JP2005256559A - アンカー構造とアンカー工法 - Google Patents

アンカー構造とアンカー工法 Download PDF

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Abstract

【課題】 大きな施工誤差を許容する長所と大きな引き抜き耐力を容易に得ることができる長所を併せ持つアンカー構造とアンカー工法を提供しようとする。
【解決手段】
従来の構造体の下部構造であるベースプレートを設置面に固定するためのアンカー構造にかわって、コンクリートででき上部に設置面を形成した構造体であって該設置面に設けられた第一開口部を通してコンクリートを流し込み可能になった空間である箱抜き空間を設けられた基礎と、長尺の構造部材であって下端部を前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ上端部を設置面に据付けられたベースプレートに前記箱抜き空間から前記第一開口部を通して結合可能にされたアンカー部材と、を備えるものとした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、構造体の下部構造であるベースプレートを設置場所に固定するためのアンカー構造とアンカー工法とに係る。特に、アンカー構造とその施工手順に特徴のあるアンカー構造とアンカー工法とに関する。
建物、プラント等の構造体を設置場所に設置するのにアンカー構造を用いる。
従来のアンカー構造に採用されるアンカー部材には、直埋めアンカー、ケミカルアンカー、メカニカルアンカー、箱抜きアンカー、ワインディングパイプ式箱抜きアンカーがある。
アンカー構造とアンカー工法は、構造体に固有の荷重以上の引き抜き耐力を有し、かつ固有の寸法以上の施工誤差を許容できることが求められる。
引き抜き耐力は、アンカー構造を垂直に引っ張って、アンカー構造が引き抜かれる際の力である。引き抜き耐力が大きいほど、アンカー構造に固定された構造体はしっかりと据付けられる。
また、予め施工場所にコンクリートで基礎を設けた後で、その基礎の上に構造体を乗せ、構造体を施工場所に固定する。構造体のベースプレートを基礎に乗せて、アンカー構造に固定する際に、アンカー構造の結合部をベースプレートにスムースに取り付けることのできることを求められる。
直埋めアンカーは、基礎を施工する際に直接アンカーボルトを埋めた構造である。この構造と工法により、引き抜き耐力を所望の値にすることが容易である。しかし、コンクリートの固化の際にアンカーボルトの位置がずれたり、施工する際の構造体の変形によりベースプレートの位置がずれると、アンカーボルトの位置が固定されているので、アンカーボルトとベースプレートとを結合するのが容易でなくなる。
ケミカルアンカーは、基礎に構造体を乗せた後で、基礎に穴を空けて、アンカーボルトを接着剤で穴に埋める構造である。この構造と工法により、大きな施工誤差を容易に許容できる。しかし、所定の引き抜き耐力を得るためには施工上の品質管理をしっかりする必要がある。現場施工であるので、必ずしも求められる品質管理を十分にできないこともありうる。
メカニカルアンカーは、基礎に構造体を乗せた後で、基礎に穴を空けて、アンカーボルトを穴に機械的なフリクションにより固定する構造である。この構造と工法により、大きな施工誤差に容易に許容できる。しかし、構造上大きな引き抜き耐力を期待できす、また大径のアンカー構造に対応することができない。
箱抜きアンカーは、基礎に後からコンクリートを流し込むことのできる空間である箱抜き空間を設けておき、基礎に構造体を設置した後で、箱抜き空間の中にアンカーボルトを設けてコンクリートを流し込む構造である。この構造と工法とにより、大きな施工誤差を容易に許容できる。しかし、箱抜き空間に流し込んだコンクリートと基礎との密着が不十分になると、引き抜き耐力が低下することがあるので、十分な施工管理が必要である。
ワインディングパイプ式箱抜きアンカーは、上述の箱抜きアンカーを改良したもので、箱抜き空間の内壁に内面と外面に凹凸を設けたパイプであるワインディングパイプを予め埋め込み、基礎に構造体を設置した後で、箱抜き空間の中にアンカーボルトを設けてコンクリートを流し込む構造である。しかし、箱抜き空間に流し込んだコンクリートに空気が混ざってコンクリートとアンカーボルトとの密着が不十分になると、引き抜き耐力が低下することがあるので、十分な施工管理が必要である。
実開昭63−194947号公報 実開昭60−50246号公報 実開平03−20800号公報
従来のアンカー構造の各々が持つ長所である、大きな施工誤差を許容する長所と大きな引き抜き耐力を容易に得ることができる長所とを併せ持つアンカー構造とアンカー工法が要請されている。
本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、大きな施工誤差を許容する長所と大きな引き抜き耐力を容易に得ることができる長所とを併せ持つアンカー構造とアンカー工法を提供しようとする。
上記目的を達成するため、本発明に係る構造体の下部構造であるベースプレートを設置面に固定するためのアンカー構造を、コンクリートででき上部に設置面を形成した構造体であって該設置面に設けられた第一開口部を通してコンクリートを流し込み可能になった空間である箱抜き空間を設けられた基礎と、長尺の構造部材であって下端部を前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ上端部を設置面に据付けられたベースプレートに前記箱抜き空間から前記第一開口部を通して結合可能にされたアンカー部材と、を備えるものとした。
