JP2005255761A - ガスバリア性蒸着用ポリエステルフィルム及び蒸着ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 極めて薄い蒸着膜であっても高いガスバリア性を示す蒸着ポリエステルフィルムを安定して生産することが可能となる蒸着用ポリエステルフィルムを提供すること、さらに、これによって優れたガスバリア性を有する蒸着ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】 少なくとも片面が蒸着膜形成用表面である2軸配向ポリエステルフィルムであって、蒸着膜形成用表面において大きさ10μm以上、深さ50nm以上の陥没構造を周囲に伴う突起数が10ヶ/0.2mm2以下、かつ少なくとも片側表面での突起数(SPc)が20ヶ/0.1mm2以上、十点平均粗さ(SRz)が300nm以上かつポリエステルフィルム中に含まれる長径が50μm以上である金属触媒凝集物、粗大粒子および異物の合計が30ヶ/1000cm2以下であることを特徴とする蒸着用ポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸素及び水蒸気に対する遮断性に優れた蒸着ポリエステルフィルム、及びそのために好適な蒸着用ポリエステルフィルムに関するものである。
食品や薬品を長期保存するためには、その腐敗や変質を防ぐために外部からの酸素や水蒸気の浸入を遮断する効果をもつ包装材で包装する必要がある。この目的に使用されるガスバリア性に優れたフィルム包装材料や工業材料としては、ポリ塩化ビニリデンやエチレンビニルアルコール共重合体を積層したフィルムが知られているが、酸素・水蒸気に対するバリア性が十分ではなく、しかも、特に高温での殺菌処理時においてそのバリア性が著しく低下する。また、ポリ塩化ビニリデンは廃棄焼却時に塩素系ガスが発生するため焼却炉の腐食や地球環境への悪影響が指摘されており、更に排ガスを浄化するための焼却炉への負担も大きいとされている。
一方、蒸着によりアルミニウム等の金属膜を形成したポリエステルフィルムは良好なガスバリア性を示し、また、酸化珪素や酸化アルミニウム膜を形成した透明蒸着フィルムは内容物の状態を確認できる可視性に優れているため好まれている。これら蒸着フィルムに対し近年は、品質向上の要求や、内容物の長期保存性を高めるためにガスバリア性のさらなる向上の要求がより一層強くなってきている。
しかしながら、基材フィルムの表面状態起因する蒸着膜のピンホールのためガスバリア性の一層の向上が難しい問題があった。また、金属蒸着膜が脆いため、製造工程において蒸着膜のクラックなどの欠点によりガスバリアの安定性が悪く、良好なガスバリア性をもつ蒸着フィルムの工業的製造は容易ではなく、安定した生産が難しいという問題があった。
これらの問題は特に酸化珪素や酸化アルミニウム膜を形成した透明蒸着フィルムで顕著であった。
これらを解決するために、蒸着面の表面突起状態に着目し、蒸着膜成形表面の突起数や突起高さを規定したもの(特許文献1参照)や蒸着膜形成表面における微細な突起状態を規定したもの(特許文献2参照)、またフィルムの剛性度に着目し面配向を規定したもの(特許文献3参照)などが提案されているが、配向状態や突起状態を規定するだけでは蒸着後のバリア性が、特に生産性やコストに優れた膜厚10nm前後の非常に薄い蒸着膜を形成した場合に安定して達成できないという問題があった。またバリア性を向上されるためにPEN樹脂を積層させ面配向係数を規定したものも提案されてるがコストが高くなるなどの問題がある。安価な原料を使用しかつ高速での製膜が可能なフィルムの生産性に優れ、かつ蒸着膜厚が非常に薄い膜厚でも安定したガスバリアフィルム性を有する、コストや生産性に優れた透明蒸着ポリエステルフィルムを得るための手段は見出されていない。
特開平8−156183号公報(特許請求の範囲) 特開2002−370277号公報(特許請求の範囲) 特開平11−10725号公報(特許請求の範囲) 特開平11−320789号公報(特許請求の範囲)
そこで、本発明は、上述のような問題を解決し、極めて薄い蒸着膜であっても高いガスバリア性を示す蒸着ポリエステルフィルムを安定して生産することが可能となる蒸着用ポリエステルフィルムを提供すること、さらに、これによって優れたガスバリア性を有する蒸着ポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ガスバリア性が2軸配向ポリエステルフイルムの表面の極小さな陥没構造、特に表面突起周辺に発生する突起高さと比較すると極めて浅い陥没構造を制御する事と同時に、フィルム中に存在する金属触媒凝集物などの異物数を規定値以下に保つ事で、極薄い膜厚でも優れたバリア性を示しかつ飛躍的にガスバリア性の安定性が増すことをを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち本発明は、少なくとも片面が蒸着膜形成用表面である2軸配向ポリエステルフィルムであって、蒸着膜形成用表面において、大きさ10μm以上、深さ50nm以上の陥没構造を周囲に伴う突起数が10ヶ/0.2mm2以下、かつ少なくとも片側表面での突起数(SPc)が20ヶ/0.1mm2以上、十点平均粗さ(SRz)が300nm以上、かつポリエステルフィルム中に含まれる長径50μm以上である金属触媒凝集物、粗大粒子および異物の合計が30ヶ/1000cm2以下であることを特徴とする蒸着用ポリエステルフィルムおよび蒸着ポリエステルフィルムである。
