JP2005256155A - 高効率電極配列よりなる電解水素供給装置とそれを用いた水処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】陰陽極を有する電解槽に於いて、槽内に少なくとも一系列の陰極機能部と少なくとも一系列の活性バイオリアクター機能部を設けるに際し、陽極の高電流密度下に該両機能部間で電子供与体を受理した媒体が循環可能な如く配置すると共に陰極と陽極の電極間距離を減少させた構造とすることを特徴とする高効率電極配列よりなる電解水素供給装置である。
更に陰極機能部として、多重型電極を採用し高効率電極配列とするが、特に陰極の構成に粒状活性炭や金属粒子等の電気伝導体を詰めた多重電極リアクターとすることにより機能効果を追求した電解水素供給装置を目指したものである。
【選択図】 図1
Description
しかしながら、これらの方式では供給する有機物による汚染や反応律速のコントロール面で不都合な点が多く、同時に処理効率が悪いためにこれらを改善すべく各種の提案(例えば、特許文献1参照)がなされている。
特許文献1には電解方式で陰極用材料に生体触媒を固定した電極を被処理水中に陰極として採用し通電し水処理する方法が提案されている。
この様な方法を採用すれば、陽極と陰極間のイオンの移動が容易になり、電極電流が独立して制御できる点、メッシュ電極の為に被処理水と生物電極が効率良く接触出来るとしている。
これの改善策として、装置内に二酸化炭素(CO2)を注入して電解質濃度を上げ液導電率を上昇させる方法が考えられる。しかしながら、多量の二酸化炭素を絶えず注入する必要があり処理コストの増加を上昇させる要因となる。
また、もう一つの改善策として、各陰極板に定電流制御回路を配して電流密度の均一化を図っている(例えば、特許文献3参照)が、各陰極と陽極間の距離が増加するにつれて電圧降下が進行し、その結果として電力が無駄に消費される点で好ましくない。
この特許文献4である公開公報に記載された装置および方法によると、陽極と陰極との間に通電して水の脱窒処理を行う水処理に際し、陰極の周囲に微生物を坦持した導電性粒子を配する事により、陰極に通電した場合導電性粒子を媒体として電極有効面積を極めて大きく取れるために電流密度を低くおさえることが出来るとしている。
この処置により陰極領域の均等電流が可能となり電流密度が均一となる為に水素の利用効率と電流効率が改善できるとしている。しかしながら、このような処置は浄化槽程度の比較的に小さな装置では有効であるが、装置が大規模化し、陰極部分の寸法が増大すると
しかしこれらの方法では、いずれもガス態の水素を活用するが水中への溶解速度が遅く、その上絶対溶解量が不十分で本発明の目的を達成できる手段として有効ではない。
従来より、実用性を加味し工業的コストを意識した詳細な検討では、安全性と取扱い面の容易性、安定した再現性を担保出来る技術の実現が元来望まれている。
同時に、被処理水に電解水素を介在せしめ循環水とした上、夫々多方向よりPBRに通水し、更にこれら反応拠点間を移動可能な如く設営し、一方陽極の比表面積を小さくして電流密度を0.1mA/cm2以上に高めれば、発生する酸素気泡サイズが大きくなり系外への排除が容易となり、溶存酸素に因る脱窒阻害を防止出来ることを見出し本発明に到達した。
ここに採用する陰極機能部として、粒状活性炭を詰めた多重電極リアクターとする事、更には粒状活性炭等の電気伝導性粒状物質群を充填したステンレス鋼製メッシュを用いる事が好ましい。
本発明で対象となる主要な細菌は、混合栄養細菌である水素細菌で予め別途に増殖培地にて生物膜を形成せしめ、成膜と馴養を経て機能化するか或いは浮遊菌体フロックとして、処理工程にバイオリアクターとして投入する。
この種のバイオリアクターとしては、既に陰極部に固定床として使用されるケースが公知であるが、本発明の方法はこれと併用することも出来る。