上記本発明の構成により、基礎がコンクリートででき上部に設置面を形成した構造体であって該設置面に設けられた第一開口部を通してコンクリートを流し込み可能になった空間である箱抜き空間を設けられ、アンカー部材が長尺の構造部材であって下端部を前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ上端部を設置面に据付けられたベースプレートに前記箱抜き空間から前記第一開口部を通して結合可能にされるので、アンカー部材の姿勢を前記箱抜き空間の中で変化させて大きな施工誤差を許容でき、また構造体に作用した荷重を前記アンカー部材を介して前記基礎に作用させて大きな引き抜き耐力を得ることができる。
さらに、本発明に係る実施形態のアンカー構造は、前記アンカー部材が、下端部を前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ上端部を前記箱抜き空間の中に露出した構造部材である先埋め部材と、長尺の構造部材であって一方の端部を前記先埋め部材の上端部に揺動自在に連結し上端部を設置面に据付けられたベースプレートに前記箱抜き空間から前記第一開口部を通して結合可能にされた後施工アンカーと、を有する、
上記本発明の構成により、先埋め部材が下端部を前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ上端部を前記箱抜き空間の中に露出した構造部材であり、後施工アンカーが長尺の構造部材であって一方の端部を前記先埋め部材の上端部に揺動自在に連結し上端部を設置面に据付けられたベースプレートに前記箱抜き空間から前記第一開口部を通して結合可能にされので、後施工アンカーの姿勢を前記箱抜き空間の中で変化させて大きな施工誤差を許容でき、また構造体に作用した荷重を前記後施工アンカーと先埋め部材とを介して前記基礎に作用させて大きな引き抜き耐力を得ることができる。
さらに、本発明に係る実施形態のアンカー構造は、前記アンカー部材が、下端部を前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ上端部を前記箱抜き空間の中に露出された構造部材である先埋め部材と、長尺の構造部材であって一方の端部を前記先埋め部材の上端部に揺動自在に連結し前記箱抜き空間に収納可能な中間部材と、前記中間部材の他方の端部に揺動自在に連結し設置面に据付けられたベースプレートに前記箱抜き空間から前記第一開口部を通して結合可能にされたアンカーロッドと、を有する。
上記本発明の構成により、先埋め部材が下端部を前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ上端部を前記箱抜き空間の中に露出された構造部材であり、中間部材が長尺の構造部材であって一方の端部を前記先埋め部材の上端部に揺動自在に連結し前記箱抜き空間に収納可能であり、アンカーロッドが前記中間部材の他方の端部に揺動自在に連結し設置面に据付けられたベースプレートに前記箱抜き空間から前記第一開口部を通して結合可能にされるので、前記中間部材の姿勢を前記箱抜き空間の中で変化させて大きな施工誤差を許容でき、また構造体に作用した荷重を前記アンカーロッドと前記中間部材と前記先埋め部材とを介して前記基礎に作用させて大きな引き抜き耐力を得ることができる。
さらに、本発明に係る実施形態のアンカー構造は、前記先埋め部材が棒材であって中央部をU字形に屈曲され両方の端部を一方の側へ揃えられ、前記両方の端部が前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ、前記中央部が前記箱抜き空間の中に露出している。
上記本発明の構成により、前記先埋め部材の両方の端部が前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ、前記箱抜き空間の中に露出している前記先埋め部材の中央部に前記後施工アンカーを引っ掛けることで、簡易な構造で揺動自在に連結することができる。
さらに、本発明に係る実施形態のアンカー構造が、前記中間部材が棒材であって一方の端部をU字形に屈曲され、前記U字形が前記先埋め部材の上端部に連結する。
上記本発明の構成により、中間部材のU字形に屈曲された端部を前記先埋め部材の上端部に引っ掛けるので、簡易な構造で揺動自在に連結することができる。
さらに、本発明に係る実施形態のアンカー構造が、前記中間部材が鎖を持ち、前記鎖のが前記先埋め部材の上端部に連結する。
上記本発明の構成により、前記中間部材の鎖を前記先込め部材の上端部に引っ掛けることで、簡易な構造で揺動自在に連結することができる。
さらに、本発明に係る実施形態のアンカー構造が、前記基礎が上部に接地面を持ち側部に前記箱抜き空間に連通する第二開口部を設けられた台形形状を有する。
上記本発明の構成により、前記基礎が上部に接地面を持ち側部に前記箱抜き空間に連通する第二開口部を設けられた台形形状を有するので、第二開口部から箱抜き空間にアクセスでき、施工が容易になる。
また、上記目的を達成するため、本発明に係る構造体の下部構造であるベースプレートを設置面に固定するためのアンカー工法を、コンクリートででき上部に設置面を形成した構造体であって設置面に設けられた第一開口部を通してコンクリートを流し込み可能になった空間である箱抜き空間を設けられた基礎と長尺の構造部材であって下端部を前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ上端部を設置面に据付けられたベースプレートに前記箱抜き空間から前記第一開口部を通して結合可能にされたアンカー部材とを準備する準備工程と、構造体のベースプレートを前記基礎の接地面に据付ける据付け工程と、前記アンカー部材の上端部を設置面に据付けられた前記ベースプレートに結合する結合工程と、前記箱抜き空間にコンクリートを流し込むコンクリート流し込み工程と、を備える、ものとした。