本発明によれば、極めて薄い蒸着膜においても、蒸着膜欠陥が少なく高いガスバリア性を安定的に発現することができ、かつ安価で生産性に優れた蒸着用2軸延伸ポリエステルフィルムおよび優れたガスバリア性を有する蒸着ポリエステルフィルムを提供することができる。また、本発明は蒸着膜が透明である透明蒸着ポリエステルフィルムの場合に特に顕著な効果が得られる。
本発明の蒸着用ポリエステルフィルムにおいては、少なくとも片面が蒸着膜形成用表面であり、この蒸着膜形成用表面における大きさ10μm以上、深さ50nm以上の陥没構造を周囲に伴う突起数は10ヶ/0.2mm2以下であることを要する。好ましくは7ヶ/0.2mm2以下、さらに好ましくは5ヶ/0.2mm2以下であることが望ましい。この陥没構造を周囲に伴う突起数が10ヶ/0.2mm2を越えると、その構造の物理的形状やあるいは陥没部位に部分的に吸着した水分子の影響により、蒸着膜層の微小ピンホール欠陥が増加し、ガスバリア性が悪化する。ここで言う突起の周囲とは、突起の中心点から半径5μmの範囲の事であり、この領域に陥没構造を伴うと、ガスバリア性悪化の程度が大きい。また、このガスバリア性の悪化は特に透明蒸着の場合に顕著である。
この陥没構造はポリエステルフィルムに滑剤として含有される粒子とポリエステル樹脂との界面が延伸時(逐次2軸の場合は特に幅方向延伸時)にわずかに剥離することによって、粒子の周囲にわずかな陥没を生じる。よって、この界面剥離を防止するよう滑剤やポリエステルの配向や延伸方法を制御することにより、陥没構造を伴う突起数を10ヶ/0.2mm2以下とすることが可能となる。方法としては特に限定されないが、好ましい手法として以下の方法があげられる。例えば、添加する外部粒子として延伸時に変形しポリエステル樹脂の流れに追従しやすいように、粗大粒子が少なくかつ比表面積が大きな多孔質粒子を用いることが望ましい。具体的には、粒子の比表面積が気体吸着BET法にて250m2/g以上である多孔質粒子であることが望ましい。また、粗大粒子の周辺にも陥没構造が発生しやすいため、それらを取り除くあるいは粉砕するために、押出機から押し出された溶融ポリマーをステンレス繊維を焼結圧縮した平均目開き5〜15μm、特に好ましくは5〜10μmのフィルターを使用するなどの方法も挙げられる。
また、長手方向の延伸においては、予熱・延伸時のフィルム温度を熱結晶化温度(Tmc)−15℃以下に制御することが好ましい。ただし、予熱・延伸温度を低く設定しすぎると、特にフィルム端部が過延伸となり、フィルムの破れが発生しやすくなり長手方向の延伸倍率を高く設定できないが、長手方向の延伸倍率は、生産性・製造コストの点から4.0倍以上とすることが好ましい。陥没構造を伴う突起の発生を抑制し、フィルムの破れがなくかつ延伸倍率4.0倍以上を達成するためには、延伸時の端部過延伸を防止するために、端部のみを赤外線ヒーターなどで加熱する方法が好ましく用いられる。また、そのよう装置を用いなくても予熱温度をガラス転移温度(Tg)+25℃以上かつ熱結晶化温度(Tmc)−15℃以下かつ5秒以内に制御し、延伸方法としては多段延伸法を用い、1段目の延伸温度をガラス転移温度(Tg)+35℃以上で2.0倍以下、2段目以降の延伸温度を1段目よりも5℃以上低い温度でトータル2.0倍以上延伸する組み合わせを用いることが望ましい。この方法を用いることで、フィルム端部の過延伸やネックダウンが少なく、粒子とポリエステル樹脂界面の剥離による陥没が少なく、かつ長手方向に4.0倍以上の倍率で延伸できることで、製膜速度を上げることができ生産性が上がりコストが下がるため好ましい。また、長手方向の延伸倍率が6.0倍を超えると、表面陥没構造の数が増加するため好ましくない。
長手方向、次に幅方向の逐次2軸延伸方法においては、一軸延伸した後のポリエステルフィルムの長手方向の配向(nMD)と横方向の配向(nTD)の差△N(△N=nMD−nTD)を0.06以上0.10以下に制御することが幅方向延伸時に陥没構造を伴う突起を作りにくく好ましい。
幅方向延伸時は予熱、延伸時のフィルム温度をガラス転移温度(Tg)+10℃以上、熱結晶化温度(Tmc)−25℃以下とし、予熱時間を3秒以下、平均延伸速度を180%/秒以下、好ましくは160%/秒以下、幅方向延伸ゾーンの中間点における延伸倍率を、幅方向延伸終了時の倍率の55〜70%とすることが好ましい方法として挙げられる。
また2軸延伸フィルムの長手方向の屈折率(nMD)と幅方向の屈折率の差 △N(△N=nMD−nTD)が−0.010〜+0.010、好ましくは−0.008〜+0.008となるように長手方向、幅方向延伸条件を設定することが陥没構造を作りにくく、かつ各種特性のバランスがよく好ましい。
