的に接触するソース電極2及びドレイン電極3と、該
ソース電極2−ドレイン電極3間における基板1と自己
組織化膜5との間に設けられた酸化シリコン(Si
)からなる絶縁膜4と、を備えている。
【0034】そして、前記自己組織化膜5における誘電
異方性分子は、前記一般式(2)で表されるターフェニ
ル骨格を有する化合物からなり、前記マイクロティップ
6による電圧の印加により、該ターフェニル骨格を有す
る化合物の立体配座を可逆的に変化させるものである。
尚、絶縁膜4としては、酸化シリコン(SiO)に代
えて、窒化ケイ素(Si)からなるものを用いる
こともできる。
【0035】本実施形態のデバイスは、以下のようにし
て製造することができる。即ち、先ず、シリコン基板1
上にソース電極2及びドレイン電極3を形成し、該ソー
ス電極2−ドレイン電極3間のシリコン基板1上に酸化
シリコン絶縁膜4を設けてなるTFT素子を形成する。
その後、このTFT素子における酸化シリコン絶縁膜4
上に、ターフェニル骨格を有する下記一般式(2)で表
される化合物(シラン系化合物)を用いる以外は実施形
態1と同様にして自己組織化膜5を設ける。更に、その
自己組織化膜5の表面上近接した位置に、電界制御部と
しての複数のマイクロティップ6を固定化させる。この
際、マイクロティップ6と自己組織化膜5とは、接触さ
せないようにする。尚、本実施形態では、マイクロティ
ップ6と自己組織化膜5は、空気を介して非接触とされ
るが、真空を介してもよい。これにより、TFT素子、
自己組織化膜及び電界制御部を組み合わせた本実施形態
のデバイスが製造される。
【0036】
【化8】
【0037】本実施形態においては、その自己組織化膜
として、前記一般式(2)で表される化合物のうち、n
が5〜20のものから構成されるものが 合成する
容易さ及び溶媒への溶解性が良好な点で好ましく、更
に、nの範囲が10<n<20であるものから構成され
ると、上記点に加え、基板上に形成される自己組織化膜
の安定性が向上する点でより好ましい。
【0038】また、自己組織化膜を構成する誘電異方性
分子としては、非対称構造を有するシラン系化合物から
なることが、電界ベクトルに沿った変化をより向上でき
る点で好ましい。
【0039】また、自己組織化膜を、上記のようなシラ
ン系化合物とともに、アルカン系シラン化合物を用いて
最適化された混合分子膜組成構造とすることによって、
基板上表面内での分子が動的に変化するのに必要な自由
空間を確保して電界応答を向上させることもできる。
【0040】本実施形態のデバイスは、そのゲート電極
としてのマイクロティップにより自己組織化膜に対して
電圧を印加させ、オン、オフ時の電気容量(capacitanc
e)の変化を計測することで、トランジスタ等のスイッ
チング素子や高密度集積メモリロジックデバイス等の高
集積化デバイスとして使用できる。特に、自己組織化膜
を構成する誘電異方性分子として、電界が存在しない状
態で可動部としてのターフェニル骨格が複数の異なる立
体配座にそれぞれ安定的に位置する複数安定状態を有す
るものは、メモリ素子として使用することができる。
【0041】以上、本発明の好適な実施形態について詳
述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、他
の種々の変更形態を採用することもできる。例えば、実
施形態1及び2でそれぞれ使用した前記一般式(1)で
表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物を
互いに変えても好適な分子膜誘電体デバイスを得ること
ができる。
【0042】また、本発明は、電界制御部として、前記
実施形態2に用いられる先端が鋭利なゲート電極として
のマイクロティップ6に代えて、例えば、先端が鋭利で
ない通常のゲート電極を用いたトランジスタ構造の分子
膜誘電体デバイスとすることもできる(図7参照)。
【0043】図7に示す構造を有する実施形態の分子膜
誘導体デバイスにおいては、ゲート電極から電界を印加
しその電界の強さを変化させることにより、自己組織化
膜の分極モーメントが変化し、この変化を利用してシリ
コン層を流れる電流(図7の矢印)をオン/オフする。
【0044】また、本発明は、ソース電極及びドレイン
電極が共にシリコン層に接触せず、これらを酸化シリコ
ン絶縁膜上に設けるようにした以外は図7と同様のトラ
ンジスタ構造を有する分子膜誘電体デバイスとすること
もできる(図8参照)。