上記本発明の構成により、準備工程でコンクリートででき上部に設置面を形成した構造体であって設置面に設けられた第一開口部を通してコンクリートを流し込み可能になった空間である箱抜き空間を設けられた基礎と長尺の構造部材であって下端部を前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ上端部を設置面に据付けられたベースプレートに前記箱抜き空間から前記第一開口部を通して結合可能にされたアンカー部材とを準備し、据付け工程で構造体のベースプレートを前記基礎の接地面に据付け、結合工程で前記アンカー部材の上端部を設置面に据付けられた前記ベースプレートに結合し、コンクリート流し込み工程で前記箱抜き空間にコンクリートを流し込むので、アンカー部材の姿勢を前記箱抜き空間の中で変化させて大きな施工誤差を許容でき、前記箱抜き空間が固化したコンクリートで埋まり、前記基礎と前記アンカー部材とが一体となり、ベースプレートを設置面に固定できる
さらに、本発明に係る実施形態のアンカー工法は、前記コンクリート流し込み工程を前記結合工程の後で行なう、
上記本発明の構成により、前記コンクリート流し込み工程を前記結合工程の後で行なうので、アンカー部材の姿勢を前記箱抜き空間の中で変化させて大きな施工誤差を許容できた後コンクリートが固化し、前記基礎と前記アンカー部材とが一体となり、ベースプレートを設置面に固定できる
さらに、本発明に係る実施形態のアンカー工法は、前記結合工程を前記コンクリート流し込み工程の後のコンクリートが固化する前に行なう。
上記本発明の構成により、前記結合工程を前記コンクリート流し込み工程の後のコンクリートが固化する前に行なうので、アンカー部材の姿勢を前記箱抜き空間の中で変化させて大きな施工誤差を許容できた後コンクリートが固化し、記基礎と前記アンカー部材とが一体となり、ベースプレートを設置面に固定できる。
さらに、本発明に係る実施形態のアンカー工法は、前記アンカー部材が、下端部を前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ上端部を前記箱抜き空間の中に露出された構造部材である先埋め部材と、長尺の構造部材であって一方の端部を前記先埋め部材の上端部に揺動自在に連結し上端部を設置面に据付けられたベースプレートに前記箱抜き空間から前記第一開口部を通して結合可能にされた後施工アンカーと、を有する。
上記本発明の構成により、先埋め部材が下端部を前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ上端部を前記箱抜き空間の中に露出された構造部材であり、後施工アンカーが長尺の構造部材であって一方の端部を前記先埋め部材の上端部に揺動自在に連結し上端部を設置面に据付けられたベースプレートに前記箱抜き空間から前記第一開口部を通して結合可能にされるので、アンカー部材の姿勢を前記箱抜き空間の中で変化させて大きな施工誤差を許容でき、また構造体に作用した荷重が前記後施工アンカーと先埋め部材とを介して前記基礎に作用して大きな引き抜き耐力を容易に得ることができる。
さらに、本発明に係る実施形態のアンカー工法は、前記アンカー部材が、下端部を前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ上端部を前記箱抜き空間の中に露出された構造部材である先埋め部材と、長尺の構造部材であって一方の端部を前記先埋め部材の上端部に揺動自在に連結し前記箱抜き空間に収納可能な中間部材と、前記中間部材の他方の端部に揺動自在に連結し設置面に据付けられたベースプレートに前記箱抜き空間から前記第一開口部を通して結合可能にされたアンカーロッドと、を有する。
上記本発明の構成により、先埋め部材が下端部を前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ上端部を前記箱抜き空間の中に露出された構造部材であり、中間部材が長尺の構造部材であって一方の端部を前記先埋め部材の上端部に揺動自在に連結し前記箱抜き空間に収納可能にされ、アンカーロッドが前記中間部材の他方の端部に揺動自在に連結し設置面に据付けられたベースプレートに前記箱抜き空間から前記第一開口部を通して結合可能にされるので、アンカー部材の姿勢を前記箱抜き空間の中で変化させて大きな施工誤差を許容でき、また構造体に作用した荷重を前記アンカーロッドと前記中間部材と前記先埋め部材とを介して前記基礎に作用させて大きな引き抜き耐力を容易に得ることができる。
さらに、本発明に係る実施形態のアンカー工法は、前記基礎が上部に接地面を持ち側部に前記箱抜き空間に連通する第二開口部を設けられた台形形状を有する、
上記本発明の構成により、前記基礎が上部に接地面を持ち側部に前記箱抜き空間に連通する第二開口部を設けられた台形形状を有するので、第二開口部から箱抜き空間にアクセスできるので、施工が容易になる。
さらに、本発明に係る実施形態のアンカー工法は、前記基礎が上部に接地面を持ち側部に前記箱抜き空間に連通する第二開口部を設けられた台形形状を有し、準備工程で前記第二開口部を通して前記アンカー部材の組立を行なう。
上記本発明の構成により、前記基礎が上部に接地面を持ち側部に前記箱抜き空間に連通する第二開口部を設けられた台形形状を有し、準備工程で前記第二開口部を通して前記アンカー部材の組立を行なうので、アンカー部材を基礎の施工の後から組み立てることができ、施工が容易になる。
以上説明したように本発明の構造体の下部構造であるベースプレートを設置面に固定するためのアンカー構造は、その構成により、以下の効果を有する。
アンカー部材が、上部に設置面を持つコンクリート製の基礎に埋め込まれ、箱抜き空間を通って設置面に設置されたベースプレートに結合する構造としたので、アンカー部材の姿勢を前記箱抜き空間の中で変化させて大きな施工誤差を許容でき、また構造体に作用した荷重を前記アンカー部材を介して前記基礎に作用させて大きな引き抜き耐力を容易に得ることができる。