上記、長手方向延伸方法と幅方向延伸方法を組み合わせる事で製膜速度が速くかつ破れが少ないなどの高い生産性を有すると共に、特別な装置を必要としなくても陥没構造を伴う突起の発生を抑制できるため特に好ましい延伸方法として挙げられる。
また、長手方向と幅方向延伸倍率の積である全延伸倍率は9倍〜22倍が好ましい。全延伸倍率が22倍を超えると、添加粒子とポリエステル樹脂間にボイドが発生しやすくなり、陥没構造を伴う突起の数が増加し、ガスバリア性が悪化する。また、全延伸倍率が9倍以下である場合は、フィルムの厚みムラが悪化したり、生産性や製造コストに劣るため好ましくない。
本発明のフィルム中において、長径50μm以上である金属触媒凝集物、粗大粒子および異物の合計は30ヶ/1000cm2以下(0ヶ/1000cm2を含む)であり、さらに好ましくは20ヶ/1000cm2以下、特に好ましくは10ヶ/1000cm2以下である。これらフィルム中の異物個数の合計が30ヶ/1000cm2を超えると、異物部分が表面に突起を形成し、その突起部分を核とし大きな蒸着膜の欠陥が発生しやすく、それによりガスバリア性が低下する。このガスバアリア性の低下は透明蒸着の場合に、特に顕著である。
これら金属触媒凝集物、粗大粒子および異物の個数を低減する方法は特に限定されないが、例えば製膜時のポリエステル樹脂のフィルターとして平均目開き5〜15μm、好ましくは5〜10μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルター(FSS)を使用することが好ましい。、また上記ステンレス繊維を焼結圧縮したフィルターの後に、平均目開き10〜30μmのステンレス鋼粉体を焼結したフィルター(PSS)をこの順で連続濾過する、あるいは一つのカプセル中に上記2種類のフィルターを併せ持つ複合フィルターを使用することで、触媒凝集物や粗大粒子を取り除くことができると同時に、製膜エッジや巻き芯部分をリサイクルチップとして再利用した時に生じやすい樹脂のゲル化物や熱劣化物を効率良く取り除くことができるためリサイクルチップを多く使用できたり、かつフィルター寿命が長くなるため生産性が向上するので、特に望ましい。また、前述のように凝集物を生成にしくいような金属触媒として、例えばチタン化合物やゲルマニウム化合物を重合時の触媒として用いることがより効果的である。
本発明のポリエステルフイルムにおいては、少なくとも片面における十点平均粗さ(SRz)が300nm以上であることが必要であり、500nm以上であることが更に好ましい。また、少なくとも片面における突起数(SPc)が20ヶ/0.1mm2以上であり、40ヶ/0.1mm2以上であることが更に好ましい。両面ともにSRzが300nm未満、SPcが20ヶ/0.1mm2未満であると、搬送性やスリット性が悪くなるため、フィルム表面に傷が付きやすくなったり、フィルムをロール状に巻き取りにくくなったり、生産速度が上がらない等の問題が生じるため好ましくない。粒子の粒径を小さくしたり添加量を減らすことで、陥没構造を伴う突起数を減らすことができるが、フィルムの生産性を保つためには、少なくとも片面で上記表面特性を有することが必要である。この特性は、添加粒子径と粒子量を適切に選択することで達成でき、例えば少なくとも片面において、平均粒径0.5μm以上の粒子を0.001重量%以上含有するなどの方法が挙げられる。
本発明のポリエステルフイルムにおいては、蒸着膜形成用表面における十点平均粗さ(SRz)が1500nm以下であることが好ましく、1200nm以下であることが更に好ましい。SRzが1500nmを越えれば、大きな突起部分での均一な蒸着面形成が難しくなる場合があるため、蒸着後のガスバリア性が悪化することがある。このSRzは3次元表面粗さにおける突起の高さを表す指標で十点平均粗さのことである。
また、蒸着膜形成用表面における突起数(SPc)は150ヶ/0.1mm2以下であることが好ましく、130ヶ/0.1mm2以下がであることが更に好ましい。SPcが150を越える場合は、蒸着後のガスバリア性が悪化することがある。この特性は、添加粒子径と粒子量を適切に選択することで達成でき、例えば蒸着膜形成様表面側において、添加する粒子の平均粒子径を2.5μm以下としたり、添加粒子量を0.12重量%未満とすることなどが挙げられる。
本発明の蒸着用フィルムの蒸着膜形成用表面には、低温プラズマ処理やコロナ放電処理等による表面改質が行われてもよく、その蒸着膜形成用表面の濡れ張力は50mN/m以上が望ましい。上限は特に無いが、通常は56mN/m程度である。表面の濡れ張力は例えばコロナ処理電圧やコロナ処理時の速度、電極間ギャップなどの調整により50mN/m以上にすることができる。