更に、陰陽極に基づく電気分解により発生するガス体が、混合しないように両極間に仕切りを設ける事が好ましい。この事により、少なくとも陽極にて発生する酸素ガスの溶解により受ける阻害要件を、かなり低減出来る点に於いて本発明は画期的な方策である。
しかしながら、イオン交換膜は陽極材と共に一般的に極めて高価であるため、陽極材およびイオン交換膜の使用量を極力抑え、更に陰極と陽極間の距離を減少させて消費電力を抑える手段を講じる。その他、維持管理や消耗部材交換等が容易な装置構造を採用する。
さらに、溶存水素を効率よく供給するためには、広い有効面積を有する陰極構造、イオン交換膜内のイオン輸送(水素イオン)がスムーズに進行し、且つ膜表面に無機物の析出および生物膜形成が起こり難い構造と運転条件が要求される。
以上の説明で明白であるが、特に陽極部分と陰極部分を含めたモジュール化して容易な構造として、陽極層および陽極面を小さくすることによって水素イオン濃度を上昇させ、イオン交換膜内に大きな水素イオン濃度分布を形成させる事が可能となる。この事は、無機物の析出や生物膜形成を抑止する効果を得ると共に、イオン交換膜の劣化を抑え長期使用を可能にする。
陰極にて発生する水素ガスは、本来僅かな水溶解度を示す程度で本発明で求める如く、少しでも多くの溶存水素量に対し水素の物質移動速度を今後は更に改善する必要性を感じる。
スポンジの材質としては、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン等の高分子化合物、不織布、セラミックス等で、孔を有するものを用いることができる。
一方、電解装置に於いては陰極の表面に付着するスケールを除去する必要が有る。特に、地下水を対象とするとカルシューム分が含まれている場合が多く、炭酸カルシュームの層が蓄積する。炭酸カルシュームが陰極の表面に析出すると、電気抵抗が大きくなり電圧の上昇へと繋がる。
防止策として、陰極表面の洗浄が必要となる。従来は、強酸により取り除かれたが、本発明ではバイオリアクターを用いる関係上、強酸を用いる事は問題であり陰極の極性を変える事により陰極表面のpH値を直接低く変化せしめる事により安定に洗浄を行う事が出来る。これを繰り返し電圧が本来の数値に戻り次第完了と見る事が出来る。
即ち、第一に多重電極システムの採用、第二に電気分解により発生した水素ガスとその溶解及びバイオリアクターでの反応、第三に陰陽両極に発生する電解ガスの分離を機能的構成により達成し運転効率の改善と高負荷運転を可能とした。
これらの結果として、従来行われていた二酸化炭素の注入と脱窒に必要な電気エネルギーを極力抑えた新規方式となった。
この様に画期的な本発明の出現により、従来では対象に出来なかった硝酸イオンで汚染された地下水を低廉な手段にて脱窒処理し、汚染地域に有る地下水に対して安全で安定した飲料水の供給が可能となった。
この様に本発明は、その工業的効果は著大である。
ここに於いて、一回のリアクターでの接触では十分な生体反応が終了しない場合は、流出水を再度電解水素供給装置に返送して循環させる。
陽極の構造は、円筒状あるいは円柱メッシュ状の不溶性電極を同心円形になるように配列する。
これらの陰極と陽極との間には、隔離材としてスポンジを装着し、酸素ガスと水素ガスの混合が抑制される構造とする事が必要で有る。
電極間には、イオン通過性絶縁材で隔離して粒状活性炭を充填し、被処理水は多重電極部分を高速で上昇し、この際電極(活性炭表面)から発生する水素が被処理水中に溶解する。これにより、溶存水素を含んだ被処理水が高効率で生成される。
図5は、電解水素供給装置の性能を示すデータで、通電々流値と水素溶解速度との関係を示したものである。
図6は、本発明と比較の為に多重電極の代わりに陰極部分を結線して単電極とし、これと陽極間とで図5と同様の方式で通電した結果を示す。