また、先埋め部材が上部に設置面を持つコンクリート製の基礎に埋め込まれ、先埋め部材に連結した後施工アンカーが箱抜き空間を通って設置面に設置されたベースプレートに結合する構造としたので、後施工アンカーの姿勢を前記箱抜き空間の中で変化させて大きな施工誤差を許容でき、また構造体に作用した荷重を前記後施工アンカーと先埋め部材とを介して前記基礎に作用させて大きな引き抜き耐力を容易に得ることができる。
また、先埋め部材が上部に設置面を持つコンクリート製の基礎に埋め込まれ、先埋め部材に連結した中間部材とアンカーロッドとが箱抜き空間を通って設置面に設置されたベースプレートに結合する構造としたので、前記中間部材の姿勢を前記箱抜き空間の中で変化させて大きな施工誤差を許容でき、また構造体に作用した荷重を前記アンカーロッドと前記中間部材と前記先埋め部材とを介して前記基礎に作用させて大きな引き抜き耐力を容易に得ることができる。
また、先埋め部材の箱抜き空間に露出する部分をU字形としたので、前記箱抜き空間の中に露出している中央部に前記後施工アンカーを引っ掛けることで、簡易な構造で揺動自在に連結することができる。
また、中間部材の一方の端部をU字形としたので、先埋め部材の上端部をU字形に引っ掛けることで、簡易な構造で揺動自在に連結することができる。
また、中間部材の鎖を先埋め部材の上端部に引っ掛けることで、簡易な構造で揺動自在に連結することができる。
また、前記箱抜き空間が基礎の前記台形形状の側部に開放しているので、第二開口部から箱抜き空間にアクセスできるので、施工が容易になる。
また、以上説明したように本発明の構造体の下部構造であるベースプレートを設置面に固定するためのアンカー工法は、その構成により、以下の効果を有する。
アンカー部材が、上部に設置面を持つコンクリート製の基礎に埋め込まれ、箱抜き空間を通って設置面に設置されたベースプレートに結合する構造とし、箱抜き空間にコンクリートを流し込むので、前記箱抜き空間が固化したコンクリートで埋まり、前記基礎と前記アンカー部材とが一体となり、ベースプレートを設置面に固定できる。
また、前記コンクリート流し込み工程を前記結合工程の後で行なうので、結合工程の後で箱抜き空間の中でアンカー部材の姿勢が安定した後コンクリートが固化し、前記基礎と前記アンカー部材とが一体となり、ベースプレートを設置面に固定できる
また、前記結合工程を前記コンクリート流し込み工程の後のコンクリートが固化する前に行なうので、アンカー部材の姿勢を前記箱抜き空間の中で変化させて大きな施工誤差を許容できた後コンクリートが固化し、前記基礎と前記アンカー部材とが一体となり、ベースプレートを設置面に固定できる。
また、先埋め部材が上部に設置面を持つコンクリート製の基礎に埋め込まれ、先埋め部材に連結した後施工アンカーが箱抜き空間を通って設置面に設置されたベースプレートに結合する構造とし、箱抜き空間にコンクリートを流し込むので、アンカー部材の姿勢を前記箱抜き空間の中で変化させて大きな施工誤差を許容でき、基礎と前記後施工アンカーと先埋め部材とが一体となり、ベースプレートを設置面に固定できる。
また、先埋め部材が上部に設置面を持つコンクリート製の基礎に埋め込まれ、先埋め部材に連結した中間部材とアンカーロッドとが箱抜き空間を通って設置面に設置されたベースプレートに結合する構造とし、箱抜き空間にコンクリートを流し込むので、アンカー部材の姿勢を前記箱抜き空間の中で変化させて大きな施工誤差を許容でき、基礎と前記アンカーロッドと前記中間部材と前記先埋め部材とが一体となり、ベースプレートを設置面に固定できる。
また、前記基礎が上部に接地面を持ち側部に前記箱抜き空間に連通する第二開口部を設けられた台形形状を有するので、第二開口部から箱抜き空間にアクセスできるので、施工が容易になる。
また、前記基礎が上部に接地面を持ち側部に前記箱抜き空間に連通する第二開口部を設けられた台形形状を有し、準備工程で前記第二開口部を通して前記アンカー部材の組立を行なうので、アンカー部材を基礎の施工の後から組み立てることができ、施工が容易になる。
従って、大きな施工誤差を許容する長所と大きな引き抜き耐力を容易に得ることができる長所とを併せ持つアンカー構造とアンカー工法を提供できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
最初に、本発明の第一の実施形態に係るアンカー構造を説明する。図1は、本発明の第一の実施形態に係るアンカー構造の断面図である。図1において、(A)は構造物の据付け前を示し、(B)は構造物の据付け後を示す。
アンカー構造1は、構造体2の下部構造であるベースプレート3を設置面Sに固定するための構造であって、基礎10とアンカー部材20と後込コンクリート30とで構成される。
構造体2は、例えば、プラントの架構、建物等の据付けのための構造である。
ベースプレート3は、例えば、アンカー部材20と結合するための複数のボルト穴が周囲に所定ピッチで設けられた板材である。
設置面Sは、例えば、ベースプレート3の下面が接する面である。
基礎10は、コンクリートででき上部に設置面Sを形成した構造体である。さらに、基礎10は、第一開口面を設置面Sに設けられ、第一開口部О1を通してコンクリートを流し込み可能になった空間である箱抜き空間Hを設けられる。
基礎10の形状を囲う型枠を製作し、型枠に箱抜き空間Hを埋める箱抜き用型枠をセットして、コンクリートを型枠に流し込む。コンクリートが固化した後で、型枠と箱抜き用型枠とを外すと、箱抜き空間Hを備えた基礎10が完成する。
一般に、空間をコンクリートの構造物に施工する際に、空間を設けたい位置に箱抜き用型枠を設置しコンクリートを流し込み、コンクリートが固化した後で箱形状の物体を抜くので、その様な空間を箱抜き空間と呼ぶ。しかし、「箱抜き空間」の用語は作り方を限定する意味ではない。