本発明のポリエステルフイルムにおいて、平均結晶粒子径(χc)は5.8nm以上が好ましく、更に好ましくは6.2nm以上である。χcが5.8nm未満では結晶粒径が小さくなり、蒸着膜と基材のポリエステルフィルムとの密着性が低下し易く、このため特にボイルやレトルト処理を行う包装材料には好ましくない。χcの上限は特に無いが、生産性やフィルム強度の観点から通常7.5nm程度までである。χcは例えば横延伸後の熱固定温度を上げたり、熱固定時間を長くしたりすることによってポリエステル樹脂の結晶化を制御する方法が好ましい方法として挙げられ、熱固定温度や時間を適宜調整することで希望のχcの値を有するフィルムを得ることが可能となる。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル系樹脂としては、エステル結合の点からエチレンテレフタレート及び/又はエチレンナフタレート単位を主構成成分とするものが好ましく、耐熱性、製膜性の点から、ポリエステルの融点が250℃以上280℃以下であることが好ましい。
このポリエステル系樹脂としては、上記した好ましいポリエステル以外に、酸成分とグリコール成分とをエステル結合させてなる種々のポリエステルを用いることもできる。その場合の酸成分として、例えば、テレフタル酸,イソフタル酸,フタル酸,ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸,アジピン酸,アゼライン酸,セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸,シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p-オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多官能酸等を用いることができる。一方グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール,ジエチレングリコール,ブタンジオール,ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール等を用いることができる。さらに、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルを共重合してもよい。なお、これらのジカルボン酸成分、グリコール成分は2種類以上を併用してもよく、2種類以上のポリエステルをブレンドして使用してもよい。
上記で述べたようなポリエステル系樹脂の極限粘度(25℃のオルソクロロフェノール中で測定)は、0.40〜1.20dl/gが好ましく、0.50〜0.80dl/gがより好ましく、0.55〜0.75dl/gが更に好ましい。さらに、蒸着膜との接着性の点から基材となるポリエステルフィルムのカルボキシル末端基量は25〜60当量/トンが好ましく、さらに好ましくは35〜55当量/トンである。カルボキシル末端基量が25当量/トン未満であると蒸着膜との密着性が低下するため好ましくない。またカルボキシル末端基量が60当量/tを越えると着色したり、ポリエステルフィルムの製膜性が悪化するので好ましくない。
また、このポリエステル系樹脂の中に添加剤、例えば、耐熱安定剤,耐酸化安定剤,耐候安定剤,紫外線吸収剤,有機の易滑剤,顔料,染料,充填剤,帯電防止剤,核剤などを配合してもよい。
これらの添加剤が粒子状である場合、その粒子径は特に限定されないが、通常はコールターカウンター法により測定した平均粒径が0.05〜8.0μmであることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜3.0μmである。また、平均粒径が1.0μm以上の粒子の場合、粒子の比表面積は気体吸着BET法にて250m2/g以上の多孔質粒子であることが、延伸追従性に優れ周囲に陥没構造を伴いにくく好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、2軸配向されたフィルムであることが重要である。2軸配向ポリエステルフイルムとは、無延伸状態のポリエステルシートまたはフイルムを、長手方向及び幅方向に、いわゆる2軸方向に延伸することによって作られるものであり、広角X線回折で2軸配向のパターンを示すものである。2軸方向へ延伸する方法は、逐次2軸延伸法、同時2軸延伸法のどちらでもよいが、同時2軸延伸法の方が陥没構造が発生しにくく、またフィルム表面に傷が発生しにくく望ましい。
本発明の2軸配向ポリエステルフイルムの厚さは特に限定されないが、通常は0.5〜500μm、好ましくは1〜300μm、さらに好ましくは4〜30μmである。
そのフィルム構成は、単層でもよいし、また、異なる組成のポリエステル組成物A,B,Cにより構成される積層構成、例えば、A/Bの2層構成、A/B/AあるいはA/B/Cの3層構成、3層よりも多層の積層構成、でもよい。その際の積層厚み比も任意に設定してよい。これらの積層構成は共押出しによる積層フィルムとして製造することができる。
特にA/Bの2層構成の場合は、粒子が少なく表面が平滑で蒸着後のバリア性に優れた層と、易滑粒子を多く含み取り扱い性、巻き取り性に優れた層を接合すること構成とすることができるため、バリア性、取り扱い性の両者を同時に達成しやすく特に好ましい。