以下、上記の構成で本発明の効果を実施例により説明する。
なお、溶存水素は充填層内に窒素ガスを5L/minで注入して曝気しがら放散させ、装置から排出される窒素ガス中に存在する水素ガス量より測定した。
得られた実験結果を図5に示した。図5より、溶存水素の生成量は電流値と比例関係にあり、また、次式で示される理論量とほぼ一致し、本発明の電解装置はほぼ100%の効率で電解水素を被処理水中に溶解させることが出来た。
2H2O+2e−→H2+2OH−
水中に水素を溶存させる事が出来れば、若干の栄養塩類(リン酸塩)を被処理水に添加する事により、水中に溶存した硝酸塩を窒素ガスに生物学的に還元出来る事が知られている。従って、相当量の水素ガスを水中に溶解する本発明の電解装置と生物学的反応器を連結すれば高効率の脱窒処理が可能であると言える。
その結果は、図6に示すとおりである。
この様な現象が示されるのは、陽極に近い陰極部分のみで水の電解反応が生じ、多くが気泡として生成されるためで、図6に示されている水素溶解速度は図5の結果よりもかなり低くなっている。
これまでに報告されている種々の水素溶解装置における数値と、本発明の方法によるそれを比較すると次の表1に示す結果となる。
本発明の第二の特徴は、電解水素供給装置を生物反応槽と連結し被処理水を循環させることにより、硝酸塩含有水等の処理を低廉且つ安定して行うことが出来る点である。
本発明の第三の特徴は、電極である陰極部等に析出する難溶性塩類(スケール等)は極性切替え操作等により容易に剥奪する事が出来、維持管理面が容易となり実用的である。
本発明の第四の特徴は、電気分解により発生するガス体が混合しないように両極間に仕切りを設ける事により、高電流密度下に水処理が可能である。
2 電解水素供給装置
a 陽極電極
b スポンジ
c 陰極体
d イオン通過性絶縁材
g 底板
p 外側パイプ
z 活性炭充填物
OG 廃酸素ガス
WI 流入未処理液
WO 流出処理液
A−A’ 断面図用切断面
Claims (9)
- 陰陽極を有する電解槽に於いて、槽内に少なくとも一系列の陰極機能部と少なくとも一系列の活性バイオリアクター機能部を設けるに際し、陽極の高電流密度下に該両機能部間で電子供与体を受理した媒体が循環可能な如く配置すると共に電極間距離を減少させた構造とすることを特徴とする高効率電極配列よりなる電解水素供給装置。
- 該陰極機能部として、多重型電極とする事を特徴とする請求項1記載の高効率電極配列よりなる電解水素供給装置。
- 該陰極機能部として、粒状活性炭や金属粒子等の電気伝導体を詰めた多重電極リアクターとする事を特徴とする請求項1ないし2記載の高効率電極配列よりなる電解水素供給装置。
- 該陰極機能部として、粒状活性炭や金属粒子等の電気伝導体を充填したステンレス鋼等の電気伝導体製メッシュを用いる事を特徴とする請求項1ないし3記載の高効率電極配列よりなる電解水素供給装置。
- 該陰極機能部の極性を変える事により陰極表面のpH値を直接低く変化せしめ洗浄する事を特徴とする請求項1ないし4記載の高効率電極配列よりなる電解水素供給装置。
- 該バイオリアクター機能部として、固定床単独或いは流動床リアクターを併用する事を特徴とする請求項1ないし5記載の高効率電極配列よりなる電解水素供給装置。
- 該陰陽極として、陽極部がプラチナコーテイングチタンメッシュ等の不溶性金属メッシュにて製作されている事を特徴とする請求項1ないし6記載の高効率電極配列よりなる電解水素供給装置。
- 該陰陽極に基づく電気分解により発生するガス体が、混合しないように両極間に仕切りを設ける事を特徴とする請求項1ないし7記載の高効率電極配列よりなる電解水素供給装置。
- 上記請求項1ないし8に記載の装置を用いた水処理方法。
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