【0045】図8に示す構造を有する実施形態の分子膜
誘導体デバイスにおいては、ゲート電極から電界を印加
しその電界の強さを変化させることにより、自己組織化
膜の分極モーメントが変化し、この変化を利用して自己
組織化膜内のπ軌道を介して流れる電流(図8の矢印)
をオン/オフする。
【0046】ここで、図8に示す構造を有する分子膜誘
電体デバイスにおいて、自己組織化膜の電流をオン/オ
フできるのは、次に示す原理によると考えられる。即
ち、図8に示す自己組織化膜は、印加される電界の強さ
を変化させること(制御)によって、その構成する誘電
異方性分子の立体配座が変化する。このときの立体配座
の変化は、例えば、図9の(1)の状態と(2)の状態
に示すような誘電異方性分子の構造変化のように現れ
る。
【0047】図9の(1)の状態では、自己組織化膜を
構成する各誘電異方性分子における可動部としてのター
フェニル骨格間の重なりが密になり、従ってπ軌道の重
なりが大になり、以って自己組織化膜を流れる電流が大
になる。一方、図9の(2)の状態では、そのターフェ
ニル骨格間の重なりが疎になり、従ってπ軌道の重なり
が小になり、以って自己組織化膜を流れる電流が小にな
る。
【0048】また、本発明の分子膜誘電体デバイス(高
集積化デバイス)がメモリデバイスとして機能すること
は、自己組織化膜を構成する誘電異方性分子がとり得る
各立体配座の安定化エネルギーを比較することで明きら
かとなった。
【0049】即ち、前述した実施形態1で述べられたタ
ーフェニル骨格を有する化合物以外にその電界動作が確
認されているターフェニル基とメチレンスペーサがパラ
位にあるジスルフィド化合物を例に挙げ、このジスルフ
ィド化合物をS−S結合部分で二分した際にターフェニ
ル骨格を含む部分の安定化エネルギーに基づいて、電界
印加による可動部(ターフェニル骨格)の変化による誘
電異方性分子の各立体配座の安定化エネルギーを調べ
た。具体的には、MOPACの計算(条件:Hamiltonia
n:PM3、Minimum RMS Gradient:0.1、Charges:Mullike
n)から、上記ターフェニル骨格を含む部分のエーテル
結合を回転軸として回転させた立体配座異性体の数種に
ついて安定化エネルギーを調べた。その結果を図10に
示す。また、この結果をもとに立体配座変化を横軸と
し、安定化エネルギーを縦軸としたときのグラフを図1
1に示す。
【0050】図11に示すように、この誘電異方性分子
には、ターフェニル骨格が二の異なる立体配座に安定的
に位置する二の安定状態(bistableな配座構造)が存在
することが判る。これらの安定状態の立体配座体は、遷
移状態に相当する配座異性体とのエネルギー差が約5.
4〜5.7kcal/moleとなる。このように、本
発明の分子膜誘電体デバイスにおける電界制御部の電界
印加による電界エネルギーが、自己組織化膜を構成する
誘電異方性分子の回転エネルギーに変換されることで、
可逆的な二つの安定構造変換が可能になる。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、電界の印加による分子
の立体配座の可逆的な変化に基づく原理により電界応答
機能を有する分子膜誘電体デバイス及び高集積化デバイ
スを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)及び(b)は、実施形態1のデバイ
スでそれぞれ−1.0V及び1.0Vの電圧を印加した
ときの、自己組織化膜の表面の状態(100nm×10
0nm領域)を示すSTM観察図である。
【図2】図1(a)及び(b)は、実施形態1のデバイ
スでそれぞれ−1.0V及び1.0Vの電圧を印加した
ときの、自己組織化膜の表面の状態(50nm×50n
m領域)を示すSTM観察図である。
【図3】図1(a)及び(b)は、実施形態1のデバイ
スでそれぞれ−1.0V及び1.0Vの電圧を印加した
ときの、自己組織化膜の表面の状態(25nm×25n
m領域)を示すSTM観察図である。
【図4】図4は、自己組織化膜の分子状態を含む実施形
態1のデバイスの腰部を示す概略図である。
【図5】図5は、実施形態2のデバイスの要部を示す概
略斜視図である。
【図6】図6は、実施形態2のデバイスの要部を示す概
略断面図である。
【図7】図7は、他の実施形態のデバイスの要部を示す
概略断面図である。
【図8】図8は、更に他の実施形態のデバイスの要部を
示す概略断面図である。
【図9】図9は、図8のデバイスにおける電界制御によ