さらに、これら以外の層を各種コーティング法により積層させたものでもよく、具体的には、帯電防止層、マット層、ハードコート層、易滑コート層、易接着層、粘着層などが例示される。これら層の形成のためのコーティング法は、特に限定されるものではないが、製造・環境面を考慮すると、水系または水分散系塗剤をフィルム製膜中に塗布する方法が好ましい。
本発明のポリエステルフィルムにおける面配向係数(fn)は0.150〜0.170であることが好ましく、更に好ましくは0.155〜0.165である。面配向係数(fn)が0.150未満であるとフィルムの剛直性が失われ加工時に蒸着膜にクラックが発生し、ガスバリア性が悪化し易いので好ましくない。また、面配向係数(fn)が0.170を越えるとフィルムの劈開による包装材の強度低下したり、蒸着膜と基材フィルムの密着性が低下するなどの問題が発生しやすいため好ましくない。
本発明のポリエステルフイルムにおけるフィルムヘイズは5.0%以下が好ましく、更に好ましくは3.0%以下である。ヘイズが5.0%を越えると内容物の可視性が悪くなるため好ましくない。ヘイズの下限値は特に無いが、取り扱い性やすべり性の観点から通常は0.2%程度が下限である。
本発明のポリエステルフイルムの蒸着膜形成用表面には蒸着層が設けられて蒸着ポリエステルフィルムが製造される。蒸着ポリエステルフィルムは、生産コスト、意匠性、内容物の視野性から蒸着膜が透明である透明蒸着ポリエステルフィルムであることが好ましい。ここで言う透明蒸着ポリエステルフィルムとは、JIS K7105(1981年)に示される全光線透過率が75%以上の蒸着フィルムのことである。この透明蒸着膜に用いられる物質としては、例えば酸化珪素膜、酸化アルミニウムに代表される金属酸化物を挙げることができる。また、該蒸着フィルムの全光線透過率は好ましくは80%以上、更に好ましくは85%、特に好ましくは88%以上である。
本発明の蒸着ポリエステルフィルムの蒸着膜の形成方法としては、真空プロセスが用いられる。真空プロセスは、真空蒸着法,スパッタリング法,イオンプレーティング法,化学気相蒸着法などが適宜用いられ、いずれも限定されない。例えば、金属酸化物の蒸着膜を設けるには反応性蒸着法が生産性,コストの点でより好ましく用いることができる。反応性蒸着法によって酸化アルミニウムを蒸着させるには、アルミニウム金属やアルミナを抵抗加熱のボート方式やルツボの高周波誘導加熱、電子ビーム加熱方式で蒸発させ、酸化雰囲気下で2軸配向ポリエステルフイルム上に酸化アルミニウムを堆積させる方式が採用される。酸化雰囲気を形成するための反応性ガスとしては酸素が用いられるが、酸素を主体に水蒸気や希ガスを加えたガスでもよい。更にオゾンを加えたりイオンアシストなどの反応を促進する手法を併用してよい。これら真空プロセスでは、蒸着前の2軸配向ポリエステルフイルムの蒸着膜形成用表面をプラズマ処理することが、ガスバリア性,透湿性の一層の向上のために好ましい。
酸化珪素の蒸着膜を反応性蒸着法によって形成させるには、Si金属,SiOやSiO2を電子ビーム加熱方式で蒸発させ、酸化雰囲気下で2軸配向ポリエステルフイルム上に酸化珪素を堆積させる方式が採用される。酸化雰囲気を形成する方法は、上記の方法が用いられる。
また、蒸着層の厚さは特に限定されないが、生産性、ハンドリング性、外観から5〜100nmが好適であり、さらに好ましくは5〜50nm、特に好ましくは5〜20nmである。蒸着膜の厚さが5nm未満となると、蒸着膜欠陥が発生しやすくガスバリア性が悪化する。蒸着膜の厚さが100nmより厚くなると、蒸着時のコストが高くなったり、蒸着膜の着色が顕著になり外観的に劣るため好ましくない。
次に本発明を実施例に基づいて説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。なお、種々の諸物性、特性は以下のごとく測定、又は定義されたものである。
[特性値の測定法]
本発明における特性値の測定方法および効果の評価方法は次の通りである。
(1)フィルム表面の周囲に陥没構造を伴う突起数
カンチレバーと試料間の原子間力を利用する原子間力顕微鏡(Nanopics1000・NPX100 セイコーインスツルメンツ)にて測定を行った。測定条件は以下のとし、1試料に対して20ヶ所の測定を行い、陥没を含む粒子部分の断面観察により長径10μm以上、深さ50nm以上(図4参照)の陥没構造を伴う突起数をカウントした(ヶ/0.2mm2)。
モード :タッピングモード
測定範囲 :100μm×100μm角
スキャン本数 :512×512本
スキャンスピード :380秒/1フレーム
振幅度合い :HH。
(2)フィルム表面の十点粗さ(SRz)、突起数(SPc)
3次元表面粗さ計(小坂研究所製、ET−30HK)を用い、次の条件で触針法により測定を行った。十点平均粗さ(SRz)は粗さ曲面中心面に対し高い方から5番目までの山頂の平均高さと深い方から5番目までの谷底の平均深さの間隔であり、突起数(SPc)は粗さ曲面の中心面に平行で距離が6.25nmである平面を中心面の上下に設け、上下の2平面とも山と認めた突起数を計測し、0.1mm2当たりに換算して表したものである。