図1は、略台形の形状をした基礎10を示す。基礎10の台形の上面が設置面Sを形成し、複数の第一開口部О1が設置面Sに設けられる。箱抜き空間Hは、第一開口部О1と底面と側面とに囲われた空間である。
アンカー部材20は、下端部を基礎10に引き抜き不能に埋め込まれ、上端部を設置面Sに据付けられたベースプレート3に箱抜き空間Hから第一開口部О1を通して結合可能にされた長尺の構造部材である。
アンカー部材20は、例えば、下端部をJ字形に屈曲し、上端部に雄ねじが切られた棒材である。アンカー部材20の下端部が基礎10の箱抜き空間Hの底面の下側に埋め込まれる。アンカー部材20の上部が箱抜き空間Hの底面から立ち上がり、第一開口部О1から上方へ突き出ている。
基礎10の型枠にコンクリートを流し込む際に、アンカー部材20を箱抜き用型枠にセットする。
図1は、アンカー部材が下端部をJ字形に屈曲し、上端部に雄ねじが切られた棒材であり、下端部を第一開口部О1の底面の下側に埋め込んでいるのを示している。
後込コンクリート30は、箱抜き空間Hに流し込まれて固化したコンクリートである。
ベースプレート3を設置面Sに設置した後、コンクリートを流し込み用穴(図示せず)から箱抜き空間Hの中に流し込む。コンクリートが固化すると、後込コンクリート30が基礎10とアンカー部材20とを一体化させる。
次に、本発明の第二の実施形態に係るアンカー構造を説明する。図2は、本発明の第二の実施形態に係るアンカー構造の断面図である。図2において、(A)は構造物の据付け前を示し、(B)は構造物の据付け後を示す。
アンカー構造1は、構造体2の下部構造であるベースプレート3を設置面Sに固定するための構造であって、基礎10とアンカー部材20と後込コンクリート30とで構成される。
構造体2は、例えば、プラントの架構、建物等の据付けのための構造である。
ベースプレート3は、例えば、アンカー部材20と結合するための複数のボルト穴が周囲に所定ピッチで設けられた板材である。
設置面Sは、例えば、ベースプレート3の下面が接する面である。
基礎10の構造は、第一の実施形態に係るアンカー構造のものと同じなので説明を省略する。
アンカー部材20は、下端部を基礎10に引き抜き不能に埋め込まれ、上端部を設置面Sに据付けられたベースプレート3に箱抜き空間Hから第一開口部О1を通して結合可能にされた長尺の構造部材であり、先埋め部材21と後施工アンカー22とで構成される。
先埋め部材21は、下端部を基礎10に引き抜き不能に埋め込まれ、上端部を箱抜き空間Hの中に露出した構造部材である。
例えば、先埋め部材21が、中央部をU字形に屈曲され両方の端部を一方の側へ揃えられた棒材である。棒材の両方の端部が基礎10に引き抜き不能に埋め込まれ、棒材の中央部が箱抜き空間Hの中に露出している。板材が、一方の側へ揃えた両方の端部に結合される。
基礎10の型枠にコンクリートを流し込む際に、先埋め部材21を箱抜き用型枠にセットする。
図2は、先埋め部材21が中央をU字形に曲げられた棒材と一方の側へ揃えられた両方の端部に結合した板材で構成され、両方の端部が基礎10に埋め込まれ、U字形の部分が箱抜き空間Hの底面に露出しているのを示している。
後施工アンカー22は、一方の端部を先埋め部材21の上端部に揺動自在に連結し、上端部を設置面に据付けられたベースプレートに箱抜き空間Hから第一開口部О1を通して結合可能にされた長尺の構造部材である。
例えば、後施工アンカー22は、下端部が輪になって、上端部がねじ加工された棒材である。下端部の輪が先埋め部材21の上端部に連結し、ねじ加工された上端部が箱抜き空間Hを通して第一開口部О1から上方に突き出ている。
図2は、後施工アンカー22が、下端部が輪になり上端部に雄ねじが切られた棒材であり、輪が先埋め部材21のU字形の部分に連結し、上端部が箱抜き空間Hを通って第一開口部О1を通して上方へ突き出るのを、示している。
後込コンクリート30は、第一の実施形態に係るアンカー構造のものと同じなので、説明を省略する。
次に、本発明の第三の実施形態に係るアンカー構造を説明する。図3は、本発明の第三の実施形態に係るアンカー構造の断面図である。図3において、(A)は構造物の据付け前を示し、(B)は構造物の据付け後を示す。
アンカー構造1は、構造体2の下部構造であるベースプレート3を設置面Sに固定するための構造であって、基礎10とアンカー部材20と後込コンクリート30とで構成される。
構造体2は、例えば、プラントの架構、建物等の据付けのための構造である。
ベースプレート3は、例えば、アンカー部材20と結合するための複数のボルト穴が周囲に所定ピッチで設けられた板材である。
設置面Sは、例えば、ベースプレート3の下面が接する面である。
基礎10の構造は、第一の実施形態に係るアンカー構造のものと同じなので説明を省略する。
アンカー部材20は、下端部を基礎10に引き抜き不能に埋め込まれ、上端部を設置面Sに据付けられたベースプレート3に箱抜き空間Hから第一開口部О1を通して結合可能にされた長尺の構造部材であり、先埋め部材21と中間部材23とアンカーロッド24とで構成される。
中間部材23とアンカーロッド24とが、上述の後施工アンカー22に相当する。
先埋め部材21は、下端部を基礎10に引き抜き不能に埋め込まれ、上端部を箱抜き空間Hの中に露出された構造部材である。
例えば、先埋め部材21が中央部をU字形に屈曲され両方の端部を一方の側へ揃えられた棒材である。両方の端部が基礎10に引き抜き不能に埋め込まれ、中央部が箱抜き空間Hの中に露出している。板材が、一方の側へ揃えた両方の端部に結合される。
基礎10の型枠にコンクリートを流し込む際に、先埋め部材21を箱抜き用型枠にセットする。
図3は、先埋め部材21が中央をU字形に曲げられた棒材と一方の側へ揃えられた両方の端部に結合した板材で構成され、両方の端部が基礎10に埋め込まれ、U字形の部分が箱抜き空間Hの底面に露出しているのを示している。