って自己組織化膜を構成する誘電異方性分子の立体配座
の変化を示す模式図である。
【図10】図10は、誘電異方性分子の立体配座の異性
体構造による安定化エネルギーの変化を示す図である。
【図11】図11は、誘電異方性分子の立体配座と安定
化エネルギーとの関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 29/78 618B 29/28 Fターム(参考) 5F058 AA10 AC10 AD09 AD10 AD11 AF04 AH01 5F110 AA04 AA30 BB05 CC01 CC05 CC10 DD05 FF01 FF02 FF03 FF09 GG02 GG05 GG12

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、 該基板上に設けられた誘電異方性分子を含む自己組織化
    膜と、 該自己組織化膜に電界を印加する電界制御部と、を少な
    くとも備え、 前記誘電異方性分子は、前記電界制御部による電界の印
    加により立体配座を可逆的に変化させる可動部としての
    ターフェニル骨格を有する化合物であることを特徴とす
    る分子膜誘電体デバイス。
  2. 【請求項2】 前記誘電異方性分子は、その立体配座を
    電界の強さに対応して変化させる、請求項1記載の分子
    膜誘電体デバイス。
  3. 【請求項3】 前記誘電異方性分子は、電界が存在しな
    い状態で前記可動部が一の立体配座に安定的に位置する
    単安定状態を有する、請求項2記載の分子誘電体デバイ
    ス。
  4. 【請求項4】 前記誘電異方性分子は、電界が存在しな
    い状態で前記可動部が複数の異なる立体配座にそれぞれ
    安定的に位置する複数安定状態を有する、請求項2記載
    の分子誘電体デバイス。
  5. 【請求項5】 前記ターフェニル骨格を有する化合物
    が、下記一般式(1)で表される、請求項1〜4の何れ
    かに記載の分子膜誘電体デバイス。 【化1】
  6. 【請求項6】 前記一般式(1)におけるnが、5〜2
    0である、請求項5記載の分子膜誘電体デバイス。
  7. 【請求項7】 前記ターフェニル骨格を有する化合物
    が、下記一般式(2)で表される、請求項1〜4の何れ
    かに記載の分子膜誘電体デバイス。 【化2】
  8. 【請求項8】 前記一般式(2)におけるnが、5〜2
    0である、請求項7記載の分子膜誘電体デバイス。
  9. 【請求項9】 前記電界制御部が、鋭利な先端を有する
    端子である、請求項1〜8の何れかに記載の分子膜誘電
    体デバイス。
  10. 【請求項10】 TFT素子を組み合わせてなる、請求
    項1〜9何れかに記載の分子膜誘電体デバイス
  11. 【請求項11】 基板と、 該基板上に設けられた誘電異方性分子を含む自己組織化
    膜と、 該自己組織化膜に電界を印加する電界制御部と、 該自己組織化膜を構成する該誘電異方性分子に電気的に
    接触する電極対と、を少なくとも備え、 前記誘電異方性分子は、ターフェニル骨格を有する化合
    物であり、その立体配座が前記電界制御部による電界の
    強さに対応して変化し、その変化に応じて分子間におけ
    るターフェニル骨格同士の電子軌道の重なりを変えるこ
    とによって、流れる電流の強度をコントロールすること
    を特徴とする分子膜誘電体デバイス。
  12. 【請求項12】 前記電界制御部がゲート電極であり、 前記電極対が前記基板に電気的に接触しないソース電極
    及びドレイン電極であり、 前記ターフェニル骨格を有する化合物は、下記一般式
    (1)又は(2)で表される化合物であり、前記自己組
    織化膜の面方向に流れる電流の強度をコントロールす
    る、請求項11記載の分子膜誘電体デバイス。 【化3】 【化4】
  13. 【請求項13】 前記電界制御部がゲート電極であり、 前記電極対が前記基板に電気的に接触するソース電極及
    びドレイン電極であり、 前記ターフェニル骨格を有する化合物は、下記一般式
    (1)又は(2)で表される化合物であり、前記基板の
    面方向に流れる電流の強度をコントロールする、請求項
    11記載の分子膜誘電体デバイス。 【化5】 【化6】
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