針径 2(μmR)
針圧 10(mg)
測定長 500(μm)
縦倍率 20000(倍)
CUT OFF 250(μm)
測定速度 100(μm/s)
測定間隔 5 (μm)
記録本数 80本
ヒステリシス幅 ±6.25(nm)
基準面積 0.1(mm2)。
(3)フィルム中に含まれる金属触媒凝集物、粗大粒子および異物個数
偏光顕微鏡(40倍)を用い長径50μm以上のフィルム中に含まれる金属触媒凝集物、粗大粒子および異物を1000cm2観察し、その合計をカウントした。
(4)面配向係数(fn)
ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計を用いて測定した。面配向係数は長手方向、幅方向、厚さ方向の屈折率(nMD、nTD、nZD)から、fn={(nMD+nTD)/2}−nZD の計算により求めた。
(5)フィルム表面のぬれ張力
JIS−K−6768(1995年)に記載された方法に従い、フイルム表面の濡れ張力を測定した。
(6)蒸着フィルムのガスバリア性
A.水蒸気透過率
蒸着48時間後に、モダンコントロール社製水蒸気透過率計PERMATRAN−W1Aを用いてJIS−K−7129(1992年)に記載されたB法に従い、40℃90RH%の条件で測定した。測定した水蒸気透過率により次のように評価した。
◎: 0(g/m2・day)以上,1.5(g/m2・day)未満
○:1.5(g/m2・day)以上,3.0(g/m2・day)未満
×:3.0(g/m2・day)以上
B.酸素透過率
蒸着48時間後に、モダンコントロール社製酸素透過率測定装置OX−TRAN100を用いてJIS−K−7126(1987年)に記載されたB法に従い、20℃、0%RHの条件にて酸素透過率を測定した。測定した酸素透過率により次のように評価した。
◎: 0(cc/m2・day)以上,1.5(cc/m2・day)未満
○:1.5(cc/m2・day)以上,3.0(cc/m2・day)未満
×:3.0(cc/m2・day)以上。
(7)平均結晶粒子径(χc)
試料を回折式X線装置 PHILIPS社 Compact X-ray Diffractrometer System PW1840 、光源にCuのKα線(波長0.1542nm)を用い、下記条件にて回折強度を測定した。
走査範囲 18〜32°
走査速度 0.05°/秒
加速電圧 35kV
管球電流 15mA
平均結晶粒子径(χc)は最大ピークの半価幅(rad)、から
χc= 0.9λ / βcosθ
λ:X線の波長(nm)、β:最大ピークの半価幅(rad)、θ:最大ピークの回折角
にて算出した。
(8)蒸着膜密着性(ラミネート強度)
東洋モートン社製アドコート503(AD503)と硬化剤CAT−10と酢酸エチルを100:5:100WT%の割合で調合した接着剤を#12のメイヤリングバーにて試料の透明蒸着面に塗布した。塗布後70℃の熱風オーブンにて30秒間乾燥後、60μm厚みの未延伸ポリプロピレンフィルムのコロナ処理面と貼合せ、熱風オーブンを用い40℃で72時間エージングを行った。貼合せサンプルを15mm幅にカットし、テンシロン(引っ張り試験機)にてポリプロピレンフィルムとポリエステルフィルム間を剥離角度90°にて、剥離界面に綿棒にて水を付着させながら剥離した時の剥離力を測定した。
○:400g/15mm幅 以上
△:200g/15mm幅 以上 400g/15mm 未満
×:200g/15mm幅 未満。
(9)加工性
蒸着及び加工時のフィルムの取り扱い性、巻き特性を○×で判定した。良好で問題なければ○、取り扱いは可能だがやや劣るならば△、取り扱い性が不良ならば×とした。
(10)蒸着膜厚さ
X線光電子分光法(SSI社性 SSX−100)を用いて以下の条件にて表面をArエッチングしながら測定を行い、検出されたAl元素の濃度が最大値の半分となる所を蒸着膜とフィルムの界面として蒸着膜厚さを算出した。
励起X線 monochromatic Al K α1,2線(1486.6eV) 線径 0.3nm
光電子脱出角度 45°
Arイオンエッチング 3KeV ,1.5e-7 Torr, 4×2mm raster
スパッタ速度 5.3nm/min。
(11)ガラス転移温度(Tg)、熱結晶化温度(Tmc)
DSC(PERKIN ELMAR DSC7 )にて測定を行った。 一度融点以上に加熱後急冷したサンプルを30℃から毎分20℃の割合で温度を上昇させていき、チャートが吸熱方向へ階段状に折れる点をガラス転移温度(Tg)、次に熱結晶化により現れるピーク温度を熱結晶化温度(Tmc)とした。
<実施例1>