中間部材23は、一方の端部を先埋め部材21の上端部に揺動自在に連結し箱抜き空間Hに収納可能な長尺の構造部材である。
中間部材が棒材であって一方の端部をU字形に屈曲されるのが好ましい。U字形の部分が先埋め部材の上端部に連結する。
例えば、中間部材23は下端部と上端部とがU字形となり、両方の端部が溶接により繋がった棒材である。下端部が先埋め部材の上端部に引っ掛かり、上端部がアンカーロッド24に引っ掛かる。
アンカーロッド24は、中間部材23の他方の端部に揺動自在に連結し設置面Sに据付けられたベースプレート3に箱抜き空間Hから第一開口部О1を通して結合可能になっている。
例えば、アンカーロッド24は、下端部が輪になって上端部がねじ加工された棒材である。棒材の下端部が中間部材23のU字形の上端部に連結する。ねじ加工された上端部が、箱抜き空間Hを通して第一開口部О1から上方に突き出ている。
図3は、アンカーロッド24が下端部を輪にされ上端部に雄ねじが切られた棒材であり、輪が中間部23のU字形の部分に引っ掛かり、上端部が箱抜き部材Hを通って第一開口部О1を通して上方へ突き出る、のを示している。
後込コンクリート30は、第一の実施形態に係るアンカー構造のものと同じなので、説明を省略する。
次に、本発明の第四の実施形態に係るアンカー構造を説明する。図4は、本発明の第四の実施形態に係るアンカー構造の断面図である。図4において、(A)は構造物の据付け前を示し、(B)は構造物の据付け後を示す。
アンカー構造1は、構造体2の下部構造であるベースプレート3を設置面Sに固定するための構造であって、基礎10とアンカー部材20と後込コンクリート30とで構成される。
構造体2は、例えば、プラントの架構、建物等の据付けのための構造である。
ベースプレート3は、例えば、アンカー部材20と結合するための複数のボルト穴が周囲に所定ピッチで設けられた板材である。
設置面Sは、例えば、ベースプレート3の下面が接する面である。
基礎10の構造は、第一の実施形態に係るアンカー構造のものと同じなので説明を省略する。
アンカー部材20は、下端部を基礎10に引き抜き不能に埋め込まれ、上端部を設置面Sに据付けられたベースプレート3に箱抜き空間Hから第一開口部О1を通して結合可能にされた長尺の構造部材であり、先埋め部材21と中間部材23とアンカーロッド24とで構成される。
中間部材23とアンカーロッド24とが、上述の後施工アンカー22に相当する。
先埋め部材21の構造は、第三の実施形態に係るアンカー構造のものと同じなので、説明を省略する。
中間部材23は、先埋め部材21の上端部に揺動自在に一方の端部を連結し箱抜き空間Hに収納可能な長尺の構造部材である。
中間部材23が鎖を持つ。鎖が、先埋め部材21のU字形の上端部に連結する。
図4は、全体が鎖でできた中間部材が示される。
アンカーロッド24は、第三の実施形態に係るアンカー構造のものと同じなので、説明を省略する。
後込コンクリート30は、第一の実施形態に係るアンカー構造のものと同じなので、説明を省略する。
次に、本発明の第五の実施形態に係るアンカー構造を説明する。図5は、本発明の第五の実施形態に係るアンカー構造の断面図である。図5において、(A)は構造物の据付け前を示し、(B)は構造物の据付け後を示す。
アンカー構造1は、構造体2の下部構造であるベースプレート3を設置面Sに固定するための構造であって、基礎10とアンカー部材20と後込コンクリート30とで構成される。
構造体2は、例えば、プラントの架構、建物等の据付けのための構造である。
ベースプレート3は、例えば、アンカー部材20と結合するための複数のボルト穴が周囲に所定ピッチで設けられた板材である。
設置面Sは、例えば、ベースプレート3の下面が接する面である。
基礎10は、コンクリートででき上部に設置面Sを形成し、台形形状の構造体である。さらに、基礎10は、第一開口面を設置面Sに設けられ、第一開口部О1を通してコンクリートを流し込み可能になった空間である箱抜き空間Hを設けられる。さらに、基礎10が側部に箱抜き空間Hに連通する第二開口部О2を設けられる。
基礎10の形状を囲う型枠を製作し、型枠に箱抜き空間Hを埋める箱抜き用型枠をセットして、コンクリートを型枠に流し込む。コンクリートが固化した後で、型枠と箱抜き用型枠を外すと、箱抜き空間Hを備えた基礎10が完成する。
一般に、空間をコンクリートの構造物に施工する際に、箱形状の物体を空間を設けたい位置に設置しコンクリートを流し込み、コンクリートが固化した後で箱形状の物体を抜くので、その様な空間を箱抜き空間と呼ぶ。しかし、「箱抜き空間」の用語は作り方を限定する意味ではない。
図5は、略台形の形状をした基礎10を示す。基礎10の台形の上面が設置面Sを形成し、複数の第一開口部О1が設置面Sに設けられる。箱抜き空間Hは、第一開口部О1と第二開口部О2と底面と側面とに囲われた空間であり、第一開口部О1の一辺と第二開口部О2の一辺とが設置面の縁で繋がっている。
アンカー部材20は、第三の実施形態に係るアンカー構造のものと同じなので、説明を省略する。
後込コンクリート30は、箱抜き空間Hに流し込まれて固化したコンクリートである。
ベースプレート3を設置面Sに設置した後、コンクリートを第二開口部О2から箱抜き空間Hの中に流し込む。コンクリートが固化すると、後込コンクリート30が基礎10とアンカー部材20とを一体化させる。
以下に、本発明の実施形態に係るアンカー工法を、説明する。
アンカー工法は、構造体の下部構造であるベースプレートを設置面に固定するための工法であって、準備工程と据付け工程と結合工程とコンクリート流し込み工程とで構成される。
結合工程とコンクリート流し込み工程の施工とを、以下の2つの手順で行なうのが好ましい。
第一の方法では、コンクリート流し込み工程を前記結合工程の後で行なう。
第二の方法では、結合工程をコンクリート流し込み工程の後のコンクリートが固化する前に行なう。