平均粒径1.4μm、比表面積300m2/gの二酸化珪素粒子を0.05重量%含有するカルボキシル末端基量40当量/トン、ガラス転移温度(Tg)78℃、熱結晶化温度(Tmc)137℃のポリエチレンテレフタレートペレット(極限粘度0.62dl/g)を水分率20ppmに真空乾燥した後、押出機に供給して、280℃で溶融押出し、8μmカットのステンレス繊維焼結フィルター(FSS)で濾過した後、T字型口金からシート状に押出し、これを表面温度25℃の冷却ドラムに静電密着法で冷却固化せしめた。このようにして得られた未延伸PETフイルムを、114℃に2秒間加熱した後、長手方向に120℃にて1.4倍に、次に112℃にて2.9倍延伸して1軸延伸フイルムとした。この1軸延伸フイルムを100℃で2秒間予熱し、次いで105℃に加熱しつつ幅方向に135%/秒の平均延伸速度、中間点の延伸倍率2.2倍の条件で4.0倍に延伸した。このフイルムを230℃の熱風中に導き入れ、2秒間緊張熱固定した後、同じ雰囲気温度内で幅方向に元のフイルム幅の6%リラックスを施し冷却した。最終的に室温まで冷却した後、20W・min/m2の処理強度でコロナ放電処理を行い、これを巻取り機に導いて巻き上げてミルロールとした。このようにして得られた厚さ12μmのフイルムについて、蒸着膜形成用表面の特性などを測定した結果は表3に示すとおりであった。
得られたフイルムの蒸着膜形成用表面に、アルミニウム蒸着膜を次の方法により形成した。フイルムを連続式真空蒸着機の巻き出し装置にセットし、冷却金属ドラムを介して走行させフイルムを巻き取る。この時、連続式真空蒸着機を10-4Torr以下に減圧し、冷却ドラムの下部よりアルミナ製ルツボに純度99.99%の金属アルミニウムを装填して金属アルミニウムを加熱蒸発させ、その上記中に酸素を供給し酸化反応させながらフイルム上に付着堆積させ、厚さ10nmの酸化アルミニウム膜を形成した。得られた蒸着フィルムは、表4に示す評価結果の通り、特に優れたガスバリア性を有していた。
<実施例2>
ガラス転移温度(Tg)79℃、熱結晶化温度(Tmc)139℃のポリエチレンテレフタレートペレット(極限粘度0.63dl/g)を使用し、表1、表2に示した条件以外は実施例1と同様にして透明蒸着用ポリエステルフィルムを得た。次に実施例1と同様にして透明蒸着フィルムを得た。得られた蒸着フィルムは表3、表4に示すとおり優れたガスバリア性を有していた。
<実施例3>
表1、表2に示した条件以外は実施例1と同様にして二軸延伸透明蒸着用ポリエステルフィルムを得た。次に、実施例1と同様の方法を用い、蒸着膜を酸化珪素に変更して酸化蒸着膜厚が10nmの透明蒸着フィルムを製造した。得られた透明蒸着フィルムは、表3、表4に示すとおり、優れたガスバリア性を有していた。
<実施例4>
二酸化珪素粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートペレットを主層とし、5μmカットのステンレス繊維焼結フィルター(FSS)を通し、一方平均粒径約3.0μmの二酸化珪素粒子を0.04重量%含有するポリエチレンテレフタレートペレットを副層とし、14μmカットのステンレス鋼粉体焼結フィルター(PSS)を通し、両者を口金直前で主層:副層の積層比が8:1になるように積層した。その後、表1、表2に示した条件以外は実施例1と同様の方法を用い、主層側にコロナ処理を施すことで透明蒸着用2軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた2軸延伸フィルムの主層側に、実施例1と同様にして厚さ8nmの酸化アルミ蒸着膜を有する透明蒸着フィルムを製造した。但し、主層側の表面を蒸着膜形成用表面にしてとコロナ処理、蒸着を行った。表3に示すとおりの特性値を有する蒸着用ポリエステルフィルムが得られ、また、得られた透明蒸着フィルムは、表4に示すとおり、特に優れたガスバリア性を有していた。
<実施例5>
表1、表2に示した条件以外は実施例1と同様にして透明蒸着用ポリエステルフィルムを得た。次に実施例1と同様にして、初めに厚さ10nmの酸化アルミ膜を形成した後に厚さ5nmの酸化珪素膜を蒸着し、蒸着膜が2層構造となっている透明蒸着フィルムを製造した。表1に示すとおりの特性値を有する蒸着用ポリエステルフィルムが得られ、また、得られた透明蒸着フィルムは、表3、表4に示すとおり、取り扱い性がやや劣るが特に優れたガスバリア性を有するものであった。
<実施例6>
製膜エッジ部分を粉砕し、押出機を用いて280℃にて再押出を行い、口金からガット状に吐出し水冷後カットを行いリサイクルペレットを作成した。このリサイクルペレットを40重量%と表1に示した原料を使用し、表1、表2に示した条件以外は実施例1と同様にして透明蒸着用ポリエステルフィルムを得た。ただし、フィルターについては初めに8μmカットのステンレス繊維焼結フィルター(FSS)を通し、次に14μmカットのステンレス鋼粉体焼結フィルター(PSS)をこの順番で通した。次に実施例1と同様にして透明蒸着フィルムを得た。得られた透明蒸着フィルムは生産性にはやや劣るが表3、表4に示すとおり特に優れたガスバリア性を有するものであった。
<比較例1>
表1、表2に示した条件以外は実施例1と同様にして透明蒸着用ポリエステルフィルムを得た。次に実施例1と同様にして透明蒸着フィルムを得た。得られた透明蒸着フィルムは表3、表4に示す通りガスバリア性に劣るものであった。
<比較例2、3、5、7>
表1、表2に示した条件以外は実施例1と同様にして透明蒸着用ポリエステルフィルムを得た。次に実施例1と同様にして透明蒸着フィルムを得た。得られた透明蒸着フィルムは表3、表4に示す通り比較例2、3、5はガスバリア性に劣るものであり、比較例7は取り扱い性に劣るものであった。
<比較例4>
蒸着を行う面を副層側に変更した以外は実施例4と同様にして二軸延伸した蒸着用ポリエステルフィルムを製造し、その後実施例1と同様にして、厚さ8μmの酸化アルミ蒸着膜を形成した。得られた透明蒸着フィルムは表3、表4に示す通り、ガスバリア性に劣るものであった。
<比較例6>
製膜エッジ部分を粉砕し、押出機を用いて280℃にて再押出を行い、口金からガット状に吐出し水冷後カットを行いリサイクルペレットを作成した。得られたリサイクルペレットを40重量%と表1に示した原料を使用し、表1、表2に示した条件以外は実施例1と同様にして透明蒸着用ポリエステルフィルムを得た。次に実施例1と同様にして透明蒸着フィルムを得た。得られた透明蒸着フィルムは表3、表4に示す通りガスバリア性に劣るものであった。
本発明の蒸着ポリエステルフィルムには、ボイル・レトルト処理時の耐熱性向上や印刷性の付与、蒸着層の保護、さらなるガスバリア性の安定、ヒートシールフィルムとの接着性付与などのために、必要に応じて適宜蒸着層の上にコーティングなどによる機能性樹脂層を設けても良いし、更に印刷を施したり、他のフィルムと積層したり、あるいはこれらを組み合わせたりしても良い。また、非蒸着面側にヒートシール層を設けたり、他のフィルムを積層したり、印刷を施しても良い。このように各種加工を施された蒸着ポリエステルフィルムは、食品や医薬品などの包装材料のほか、酸素や水蒸気嫌う電子部品や機能性樹脂などの保護剤やバックシートなど広範に渡って利用することできる。特に透明蒸着ポリエステルフィルムは、生産コスト、内容物の視野性、意匠性に優れているため、これらが重視される分野に好ましく使用することができる。
周囲に陥没構造を伴う突起の俯瞰図 周囲に陥没構造を伴う突起の断面図 周囲に陥没構造を伴う突起の写真 陥没構造の長径(a)、深さ(b)
符号の説明
1 突起部分
2 陥没部分
3 陥没構造を伴う突起の大きさ

Claims (10)

  1. 少なくとも片面が蒸着膜形成用表面である2軸配向ポリエステルフィルムであって、蒸着膜形成用表面において大きさ10μm以上、深さ50nm以上の陥没構造を周囲に伴う突起数が10ヶ/0.2mm2以下、かつ少なくとも片側表面での突起数(SPc)が20ヶ/0.1mm2以上、十点平均粗さ(SRz)が300nm以上であって、かつポリエステルフィルム中に含まれる長径が50μm以上である金属触媒凝集物、粗大粒子および異物の合計が30ヶ/1000cm2以下であることを特徴とする蒸着用ポリエステルフィルム。
  2. 蒸着膜形成用表面における、突起数(SPc)が150ヶ/0.1mm2以下、十点平均粗さ(SRz)が1500nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の蒸着用ポリエステルフィルム。
  3. 蒸着膜形成用表面における塗れ張力が50mN/m以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸着用ポリエステルフィルム。
  4. 平均結晶粒径(χc)が5.8nm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の蒸着用ポリエステルフィルム。
  5. 長手方向における全延伸倍率が4.0倍以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の蒸着用ポリエステルフィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の蒸着用ポリエステルフィルムにおいて、少なくとも片面が透明蒸着膜形成用表面であることを特徴とする透明蒸着用ポリエステルフィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の蒸着用ポリエステルフィルムの蒸着膜形成用表面側に蒸着膜を設けてなることを特徴とする蒸着ポリエステルフィルム。
  8. 蒸着膜厚が5〜20nmであることを特徴とする請求項7に記載の蒸着ポリエステルフィルム。
  9. 蒸着膜が透明蒸着膜であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の透明蒸着ポリエステルフィルム。
  10. 蒸着層が少なくとも酸化アルミニウムまたは酸化珪素のいずれかを含むことを特徴とする請求項9に記載の蒸着ポリエステルフィルム。
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