準備工程は、上述した第一乃至五の実施形態にかかるアンカー構造の基礎とアンカー部材を準備する工程である。
準備工程には2つの方法がある。
第一の方法を説明する。
第一乃至第五の実施形態にかかるアンカー構造のアンカー部材を設置した状態でコンクリートを基礎10の型枠に流し込む。型枠をばらし、箱抜き用型枠を抜くと、アンカー構造の基礎とアンカー部材を準備できる。
第二の方法を説明する。
第五の実施形態に係るアンカー構造で説明した基礎を採用した場合は、第二開口部О2から箱抜き空間にアクセスすることが比較的容易である。従って、第二乃至第五の実施形態に係るアンカー構造で説明したアンカー部材を採用した際に、先埋め部材を埋め込んだ基礎を準備した後で、先埋め部材に後施工アンカーまたは中間部材とアンカーロッドを連結して、アンカー部材を組み立てることができる。
据付け工程は、構造体2のベースプレート3を基礎10の接地面Sに据付ける工程である。
ベースプレート1を設置面に据付ける際に、ベースプレートに設けられた結合用のボルト穴にアンカー部材20の上端部を通す。
アンカー部材20の上端部の位置とボルト穴の位置とがずれている場合には、アンカー部材の姿勢を箱抜き空間Hの中で変形させて、アンカー部材20の上端部をボルト穴に通す。
第一の実施形態に係るアンカー構造の場合は、アンカー部材20を弾性変形、または塑性変形させる。
第二乃至第五の実施形態に係るアンカー構造の場合は、アンカー構造の連結部で揺動するので、アンカー部材20の上端部をボルト穴に通すことが比較的容易にできる。
結合工程は、アンカー部材1の上端部を設置面Sに据付けられたベースプレート3に結合する工程である。
例えば、アンカー部材の上端部に切られた雄ねじにナット25をねじ込む。ベースプレート3が設置面に押し付けられ、基礎10に固定される。
コンクリート流し込み工程は、箱抜き空間にコンクリートを流し込む工程である。
コンクリートを流し込み用穴(図示せず)または第二開口部から箱抜き空間に流し込む。コンクリートが固化すると、一体となった基礎とアンカー部材とが、設置面に設置されたベースプレートを固定する。
上述の実施形態のアンカー構造とアンカー工法とを用いれば、以下の効果を発揮する。
コンクリートでできた基礎の接地面に第一開口部を設け、第一開口部に連通する箱抜き空間を基礎に設け、基礎に埋め込んだアンカー部材を箱抜き空間から第一開口部を通して上方へ導き、アンカー部材をベーススレートに結合して、構造体を接地面に接地する様にしたので、アンカー部材の姿勢を箱抜き空間の中で変化させて、基礎の製作誤差や構造体の変形による据付け誤差を許容でき、またアンカー部材に作用する引き抜き力をアンカー部材の基礎に埋め込まれた部分で受けるので大きな引き抜き耐力を確保できる。
また、アンカー部材を、基礎に予め埋め込んだ先埋め部材と箱抜き空間から第一開口部へ出る後施工アンカーとで構成し、先埋め部材と後施工アンカーとを揺動自在に連結したので、アンカー部材の姿勢を箱抜き空間の中で容易に変化させることができ、基礎の製作誤差や構造体の変形による据付け誤差を許容できる。
また、後施工アンカーを中間部材とアンカーロッドとで構成し、中間部材とアンカーロッドとを揺動自在に連結したので、アンカー部材の姿勢を箱抜き空間の中でさらに容易に変化させることができ、基礎の製作誤差や構造体の変形による据付け誤差を許容できる。
また、先埋め部材をU字形に折れ曲がった棒材で作り、中間部材のU字部と連結するので、簡単な構造で先埋め部材と中間部材を揺動自在に連結できる。
また、中間部材を鎖で製作するので、アンカー部材の姿勢を箱抜き空間の中でさらに容易に変化させることができ、基礎の製作誤差や構造体の変形による据付け誤差を許容できる。
また、箱抜き空間に連通する第二開口部を基礎の側部に設けるので、第二開口部を通して箱抜き空間のアンカー部材にアクセスでき、施工が容易になる。
また、ベースプレートをアンカー部材に連結した後でコンクリートを箱抜き空間に流し込み固化させるので、アンカー部材の姿勢を箱抜き空間の中で変化させた後でコンクリートが固化し、大きな施工誤差を許容できる。
また、箱抜き空間にコンクリートを流しこんだ後コンクリートが固化するまでにベースプレートをアンカー部材に連結するので、アンカー部材の姿勢を箱抜き空間の中で変化させた後でコンクリートが固化し、大きな施工誤差を許容できる。
また、基礎の第二開口部を通して、2分割又は3分割したアンカー部材を組み立てるので、施工が容易になる。
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
基礎10の形態とアンカー部材20の組みあわせは、第一乃至第五の実施形態で説明したものに限定されす。例えば、第一、第二または第四の実施形態で説明したアンカー部材に第二開口部をもつ基礎を組みあわせてもよい。
アンカー部材の上端部を雄ねじが切られた例で説明したがこれに限定されず、例えば、上端部に雌ねじが切られていてもよい。
本発明の第一の実施形態に係るアンカー構造の断面図である。 本発明の第二の実施形態に係るアンカー構造の断面図である。 本発明の第三の実施形態に係るアンカー構造の断面図である。 本発明の第四の実施形態に係るアンカー構造の断面図である。 本発明の第五の実施形態に係るアンカー構造の断面図である。
符号の説明
H 箱抜き空間
О1 第一開口部
О2 第二開口部
S 設置面
1 アンカー構造
2 構造体
3 ベースプレート
10 基礎
20 アンカー部材
21 先埋め部材
22 後施工アンカー
23 中間部材
24 アンカーロッド
25 ナット
30 後込コンクリート

Claims (14)

  1. 構造体の下部構造であるベースプレートを設置面に固定するためのアンカー構造であって、
    コンクリートででき上部に設置面を形成した構造体であって該設置面に設けられた第一開口部を通してコンクリートを流し込み可能になった空間である箱抜き空間を設けられた基礎と、
    長尺の構造部材であって下端部を前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ上端部を設置面に据付けられたベースプレートに前記箱抜き空間から前記第一開口部を通して結合可能にされたアンカー部材と、
    を備えることを特徴とするアンカー構造。
  2. 前記アンカー部材が、
    下端部を前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ上端部を前記箱抜き空間の中に露出した構造部材である先埋め部材と、
    長尺の構造部材であって一方の端部を前記先埋め部材の上端部に揺動自在に連結し上端部を設置面に据付けられたベースプレートに前記箱抜き空間から前記第一開口部を通して結合可能にされた後施工アンカーと、
    を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のアンカー構造。
  3. 前記アンカー部材が、
    下端部を前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ上端部を前記箱抜き空間の中に露出された構造部材である先埋め部材と、
    長尺の構造部材であって一方の端部を前記先埋め部材の上端部に揺動自在に連結し前記箱抜き空間に収納可能な中間部材と、
    前記中間部材の他方の端部に揺動自在に連結し設置面に据付けられたベースプレートに前記箱抜き空間から前記第一開口部を通して結合可能にされたアンカーロッドと、
    を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のアンカー構造。
  4. 前記先埋め部材が棒材であって中央部をU字形に屈曲され両方の端部を一方の側へ揃えられ、
    前記両方の端部が前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ、
    前記中央部が前記箱抜き空間の中に露出している、
    ことを特徴とする請求項2または請求項3のうちのひとつに記載のアンカー構造。
  5. 前記中間部材が棒材であって一方の端部をU字形に屈曲され、
    前記U字形が前記先埋め部材の上端部に連結する、
    ことを特徴とする請求項3に記載のアンカー構造。
  6. 前記中間部材が鎖を持ち、
    前記鎖が前記先埋め部材の上端部に連結する、
    ことを特徴とする請求項3に記載のアンカー構造。
  7. 前記基礎が上部に接地面を持ち側部に前記箱抜き空間に連通する第二開口部を設けられた台形形状を有する、
    ことを特徴とする請求項2または請求項3のうちのひとつに記載のアンカー構造。
  8. 構造体の下部構造であるベースプレートを設置面に固定するためのアンカー工法であって、
    コンクリートででき上部に設置面を形成した構造体であって該設置面に設けられた第一開口部を通してコンクリートを流し込み可能になった空間である箱抜き空間を設けられた基礎と長尺の構造部材であって下端部を前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ上端部を設置面に据付けられたベースプレートに前記箱抜き空間から前記第一開口部を通して結合可能にされたアンカー部材とを準備する準備工程と、
    構造体のベースプレートを前記基礎の接地面に据付ける据付け工程と、
    前記アンカー部材の上端部を設置面に据付けられた前記ベースプレートに結合する結合工程と、
    前記箱抜き空間にコンクリートを流し込むコンクリート流し込み工程と、
    を備える、
    ことを特徴とするアンカー工法。
  9. 前記コンクリート流し込み工程を前記結合工程の後で行なう、
    ことを特徴とする請求項8に記載のアンカー工法。
  10. 前記結合工程を前記コンクリート流し込み工程の後のコンクリートが固化する前に行なう、
    ことを特徴とする請求項8に記載のアンカー工法。
  11. 前記アンカー部材が、
    下端部を前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ上端部を前記箱抜き空間の中に露出された構造部材である先埋め部材と、
    長尺の構造部材であって一方の端部を前記先埋め部材の上端部に揺動自在に連結し上端部を設置面に据付けられたベースプレートに前記箱抜き空間から前記第一開口部を通して結合可能にされた後施工アンカーと、
    を有する、
    ことを特徴とする請求項8に記載のアンカー工法。
  12. 前記アンカー部材が、
    下端部を前記基礎に引き抜き不能に埋め込まれ上端部を前記箱抜き空間の中に露出された構造部材である先埋め部材と、
    長尺の構造部材であって一方の端部を前記先埋め部材の上端部に揺動自在に連結し前記箱抜き空間に収納可能な中間部材と、
    前記中間部材の他方の端部に揺動自在に連結し設置面に据付けられたベースプレートに前記箱抜き空間から前記第一開口部を通して結合可能になったアンカーロッドと、
    を有する、
    ことを特徴とする請求項8に記載のアンカー工法。
  13. 前記基礎が上部に接地面を持ち側部に前記箱抜き空間に連通する第二開口部を設けられた台形形状を有する、
    ことを特徴とする請求項8に記載のアンカー工法。
  14. 前記基礎が上部に接地面を持ち側部に前記箱抜き空間に連通する第二開口部を設けられた台形形状を有し、
    準備工程で前記第二開口部を通して前記アンカー部材の組立を行なう、
    ことを特徴とする請求項11または請求項12のうちのひとつに記載のアンカー工法。
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